有価証券報告書-第95期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものである。
(1) 業績の状況
<当社を取り巻く経営環境>2018年度は、電力システム改革に伴う各種市場整備やエネルギー業界における大手企業の業務提携に進展がみられた。また、電力及びガスの小売全面自由化による競争の激化や再生可能エネルギー導入拡大の継続などにより、当社においては、これまでの供給エリアにおける販売電力量の減少や火力発電の稼働率低下など、需給構造に顕著な変化がみられた。さらに、2020年4月には、送配電部門の法的分離(別会社化)という大きな転換点を迎える。
東北地域においては、東日本大震災から8年が経過し、復興道路などのインフラ面の整備や住まいの再建・街づくりなど、復旧・復興の動きが進む一方、被災地における水産加工業などの業績回復の伸び悩みや、根強く残る風評被害に加え、特に福島県内では住民の方々の帰還が緒に就いたばかりであり、復興は未だ道半ばと言わざるを得ない状況である。
このようななか、当社は、コーポレートスローガン「より、そう、ちから。」のもと、これまで以上にお客さまや地域のみなさまのご期待にお応えしつつ、地域とともに持続的に成長していくため、様々な施策を展開してきた。
<収益力拡大と徹底した効率化>東北6県及び新潟県における電力販売については、小売全面自由化を機に、高圧以上の法人分野における競争がさらに激化しており、他の事業者へ契約を切り替えるお客さまが増加している状況にある。このようななか、当社は、価格競争力を強化するとともに、お客さまの電気使用状況に合わせた最適な料金プランやエネルギーソリューションの提案の充実などに取り組んできた。
具体的には、家庭用分野では、これまでの電気料金プランや会員制Webサービス「よりそうeねっと」の充実に加え、お客さまのくらしをサポートする「マカプゥコンシェルジュ」などをプラスしたくらしのトータルサービス「より、そう、ちから。+ONe」を展開し、電気にとどまらない様々な分野のサービスを順次開始している。また、法人分野では、高圧のお客さまを対象に、IoTやAIの活用により最適な電気の使い方を支援する当社独自のエネルギーマネジメントシステム「エグゼムズ(exEMS)」の本格サービスを開始している。
これまでの供給エリアを越えた電力販売については、「首都圏でも東北電力!よりそう、でんき ずっとつながるキャンペーン」の実施などにより、首都圏向け電気料金プラン「よりそう、でんき」の加入拡大をはかるとともに、株式会社シナジアパワーを通じた販売や株式会社東急パワーサプライへの卸供給などにより、積極的な販売活動を展開してきた。
こうした収益力拡大に向けた取り組みに加え、社長を議長とする経営効率化推進会議のもと、資材・役務に関する調達価格低減に向けた設計・仕様の見直しや競争発注拡大などの調達改革の推進や、新技術の採用などにより、構造的なコスト低減をはかるなど、徹底した効率化に継続して取り組んできた。
<最適な設備形成と再生可能エネルギー導入拡大に向けた取り組み>火力発電については、原子力発電所が停止しているなか、供給力の中心として安定運用に努めるとともに、高い経済性と環境負荷低減を両立した電源構成の実現に向けた取り組みを進めてきた。具体的には、能代火力発電所3号機の建設工事や上越火力発電所1号機の建設計画を着実に推進するとともに、経年化した火力発電所の休廃止を段階的に進めてきた。
水力発電については、経年化が進行した発電所の大規模改修工事を進め、水資源の有効活用をはかりつつ、効率的な運用に努めてきた。
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーについては、環境面やエネルギー安全保障の面から重要な電源であり、当社はこれまでも、グループ企業と連携しながら開発に取り組んできたが、引き続き、拡大に向け検討を進めていく。
また、急増する再生可能エネルギーの当社送電線への接続申し込みについては、受け入れに容量面の制約があることから、広域的な需給調整や送電網の整備計画の策定などを行う電力広域的運営推進機関と連携のうえ、送電網の整備・拡充や工事費の低減、既存の送電線の利用効率向上に向けた取り組みなどを行ってきた。
送配電については、日々の設備巡視・点検や保修工事などの的確なメンテナンスにより安定供給に努めるとともに、新技術の採用などにより、一層の効率化を推進してきた。
<原子力発電所の安全性向上に向けた取り組み>原子力発電については、新規制基準への適合性審査へ的確に対応してきた。女川原子力発電所2号機については、原子力規制委員会から、基準地震動、基準津波に対して「概ね妥当な検討がなされている」との評価を受けた以降、2018年12月から発電所設備に関する審査がさらに加速してきており、審査を重ねるなかで、追加で必要となる対策や工事など、安全対策工事の全体像を見通せる状況になってきている。また、東通原子力発電所1号機については、「震源として考慮する活断層」の評価に関する審査及び調査が進められている。いずれの審査に対しても、引き続き、着実に対応していく。加えて、継続的な訓練を行うことにより、ハード・ソフト両面から安全対策の強化をはかるなど、再稼働に向けた取り組みを着実に進めていく。
