有価証券報告書-第96期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)事業の経過
① 企業グループを取り巻く経営環境
2019年度のわが国経済は、消費税率引上げなどの影響を受けつつも緩やかに拡大しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、消費が落ち込むとともに企業収益も製造業を中心に悪化しており、厳しい状況となっております。また、東北地域における経済についても、景況感が急速に悪化するなど、先行きの不透明感が拡大しております。
東北6県及び新潟県では、他地域と比較して人口減少や少子高齢化が加速しており、今後、様々な分野で社会課題が顕在化していくことも想定され、社会構造が大きく変化しようとしております。また、東日本大震災の被災地では、鉄道、道路、港湾などを中心に復興は着実に進んでおりますが、昨年10月の令和元年東日本台風(台風19号)の影響により、送配電設備を含め東北各地で甚大な被害を受けました。
電力業界においては、電力小売全面自由化による競争激化に加えて、再生可能エネルギーの導入拡大、脱炭素化、デジタル化の進展などによる電力需給構造の変化がみられました。
このようななか、当社企業グループは、東北電力グループスローガン「より、そう、ちから。」のもと、これまで以上にお客さまや地域のみなさまのご期待に応えつつ、地域とともに持続的に成長していくため、様々な施策を展開してまいりました。
(発電・販売事業)
② 利益創出力の強化と新ビジネスの検討
電力販売では、2016年4月の小売全面自由化以降、新電力との厳しい競争が続いております。そのため、家庭用のお客さま向けには、「東北電力 冬のくらし全力応援! +ONeキャンペーン」をはじめとする各種プロモーションを展開するとともに、固定価格買取制度の買取期間満了を迎えた家庭用太陽光発電設備をお持ちのお客さま向けサービスである「ツナガルでんき」の提供も開始いたしました。また、法人のお客さま向けには、当社独自のエネルギーマネジメントシステム「エグゼムズ(exEMS)」の提供に加え、「BCP(事業継続計画)関連支援サービス」の拡充や、「福利厚生アウトソーシングサービス」の新たな提供など、競争力強化に向け、ソリューションサービスの充実にも取り組んでまいりました。
関東圏においては、株式会社シナジアパワーや株式会社東急パワーサプライを通じて、販売電力量を拡大してまいりました。また、東北電力エナジートレーディング株式会社による市場取引を通じた収益力強化にも取り組んでまいりました。
地域に分散して存在するエネルギーリソースを遠隔制御し集約することで、あたかも一つの発電所のように機能させる「VPP(バーチャルパワープラント)」については、地域の自治体との協働のほか、世界最大規模のVPP事業者であるネクストクラフトベルケ社との戦略的連携により、将来の事業化に向けた実証を進めております。
③ 発電事業の競争力強化
火力発電については、供給力の中心として安定運用に努めるとともに、高い経済性と環境負荷低減の両立に向けた取り組みを進めてまいりました。具体的には、本年3月、石炭を使用する発電設備としては、世界最高水準の熱効率を有する能代火力発電所3号機(60万キロワット)の営業運転を開始し、昨年5月、LNGを使用する上越火力発電所1号機(57.2万キロワット)の建設工事に着手いたしました。また、秋田火力発電所2号機及び3号機を廃止するなど、経年化が進む発電所の休廃止を段階的に進めてまいりました。
燃料調達については、燃料費の低減や調達の柔軟性確保に向けた取り組みに加え、東北電力エナジートレーディング株式会社と連携した燃料先物取引の活用など、リスクの抑制や収益性の拡大に取り組んでまいりました。
④ 再生可能エネルギーに関する取り組み
当社企業グループでは、再生可能エネルギーについて、東北6県及び新潟県には風力発電などに適した地点が多いことを踏まえ、風力発電を主軸に、200万キロワットの開発に取り組んでおります。具体的には、秋田県北部洋上風力発電事業など複数の開発可能性調査に出資参画しており、本年の3月末時点においては、開発案件が事業化された場合の持分出力の累計は約30万キロワットとなっております。
また、水力発電について、これまで積極的に取り組んできており、当社は205ヵ所で合計約245万キロワットの発電所を保有しております。これらの発電所を効率的に運用するため、本年3月、発電所とダムを一体的に遠隔監視制御する「水力運用センター」の本格運用を開始いたしました。
⑤ 原子力発電所の安全性向上
原子力発電については、新規制基準への適合性審査に対し、全社をあげて対応してまいりました。女川原子力発電所2号機については、本年2月、原子力規制委員会から原子炉設置変更許可を受けました。引き続き、設計及び工事の計画認可などに係る審査に対しても万全を期して対応してまいります。また、東通原子力発電所1号機については、震源として考慮する活断層、基準津波及び基準地震動の評価に関する審査が進められております。当社といたしましては、新規制基準への適合にとどまらず、より高いレベルでの安全確保に向けて、最新の知見も取り入れながら、設備面と運用面の両面から、さらなる安全性の向上に向けて着実に取り組んでまいります。
原子力発電所の再稼働については、地域のみなさまのご理解が何よりも重要と考えております。今後とも、地域のみなさまからご理解をいただけるよう、丁寧な理解活動にしっかりと取り組んでまいります。
女川原子力発電所1号機については、本年3月、廃止措置計画が認可されました。当社といたしましては、廃止措置計画に基づき、安全確保を最優先に廃止措置に取り組んでまいります。
なお、女川原子力発電所2号機の安全対策工事については、2020年度の完了を目指して取り組んでまいりましたが、原子炉設置変更許可がなされたことを受け、全体工程がより詳細に見通せる状況となったことから、あらためて工事の完了時期を評価した結果、2022年度の完了を目指して工事を進めていくことといたしました。
