有価証券報告書-第53期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
業績等の概要
(1) 業績
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、国内外の景気への影響が懸念されるなか、今後の経済活動、企業の経営環境および雇用情勢などの先行きは不透明な状況です。
当社グループが属する情報サービス業界では、このような状況のなか、テレワークを想定したIT環境の導入・整備が進み、情報資産のクラウド化の加速などの新たなニーズが高まっています。その一方で、ソフトウェア開発やシステム基盤における新規案件の取りやめや既存案件の延伸など、マイナスの動きが一部に見られます。
当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)における当社グループの業績は、サイバーセキュリティ、システム運営管理、およびシステム基盤がそれぞれ堅調に推移したことにくわえ、買収した子会社の寄与があったものの、ソフトウェア開発およびシステム運営管理などにおいて、大型プロジェクト5件の終了による29億64百万円の反動減があり、売上高は257億66百万円(前年同期比2.3%減)となりました。
収益面においては、売上の減少にともなう利益の低下にくわえ、新型コロナウイルス感染症の拡大による、顧客企業のシステム投資計画の見直し等にともなう技術者の稼働率低下、子会社3社を取得したことによるM&A関連費用1億90百万円および3社ののれん償却費93百万円、ニューノーマル適応プロジェクト(注)に係る費用の計上等があり、営業利益は13億72百万円(同33.8%減)、経常利益は15億53百万円(同26.4%減)となりました。また、固定資産売却損および投資有価証券売却益があり、親会社株主に帰属する当期純利益は7億47百万円(同42.3%減)となりました。EBITDAは、18億77百万円(同24.8%減)となりました。
(注):新型コロナウイルスとの共存を見据えた柔軟で効率的な働き方を推進するための社内改革プロジェクトのこと。フリーアドレスオフィス「THE Forest Room」の新設、山陰事業部への本社管理業務の一部移管、マーケティング視点でのホームページの全面リニューアル等に取り組んでいます。
なお、当社の事業セグメントは単一セグメントであり、サービスごとの業績を以下のとおり記載しています。
(単位:百万円)
① システム運営管理
金融関連既存顧客における前期大型プロジェクト完了にともなう4億41百万円の減少や要員の削減にくわえ、医療関連における一部案件の完了や新型コロナウイルス感染症の拡大による新規案件の落込みがありました。しかしながら金融関連既存顧客の体制強化にともなう増員や、今期に買収した子会社の寄与、通信および公共関連既存顧客における新規案件の獲得があり、売上高は120億71百万円(同0.8%増)となりました。
② ソフトウェア開発
今期に買収した子会社の寄与や、既存製造関連プロジェクトへの増員による受注拡大があったものの、公共および金融関連既存顧客における、前期大型プロジェクト3件の完了にともなう19億37百万円の減少により、売上高は84億4百万円(同6.0%減)となりました。
③ システム基盤
金融関連プロジェクトの一部延期などがあったものの、今期に買収した子会社の寄与や、運輸関連既存顧客におけるDX関連プロジェクトへの増員による受注拡大、公共関連既存顧客における新規案件の獲得により、売上高は25億34百万円(同1.4%増)となりました。
④ サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育
サイバーセキュリティにおけるオペレーターの増員や製品販売の増加により、売上高は22億75百万円(同8.8%増)となりました。
⑤ その他
金融関連の一部事業の終了にくわえ、新型コロナウイルス感染拡大の影響によるライセンス販売の買控えや一部案件の延期、製品販売における前期大口受注の剥落等があり、売上高は4億81百万円(同44.7%減)となりました。
なお当社は、2020年7月21日、会社法第370条および当社定款第25条(取締役会決議の省略)に基づき、株式会社GIテクノスの全株式を取得することを決議し、2020年8月3日付で子会社化しました。
また当社は、2020年11月9日開催の取締役会において、株式会社ウィズ・ホールディングス(以下、WHD社)の発行済み株式の一部を取得することで子会社化し、その後当社を株式交換完全親会社とし、WHD社を株式交換完全子会社とする簡易株式交換を実施することを決議し、同日付で株式譲渡契約および株式交換契約を締結しました。当該契約に基づき、WHD社を2021年1月4日付で子会社化、2021年1月27日付で完全子会社化しました。
