四半期報告書-第54期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

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2022/02/04 13:19
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【項目】
33項目
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結累計期間の末日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものであります。
(1) 業績の状況
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展により、経済活動の持直しが期待されるものの、新たな変異株による国内外での感染再拡大の影響が懸念され、先行きは依然不透明な状況です。
当社グループが属する情報サービス業界では、コロナ禍においてIT投資案件の縮小や延期などの動きが一部に見られましたが、新たなビジネスモデルの創出や変革に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)関連のIT投資ニーズが底堅く、業界全体では回復基調となっています。一方、感染拡大の影響は顧客企業によって大きく異なり、その回復力は業種や状況によって偏りが見られます。
当第3四半期連結累計期間(2021年4月1日~2021年12月31日)における当社グループの業績は、買収した子会社の寄与や、システム運営管理が堅調に推移したため、売上高は203億96百万円となりました。
収益面においては、前期に子会社3社を取得したことによるのれん償却費98百万円の増加や、ニューノーマル適応プロジェクト(注)に係る費用の計上等があったものの、売上の増加にともなう利益の増加があり、営業利益は12億25百万円、経常利益は12億69百万円となりました。また、前期の投資有価証券売却益309百万円の反動減等があり、親会社株主に帰属する四半期純利益は6億49百万円となりました。EBITDAは、16億92百万円となりました。
なお、第1四半期連結会計期間の期首より収益認識会計基準を適用しています。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表」の注記事項(会計方針の変更)をご参照ください。
(注):新型コロナウイルスとの共存を見据えた柔軟で効率的な働き方を推進するための社内改革プロジェクトのこと。フリーアドレスオフィス「THE Ocean Room」の開設および「THE Forest Room」の利用促進、山陰BPOセンターへの本社管理コア業務の一部移管、マーケティング視点でのホームページの全面リニューアル等に取り組んでいます。
当社の事業セグメントは単一セグメントであり、サービスごとの業績を以下のとおり記載しています。
(単位:百万円)
当第3四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日 至 2021年12月31日)
システム運営管理売上高9,053
売上総利益2,162
売上総利益率23.9%
ソフトウェア開発売上高7,638
売上総利益1,655
売上総利益率21.7%
ITインフラ(注)売上高1,911
売上総利益478
売上総利益率25.1%
サイバーセキュリティ・
コンサルティング・教育
売上高1,515
売上総利益464
売上総利益率30.7%
その他売上高277
売上総利益103
売上総利益率37.4%
合計売上高20,396
売上総利益4,866
売上総利益率23.9%

(注):第1四半期連結会計期間より、従来のサービス名「システム基盤」を「ITインフラ」に変更しています。
① システム運営管理
金融関連既存顧客における前期の体制強化の終了などがあったものの、前期に買収した子会社の寄与や、官公庁ならびに卸売関連既存顧客における受注拡大などがあり、売上高は90億53百万円となりました。
② ソフトウェア開発
公共および金融関連既存顧客における前期大型プロジェクトの完了にともなう反動減や、運輸関連既存顧客におけるシステム投資の縮小があったものの、前期に買収した子会社の寄与や、製造関連既存顧客における新規案件の獲得、公共および金融関連既存顧客における取引の拡大などにより、売上高は76億38百万円となりました。
③ ITインフラ
運輸関連既存顧客におけるシステム投資の縮小や、公共関連既存顧客における人員の削減があったものの、金融関連既存顧客における新規案件の獲得や受注拡大、前期に買収した子会社の寄与などがあり、売上高は19億11百万円となりました。
④ サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育
収益認識会計基準の適用による4億18百万円のマイナスの影響があったものの、コンサルティングにおける大型案件の獲得、サイバーセキュリティにおけるオペレーターの増員や製品販売の増加があり、売上高は15億15百万円となりました。
⑤ その他
製品販売において受注が増加したものの、収益認識会計基準の適用による1億98百万円のマイナスの影響により、売上高は2億77百万円となりました。
