有価証券報告書-第30期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/17 16:42
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【項目】
147項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
わが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、企業収益は大幅に減少するなど依然として厳しい状況が続いております。
当社業務区域である沖縄県の経済におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、個人消費や観光産業などで厳しい状況が続いております。
情報通信市場は、通信各社が5Gサービスをスタートさせたことで、あらゆる機器が通信とつながるなど新たな時代に向けての変化が始まる中で、各社から低価格な料金プランが相次いで提供されるなど競争が激化しております。
このような情勢のもと、当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)における当社のグループ会社を含めた経営成績は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
増減増減率
(%)
営業収益68,05174,1916,1409.0
営業費用54,08459,7415,65710.5
営業利益13,96614,4504833.5
経常利益14,07414,5654913.5
親会社株主に帰属する
当期純利益
9,87410,5226486.6

当期における営業収益については、端末販売収入は減少したものの、au でんき売上、海底ケーブル売上の増加やモバイルサービス及びFTTHサービスの顧客基盤が拡大したことから、通信料収入が増加し、前期比6,140百万円増加(9.0%増)の74,191百万円となりました。
営業費用については、端末販売原価が減少したものの、au でんき原価の増加や販売関連コストの増加などにより、前期比5,657百万円増加(10.5%増)の59,741百万円となりました。
これらの結果、営業利益は前期比483百万円増加(3.5%増)の14,450百万円、経常利益は前期比491百万円増加(3.5%増)の14,565百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比648百万円増加(6.6%増)の10,522百万円となりました。
なお、設備投資の状況については、高速データ通信サービスに係る設備及びモバイルサービスにおけるデータトラフィックの増加に伴う通信設備の増設、FTTHサービスに係る設備の拡張などを実施したことにより、設備投資額は5,636百万円となりました。
当社グループは単一のセグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
なお、当社グループにおけるサービス別の実績は、次のとおりであります。
(モバイルサービス)
前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
増減増減率
(%)
純増数17,60013,200△4,400△25.0
総契約数726,900740,10013,2001.8
携帯電話総販売数228,200231,1002,9001.3
総合ARPA(円)7,0457,1841392.0
au通信ARPA(円)6,6056,689841.3
付加価値ARPA(円)4404955512.5

(注)1.純増数、総契約数及び携帯電話総販売数には、データ専用端末、タブレット、通信モジュールサービスの契約数も含まれております。
2.純増数、総契約数及び携帯電話総販売数は百契約未満を四捨五入しており、増減は端数処理後の数値を記載しております。
3.ARPA(Average Revenue Per Account):契約者1人あたりの売上高。MVNO、プリペイド、UQ mobile、povoは除く。
au通信ARPA :モバイル通信料収入 ÷ au契約者数
付加価値ARPA:付加価値ARPA収入(「決済手数料収入 + 自社サービス他収入など」) ÷ au契約者数
当期におけるモバイルサービスの状況につきましては、UQモバイルの契約が好調なことやauのラインナップとサービスの充実、ネットワーク品質の向上など、お客さま重視のサービスに取り組んだ結果、前期と比較して総契約数が13,200契約増加(1.8%増)の740,100契約となりました。
ARPAについては、総合ARPAは前期比139円増加(2.0%増)の7,184円となりました。このうち、au通信ARPAについては、前期比84円増加(1.3%増)の6,689円となりました。付加価値ARPAについては、「auスマートパスプレミアム」やバンドルプランの契約数の増加を主因として、前期比55円増加(12.5%増)の495円となりました。
(FTTHサービス)
前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
増減増減率(%)
純増回線数7,5006,700△800△10.7
累計回線数102,800109,5006,7006.5
ARPU(円)5,0675,101340.7