(送配電事業)
⑥ 災害対応と電力設備強靭化
昨年10月、東北地方に甚大な被害をもたらした令和元年東日本台風(台風19号)に対し、これまでの経験を踏まえ、迅速に防災体制を整え、被害状況の早期把握と復旧作業を行いました。河川の浸水や土砂崩れによる道路の寸断などで復旧作業に着手できず、停電が長期化した一部地域については、ホームページやツイッターに加え、自治体に派遣した連絡要員を通じてきめ細かな情報提供に努めました。
また、昨年9月、千葉県を中心に甚大な被害をもたらした令和元年房総半島台風(台風15号)への対応において、東京電力パワーグリッド株式会社に対し、延べ3,665名の要員などの応援派遣を行い、停電が広域化・長期化するなかで、被害状況の把握、配電線の改修作業、高圧発電機車による供給など、電力の復旧に協力しました。
さらに、大規模停電を回避する設備形成や維持運用、様々な状況を想定した訓練に加え、災害時における迅速な復旧活動などを目的として、陸上自衛隊、海上自衛隊、東日本高速道路株式会社及び各自治体などと協定を締結し、連携をはかるなど、対応力の強化に取り組んでまいりました。
⑦ 送配電事業の効率化
送配電事業については、日々の設備巡視・点検や保修工事などの的確なメンテナンスにより安定供給・業務品質の向上と効率化の両立に努めてまいりました。具体的には、ドローンによる送電線の自動追尾点検の試行導入、AIを活用した送電鉄塔の腐食劣化度合いを判定するシステムの開発・運用、スマートグラスシステムを活用した変電所の運転・保修の実施など、新技術の採用により、一層の効率化を推進してまいりました。
⑧ 再生可能エネルギーの連系拡大に向けた取り組み
太陽光発電や風力発電を行う事業者などからの送電網への接続申込みの増加を踏まえ、既存の送電設備を最大限活用する施策に取り組んでまいりました。
また、国の認可法人である電力広域的運営推進機関と連携し、東北東京間連系線などの送電網の整備・拡充や、東北北部エリアの電源接続案件募集プロセスの実施など、再生可能エネルギーの連系拡大に取り組んでまいりました。
⑨ 送配電事業の分社化
当社は、本年4月からの送配電部門の法的分離に対応し、当社企業グループのさらなる企業価値の向上に向けて、100%子会社である「東北電力ネットワーク株式会社」に一般送配電事業等を分社いたしました。
同社は、安全確保を最優先に、東北6県及び新潟県における電力の安定供給を果たし、中立性・公平性のより一層の確保と的確かつ質の高いサービス提供に努めてまいります。
(2)経営成績の分析
当連結会計年度の企業グループの収支については、当社において、電力小売全面自由化に伴う競争激化の影響などにより、販売電力量(小売)は減少したものの、東北6県及び新潟県以外への販売電力量(卸売)が増加したことなどから、売上高は2兆2,463億円となり、前連結会計年度に比べ、20億円(0.1%)の増収となりました。
なお、売上高には、再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づく再エネ特措法交付金・再エネ特措法賦課金及び間接オークションに伴う自己約定分等が合計4,959億円含まれておりますが、費用側にも計上されることから、当社の収支に影響を与えるものではありません。
経常利益については、販売電力量(小売)の減少影響などがあったものの、能代火力発電所3号機の運転開始による燃料費改善効果や、企業グループ一体となって生産性・効率性のさらなる向上に努めたことなどに加えて、燃料費調整制度のタイムラグ影響※が利益を大きく押し上げたことから、999億円となり、前連結会計年度に比べ、342億円(52.1%)の増益となりました。
また、令和元年東日本台風(台風19号)による被害設備の復旧に要する費用など61億円を特別損失に計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は630億円となり、 前連結会計年度に比べ、165億円(35.7%)増加しました。
※燃料費調整制度は、為替レートなどの変化に伴う、輸入燃料の価格変動を、毎月、自動的に電気料金に反映させ調整する制度であります。具体的には、燃料価格の3カ月平均の値から燃料費調整単価を算定し、それを2カ月後の電気料金に反映させる仕組みとなっており、燃料価格の変動が実際に料金収入に反映されるまで一定のタイムラグが生じることとなります。

当連結会計年度におけるセグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は次のとおりであります。
[電気事業]
当社の販売電力量(小売)は、前連結会計年度に比べ冬の気温が高かったことによる暖房需要の減少や競争激化による契約の切り替え、産業用での生産減などから、前連結会計年度に比べ2.5%減の672億キロワット時となりました。
このうち、電灯需要については、4.1%減の218億キロワット時、電力需要については、1.7%減の454億キロワット時となりました。
一方、当社の販売電力量(卸売)は、東北6県及び新潟県以外への卸売が増加したことなどから、8.8%増の177億キロワット時となりました。
この結果、当社の販売電力量(全体)は、0.3%減の848億キロワット時となりました。
これに対応する供給については、引き続き原子力発電所の運転停止などに伴う供給力の減少があるものの、火力発電所の補修時期の調整や能代火力発電所3号機の新設などにより安定した供給力を確保しました。
収支の状況については、当社において、電力小売全面自由化に伴う競争激化の影響などにより、販売電力量(小売)は減少したものの、東北6県及び新潟県以外への販売電力量(卸売)が増加したことなどから、売上高は2兆256億円となり、前連結会計年度に比べ、97億円(0.5%)の増収となりました。
