四半期報告書-第54期第1四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)

【提出】
2021/08/05 9:50
【資料】
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【項目】
31項目
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものです。
(1) 業績の状況
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の長期化により、国内外の景気への影響が懸念されるなか、今後の経済活動、企業の経営環境および雇用情勢などの先行きは依然不透明な状況です。
当社グループが属する情報サービス業界では、新型コロナウイルス感染症の拡大により、テレワークを想定したIT環境の導入・整備が進み、情報資産のクラウド化の加速などのニーズが高まっています。その一方で、ソフトウェア開発やITインフラ(注1)における投資に関しては引き続き慎重な姿勢が一部に見られます。
当第1四半期連結累計期間(2021年4月1日~2021年6月30日)における当社グループの業績は、買収した子会社の寄与や、システム運営管理が堅調に推移したため、売上高は65億65百万円となりました。
収益面においては、前期に子会社3社を取得したことによるのれん償却費50百万円、ニューノーマル適応プロジェクト(注2)に係る費用の計上等があったものの、売上の増加にともなう利益の増加があり、営業利益は2億92百万円、経常利益は3億18百万円となりました。また、前期に取得した子会社の事務所移転費用12百万円があり、親会社株主に帰属する四半期純利益は1億42百万円となりました。EBITDAは、4億42百万円となりました。
なお、当第1四半期連結会計期間の期首より収益認識会計基準を適用しています。詳細は、「2.四半期連結財務諸表及び主な注記 (3)四半期連結財務諸表に関する注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
(注1):当第1四半期連結会計期間より、従来のサービス名「システム基盤」を「ITインフラ」に変更しています。
(注2):新型コロナウイルスとの共存を見据えた柔軟で効率的な働き方を推進するための社内改革プロジェクトのこと。フリーアドレスオフィス「THE Forest Room」の利用促進、山陰BPOセンターへの本社管理コア業務の一部移管、マーケティング視点でのホームページの全面リニューアル等に取り組んでいます。
当社の事業セグメントは単一セグメントであり、サービスごとの業績を以下のとおり記載しています。
(単位:百万円)
当第1四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日 至 2021年6月30日)
システム運営管理売上高3,051
売上総利益732
売上総利益率24.0%
ソフトウェア開発売上高2,429
売上総利益509
売上総利益率21.0%
ITインフラ売上高600
売上総利益149
売上総利益率24.9%
サイバーセキュリティ・
コンサルティング・教育
売上高444
売上総利益128
売上総利益率28.8%
その他売上高39
売上総利益△9
売上総利益率
合計売上高6,565
売上総利益1,509
売上総利益率23.0%

① システム運営管理
公共関連既存顧客における前期大型プロジェクト完了による反動減があったものの、前期に買収した子会社の寄与や、金融関連既存顧客の体制強化にともなう増員、サポートデスク案件の新規獲得があり、売上高は30億51百万円となりました。
② ソフトウェア開発
公共関連既存顧客における前期大型プロジェクトの完了にともなう反動減があったものの、前期に買収した子会社の寄与や、金融関連既存顧客における休止していた案件の再開、製造関連既存顧客における新規案件の獲得により、売上高は24億29百万円となりました。
③ ITインフラ
金融関連既存顧客における新規システム更改案件があったものの、新型コロナウイルス感染拡大による運輸関連既存顧客におけるシステム投資の縮小や、公共関連既存顧客における人員の削減があり、売上高は6億00百万円となりました。
④ サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育
官公庁向け新規コンサルティング案件の獲得にくわえ、サイバーセキュリティにおける製品販売の増加やオペレーターの増員があったものの、収益認識会計基準の適用による1億94百万円のマイナスの影響により、売上高は4億44百万円となりました。
⑤ その他
製品販売における前期ライセンス販売の反動減にくわえ、収益認識会計基準の適用による36百万円のマイナスの影響により、売上高は39百万円となりました。
《経営施策の取組み状況》
近年、情報サービス業界において、RPA・AIなどのデジタル技術を活用した既存ビジネスの変革、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)の急速な進展や、システムの「所有」から「利用」への転換、IoT機器の急激な増加、高度化するサイバー攻撃など、ITをとりまく顧客ニーズが多様化し、経営環境が大きく変動しています。当社グループは、このような市場の変化を成長機会ととらえ、さらなる事業拡大に向けて取り組むべく、中期経営計画「Next 50 Episode Ⅰ 覚醒 ! (Awakening !)」(2020年3月期~2022年3月期)を策定しました。
この中期経営計画では「未来志向型企業文化の醸成」「デジタルトランスフォーメーション(DX、注1)によるUP-GradeされたBusiness Modelの展開」「ESG(注2)の推進」を3つの基本方針とし、各施策に取り組んでいます。
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(注1):デジタルトランスフォーメーションとは、既存のサービスソリューションに、RPAやAI、IoTなどアドバンスト・テクノロジー(先端技術)を組み合わせることで、既存ビジネスを変革すること。
