有価証券報告書-第159期(2022/02/01-2023/01/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 令和2年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当事業年度の期首から適用しております。
① 財政状態及び経営成績の状況
(単位:百万円)
令和4年1月期 | 令和5年1月期 | 増減 | |
資産の部 | 5,052 | 4,919 | △132 |
負債の部 | 3,076 | 3,175 | 99 |
純資産の部 | 1,976 | 1,745 | △231 |
当事業年度末における総資産は、前事業年度末と比べ132百万円減少し4,919百万円となりました。流動資産は、230百万円減少の3,258百万円、固定資産は97百万円増加の1,661百万円となりました。
流動資産の減少の主な要因は、現金及び預金が185百万円減少したことによるものです。
固定資産の増加の主な要因は、投資有価証券が105百万円増加したことによるものです。
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比べ99百万円増加し、3,175百万円となりました。流動負債は104百万円増加し361百万円、固定負債は5百万円減少し2,814百万円となりました。
流動負債の増加の主な要因は、買掛金が27百万円及び未払消費税等が53百万円増加したことによるものです。
固定負債の減少の主な要因は、退職給付引当金が18百万円及び役員退職慰労引当金が15百万円並びに繰延税金負債が27百万円増加した一方で、長期前受収益が73百万円減少したことによるものです。
当事業年度末における純資産は、前事業年度末と比べ231百万円減少し、1,745百万円となりました。この減少の主な要因は、その他有価証券評価差額金が78百万円増加した一方で、繰越利益剰余金が309百万円減少したことによるものです。
(単位:百万円)
売上高 | 営業損失(△) | 経常損失(△) | 当期純損失(△) | |
令和5年1月期 | 1,888 | △372 | △304 | △309 |
令和4年1月期 | 913 | △907 | △461 | △476 |
増減 (増減率%) | 974 (106.6) | 535 (―) | 158 (―) | 167 (―) |
当事業年度における我が国経済は、民需中心に緩やかに持ち直してまいりました。企業部門においては、円安方向への為替変動により、製造業を中心に輸出関連企業がけん引役となり好調な業績を維持しております。一方で、感染症の影響が大きかったサービス部門は、昨年後半から消費意欲やインバウンド需要の改善により、先進各国に比べ遅れながらも回復基調となってまいりました。
飲食業界におきましては、令和2年以来、新型コロナウイルス感染症拡大により、大きな打撃をうけました。感染拡大が3年目を迎えた令和4年前半は、オミクロン株の拡大により低迷が続きましたが、後半に入り、感染者数が増加しても国や行政からの行動規制が発動されることはなく、旅行支援等の拡大やインバウンド需要の回復などにより、人流は着実に改善してまいりました。一方で、円安や物価高により原材料費の高騰、光熱水費の上昇、慢性的な人手不足など、業界を取り巻く環境は引き続き厳しい状況にあります。
このような状況下、当社におきましては、引き続き、お客様、従業員の感染防止対策を徹底するとともに、営業強化、業務効率化によるコスト削減、人材育成の強化などに努めてまいりました。
営業面におきましては、既存レストランのメニュー充実及び価格改定、パンダカフェオープンや改装によるカフェ事業の拡充、物販事業における商品開発や販売チャネルの拡大、創業150年を記念した新メニューの開発及び販売促進、それに伴う、テレビ・新聞を中心とした広告宣伝活動の強化などに注力いたしました。一方で、スクラップ&ビルドの一環として、「東京大学医学部附属病院店」を令和4年9月22日に閉店いたしました。
業務の効率化においては、各種新システムの導入などにより、繁閑状況の早期把握による適正な人員配置など、特に人員効率の改善に取り組んでまいりました。人材育成においては、接客力向上を目指し、サービス担当の教育強化などに努めました。
しかしながら、各レストランは着実に回復しているものの、大規模な宴会は未だ回復途上にあり、全体売上はコロナ前の水準にはいたっておりません。
その結果、当事業年度の売上高は1,888百万円(前年同期比106.6%増)となりました。営業損失は372百万円(前年同期は営業損失907百万円)、経常損失は304百万円(前年同期は経常損失461百万円)、当期純損失は309百万円(前年同期は当期純損失476百万円)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用による、当期財務諸表に与える影響は軽微であります。
又、セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
(飲食業)
(単位:百万円)
前期 | 当期 | 増減 | 増減率(%) | |
売上高 | 790 | 1,765 | 974 | 123.2 |
セグメント損失(△) | △1,000 | △459 | 541 | ― |
当飲食業におきましては、上記の理由により、当事業年度のレストラン部門の売上高は1,313百万円(前年同期比113.8%増)、宴会他部門の売上高は452百万円(前年同期比156.1%増)、飲食業全体の売上高は1,765百万円(前年同期比123.2%増)、セグメント損失459百万円(前年同期はセグメント損失1,000百万円)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用による、当期財務諸表に与える影響は軽微であります。
(賃貸業)
(単位:百万円)
前期 | 当期 | 増減 | 増減率(%) | |
売上高 | 123 | 123 | △0.1 | △0.0 |
セグメント利益 | 93 | 87 | △6 | △6.2 |
当賃貸業におきましては、安定的な賃貸収入の確保に努めております。この結果、当事業年度の売上高は123百万円(前年同期比0.0%減)、セグメント利益87百万円(前年同期比6.2%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
