有価証券報告書-第50期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/25 14:27
【資料】
PDFをみる
【項目】
114項目
業績等の概要
(1) 業績
当連結会計年度(平成29年4月1日~平成30年3月31日)における当社グループの業績は、買収した子会社の寄与や主要事業のシステム運営管理事業において売上が増加したため、売上高は、232億7百万円(前期比7.7%増)となりました。
収益面におきましては、ソフトウエア開発における2件の不採算プロジェクトによる売上原価の増加(平成30年3月期にすべて終了しております)や、セキュリティ事業における「Seceon OTM(注)」の積極的な営業展開をはじめとするマーケティング費用の増加はあったものの、売上高の増加により営業利益は12億54百万円(同13.5%増)、経常利益は12億74百万円(同12.5%増)となりました。また、前期に実施した退職給付制度変更にともなう退職給付債務減少により計上した特別利益の反動減、および特別損失(投資有価証券評価損)の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は6億22百万円(同4.8%減)となりました。
(注):「Seceon OTM」は、平成29年1月に独占販売契約を締結しましたSeceon Inc.(米国)のサイバーセキュリティ製品であり、AI・機械学習を活用した最先端セキュリティソリューションです。
なお、当社グループの当連結会計年度におけるセグメント別の業績は以下のとおりであります。
区分売上金額(千円)構成比(%)
システム運営管理13,589,58358.6
ソフトウエア開発8,499,22936.6
その他1,118,6484.8
合計23,207,461100.0

① システム運営管理
プラットフォーム開発業務については、運輸系の売上が減少しました。その一方で、買収した子会社の寄与や、金融系運営管理業務における既存顧客の深耕拡大により、引き続き売上が増加しました。その結果、売上高は135億89百万円(同12.6%増)となりました。
② ソフトウエア開発
公共系の大型プロジェクトの受注により、売上が増加したものの、金融系ソフトウエア開発の大型プロジェクトの収束により、売上高は84億99百万円(同1.3%減)となりました。
③ その他
セキュリティ製品販売の売上増に加え、コンサルティングの売上が増加したため、売上高は11億18百万円(同27.8%増)となりました。
(注)プラットフォーム開発業務とは、ハードウエア、OS、ミドルウエアの機能を最適な手段で活用し、低コストかつ信頼性の高いシステム稼働環境を設計・構築するサービスです。
《経営施策の取り組み状況》
当社グループは、平成28年4月に策定した中期経営計画『I-vision 50』(平成29年3月期~平成31年3月期)のもと、「より高い品質のサービスをより早くお客さまに」という考え方は変わりませんが、現在の事業環境にあわせ、平成31年3月期の目標を売上高263億円、営業利益14.8億円に設定し、施策に取り組んでおります。この『I-vision 50』を支えるものとして、働き方改革を念頭に「徹底した業務プロセスの改革(BPR)」「新たな成長分野の構築」「グループのガバナンス強化」の3つを基本方針と定め、次の7つを重点施策として位置づけ、取り組んでいます。①働き方改革、②構造改革、③新技術の利活用推進、④ダイバーシティの推進、⑤グローバルの推進、⑥連結経営のガバナンス強化、⑦BOO戦略の推進。社員やパートナーのさらなる成長を促すことにより、これら7つの重点施策への取り組みを推進し、向上した収益を賃金水準の向上に繋げることで、より高い業績目標へチャレンジする好循環を生み出し、社員以外のステークホルダーに対しても、公正な利益還元を可能とする環境を整えます。
また、平成30年1月より、医療系運用やITILコンサルなどシステム運用関連業務を主力とする株式会社フェスを、新たに当社グループに迎え入れました。このたびの子会社化により、両社の主力事業であるシステム運営管理事業の規模拡大や、効率的な運営体制の構築などに大きく寄与することが期待されます。フェスとの相乗効果により、主力事業のいっそうの充実を図ります。
なお、今期における取り組み状況は以下のとおりでございます。
注:下記の[]内は、該当の重点施策の番号と対応いたします。
①働き方改革
IT技術者の需要の高まりにともない、業界全体で技術者不足が深刻化しています。そのような状況のなか、優秀な人財(注)を確保するためには、労働環境の改善が不可欠です。労働環境の改善、および生産性向上のため、ワークライフバランスを重視し、魅力ある職場づくりを通じた「働き方改革」に全社をあげて取り組んでおります。
・スーパーフレックスタイム制度の導入[①]
・有給休暇取得率目標対比 108%達成(年間目標有給休暇取得率:70%)[①]
(注)当社は、社員が会社の重要な財産のひとつであるとの考えから、「人材」を「人財」と表記しています。
②構造改革
過去の慣習にとらわれず仕事のやり方を抜本的に変革し、新たな業務プロセスの創造を進めます。また権限委譲、ITシステム化を進めることで、組織全体の生産性向上を図ります。
・決定・決裁権限基準の見直し[②]
・全社公募での業務改革・改善活動の実施[①,②]
・時間外労働削減(前年比12.8%減)[①,②]
③新技術の利活用推進
既存サービスの競争力強化、生産性および品質向上のため、新技術の取り込みを積極的に進めております。
・AI・機械学習を活用した最先端セキュリティソリューション「Seceon(セキオン)OTM」販売開始[③,⑤]
・「Seceon OTM」、Interop Tokyo 2017の「Best of Show Award」ファイナリスト(AI部門)選出[③,⑤]
・Seceon Inc.に対する連携および開発力強化、事業拡大を目的とした投資の実施[③,⑤]
・スマートグラスを活用したSaaS型遠隔作業サービスの販売開始[③]
・産業用制御システム向けセキュリティ製品を提供するCyber X社とパートナー契約を締結[③,⑤]
・RPA、AIを利用したサービスモデル企画委員会の設置[③]
④ダイバーシティの推進
グローバル戦略を確実に推進していくために、通年採用を導入するなど、優秀な人財を確保しやすい環境をつくり、人財育成をすすめ、人財の多様化を通じて、変化し続けるビジネス環境への対応力強化や組織の活性化を図っております。
・女性管理職比率 12.1%[④]
・社員に占める外国籍社員の割合 9.2%[④,⑤]
⑤グローバルの推進
日本企業の海外展開への対応、およびグローバル競争力強化のため、積極的に海外展開を進めております。より高い品質の商品やサービスを海外に向けて打ち出し、8つの海外拠点(下図、グローバル展開参照)を通じて24時間365日体制でのサポートを提供いたします。
・アジア・オセアニア統括本部の創設[⑤,⑥]
・オランダOGD ict-diensten(注1)との覚書締結[⑤]
・オランダIndica Holding B.V.(注2)との協業契約締結[⑤]
(注1):OGD ict-dienstenは、オランダのITサービスインテグレーターであり、政府機関や医療機関、中小から大手企業まで幅広い顧客層へサービスを提供しています。
(注2):Indica Holding B.V.は、オランダのソフトウエア開発会社であり、EU一般データ保護規則(GDPR)への対応ソリューションなどを提供しています。
⑥連結経営のガバナンス強化
国内外あわせて12拠点間(下図、グローバル展開参照)との密なコミュニケーションにより、それぞれのソリューションを結集し、企業価値最大化を図っております。各拠点が持つ人財やノウハウ、営業状況などを含めた、経営情報をスピーディに把握し、グループ全体でお客さまの課題解決に努めます。
・株式会社テラコーポレーションの吸収合併[⑥]
・株式会社フェスの子会社化[⑥]