(注2):ESGとはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字。各分野への適切な対応が企業の長期的成長の原動力となり、持続可能な社会の形成に役立つという考え方。
① 未来志向型企業文化の醸成
当社グループの持続的な成長には、人材の多様性およびイノベーションの創出が欠かせません。多様な人材の採用・育成に取り組むとともに、人材が能力を最大限発揮できるよう、組織・制度・環境を整備しています。また、未来に向けて挑戦する風土の醸成およびイノベーションの創出を進めています。
取組み実績は以下のとおりです。
・プロジェクト型組織へと移行し、ソフトウェア開発業務とITインフラ業務の垣根を超えたワンストップなサービス提案を実現するため、株式会社インフォメーション・ディベロプメント(以下、「ID社」)において、SIS第1部~第3部およびITPS部をグローバルイノベーションセンター(GIC)に集約
・管理部門のコア業務を地方拠点へ移管し、さらなる業務効率化とリスク分散を推進するため、社内改革「ニューノーマル適応プロジェクト STEP2」を開始
・社員のスキルアップや多様な働き方の実現に向けて、「とっとりビジネス人材マッチング・活躍サポート」を活用し、副業制度を導入
② デジタルトランスフォーメーション(DX)によるUP-GradeされたBusiness Modelの展開
近年の急激なデジタル化の流れを受けて、顧客企業は新たなテクノロジーの導入・活用を積極的に進めています。当社グループは、長年蓄積してきた顧客システムに関する業務知識やノウハウをもとに、既存のサービスソリューションにアドバンスト・テクノロジー(RPA、AI、クラウド、サイバーセキュリティ、IoT等のデジタル技術や、ITサービスマネジメントやアジャイル等の高度マネジメント手法)を組み合わせることで、顧客ニーズにあった付加価値の高い、UP-Gradeされたサービスモデルを提供します。
こうしたサービスモデルの実現に向けて、この3か年は技術者育成に重点をおき、積極的に教育投資を行なっています。また、従来のサービスをより上流工程へとシフトすることで、人月型ビジネスから成果報酬型ビジネスへ転換を図ります。既存事業の拡大にくわえ、新規領域への積極的な投資を行い、競争優位性を高め、収益性向上を図ります。
取組み実績は以下のとおりです。
・ID社が、開発期間の短縮とシステム構築プロセスの最適化を目指し、ローコード/超高速開発ツール「WebPerformer」を活用したシステム開発を開始
・ID社が、顧客の運用負荷低減や高度セキュリティ対策を実現するため、「ID-Cross マネージドセキュリティサービス」の提供を開始
・ID社が、クラウド技術者育成プログラム「ID-Cross クラウドトレーニングAWS編」の提供を開始し、クラウド技術者育成事業に進出
・ID社が、リモートワークの普及による顧客の働き方の多様化に対応するため、顧客のPC運用管理業務を代行する「ID-Cross PC管理サービス」の提供を開始
③ ESGの推進
当社は情報サービスの提供を通じて社会課題の解決に積極的に取り組むとともに、持続的な成長および社会価値の創造を目指します。ESG推進部を立ち上げ、環境、社会、ガバナンスの各分野での取組みを強化することで、顧客、株主、従業員などすべてのステークホルダーとともに成長・発展していけるよう努めています。
取組み実績は以下のとおりです。
・東京オリンピック競技種目であるセーリング日本代表選手の強化支援等を目的とし、日本セーリング連盟「日の丸セーラーズ」に協賛
・環境に配慮した経済活動を継続的に実現するため、環境マネジメントシステムISO14001の取得に向けた取組みを推進
・サステナビリティに関する課題への取組みをよりいっそう加速させるため、「サステナビリティ委員会」を新設
・新型コロナウイルス感染拡大による献血協力者の減少を受け、昨年に引き続き「IDグループ献血DAY」を開催
・新型コロナウイルス感染拡大により活動が制限されている演奏家を支援するため、七夕コンサートを開催
(2) 財政状態の分析
(資産の部)
当第1四半期連結会計期間末の資産の部は、未収入金は2億20百万円増加しましたが、現金及び預金の減少3億80百万円および売上債権の減少7億14百万円などにより、前連結会計年度末に比べ10億31百万円減少し157億64百万円となりました。
(負債の部)
当第1四半期連結会計期間末の負債の部は、有利子負債の減少4億88百万円および賞与引当金の減少4億76百万円などにより、前連結会計年度末に比べ8億80百万円減少し65億7百万円となりました。
(純資産の部)
当第1四半期連結会計期間末の純資産の部は、親会社株主に帰属する四半期純利益による増加1億42百万円がありましたが、期末配当金支払いにより2億91百万円減少したため、前連結会計年度末に比べ1億50百万円減少し92億57百万円となりました。
(3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発の金額は36百万円です。おもな取組みとして、画像分析・動画技術・音声認識の研究、スマートグラス活用の調査およびナレッジ蓄積システムに関する研究および開発を行っています。また、先端IT技術の情報収集および研究のため、米国ベンチャーキャピタルへの出資や慶應義塾大学との協業を行っています。
なお、当社グループの報告セグメントは「情報サービス事業」の単一セグメントであり、セグメント別の記載を省略しています。
(5) 資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループの主な資本の財源は、内部資金および金融機関からの借入等です。当第1四半期連結会計期間末現在、短期借入金の残高は22億20百万円、1年内返済予定の長期借入金の残高は3億65百万円、長期借入金の残高は3億49百万円です。
なお、当社グループは、資金調達の機動性と効率性を高めるため、取引銀行5行と総額30億30百万円の当座貸越契約および取引銀行5行と融資枠設定金額11億円の貸出コミットメントライン契約を締結しています。