なお、女川原子力発電所1号機については、安全性向上対策を行うための技術的制約や発電機出力規模、再稼働した場合の運転年数などを総合的に勘案し、廃止することとした。当社としては、安全確保を最優先に廃止措置に取り組んでいく。
<強固な経営基盤の確立>当社は、競争の激化や送配電部門の法的分離など、激変する経営環境を踏まえた事業体制を構築するため、カンパニー制を導入し、「発電・販売カンパニー」及び「送配電カンパニー」を設置した。
発電・販売カンパニーは、最適な電源構成の実現や燃料調達の効率化、新料金プランや新サービスの開発・提案などにより、コスト競争力・販売力の強化をはかり、低廉で高品質な総合エネルギーサービスの提供に努めてきた。さらに、卸電力取引市場や燃料先物取引の活用による統合的なトレーディングを行う東北電力エナジートレーディング株式会社を通じた卸電力売買を行うなど、発電部門と販売部門が連携し、総合力を発揮することで、競争力の強化と収益の拡大をはかってきた。
送配電カンパニーは、引き続き、東北6県及び新潟県における電力の安定供給を果たすとともに、中立性・公平性のより一層の確保に努めてきた。加えて、設備工事における工事費負担金の精算誤りなどを踏まえ、業務品質保証体制を強化し、業務品質の向上をはかるとともに、再生可能エネルギーの当社送電線への接続受け入れの拡大に向けた取り組みや、設備点検の効率化などによるコスト低減に向けた取り組みなどを行ってきた。
また、こうした組織面での対応にとどまらず、経営面においても、コーポレート・ガバナンスの一層の強化をはかるため、「役付執行役員の新設」及び「監査等委員会設置会社への移行」を柱とする経営機構の見直しを行った。これにより、経営と執行の役割分担を明確化し、これまで以上に迅速かつ機動的な意思決定や業務執行を行うことができる体制を構築するとともに、業務執行状況などの監督機能を強化し、企業グループ全体の求心力を高め、ガバナンスの向上に取り組んでいる。
<決算概要>当連結会計年度の企業グループの収支については、当社において、電力小売全面自由化に伴う競争激化による販売電力量(小売)の減少はあったものの、エリア外や卸電力取引所への販売電力量(卸売)が増加したことなどから、売上高としては2兆2,443億円となり、前連結会計年度に比べ、1,729億円(8.3%)の増収となった。
なお、売上高には再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づく再エネ特措法交付金・再エネ特措法賦課金及び間接オークション※導入に伴う自己約定分等が合計4,083億円含まれているが、費用側にも計上されることから、当社の収支に影響を与えるものではない。
一方で、企業グループ一体となって、継続的な効率化の取り組みによる経費全般の削減などに努めたものの、当社において、渇水の影響や燃料価格の上昇による燃料費の増加などにより、経常費用が増加したことから、経常利益は657億円となり、前連結会計年度に比べ、226億円(25.7%)の減益となった。
また、東京電力福島第一原子力発電所事故に起因する原町火力発電所復旧遅延損害に係る受取損害賠償金を特別利益に、女川原子力発電所1号機の廃止を決定したことに伴う関連損失を特別損失に計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は464億円となり、前連結会計年度に比べ、7億円(1.6%)減少した。
※ 地域間連系線をより効率的に利用し、電気料金の最大限の抑制及び事業者の事業機会の拡大を実現するため、「先着優先」ルールを廃止し、卸電力取引所で売買契約が成立した事業者へ利用枠を割り当てる「間接オークション」が2018年10月1日より開始された。
当連結会計年度におけるセグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は次のとおりである。
[電気事業]
当社の販売電力量(小売)は、前連結会計年度に比べ夏場の気温が高かったことによる冷房需要の増加があるものの、競争激化による契約の切り替えや冬場の気温が高かったことによる暖房需要の減少などから、前連結会計年度に比べ4.3%減の689億キロワット時となった。
このうち、電灯需要については、4.8%減の227億キロワット時、電力需要については、4.1%減の461億キロワット時となった。
これに対応する供給については、引き続き原子力発電所の運転停止などに伴う供給力の減少があるものの、火力発電所の補修時期の調整などにより安定した供給力を確保した。
