四半期報告書-第173期第3四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/11/12 15:51
【資料】
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【項目】
44項目
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間においては、コロナ禍からの経済回復により、国内および海外3地域(EMEA/Americas/APAC)の全てで大幅な業績回復が見られました。
当第3四半期連結累計期間における当社グループの業績(下表参照)は、売上総利益のオーガニック成長率は12.6%、売上総利益は前年同期比15.7%の増加となりました(当第3四半期会計期間のみのオーガニック成長率は27.8%)。また、増収に加え、国内外での構造改革およびコストコントロールの効果などにより、調整後営業利益は同73.9%増、オペレーティング・マージン(調整後営業利益÷売上総利益)は同630bps増、親会社の所有者に帰属する調整後四半期利益は同103.0%増となりました。固定資産売却益の計上もあって営業利益は同11.5倍、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同9.9倍となりました。
調整後営業利益は、営業利益から、買収行為に関連する損益および一時的要因を排除した、恒常的な事業の業績を測る利益指標であります。
買収行為に関連する損益:買収に伴う無形資産の償却費、M&Aに伴う費用、被買収会社に帰属する株式報酬費用、完全子会社化に伴い発行した株式報酬費用
一時的要因の例示:構造改革費用、減損、固定資産の売却損益など
親会社の所有者に帰属する調整後四半期利益は、四半期利益から、営業利益に係る調整項目、条件付対価に係る公正価値変動額(アーンアウト債務再評価損益)・株式買取債務に係る再測定額(買収関連プットオプション再評価損益)、これらに係る税金相当・非支配持分損益相当などを排除した、親会社所有者に帰属する恒常的な損益を測る指標であります。
当第3四半期連結累計期間の業績(金額の単位は百万円)
科目前第3四半期連結累計期間当第3四半期連結累計期間前年同期比増減
収益676,362774,54814.5%
売上総利益601,927696,39615.7%
調整後営業利益75,823131,82673.9%
オペレーティング・マージン12.6%18.9%630bps
調整後四半期利益(親会社の所有者に帰属)39,36979,937103.0%
営業利益18,503211,87611.5倍
四半期利益(親会社の所有者に帰属)10,286101,7469.9倍


当第3四半期連結累計期間における報告セグメントの業績は、次のとおりです。
① 国内事業
顧客企業のデジタルトランスフォーメーション需要によって好調を維持したデジタルソリューション領域の成長に加え、顧客企業によるテレビを中心としたマス広告出稿の回復、さらに事業変革により強化されている統合ソリューションの提供拡大により、国内事業の売上総利益は3,045億22百万円(前年同期比19.4%増)、売上総利益のオーガニック成長率は18.2%となりました(当第3四半期会計期間のみのオーガニック成長率は49.7%)。また、増収に加え、コストコントロールの効果により、調整後営業利益は820億12百万円(同87.4%増)、オペレーティング・マージンは26.9%(前年同期は17.2%)とそれぞれ増加しました。
② 海外事業
海外事業の売上総利益のオーガニック成長率は、地域別では、ヨーロッパ、中東およびアフリカ(以下「EMEA」)が10.1%、米州(以下「Americas」)が8.8%、アジア太平洋(日本を除く。以下「APAC」)が5.0%となり、全体では8.6%となりました(当第3四半期会計期間のみのオーガニック成長率は、それぞれ12.9%、16.3%、7.6%、13.4%)。主要国別にみると、スペイン、デンマーク、カナダなどは大きく伸びましたが、ブラジル、インドなどは厳しい状況となっています。
この結果、海外事業の売上総利益は、3,920億52百万円(前年同期比12.9%増)となり、また構造改革やコストコントロールの成果などにより、調整後営業利益は535億82百万円(同49.3%増)、オペレーティング・マージンは13.7%(前年同期は10.3%)となりました。
当第3四半期連結会計期間末の財政状態については、前連結会計年度末と比べ、電通本社ビルを含む汐留A街区不動産の譲渡により有形固定資産が減少したものの、主に現金及び現金同等物および営業債権及びその他の債権ならびに為替影響によりのれんが増加したことなどにより、資産合計で1,200億47百万円の増加となりました。一方、その他の金融負債(流動)が減少したものの、その他の金融負債(非流動)のリース負債が増加したことなどにより、負債合計で77億19百万円の増加となりました。また、主に親会社の所有者に帰属する当期利益の計上および在外営業活動体の換算差額が増加したことなどにより、資本合計は1,123億27百万円の増加となりました。
当社は、当第3四半期会計期間において、電通本社ビルを含む汐留A街区不動産を譲渡し、電通本社ビルの賃借を開始しました。詳細は、「第2 事業の状況 3 経営上の重要な契約等」および「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 7.セール・アンド・リースバック取引」をご参照ください。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、6,017億38百万円となりました。主に投資活動による収入が営業活動による支出および財務活動による支出を上回ったため、前連結会計年度末に比べ710億46百万円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は、前年同四半期連結累計期間に比べ334億6百万円減少し、246億95百万円となりました。主に税引前四半期純利益が増加し、運転資本が減少した一方で、法人所得税の支払額が増加したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得た資金は、前年同四半期連結累計期間に比べ3,151億19百万円増加し、2,744億16百万円となりました。主にセール・アンド・リースバックによる収入によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、前年同四半期連結累計期間に比べ1,843億3百万円増加し、1,997億49百万円となりました。主に社債の発行による収入が減少したことおよび非支配株主持分株主からの子会社持分取得による支出が増加したことなどによるものです。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成
