四半期報告書-第172期第2四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)

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2020/08/13 15:45
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文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界的に景気が急速に悪化しました。特に、2020年3月以降、当社グループの国内外の事業にも影響を及ぼし始めました。
こうした環境下、当第2四半期連結累計期間における当社グループの業績は、収益は4,590億82百万円(前年同期比7.6%減)、売上総利益は4,088億68百万円(同9.0%減)、売上総利益のオーガニック成長率(為替やM&Aの影響を除いた内部成長率)は△8.9%となりました。なお、第2四半期連結会計期間(2020年4月1日~6月30日)のオーガニック成長率は△17.3%でした。景気の悪化に対応したコストコントロールに努めたことなどにより、調整後営業利益は527億47百万円(同17.2%増)、営業利益は287億45百万円(同59.0%増)、オペレーティング・マージン(調整後営業利益÷売上総利益)は12.9%(前年同期は10.0%)、親会社の所有者に帰属する調整後四半期利益は283億4百万円(同23.8%増)と前年同期を上回りました。条件付対価に係る公正価値変動額の増加などにより、親会社の所有者に帰属する四半期利益は157億95百万円(前年同期は四半期損失12億75百万円)となりました。
調整後営業利益は、営業利益から、買収行為に関連する損益および一時的要因を排除した、恒常的な事業の業績を測る利益指標であります。
買収行為に関連する損益:買収に伴う無形資産の償却費、M&Aに伴う費用、被買収会社に帰属する株式報酬費用、完全子会社化に伴い発行した株式報酬費用
一時的要因の例示:減損、固定資産の売却損益など
親会社の所有者に帰属する調整後四半期利益は、四半期利益から、営業利益に係る調整項目、条件付対価に係る公正価値変動額(アーンアウト債務再評価損益)・株式買取債務に係る再測定額(買収関連プットオプション再評価損益)、これらに係る税金相当・非支配持分損益相当などを排除した、親会社所有者に帰属する恒常的な損益を測る指標であります。
当第2四半期連結累計期間における報告セグメントの業績は、次のとおりです。
① 国内事業
国内事業の業務区分別売上高では、マーケティング/プロモーション(前年同期比23.8%増)は前年同期を上回りましたが、テレビ(同11.9%減)、インターネット(同4.9%減)、クリエーティブ(同14.9%減)などは減少しました。特に2020年4月以降、新型コロナウイルス感染症の拡大による悪影響が顕著となりました。この結果、国内事業の売上総利益は1,782億60百万円(同4.4%減)、売上総利益のオーガニック成長率は△4.6%となりました。景気の悪化に対応したコストコントロールに努めたことなどにより、調整後営業利益は380億78百万円(同6.9%増)、オペレーティング・マージンは21.4%(前年同期は19.1%)となりました。
② 海外事業
海外事業の売上総利益のオーガニック成長率は、地域別では、ヨーロッパ、中東およびアフリカ(以下「EMEA」)が△10.7%、米州(以下「Americas」)が△8.3%、アジア太平洋(日本を除く。以下「APAC」)が△23.1%となり、全体では△12.0%となりました。主要国別にみると、ドイツ、ロシア、スイスは堅調でしたが、イギリス、フランス、スペイン、米国、カナダ、ブラジル、中国、オーストラリアなどは厳しい状況となっています。特に2020年3月以降は数多くの市場で、新型コロナウイルス感染症の拡大による悪影響を受けています。
海外事業の売上総利益は、2,305億47百万円(前年同期比12.3%減)となりましたが、リストラによるコスト削減や、景気の悪化に対応したコストコントロールに努めたことなどにより、調整後営業利益は175億40百万円(同87.3%増)、オペレーティング・マージンは7.6%(前年同期は3.6%)と前年同期を上回りました。
当第2四半期連結会計期間末の財政状態については、前連結会計年度末と比べ、主に営業債権及びその他の債権が減少したことにより、資産合計で3,996億38百万円の減少となりました。一方、主に借入金が増加したものの、営業債務及びその他の債務が減少したことなどから、負債合計で3,136億80百万円の減少となりました。また、主に在外営業活動体の換算差額およびその他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動により、その他の資本の構成要素が減少したことなどから、資本合計は859億58百万円の減少となりました。
2020年までの連結ガイドラインとその進捗状況について
前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループが設定した2020年までの連結ガイドラインは下記のとおりです。
① 売上総利益のオーガニック成長率3%以上(2020年までの3年間のCAGR)の達成
② オペレーティング・マージンは2018年より改善
③ 株主還元については安定的な配当を堅持しつつ、今後の業績やキャッシュ・フローの状況を勘案した適切な利益の還元を検討
当第2四半期連結累計期間においての、ガイドラインの進捗は以下のとおりとなっております。