なおグループ内の経営効率化の一環として、2021年3月1日付で、WHD社を消滅会社とし、その完全子会社である株式会社システムデザインを存続会社とする吸収合併を実施しました。
《経営施策の取組み状況》
近年、情報サービス業界において、RPA・AIなどのデジタル技術を活用した既存ビジネスの変革、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)の急速な進展や、システムの「所有」から「利用」への転換、IoT機器の急激な増加、高度化するサイバー攻撃など、ITをとりまく顧客ニーズが多様化し、経営環境が大きく変動しています。当社グループは、このような市場の変化を成長機会ととらえ、さらなる事業拡大に向けて取り組むべく、中期経営計画「Next 50 Episode Ⅰ 覚醒 ! (Awakening !)」(2020年3月期~2022年3月期)を策定しました。
この中期経営計画では「未来志向型企業文化の醸成」「デジタルトランスフォーメーション(DX)によるUP-GradeされたBusiness Modelの展開」「ESGの推進」を3つの基本方針とし、各施策に取り組んでいます。

① 未来志向型企業文化の醸成
当社グループの持続的な成長には、人材の多様性およびイノベーションの創出が欠かせません。多様な人材の採用・育成に取り組むとともに、人材が能力を最大限発揮できるよう、組織・制度・環境を整備しています。また、未来に向けて挑戦する風土の醸成およびイノベーションの創出を進めています。
取組み実績は以下のとおりです。
・株式会社インフォメーション・ディベロプメント(以下、「ID社」)が、ソフトウェア開発部門において、一括受託型プロジェクトの管理強化や国内外の各拠点を含めた適正な人員配置を行なうため、グローバルイノベーションセンター(GIC)を新設
・新型コロナウイルスとの共存を見据えた柔軟で効率的な働き方を推進するため、社内改革「ニューノーマル適応プロジェクト」を開始
・ID社が、東京本社の業務分散化をはじめとする業務改革を推進するため、本社機能の一部を移管し、山陰BPOセンターを新設
・コミュニケーションの活発化や新たなイノベーションの創出を図るため、フリーアドレスオフィス「THE Forest Room」を開設
・リモートアクセスサービスの利用やサテライトオフィスの活用により、社員の多様な働き方をサポート
・当社グループ全体でアイデアや技術を共有し、新たなビジネスにつなげることを目的とした「ニューノーマル・アイデア提案表彰制度」を新設
・社内人財(注)に関するデータを一元管理し、柔軟かつ迅速に経営課題に対応した人事戦略を立案するため、人財マネジメントシステムを導入
・社員の能力向上を図るため、業務ノウハウや技術スキルの共有が可能な社内向けeラーニングシステム「ID Campus」をリリース
・当社グループや顧客にとって有益となる提案を募集し、既存の業務や慣習を見直すことを目的とした「これ止めま賞表彰制度」を新設
(注):当社は、社員が会社の重要な財産のひとつであるとの考えから、「人材」を「人財」と表記しています。
② デジタルトランスフォーメーション(DX)によるUP-GradeされたBusiness Modelの展開
近年の急激なデジタル化の流れを受けて、顧客企業は新たなテクノロジーの導入・活用を積極的に進めています。当社グループは、長年蓄積してきた顧客システムに関する業務知識やノウハウをもとに、既存のサービスソリューションにアドバンスト・テクノロジー(RPA、AI、クラウド、サイバーセキュリティ、IoT等のデジタル技術や、ITサービスマネジメントやアジャイル等の高度マネジメント手法)を組み合わせることで、顧客ニーズにあった付加価値の高い、UP-Gradeされたサービスモデルを提供します。
こうしたサービスモデルの実現に向けて、この3か年は技術者育成に重点をおき、積極的に教育投資を行なっています。また、従来のサービスをより上流工程へとシフトすることで、人月型ビジネスから成果報酬型ビジネスへ転換を図ります。既存事業の拡大にくわえ、新規領域への積極的な投資を行い、競争優位性を高め、収益性向上を図ります。
取組み実績は以下のとおりです。
・ID社が、鳥取県米子市にIDクラウドマネージドセンターを新設し、クラウド環境の設計および構築、移行後の運用保守までをサポートする「マルチクラウドソリューションサービス ID-Cross」の提供を開始
・ニューノーマル適応に向けた新たなマーケティング戦略の立案や、技術動向等の情報収集、新規商材の発掘や販売の推進、営業体制の強化を図るため、ID社にエンタープライズ営業部を新設
