有価証券報告書
(1) 経営成績
※平均補油価格(全油種)
当期の対ドル平均為替レートは、前期比¥3.33/US$円高の¥105.95/US$となりました。また、当期の船舶燃料油価格平均は、前期比US$112/MT下落しUS$355/MTとなりました。
当期の業績につきましては、売上高9,914億円、営業損益△53億円、経常損益1,336億円、親会社株主に帰属する当期純損益は900億円となりました。なお、当社持分法適用会社OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.(以下「ONE社」)の損益改善などにより、営業外収益で持分法による投資利益として1,329億円を計上いたしました。うち、同社からの持分法による投資利益計上額は1,195億円となります。
売上高は、新型コロナウイルスの感染拡大に起因する自動車船事業における完成車輸送台数の大幅な減少やドライバルク船市況の下落等の要因があり、前年同期比1,639億円減収の9,914億円となりました。
経常損益は、輸送需要の停滞が顕在化した事業があった一方、エネルギー輸送事業を中心とした安定的な利益の確保に加えて、コンテナ船事業では、当社持分法適用会社ONE社においてスポット賃率が前年同期を上回るレベルで推移し、大幅な増益を達成したことから、前年同期比785億円増益の1,336億円となりました。ドライバルク船事業は、ケープサイズ、パナマックス共に総じて市況環境は回復基調で推移したものの、当社連結子会社MOL BRIDGE FINANCE S.A.社において、持分法適用関連会社GEARBULK HOLDING AGに対する貸付金について貸倒引当金繰入額を計上したため、前年同期比163億円損益悪化の△42億円となりました。エネルギー輸送事業では、油送船事業における安定的な長期契約の履行や春先の市況高騰をとらえた有利契約の獲得に加え、LNG船・海洋事業において新規竣工・稼働があり安定収益を積み増し、前年同期比43億円増益の297億円となりました。製品輸送事業では、自動車船事業において、世界的な完成車減産の影響を受けて損益悪化となった一方、上述のコンテナ船事業の増益が寄与し、前年同期比959億円増益の1,026億円となりました。
また、船隊の若返りと競争力を高めるための船舶売却等により、特別利益を186億円計上しました。一方で、海洋事業におけるFSRUに関する減損損失や、各事業における不採算船の処分、並びに石油製品船事業のシンガポール拠点への集約や自動車船事業における日産専用船(株)との組織合理化等に関する事業再編関連損失等、特別損失を501億円計上しました。結果として、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比574億円増益の900億円となりました。
セグメント毎の売上高及びセグメント損益(経常損益)、それらの対前期比較及び概況は以下の通りです。
上段が売上高(億円)、下段がセグメント損益(経常損益)(億円)
(注)売上高にはセグメント間の内部売上高又は振替高が含まれております。
① ドライバルク船事業
ケープサイズの上半期の市況は、中国の需要回復及び運賃先物上昇による相乗効果で改善し、全般的に底堅く推移しました。下半期は、旺盛な中国の原料需要に加え日韓欧等の需要も回復したことで、秋口に再度上昇したものの、以後は下落基調で推移しました。12月半ばには中国揚地での滞船増加を背景に堅調となる場面があり、また3月上旬からは好調なパナマックス市況が波及し上昇基調の時期もありました。パナマックスの上半期の市況は、旺盛な南米出しの穀物の輸送需要に支えられ、夏場にかけて上昇した後は中国向け石炭輸送需要の減少により低調に推移しました。下半期は、北米穀物等の輸送需要に下支えされ、年明け以降では堅調な中国向けの石炭需要と天候不順により南米穀物の収穫時期が遅れ積地で滞船が生じるとの観測、さらに代替として北米穀物の需要が高まったことから船腹需給が引き締まり急騰し、高値圏で推移しました。
一方で、木材チップ船とオープンハッチ船においては、中国向け製紙原料とパルプの輸送需要に回復は見られたものの、全般的に低調な荷動きと市況の影響を受けました。また、当社連結子会社MOL BRIDGE FINANCE S.A.社において、持分法適用関連会社GEARBULK HOLDING AGに対する貸付金について貸倒引当金を計上したため、ドライバルク船事業全体では、前年同期比で大幅な損益悪化となりました。
② エネルギー輸送事業
<油送船>原油船市況は、原油安を受けた洋上備蓄需要の高まりにより春には歴史的高値を記録しましたが、その後は備蓄需要解消や協調減産の継続により荷動きが回復せず、下落基調が続きました。石油製品船市況は、原油船同様に春に高値を記録した後、製油所稼働率の低下から荷動きが低迷したため、夏場にかけて下落基調となり、その後も低調に推移しました。このような市況環境下において、安定的な長期契約の履行に加え、市況の歴史的高値をとらえて有利契約を獲得したこと等により、油送船部門全体としては前年同期比で大幅な増益を達成しました。