⑦BOO戦略の推進
当社グループの事業内容は、システム運営管理、ソフトウエア開発、サイバーセキュリティ、コンサルティングと多岐にわたります。BOO戦略とは、ひとつのお客さまに対して幅広いサービスをご提供することであり、当社グループの様々なサービスを日本国内のみならず、海外でもご提供させていただけるよう推進してまいります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5億53百万円増加し、当連結会計年度末には29億44百万円(前期比23.1%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は12億37百万円(前期比4.4%増)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益11億12百万円、賞与引当金の増加額2億56百万円および売上債権の増加額5億37百万円などがあったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は21億29百万円(前期比1,444.3%増)となりました。
これは主に、連結の範囲の変更に伴う子会社株式の取得による支出19億83百万円、投資有価証券の取得による支出96百万円などがあったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は14億64百万円(前期は8億1百万円の使用)となりました。
これは主に、短期借入金の純増加額19億円、配当金の支払額4億20百万円などがあったことによるものであります。
生産、受注および販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(千円)前年同期比(%)
システム運営管理13,578,201112.3
ソフトウエア開発8,508,17798.8
その他485,900132.4
合計22,572,279107.1

(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
システム運営管理14,397,121116.2958,422105.4
ソフトウエア開発8,550,46097.91,795,307181.3
その他29,68955.0--
合計22,977,271108.52,753,729144.4

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
システム運営管理13,589,583112.6
ソフトウエア開発8,499,22998.7
その他1,118,648127.8
合計23,207,461107.7

(注)1 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
株式会社みずほトラストシステムズ3,363,28215.63,248,56914.0
日本アイ・ビー・エム株式会社2,490,44911.62,917,95712.6

