有価証券報告書-第85期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の概況)
当連結会計年度における業績に関しましては、㈱フジテレビジョンにおいて、第3四半期からは回復基調となったものの、第2四半期まで同社の事案の影響を大きく受け、地上波テレビ広告収入が大幅な減収となりました。一方、都市開発・観光事業は、保有・開発物件の売却や大型分譲マンションの販売が好調に推移し、一昨年6月にグランドオープンした神戸須磨シーワールドが通年で業績に寄与したほか、過去最高を更新し続ける旺盛なインバウンド需要を取り込んだ運営ホテルの稼働も順調に推移しました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は、メディア・コンテンツ事業は減収、都市開発・観光事業は増収となり、全体では前年同期比0.2%増収の551,865百万円となりました。
営業損益は、メディア・コンテンツ事業において、上記の減収に加え、㈱ポニーキャニオンのアニメ関連の構造改革を進める中でアニメ制作費用に係る評価損を計上した結果、減益となりました。一方、都市開発・観光事業は増益となりましたが、全体では前年同期から27,059百万円減少し、8,766百万円の損失となりました。経常損益は、受取配当金の増加等がある一方で支払利息の増加もあり、前年同期から27,988百万円減少し、2,807百万円の損失となりました。
特別損益では、特別利益に投資有価証券売却益を計上したほか、特別損失では前期の固定資産の減損損失の大幅な反動減がありました。また、法人税等調整額において、当社及び一部の連結子会社において、業績回復に伴う将来の課税所得の見通し等を踏まえて繰延税金資産を計上した一方、都市開発・観光事業のオフバランスの検討を進めていることに伴い、同事業を構成する連結子会社への投資に係る将来加算一時差異について繰延税金負債16,706百万円を計上しました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期から26,633百万円増加し、6,499百万円となりました。
報告セグメントの業績の状況は以下の通りであります。
(メディア・コンテンツ事業)
㈱フジテレビジョンは、第3四半期以降は広告出稿の再開が続き回復基調となり下期は営業利益を計上したものの、同社の事案の影響による上期の業績の落ち込みが大きく、通期では減収となり前期に続き営業損失を計上しました。
売上高のうち放送・メディア収入は、117,077百万円と前年同期比27.4%の減収となり、同事業の売上総利益は損失となりました。
全国放送を対象とするネットタイムセールスは、上期を中心にレギュラー番組の広告出稿が減少したほか、単発番組において「ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック」の中継があったものの、前期の「パリ2024夏季オリンピック」や「MLBワールドシリーズ2024」等の大型イベントの規模に及ばず、反動減となったことで、売上高は34,366百万円で前年同期比36.5%の減収となりました。
関東地区への放送を対象とするローカルタイムセールスは、6,143百万円で前年同期比34.3%の減収となりました。
スポットセールスは、下期にかけて回復基調となったものの、上期を中心に事案の影響を受けたことにより、業種別で前年を上回ったものは19業種のうち「外食・各種サービス」「流通・小売業」「不動産・住宅設備」「情報・通信・放送」の4業種となりました。その結果、売上高は43,543百万円で前年同期比27.8%の減収となりました。
また、民放公式テレビポータル「TVer」などを通じた配信広告セールスにおいても事案の影響による予約型広告の苦戦から、配信広告収入は前年同期比38.0%の減収となる5,212百万円となりました。
一方、コンテンツ・ビジネス収入では、FOD課金収入が好調なデジタル事業収入及び「爆弾」等のヒット作による劇場収入に加え人気作品の二次利用権販売が寄与した映画事業収入が増収となり、前期の社屋イベントの反動減によるMD事業収入と催物事業収入の減収をカバーしました。その結果、同事業の売上高は56,623百万円で前年同期比7.0%の増収となり、売上総利益は増益となりました。
以上により、㈱フジテレビジョン全体の売上高は、前年同期比18.9%減収の173,701百万円となり、利益面では放送・メディアの減益が大きく、前年同期から18,486百万円減少し32,515百万円の営業損失となりました。
㈱ビーエスフジは、タイム収入、スポット収入ともに減少し放送事業は減収となりました。イベント事業についても前期に実施したイベントの反動減により減収となり、全体として減収減益となりました。
㈱ニッポン放送は、タイム収入が好調で放送事業が増収となりましたが、前期に計上された大型イベントの反動減により減収減益となりました。
㈱ポニーキャニオンは、音楽パッケージが前期の規模に及ばず、アニメのヒット作品数減少により配信が減収となったほか、イベント規模も前期に及ばず売上高は減収となりました。利益面ではアニメ関連の出資金償却の増加及びアニメ関連の構造改革を進める中でアニメ制作費用に係る評価損を計上したこともあり、営業損失を計上しました。
㈱フジパシフィックミュージックは、主力の著作権使用料収入が堅調に推移したことに加え、原盤使用料収入やマネージメント収入も伸長し、増収増益となりました。
㈱dinos(㈱DINOS CORPORATIONから2025年7月1日付にて商号変更)は、テレビ通販の深夜帯や特番の売上が好調に推移しましたが、カタログ通販の家具収納・リビング・美容健康・ファッション等の商材が振るわず、全体として減収となりました。利益面では、カタログ発行の効率化等による徹底した費用構造の改革を進め、増益となりました。
㈱クオラスは、テレビの広告取扱い、マーケティング及びプロモーション事業やイベント関連の収入が好調で増収増益となりました。
以上のとおり、メディア・コンテンツ事業は上期を中心に事案の影響を受けた㈱フジテレビジョンの減収減益が響き、全体の売上高は前年同期比13.2%減収の350,889百万円となり、利益面では前年同期から26,750百万円赤字幅が拡大し、30,835百万円のセグメント損失となりました。
中核子会社である㈱フジテレビジョンの経営成績等の推移は以下の通りです。
㈱フジテレビジョン (単位:百万円、%表示は対前年同期増減率)