・株式会社DXコンサルティング(以下、「DX社」)が、国際的な試験機関であるEXIN社の「EXIN BCS Artificial Intelligence(AI)人工知能 Foundation」資格に対応した認定コースを日本で初めて開講
・ID社が、遠隔作業支援システムIDEye(アイディアイ)に新機能を追加し、作業効率の大幅な向上を実現
・ID社が、高度なセキュリティ製品であるSeceon OTMを活用した「ネットワーク監視&インシデント対応サービスNDR(Network Detection and Response)」の提供を開始
・DX社が、業務支援ツール(ITサービスマネジメントツール等)をリモートでも導入可能な「らくらく導入支援サービス」を開始
・ID社が、次世代のサイバーセキュリティテクノロジーに関する業界最大級のカンファレンス「PALO ALTO NETWORKS DAY 2020 VIRTUAL」にて、バーチャルブースの展示や講演を実施
・株式会社プライドが、顧客のDXにつながる独自の方法論に基づくコンサルティングサービスを評価され、情報システム学会主催の浦昭二記念賞(実践賞)を受賞
・DX社が、マルチベンダ環境下でのITシステムの開発・運用を最適化するフレームワークである、SIAM®(サービス統合管理)の上位コースを開講
・ID社が、官民さまざまな分野の識者が参加し、最新の情報セキュリティトレンドを紹介するMcAfee社主催のカンファレンス「2020 MPOWER Cybersecurity Summit」に協賛、バーチャルブースの展示を実施
・DXの推進に向けた経営ビジョンの策定や事業戦略・推進体制の整備、適切な情報開示などの取り組みが評価され、経済産業省指針に基づくDX認定を取得
・ID社が、米子工業高等専門学校における「オンラインによるショッピング・リハビリテーション」の実証実験に、遠隔作業支援システムIDEyeを提供
・ID社が、需要の拡大が続くテレワークやリモート会議等に適した、よりセキュアなリモートアクセスを実現する、クラウドフレアジャパンの新プラットフォーム「Cloudflare One」の取扱いを開始
③ ESGの推進
当社は情報サービスの提供を通じて社会課題の解決に積極的に取り組むとともに、持続的な成長および社会価値の創造を目指します。ESG推進部を立ち上げ、環境、社会、ガバナンスの各分野での取組みを強化することで、顧客、株主、従業員などすべてのステークホルダーとともに成長・発展していけるよう努めています。
取組み実績は以下のとおりです。
・従業員の環境意識を強化し、生活環境の維持・向上につなげるため、IDグループ環境強化月間「Happy Earth Challenge」を実施
・艾迪系統開発(武漢)有限公司(以下、「ID武漢」)が、中国東湖磨山景区にて従業員による清掃活動を実施
・特例子会社の愛ファクトリー株式会社(以下、「愛ファクトリー」)で地域海岸清掃を実施
・当社グループにおける環境保全活動の拡大を図るため、法人会員として公益財団法人世界自然保護基金(WWF)ジャパンへ入会
・従業員の健康課題を重点テーマとして取り上げ、生活習慣予防セミナーの開催や、歩行習慣アプリの導入により健康経営への取組みを強化
・新型コロナウイルス感染拡大により、活動が制限されている芸術家への支援、ならびに医療従事者への感謝をこめて、演奏動画をホームページにて公開
・「IDグループ献血DAY」を開催し、日本赤十字社により献血サポーターに認定
・慶應義塾大学に対してCOVID-19の研究費を寄付
・未来の情報産業を支える人材の発掘・育成に寄与するため、情報オリンピック日本委員会の活動に協賛
・健康経営や健康づくりに対する積極的な取組みが評価され、「健康優良企業」認定制度においてID社が「金の認定」を昨年に引き続き取得
・昨年に引き続き、「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として、「健康経営優良法人 ~ホワイト500~」の認定を取得
・ID武漢が、中国の華中科技大学に対し新型コロナウイルス感染対策に向けた衛生用品を寄付
・愛ファクトリーが、農林水産省主催「令和2年度 中国四国地域未来につながる持続可能な農業推進コンクール」にて、中国四国農政局長賞を受賞
・次世代育成の臨床心理研究のため島根大学に研究費を助成
・従業員とその家族の健康に配慮し、新型コロナウイルスの早期収束の一助とするため、グループ全従業員を対象とした「ワクチン休暇」制度を導入
・子どもたちの国際理解や環境問題への関心を高めるため、SDGsをテーマとした絵本を日本国内の児童施設に寄贈
・当社グループの内部統制体制の整備・運用状況を定期的に評価し、必要な改善措置を議論・検討することを目的として、グループ内部統制会議を設置