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り・予測を実施しております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
① 繰延税金資産
繰延税金資産は、今後の課税所得の予測等を踏まえその回収可能性を判断したうえで計上しております。
② 退職給付費用
従業員退職給付費用および債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。従業員退職給付費用および債務は、その前提として使用している割引率、報酬水準の増加率や従業員の平均残存勤務期間に影響されます。一部の連結子会社の確定給付企業年金制度においては、割引率を安全性の高い長期の債券の利回りにより決定している他、報酬水準の増加率および従業員の平均残存勤務期間については、これまでの実績値に基づき決定しております。
③ 貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。
④ その他有価証券の減損処理
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客および金融機関に対するその他有価証券を所有しております。これらの株式および投資信託には価格変動性が高い上場会社の株式および時価のある投資信託と、株価の決定が困難である非上場会社の株式が含まれます。当社グループは投資価値の下落が一時的でないと判断した場合、これら有価証券の減損処理を実施しております。上場会社の株式および時価のある投資信託は、期末日の時価が取得原価に比べ50%以上下落した有価証券については、期末後1年以内に時価が取得原価にほぼ近い水準に回復することを合理的な根拠で予測できる場合を除きすべて減損処理を行い、30~50%程度下落した有価証券については、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。また非上場会社の株式は原則として、評価損の計上を検討すべき一定の事項が発生し、且つ、当該会社の純資産額に対する当社グループ持分額が取得価額より50%以上下落し、回復可能性が明確でない場合には、減損処理を行うこととしております。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度の215億54百万円に対し7.7%増収の232億7百万円となりました。
セグメント別の状況は第2「事業の状況」3.「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」「業績等の概要」(1) 業績をご参照ください。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度の175億69百万円に対し6.8%増加の187億58百万円となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の28億79百万円に対し10.9%増加の31億93百万円となりました。
③ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度の11億5百万円に対し13.5%増加の12億54百万円となりました。
④ 営業外損益(純額)
当連結会計年度の営業外損益(純額)は、為替差損の増加などにより前連結会計年度の27百万円の利益(純額)に対し27.8%減少の19百万円の利益(純額)となりました。
⑤ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度の11億33百万円に対し12.5%増加の12億74百万円となりました。
⑥ 特別損益(純額)
当連結会計年度の特別損益(純額)は、投資有価証券評価損1億42百万円および減損損失16百万円の計上があったことなどにより、前連結会計年度の0百万円の利益(純額)から1億62百万円の損失(純額)となりました。
⑦ 税金等調整前当期純利益
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の11億33百万円に対し1.8%減少の11億12百万円の利益となりました。
⑧ 法人税等
当連結会計年度の法人税等は、前連結会計年度の4億74百万円に対し0.9%増加の4億78百万円となりました。
⑨ 非支配株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の4百万円の利益に対し135.2%増加の11百万円の利益となりました。
⑩ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の6億54百万円に対し4.8%減少の6億22百万円の利益となりました。
(3)当連結会計年度末の財政状態の分析
① 資産の部
当連結会計年度末の資産の部は、売上債権の増加10億36百万円、現金及び預金の増加6億54百万円、有形固定資産の減少1億41百万円およびのれんの増加16億15百万円などにより前連結会計年度末に比べ33億64百万円増加し、139億17百万円となりました。
② 負債の部
当連結会計年度末の負債の部は、有利子負債の増加18億95百万円および賞与引当金の増加3億14百万円などにより前連結会計年度末に比べ30億68百万円増加し、62億99百万円となりました。
③ 純資産の部
当連結会計年度末の純資産の部は、親会社株主に帰属する当期純利益6億22百万円、配当金の支払いによる減少4億20百万円およびその他有価証券評価差額金の増加93百万円などにより、前連結会計年度末に比べ2億95百万円増加し、76億17百万円となりました。
(4)資本の財源および資金の流動性についての分析
① 当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度の11億85百万円より51百万円多い、12億37百万円の資金を得ました。これは主に、賞与引当金の増減額が2億1百万円増加、退職給付に係る資産・負債の増減額が2億60百万円増加、売上債権の増減額が5億66百万円増加および仕入債務の増減額が2億83百万円増加したことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度の1億37百万円より19億91百万円多い、21億29百万円の資金を使用しました。これは主に、投資有価証券の取得による支出が93百万円増加、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が18億91百万円増加および有形固定資産の取得による支出が59百万円減少および有形固定資産の売却による収入が54百万円減少したことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度は8億1百万円の資金を使用したのに対し、14億64百万円の資金を得ました。これは主に、短期借入金の純増減額が23億80百万円増加および配当金の支払額が1億56百万円増加したことによるものであります。
② 当社グループは現在、運転資金および設備投資資金につきましては、自己資金または借入により資金調達することとしております。当連結会計年度末現在、短期借入金の残高は22億80百万円であります。
なお、当社は、資金調達の機動性と効率性を高めるため、取引銀行5行と総額35億10百万円の当座貸越契約および取引銀行5行と融資枠設定金額10億円の貸出コミットメントライン契約を締結しております。