(都市開発・観光事業)
㈱サンケイビルは、オフィスビル、ホテル、賃貸レジデンスの賃料収入が引き続き好調に推移したことや、保有・開発物件の売却及び大型分譲マンション販売の規模が前期を上回ったことにより、増収増益となりました。
㈱グランビスタ ホテル&リゾートは、一昨年6月にグランドオープンした神戸須磨シーワールドが通年で業績に寄与したほか、旺盛なインバウンド需要もあり、インターゲートホテルシリーズをはじめとした運営ホテルの稼働も引き続き好調に推移し増収となりました。一方、利益面では、食材など各種原価の高騰や人件費の増加があり減益となりました。
以上の結果、都市開発・観光事業全体の売上高は、前年同期比37.2%増収の193,495百万円となり、セグメント利益は同2.8%増益の25,185百万円となりました。
(その他事業)
その他事業全体の売上高は前年同期比33.0%増収の26,681百万円となり、セグメント利益は同62.5%増益の1,424百万円となりました。
持分法適用会社では、伊藤忠・フジ・パートナーズ㈱、日本映画放送㈱、㈱WOWOWなどが持分法による投資利益に貢献しました。
(財政状態の概況)
当期末の総資産は1,464,728百万円となり、前期末比24,431百万円(1.7%)増加しました。
流動資産は390,667百万円で、前期末比7,924百万円(2.0%)減少しました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が28,813百万円、棚卸資産が6,784百万円それぞれ増加した一方で、有価証券が41,439百万円減少したこと等によります。
固定資産は1,074,060百万円で、前期末比32,356百万円(3.1%)増加しました。これは主に、投資有価証券が42,594百万円減少した一方で、土地が44,112百万円、建物及び構築物が15,944百万円、退職給付に係る資産が8,065百万円それぞれ増加したこと等によります。
負債は903,260百万円で、前期末比292,987百万円(48.0%)増加しました。
流動負債は423,652百万円で、前期末比236,712百万円(126.6%)増加しました。これは主に、短期借入金が208,372百万円、未払法人税等が11,861百万円、「その他」に含まれる未払金が9,055百万円それぞれ増加したこと等によります。
固定負債は479,608百万円で、前期末比56,274百万円(13.3%)増加しました。これは主に、退職給付に係る負債が1,642百万円減少した一方で、長期借入金が53,866百万円、繰延税金負債が2,235百万円、社債が2,000百万円それぞれ増加したこと等によります。
純資産は561,467百万円で、前期末比268,555百万円(32.4%)減少しました。これは主に、自己株式を249,045百万円取得した一方で、208,044百万円消却したことにより、自己株式は全体として40,891百万円増加したことに加え、資本剰余金が自己株式の消却等により139,991百万円、その他有価証券評価差額金が22,036百万円それぞれ減少したこと等によります。また、利益剰余金は、親会社株主に帰属する当期純利益6,499百万円を計上した一方で、資本剰余金の負の残高の振替により67,968百万円、剰余金の配当により10,522百万円それぞれ減少したことから、全体として71,926百万円減少しました。
②キャッシュ・フローの状況
当期における各キャッシュ・フローの状況は以下の通りであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期の58,449百万円の収入から当期は341百万円の支出となり、前期比58,790百万円の支出増加となりました。これは、税金等調整前当期純利益が40,028百万円の増加、「その他」の中に含まれる未払金の増減額が7,043百万円、未払費用の増減額が6,024百万円それぞれ支出減少となった一方で、売上債権の増減額が54,105百万円の収入減少、投資有価証券売却益が42,981百万円の増加、減損損失が25,173百万円の減少、棚卸資産の増減額が3,811百万円の収入減少となったこと等によります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期の37,492百万円の支出から当期は117百万円の収入となり、前期比37,610百万円の収入増加となりました。これは、有価証券の売却及び償還による収入が122,052百万円減少し、有形固定資産の取得による支出が37,076百万円増加した一方で、有価証券の取得による支出が140,163百万円減少し、投資有価証券の売却及び償還による収入が48,703百万円増加したこと等によります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、5,641百万円の収入となり、前期比3,178百万円(129.0%)の収入増加となりました。これは、自己株式の取得による支出が234,162百万円、長期借入金の返済による支出が31,912百万円それぞれ増加した一方で、短期借入金の純増減額が227,655百万円の収入増加となり、長期借入れによる収入が37,100百万円、社債の発行による収入が2,000百万円それぞれ増加したこと等によります。
上記の結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、128,936百万円となり、前期末に比べ5,823百万円(4.7%)の増加となりました。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注) 1.自己資本比率:自己資本/総資産
2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
※ 2026年3月期は、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオを記載しておりません。
③生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
該当事項はありません。
(b) 受注実績
該当事項はありません。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(注) ㈱博報堂と㈱博報堂DYメディアパートナーズは2025年4月1日をもって経営統合し、㈱博報堂となっております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。