績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な
変更を行っております。詳細は「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積りおよび仮定」の(会計上の見積りの変更)をご参照ください。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについて、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積りおよび仮定」に記載のとおり、前事業年度の有価証券報告書の(追加情報)に記載した内容に変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した内容に、重要な変更はありませ
ん。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、13億5百万円であり、国内事業における情報サービス業に属するものです。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)従業員数
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数に著しい増減はありません。
(7)生産、受注及び販売の実績
当第3四半期連結累計期間において、著しい変動はありません。
(8)主要な設備
① 新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第3四半期連結累計期間に著しい変動があった設備は、次のとおりであります。
セールアンドリースバック取引
当社グループは、当第3四半期連結累計期間において、電通本社ビルを含む汐留A街区不動産を譲渡し、電通本社ビルの賃借を開始しました。
詳細は、「第2 事業の状況 3 経営上の重要な契約等」および「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 7.セール・アンド・リースバック取引」をご参照ください。
② 前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第3四半期連結累計期間に著しい変更があったものは、次のとおりであります。
新設計画に関する契約の解約
前連結会計年度末において、当社グループは、海外事業において、英国ロンドンのオフィスビルの賃貸借を計画しておりました。2017年7月に、英国ロンドンのオフィスビルの賃貸借契約を締結し、2021年に開始予定で、解約不能将来リース料総額は、前連結会計年度末において、51,817百万円でした。また、サブリースの活用を見込み、サブリースにより充当されない分については、自己資金等で充当予定でした。
当第3四半期連結累計期間において、今後の事業戦略をふまえ、当社グループは、当該賃貸借契約を解約しました。これに伴い、本リースに関する、上述の解約不能将来リース料も消滅致しました。
(9)経営成績に重要な影響を与える要因
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した経営成績に重要な影響を与える要因に、重要な変更はありません。
(10)資本の財源および資金の流動性についての分析
① 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、広告作業実施のための媒体料金および制作費の支払等ならびに人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。
また、2021年2月に発表した中期経営計画期間においては、新しいテクノロジーやソリューション開発、イノベーションへの投資や高成長領域であるカスタマートランスフォーメーション&テクノロジーへのM&A・投資に係る資金需要が見込まれます。
② 財務政策
当社グループは、内部資金、金融機関からの借入、社債、コマーシャル・ペーパー、または債権流動化等の多様な手段の中から、その時々の市場環境や長期資金の年度別償還額も考慮した上で、機動的に有利な手段を選択し、資金調達を行っております。なお、2020年度の持株会社体制移行に伴い、長期資金については、原則として当社で一元的に資金調達しております。
また、緊急時の流動性を確保するため、当社はシンジケーション方式による極度額500億円(当第3四半期連結会計期間末)のコミットメントラインを、電通インターナショナル社(Dentsu International Limited)は、5億ポンド(約752億円)(当第3四半期連結会計期間末)のコミットメントラインを設定しております。また、新型コロナウイルス感染症による影響に備えた流動性確保等の目的で、金融機関との間で一時的に追加の銀行融資枠を設定しております。
さらに、グループ内の資金調達の一元化・資金効率の向上・流動性の確保の観点から、資金余剰状態にある子会社から親会社が資金を借り入れ、資金需要が発生している子会社に貸出を行うキャッシュ・マネジメント・システムを導入しております。
当社グループは、安定的な外部資金調達能力の維持向上を重要な経営課題と認識しており、格付機関である株式会社格付投資情報センター(R&I)から長期格付AA-、短期格付a-1+を取得しております。また、主要な内外金融機関との間で長期間に亘って築き上げてきた幅広く良好な関係に基づき、当社グループの事業の維持拡大、必要な運転資金の確保、成長投資資金の調達に関しては問題なく実施可能であると認識しています。