LNG船部門においては、新たにLNG船4隻及びLNG燃料供給船1隻の契約が開始した他、既存の長期貸船契約を主体に安定的な利益を確保し、前年同期比で増益となりました。海洋事業部門においては、FPSO事業で既存プロジェクトが順調に稼働し黒字を計上しましたが、FSRU事業では1隻を従来契約完了後に次の長期契約まで短期契約に投入した結果、前年同期比で損益悪化となりました。
③ 製品輸送事業
<コンテナ船>コンテナ船は、当社持分法適用会社ONE社において、北米航路を中心に巣ごもり需要を背景とした夏場以降の旺盛な荷動きがあった一方、労働者不足に伴う港湾混雑の発生やアジアにおけるコンテナ不足など様々な理由で供給面の制約があったことにより、スポット賃率は前年同期を大幅に上回るレベルで推移しました。また燃料油価格が総じて安値圏を維持したこともあり、前年同期比で大幅な増益となりました。
<自動車船>完成車の輸送台数は、新型コロナウイルスの流行による世界的な完成車減産の影響を受けて、第3四半期以降回復したものの、前年同期比では大きく減少しました。解撤や返船を含む船腹供給量の調整、停船による費用削減等、業績への影響を最小限に留める対策に取り組みましたが、前年同期比で大幅な損益悪化となりました。
<フェリー・内航RORO船>フェリー・内航RORO船については、新型コロナウイルスの影響により旅客が大幅に落ち込みました。フェリー船内やターミナルでの感染症対策を強化するなど、ウィズ・コロナの施策を進め、政府のGo Toトラベル事業を追い風に一時回復が見られましたが、年初以降の感染の再拡大に伴い、総じて低調に推移しました。一方、荷動きは航路により濃淡はあるものの足元では回復基調にありますが、全般的には前期を下回る状況が継続した結果、損益は前年同期比で悪化しました。
④ 関連事業
不動産事業においては、当社グループの不動産事業の中核であるダイビル(株)による、新規物件取得が寄与し、前年同期比で増益となりました。客船事業は11月から運航再開となりましたが、新型コロナウイルス感染拡大のため多くのクルーズ運航中止を余儀なくされ、前年同期比で大幅な損益悪化となりました。曳船事業も作業対象船の入出港減少により、前年同期比で減益となりました。また旅行事業においても海外渡航需要の減少によって前年同期比で損益悪化となりました。その他の商社等の業績は概ね堅調に推移しましたが、関連事業セグメント全体では前年同期比で減益となりました。
⑤ その他
主にコストセンターであるその他の事業には、船舶運航業、船舶管理業、貸船業、金融業などがありますが、前年同期比で減益となりました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)は「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載したとおり、5つの事業区分からなり、提供するサービス内容も、多種多様であります。従って、受注の形態、内容も各社毎に異なっているため、それらをセグメント毎に金額、数量で示しておりません。
セグメントの売上高
(注)記載金額には消費税等は含まれておりません。
(3) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ31億円減少し、2兆955億円となりました。これは投資有価証券等が増加した一方、船舶、建設仮勘定等が減少したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ610億円減少し、1兆3,964億円となりました。これは長期借入金、短期社債等が減少したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ579億円増加し、6,991億円となりました。これは主に利益剰余金が増加したことによるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、3.1ポイント上昇し、27.6%となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて、188億円減少し、834億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が1,003億円、持分法による投資損益が△1,329億円、減価償却費が857億円となったこと等から、988億円(前年同期1,007億円)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主にエネルギー輸送事業の船舶を中心とする固定資産の取得及び売却等により△546億円(前年同期△1,072億円)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出等により△617億円(前年同期△7億円)となりました。
