訂正有価証券報告書-第78期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2021/06/25 13:58
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「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の概況)
当連結会計年度の我が国の経済は「先行きについては、当面、一部に弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。」と政府の月例経済報告に記されており、企業の業況判断は「おおむね横ばいとなっている。」とされています。
こうした状況の中、当社グループの当連結会計年度の売上高は、メディア・コンテンツ事業、その他事業が減収でしたが、都市開発・観光事業が増収となり、全体では前年同期比3.5%増収の669,230百万円となりました。
営業利益は、その他事業が減益となりましたが、メディア・コンテンツ事業、都市開発・観光事業がともに増益となり、前年同期比37.4%増益の34,709百万円となりました。経常利益は前年同期比19.5%増益の41,975百万円となりましたが、特別損失において減損損失を計上したことから親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比5.3%減益の23,627百万円となりました。
当社は2018年5月10日開催の取締役会において、セグメント区分を変更することを決議いたしました。
前連結会計年度において「放送事業」、「制作事業」、「映像音楽事業」、「生活情報事業」、「広告事業」、「都市開発事業」、「その他事業」としていたものを、当連結会計年度より「メディア・コンテンツ事業」、「都市開発・観光事業」、「その他事業」に変更いたしました。
報告セグメントの業績の状況は以下の通りであります。なお、前連結会計年度の数値については変更後の区分により作成したものを記載しております。
売 上 高セグメント利益
前連結会計年度当連結会計年度増減前連結会計年度当連結会計年度増減
(百万円)(百万円)(%)(百万円)(百万円)(%)
メディア・
コンテンツ事業
532,224526,568△1.111,83916,98743.5
都市開発・観光事業108,939137,38126.114,17118,02927.2
その他事業20,10519,062△5.2662555△16.1
調整額△14,732△13,781△1,415△863
合 計646,536669,2303.525,25834,70937.4