・人権方針に基づきグループ全社員を対象に「テレワークハラスメント」をテーマとした人権研修を実施
・コーポレートガバナンスの充実・強化を図るため、東京証券取引所が定める独立性基準等を参考に独自の「社外役員の独立性判断基準」を制定
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3億4百万円増加し、46億71百万円(前年同期比7.0%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は6億7百万円(前期は32億31百万円の資金増)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益14億1百万円、未払消費税等の減少額11億33百万円および法人税等の支払額10億12百万円などによるものです。未払消費税等の減少は、前連結会計年度期首における持株会社制への移行に伴い、新設分割会社である株式会社インフォメーション・ディベロプメントの前連結会計年度末において一時的に増加した未払消費税等の当期多額の支払が発生したためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は6億12百万円(前期は1億14百万円の資金減)となりました。
これは主に、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出10億49百万円および投資有価証券の売却による収入3億24百万円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は14億90百万円(前期は22億19百万円の資金減)となりました。
これは主に、短期借入金の純増加額20億83百万円、配当金の支払額5億72百万円(非支配株主への配当金の支払額を含む)などによるものです。
生産、受注および販売の実績
当社グループは情報サービス事業の単一セグメントですが、当連結会計年度における生産実績、受注実績、販売実績をサービス別に示すと、次のとおりです。
(1)生産実績
(注)1 金額は、販売価格によっています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)受注実績
(注) 上記の金額には、消費税は含まれていません。
(3)販売実績
(注)1 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
※株式会社みずほトラストシステムズは、2021年1月1日付でみずほ情報総研株式会社と合併し、みずほ情報総研株式会社に商号変更しました。また、みずほ情報総研株式会社は、2021年4月1日付で、みずほ総合研究所株式会社と合併し、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社に商号変更しました。
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
(1)重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としています。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り・予測を実施しています。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えています。
① 繰延税金資産
繰延税金資産は、今後の課税所得の予測等を踏まえその回収可能性を判断したうえで計上しています。
② 退職給付費用
従業員退職給付費用および債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。従業員退職給付費用および債務は、その前提として使用している割引率、報酬水準の増加率や従業員の平均残存勤務期間に影響されます。一部の連結子会社の確定給付企業年金制度においては、割引率を安全性の高い長期の債券の利回りにより決定している他、報酬水準の増加率および従業員の平均残存勤務期間については、これまでの実績値に基づき決定しています。
③ 貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しています。
④ その他有価証券の減損処理