営業利益については、販売電力量(小売)の減少影響などがあったものの、能代火力発電所3号機の運転開始による燃料費改善効果や、生産性・効率性のさらなる向上に努めたことなどに加えて、燃料費調整制度のタイムラグ影響が利益を大きく押し上げたことから、1,011億円となり、前連結会計年度に比べ、362億円(55.8%)の増益となりました。
[建設業]
公共投資は底堅く推移し、民間設備投資は高水準の企業収益を背景に増加基調で推移したものの、受注競争の激化やオリンピック需要の増加などによる労務費・資材費の上昇傾向が続きました。
連結子会社の株式会社ユアテックにおいては、関東圏での収益拡大、リニューアル営業の強化、海外事業の強化を柱に事業を展開してまいりました。
この結果、売上高は、海外を含む一般向け工事が増加したものの、電力関連工事が減少したことなどから2,731億円となり、前連結会計年度に比べ、27億円(1.0%)の減収となりました。
営業利益については、売上高減少に伴い工事原価が減少したものの、情報システム関連費用が増加したことなどから、87億円となり、前連結会計年度に比べ、21億円(19.6%)の減益となりました。
[その他]
売上高は、サービス業や情報通信事業において、増加したことなどから2,282億円となり、前連結会計年度に比べ、32億円(1.4%)の増収となりました。
営業利益については、製造業において製品販売量の減少により利益が減少したことなどから、97億円となり、前連結会計年度に比べ、10億円(10.0%)の減益となりました。
(3) 財政状態の分析
資産は、能代火力発電所3号機運転開始により電気事業固定資産が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ644億円(1.5%)増の4兆3,230億円となりました。
負債は、発電所建設などに充てるための有利子負債が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ340億円(1.0%)増の3兆4,589億円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ304億円(3.7%)増の8,641億円となりました。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末から0.4ポイント上昇し、18.3%となりました。
なお、東日本大震災により大幅に棄損した財務基盤を回復させることを目的に、「東北電力グループ中期経営方針(2017年~2020年度)」では、「2020年度までに自己資本比率(連結決算ベース)25%以上」を財務目標として設定しておりました。
これまでの経営効率化の成果等により、自己資本額としては震災前とほぼ同程度の水準、自己資本比率は一定の水準(2016年度末比1.5ポイント上昇)にまで回復することができました。
(4) キャッシュ・フローの状況の分析
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
燃料費調整制度のタイムラグ影響による利益増などにより収入が増加したことから、前連結会計年度に比べ1,087億円(41.4%)増の3,715億円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
能代火力発電所3号機や上越火力発電所1号機の新設工事などにより設備投資が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ600億円(24.0%)増の3,106億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
発電所建設などに充てるための有利子負債が増加し、社債の発行が増加したことなどから、前連結会計年度の支出から収入に転じ、67億円の収入(前連結会計年度は693億円の支出)となりました。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に比べ673億円(36.4%)増の2,523億円となりました。
フリー・キャッシュ・フロー※は前連結会計年度に比べ465億円(152.1%)増の771億円となりました。
※ フリー・キャッシュ・フロー
<算出方法>営業活動によるキャッシュ・フロー + 投資活動によるキャッシュ・フロー - 利息及び配当金の受取額
- 利息の支払額
(単位:億円)
また、キャッシュ・フロー指標の変動は次のとおりであります。
(注)1 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
2 インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業活動によるキャッシュ・フロー/利息の支払額
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
① 資金調達方針並びに状況
当社は、電気事業における安定供給に必要な発電設備や送配電設備の形成を目的とした設備投資及び社債などの償還資金に充当するため、資金調達環境の動向を注視しながら、資金需要や有利子負債、現金及び現金同等物の適正な保有額などを総合的に勘案し、社債の発行及び金融機関からの借入金を組み合わせて安定的に資金を調達しております。
社債については、当連結会計年度において、一般担保付社債を総額2,350億円発行しております。これらは、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりA+、株式会社日本格付研究所(JCR)よりAAの長期債格付を取得しております。なお、当社は、2020年3月27日に「電気事業法等の一部を改正する等の法律(平成27年法律第47号)」(平成27年6月成立)に基づき、経済産業大臣の認定のもと、2020年度から5年間に限り、一般担保付社債の発行が可能となる経過措置を受けております。