《経営施策の取組み状況》
近年、情報サービス業界において、RPA・AIなどのデジタル技術を活用した既存ビジネスの変革、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)の急速な進展や、システムの「所有」から「利用」への転換、IoT機器の急激な増加、高度化するサイバー攻撃など、ITをとりまく顧客ニーズが多様化し、経営環境が大きく変動しています。当社グループは、このような市場の変化を成長機会ととらえ、さらなる事業拡大に向けて取り組むべく、中期経営計画「Next 50 Episode Ⅰ 覚醒 ! (Awakening !)」(2020年3月期~2022年3月期)を策定しました。
この中期経営計画では「未来志向型企業文化の醸成」「デジタルトランスフォーメーション(DX、注1)によるUP-GradeされたBusiness Modelの展開」「ESG(注2)の推進」を3つの基本方針とし、各施策に取り組んでいます。
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(注1):デジタルトランスフォーメーションとは、既存のサービスソリューションに、RPA(Robotic Process Automation)やAI(Artificial Intelligence)、IoT(Internet of Things)などアドバンスト・テクノロジー(先端技術)を組み合わせることで、既存ビジネスを変革すること。
(注2):ESGとはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字。各分野への適切な対応が企業の長期的成長の原動力となり、持続可能な社会の形成に役立つという考え方。
① 未来志向型企業文化の醸成
当社グループの持続的な成長には、人材の多様性およびイノベーションの創出が欠かせません。多様な人材の採用・育成に取り組むとともに、人材が能力を最大限発揮できるよう、組織・制度・環境を整備しています。また、未来に向けて挑戦する風土の醸成およびイノベーションの創出を進めています。
取組み実績は以下のとおりです。
・プロジェクト型組織へと移行し、ソフトウェア開発業務とITインフラ業務の垣根を超えたワンストップなサービス提案を実現するため、株式会社インフォメーション・ディベロプメント(以下、「ID社」)において、SIS第1部~第3部およびITPS部をグローバルイノベーションセンター(GIC)に集約
・管理部門のコア業務を地方拠点へ移管し、さらなる業務効率化とリスク分散を推進するため、社内改革「ニューノーマル適応プロジェクト STEP2」を促進
・社員のスキルアップや多様な働き方の実現を目指し、副業制度の導入に向けて「とっとりビジネス人材マッチング・活躍サポート」の活用を開始
・サブスクリプション型の新たなビジネスモデルの構築を目指し、「「サブスク」ビジネスモデル提案制度」を新設
・社員の資格取得をサポートするため、自習スペースとしてのサテライトオフィスの活用を開始
・ハイブリッドなワークスタイルの定着やグループ各社間のコミュニケーションによるシナジー効果を期待し、フリーアドレスオフィス「THE Ocean Room」を開設
・多様なバックグラウンドをもつ外国籍社員が新たな視点でビジネスモデルや人財(注)活用を提案する「セミ社長塾」を開講
・LGBTを含む性の多様性への理解を深め、あらゆる人材が働きやすい環境を実現するため、社員の意識向上を目的とした「LGBTセミナー」等を開催
(注):当社は、社員が会社の重要な財産のひとつであるとの考えから、「人材」を「人財」と表記しています。
② デジタルトランスフォーメーション(DX)によるUP-GradeされたBusiness Modelの展開
近年の急激なデジタル化の流れを受けて、顧客企業は新たなテクノロジーの導入・活用を積極的に進めています。当社グループは、長年蓄積してきた顧客システムに関する業務知識やノウハウをもとに、既存のサービスソリューションにアドバンスト・テクノロジー(RPA、AI、クラウド、サイバーセキュリティ、IoT等のデジタル技術や、ITサービスマネジメントやアジャイル等の高度マネジメント手法)を組み合わせることで、顧客ニーズにあった付加価値の高い、UP-Gradeされたサービスモデルを提供します。
こうしたサービスモデルの実現に向けて、この3か年は技術者育成に重点をおき、積極的に教育投資を行なっています。また、従来のサービスをより上流工程へとシフトすることで、人月型ビジネスから成果報酬型ビジネスへ転換を図ります。既存事業の拡大にくわえ、新規領域への積極的な投資を行い、競争優位性を高め、収益性向上を図ります。
取組み実績は以下のとおりです。(以下、いずれもID社)
・開発期間の短縮とシステム構築プロセスの最適化を目指し、ローコード/超高速開発ツール「WebPerformer」を活用したシステム開発を開始
・顧客の運用負荷低減や高度セキュリティ対策を実現するため、「ID-Cross マネージドセキュリティサービス」の提供を開始
・クラウド技術者育成プログラム「ID-Cross クラウドトレーニングAWS編」の提供を開始し、クラウド技術者育成事業に進出