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客および金融機関に対するその他有価証券を所有しています。これらの株式および投資信託には価格変動性が高い上場会社の株式および時価のある投資信託と、株価の決定が困難である非上場会社の株式が含まれます。当社グループは投資価値の下落が一時的でないと判断した場合、これら有価証券の減損処理を実施しています。上場会社の株式および時価のある投資信託は、期末日の時価が取得原価に比べ50%以上下落した有価証券については、期末後1年以内に時価が取得原価にほぼ近い水準に回復することを合理的な根拠で予測できる場合を除きすべて減損処理を行い、30~50%程度下落した有価証券については、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っています。また非上場会社の株式は原則として、評価損の計上を検討すべき一定の事項が発生し、且つ、当該会社の純資産額に対する当社グループ持分額が取得価額より50%以上下落し、回復可能性が明確でない場合には、減損処理を行うこととしています。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度の263億77百万円に対し2.3%減収の257億66百万円となりました。
サービス別の状況は第2「事業の状況」3.「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」「業績等の概要」(1) 業績をご参照ください。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度の199億67百万円に対し2.9%減少の193億86百万円となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の43億36百万円に対し15.4%増加の50億7百万円となりました。
③ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度の20億73百万円に対し33.8%減少の13億72百万円となりました。
④ 営業外損益(純額)
当連結会計年度の営業外損益(純額)は、助成金収入の増加などにより、前連結会計年度の38百万円の利益(純額)に対し367.8%増加の1億80百万円の利益(純額)となりました。
⑤ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度の21億11百万円に対し26.4%減少の15億53百万円となりました。
⑥ 特別損益(純額)
当連結会計年度の特別損益(純額)は、固定資産売却損の増加などにより、前連結会計年度の39百万円の利益(純額)から1億52百万円の損失(純額)となりました。
⑦ 税金等調整前当期純利益
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の21億51百万円に対し34.8%減少の14億1百万円の利益となりました。
⑧ 法人税等
当連結会計年度の法人税等は、前連結会計年度の8億44百万円に対し23.9%減少の6億42百万円となりました。
⑨ 非支配株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の9百万円に対し10.9%増加の11百万円の利益となりました。
⑩ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の12億97百万円に対し42.3%減少の7億47百万円の利益となりました。
(3)当連結会計年度末の財政状態の分析
① 資産の部
当連結会計年度末の資産の部は、現金及び預金の増加3億26百万円および3件のM&Aによるのれんの増加10億28百万円などにより、前連結会計年度末に比べ15億46百万円増加し167億96百万円となりました。
② 負債の部
当連結会計年度末の負債の部は、未払法人税等は5億94百万円減少しましたが、短期借入金の増加21億60百万円などにより、前連結会計年度末に比べ8億69百万円増加し73億88百万円となりました。
③ 純資産の部
当連結会計年度末の純資産の部は、期末および中間配当金支払による減少5億71百万円がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の増加7億47百万円および株式交換による増加2億71百万円などにより、前連結会計年度末に比べ6億77百万円増加し94億8百万円となりました。
(4)資本の財源および資金の流動性についての分析