また、当社は、2020年2月に、再生可能エネルギーの開発などを資金使途とした「東北電力グリーンボンド」を発行し、当社の再生可能エネルギー事業に対する積極的な取り組みを資金調達面から支えるとともに、さらなる資金調達の多様性や安定性の確保に努めております。
上記による資金調達の結果、当連結会計年度末の社債発行残高及び借入金残高はそれぞれ1兆500億円、1兆3,626億円となっております。
短期的な資金需要に対しては、機動的なつなぎ資金調達の手段としてコマーシャル・ペーパーなどを活用しております。コマーシャル・ペーパーは、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりa-1の短期債格付を取得しており、当連結会計年度は2,000億円の発行限度枠を設定しております。
② 資金の流動性に係る情報
当社は、月次での資金計画などにより、資金需要を的確に把握することに努めるとともに、金融機関との間に当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結していることから、電力需要の変動などに伴い、営業活動によるキャッシュ・フローが減少した場合でも、必要に応じて極度枠の範囲内で速やかに資金調達ができる体制を整えることにより、充分な流動性を確保しております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社企業グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況」に記載されているとおりであります。
当社企業グループは、固定資産の減損、繰延税金資産、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。このうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況」の追加情報に記載しております。
繰延税金資産
当社企業グループでは、繰延税金資産の回収可能性について、毎期検討を行っております。繰延税金資産は将来減算一時差異を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しております。電力小売全面自由化の進展による競争の激化など当社企業グループを取り巻く環境は大きく変化しているものの、繰延税金資産の認識に際しては、課税所得が生じる可能性の判断において、近い将来に収益力を大きく変化させるような経営環境の変化が見込まれないとの認識に基づき、将来獲得しうる課税所得の時期及び金額を合理的に見積り、金額を算定しております。
課税所得が生じる時期及び金額は、将来の事業環境や当社の事業活動の推移、その他の要因によって影響を受ける可能性があり、実際に生じた時期及び金額が見積りと異なった場合、翌連結会計年度以降の連結経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
(6) 生産、受注及び販売の実績
当社企業グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であるため「生産実績」を定義することが困難であります。また、建設業においては請負形態をとっており、「販売実績」という定義は実態にそぐわないため、生産、受注及び販売の実績については、記載可能な情報を「(2)経営成績の分析」においてセグメントの業績に関連付けて記載しております。
なお、当社個別の事業の状況は次のとおりであります。
① 供給力実績
(注) 1 融通・他社受電電力量には、連結子会社からの受電電力量(酒田共同火力発電㈱4,553百万kWh、東北自然エネルギー㈱547百万kWh他)を含んでおります。
2 融通・他社受電電力量の上段は受電電力量、下段は送電電力量を示しております。
3 融通・他社受電電力量には系統運用等を含んでおります。
4 揚水発電所の揚水用電力量とは貯水池運営のため揚水用に使用する電力であります。
5 出水率は、1988年度から2017年度までの30ヶ年平均に対する比であります。
6 個々の数値の合計と合計欄の数値は、四捨五入の関係で一致しない場合があります。
② 販売実績
(注) 1 卸売には特定融通等を含んでおります。
2 個々の数値の合計と合計欄の数値は、四捨五入の関係で一致しない場合があります。
③ 資材の状況
石炭及び燃料油等の受払状況
(1)事業の経過
① 企業グループを取り巻く経営環境
2019年度のわが国経済は、消費税率引上げなどの影響を受けつつも緩やかに拡大しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、消費が落ち込むとともに企業収益も製造業を中心に悪化しており、厳しい状況となっております。また、東北地域における経済についても、景況感が急速に悪化するなど、先行きの不透明感が拡大しております。
東北6県及び新潟県では、他地域と比較して人口減少や少子高齢化が加速しており、今後、様々な分野で社会課題が顕在化していくことも想定され、社会構造が大きく変化しようとしております。また、東日本大震災の被災地では、鉄道、道路、港湾などを中心に復興は着実に進んでおりますが、昨年10月の令和元年東日本台風(台風19号)の影響により、送配電設備を含め東北各地で甚大な被害を受けました。
電力業界においては、電力小売全面自由化による競争激化に加えて、再生可能エネルギーの導入拡大、脱炭素化、デジタル化の進展などによる電力需給構造の変化がみられました。
このようななか、当社企業グループは、東北電力グループスローガン「より、そう、ちから。」のもと、これまで以上にお客さまや地域のみなさまのご期待に応えつつ、地域とともに持続的に成長していくため、様々な施策を展開してまいりました。
(発電・販売事業)
② 利益創出力の強化と新ビジネスの検討
