四半期報告書-第172期第1四半期(令和2年1月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/05/27 15:37
【資料】
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【項目】
20項目
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界的に景気が急速に悪化しました。特に、2020年3月以降当社グループの国内外の事業にも影響を及ぼし始めました。
こうした環境下、当第1四半期連結累計期間における当社グループの業績は、収益は2,527億37百万円(前年同期比0.9%増)、売上総利益は2,271億70百万円(同0.4%減)、売上総利益のオーガニック成長率は△0.8%となりました。景気の悪化に対応したコストコントロールに努めたことなどにより、調整後営業利益は372億37百万円(同52.2%増)、オペレーティング・マージン(調整後営業利益÷売上総利益)は16.4%(前年同期は10.7%)、営業利益は246億94百万円(前年同期比165.7%増)、親会社の所有者に帰属する調整後四半期利益は203億58百万円(同62.2%増)となりました。条件付対価に係る公正価値変動額の増加などにより、親会社の所有者に帰属する四半期利益は153億56百万円(前年同期は四半期損失25億83百万円)となりました。
調整後営業利益は、営業利益から、買収に伴う無形資産の償却費、M&Aに伴う費用、被買収会社に帰属する株式報酬費用ならびに減損、固定資産の売却損益などの一時的要因を排除した恒常的な事業の業績を測る利益指標であります。
親会社の所有者に帰属する調整後四半期利益は、四半期利益から、営業利益に係る調整項目、条件付対価に係る公正価値変動額(アーンアウト債務再評価損益)・株式買取債務に係る再測定額(買収関連プットオプション再評価損益)、これらに係る税金相当・非支配持分損益相当などを排除した、親会社所有者に帰属する恒常的な損益を測る指標であります。
当第1四半期連結累計期間における報告セグメントの業績は、次のとおりです。
① 国内事業
国内事業の業務区分別売上高では、テレビ(前年同期比2.8%減)、インターネット(同2.7%減)、新聞(同19.6%減)などは前年同期を下回りましたが、マーケティング/プロモーション(同27.8%増)、クリエーティブ(同1.8%増)などは増加しました。この結果、国内事業の売上総利益は1,037億15百万円(同2.1%増)、売上総利益のオーガニック成長率は2.1%、調整後営業利益は300億69百万円(同22.0%増)、オペレーティング・マージンは29.0%(前年同期は24.3%)となりました。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う国内事業の業績への直接的な影響は、当第1四半期連結累計期間においては、まださほど大きなものとはなっていません。
② 海外事業
海外事業の売上総利益のオーガニック成長率は、地域別では、ヨーロッパ、中東およびアフリカ(以下「EMEA」)が△0.4%、米州(以下「Americas」)が1.2%、アジア太平洋(日本を除く。以下「APAC」)が△19.5%となり、全体では△3.3%となりました。主要国別にみると、イギリス、イタリア、ロシア、米国などは堅調でしたが、ドイツ、フランス、カナダ、中国、オーストラリア、インド、タイは厳しい状況となっています。特に3月は数多くの市場で、新型コロナウイルス感染症の拡大による悪影響を受けています。
海外事業の売上総利益は、1,232億10百万円(前年同期比2.6%減)となりましたが、リストラによるコスト削減や、景気の悪化に対応したコストコントロールに努めたことなどにより、調整後営業利益は86億55百万円(前年同期は調整後営業損失1億83百万円)、オペレーティング・マージンは7.0%となりました。
当第1四半期連結会計期間末の財政状態については、前連結会計年度末と比べ、主に現金及び現金同等物および営業債権及びその他の債権ならびにその他の金融資産が減少したことなどにより、資産合計で3,793億43百万円の減少となりました。一方、主に営業債務及びその他の債務が減少したことなどにより、負債合計で2,503億5百万円の減少となりました。また、主にその他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動が減少したことなどにより、資本合計は1,290億38百万円の減少となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、2,597億61百万円となりました。営業活動による支出などにより、前連結会計年度末に比べ1,542億93百万円の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は、前年同四半期連結累計期間に比べ228億87百万円減少し、1,154億39百万円となりました。主に営業債務及びその他の債務が減少した一方で、税引前四半期利益に転じたことおよび法人所得税の支払額が減少したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、前年同四半期連結累計期間に比べ28億23百万円減少し、156億66百万円となりました。主に子会社の取得による支出が増加した一方で、有価証券の売却による収入が増加したこと、有価証券の取得による支出および固定資産の取得による支出が減少したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果により支出した資金は、前年同四半期連結累計期間に比べ429億38百万円増加し、116億10百万円となりました。主に短期借入金、長期借入による収入が減少したことおよび自己株式の取得による支出が増加したことなどによるものです。
(3)事業上および財務上の対処すべき課題