当連結会計年度においては、子会社㈱フジテレビジョンで発生した事案の影響により、上期を中心に地上波テレビ広告収入が大幅に減少したことが連結全体の収益性に大きな影響を与えました。都市開発・観光事業では大幅な増収を記録したものの、メディア・コンテンツ事業での地上波テレビ広告収入減、ならびに㈱ポニーキャニオンにおけるアニメ関連事業の構造改革に伴う評価損の計上等による利益の減少が大きく、連結全体では8,766百万円の営業損失を計上しました。
計画対比では、メディア・コンテンツ事業において、当初想定していた地上波テレビ広告収入の回復が上期には十分に進まず、第3四半期以降は広告出稿の再開が続き回復基調となったものの、通期で期初計画を下回る結果となりました。一方、都市開発・観光事業は保有・開発物件の売却や大型分譲マンション販売の順調な進捗、ならびに旺盛なインバウンド需要を背景とする観光事業の好調を受け、当初計画を上回る水準で推移しました。連結業績では、メディア・コンテンツ事業の営業損失の影響が大きく、期初計画を下回る結果となりました。
当社では、事案の影響による経営状況の悪化を受けて、昨年5月以降段階的に「改革アクションプラン」を公表し、人権尊重を最優先に、人的資本経営の推進とガバナンス改革を実行することで、経営体制の抜本的な見直しを進めてまいりました。さらに本年5月には、「改革アクションプラン」の内容を大幅に更新した「Group Vision 2026-2030 Ver.1.0」を公表し、早期の収益性回復を図るとともに、グループの新たな成長戦略に基づく事業改革を進めております。
また、資本政策に関しては、「自己資本水準の適正化」「成長投資の強化」「株主還元の拡充」を一体的に推進する方針のもと、当連結会計年度では約494億円の政策保有株式売却を実施しました。今後は2027年度末までに累計1,000億円超を売却し、その後もさらなる縮減を目指してまいります。
(セグメント区分別の分析)
(メディア・コンテンツ事業)
メディア・コンテンツ事業の経営成績等の状況に関する認識については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。
当連結会計年度においては、㈱フジテレビジョンにおける事案の影響を受け、上期を中心に地上波テレビ広告収入が大幅に減少したことから、セグメント全体としては減収減益となりました。第3四半期以降は広告出稿に回復の兆しが見られたものの、通期では営業損失を計上する結果となっております。
一方で、配信プラットフォーム「FOD」における課金収入や、映画事業におけるヒット作品、海外番販や二次利用権販売等のコンテンツ・ビジネスは堅調に推移しており、当社が中長期的な成長領域と位置付けている「IP・コンテンツを核としたビジネス」は着実に拡大しております。
今後は、「Group Vision 2026-2030 Ver.1.0」に基づき、地上波テレビ広告収入を主たる収益源とする従来の事業構造から、IP・コンテンツを起点に、IP創出から育成、多角展開までを一気通貫で実現させる事業体制への本格的な転換を進めてまいります。地上波放送については、IP育成・拡張の中核エンジンとして再定義し、収益力と効率性の向上を目指します。
(都市開発・観光事業)
都市開発・観光事業の経営成績等の状況に関する認識については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。
当連結会計年度においては、㈱サンケイビルにおける不動産賃貸収入が引き続き堅調に推移したほか、保有・開発物件の売却や大型分譲マンション販売の進捗が業績に寄与しました。また、㈱グランビスタホテル&リゾートでは、神戸須磨シーワールドの通年での寄与に加え、旺盛なインバウンド需要を取り込み、運営ホテルの稼働も高水準で推移したことから、売上高は大幅に増加しました。原材料価格や人件費の上昇などにより一部コスト増加要因はあったものの、セグメント全体では安定した利益水準を維持しました。
都市開発・観光事業については、本年2月に公表した通り、当社グループにおける各事業の持続的成長と資本効率の向上を両立させる観点から、外部資本の導入およびオフバランス化の検討を進めております。本事業は、安定的な営業キャッシュ・フロー創出力を有する一方で、資産規模が大きく、連結全体での自己資本を押し上げる要因となっていることから、資本構成を適切に見直すことが中長期的な企業価値向上につながると判断しております。外部資本導入の具体的な手法、時期および規模等については現時点で未確定ですが、当社グループ全体のキャピタルアロケーションを最適化する観点から、慎重に検討を進めてまいります。
(その他事業)
その他事業の経営成績等の状況に関する認識等については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。
② 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
(財務戦略の基本的な考え方)
当社グループは、グループ各社の持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指すため、健全な財務体質と資本効率の向上を両立させながら、成長分野への投資を推進し、株主還元の充実を図っていくことを財務戦略の基本方針としています。
メディア・コンテンツ事業の中核をなす㈱フジテレビジョンは、事業上のリスクにより大幅な収入減が長期間生じた際にも、社会的なインフラとして放送を継続する役割を担っており、それを可能とする強固な財務体質と十分な手元流動性の確保が必要です。前期に発生した一連の事案を受けて、㈱フジテレビジョンの放送収入は減収となりましたが、当社における政策保有株式の売却が寄与し、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は連結で128,936百万円と十分な手元流動性を確保しており、日々の資金繰り管理によるモニタリング強化を図っております。都市開発・観光事業では、様々なアセットタイプへの戦略投資のほか、国内旅行やインバウンド需要が旺盛な観光需要をさらに取り込むための成長投資資金の確保が必要になると考えております。