・リモートワークの普及による顧客の働き方の多様化に対応するため、顧客のPC運用管理業務を代行する「ID-Cross PC管理サービス」の提供を開始
・現状のセキュリティ対策の可視化・定量化サービス提供をおこなうSecurityScorecard社と協業を開始し、顧客のセキュリティ支援を強化
・遠隔作業支援システムIDEye(アイディアイ)の機能を拡充するとともに、海外での利用に対応するなど、顧客の利便性向上を実現
・通過してしまった脅威を過去に遡って調査することで、顧客のリスク低減を図る「サイバー脅威遡及分析サービス」の提供を開始
・セキュリティサービスの品質の維持・向上が評価され、経済産業省の「情報セキュリティサービス基準」への適合状況を審査する「情報セキュリティサービス基準審査制度」で認証を取得

③ ESGの推進
当社は情報サービスの提供を通じて社会課題の解決に積極的に取り組むとともに、持続的な成長および社会価値の創造を目指します。ESG推進部を立ち上げ、環境、社会、ガバナンスの各分野での取組みを強化することで、顧客、株主、従業員などすべてのステークホルダーとともに成長・発展していけるよう努めています。
取組み実績は以下のとおりです。
・東京オリンピック競技種目であるセーリング日本代表選手の強化支援等を目的とし、日本セーリング連盟「日の丸セーラーズ」に協賛
・サステナビリティに関する課題への取組みをよりいっそう加速させるため、「サステナビリティ委員会」を新設
・女性活躍推進の点を評価され「SDGs 日本を代表する500社」として週刊東洋経済に掲載
・中国河南省で発生した洪水被害に対し、艾迪系統開発(武漢)有限公司が、医療物資と緊急支援物資を寄付
・事業活動が環境に及ぼす影響の再認識と的確な情報開示の拡充を目指し、TCFDコンソーシアム(注1)に参画
・日経「スマートワーク経営」調査、日経「SDGs経営」調査において人材活用や社会課題への取組みが認められ、前年度より高い評価を取得
・環境保全活動に貢献するため、湘南海岸や中国東湖磨山景区等において清掃ボランティアを実施
・新型コロナウイルス感染拡大による献血協力者の減少を受け、昨年に引き続き年2回の「IDグループ献血DAY」を開催
・農福連携(注2)商品の社会価値を認める日本農林規格「ノウフクJAS」認証を、特例子会社の愛ファクトリー株式会社が鳥取市内で初めて取得
・新型コロナウイルス感染拡大により活動が制限されている演奏家を支援するため、サントリーホールにて七夕コンサートやニューイヤーコンサートを開催
・環境マネジメントシステムISO14001を取得し、環境に配慮した事業活動を継続的に実現するための取組みを推進
(注1):TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース、Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に賛同する企業や金融機関等が、効果的な情報開示や、開示情報を適切な投資判断に繋げるための取組みについて議論・推進することを目的として設立。
(注2):障がい者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していくための取組み。
(2) 財政状態の分析
(資産の部)
当第3四半期連結会計期間末の資産の部は、現金及び預金の減少1億75百万円、売上債権及び契約資産の減少2億74百万円およびのれんの償却による減少3億33百万円などにより、前連結会計年度末に比べ7億87百万円減少し160億9百万円となりました。
(負債の部)
当第3四半期連結会計期間末の負債の部は、買掛金は52百万円増加しましたが、有利子負債の減少1億11百万円および賞与引当金の減少3億99百万円などにより、前連結会計年度末に比べ3億78百万円減少し、70億10百万円となりました。
(純資産の部)
当第3四半期連結会計期間末の純資産の部は、親会社株主に帰属する四半期純利益の増加6億49百万円がありましたが、期末および中間配当金支払による6億43百万円の減少および自己株式の取得等による減少5億3百万円などにより、前連結会計年度末に比べ4億9百万円減少し、89億98百万円となりました。
(3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発の金額は84百万円です。おもな取組みは、画像分析・動画技術・音声認識の研究、スマートグラス活用の調査およびナレッジ蓄積システムに関する研究および開発などです。また、先端IT技術の情報収集および研究のため、米国ベンチャーキャピタルへの出資や慶應義塾大学との協業を行っています。
なお、当社グループの報告セグメントは「情報サービス事業」の単一セグメントであり、セグメント別の記載を省略しています。
(5) 資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループのおもな資本の財源は、内部資金および金融機関からの借入等です。当第3四半期連結会計期間末現在、短期借入金の残高は20億60百万円、1年内返済予定の長期借入金の残高は4億34百万円、長期借入金の残高は8億33百万円です。
なお、当社グループは、資金調達の機動性と効率性を高めるため、取引銀行5行と総額20億30百万円の当座貸越契約および取引銀行5行と融資枠設定金額10億円の貸出コミットメントライン契約を締結しています。