四半期報告書-第53期第1四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)

【提出】
2020/08/12 14:03
【資料】
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【項目】
29項目
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結累計期間の末日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものです。
(1) 業績の状況
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、国内外の景気への影響が懸念されるなか、今後の経済活動、企業の経営環境および雇用情勢などの先行きは不透明な状況です。
当社グループが属する情報サービス業界では、新型コロナウイルス感染症の拡大により、テレワークを想定したIT環境の導入・整備が進み、情報資産のクラウド化の加速などの新たなニーズが高まっています。その一方で、ソフトウェア開発やシステム基盤における新規案件の取りやめや既存案件の延伸など、マイナスの動きが一部に見られます。
当第1四半期連結累計期間(2020年4月1日~2020年6月30日)における当社グループの業績は、システム基盤およびサイバーセキュリティは堅調に推移したものの、ソフトウェア開発およびシステム運営管理などにおいて、大型プロジェクト5件の終了による6億2百万円の反動減があり、売上高は58億81百万円(前年同期比10.4%減)となりました。
収益面においては、売上の減少にともなう利益の低下にくわえ、新型コロナウイルス感染症の拡大による、顧客企業のシステム投資計画の見直し等にともなう技術者の稼働率低下があり、営業利益は2億31百万円(同54.5%減)、経常利益は2億70百万円(同47.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1億37百万円(同57.8%減)となりました。
なお、当社の事業セグメントは単一セグメントであり、サービスごとの業績を以下のとおり記載しています。
(単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年6月30日)
当第1四半期
連結累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年6月30日)
前年同期比
増減額増減率(%)
システム運営管理売上高3,0092,929△79△2.7
売上総利益709631△78△11.0
売上総利益率23.6%21.6%△2.0P
ソフトウェア開発売上高2,2501,759△490△21.8
売上総利益565411△153△27.2
売上総利益率25.1%23.4%△1.7P
システム基盤売上高570612427.5
売上総利益167183159.5
売上総利益率29.4%29.9%0.5P
サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育売上高422462409.7
売上総利益10511155.6
売上総利益率24.9%24.0%△0.9P
その他売上高310116△193△62.3
売上総利益39△5△45
売上総利益率12.9%
合計売上高6,5625,881△680△10.4
売上総利益1,5871,332△255△16.1
売上総利益率24.2%22.7%△1.6P

① システム運営管理
通信および公共関連既存顧客における新規案件の獲得や、金融関連既存顧客の体制強化にともなう増員があったものの、金融関連の大型プロジェクト完了にともなう1億1百万円の反動減により、売上高は29億29百万円(同2.7%減)となりました。
② ソフトウェア開発
既存製造関連プロジェクトへの増員による受注拡大があったものの、公共および金融関連既存顧客における、前期大型プロジェクト3件の完了にともなう4億13百万円の反動減により、売上高は17億59百万円(同21.8%減)となりました。
③ システム基盤
公共関連既存顧客における新規案件の獲得や、運輸関連プロジェクトへの増員による受注拡大により、売上高は6億12百万円(同7.5%増)となりました。
④ サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育
サイバーセキュリティにおけるオペレーターの増員や製品販売の増加により、売上高は4億62百万円(同9.7%増)となりました。
⑤ その他
製品販売における前期大口受注の反動減や、金融関連の一部事業が終了したため、売上高は1億16百万円(同62.3%減)となりました。
《経営施策の取組み状況》
近年、情報サービス業界において、RPA・AIなどのデジタル技術を活用した既存ビジネスの変革、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)の急速な進展や、システムの「所有」から「利用」への転換、IoT機器の急激な増加、高度化するサイバー攻撃など、ITをとりまく顧客ニーズが多様化し、経営環境が大きく変動しています。当社グループは、このような市場の変化を成長機会ととらえ、さらなる事業拡大に向けて取り組むべく、中期経営計画「Next 50 Episode Ⅰ 覚醒 ! (Awakening !)」(2020年3月期~2022年3月期)を策定しました。
この中期経営計画では「未来志向型企業文化の醸成」「デジタルトランスフォーメーション(DX)によるUP-GradeされたBusiness Modelの展開」「ESG(注)の推進」を3つの基本方針とし、各施策に取り組んでいます。
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(注):ESGとはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字。各分野への適切な対応が企業の長期的成長の原動力となり、持続可能な社会の形成に役立つという考え方。
① 未来志向型企業文化の醸成