電力販売では、2016年4月の小売全面自由化以降、新電力との厳しい競争が続いております。そのため、家庭用のお客さま向けには、「東北電力 冬のくらし全力応援! +ONeキャンペーン」をはじめとする各種プロモーションを展開するとともに、固定価格買取制度の買取期間満了を迎えた家庭用太陽光発電設備をお持ちのお客さま向けサービスである「ツナガルでんき」の提供も開始いたしました。また、法人のお客さま向けには、当社独自のエネルギーマネジメントシステム「エグゼムズ(exEMS)」の提供に加え、「BCP(事業継続計画)関連支援サービス」の拡充や、「福利厚生アウトソーシングサービス」の新たな提供など、競争力強化に向け、ソリューションサービスの充実にも取り組んでまいりました。
関東圏においては、株式会社シナジアパワーや株式会社東急パワーサプライを通じて、販売電力量を拡大してまいりました。また、東北電力エナジートレーディング株式会社による市場取引を通じた収益力強化にも取り組んでまいりました。
地域に分散して存在するエネルギーリソースを遠隔制御し集約することで、あたかも一つの発電所のように機能させる「VPP(バーチャルパワープラント)」については、地域の自治体との協働のほか、世界最大規模のVPP事業者であるネクストクラフトベルケ社との戦略的連携により、将来の事業化に向けた実証を進めております。
③ 発電事業の競争力強化
火力発電については、供給力の中心として安定運用に努めるとともに、高い経済性と環境負荷低減の両立に向けた取り組みを進めてまいりました。具体的には、本年3月、石炭を使用する発電設備としては、世界最高水準の熱効率を有する能代火力発電所3号機(60万キロワット)の営業運転を開始し、昨年5月、LNGを使用する上越火力発電所1号機(57.2万キロワット)の建設工事に着手いたしました。また、秋田火力発電所2号機及び3号機を廃止するなど、経年化が進む発電所の休廃止を段階的に進めてまいりました。
燃料調達については、燃料費の低減や調達の柔軟性確保に向けた取り組みに加え、東北電力エナジートレーディング株式会社と連携した燃料先物取引の活用など、リスクの抑制や収益性の拡大に取り組んでまいりました。
④ 再生可能エネルギーに関する取り組み
当社企業グループでは、再生可能エネルギーについて、東北6県及び新潟県には風力発電などに適した地点が多いことを踏まえ、風力発電を主軸に、200万キロワットの開発に取り組んでおります。具体的には、秋田県北部洋上風力発電事業など複数の開発可能性調査に出資参画しており、本年の3月末時点においては、開発案件が事業化された場合の持分出力の累計は約30万キロワットとなっております。
また、水力発電について、これまで積極的に取り組んできており、当社は205ヵ所で合計約245万キロワットの発電所を保有しております。これらの発電所を効率的に運用するため、本年3月、発電所とダムを一体的に遠隔監視制御する「水力運用センター」の本格運用を開始いたしました。
⑤ 原子力発電所の安全性向上
原子力発電については、新規制基準への適合性審査に対し、全社をあげて対応してまいりました。女川原子力発電所2号機については、本年2月、原子力規制委員会から原子炉設置変更許可を受けました。引き続き、設計及び工事の計画認可などに係る審査に対しても万全を期して対応してまいります。また、東通原子力発電所1号機については、震源として考慮する活断層、基準津波及び基準地震動の評価に関する審査が進められております。当社といたしましては、新規制基準への適合にとどまらず、より高いレベルでの安全確保に向けて、最新の知見も取り入れながら、設備面と運用面の両面から、さらなる安全性の向上に向けて着実に取り組んでまいります。
原子力発電所の再稼働については、地域のみなさまのご理解が何よりも重要と考えております。今後とも、地域のみなさまからご理解をいただけるよう、丁寧な理解活動にしっかりと取り組んでまいります。
女川原子力発電所1号機については、本年3月、廃止措置計画が認可されました。当社といたしましては、廃止措置計画に基づき、安全確保を最優先に廃止措置に取り組んでまいります。
なお、女川原子力発電所2号機の安全対策工事については、2020年度の完了を目指して取り組んでまいりましたが、原子炉設置変更許可がなされたことを受け、全体工程がより詳細に見通せる状況となったことから、あらためて工事の完了時期を評価した結果、2022年度の完了を目指して工事を進めていくことといたしました。
(送配電事業)
⑥ 災害対応と電力設備強靭化
昨年10月、東北地方に甚大な被害をもたらした令和元年東日本台風(台風19号)に対し、これまでの経験を踏まえ、迅速に防災体制を整え、被害状況の早期把握と復旧作業を行いました。河川の浸水や土砂崩れによる道路の寸断などで復旧作業に着手できず、停電が長期化した一部地域については、ホームページやツイッターに加え、自治体に派遣した連絡要員を通じてきめ細かな情報提供に努めました。
また、昨年9月、千葉県を中心に甚大な被害をもたらした令和元年房総半島台風(台風15号)への対応において、東京電力パワーグリッド株式会社に対し、延べ3,665名の要員などの応援派遣を行い、停電が広域化・長期化するなかで、被害状況の把握、配電線の改修作業、高圧発電機車による供給など、電力の復旧に協力しました。
さらに、大規模停電を回避する設備形成や維持運用、様々な状況を想定した訓練に加え、災害時における迅速な復旧活動などを目的として、陸上自衛隊、海上自衛隊、東日本高速道路株式会社及び各自治体などと協定を締結し、連携をはかるなど、対応力の強化に取り組んでまいりました。
⑦ 送配電事業の効率化
送配電事業については、日々の設備巡視・点検や保修工事などの的確なメンテナンスにより安定供給・業務品質の向上と効率化の両立に努めてまいりました。具体的には、ドローンによる送電線の自動追尾点検の試行導入、AIを活用した送電鉄塔の腐食劣化度合いを判定するシステムの開発・運用、スマートグラスシステムを活用した変電所の運転・保修の実施など、新技術の採用により、一層の効率化を推進してまいりました。
⑧ 再生可能エネルギーの連系拡大に向けた取り組み