令和4年1月期 | 令和5年1月期 | 増減 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | △351 | △252 | 99 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | 420 | 570 | 151 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △2 | △3 | △1 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 309 | 377 | 67 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 377 | 692 | 315 |
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、692百万円となり前事業年度末と比べ315百万円の増加となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は、252百万円(前年同期は351百万円の使用)となりました。この主な要因は、税引前当期純損失の計上308百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、得られた資金は、570百万円(前年同期は420百万円の獲得)となりました。この主な要因は、定期預金の預入による支出2,638百万円、定期預金の払戻による収入3,138百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は、3百万円(前年同期は2百万円の使用)となりました。この主な要因は、その他3百万円であります。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
平成31年1月期 | 令和2年1月期 | 令和3年1月期 | 令和4年1月期 | 令和5年1月期 | |
自己資本比率 | 50.6 | 51.1 | 43.9 | 39.1 | 35.5 |
時価ベースの自己資本比率 | 36.6 | 45.3 | 38.4 | 39.1 | 36.7 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 | ― | ― | ― | ― | ― |
インタレスト・カバレッジ・レシオ | ― | ― | ― | ― | ― |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後))/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 収容能力及び収容実績
当事業年度の収容能力(生産能力)と収容実績は次のとおりであります。
営業店 | 第159期 (自 令和4年2月1日 至 令和5年1月31日) | |||
収容能力(人) | 収容実績(人) | 利用率(%) | 前年同期比(%) | |
上野 | ||||
宴会 | 363,000 | 40,350 | 11 | 267.0 |
レストラン | 80,586 | 123,443 | 153 | 223.3 |
科学博物館 | ||||
レストラン | 60,672 | 277,123 | 457 | 176.2 |
東京都美術館 | ||||
レストラン | 147,288 | 155,701 | 105 | 168.2 |
浅草 | ||||
宴会 | 61,950 | 1,218 | 2 | 1,023.5 |
レストラン | 40,710 | 33,639 | 83 | 257.8 |
東京文化会館 | ||||
レストラン | 58,644 | 162,524 | 277 | 295.5 |
その他のレストラン | 58,406 | 64,782 | 111 | 136.4 |
(注) 1 収容能力(人)は、各営業店とも客席数に営業日数を乗じて算出しております。
2 利用率(%)は、収容実績(人)を収容能力(人)で除して算出しております。
3 前年同期比(%)は、収容実績(人)の対前年同期比を示しております。
b. 受注実績
当社の事業の性格上、受注実績は販売実績と同額のため記載を省略しております。
c. 販売実績
(イ) セグメント別販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 | 第159期 (自 令和4年2月1日 至 令和5年1月31日) | |
金額(千円) | 前年同期比(%) | |
1.飲食業 | ||
レストラン | 1,313,030 | 213.8 |
宴会他 | 451,515 | 256.1 |
飲食業 計 | 1,764,546 | 223.2 |
2.賃貸業 | 123,037 | 100.0 |
合計 | 1,887,583 | 206.6 |
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先 | 前事業年度 | 当事業年度 | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
三井不動産㈱ | 105,095 | 11.5 | 105,095 | 5.6 |
(ロ) 営業店別販売実績
当事業年度の販売実績を営業店別に示すと次のとおりであります。
営業店 | 第159期 (自 令和4年2月1日 至 令和5年1月31日) | |
金額(千円) | 前年同期比(%) | |
本社 | 123,992 | 100.4 |
上野 | 836,962 | 249.3 |
科学博物館 | 251,910 | 212.5 |
東京都美術館 | 242,922 | 188.1 |
浅草 | 43,109 | 312.8 |
東京文化会館 | 237,053 | 280.9 |
松屋 | 98,234 | 161.5 |
東京大学附属病院 | 20,307 | 133.3 |
大岡山 | 33,094 | 312.5 |
合計 | 1,887,583 | 206.6 |
(注) 東京大学附属病院店は、令和4年9月22日に閉店いたしました。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等
a.経営成績の状況
(売上高)
売上高は、1,888百万円(前年同期比106.6%増)となりました。この主な要因は、安定した不動産収入が堅調に推移したことや、飲食業も回復基調となり、レストラン部門の売上高が699百万円(前年同期比113.8%増)及び宴会部門の売上高が275百万円(前年同期比156.1%増)増加したことによるものです。
(売上総利益)
売上総利益は、950百万円(前年同期比264.1%増)となりました。この主な要因は、売上高増加によるものです。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