(注)1.純増回線数及び累計回線数は、auひかりちゅら、auひかりちゅらビジネス及びひかりゆいまーるの合計を記載しております。
2.純増回線数及び累計回線数は百回線未満を四捨五入して表示しており、増減は端数処理後の数値を記載しております。
3.ARPUについては、auひかりちゅらのARPUを記載しております。
4.ARPU(Average Revenue Per Unit):1契約あたりの月間平均収入。
当期におけるFTTHサービスの状況につきましては、純増回線数は前期比800回線減少するも、累計回線数は前期比6,700回線増加(6.5%増)の109,500回線となりました。
(ライフデザインサービス)
前連結会計年度当連結会計年度増減増減率
(%)
(自 2019年4月1日(自 2020年4月1日
至 2020年3月31日)至 2021年3月31日)
純増件数18,50035,60017,10092.4
契約件数18,50054,10035,600192.4

(注)1.純増件数及び契約件数は、au でんきの契約数を記載しております。
2.純増件数及び契約件数は百契約未満を四捨五入して表示しており、増減は端数処理後の数値を記載しております。
当期におけるライフデザインサービスの状況につきましては、純増件数は前期比17,100契約増加(92.4%増)の35,600契約、契約件数は前期比35,600契約増加(192.4%増)の54,100契約となりました。
②財政状態の状況
前連結会計年度
(2020年3月31日)
当連結会計年度
(2021年3月31日)
増減増減率
(%)
資産(百万円)105,673112,1796,5066.2
負債(百万円)16,20617,7961,5909.8
有利子負債(百万円)420308△111△26.6
純資産(百万円)89,46694,3824,9155.5
自己資本比率(%)81.981.2△0.7ポイント-

当連結会計年度末の資産の合計は、前連結会計年度末と比較して6,506百万円増加(6.2%増)の112,179百万円となりました。
当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末と比較して1,590百万円増加(9.8%増)の17,796百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産の合計は、前連結会計年度末と比較して4,915百万円増加(5.5%増)の94,382百万円となりました。
0102010_001.png③キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
増減
営業活動によるキャッシュ・フロー14,87219,0664,194
投資活動によるキャッシュ・フロー△11,815△13,106△1,290
財務活動によるキャッシュ・フロー△3,904△6,235△2,330
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)△847△274572
現金及び現金同等物の期首残高4,2203,372△847
現金及び現金同等物の期末残高3,3723,097△274
フリー・キャッシュ・フロー3,0565,9602,903

(注)フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は3,097百万円となりました。
なお、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは5,960百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益や未払金の増加や割賦売掛金が減少したことなどにより、前連結会計年度と比較して4,194百万円収入が増加し、19,066百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形固定資産の取得による支出が減少したものの関係会社短期貸付金による支出が増加したことなどにより、前連結会計年度と比較して1,290百万円支出が増加し、13,106百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローについては、自己株式の取得による支出や配当金の支払いが増加したことなどにより、前連結会計年度と比較して2,330百万円支出が増加し、6,235百万円の支出となりました。
④仕入及び営業の実績
a.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
品種別当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比
(%)
携帯電話端末機器及び付属品11,24396.8

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.営業実績
当連結会計年度の営業実績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
事業部門当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比
(%)
電気通信事業50,762105.4
附帯事業23,428117.8
合計74,191109.0