太陽光発電や風力発電を行う事業者などからの送電網への接続申込みの増加を踏まえ、既存の送電設備を最大限活用する施策に取り組んでまいりました。
また、国の認可法人である電力広域的運営推進機関と連携し、東北東京間連系線などの送電網の整備・拡充や、東北北部エリアの電源接続案件募集プロセスの実施など、再生可能エネルギーの連系拡大に取り組んでまいりました。
⑨ 送配電事業の分社化
当社は、本年4月からの送配電部門の法的分離に対応し、当社企業グループのさらなる企業価値の向上に向けて、100%子会社である「東北電力ネットワーク株式会社」に一般送配電事業等を分社いたしました。
同社は、安全確保を最優先に、東北6県及び新潟県における電力の安定供給を果たし、中立性・公平性のより一層の確保と的確かつ質の高いサービス提供に努めてまいります。
(2)経営成績の分析
当連結会計年度の企業グループの収支については、当社において、電力小売全面自由化に伴う競争激化の影響などにより、販売電力量(小売)は減少したものの、東北6県及び新潟県以外への販売電力量(卸売)が増加したことなどから、売上高は2兆2,463億円となり、前連結会計年度に比べ、20億円(0.1%)の増収となりました。
なお、売上高には、再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づく再エネ特措法交付金・再エネ特措法賦課金及び間接オークションに伴う自己約定分等が合計4,959億円含まれておりますが、費用側にも計上されることから、当社の収支に影響を与えるものではありません。
経常利益については、販売電力量(小売)の減少影響などがあったものの、能代火力発電所3号機の運転開始による燃料費改善効果や、企業グループ一体となって生産性・効率性のさらなる向上に努めたことなどに加えて、燃料費調整制度のタイムラグ影響※が利益を大きく押し上げたことから、999億円となり、前連結会計年度に比べ、342億円(52.1%)の増益となりました。
また、令和元年東日本台風(台風19号)による被害設備の復旧に要する費用など61億円を特別損失に計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は630億円となり、 前連結会計年度に比べ、165億円(35.7%)増加しました。
※燃料費調整制度は、為替レートなどの変化に伴う、輸入燃料の価格変動を、毎月、自動的に電気料金に反映させ調整する制度であります。具体的には、燃料価格の3カ月平均の値から燃料費調整単価を算定し、それを2カ月後の電気料金に反映させる仕組みとなっており、燃料価格の変動が実際に料金収入に反映されるまで一定のタイムラグが生じることとなります。

当連結会計年度におけるセグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は次のとおりであります。
[電気事業]
当社の販売電力量(小売)は、前連結会計年度に比べ冬の気温が高かったことによる暖房需要の減少や競争激化による契約の切り替え、産業用での生産減などから、前連結会計年度に比べ2.5%減の672億キロワット時となりました。
このうち、電灯需要については、4.1%減の218億キロワット時、電力需要については、1.7%減の454億キロワット時となりました。
一方、当社の販売電力量(卸売)は、東北6県及び新潟県以外への卸売が増加したことなどから、8.8%増の177億キロワット時となりました。
この結果、当社の販売電力量(全体)は、0.3%減の848億キロワット時となりました。
これに対応する供給については、引き続き原子力発電所の運転停止などに伴う供給力の減少があるものの、火力発電所の補修時期の調整や能代火力発電所3号機の新設などにより安定した供給力を確保しました。
収支の状況については、当社において、電力小売全面自由化に伴う競争激化の影響などにより、販売電力量(小売)は減少したものの、東北6県及び新潟県以外への販売電力量(卸売)が増加したことなどから、売上高は2兆256億円となり、前連結会計年度に比べ、97億円(0.5%)の増収となりました。
営業利益については、販売電力量(小売)の減少影響などがあったものの、能代火力発電所3号機の運転開始による燃料費改善効果や、生産性・効率性のさらなる向上に努めたことなどに加えて、燃料費調整制度のタイムラグ影響が利益を大きく押し上げたことから、1,011億円となり、前連結会計年度に比べ、362億円(55.8%)の増益となりました。
[建設業]
公共投資は底堅く推移し、民間設備投資は高水準の企業収益を背景に増加基調で推移したものの、受注競争の激化やオリンピック需要の増加などによる労務費・資材費の上昇傾向が続きました。
連結子会社の株式会社ユアテックにおいては、関東圏での収益拡大、リニューアル営業の強化、海外事業の強化を柱に事業を展開してまいりました。
この結果、売上高は、海外を含む一般向け工事が増加したものの、電力関連工事が減少したことなどから2,731億円となり、前連結会計年度に比べ、27億円(1.0%)の減収となりました。
営業利益については、売上高減少に伴い工事原価が減少したものの、情報システム関連費用が増加したことなどから、87億円となり、前連結会計年度に比べ、21億円(19.6%)の減益となりました。
[その他]
売上高は、サービス業や情報通信事業において、増加したことなどから2,282億円となり、前連結会計年度に比べ、32億円(1.4%)の増収となりました。
営業利益については、製造業において製品販売量の減少により利益が減少したことなどから、97億円となり、前連結会計年度に比べ、10億円(10.0%)の減益となりました。
(3) 財政状態の分析
資産は、能代火力発電所3号機運転開始により電気事業固定資産が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ644億円(1.5%)増の4兆3,230億円となりました。