① 当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度は32億31百万円の資金を獲得しましたが、当連結会計年度では6億7百万円の資金を使用しました。これは主に、未払消費税等の増減額が21億73百万円減少、売上債権の増減額が8億98百万円増加および法人税等の支払額が6億1百万円増加したことによるものです。未払消費税等の減少は、前連結会計年度期首における持株会社制への移行に伴い、新設分割会社である株式会社インフォメーション・ディベロプメントの前連結会計年度末において一時的に増加した未払消費税等の当期多額の支払が発生したためです。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度の1億14百万円より4億97百万円多い、6億12百万円の資金を使用しました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が2億53百万円増加および有形固定資産の売却による収入が1億90百万円増加しましたが、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が10億49百万円増加したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度は22億19百万円の資金を使用しましたが、当連結会計年度では、14億90百万円の資金を獲得しました。これは主に、短期借入金の純増減額が30億83百万円増加および長期借入による収入が7億円増加したことによるものです。
② 当社グループは現在、運転資金および設備投資資金につきましては、自己資金または借入等により資金調達することとしています。当連結会計年度末現在、短期借入金の残高は25億20百万円、1年内返済予定の長期借入金の残高は4億93百万円、長期借入金の残高は4億8百万円です。
なお、当社グループは、資金調達の機動性と効率性を高めるため、取引銀行5行と総額30億30百万円の当座貸越契約および取引銀行5行と融資枠設定金額11億円の貸出コミットメントライン契約を締結しています。
(1) 業績
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、国内外の景気への影響が懸念されるなか、今後の経済活動、企業の経営環境および雇用情勢などの先行きは不透明な状況です。
当社グループが属する情報サービス業界では、このような状況のなか、テレワークを想定したIT環境の導入・整備が進み、情報資産のクラウド化の加速などの新たなニーズが高まっています。その一方で、ソフトウェア開発やシステム基盤における新規案件の取りやめや既存案件の延伸など、マイナスの動きが一部に見られます。
当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)における当社グループの業績は、サイバーセキュリティ、システム運営管理、およびシステム基盤がそれぞれ堅調に推移したことにくわえ、買収した子会社の寄与があったものの、ソフトウェア開発およびシステム運営管理などにおいて、大型プロジェクト5件の終了による29億64百万円の反動減があり、売上高は257億66百万円(前年同期比2.3%減)となりました。
収益面においては、売上の減少にともなう利益の低下にくわえ、新型コロナウイルス感染症の拡大による、顧客企業のシステム投資計画の見直し等にともなう技術者の稼働率低下、子会社3社を取得したことによるM&A関連費用1億90百万円および3社ののれん償却費93百万円、ニューノーマル適応プロジェクト(注)に係る費用の計上等があり、営業利益は13億72百万円(同33.8%減)、経常利益は15億53百万円(同26.4%減)となりました。また、固定資産売却損および投資有価証券売却益があり、親会社株主に帰属する当期純利益は7億47百万円(同42.3%減)となりました。EBITDAは、18億77百万円(同24.8%減)となりました。
(注):新型コロナウイルスとの共存を見据えた柔軟で効率的な働き方を推進するための社内改革プロジェクトのこと。フリーアドレスオフィス「THE Forest Room」の新設、山陰事業部への本社管理業務の一部移管、マーケティング視点でのホームページの全面リニューアル等に取り組んでいます。
なお、当社の事業セグメントは単一セグメントであり、サービスごとの業績を以下のとおり記載しています。
(単位:百万円)
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比 | |||
増減額 | 増減率(%) | ||||
システム運営管理 | 売上高 | 11,974 | 12,071 | 96 | 0.8 |
売上総利益 | 2,669 | 2,808 | 139 | 5.2 | |
売上総利益率 | 22.3% | 23.3% | 1.0P | ― | |
ソフトウェア開発 | 売上高 | 8,941 | 8,404 | △537 | △6.0 |