(5) 財務戦略
当社グループは2021年4月に策定した経営計画「ローリングプラン2021」において、財務目標はネットギアリングレシオ1.0倍とし、2027年度までの達成を目指します。2021~2023年度の3年間でフリーキャッシュ・フロー1,000億円を創出し、財務体質の改善・ネットギアリングレシオの引き下げを図ります。
① 資金調達の方針
当社は事業活動を支える資金調達に際して、調達の安定性と低コストを重視しております。
また、金利変動リスクや為替変動リスク等の市場リスクを把握し、過度に市場リスクに晒されないように金利固定化比率や借入通貨構成を金利スワップや通貨スワップ等の手法も利用しながら、リスクを許容範囲に収めるようにしております。
② 資金調達の多様性
当社は調達の安定性と低コスト調達を実現するために、調達方法の多様化や調達期間の分散を進めております。
運転資金並びに船隊整備に必要な設備資金は、直接・間接調達に加え、従来より船主からの傭船といった手法も活用し、有利子負債を過度に増加させることなく、低コストかつ安定的な船腹の整備を行っております。
直接調達については、2021年4月に劣後特約付社債を500億円発行しました。また、2021年3月末の国内普通社債発行残高は860億円となっております。2018年8月及び9月に資金使途を環境関連プロジェクトに限定したグリーンボンドを機関投資家向け(期間5年、50億円)及び個人投資家向け(期間5年、50億円)に発行しました。また、2019年7月に資金使途をSDGs全般に拡大したサステナビリティボンドを機関投資家向け(期間4年・6年、夫々50億円)及び個人投資家向け(期間6年、100億円)に発行しました。このようなESG債や個人投資家向け社債については、環境や社会に貢献したいという投資家のニーズを形にする機会を提供するとともに、新たな投資家層を拡大する手段として引き続き活用を図ります。円滑な直接調達を進めるため、当社は国内2社及び海外1社の格付機関から格付を取得しており、2021年3月末時点の発行体格付は格付投資情報センター(R&I)「BBB」、日本格付研究所(JCR)「A-」、ムーディーズ(Moody's)「Ba2」となっております。また、短期債格付(CP格付)についてはR&I/JCRより「a-2」/「J-1」を取得しております。
当社は500億円の社債発行登録や1,000億円のCP発行枠を設定しているほか、政府系や内外金融機関との幅広い取引関係をベースとする銀行借入により、運転資金需要や設備資金需要にも迅速に対応できるものと考えております。
③ 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、ドライバルク船事業、エネルギー輸送事業、及び製品輸送事業運営に関する海運業費用です。この中には燃料費・港費・貨物費等の運航費、船員費・船舶修繕費等の船費及び借船料などが含まれます。このほか物流事業の運営に関わる労務費等の役務原価、各事業についての人件費・情報処理費用・その他物件費等の一般管理費があります。
また、設備資金需要は注力分野である海洋事業やLNG船への投資やそれ以外の船舶・物流設備・不動産等への投資があり、当連結会計年度中に1,073億円の設備投資を実施しました。また、「ローリングプラン2021」においては、低・脱炭素案件への環境投資を含め設備投資約4,500億円を2021~2023年の3年間で予定しておりますが、営業キャッシュ・フローを着実に積み上げるとともに、資産・事業などの売却・キャッシュ化を進めることでフリーキャッシュ・フロー1,000億円を確保する見込みです。確保したキャッシュ・フローについては、財務体質の改善に優先的に充当し、ネットギアリングレシオの引き下げを図ります。当面の間は、連結配当性向20%を目安として業績に連動した配当を行い、経営課題として配当性向の向上にも取り組む方針です。
④ グループ資金の効率化
当社及び主要子会社間でキャッシュマネージメントサービス(CMS)を導入しており、グループ内の資金効率化を図ることにより、外部借入の削減に努めております。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)並びに2 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針) 」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。また、当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
・固定資産の減損