負債は、発電所建設などに充てるための有利子負債が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ340億円(1.0%)増の3兆4,589億円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ304億円(3.7%)増の8,641億円となりました。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末から0.4ポイント上昇し、18.3%となりました。
なお、東日本大震災により大幅に棄損した財務基盤を回復させることを目的に、「東北電力グループ中期経営方針(2017年~2020年度)」では、「2020年度までに自己資本比率(連結決算ベース)25%以上」を財務目標として設定しておりました。
これまでの経営効率化の成果等により、自己資本額としては震災前とほぼ同程度の水準、自己資本比率は一定の水準(2016年度末比1.5ポイント上昇)にまで回復することができました。
(4) キャッシュ・フローの状況の分析
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
燃料費調整制度のタイムラグ影響による利益増などにより収入が増加したことから、前連結会計年度に比べ1,087億円(41.4%)増の3,715億円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
能代火力発電所3号機や上越火力発電所1号機の新設工事などにより設備投資が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ600億円(24.0%)増の3,106億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
発電所建設などに充てるための有利子負債が増加し、社債の発行が増加したことなどから、前連結会計年度の支出から収入に転じ、67億円の収入(前連結会計年度は693億円の支出)となりました。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に比べ673億円(36.4%)増の2,523億円となりました。
フリー・キャッシュ・フロー※は前連結会計年度に比べ465億円(152.1%)増の771億円となりました。
※ フリー・キャッシュ・フロー
<算出方法>営業活動によるキャッシュ・フロー + 投資活動によるキャッシュ・フロー - 利息及び配当金の受取額
- 利息の支払額
(単位:億円)
| 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 増 減 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー(A) | 2,628 | 3,715 | 1,087 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー(B) | △2,505 | △3,106 | △600 |
| 利息及び配当金の受取額(C) | 11 | 11 | 0 |
| 利息の支払額(D) | △195 | △174 | 21 |
| フリー・キャッシュ・フロー(A+B-C-D) | 306 | 771 | 465 |
また、キャッシュ・フロー指標の変動は次のとおりであります。
| 前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 9.1 | 6.5 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 13.4 | 21.3 |
(注)1 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
2 インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業活動によるキャッシュ・フロー/利息の支払額
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
① 資金調達方針並びに状況
当社は、電気事業における安定供給に必要な発電設備や送配電設備の形成を目的とした設備投資及び社債などの償還資金に充当するため、資金調達環境の動向を注視しながら、資金需要や有利子負債、現金及び現金同等物の適正な保有額などを総合的に勘案し、社債の発行及び金融機関からの借入金を組み合わせて安定的に資金を調達しております。
社債については、当連結会計年度において、一般担保付社債を総額2,350億円発行しております。これらは、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりA+、株式会社日本格付研究所(JCR)よりAAの長期債格付を取得しております。なお、当社は、2020年3月27日に「電気事業法等の一部を改正する等の法律(平成27年法律第47号)」(平成27年6月成立)に基づき、経済産業大臣の認定のもと、2020年度から5年間に限り、一般担保付社債の発行が可能となる経過措置を受けております。
また、当社は、2020年2月に、再生可能エネルギーの開発などを資金使途とした「東北電力グリーンボンド」を発行し、当社の再生可能エネルギー事業に対する積極的な取り組みを資金調達面から支えるとともに、さらなる資金調達の多様性や安定性の確保に努めております。
上記による資金調達の結果、当連結会計年度末の社債発行残高及び借入金残高はそれぞれ1兆500億円、1兆3,626億円となっております。
短期的な資金需要に対しては、機動的なつなぎ資金調達の手段としてコマーシャル・ペーパーなどを活用しております。コマーシャル・ペーパーは、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりa-1の短期債格付を取得しており、当連結会計年度は2,000億円の発行限度枠を設定しております。