自己資本比率、有利子負債残高、ROE等の指標を注視して、一定の財務健全性を確保しながら資本効率を高め、グループ全体の企業価値向上に努めてまいります。
(資金需要の内容)
当社グループの資金需要は、営業活動に関わる支出として、放映権の取得費用、番組制作およびIP開発のための人件費、外注費、著作権等の使用料、通信販売商品の仕入、新規不動産の取得ならびに開発費、既存ビルの設備改修ほか、販売費及び一般管理費(代理店手数料、宣伝広告費、人件費等)があります。
また投資活動に関わる支出として、コンテンツ制作力の増強を図るための放送用設備・機器等の設備投資、次世代映像制作技術・ツール等のAI・DX投資、メディア戦略強化のための投資資金、グループの資本政策に伴う株式の取得資金等があります。
(資金調達)
当社グループの事業活動を維持し拡大していくためには資金の安定的な確保が求められますが、そのために内部資金を中心に、中長期的な財務の健全性、最適な資本構成や資本コストを意識しながら外部資金も有効に活用しております。直近では2026年2月に自己株式の取得資金として金融機関から230,000百万円の短期資金を調達しました。また、2023年12月には20,000百万円の社債を発行し、長期安定資金を調達しました。更に機動的な資金調達を可能にするために50,000百万円の社債発行登録枠を確保、維持することで今後の資金調達に効果的に活用して参ります。
都市開発・観光事業では建物及び土地の調達にあたり、一定の財務規律の下、金融機関からの借入を活用しています。また、環境問題への取り組みとして、借入条件がCARBON HALF(2030年度までに2013年度比でScope1・2のCO2総排出量50%削減)中間目標の達成状況と連動したサステナビリティ・リンク・ローンによる借入を実行しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループにおいて、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えている会計上の見積りに係る項目は、以下の通りであります。
なお、会計上の見積りに係る項目のうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響に重要性があると判断しているアニメ制作に係る流動資産のその他(前払費用)の評価及び棚卸資産の評価につきましては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に算出方法や主要な仮定等の詳細を記載しております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の検討にあたり、課税主体ごとに将来の課税所得を合理的に見積もり、回収可能性がないと判断した部分については評価性引当額を計上しております。将来の課税所得の見積りは、当連結会計年度末時点で予測可能な合理的な将来課税所得見込額とタックスプランニングに基づいておりますが、今後の業績の変動により見積りと実績が乖離する可能性があります。この場合、繰延税金資産の取崩等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことが考えられます。
(退職給付に係る資産及び負債)
当社及び一部の連結子会社では確定給付型の退職金制度を採用しており、退職給付債務算定において原則法を採用しています。退職給付債務算定における数理計算は、割引率、退職率、死亡率、予想昇給率などの計算基礎に基づいており、割引率は安全性の高い債券の利回りを基礎として決定しております。また、年金資産の長期期待運用収益率は、年金資産が退職給付の支払に充てられるまでの時期、保有している年金資産のポートフォリオ、過去の運用実績、運用方針及び市場の動向等を考慮して決定しております。これらの前提条件の見積りと実績の差異は、数理計算上の差異として計上され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことが考えられます。
(固定資産の減損)
固定資産の減損損失計上の検討において、都市開発・観光事業においては原則として個別の物件ごとに、または管理会計上の事業所区分別にグルーピングを行っております。回収可能価額の算定にあたり、当連結会計年度末時点で予測可能な合理的な将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等を見積もっておりますが、今後の業績や事業環境の変動により見積りと実績が乖離する可能性があります。この場合、追加の減損損失計上が必要になるなど、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことが考えられます。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の概況)
当連結会計年度における業績に関しましては、㈱フジテレビジョンにおいて、第3四半期からは回復基調となったものの、第2四半期まで同社の事案の影響を大きく受け、地上波テレビ広告収入が大幅な減収となりました。一方、都市開発・観光事業は、保有・開発物件の売却や大型分譲マンションの販売が好調に推移し、一昨年6月にグランドオープンした神戸須磨シーワールドが通年で業績に寄与したほか、過去最高を更新し続ける旺盛なインバウンド需要を取り込んだ運営ホテルの稼働も順調に推移しました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は、メディア・コンテンツ事業は減収、都市開発・観光事業は増収となり、全体では前年同期比0.2%増収の551,865百万円となりました。
営業損益は、メディア・コンテンツ事業において、上記の減収に加え、㈱ポニーキャニオンのアニメ関連の構造改革を進める中でアニメ制作費用に係る評価損を計上した結果、減益となりました。一方、都市開発・観光事業は増益となりましたが、全体では前年同期から27,059百万円減少し、8,766百万円の損失となりました。経常損益は、受取配当金の増加等がある一方で支払利息の増加もあり、前年同期から27,988百万円減少し、2,807百万円の損失となりました。