当社グループは、資産又は資産グループが使用されている事業の経営環境及び営業活動から生ずる損益等から減損の兆候判定を行っており、減損の兆候が識別された場合、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。将来の市況悪化等により減損の兆候及び認識の判定の前提となる事業計画等が修正される場合、減損処理を行う可能性があります。
・貸倒引当金
当社グループは、売上債権及び貸付金等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しております。将来、債務者の財政状況の悪化等の事情によってその支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
(7) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当期は、前期末頃から続く新型コロナウイルスの感染拡大により、世界的な製造業の生産活動停止による大幅な荷動き停滞が顕在化し、当社事業においても、自動車船の他、フェリーRORO船・客船などがその影響を大きく受けました。一方、エネルギー輸送事業においては、長期契約を主体とする安定事業としてLNG船・FPSO事業が期初の見通し通りに推移したほか、油送船は原油価格低迷時の洋上備蓄需要により船腹需給が好転し、好業績をあげることができました。また製品輸送事業のうち、コンテナ船事業においても、Ocean Network Express(ONE)社が旺盛な輸送需要と堅調な運賃市況を背景に大幅な収益改善となりました。結果として、当社は全てのセグメントにおいて前年度を大きく上回り、経常利益1,336億円、親会社株主に帰属する当期純利益は901億円を達成しました。また、財務指標については、ROE 16.5%、ギアリングレシオ1.78倍(ネットギアリングレシオ1.63倍)となり、経営計画「ローリングプラン2020」で掲げている利益水準・財務指標の中期的目標を上回る結果となりました。
2021年度は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による世界経済の大変動と環境問題による世界経済の組み換えを想定し、当社は新たな企業理念・グループビジョン・MOL CHARTSの下、経営計画「ローリングプラン2021」を策定の上、更なる飛躍のために成長軌道復帰に向けて着実に歩む年とします。経営計画の主な内容は第2 事業の状況 1 「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。なお、「ローリングプラン2021」で掲げる利益計画・財務計画・投資計画は以下の通りです。
<利益計画>2017年度にローリング型経営計画を導入した際に掲げた、中期的な利益水準目標としての経常利益800~1,000億円は、2021年度~2023年度にかけて安定的に達成します。
(単位:億円)
<財務計画・投資計画>2027年度の利益目標として経常利益1,300億円、ROEは10~12%を安定的に維持することを目指します。また、財務目標はネットギアリングレシオ1.0倍とし、2027年度までの達成を目指します。2021~2023年度の3年間でフリーCF1,000億円を創出し、財務体質の改善・ネットギアリングレシオの引き下げを図ります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。
| 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 増減額 / 増減率 | |
| 売上高 (億円) | 11,554 | 9,914 | △1,639 / △14.2% |
| 営業損益 (億円) | 237 | △53 | △290 / -% |
| 経常損益 (億円) | 550 | 1,336 | 785 / 142.5% |
| 親会社株主に帰属する 当期純損益 (億円) | 326 | 900 | 574 / 176.0% |
| 為替レート | ¥109.28/US$ | ¥105.95/US$ | △¥3.33/US$ |
| 船舶燃料油価格 ※ | US$467/MT | US$355/MT | △US$112/MT |
※平均補油価格(全油種)
当期の対ドル平均為替レートは、前期比¥3.33/US$円高の¥105.95/US$となりました。また、当期の船舶燃料油価格平均は、前期比US$112/MT下落しUS$355/MTとなりました。
当期の業績につきましては、売上高9,914億円、営業損益△53億円、経常損益1,336億円、親会社株主に帰属する当期純損益は900億円となりました。なお、当社持分法適用会社OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.(以下「ONE社」)の損益改善などにより、営業外収益で持分法による投資利益として1,329億円を計上いたしました。うち、同社からの持分法による投資利益計上額は1,195億円となります。