② 資金の流動性に係る情報
当社は、月次での資金計画などにより、資金需要を的確に把握することに努めるとともに、金融機関との間に当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結していることから、電力需要の変動などに伴い、営業活動によるキャッシュ・フローが減少した場合でも、必要に応じて極度枠の範囲内で速やかに資金調達ができる体制を整えることにより、充分な流動性を確保しております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社企業グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況」に記載されているとおりであります。
当社企業グループは、固定資産の減損、繰延税金資産、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。このうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況」の追加情報に記載しております。
繰延税金資産
当社企業グループでは、繰延税金資産の回収可能性について、毎期検討を行っております。繰延税金資産は将来減算一時差異を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しております。電力小売全面自由化の進展による競争の激化など当社企業グループを取り巻く環境は大きく変化しているものの、繰延税金資産の認識に際しては、課税所得が生じる可能性の判断において、近い将来に収益力を大きく変化させるような経営環境の変化が見込まれないとの認識に基づき、将来獲得しうる課税所得の時期及び金額を合理的に見積り、金額を算定しております。
課税所得が生じる時期及び金額は、将来の事業環境や当社の事業活動の推移、その他の要因によって影響を受ける可能性があり、実際に生じた時期及び金額が見積りと異なった場合、翌連結会計年度以降の連結経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
(6) 生産、受注及び販売の実績
当社企業グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であるため「生産実績」を定義することが困難であります。また、建設業においては請負形態をとっており、「販売実績」という定義は実態にそぐわないため、生産、受注及び販売の実績については、記載可能な情報を「(2)経営成績の分析」においてセグメントの業績に関連付けて記載しております。
なお、当社個別の事業の状況は次のとおりであります。
① 供給力実績
| 種別 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年度比(%) | |
| 自社発電電力量 | |||
| 水力発電電力量 | (百万kWh) | 8,086 | 109.7 |
| 火力発電電力量 | (百万kWh) | 52,223 | 97.0 |
| 原子力発電電力量 | (百万kWh) | △215 | 100.2 |
| 新エネルギー等発電電力量 | (百万kWh) | 670 | 91.6 |
| 融通・他社受電電力量 | (百万kWh) | 37,203 △6,462 | 106.3 94.7 |
| 揚水発電所の揚水用電力量 | (百万kWh) | △79 | 86.3 |
| 合計 | (百万kWh) | 91,425 | 101.8 |
| 出水率 | (%) | 100.2 | ― |
(注) 1 融通・他社受電電力量には、連結子会社からの受電電力量(酒田共同火力発電㈱4,553百万kWh、東北自然エネルギー㈱547百万kWh他)を含んでおります。
2 融通・他社受電電力量の上段は受電電力量、下段は送電電力量を示しております。
3 融通・他社受電電力量には系統運用等を含んでおります。
4 揚水発電所の揚水用電力量とは貯水池運営のため揚水用に使用する電力であります。
5 出水率は、1988年度から2017年度までの30ヶ年平均に対する比であります。
6 個々の数値の合計と合計欄の数値は、四捨五入の関係で一致しない場合があります。
② 販売実績
| 種別 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年度比(%) | |
| 販売電力量(百万kWh) | 電灯 | 21,813 | 95.9 |
| 電力 | 45,354 | 98.3 | |
| 小売 計 | 67,167 | 97.5 | |
| 卸売 | 17,652 | 108.8 | |
| 合計 | 84,819 | 99.7 | |
(注) 1 卸売には特定融通等を含んでおります。
2 個々の数値の合計と合計欄の数値は、四捨五入の関係で一致しない場合があります。
③ 資材の状況
石炭及び燃料油等の受払状況
| 区分 | 単位 | 2019年 3月末 在庫量 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 2020年 3月末 在庫量 | |||
| 受入 | 前年度比 (%) | 払出 | 前年度比 (%) | ||||
| 石炭 | t | 702,043 | 8,379,094 | 103.0 | 8,388,607 | 104.9 | 692,530 |
| 重油 | kl | 133,646 | 118,326 | 38.4 | 149,430 | 55.4 | 102,542 |
| 原油 | kl | 87,278 | 25,053 | 23.5 | 65,774 | 77.4 | 46,557 |
| LNG | t | 214,870 | 4,279,501 | 93.7 | 4,302,570 | 94.1 | 191,801 |