(メディア・コンテンツ事業)
当社グループの中核子会社である㈱フジテレビジョンは、大ヒット作品が続いた映画事業をはじめ、その他事業が売上高および利益面に大きく貢献し、また、全社的な構造改革による費用の効率的な運用が進んだことにより、売上高は7期ぶりの増収、営業利益は2期連続の増益となりました。
主力の放送事業のうち、全国放送を対象とするネットタイムセールスは、改編期のレギュラーセールスが安定的に進んだことに加え、単発セールスで前期の「平昌オリンピック」の反動減を6月の「2018 FIFA ワールドカップロシア」がカバーしたことで、売上高は80,449百万円、前年同期比0.7%増と6期ぶりの増収となりました。
一方、関東地区への放送を対象とするローカルタイムセールスは、セールス区分の変更などもあり、売上高は、13,290百万円で前年同期比1.2%減収となりました。
スポットセールスは、上期を中心に広告市況が低迷し、2期連続で地区投下量が減少しました。業種別では、「交通・レジャー・観光」、「外食・各種サービス」、「金融・保険」などが前年を上回る一方、「化粧品・トイレタリー」、「非アルコール飲料」、「衣料・身回品・雑貨」などが前年を下回りました。その結果、売上高は、92,543百万円で前年同期比5.0%減収となりました。
その他事業では、映画事業において、「劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-」が2018年の邦画第1位の興行収入93億円を獲得したほか、「万引き家族」、「マスカレード・ホテル」など大ヒット作品が重なり、さらに催物事業やMD事業においても、シルク・ドゥ・ソレイユの大型作品「キュリオス」が年間を通して貢献しました。その結果、その他事業全体の売上高は49,473百万円で前年同期比30.6%増収となりました。
以上により、㈱フジテレビジョン全体の売上高は、前年同期比2.8%増収の267,970百万円となりました。営業利益は前年同期比127.8%増益の10,213百万円となりました。
㈱ビーエスフジは、その他事業収入の増収がタイム収入、スポット収入の減収をカバーしたことで売上高全体では増収となりました。利益面では、BS4K放送の放送開始に伴い費用が増加したことで減益となりました。
㈱ニッポン放送は、イベント事業が好調でしたが、放送事業、ラジオ通販事業が伸び悩み減収となったものの、コストコントロールにより増益となりました。
㈱ポニーキャニオンは、配信やイベント収入などが好調で増収増益となりました。
㈱フジパシフィックミュージックは、原盤使用料収入、映像制作収入、マネージメント収入の増収が著作権使用料収入の減収をカバーし、増収増益となりました。
㈱ディノス・セシールのディノス事業は、天候不順によりカタログ通販が伸び悩んだものの美容健康商材を中心に引き続き好調を維持したテレビ通販がカバーし増収、セシール事業は送料改定の影響などにより減収となりました。その結果、㈱ディノス・セシール全体としては減収減益となりました。
㈱クオラスは、イベント制作や広告制作が好調で、増収増益となりました。
以上の結果、メディア・コンテンツ事業全体の売上高は、526,568百万円と前年同期比1.1%減収となりましたが、セグメント利益は、16,987百万円と同43.5%増の大幅増益となりました。
(都市開発・観光事業)
㈱サンケイビルは、ビル事業がオフィス需要の堅調な推移により増収となったことに加えて資産開発事業において2019年3月に組成されたサンケイリアルエステート投資法人へ保有物件の一部を売却したことなどにより、増収増益となりました。
㈱グランビスタホテル&リゾートは、一部ホテルの営業終了や北海道での自然災害の影響などにより、減収減益となりました。
以上の結果、都市開発・観光事業全体の売上高は、前年同期比26.1%増収の137,381百万円となり、セグメント利益は同27.2%増益の18,029百万円となりました。
(その他事業)
その他事業全体の売上高は前年同期比5.2%減収の19,062百万円、セグメント利益は同16.1%減益の555百万円となりました。
持分法適用会社では、フジテレビ系列局12社、㈱WOWOW、伊藤忠・フジ・パートナーズ㈱が持分法による投資利益に貢献しました。
(財政状態の概況)
当期末の総資産は1,290,484百万円となり、前期末比44,258百万円(3.6%)増加しました。
流動資産は407,606百万円で、前期末比10,844百万円(2.7%)増加しました。これは、現金及び預金が9,361百万円減少した一方で、有価証券が23,697百万円増加したこと等によるものであります。
固定資産は882,319百万円で、前期末比33,184百万円(3.9%)増加しました。これは主に、フジテレビ本社ビル底地の購入等により借地権が14,664百万円減少し、建物及び構築物が11,420百万円減少した一方で、土地が25,873百万円、投資有価証券が25,074百万円増加したこと等によります。
負債は547,136百万円で、前期末比22,644百万円(4.3%)の増加となりました。
流動負債は190,782百万円で、前期末比4,514百万円(2.4%)の増加となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が9,714百万円、短期借入金が6,799百万円減少した一方で、電子記録債務が13,908百万円、未払法人税等が4,543百万円増加したこと等によります。
固定負債は356,353百万円で、前期末比18,129百万円(5.4%)の増加となりました。これは主に、長期借入金が13,551百万円、繰延税金負債が3,147百万円増加したことによります。
純資産は743,348百万円で、前期末比21,614百万円(3.0%)の増加となりました。これは、剰余金の配当を9,836百万円行い、非支配株主持分が1,195百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益23,627百万円を計上したこと等によります。なお、当期において自己株式の消却を行い、自己株式と利益剰余金がそれぞれ5,662百万円減少しております。
②キャッシュ・フローの状況
当期における各キャッシュ・フローの状況は以下の通りであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、103,640百万円の収入となり、前期比56,905百万円(121.8%)の収入増加となりました。これは、たな卸資産の増減額が34,854百万円の収入増加、売上債権の増減額が5,136百万円の収入増加となったこと等によります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、99,386百万円の支出となり、前期比63,388百万円(176.1%)の支出増加となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が29,449百万円増加し、有価証券の取得による支出が27,601百万円増加したこと等によります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、7,310百万円の支出となり、3,110百万円の収入だった前期と比べ、10,421百万円の支出増加となりました。これは、短期借入金の純増減額が14,552百万円の収入増加となり、社債の償還による支出が10,000百万円減少した一方で、長期借入金の返済による支出が21,927百万円増加し、長期借入れによる収入が8,500百万円減少したこと等によります。
以上の結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、89,900百万円となり、前期末に比べ3,255百万円(3.5%)の減少となりました。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
2015年3月期2016年3月期2017年3月期2018年3月期2019年3月期
自己資本比率(%)59.455.456.356.756.5
時価ベースの自己資本比率(%)37.025.129.933.727.4
キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)
3.47.44.24.62.1
インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)
26.015.631.038.490.2