売上高は、新型コロナウイルスの感染拡大に起因する自動車船事業における完成車輸送台数の大幅な減少やドライバルク船市況の下落等の要因があり、前年同期比1,639億円減収の9,914億円となりました。
経常損益は、輸送需要の停滞が顕在化した事業があった一方、エネルギー輸送事業を中心とした安定的な利益の確保に加えて、コンテナ船事業では、当社持分法適用会社ONE社においてスポット賃率が前年同期を上回るレベルで推移し、大幅な増益を達成したことから、前年同期比785億円増益の1,336億円となりました。ドライバルク船事業は、ケープサイズ、パナマックス共に総じて市況環境は回復基調で推移したものの、当社連結子会社MOL BRIDGE FINANCE S.A.社において、持分法適用関連会社GEARBULK HOLDING AGに対する貸付金について貸倒引当金繰入額を計上したため、前年同期比163億円損益悪化の△42億円となりました。エネルギー輸送事業では、油送船事業における安定的な長期契約の履行や春先の市況高騰をとらえた有利契約の獲得に加え、LNG船・海洋事業において新規竣工・稼働があり安定収益を積み増し、前年同期比43億円増益の297億円となりました。製品輸送事業では、自動車船事業において、世界的な完成車減産の影響を受けて損益悪化となった一方、上述のコンテナ船事業の増益が寄与し、前年同期比959億円増益の1,026億円となりました。
また、船隊の若返りと競争力を高めるための船舶売却等により、特別利益を186億円計上しました。一方で、海洋事業におけるFSRUに関する減損損失や、各事業における不採算船の処分、並びに石油製品船事業のシンガポール拠点への集約や自動車船事業における日産専用船(株)との組織合理化等に関する事業再編関連損失等、特別損失を501億円計上しました。結果として、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比574億円増益の900億円となりました。
セグメント毎の売上高及びセグメント損益(経常損益)、それらの対前期比較及び概況は以下の通りです。
上段が売上高(億円)、下段がセグメント損益(経常損益)(億円)
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 増減額/増減率 | |
| ドライバルク船事業 | 2,771 | 2,221 | △549 / △19.8% | |
| 120 | △42 | △163 / -% | ||
| エネルギー輸送事業 | 2,982 | 2,875 | △106 / △3.6% | |
| 254 | 297 | 43 / 17.1% | ||
| 製品輸送事業 | 4,768 | 3,964 | △804 / △16.9% | |
| 67 | 1,026 | 959 / 1,423.8% | ||
| うち、コンテナ船事業 | 2,276 | 2,205 | △70 / △3.1% | |
| 41 | 1,171 | 1,129 / 2,746.2% | ||
| 関連事業 | 1,220 | 981 | △239 / △19.6% | |
| 123 | 94 | △28 / △23.5% | ||
| その他 | 227 | 225 | △2 / △0.9% | |
| 34 | 26 | △7 / △23.0% | ||
(注)売上高にはセグメント間の内部売上高又は振替高が含まれております。
① ドライバルク船事業
ケープサイズの上半期の市況は、中国の需要回復及び運賃先物上昇による相乗効果で改善し、全般的に底堅く推移しました。下半期は、旺盛な中国の原料需要に加え日韓欧等の需要も回復したことで、秋口に再度上昇したものの、以後は下落基調で推移しました。12月半ばには中国揚地での滞船増加を背景に堅調となる場面があり、また3月上旬からは好調なパナマックス市況が波及し上昇基調の時期もありました。パナマックスの上半期の市況は、旺盛な南米出しの穀物の輸送需要に支えられ、夏場にかけて上昇した後は中国向け石炭輸送需要の減少により低調に推移しました。下半期は、北米穀物等の輸送需要に下支えされ、年明け以降では堅調な中国向けの石炭需要と天候不順により南米穀物の収穫時期が遅れ積地で滞船が生じるとの観測、さらに代替として北米穀物の需要が高まったことから船腹需給が引き締まり急騰し、高値圏で推移しました。
一方で、木材チップ船とオープンハッチ船においては、中国向け製紙原料とパルプの輸送需要に回復は見られたものの、全般的に低調な荷動きと市況の影響を受けました。また、当社連結子会社MOL BRIDGE FINANCE S.A.社において、持分法適用関連会社GEARBULK HOLDING AGに対する貸付金について貸倒引当金を計上したため、ドライバルク船事業全体では、前年同期比で大幅な損益悪化となりました。
② エネルギー輸送事業