収支の状況については、当社において、電力小売全面自由化に伴う競争激化による販売電力量(小売)の減少はあったものの、エリア外や卸電力取引所への販売電力量(卸売)が増加したことなどから、売上高としては2兆159億円となり、前連結会計年度に比べ、1,583億円(8.5%)の増収となった。
なお、売上高には再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づく再エネ特措法交付金・再エネ特措法賦課金及び間接オークション導入に伴う自己約定分等が合計4,083億円含まれているが、費用側にも計上されることから、当社の収支に影響を与えるものではない。
一方で、継続的な効率化の取り組みによる経費全般の削減などに努めたものの、当社において、渇水の影響や燃料価格の上昇による燃料費の増加などにより、営業費用が増加したことから、営業利益は648億円となり、前連結会計年度に比べ、191億円(22.8%)の減益となった。
[建設業]
売上高は、電力関連工事が減少したことなどから2,758億円となり、前連結会計年度に比べ、125億円(4.3%)の減収となった。
一方で、売上高減少に伴い工事原価が減少したことなどにより、営業費用が減少したことから、営業利益は108億円となり、前連結会計年度に比べ、42億円(28.4%)の減益となった。
[その他]
売上高は、ガス事業が増加したことなどから2,250億円となり、前連結会計年度に比べ、65億円(3.0%)の増収となった。
一方で、ガス事業における増加などにより、営業費用が増加したことから、営業利益は107億円となり、前連結会計年度並みとなった。
(2) 財政状態の分析
資産は、流動資産において短期投資などが減少したものの、固定資産において、「原子力発電施設解体引当金に関する省令」(平成元年通商産業省令第30号)の改正に伴う資産除去債務相当資産や、女川原子力発電所1号機廃止に伴う原子力廃止関連仮勘定の増加があったことなどから、前連結会計年度末に比べ364億円(0.9%)増の4兆2,586億円となった。
負債は、資産除去債務が増加したものの、有利子負債が減少したことなどから、前連結会計年度末並みの3兆4,249億円となった。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ350億円(4.4%)増の8,337億円となった。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末から0.6ポイント上昇し、17.9%となった。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
減価償却費が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ612億円(18.9%)減の2,628億円の収入となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
固定資産の取得による支出が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ233億円(8.5%)減の2,505億円の支出となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
社債の償還及び借入金の返済による支出が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ330億円(91.0%)増の693億円の支出となった。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に比べ572億円(23.6%)減の1,849億円となった。
また、キャッシュ・フロー指標の変動は次のとおりである。
(注)1 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
2 インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業活動によるキャッシュ・フロー/利息の支払額
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
① 資本の財源
当社は、電気事業における安定供給に必要な発電設備や送配電設備の形成を目的とした設備投資及び社債などの償還資金に充当するため、自己資金のほか、社債の発行及び金融機関からの借入を組み合わせて安定的に資金を調達している。また、短期的な資金需要に対しては、コマーシャル・ペーパーなどを活用し機動的に資金を調達している。
② 資金の流動性に係る情報
月次での資金計画などにより資金管理に努めており、また、当座貸越契約やコミットメントライン契約により、必要に応じて資金調達ができる体制を整えることで充分な流動性を確保している。
(4) 生産、受注及び販売の実績