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、本稿に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所感などの将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、不確実性を内在、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意ください。
また、新型コロナウイルス感染症拡大によりわが国の企業業績や金融市場に影響が生じております。
当社業績や事業活動へは現時点では過大な影響はございませんが、経済環境、競争状態などの不確実な要因の影響を受け、業績に変動を与える事象が生じた場合には、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えています。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社グループは、特に当社の連結財務諸表の作成において使用される以下の重要な会計方針が、当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.固定資産の耐用年数及び償却方法
固定資産の耐用年数については適正に見積もっております。当連結会計年度末時点では新たに耐用年数及び償却方法の変更が必要な重要な資産はありません。なお、今後、市場、環境及び技術上の変化が急速に進展した場合、あるいは新たな法律や規制が制定された場合には、適正な見積りを実施した上で耐用年数及び償却方法を変更する可能性があります。
b.固定資産の減損
減損損失の算定にあたっては、他の資産又は資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位によって資産のグループ化を行っております。
固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
現時点では、当社グループに重要な含み損を抱える資産等はありませんが、今後、保有する固定資産等の使用状況等によっては、損失が発生する可能性があります。
c.退職給付費用及び退職給付債務
退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、死亡率、退職率、予想昇給率などがあります。割引率は複数の社債利回りを基礎に算出しており、死亡率、退職率、予想昇給率は統計数値に基づいて算出しております。
実際の結果が前提条件と異なる場合、または変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される退職給付費用、退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債に影響を及ぼします。
d.引当金等
引当金については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、4会計方針に関する事項 (3)重要な引当金の計上基準」に記載しております。
当期の連結財務諸表の作成にあたって、新型コロナウイルス感染症による影響は、少なくとも2020年度を通して影響を及ぼすとの仮定を第2四半期連結会計期間において設定しておりましたが、当社を取り巻く事業環境は予断を許さない状況が続いており、今般の状況を踏まえ現時点で入手可能な情報に基づき、少なくとも2021年度を通して影響を及ぼすとの仮定に変更し、会計上の見積りを行っております。なお、当該変更による当連結会計年度の連結財務諸表への影響は軽微であります。
ただし、今後の状況の変化によって判断を見直した結果、当社グループの財政状態及び経営成績において重要
な影響を与える可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
当連結会計年度における営業収益は74,191百万円となり、前期比6,140百万円増加(9.0%増)、営業利益は14,450百万円となり、前期比483百万円の増益(3.5%増)、経常利益は14,565百万円となり、前期比491百万円の増益(3.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,522百万円となり、前期比648百万円(6.6%増)と増収増益となり、過去最高益を更新することができました。
(連結業績推移)
0102010_002.png0102010_003.png
0102010_004.png0102010_005.png

(営業収益)
当連結会計年度における営業収益は74,191百万円となり、前期比6,140百万円増加(9.0%増)となりました。その主な要因は以下のとおりです。
増収要因
・総契約数の増加
当連結会計年度末のモバイルサービスの総契約数は740,100契約となり、前期末比13,200契約増加(1.8%増)となりました。
・総合ARPA(契約者1人あたりの売上高)の増加
総合ARPAは前期比139円増加(2.0%増)の7,184円となりました。このうち、au通信ARPAについては、前期比84円増加(1.3%増)の6,689円となりました。付加価値ARPAについては、「auスマートパスプレミアム」やバンドルプランの契約数の増加を主因として、前期比55円増加(12.5%増)の495円となりました。
・FTTH回線数の増加
ひかりゆいまーるのエリア拡大やリモートワーク需要などを受け、好調に獲得が伸びた結果、当連結会計年度末のFTTH累計回線数は109,500回線となり、前期末比6,700回線増加(6.5%増)となりました。
・auでんき契約件数の増加
契約件数は前期比35,600契約増加(192.4%増)の54,100契約となりました。
(営業費用)
当連結会計年度における営業費用は、端末販売原価が減少したものの、au でんき原価の増加や販売関連コストの増加などにより、前期比5,657百万円増加(10.5%増)の59,741百万円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は14,450百万円となり、前期比483百万円の増益(3.5%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は10,522百万円となり、前期比648百万円の増益(6.6%増)となりました。
b.財政状態の分析
(資産)
資産については、2021年秋竣工予定の沖縄セルラーフォレストビル建設に伴う附帯事業有形固定資産の増加や関係会社短期貸付金が増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して6,506百万円増加(6.2%増)の112,179百万円となりました。
(負債)
負債については、預り金が減少したものの、au でんきの契約数増加に伴う買掛金の増加や、販売関連コスト増加に伴う未払金が増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して1,590百万円増加(9.8%増)の17,796百万円となりました。
(純資産)
純資産については、自己株式の取得や配当金の支払いがあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上によって利益剰余金が増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して4,915百万円増加(5.5%増)の94,382百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は81.2%(前連結会計年度末は81.9%)となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
d.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、携帯端末機器及び付属品の購入費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであり、設備資金等の所要資金は自己資金で賄っております。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、資金調達に関し、低コストかつ安定的な資金の確保を基本に、財務状況や金融環境に応じ、最適と思われる調達手段を選択しております。
なお、当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は308百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,097百万円となりました。これらのいわゆる手元流動性残高につきましては、当社の財政状態及び金融環境に応じ変動しております。