特別損益では、特別利益に投資有価証券売却益を計上したほか、特別損失では前期の固定資産の減損損失の大幅な反動減がありました。また、法人税等調整額において、当社及び一部の連結子会社において、業績回復に伴う将来の課税所得の見通し等を踏まえて繰延税金資産を計上した一方、都市開発・観光事業のオフバランスの検討を進めていることに伴い、同事業を構成する連結子会社への投資に係る将来加算一時差異について繰延税金負債16,706百万円を計上しました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期から26,633百万円増加し、6,499百万円となりました。
報告セグメントの業績の状況は以下の通りであります。
| 売 上 高 | セグメント利益又は損失(△) | |||||
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |
| (百万円) | (百万円) | (%) | (百万円) | (百万円) | (%) | |
| メディア・ コンテンツ事業 | 404,376 | 350,889 | △13.2 | △4,085 | △30,835 | - |
| 都市開発・観光事業 | 140,990 | 193,495 | 37.2 | 24,490 | 25,185 | 2.8 |
| その他事業 | 20,057 | 26,681 | 33.0 | 876 | 1,424 | 62.5 |
| 調整額 | △14,661 | △19,200 | - | △2,989 | △4,540 | - |
| 合 計 | 550,761 | 551,865 | 0.2 | 18,293 | △8,766 | - |
(メディア・コンテンツ事業)
㈱フジテレビジョンは、第3四半期以降は広告出稿の再開が続き回復基調となり下期は営業利益を計上したものの、同社の事案の影響による上期の業績の落ち込みが大きく、通期では減収となり前期に続き営業損失を計上しました。
売上高のうち放送・メディア収入は、117,077百万円と前年同期比27.4%の減収となり、同事業の売上総利益は損失となりました。
全国放送を対象とするネットタイムセールスは、上期を中心にレギュラー番組の広告出稿が減少したほか、単発番組において「ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック」の中継があったものの、前期の「パリ2024夏季オリンピック」や「MLBワールドシリーズ2024」等の大型イベントの規模に及ばず、反動減となったことで、売上高は34,366百万円で前年同期比36.5%の減収となりました。
関東地区への放送を対象とするローカルタイムセールスは、6,143百万円で前年同期比34.3%の減収となりました。
スポットセールスは、下期にかけて回復基調となったものの、上期を中心に事案の影響を受けたことにより、業種別で前年を上回ったものは19業種のうち「外食・各種サービス」「流通・小売業」「不動産・住宅設備」「情報・通信・放送」の4業種となりました。その結果、売上高は43,543百万円で前年同期比27.8%の減収となりました。
また、民放公式テレビポータル「TVer」などを通じた配信広告セールスにおいても事案の影響による予約型広告の苦戦から、配信広告収入は前年同期比38.0%の減収となる5,212百万円となりました。
一方、コンテンツ・ビジネス収入では、FOD課金収入が好調なデジタル事業収入及び「爆弾」等のヒット作による劇場収入に加え人気作品の二次利用権販売が寄与した映画事業収入が増収となり、前期の社屋イベントの反動減によるMD事業収入と催物事業収入の減収をカバーしました。その結果、同事業の売上高は56,623百万円で前年同期比7.0%の増収となり、売上総利益は増益となりました。
以上により、㈱フジテレビジョン全体の売上高は、前年同期比18.9%減収の173,701百万円となり、利益面では放送・メディアの減益が大きく、前年同期から18,486百万円減少し32,515百万円の営業損失となりました。
㈱ビーエスフジは、タイム収入、スポット収入ともに減少し放送事業は減収となりました。イベント事業についても前期に実施したイベントの反動減により減収となり、全体として減収減益となりました。
㈱ニッポン放送は、タイム収入が好調で放送事業が増収となりましたが、前期に計上された大型イベントの反動減により減収減益となりました。
㈱ポニーキャニオンは、音楽パッケージが前期の規模に及ばず、アニメのヒット作品数減少により配信が減収となったほか、イベント規模も前期に及ばず売上高は減収となりました。利益面ではアニメ関連の出資金償却の増加及びアニメ関連の構造改革を進める中でアニメ制作費用に係る評価損を計上したこともあり、営業損失を計上しました。
㈱フジパシフィックミュージックは、主力の著作権使用料収入が堅調に推移したことに加え、原盤使用料収入やマネージメント収入も伸長し、増収増益となりました。
㈱dinos(㈱DINOS CORPORATIONから2025年7月1日付にて商号変更)は、テレビ通販の深夜帯や特番の売上が好調に推移しましたが、カタログ通販の家具収納・リビング・美容健康・ファッション等の商材が振るわず、全体として減収となりました。利益面では、カタログ発行の効率化等による徹底した費用構造の改革を進め、増益となりました。
㈱クオラスは、テレビの広告取扱い、マーケティング及びプロモーション事業やイベント関連の収入が好調で増収増益となりました。
以上のとおり、メディア・コンテンツ事業は上期を中心に事案の影響を受けた㈱フジテレビジョンの減収減益が響き、全体の売上高は前年同期比13.2%減収の350,889百万円となり、利益面では前年同期から26,750百万円赤字幅が拡大し、30,835百万円のセグメント損失となりました。
中核子会社である㈱フジテレビジョンの経営成績等の推移は以下の通りです。
㈱フジテレビジョン (単位:百万円、%表示は対前年同期増減率)
| 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | ||||
| 売上高 | 238,219 | 0.3% | 214,186 | △10.1% | 173,701 | △18.9% |
| 放送収入 | 147,348 | △8.1% | 123,750 | △16.0% | 84,053 | △32.1% |
| ネットタイム | 63,551 | △8.2% | 54,117 | △14.8% | 34,366 | △36.5% |
| ローカルタイム | 10,135 | △4.6% | 9,353 | △7.7% | 6,143 | △34.3% |