当社グループの持続的な成長には、人材の多様性およびイノベーションの創出が欠かせません。多様な人材の採用・育成に取り組むとともに、人材が能力を最大限発揮できるよう、組織・制度・環境を整備しています。また、未来に向けて挑戦する風土の醸成およびイノベーションの創出を進めています。
取組み実績は以下のとおりです。
・ソフトウェア開発部門において、一括受託型プロジェクトの管理強化や国内外の各拠点を含めた適正な人員配置を行なうため、グローバルイノベーションセンター(GIC)を新設
・新型コロナウイルスとの共存を見据えた柔軟で効率的な働き方を推進するため、社内改革「ニューノーマル適応プロジェクト」を開始
・当社グループ全体でアイデアや技術を共有し、新たなビジネスにつなげることを目的とした「ニューノーマル・アイデア提案表彰制度」を新設
・社内人財(注)に関するデータを一元管理し、柔軟かつ迅速に経営課題に対応した人事戦略を立案するため、人財マネジメントシステムを導入
・社員による技術コンテンツの作成や共有が可能な社内向けeラーニングシステム「ID Campus」をリリース
(注):当社は、社員が会社の重要な財産のひとつであるとの考えから、「人材」を「人財」と表記しています。
② デジタルトランスフォーメーション(DX、注)によるUP-GradeされたBusiness Modelの展開
近年の急激なデジタル化の流れを受けて、顧客企業は新たなテクノロジーの導入・活用を積極的に進めています。当社グループは、長年蓄積してきた顧客システムに関する業務知識やノウハウをもとに、既存のサービスソリューションにアドバンスト・テクノロジー(RPA、AI、クラウド、サイバーセキュリティ、IoT等のデジタル技術や、ITサービスマネジメントやアジャイル等の高度マネジメント手法)を組み合わせることで、顧客ニーズにあった付加価値の高い、UP-Gradeされたサービスモデルを提供します。
こうしたサービスモデルの実現に向けて、この3か年は技術者育成に重点をおき、積極的に教育投資を行なっています。また、従来のサービスをより上流工程へとシフトすることで、人月型ビジネスから成果報酬型ビジネスへ転換を図ります。既存事業の拡大にくわえ、新規領域への積極的な投資を行い、競争優位性を高め、収益性向上を図ります。
取組み実績は以下のとおりです。
・株式会社インフォメーション・ディベロプメント(以下、「ID社」)が、遠隔作業支援システムIDEye(アイディアイ)に新機能を追加し、作業効率の大幅な向上を実現
・ID社が、高度なセキュリティ製品であるSeceon OTMを活用した「ネットワーク監視&インシデント対応サービスNDR(Network Detection and Response)」の提供を開始
・株式会社DXコンサルティングが、業務支援ツール(ITサービスマネジメントツール等)をリモートでも導入可能な「らくらく導入支援サービス」を開始
(注):デジタルトランスフォーメーションとは、既存のサービスソリューションに、RPAやAI、IoTなどアドバンスト・テクノロジー(先端技術)を組み合わせることで、既存ビジネスを変革すること。
③ ESGの推進
当社は情報サービスの提供を通じて社会課題の解決に積極的に取り組むとともに、持続的な成長および社会価値の創造を目指します。ESG推進部を立ち上げ、環境、社会、ガバナンスの各分野での取組みを強化することで、顧客、株主、従業員などすべてのステークホルダーとともに成長・発展していけるよう努めています。
取組み実績は以下のとおりです。
・当社グループの内部統制体制の整備・運用状況を定期的に評価し、必要な改善措置を議論・検討することを目的として、グループ内部統制会議を設置
・リモートアクセスサービスの利用やサテライトオフィスの活用により、当社グループの約半数の社員がテレワークを実施
・新型コロナウイルス感染拡大により活動を制限されている芸術家を支援するため、演奏動画をホームページにて公開
・「IDグループ献血DAY」を開催し、日本赤十字社により献血サポーターに認定
・慶應義塾大学に対してCOVID-19の研究費を寄付
(2) 財政状態の分析
(資産の部)
当第1四半期連結会計期間末の資産の部は、現金及び預金は6億1百万円増加しましたが、売上債権の減少6億20百万円および未収入金の減少6億36百万円などにより、前連結会計年度末に比べ2億7百万円減少し、150億42百万円となりました。
(負債の部)
当第1四半期連結会計期間末の負債の部は、有利子負債は16億21百万円増加しましたが、未払法人税等の減少8億59百万円および未払消費税等の減少9億91百万円などにより、前連結会計年度末に比べ1億93百万円減少し、63億25百万円となりました。
(純資産の部)
当第1四半期連結会計期間末の純資産の部は、親会社株主に帰属する四半期純利益1億37百万円およびその他有価証券評価差額金の増加1億30百万円がありましたが、配当金支払2億85百万円などにより、前連結会計年度末に比べ14百万円減少し、87億16百万円となりました。
(3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発の金額は40百万円です。おもな取組みとして、画像分析・動画技術・音声認識の研究、新たなスマートグラス活用の調査および社内の人材育成用eラーニングシステムの構築を行っています。また、先端IT技術の情報収集および研究のため、米国ベンチャーキャピタルへの出資や慶應義塾大学との協業を行っています。
なお、当社グループの報告セグメントは「情報サービス事業」の単一セグメントであり、セグメント別の記載を省略しています。
(5) 資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループの主な資本の財源は、内部資金および金融機関からの借入等です。当第1四半期連結会計期間末現在、短期借入金の残高は20億60百万円、1年内返済予定の長期借入金の残高は5億3百万円、長期借入金の残高は1億42百万円です。
なお、当社グループは、資金調達の機動性と効率性を高めるため、取引銀行5行と総額15億30百万円の当座貸越契約および取引銀行4行と融資枠設定金額10億円の貸出コミットメントライン契約を締結しています。