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、世界中で出入国規制や外出制限などの措置が取られています。当社グループは145以上の国・地域で事業を展開しており、各国の政府および自治体の指導に沿った対応をしています。日本においては、いち早くリモートワークに移行するなど、感染拡大防止に向けた措置を講じており、海外においても感染が拡大している国・地域ではリモートワークを実施しています。また、当社グループでは、従業員の雇用を守ることと、従業員とその家族への各種サポートに注力しています。全世界の従業員を対象にした調査等による相互コミュニケーションにより、より効果的な施策の提供に努めています。
当環境下においても、お取引先からのご要望には適切かつ迅速に対応できる事業体制を維持し、お取引様のパートナーとして事業の維持・成長に貢献すべく努めています。また、当社グループの調査・分析・予測の機能を活用し、「withコロナ」あるいは「afterコロナ」の世界を見据え、そのインサイトを企業・団体に提供するなど、当社グループがコロナ禍においてできるあらゆる施策を検討し、実施しています。例えば、当社グループが主要国で実施している「COVID-19生活者意識ナビゲーター」調査を活用し、お取引先に定期的かつタイムリーな市場動向、企業・団体のあるべき姿勢・行動、需要変化、ブランドマネジメントに関するインサイトを提供しています。
医療従事者・事業者・住民への支援など、地域社会への貢献活動を国内外で実施しています。例えば、影響の大きかったアジア地域では、お取引先が医療従事者へ食料を提供する活動の支援、中国では医薬品メーカーとの協働で無料オンライン医療診断サービスなどを行いました。
今後も当社グループは、従業員とその家族、お取引先、地域社会の安全と健康の確保を最優先としつつ、各国政府の方針や行動計画に基づき、感染症拡大防止に努めると同時に、社会・経済の活性化に貢献すべく迅速に対応してまいります。
当社グループの役割は、グループに内在する多様なカルチャーと多彩なスキル、並びにネットワークする社外の知見やスキルを融合することによるイノベーションを通じて、お取引先の事業の成功、ひいては社会や経済の活性化に貢献することにあります。コロナ禍の今、一企業市民として、また全世界で約11,000社に及ぶお取引先のパートナーとして事業に取り組むことで、サステナブルな社会の創造に貢献するという当社グループの役割を果たしていきたいと考えています。
この緊急事態においては、従業員とその家族、お取引先、地域社会の安全と健康の確保を基本方針としています。とりわけ、従業員こそが「最大の資産」である当社の事業モデルにおいては、社会的使命である「従業員の雇用を守る」ことにとどまらず、「従業員の安全・健康を守ること」が何よりも大事であると考えています。世界中で働く66,000名の「電通人」が不安を抱えることなく、矜持を持って果たすべき役割を全うできる環境を整備します。そして、経営陣と従業員、電通グループ全社が一丸となってこの難局を乗り越えていきます。
当第1四半期連結累計期間においては、上記以外には事業上および財務上の対処すべき課題に、重要な変更および新たに発生した課題はありません。
(4)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、3億20百万円であり、国内事業における情報サービス業に属するものです。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因および経営戦略の現状と見通し
① 経営成績に重要な影響を与える要因
当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営成績に重要な影響を与える要因」に、重要な変更はありません。
② 経営戦略の現状と見通し
当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営戦略の現状と見通し」に、上記(3)事業上および財務上の対処すべき課題の記載事項を除き、重要な変更はありません。
(6)資本の財源および資金の流動性についての分析
① 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、広告作業実施のための媒体料金および制作費の支払等ならびに人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。
また、近年においては既存事業の拡大、新規事業の発掘および開発のため、海外事業やデジタルテクノロジー領域をはじめとした様々な領域への投資に係る資金需要が生じております。
② 財務政策
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金、社債、コマーシャル・ペーパーまたは短期借入金により調達することとしております。また、債権の流動化も実施しております。
当社は、資金の短期流動性を確保するため、シンジケーション方式による極度額500億円(当第1四半期連結会計期間末)の銀行融資枠を設定しています。また、電通イージス・ネットワーク社においては、緊急時対応として、5億ポンド(約666億円)(当第1四半期連結会計期間末)の銀行融資枠を設定しています。さらに、グループ内の資金効率の向上を図るべく、資金余剰状態にある子会社から親会社が資金を借り入れ、資金需要が発生している子会社に貸出を行うキャッシュ・マネジメント・システムを導入しております。
なお、当社は、格付機関である株式会社格付投資情報センター(R&I)から長期格付AA-、短期格付a-1+を取得しております。
(7)経営者の問題意識と今後の方針について
当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者の問題意識と今後の方針について」に、上記(3)事業上および財務上の対処すべき課題の記載事項を除き、重要な変更はありません。
(8)従業員数
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数に著しい増減はありません。
(9)生産、受注及び販売の実績
当第1四半期連結累計期間において、著しい変動はありません。
(10)主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、著しい変動はありません。