<油送船>原油船市況は、原油安を受けた洋上備蓄需要の高まりにより春には歴史的高値を記録しましたが、その後は備蓄需要解消や協調減産の継続により荷動きが回復せず、下落基調が続きました。石油製品船市況は、原油船同様に春に高値を記録した後、製油所稼働率の低下から荷動きが低迷したため、夏場にかけて下落基調となり、その後も低調に推移しました。このような市況環境下において、安定的な長期契約の履行に加え、市況の歴史的高値をとらえて有利契約を獲得したこと等により、油送船部門全体としては前年同期比で大幅な増益を達成しました。
③ 製品輸送事業
<コンテナ船>コンテナ船は、当社持分法適用会社ONE社において、北米航路を中心に巣ごもり需要を背景とした夏場以降の旺盛な荷動きがあった一方、労働者不足に伴う港湾混雑の発生やアジアにおけるコンテナ不足など様々な理由で供給面の制約があったことにより、スポット賃率は前年同期を大幅に上回るレベルで推移しました。また燃料油価格が総じて安値圏を維持したこともあり、前年同期比で大幅な増益となりました。
<自動車船>完成車の輸送台数は、新型コロナウイルスの流行による世界的な完成車減産の影響を受けて、第3四半期以降回復したものの、前年同期比では大きく減少しました。解撤や返船を含む船腹供給量の調整、停船による費用削減等、業績への影響を最小限に留める対策に取り組みましたが、前年同期比で大幅な損益悪化となりました。
<フェリー・内航RORO船>フェリー・内航RORO船については、新型コロナウイルスの影響により旅客が大幅に落ち込みました。フェリー船内やターミナルでの感染症対策を強化するなど、ウィズ・コロナの施策を進め、政府のGo Toトラベル事業を追い風に一時回復が見られましたが、年初以降の感染の再拡大に伴い、総じて低調に推移しました。一方、荷動きは航路により濃淡はあるものの足元では回復基調にありますが、全般的には前期を下回る状況が継続した結果、損益は前年同期比で悪化しました。
④ 関連事業
不動産事業においては、当社グループの不動産事業の中核であるダイビル(株)による、新規物件取得が寄与し、前年同期比で増益となりました。客船事業は11月から運航再開となりましたが、新型コロナウイルス感染拡大のため多くのクルーズ運航中止を余儀なくされ、前年同期比で大幅な損益悪化となりました。曳船事業も作業対象船の入出港減少により、前年同期比で減益となりました。また旅行事業においても海外渡航需要の減少によって前年同期比で損益悪化となりました。その他の商社等の業績は概ね堅調に推移しましたが、関連事業セグメント全体では前年同期比で減益となりました。
⑤ その他
主にコストセンターであるその他の事業には、船舶運航業、船舶管理業、貸船業、金融業などがありますが、前年同期比で減益となりました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)は「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載したとおり、5つの事業区分からなり、提供するサービス内容も、多種多様であります。従って、受注の形態、内容も各社毎に異なっているため、それらをセグメント毎に金額、数量で示しておりません。
セグメントの売上高
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 前年同期比(%) | ||
| ドライバルク船事業 | 222,175 | 80.2 | |
| エネルギー輸送事業 | 287,589 | 96.4 | |
| 製品輸送事業 | 396,469 | 83.1 | |
| うち、コンテナ船事業 | 220,583 | 96.9 | |
| 関連事業 | 98,126 | 80.4 | |
| その他 | 22,577 | 99.1 | |
| 計 | 1,026,938 | 85.8 | |
| 調整額 | (35,512) | - | |
| 合 計 | 991,426 | 85.8 | |
(注)記載金額には消費税等は含まれておりません。
(3) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ31億円減少し、2兆955億円となりました。これは投資有価証券等が増加した一方、船舶、建設仮勘定等が減少したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ610億円減少し、1兆3,964億円となりました。これは長期借入金、短期社債等が減少したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ579億円増加し、6,991億円となりました。