当社企業グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であるため「生産実績」を定義することが困難であり、建設業においては請負形態をとっているため「販売実績」という定義は実態にそぐわない。
よって、生産、受注及び販売の実績については、記載可能な情報を「(1)業績の状況」においてセグメントの業績に関連付けて記載している。
なお、当社個別の事業の状況は次のとおりである。
① 供給力実績
(注) 1 自社発電電力量については、発電端電力量から送電端電力量に変更している。
2 融通・他社受電電力量には、連結子会社からの受電電力量(酒田共同火力発電㈱ 4,743百万kWh、東北自然エネルギー㈱ 581百万kWh他)を含んでいる。
3 融通・他社受電電力量の上段は受電電力量、下段は送電電力量を示す。
4 融通・他社受電電力量には系統運用等を含んでいる。
5 揚水発電所の揚水用電力量とは貯水池運営のため揚水用に使用する電力である。
6 出水率は、1987年度から2016年度までの30ヶ年平均に対する比である。
② 販売実績
(注) 1 卸売には特定融通等を含んでいる。
2 個々の数値の合計と合計欄の数値は、四捨五入の関係で一致しない場合がある。
③ 資材の状況
石炭及び燃料油等の受払状況
(1) 業績の状況
<当社を取り巻く経営環境>2018年度は、電力システム改革に伴う各種市場整備やエネルギー業界における大手企業の業務提携に進展がみられた。また、電力及びガスの小売全面自由化による競争の激化や再生可能エネルギー導入拡大の継続などにより、当社においては、これまでの供給エリアにおける販売電力量の減少や火力発電の稼働率低下など、需給構造に顕著な変化がみられた。さらに、2020年4月には、送配電部門の法的分離(別会社化)という大きな転換点を迎える。
東北地域においては、東日本大震災から8年が経過し、復興道路などのインフラ面の整備や住まいの再建・街づくりなど、復旧・復興の動きが進む一方、被災地における水産加工業などの業績回復の伸び悩みや、根強く残る風評被害に加え、特に福島県内では住民の方々の帰還が緒に就いたばかりであり、復興は未だ道半ばと言わざるを得ない状況である。
このようななか、当社は、コーポレートスローガン「より、そう、ちから。」のもと、これまで以上にお客さまや地域のみなさまのご期待にお応えしつつ、地域とともに持続的に成長していくため、様々な施策を展開してきた。
<収益力拡大と徹底した効率化>東北6県及び新潟県における電力販売については、小売全面自由化を機に、高圧以上の法人分野における競争がさらに激化しており、他の事業者へ契約を切り替えるお客さまが増加している状況にある。このようななか、当社は、価格競争力を強化するとともに、お客さまの電気使用状況に合わせた最適な料金プランやエネルギーソリューションの提案の充実などに取り組んできた。
具体的には、家庭用分野では、これまでの電気料金プランや会員制Webサービス「よりそうeねっと」の充実に加え、お客さまのくらしをサポートする「マカプゥコンシェルジュ」などをプラスしたくらしのトータルサービス「より、そう、ちから。+ONe」を展開し、電気にとどまらない様々な分野のサービスを順次開始している。また、法人分野では、高圧のお客さまを対象に、IoTやAIの活用により最適な電気の使い方を支援する当社独自のエネルギーマネジメントシステム「エグゼムズ(exEMS)」の本格サービスを開始している。
これまでの供給エリアを越えた電力販売については、「首都圏でも東北電力!よりそう、でんき ずっとつながるキャンペーン」の実施などにより、首都圏向け電気料金プラン「よりそう、でんき」の加入拡大をはかるとともに、株式会社シナジアパワーを通じた販売や株式会社東急パワーサプライへの卸供給などにより、積極的な販売活動を展開してきた。
こうした収益力拡大に向けた取り組みに加え、社長を議長とする経営効率化推進会議のもと、資材・役務に関する調達価格低減に向けた設計・仕様の見直しや競争発注拡大などの調達改革の推進や、新技術の採用などにより、構造的なコスト低減をはかるなど、徹底した効率化に継続して取り組んできた。
<最適な設備形成と再生可能エネルギー導入拡大に向けた取り組み>火力発電については、原子力発電所が停止しているなか、供給力の中心として安定運用に努めるとともに、高い経済性と環境負荷低減を両立した電源構成の実現に向けた取り組みを進めてきた。具体的には、能代火力発電所3号機の建設工事や上越火力発電所1号機の建設計画を着実に推進するとともに、経年化した火力発電所の休廃止を段階的に進めてきた。
水力発電については、経年化が進行した発電所の大規模改修工事を進め、水資源の有効活用をはかりつつ、効率的な運用に努めてきた。
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーについては、環境面やエネルギー安全保障の面から重要な電源であり、当社はこれまでも、グループ企業と連携しながら開発に取り組んできたが、引き続き、拡大に向け検討を進めていく。