(注) 1.自己資本比率:自己資本/総資産
2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
※ 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を2019年3月期の期首から適用しており、2018年3月期の指標については遡及適用後の数値を記載しております。
③生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
該当事項はありません。
(b) 受注実績
該当事項はありません。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
メディア・コンテンツ事業526,568△1.1
都市開発・観光事業137,38126.1
その他事業19,062△5.2
調整額△13,781
669,2303.5

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)
㈱電通99,27315.493,65214.0
㈱博報堂DYメディアパートナーズ68,33310.670,27010.5

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識等については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。当社では、昨年5月に「“変わる”フジ・メディア・ホールディングス 中期経営計画」を公表しました。計画初年度である当連結会計年度は、以下の通り、中期経営計画における当連結会計年度の目標数値を上回りました。当社グループでは、引き続き中期的な視点をもって、グループの経営基盤を強化し収益力を高めていくことで中期経営計画の実現を目指してまいります。
(単位:百万円)
中期経営計画における目標数値
(2018年5月公表)
実績
2019年3月期2020年3月期2021年3月期2019年3月期
連結売上高623,000645,000655,000669,230
連結営業利益25,50028,50032,50034,709

営業利益のセグメント別内訳 (単位:百万円)
中期経営計画における目標数値
(2018年5月公表)
実績
2019年3月期2020年3月期2021年3月期2019年3月期
メディア・
コンテンツ事業
14,10017,80021,80016,987
都市開発・観光事業11,50011,50011,50018,029
その他事業400400500555

(セグメント区分別の分析)
(メディア・コンテンツ事業)
メディア・コンテンツ事業の経営成績等の状況に関する認識等については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。
当連結会計年度は、中核子会社である㈱フジテレビジョンにおいて、全社的な費用構造の改革が進展するとともに、映画事業において大ヒットが続いたこと等から、㈱フジテレビジョン及びメディア・コンテンツ事業の営業利益が中期経営計画における当連結会計年度の目標数値を上回りました。㈱フジテレビジョンの本格的な業績の向上には地上波広告収入の拡大が重要ですが、当連結会計年度は、番組改編等を通じレギュラー番組の視聴率が好転し、ゴールデン・プライム帯の年度視聴率が上昇に転じました。引き続き全社的な構造改革を進めながら、タイムテーブルの一層の強化を図るとともに、将来の成長に向けた配信・メディア戦略の推進と、メディア・コンテンツ事業全体での収益力の強化を進めていきます。
(都市開発・観光事業)
都市開発・観光事業の経営成績等の状況に関する認識等については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。
当連結会計年度は、㈱サンケイビルにおいて、ビル事業の賃料収入が好調に推移したほか、サンケイリアルエステート投資法人への保有資産の売却等により大きな利益を計上し、都市開発・観光事業の営業利益が中期経営計画における当連結会計年度の目標数値を上回りました。当社グループでは、都市開発・観光事業をグループの柱の一つと位置づけており、引き続き、財務の健全性を確保しながら戦略投資を拡大するとともに、観光需要の安定的な拡大を見据え、中長期的に育成していきます。
(その他事業)
その他事業の経営成績等の状況に関する認識等については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。
③資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社グループの主な資金需要は、放映権の取得費用、番組制作のための人件費、外注費、通信販売商品の仕入れ、著作権等の使用料、新規不動産の取得並びに開発費、既存ビルの設備改修のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。販売費及び一般管理費の主なものは代理店に対する手数料、宣伝広告費、人件費等であります。加えて、コンテンツ制作力の増強を図るための放送用設備・機器等の購入や、メディア戦略強化のための投資資金及びグループの資本政策に伴う株式の取得資金等が必要となります。
当社グループは現在、運転資金、設備投資及び投融資に要する資金につきましては、内部資金、借入れ又は社債により資金を調達しております。
当社グループは、健全な財務状態及び営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金、設備投資及び投融資に要する資金を調達することが可能と考えております。
当社はフジテレビ本社ビルの土地(底地)を2018年4月に取得しておりますが、当該取得は内部資金によっております。