売上総利益 | 2,456 | 2,210 | △245 | △10.0 | |
売上総利益率 | 27.5% | 26.3% | △1.2P | ― | |
システム基盤 | 売上高 | 2,499 | 2,534 | 34 | 1.4 |
売上総利益 | 721 | 751 | 29 | 4.0 | |
売上総利益率 | 28.9% | 29.6% | 0.8P | ― | |
サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育 | 売上高 | 2,091 | 2,275 | 184 | 8.8 |
売上総利益 | 542 | 598 | 56 | 10.4 | |
売上総利益率 | 25.9% | 26.3% | 0.4P | ― | |
その他 | 売上高 | 869 | 481 | △388 | △44.7 |
売上総利益 | 19 | 11 | △8 | △41.0 | |
売上総利益率 | 2.3% | 2.4% | 0.2P | ― | |
合計 | 売上高 | 26,377 | 25,766 | △610 | △2.3 |
売上総利益 | 6,409 | 6,380 | △28 | △0.5 | |
売上総利益率 | 24.3% | 24.8% | 0.5P | ― |
① システム運営管理
金融関連既存顧客における前期大型プロジェクト完了にともなう4億41百万円の減少や要員の削減にくわえ、医療関連における一部案件の完了や新型コロナウイルス感染症の拡大による新規案件の落込みがありました。しかしながら金融関連既存顧客の体制強化にともなう増員や、今期に買収した子会社の寄与、通信および公共関連既存顧客における新規案件の獲得があり、売上高は120億71百万円(同0.8%増)となりました。
② ソフトウェア開発
今期に買収した子会社の寄与や、既存製造関連プロジェクトへの増員による受注拡大があったものの、公共および金融関連既存顧客における、前期大型プロジェクト3件の完了にともなう19億37百万円の減少により、売上高は84億4百万円(同6.0%減)となりました。
③ システム基盤
金融関連プロジェクトの一部延期などがあったものの、今期に買収した子会社の寄与や、運輸関連既存顧客におけるDX関連プロジェクトへの増員による受注拡大、公共関連既存顧客における新規案件の獲得により、売上高は25億34百万円(同1.4%増)となりました。
④ サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育
サイバーセキュリティにおけるオペレーターの増員や製品販売の増加により、売上高は22億75百万円(同8.8%増)となりました。
⑤ その他
金融関連の一部事業の終了にくわえ、新型コロナウイルス感染拡大の影響によるライセンス販売の買控えや一部案件の延期、製品販売における前期大口受注の剥落等があり、売上高は4億81百万円(同44.7%減)となりました。
なお当社は、2020年7月21日、会社法第370条および当社定款第25条(取締役会決議の省略)に基づき、株式会社GIテクノスの全株式を取得することを決議し、2020年8月3日付で子会社化しました。
また当社は、2020年11月9日開催の取締役会において、株式会社ウィズ・ホールディングス(以下、WHD社)の発行済み株式の一部を取得することで子会社化し、その後当社を株式交換完全親会社とし、WHD社を株式交換完全子会社とする簡易株式交換を実施することを決議し、同日付で株式譲渡契約および株式交換契約を締結しました。当該契約に基づき、WHD社を2021年1月4日付で子会社化、2021年1月27日付で完全子会社化しました。
なおグループ内の経営効率化の一環として、2021年3月1日付で、WHD社を消滅会社とし、その完全子会社である株式会社システムデザインを存続会社とする吸収合併を実施しました。
《経営施策の取組み状況》
近年、情報サービス業界において、RPA・AIなどのデジタル技術を活用した既存ビジネスの変革、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)の急速な進展や、システムの「所有」から「利用」への転換、IoT機器の急激な増加、高度化するサイバー攻撃など、ITをとりまく顧客ニーズが多様化し、経営環境が大きく変動しています。当社グループは、このような市場の変化を成長機会ととらえ、さらなる事業拡大に向けて取り組むべく、中期経営計画「Next 50 Episode Ⅰ 覚醒 ! (Awakening !)」(2020年3月期~2022年3月期)を策定しました。