また、急増する再生可能エネルギーの当社送電線への接続申し込みについては、受け入れに容量面の制約があることから、広域的な需給調整や送電網の整備計画の策定などを行う電力広域的運営推進機関と連携のうえ、送電網の整備・拡充や工事費の低減、既存の送電線の利用効率向上に向けた取り組みなどを行ってきた。
送配電については、日々の設備巡視・点検や保修工事などの的確なメンテナンスにより安定供給に努めるとともに、新技術の採用などにより、一層の効率化を推進してきた。
<原子力発電所の安全性向上に向けた取り組み>原子力発電については、新規制基準への適合性審査へ的確に対応してきた。女川原子力発電所2号機については、原子力規制委員会から、基準地震動、基準津波に対して「概ね妥当な検討がなされている」との評価を受けた以降、2018年12月から発電所設備に関する審査がさらに加速してきており、審査を重ねるなかで、追加で必要となる対策や工事など、安全対策工事の全体像を見通せる状況になってきている。また、東通原子力発電所1号機については、「震源として考慮する活断層」の評価に関する審査及び調査が進められている。いずれの審査に対しても、引き続き、着実に対応していく。加えて、継続的な訓練を行うことにより、ハード・ソフト両面から安全対策の強化をはかるなど、再稼働に向けた取り組みを着実に進めていく。
なお、女川原子力発電所1号機については、安全性向上対策を行うための技術的制約や発電機出力規模、再稼働した場合の運転年数などを総合的に勘案し、廃止することとした。当社としては、安全確保を最優先に廃止措置に取り組んでいく。
<強固な経営基盤の確立>当社は、競争の激化や送配電部門の法的分離など、激変する経営環境を踏まえた事業体制を構築するため、カンパニー制を導入し、「発電・販売カンパニー」及び「送配電カンパニー」を設置した。
発電・販売カンパニーは、最適な電源構成の実現や燃料調達の効率化、新料金プランや新サービスの開発・提案などにより、コスト競争力・販売力の強化をはかり、低廉で高品質な総合エネルギーサービスの提供に努めてきた。さらに、卸電力取引市場や燃料先物取引の活用による統合的なトレーディングを行う東北電力エナジートレーディング株式会社を通じた卸電力売買を行うなど、発電部門と販売部門が連携し、総合力を発揮することで、競争力の強化と収益の拡大をはかってきた。
送配電カンパニーは、引き続き、東北6県及び新潟県における電力の安定供給を果たすとともに、中立性・公平性のより一層の確保に努めてきた。加えて、設備工事における工事費負担金の精算誤りなどを踏まえ、業務品質保証体制を強化し、業務品質の向上をはかるとともに、再生可能エネルギーの当社送電線への接続受け入れの拡大に向けた取り組みや、設備点検の効率化などによるコスト低減に向けた取り組みなどを行ってきた。
また、こうした組織面での対応にとどまらず、経営面においても、コーポレート・ガバナンスの一層の強化をはかるため、「役付執行役員の新設」及び「監査等委員会設置会社への移行」を柱とする経営機構の見直しを行った。これにより、経営と執行の役割分担を明確化し、これまで以上に迅速かつ機動的な意思決定や業務執行を行うことができる体制を構築するとともに、業務執行状況などの監督機能を強化し、企業グループ全体の求心力を高め、ガバナンスの向上に取り組んでいる。
<決算概要>当連結会計年度の企業グループの収支については、当社において、電力小売全面自由化に伴う競争激化による販売電力量(小売)の減少はあったものの、エリア外や卸電力取引所への販売電力量(卸売)が増加したことなどから、売上高としては2兆2,443億円となり、前連結会計年度に比べ、1,729億円(8.3%)の増収となった。
なお、売上高には再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づく再エネ特措法交付金・再エネ特措法賦課金及び間接オークション※導入に伴う自己約定分等が合計4,083億円含まれているが、費用側にも計上されることから、当社の収支に影響を与えるものではない。
一方で、企業グループ一体となって、継続的な効率化の取り組みによる経費全般の削減などに努めたものの、当社において、渇水の影響や燃料価格の上昇による燃料費の増加などにより、経常費用が増加したことから、経常利益は657億円となり、前連結会計年度に比べ、226億円(25.7%)の減益となった。
また、東京電力福島第一原子力発電所事故に起因する原町火力発電所復旧遅延損害に係る受取損害賠償金を特別利益に、女川原子力発電所1号機の廃止を決定したことに伴う関連損失を特別損失に計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は464億円となり、前連結会計年度に比べ、7億円(1.6%)減少した。