| スポット | 73,662 | △8.5% | 60,280 | △18.2% | 43,543 | △27.8% |
| 営業利益又は営業損失(△) | 5,433 | △29.2% | △14,029 | - | △32,515 | - |
(都市開発・観光事業)
㈱サンケイビルは、オフィスビル、ホテル、賃貸レジデンスの賃料収入が引き続き好調に推移したことや、保有・開発物件の売却及び大型分譲マンション販売の規模が前期を上回ったことにより、増収増益となりました。
㈱グランビスタ ホテル&リゾートは、一昨年6月にグランドオープンした神戸須磨シーワールドが通年で業績に寄与したほか、旺盛なインバウンド需要もあり、インターゲートホテルシリーズをはじめとした運営ホテルの稼働も引き続き好調に推移し増収となりました。一方、利益面では、食材など各種原価の高騰や人件費の増加があり減益となりました。
以上の結果、都市開発・観光事業全体の売上高は、前年同期比37.2%増収の193,495百万円となり、セグメント利益は同2.8%増益の25,185百万円となりました。
(その他事業)
その他事業全体の売上高は前年同期比33.0%増収の26,681百万円となり、セグメント利益は同62.5%増益の1,424百万円となりました。
持分法適用会社では、伊藤忠・フジ・パートナーズ㈱、日本映画放送㈱、㈱WOWOWなどが持分法による投資利益に貢献しました。
(財政状態の概況)
当期末の総資産は1,464,728百万円となり、前期末比24,431百万円(1.7%)増加しました。
流動資産は390,667百万円で、前期末比7,924百万円(2.0%)減少しました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が28,813百万円、棚卸資産が6,784百万円それぞれ増加した一方で、有価証券が41,439百万円減少したこと等によります。
固定資産は1,074,060百万円で、前期末比32,356百万円(3.1%)増加しました。これは主に、投資有価証券が42,594百万円減少した一方で、土地が44,112百万円、建物及び構築物が15,944百万円、退職給付に係る資産が8,065百万円それぞれ増加したこと等によります。
負債は903,260百万円で、前期末比292,987百万円(48.0%)増加しました。
流動負債は423,652百万円で、前期末比236,712百万円(126.6%)増加しました。これは主に、短期借入金が208,372百万円、未払法人税等が11,861百万円、「その他」に含まれる未払金が9,055百万円それぞれ増加したこと等によります。
固定負債は479,608百万円で、前期末比56,274百万円(13.3%)増加しました。これは主に、退職給付に係る負債が1,642百万円減少した一方で、長期借入金が53,866百万円、繰延税金負債が2,235百万円、社債が2,000百万円それぞれ増加したこと等によります。
純資産は561,467百万円で、前期末比268,555百万円(32.4%)減少しました。これは主に、自己株式を249,045百万円取得した一方で、208,044百万円消却したことにより、自己株式は全体として40,891百万円増加したことに加え、資本剰余金が自己株式の消却等により139,991百万円、その他有価証券評価差額金が22,036百万円それぞれ減少したこと等によります。また、利益剰余金は、親会社株主に帰属する当期純利益6,499百万円を計上した一方で、資本剰余金の負の残高の振替により67,968百万円、剰余金の配当により10,522百万円それぞれ減少したことから、全体として71,926百万円減少しました。
②キャッシュ・フローの状況
当期における各キャッシュ・フローの状況は以下の通りであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期の58,449百万円の収入から当期は341百万円の支出となり、前期比58,790百万円の支出増加となりました。これは、税金等調整前当期純利益が40,028百万円の増加、「その他」の中に含まれる未払金の増減額が7,043百万円、未払費用の増減額が6,024百万円それぞれ支出減少となった一方で、売上債権の増減額が54,105百万円の収入減少、投資有価証券売却益が42,981百万円の増加、減損損失が25,173百万円の減少、棚卸資産の増減額が3,811百万円の収入減少となったこと等によります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期の37,492百万円の支出から当期は117百万円の収入となり、前期比37,610百万円の収入増加となりました。これは、有価証券の売却及び償還による収入が122,052百万円減少し、有形固定資産の取得による支出が37,076百万円増加した一方で、有価証券の取得による支出が140,163百万円減少し、投資有価証券の売却及び償還による収入が48,703百万円増加したこと等によります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、5,641百万円の収入となり、前期比3,178百万円(129.0%)の収入増加となりました。これは、自己株式の取得による支出が234,162百万円、長期借入金の返済による支出が31,912百万円それぞれ増加した一方で、短期借入金の純増減額が227,655百万円の収入増加となり、長期借入れによる収入が37,100百万円、社債の発行による収入が2,000百万円それぞれ増加したこと等によります。
上記の結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、128,936百万円となり、前期末に比べ5,823百万円(4.7%)の増加となりました。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
| 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 59.7 | 60.6 | 59.2 | 56.8 | 37.3 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 19.5 | 19.2 | 29.6 | 36.8 | 38.9 |
