有価証券報告書-第168期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/24 14:17
【資料】
PDFをみる
【項目】
127項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月24日)現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」として、「少数株主利益(損失)」を「非支配株主に帰属する当期純利益(損失)」として表示しております。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は日本の金融商品取引法の規定に従って作成されており、財政状態及び経営成績に関する以下の分析が行われております。
当社経営陣は連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び評価を行わなければなりません。経営陣は、貸倒れ、有価証券、法人税等、財務活動、退職金、偶発事象、訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。経営陣は、過去の実績や現在の状況に応じ、合理的と考えられる基準・要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数値についての判断基礎となります。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社経営陣は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
① 貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
② 有価証券の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する少数持分を所有しております。これらの株式には価格変動性が高い上場会社の株式と、株価の決定が困難な非上場会社の株式があります。当社は、上場会社については期末の株価が取得価額より30%以上下落した場合に減損を行います。非上場会社については当該会社の純資産価額が50%以上下落した場合に減損しております。将来の株式市場の悪化または投資先の財務状態の悪化により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
③ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を評価するにあたっては、将来の課税所得及び実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に法人税等調整額を費用として計上いたします。同様に、計上金額を上回る繰延税金資産を今後回収できると判断した場合、法人税等調整額の増加により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。
④ 退職給付費用
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の退職金見込み額、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の期待運用収益率などが含まれます。
割引率は、日本の国債の市場利回りを基礎に、従業員の在籍年数を勘案して算出しております。長期期待運用収益率は、年金資産が投資されている資産の種類ごとの長期期待運用収益率の加重平均に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は退職給付債務については即時に認識され、退職給付費用については将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用に影響を及ぼします。
また、当社は、退職給付会計が導入された平成13年3月期に退職給付信託の設定を行っており、毎期末の信託している株式の時価の変動により発生する数理計算上の差異につきましても、退職給付債務は即時に認識され、退職給付費用は将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用に影響を及ぼします。
当連結会計年度においては、数理計算上の差異の償却額が169百万円の利益として計上されております。
(2) 業績報告
① 概要
当連結会計年度は、連結対象会社の増加に伴い営業収益は前連結会計年度に比べ24.9%増収の2,129億71百万円となりましたが、営業利益は46.2%減益の32億87百万円、経常利益は78.8%減益の9億12百万円となり、当期純利益は82.5%減益の2億11百万円となりました。
② 為替変動の影響
当連結会計年度の外国為替平均換算レートは、主な通貨である対米ドルが前連結会計年度に比べ13円65銭円安の120円00銭となりました。この為替レートの変動により、営業収益は66億64百万円増加したと試算されます。
③ 営業収益
営業収益は前連結会計年度に比べ、424億85百万円(24.9%)増収の2,129億71百万円となりました。
セグメントごとでは、物流事業は前連結会計年度に比べ、433億7百万円(27.0%)増収の2,038億72百万円、不動産事業は8億63百万円(8.2%)減収の96億14百万円となりました。
④ 営業原価、販売費及び一般管理費
営業原価は営業収益の増加に伴い、前連結会計年度より375億84百万円(25.0%)増加し、1,878億16百万円となり、営業収益に対する営業原価の比率は0.1ポイント増加し88.2%となっております。
販売費及び一般管理費は、連結対象会社の増加の影響などにより前連結会計年度より77億26百万円増加し、218億67百万円となりました。
⑤ 営業利益
これらの結果、営業利益は前連結会計年度に比べ、28億24百万円(46.2%)減益の32億87百万円となりました。