これは主に利益剰余金が増加したことによるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、3.1ポイント上昇し、27.6%となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて、188億円減少し、834億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が1,003億円、持分法による投資損益が△1,329億円、減価償却費が857億円となったこと等から、988億円(前年同期1,007億円)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主にエネルギー輸送事業の船舶を中心とする固定資産の取得及び売却等により△546億円(前年同期△1,072億円)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出等により△617億円(前年同期△7億円)となりました。
(5) 財務戦略
当社グループは2021年4月に策定した経営計画「ローリングプラン2021」において、財務目標はネットギアリングレシオ1.0倍とし、2027年度までの達成を目指します。2021~2023年度の3年間でフリーキャッシュ・フロー1,000億円を創出し、財務体質の改善・ネットギアリングレシオの引き下げを図ります。
① 資金調達の方針
当社は事業活動を支える資金調達に際して、調達の安定性と低コストを重視しております。
また、金利変動リスクや為替変動リスク等の市場リスクを把握し、過度に市場リスクに晒されないように金利固定化比率や借入通貨構成を金利スワップや通貨スワップ等の手法も利用しながら、リスクを許容範囲に収めるようにしております。
② 資金調達の多様性
当社は調達の安定性と低コスト調達を実現するために、調達方法の多様化や調達期間の分散を進めております。
運転資金並びに船隊整備に必要な設備資金は、直接・間接調達に加え、従来より船主からの傭船といった手法も活用し、有利子負債を過度に増加させることなく、低コストかつ安定的な船腹の整備を行っております。
直接調達については、2021年4月に劣後特約付社債を500億円発行しました。また、2021年3月末の国内普通社債発行残高は860億円となっております。2018年8月及び9月に資金使途を環境関連プロジェクトに限定したグリーンボンドを機関投資家向け(期間5年、50億円)及び個人投資家向け(期間5年、50億円)に発行しました。また、2019年7月に資金使途をSDGs全般に拡大したサステナビリティボンドを機関投資家向け(期間4年・6年、夫々50億円)及び個人投資家向け(期間6年、100億円)に発行しました。このようなESG債や個人投資家向け社債については、環境や社会に貢献したいという投資家のニーズを形にする機会を提供するとともに、新たな投資家層を拡大する手段として引き続き活用を図ります。円滑な直接調達を進めるため、当社は国内2社及び海外1社の格付機関から格付を取得しており、2021年3月末時点の発行体格付は格付投資情報センター(R&I)「BBB」、日本格付研究所(JCR)「A-」、ムーディーズ(Moody's)「Ba2」となっております。また、短期債格付(CP格付)についてはR&I/JCRより「a-2」/「J-1」を取得しております。
当社は500億円の社債発行登録や1,000億円のCP発行枠を設定しているほか、政府系や内外金融機関との幅広い取引関係をベースとする銀行借入により、運転資金需要や設備資金需要にも迅速に対応できるものと考えております。
③ 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、ドライバルク船事業、エネルギー輸送事業、及び製品輸送事業運営に関する海運業費用です。この中には燃料費・港費・貨物費等の運航費、船員費・船舶修繕費等の船費及び借船料などが含まれます。このほか物流事業の運営に関わる労務費等の役務原価、各事業についての人件費・情報処理費用・その他物件費等の一般管理費があります。
また、設備資金需要は注力分野である海洋事業やLNG船への投資やそれ以外の船舶・物流設備・不動産等への投資があり、当連結会計年度中に1,073億円の設備投資を実施しました。また、「ローリングプラン2021」においては、低・脱炭素案件への環境投資を含め設備投資約4,500億円を2021~2023年の3年間で予定しておりますが、営業キャッシュ・フローを着実に積み上げるとともに、資産・事業などの売却・キャッシュ化を進めることでフリーキャッシュ・フロー1,000億円を確保する見込みです。確保したキャッシュ・フローについては、財務体質の改善に優先的に充当し、ネットギアリングレシオの引き下げを図ります。当面の間は、連結配当性向20%を目安として業績に連動した配当を行い、経営課題として配当性向の向上にも取り組む方針です。
④ グループ資金の効率化