※ 地域間連系線をより効率的に利用し、電気料金の最大限の抑制及び事業者の事業機会の拡大を実現するため、「先着優先」ルールを廃止し、卸電力取引所で売買契約が成立した事業者へ利用枠を割り当てる「間接オークション」が2018年10月1日より開始された。
当連結会計年度におけるセグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は次のとおりである。
[電気事業]
当社の販売電力量(小売)は、前連結会計年度に比べ夏場の気温が高かったことによる冷房需要の増加があるものの、競争激化による契約の切り替えや冬場の気温が高かったことによる暖房需要の減少などから、前連結会計年度に比べ4.3%減の689億キロワット時となった。
このうち、電灯需要については、4.8%減の227億キロワット時、電力需要については、4.1%減の461億キロワット時となった。
これに対応する供給については、引き続き原子力発電所の運転停止などに伴う供給力の減少があるものの、火力発電所の補修時期の調整などにより安定した供給力を確保した。
収支の状況については、当社において、電力小売全面自由化に伴う競争激化による販売電力量(小売)の減少はあったものの、エリア外や卸電力取引所への販売電力量(卸売)が増加したことなどから、売上高としては2兆159億円となり、前連結会計年度に比べ、1,583億円(8.5%)の増収となった。
なお、売上高には再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づく再エネ特措法交付金・再エネ特措法賦課金及び間接オークション導入に伴う自己約定分等が合計4,083億円含まれているが、費用側にも計上されることから、当社の収支に影響を与えるものではない。
一方で、継続的な効率化の取り組みによる経費全般の削減などに努めたものの、当社において、渇水の影響や燃料価格の上昇による燃料費の増加などにより、営業費用が増加したことから、営業利益は648億円となり、前連結会計年度に比べ、191億円(22.8%)の減益となった。
[建設業]
売上高は、電力関連工事が減少したことなどから2,758億円となり、前連結会計年度に比べ、125億円(4.3%)の減収となった。
一方で、売上高減少に伴い工事原価が減少したことなどにより、営業費用が減少したことから、営業利益は108億円となり、前連結会計年度に比べ、42億円(28.4%)の減益となった。
[その他]
売上高は、ガス事業が増加したことなどから2,250億円となり、前連結会計年度に比べ、65億円(3.0%)の増収となった。
一方で、ガス事業における増加などにより、営業費用が増加したことから、営業利益は107億円となり、前連結会計年度並みとなった。
(2) 財政状態の分析
資産は、流動資産において短期投資などが減少したものの、固定資産において、「原子力発電施設解体引当金に関する省令」(平成元年通商産業省令第30号)の改正に伴う資産除去債務相当資産や、女川原子力発電所1号機廃止に伴う原子力廃止関連仮勘定の増加があったことなどから、前連結会計年度末に比べ364億円(0.9%)増の4兆2,586億円となった。
負債は、資産除去債務が増加したものの、有利子負債が減少したことなどから、前連結会計年度末並みの3兆4,249億円となった。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ350億円(4.4%)増の8,337億円となった。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末から0.6ポイント上昇し、17.9%となった。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
減価償却費が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ612億円(18.9%)減の2,628億円の収入となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
固定資産の取得による支出が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ233億円(8.5%)減の2,505億円の支出となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
社債の償還及び借入金の返済による支出が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ330億円(91.0%)増の693億円の支出となった。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に比べ572億円(23.6%)減の1,849億円となった。
また、キャッシュ・フロー指標の変動は次のとおりである。