販売費及び一般管理費は、1,322百万円(前年同期比13.2%増)となりました。この主な要因は、売り上げ増加による人件費が61百万円増加したことによるものです。その結果、営業損失は372百万円(前年同期は営業損失907百万円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
営業外収益は、70百万円となりました(前年同期は営業外収益453百万円)。この主な要因は、雇用調整助成金等が391百万円減少したことによるものです。営業外費用は、1百万円となりました(前年同期は営業外費用7百万円)。この主な要因は、地代家賃が7百万円減少したことによるものです。その結果、経常損失は304百万円(前年同期は経常損失461百万円)となりました。
(特別利益、特別損失、税引前当期純損失)
特別利益は、資産除去債務履行差額の計上により1百万円となりました(前年同期は特別利益3百万円)。特別損失は、5百万円となりました。この主な要因は、減損損失が10百万円減少したことによるものです。その結果、上記の経常損失及び特別利益並びに特別損失の計上で、税引前当期純損失は308百万円(前年同期は税引前当期純損失475百万円)となりました。
(当期純損失)
法人税、住民税及び事業税1百万円(前年同期は1百万円)となり、その結果、上記の税引前当期純損失の計上で、当期純損失は309百万円(前年同期は当期純損失476百万円)となりました。
又、飲食業の売上高及びセグメント利益又は損失(△)並びに来客数を時系列に示すと、次のとおりであります。
なお、当事業年度の賃貸業につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
セグメントの名称 | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 当事業年度 | ||||
(累計期間) | 金額 (千円) | 前年同期比(%) | 金額 (千円) | 前年同期比(%) | 金額 (千円) | 前年同期比(%) | 金額 (千円) | 前年同期比(%) |
1.飲食業 | ||||||||
売上高 | ||||||||
レストラン | 271,510 | 204.2 | 593,125 | 274.9 | 947,199 | 246.2 | 1,313,030 | 213.8 |
宴会他 | 66,202 | 258.8 | 171,624 | 299.1 | 252,073 | 265.0 | 451,515 | 256.1 |
売上高計 | 337,712 | 213.0 | 764,749 | 280.0 | 1,199,272 | 250.0 | 1,764,546 | 223.2 |
セグメント損失(△) | △177,557 | ― | △300,209 | ― | △425,901 | ― | △459,392 | ― |
セグメントの名称 | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 当事業年度 | ||||
(累計期間) | 収容実績(人) | 前年同期比(%) | 収容実績(人) | 前年同期比(%) | 収容実績(人) | 前年同期比(%) | 収容実績(人) | 前年同期比(%) |
1.飲食業 | ||||||||
レストラン | 174,309 | 200.0 | 378,399 | 254.0 | 600,262 | 218.4 | 813,548 | 194.3 |
宴会他 | 6,417 | 209.5 | 18,055 | 324.6 | 25,918 | 303.8 | 44,602 | 266.8 |
飲食業計 | 180,726 | 200.3 | 396,454 | 256.5 | 626,180 | 220.9 | 858,150 | 197.0 |
(注) 1 収容能力(人)は、各営業店とも客席数に営業日数を乗じて算出しております。
2 前年同期比(%)は、収容実績(人)の対前年同期比を示しております。
飲食部門の売上高・利益及び収容実績は、令和4年前半はオミクロン株の感染症拡大により低迷が続きましたが、後半に入り、感染者数が増加しても、行政等からの行動規制が発動されることはなく、人流は着実に改善し実績も回復してきましたが、まだコロナ前の水準にはいたっておりません。
b.キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、将来的な人口減少や高齢化による食需要の減少、飲食市場が縮小し、業界内競争が激化することが予想されていることや、今般の新型コロナウイルス感染症や平成23年の東日本大震災などのような突発的、偶発的な売上低下要因が発生した場合は、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
その他の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費用及び労務費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金及び設備投資資金については、原則として自己資金で賄うこととしております。今後も所要資金は「営業活動によるキャッシュ・フロー」を源泉に自己資金調達を原則とする方針であります。尚、現在検討しております上野店の大規模リニューアル等、多額の設備投資資金が必要となった場合には、必要資金の性格に応じて金融機関からの借入、所有資産の売却も検討する可能性があります。
⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況
当社は、中期経営計画147において、令和6年度以降の売上高3,700百万円以上及び経常利益200百万円以上を、目指すべき指標として公表いたしました。しかしながら、今般の新型コロナ影響を踏まえ、アフターコロナを見据えた指標の見直しを行う可能性がございます。現在、令和5年度業績予想も未定としておりますが、収束状況等今後の動向を踏まえ、検討していく予定でございます。
当事業年度における売上高は1,888百万円となり、前年度に比べ、974百万円(106.6%増)の増収となりました。経常損失は、304百万円となり、前年度に比べ、158百万円(前年同期は経常損失461百万円)改善となりました。営業力の強化、業務の効率化によるコスト削減、人材の育成等を推進し、引き続き当該指標の改善に努めていく所存でありますと共に、新型コロナウイルス感染症による政府の方針に沿った感染防止対策を進めて参ります。