当社及び主要子会社間でキャッシュマネージメントサービス(CMS)を導入しており、グループ内の資金効率化を図ることにより、外部借入の削減に努めております。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)並びに2 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針) 」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。また、当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
・固定資産の減損
当社グループは、資産又は資産グループが使用されている事業の経営環境及び営業活動から生ずる損益等から減損の兆候判定を行っており、減損の兆候が識別された場合、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。将来の市況悪化等により減損の兆候及び認識の判定の前提となる事業計画等が修正される場合、減損処理を行う可能性があります。
・貸倒引当金
当社グループは、売上債権及び貸付金等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しております。将来、債務者の財政状況の悪化等の事情によってその支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
(7) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当期は、前期末頃から続く新型コロナウイルスの感染拡大により、世界的な製造業の生産活動停止による大幅な荷動き停滞が顕在化し、当社事業においても、自動車船の他、フェリーRORO船・客船などがその影響を大きく受けました。一方、エネルギー輸送事業においては、長期契約を主体とする安定事業としてLNG船・FPSO事業が期初の見通し通りに推移したほか、油送船は原油価格低迷時の洋上備蓄需要により船腹需給が好転し、好業績をあげることができました。また製品輸送事業のうち、コンテナ船事業においても、Ocean Network Express(ONE)社が旺盛な輸送需要と堅調な運賃市況を背景に大幅な収益改善となりました。結果として、当社は全てのセグメントにおいて前年度を大きく上回り、経常利益1,336億円、親会社株主に帰属する当期純利益は901億円を達成しました。また、財務指標については、ROE 16.5%、ギアリングレシオ1.78倍(ネットギアリングレシオ1.63倍)となり、経営計画「ローリングプラン2020」で掲げている利益水準・財務指標の中期的目標を上回る結果となりました。
2021年度は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による世界経済の大変動と環境問題による世界経済の組み換えを想定し、当社は新たな企業理念・グループビジョン・MOL CHARTSの下、経営計画「ローリングプラン2021」を策定の上、更なる飛躍のために成長軌道復帰に向けて着実に歩む年とします。経営計画の主な内容は第2 事業の状況 1 「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。なお、「ローリングプラン2021」で掲げる利益計画・財務計画・投資計画は以下の通りです。
<利益計画>2017年度にローリング型経営計画を導入した際に掲げた、中期的な利益水準目標としての経常利益800~1,000億円は、2021年度~2023年度にかけて安定的に達成します。
(単位:億円)
| 2020年度 (実績) | 2021年度 (見込) | 2022年度 (見込) | 2023年度 (見込) | 2027年度 (目標) | |
| ドライバルク営業本部 | △42 | 130 | 110 | 130 | 170 |
| エネルギー・海洋事業営業本部 | 297 | 260 | 300 | 390 | 520 |
| 製品輸送営業本部 | 1,026 | 550 | 290 | 290 | 450 |
| 関連事業 | 94 | 100 | 130 | 130 | 200 |
| その他、調整(消去・全社) | △40 | △40 | △30 | △40 | △40 |
| 経常利益 合計 | 1,336 | 1,000 | 800 | 900 | 1,300 |
| (実績) | |||||
| ドル円 為替前提 | 105.95円/$ | 105円/$ | 100円/$ | 100円/$ | 100円/$ |
<財務計画・投資計画>2027年度の利益目標として経常利益1,300億円、ROEは10~12%を安定的に維持することを目指します。また、財務目標はネットギアリングレシオ1.0倍とし、2027年度までの達成を目指します。2021~2023年度の3年間でフリーCF1,000億円を創出し、財務体質の改善・ネットギアリングレシオの引き下げを図ります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。