| 前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 7.5 | 9.1 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 14.6 | 13.4 |
(注)1 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
2 インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業活動によるキャッシュ・フロー/利息の支払額
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
① 資本の財源
当社は、電気事業における安定供給に必要な発電設備や送配電設備の形成を目的とした設備投資及び社債などの償還資金に充当するため、自己資金のほか、社債の発行及び金融機関からの借入を組み合わせて安定的に資金を調達している。また、短期的な資金需要に対しては、コマーシャル・ペーパーなどを活用し機動的に資金を調達している。
② 資金の流動性に係る情報
月次での資金計画などにより資金管理に努めており、また、当座貸越契約やコミットメントライン契約により、必要に応じて資金調達ができる体制を整えることで充分な流動性を確保している。
(4) 生産、受注及び販売の実績
当社企業グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であるため「生産実績」を定義することが困難であり、建設業においては請負形態をとっているため「販売実績」という定義は実態にそぐわない。
よって、生産、受注及び販売の実績については、記載可能な情報を「(1)業績の状況」においてセグメントの業績に関連付けて記載している。
なお、当社個別の事業の状況は次のとおりである。
① 供給力実績
| 種別 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年度比(%) | |
| 自社発電電力量 | |||
| 水力発電電力量 | (百万kWh) | 7,372 | 87.9 |
| 火力発電電力量 | (百万kWh) | 53,830 | 99.3 |
| 原子力発電電力量 | (百万kWh) | △215 | 96.3 |
| 新エネルギー等発電電力量 | (百万kWh) | 732 | 97.6 |
| 融通・他社受電電力量 | (百万kWh) | 35,007 △6,821 | 105.3 101.1 |
| 揚水発電所の揚水用電力量 | (百万kWh) | △92 | 102.8 |
| 合計 | (百万kWh) | 89,813 | 100.3 |
| 出水率 | (%) | 90.5 | ― |
(注) 1 自社発電電力量については、発電端電力量から送電端電力量に変更している。
2 融通・他社受電電力量には、連結子会社からの受電電力量(酒田共同火力発電㈱ 4,743百万kWh、東北自然エネルギー㈱ 581百万kWh他)を含んでいる。
3 融通・他社受電電力量の上段は受電電力量、下段は送電電力量を示す。
4 融通・他社受電電力量には系統運用等を含んでいる。
5 揚水発電所の揚水用電力量とは貯水池運営のため揚水用に使用する電力である。
6 出水率は、1987年度から2016年度までの30ヶ年平均に対する比である。
② 販売実績
| 種別 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年度比(%) | |
| 販売電力量(百万kWh) | 電灯 | 22,745 | 95.2 |
| 電力 | 46,130 | 95.9 | |
| 小売 計 | 68,876 | 95.7 | |
| 卸売 | 16,220 | 118.8 | |
| 合計 | 85,096 | 99.4 | |
(注) 1 卸売には特定融通等を含んでいる。
2 個々の数値の合計と合計欄の数値は、四捨五入の関係で一致しない場合がある。
③ 資材の状況
石炭及び燃料油等の受払状況
| 区分 | 単位 | 2018年 3月末 在庫量 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 2019年 3月末 在庫量 | |||
| 受入 | 前年度比 (%) | 払出 | 前年度比 (%) | ||||
| 石炭 | t | 567,411 | 8,132,654 | 100.0 | 7,998,022 | 98.2 | 702,043 |
| 重油 | kl | 95,489 | 307,791 | 74.8 | 269,634 | 67.3 | 133,646 |
| 原油 | kl | 65,466 | 106,810 | 50.6 | 84,998 | 38.0 | 87,278 |
| LNG | t | 218,444 | 4,569,731 | 103.5 | 4,573,305 | 104.9 | 214,870 |