コロナ禍の影響による世界的な景気後退と、それに伴う広告市場の縮小により、上述のとおり当第2四半期連結累計期間のオーガニック成長率は△8.9%(2019年度は△1.0%、2018年度は3.4%)となりました。一方、オペレーティング・マージンについては、コストコントロールにより、12.9%(前年同期は10.0%、2018年度第2四半期連結累計期間は13.7%)となりました。
2020年12月期通期連結業績予想については、コロナ禍が引き続き業界全体の需要減退を引き起こしており、回復のタイミングやレベルが市場によって異なる想定の中、マクロ経済全体のトレンドを見通すことが極めて難しい状況にあります。加えて、今後も各国・地域で判断・実施されるであろう経済活動への制限や支援策が、業界や当社グループの事業にも影響を及ぼすと考えられることから、現時点では2020年12月期通期業績予想の開示を控えることといたしました。今後も引き続き情報収集と分析に努め、2020年12月期通期連結業績予想が一定の合理性をもって算出できる状況になり次第、速やかに開示いたします。
なお、株主還元については、配当額について、中間配当は期初予想通り、1株当たり47.5円と決定しました。期末配当および年間配当については、2020年2月13日に公表した「同47.5円」および「同95円」をそれぞれ「未定」に修正いたします。
当社グループは「事業オペレーションと資本効率に関する見直し」に着手しました。これは事業面だけでなく、資金の有効活用とB/Sマネジメントも対象としているため、配当方針にも影響する可能性があります。これまでは安定配当を基本方針としつつ、段階的な増配を実施して参りましたが、当見直しを通して、改めて長期的な株主価値の向上に資する最適な配当方針にしたいと考えております。期末配当および年間配当、ならびに長期的な配当方針は、当見直しの結果に基づいて決定いたします。配当に関する事項については、2020年12月期決算発表のタイミングで、当見直しの結果と合わせて公表する予定です。
なお、「事業オペレーションと資本効率に関する見直し」の詳細は、「(3)事業上および財務上の対処すべき課題」をご参照ください。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は4,226億44百万円となりました。営業活動による支出および投資活動による支出を財務活動による収入が上回ったため、前連結会計年度末に比べ85億89百万円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は、前年同四半期連結累計期間に比べ328億75百万円減少し、71億60百万円となりました。主に税引前四半期利益が増加したことおよび法人所得税の支払額が減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、前年同四半期連結累計期間に比べ157億50百万円減少し、236億47百万円となりました。主に有価証券の取得による支出が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果により得た資金は、前年同四半期連結累計期間に比べ455億24百万円増加し、497億75百万円となりました。主に、長期借入金の返済による支出が増加したものの、短期借入金の純増減額が増加したことによるものです。
(3)事業上および財務上の対処すべき課題
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、世界中で出入国規制や外出制限などの措置が取られました。当社グループは145以上の国・地域で事業を展開しており、各国の政府および自治体の指導に沿った対応をしています。日本においては、いち早くリモートワークに移行するなど、感染拡大防止に向けた措置を講じており、海外においても感染が拡大している国・地域ではリモートワークを実施しています。また、当社グループでは、従業員の雇用を守ることと、従業員とその家族への各種サポートに注力しています。全世界の従業員を対象にした調査等による相互コミュニケーションにより、より効果的な施策の提供に努めています。
当環境下においても、お取引先からのご要望には適切かつ迅速に対応できる事業体制を維持し、お取引先様のパートナーとして事業の維持・成長に貢献すべく努めています。また、当社グループの調査・分析・予測の機能を活用し、「withコロナ」あるいは「afterコロナ」の世界を見据え、そのインサイトを企業・団体に提供するなど、当社グループがコロナ禍においてできるあらゆる施策を検討し、実施しています。例えば、当社グループが主要国で実施している「COVID-19生活者意識ナビゲーター」調査を活用し、お取引先に定期的かつタイムリーな市場動向、企業・団体のあるべき姿勢・行動、需要変化、ブランドマネジメントに関するインサイトを提供しています。
医療従事者・事業者・住民への支援など、地域社会への貢献活動を国内外で実施しています。例えば、影響の大きかったアジア地域では、お取引先が医療従事者へ食料を提供する活動の支援、中国では医薬品メーカーとの協働で無料オンライン医療診断サービスなどを行いました。
今後も当社グループは、従業員とその家族、お取引先、地域社会の安全と健康の確保を最優先としつつ、各国政府の方針や行動計画に基づき、感染症拡大防止に努めると同時に、社会・経済の活性化に貢献すべく迅速に対応してまいります。