| キャッシュ・フロー対有利子 負債比率(年) | 5.1 | 4.5 | 6.8 | 6.1 | - |
| インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍) | 35.8 | 43.8 | 27.3 | 22.2 | - |
(注) 1.自己資本比率:自己資本/総資産
2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
※ 2026年3月期は、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオを記載しておりません。
③生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
該当事項はありません。
(b) 受注実績
該当事項はありません。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| メディア・コンテンツ事業 | 350,889 | △13.2 |
| 都市開発・観光事業 | 193,495 | 37.2 |
| その他事業 | 26,681 | 33.0 |
| 調整額 | △19,200 | - |
| 計 | 551,865 | 0.2 |
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
| ㈱電通 | 68,805 | 12.5 | 45,251 | 8.2 |
| ㈱博報堂 | 41,132 | 7.5 | 26,470 | 4.8 |
(注) ㈱博報堂と㈱博報堂DYメディアパートナーズは2025年4月1日をもって経営統合し、㈱博報堂となっております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。
当連結会計年度においては、子会社㈱フジテレビジョンで発生した事案の影響により、上期を中心に地上波テレビ広告収入が大幅に減少したことが連結全体の収益性に大きな影響を与えました。都市開発・観光事業では大幅な増収を記録したものの、メディア・コンテンツ事業での地上波テレビ広告収入減、ならびに㈱ポニーキャニオンにおけるアニメ関連事業の構造改革に伴う評価損の計上等による利益の減少が大きく、連結全体では8,766百万円の営業損失を計上しました。
計画対比では、メディア・コンテンツ事業において、当初想定していた地上波テレビ広告収入の回復が上期には十分に進まず、第3四半期以降は広告出稿の再開が続き回復基調となったものの、通期で期初計画を下回る結果となりました。一方、都市開発・観光事業は保有・開発物件の売却や大型分譲マンション販売の順調な進捗、ならびに旺盛なインバウンド需要を背景とする観光事業の好調を受け、当初計画を上回る水準で推移しました。連結業績では、メディア・コンテンツ事業の営業損失の影響が大きく、期初計画を下回る結果となりました。
当社では、事案の影響による経営状況の悪化を受けて、昨年5月以降段階的に「改革アクションプラン」を公表し、人権尊重を最優先に、人的資本経営の推進とガバナンス改革を実行することで、経営体制の抜本的な見直しを進めてまいりました。さらに本年5月には、「改革アクションプラン」の内容を大幅に更新した「Group Vision 2026-2030 Ver.1.0」を公表し、早期の収益性回復を図るとともに、グループの新たな成長戦略に基づく事業改革を進めております。
また、資本政策に関しては、「自己資本水準の適正化」「成長投資の強化」「株主還元の拡充」を一体的に推進する方針のもと、当連結会計年度では約494億円の政策保有株式売却を実施しました。今後は2027年度末までに累計1,000億円超を売却し、その後もさらなる縮減を目指してまいります。
(セグメント区分別の分析)
(メディア・コンテンツ事業)
メディア・コンテンツ事業の経営成績等の状況に関する認識については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。
当連結会計年度においては、㈱フジテレビジョンにおける事案の影響を受け、上期を中心に地上波テレビ広告収入が大幅に減少したことから、セグメント全体としては減収減益となりました。第3四半期以降は広告出稿に回復の兆しが見られたものの、通期では営業損失を計上する結果となっております。
一方で、配信プラットフォーム「FOD」における課金収入や、映画事業におけるヒット作品、海外番販や二次利用権販売等のコンテンツ・ビジネスは堅調に推移しており、当社が中長期的な成長領域と位置付けている「IP・コンテンツを核としたビジネス」は着実に拡大しております。
今後は、「Group Vision 2026-2030 Ver.1.0」に基づき、地上波テレビ広告収入を主たる収益源とする従来の事業構造から、IP・コンテンツを起点に、IP創出から育成、多角展開までを一気通貫で実現させる事業体制への本格的な転換を進めてまいります。地上波放送については、IP育成・拡張の中核エンジンとして再定義し、収益力と効率性の向上を目指します。
(都市開発・観光事業)
都市開発・観光事業の経営成績等の状況に関する認識については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。
当連結会計年度においては、㈱サンケイビルにおける不動産賃貸収入が引き続き堅調に推移したほか、保有・開発物件の売却や大型分譲マンション販売の進捗が業績に寄与しました。また、㈱グランビスタホテル&リゾートでは、神戸須磨シーワールドの通年での寄与に加え、旺盛なインバウンド需要を取り込み、運営ホテルの稼働も高水準で推移したことから、売上高は大幅に増加しました。原材料価格や人件費の上昇などにより一部コスト増加要因はあったものの、セグメント全体では安定した利益水準を維持しました。
都市開発・観光事業については、本年2月に公表した通り、当社グループにおける各事業の持続的成長と資本効率の向上を両立させる観点から、外部資本の導入およびオフバランス化の検討を進めております。本事業は、安定的な営業キャッシュ・フロー創出力を有する一方で、資産規模が大きく、連結全体での自己資本を押し上げる要因となっていることから、資本構成を適切に見直すことが中長期的な企業価値向上につながると判断しております。外部資本導入の具体的な手法、時期および規模等については現時点で未確定ですが、当社グループ全体のキャピタルアロケーションを最適化する観点から、慎重に検討を進めてまいります。