セグメントごとでは、物流事業は前連結会計年度に比べ、14億58百万円(40.6%)減益の21億30百万円、不動産事業は9億55百万円(16.3%)減益の49億16百万円となりました。
⑥ 営業外収益(費用)
営業外収益(費用)は前連結会計年度の18億4百万円の費用(純額)から、23億75百万円の費用(純額)となりました。
受取利息・配当金から支払利息を差し引いた純額は、前連結会計年度の7億12百万円の費用に対し、当連結会計年度は5億99百万円の費用となり、1億12百万円の費用減少となりました。これは、受取配当金の増加によります。
⑦ 経常利益
これらの結果、経常利益は前連結会計年度に比べ、33億95百万円(78.8%)減益の9億12百万円となりました。
⑧ 特別利益(損失)
特別利益(損失)は減損損失を計上したものの、負ののれん発生益や固定資産売却益等を計上したことに伴い、前連結会計年度の67百万円の利益(純額)から、19億1百万円の利益(純額)となり、前連結会計年度に比べ18億33百万円の利益増加となりました。
⑨ 税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ、15億61百万円(35.7%)減益の28億14百万円となりました。
⑩ 法人税、住民税及び事業税
税金等調整前当期純利益に対する法人税等の実効税率は、前連結会計年度の56.6%から37.6ポイント増加し、日本の法定実効税率33.1%より61.1ポイント高い94.2%となりました。
日本の法定実効税率に比べ税負担率が高い理由は、連結調整による影響やのれんの償却、減損等によるものであります。
⑪ 非支配株主に帰属する当期純利益(損失)
非支配株主に帰属する当期純利益(損失)は、主に三井倉庫エクスプレス(株)、三井倉庫サプライチェーンソリューション㈱、及びそれらの子会社の非支配株主に帰属する当期純利益(損失)からなり、前連結会計年度の6億88百万円の利益に対し、当連結会計年度は47百万円の損失となりました。
⑫ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の12億12百万円に対し、10億円(82.5%)減益となり、当連結会計年度は2億11百万円となりました
1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の9円76銭に対し、8円5銭減少し、当連結会計年度は1円70銭となりました。
(3) 流動性および資金の源泉
① キャッシュ・フロー
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の減少はあったものの、現金支出を伴わない減価償却費・のれん償却額の増加や、売掛債権流動化の取扱拡大により、前期に比べ30億54百万円増加の111億1百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、複数の物流企業の株式取得、賃貸ビルの修繕および国内外における倉庫施設の取得による支出などから360億19百万円の支出となり、前期に比べ212億10百万円の支出の増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還や配当金の支払による支出があったものの、投資資金の調達のため長短借入金が純増となったことから前期に比べ159億90百万円増の288億26百万円の収入となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末より22億83百万円増の250億円となりました。
② 契約債務
平成28年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
年度別要支払額(百万円)
契約債務合計1年以内1年超2年内2年超3年内3年超4年内4年超5年内5年超
短期借入金7,3957,395-----
長期借入金96,38516,05114,59228,8079,79412,87014,269
社債57,00010,0007,00010,00010,00010,00010,000
リース債務2,2531,0276543051608123

当社グループの第三者に対する保証は、同業者で共同出資している流通センターの銀行借入等に対する債務保証、従業員に対する銀行の住宅ローンに関する債務保証などであります。保証した借入金の債務不履行が保証契約期間に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があります。平成28年3月31日現在、当社グループの債務保証に基づく将来における潜在的な要支払額の合計額は8億85百万円であります。
このほか、一部の物流施設の調達をオペレーティング・リース取引によって行っており、これに関する未経過リース料は141億6百万円(1年内:34億98百万円、1年超:106億7百万円)であります。
③ 財務政策
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または社債及び借入により資金調達することとしております。この内、借入による資金調達に関しましては、運転資金については期限が一年以内の短期借入金で、当社及び関係会社の一部が調達しております。これに対して、倉庫施設などの長期資金は、固定金利の社債及び長期借入金で調達しております。平成28年3月31日現在、長期借入金の残高は963億85百万円であり、無担保普通社債の残高は570億円であります。
当社グループは、その健全な財務状態及び営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力に加え、120億円の実行を確約していない未使用の借入枠もあり、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備資金を調達することが可能と考えております。