当社グループの役割は、グループに内在する多様なカルチャーと多彩なスキル、並びにネットワークする社外の知見やスキルを融合することによるイノベーションを通じて、お取引先の事業の成功、ひいては社会や経済の活性化に貢献することにあります。コロナ禍の今、一企業市民として、また全世界で約11,000社に及ぶお取引先のパートナーとして事業に取り組むことで、サステナブルな社会の創造に貢献するという当社グループの役割を果たしていきたいと考えています。
この緊急事態においては、従業員とその家族、お取引先、地域社会の安全と健康の確保を基本方針としています。とりわけ、従業員こそが「最大の資産」である当社の事業モデルにおいては、社会的使命である「従業員の雇用を守る」ことにとどまらず、「従業員の安全・健康を守ること」が何よりも大事であると考えています。世界中で働く約65,000名の「電通人」が不安を抱えることなく、矜持を持って果たすべき役割を全うできる環境を整備します。そして、経営陣と従業員、電通グループ全社が一丸となってこの難局を乗り越えていきます。
今後はこの世界的な景気後退がペースを鈍化させながらも継続し、2021年度には僅かに回復基調となる前提で、事業計画を組む必要があると考えます。そのため、今の段階から「事業オペレーションと資本効率に関する見直し」への着手と、事業のトランスフォーメーション加速のための計画に着手しました。当見直しは、合理的な事業構造による統合ソリューションの高度化、コスト構造の変革、バランスシートの効率化加速、これらによる長期的視点での株主価値の最大化を図るものであり、2020年12月期通期決算発表のタイミングで当見直しの結果の発表を予定しています。これにより、アフターコロナのニューノーマルにおいても、顧客企業へのさらなる貢献と当社グループのより力強い成長を実現できるようになると考えています。
当第2四半期連結累計期間においては、上記以外には事業上および財務上の対処すべき課題に、重要な変更および新たに発生した課題はありません。
(4)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、8億32百万円であり、国内事業における情報サービス業に属するものです。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因および経営戦略の現状と見通し
① 経営成績に重要な影響を与える要因
当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営成績に重要な影響を与える要因」に、上記「事業等のリスク」の記載事項を除き、重要な変更はありません。
② 経営戦略の現状と見通し
当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営戦略の現状と見通し」に、上記(3)事業上および財務上の対処すべき課題の記載事項を除き、重要な変更はありません。
(6)資本の財源および資金の流動性についての分析
① 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、広告作業実施のための媒体料金および制作費の支払等ならびに人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。
また、近年においては既存事業の拡大、新規事業の発掘および開発のため、海外事業やデジタルテクノロジー領域をはじめとした様々な領域への投資に係る資金需要が生じております。
② 財務政策
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金、社債、コマーシャル・ペーパーまたは短期借入金により調達することとしております。また、債権の流動化も実施しております。
資金の短期流動性を確保するため、当社はシンジケーション方式による極度額500億円(当第2四半期連結会計期間末)のコミットメントラインを、電通イージス・ネットワーク社は5億ポンド(約662億円)(当第2四半期連結会計期間末)のコミットメントラインを設定しております。また、新型コロナウイルス感染症による影響に備えた流動性確保等の目的で、当社は、金融機関との間で一時的に追加の銀行融資枠を設定しております。さらに、グループ内の資金効率の向上を図るべく、資金余剰状態にある子会社から親会社が資金を借り入れ、資金需要が発生している子会社に貸出を行うキャッシュ・マネジメント・システムを導入しております。
また、当社は、2020年3月19日開催の取締役会において決議した国内無担保普通社債の発行に関する包括決議に基づき、2020年7月8日に無担保普通社債を発行いたしました。詳細は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 16.重要な後発事象」をご参照ください。
なお、当社は、格付機関である株式会社格付投資情報センター(R&I)から長期格付AA-、短期格付a-1+を取得しております。
(7)経営者の問題意識と今後の方針について
当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者の問題意識と今後の方針について」に、上記(3)事業上および財務上の対処すべき課題の記載事項を除き、重要な変更はありません。
(8)従業員数
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数に著しい増減はありません。
(9)生産、受注及び販売の実績
当第2四半期連結累計期間において、著しい変動はありません。
(10)主要な設備
当第2四半期連結累計期間において、著しい変動はありません。