(その他事業)
その他事業の経営成績等の状況に関する認識等については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。
② 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
(財務戦略の基本的な考え方)
当社グループは、グループ各社の持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指すため、健全な財務体質と資本効率の向上を両立させながら、成長分野への投資を推進し、株主還元の充実を図っていくことを財務戦略の基本方針としています。
メディア・コンテンツ事業の中核をなす㈱フジテレビジョンは、事業上のリスクにより大幅な収入減が長期間生じた際にも、社会的なインフラとして放送を継続する役割を担っており、それを可能とする強固な財務体質と十分な手元流動性の確保が必要です。前期に発生した一連の事案を受けて、㈱フジテレビジョンの放送収入は減収となりましたが、当社における政策保有株式の売却が寄与し、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は連結で128,936百万円と十分な手元流動性を確保しており、日々の資金繰り管理によるモニタリング強化を図っております。都市開発・観光事業では、様々なアセットタイプへの戦略投資のほか、国内旅行やインバウンド需要が旺盛な観光需要をさらに取り込むための成長投資資金の確保が必要になると考えております。
自己資本比率、有利子負債残高、ROE等の指標を注視して、一定の財務健全性を確保しながら資本効率を高め、グループ全体の企業価値向上に努めてまいります。
(資金需要の内容)
当社グループの資金需要は、営業活動に関わる支出として、放映権の取得費用、番組制作およびIP開発のための人件費、外注費、著作権等の使用料、通信販売商品の仕入、新規不動産の取得ならびに開発費、既存ビルの設備改修ほか、販売費及び一般管理費(代理店手数料、宣伝広告費、人件費等)があります。
また投資活動に関わる支出として、コンテンツ制作力の増強を図るための放送用設備・機器等の設備投資、次世代映像制作技術・ツール等のAI・DX投資、メディア戦略強化のための投資資金、グループの資本政策に伴う株式の取得資金等があります。
(資金調達)
当社グループの事業活動を維持し拡大していくためには資金の安定的な確保が求められますが、そのために内部資金を中心に、中長期的な財務の健全性、最適な資本構成や資本コストを意識しながら外部資金も有効に活用しております。直近では2026年2月に自己株式の取得資金として金融機関から230,000百万円の短期資金を調達しました。また、2023年12月には20,000百万円の社債を発行し、長期安定資金を調達しました。更に機動的な資金調達を可能にするために50,000百万円の社債発行登録枠を確保、維持することで今後の資金調達に効果的に活用して参ります。
都市開発・観光事業では建物及び土地の調達にあたり、一定の財務規律の下、金融機関からの借入を活用しています。また、環境問題への取り組みとして、借入条件がCARBON HALF(2030年度までに2013年度比でScope1・2のCO2総排出量50%削減)中間目標の達成状況と連動したサステナビリティ・リンク・ローンによる借入を実行しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループにおいて、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えている会計上の見積りに係る項目は、以下の通りであります。
なお、会計上の見積りに係る項目のうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響に重要性があると判断しているアニメ制作に係る流動資産のその他(前払費用)の評価及び棚卸資産の評価につきましては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に算出方法や主要な仮定等の詳細を記載しております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の検討にあたり、課税主体ごとに将来の課税所得を合理的に見積もり、回収可能性がないと判断した部分については評価性引当額を計上しております。将来の課税所得の見積りは、当連結会計年度末時点で予測可能な合理的な将来課税所得見込額とタックスプランニングに基づいておりますが、今後の業績の変動により見積りと実績が乖離する可能性があります。この場合、繰延税金資産の取崩等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことが考えられます。
(退職給付に係る資産及び負債)
当社及び一部の連結子会社では確定給付型の退職金制度を採用しており、退職給付債務算定において原則法を採用しています。退職給付債務算定における数理計算は、割引率、退職率、死亡率、予想昇給率などの計算基礎に基づいており、割引率は安全性の高い債券の利回りを基礎として決定しております。また、年金資産の長期期待運用収益率は、年金資産が退職給付の支払に充てられるまでの時期、保有している年金資産のポートフォリオ、過去の運用実績、運用方針及び市場の動向等を考慮して決定しております。これらの前提条件の見積りと実績の差異は、数理計算上の差異として計上され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことが考えられます。
(固定資産の減損)
固定資産の減損損失計上の検討において、都市開発・観光事業においては原則として個別の物件ごとに、または管理会計上の事業所区分別にグルーピングを行っております。回収可能価額の算定にあたり、当連結会計年度末時点で予測可能な合理的な将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等を見積もっておりますが、今後の業績や事業環境の変動により見積りと実績が乖離する可能性があります。この場合、追加の減損損失計上が必要になるなど、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことが考えられます。