この中期経営計画では「未来志向型企業文化の醸成」「デジタルトランスフォーメーション(DX)によるUP-GradeされたBusiness Modelの展開」「ESGの推進」を3つの基本方針とし、各施策に取り組んでいます。

① 未来志向型企業文化の醸成
当社グループの持続的な成長には、人材の多様性およびイノベーションの創出が欠かせません。多様な人材の採用・育成に取り組むとともに、人材が能力を最大限発揮できるよう、組織・制度・環境を整備しています。また、未来に向けて挑戦する風土の醸成およびイノベーションの創出を進めています。
取組み実績は以下のとおりです。
・株式会社インフォメーション・ディベロプメント(以下、「ID社」)が、ソフトウェア開発部門において、一括受託型プロジェクトの管理強化や国内外の各拠点を含めた適正な人員配置を行なうため、グローバルイノベーションセンター(GIC)を新設
・新型コロナウイルスとの共存を見据えた柔軟で効率的な働き方を推進するため、社内改革「ニューノーマル適応プロジェクト」を開始
・ID社が、東京本社の業務分散化をはじめとする業務改革を推進するため、本社機能の一部を移管し、山陰BPOセンターを新設
・コミュニケーションの活発化や新たなイノベーションの創出を図るため、フリーアドレスオフィス「THE Forest Room」を開設
・リモートアクセスサービスの利用やサテライトオフィスの活用により、社員の多様な働き方をサポート
・当社グループ全体でアイデアや技術を共有し、新たなビジネスにつなげることを目的とした「ニューノーマル・アイデア提案表彰制度」を新設
・社内人財(注)に関するデータを一元管理し、柔軟かつ迅速に経営課題に対応した人事戦略を立案するため、人財マネジメントシステムを導入
・社員の能力向上を図るため、業務ノウハウや技術スキルの共有が可能な社内向けeラーニングシステム「ID Campus」をリリース
・当社グループや顧客にとって有益となる提案を募集し、既存の業務や慣習を見直すことを目的とした「これ止めま賞表彰制度」を新設
(注):当社は、社員が会社の重要な財産のひとつであるとの考えから、「人材」を「人財」と表記しています。
② デジタルトランスフォーメーション(DX)によるUP-GradeされたBusiness Modelの展開
近年の急激なデジタル化の流れを受けて、顧客企業は新たなテクノロジーの導入・活用を積極的に進めています。当社グループは、長年蓄積してきた顧客システムに関する業務知識やノウハウをもとに、既存のサービスソリューションにアドバンスト・テクノロジー(RPA、AI、クラウド、サイバーセキュリティ、IoT等のデジタル技術や、ITサービスマネジメントやアジャイル等の高度マネジメント手法)を組み合わせることで、顧客ニーズにあった付加価値の高い、UP-Gradeされたサービスモデルを提供します。
こうしたサービスモデルの実現に向けて、この3か年は技術者育成に重点をおき、積極的に教育投資を行なっています。また、従来のサービスをより上流工程へとシフトすることで、人月型ビジネスから成果報酬型ビジネスへ転換を図ります。既存事業の拡大にくわえ、新規領域への積極的な投資を行い、競争優位性を高め、収益性向上を図ります。
取組み実績は以下のとおりです。
・ID社が、鳥取県米子市にIDクラウドマネージドセンターを新設し、クラウド環境の設計および構築、移行後の運用保守までをサポートする「マルチクラウドソリューションサービス ID-Cross」の提供を開始
・ニューノーマル適応に向けた新たなマーケティング戦略の立案や、技術動向等の情報収集、新規商材の発掘や販売の推進、営業体制の強化を図るため、ID社にエンタープライズ営業部を新設
・株式会社DXコンサルティング(以下、「DX社」)が、国際的な試験機関であるEXIN社の「EXIN BCS Artificial Intelligence(AI)人工知能 Foundation」資格に対応した認定コースを日本で初めて開講
・ID社が、遠隔作業支援システムIDEye(アイディアイ)に新機能を追加し、作業効率の大幅な向上を実現
・ID社が、高度なセキュリティ製品であるSeceon OTMを活用した「ネットワーク監視&インシデント対応サービスNDR(Network Detection and Response)」の提供を開始
・DX社が、業務支援ツール(ITサービスマネジメントツール等)をリモートでも導入可能な「らくらく導入支援サービス」を開始
・ID社が、次世代のサイバーセキュリティテクノロジーに関する業界最大級のカンファレンス「PALO ALTO NETWORKS DAY 2020 VIRTUAL」にて、バーチャルブースの展示や講演を実施
・株式会社プライドが、顧客のDXにつながる独自の方法論に基づくコンサルティングサービスを評価され、情報システム学会主催の浦昭二記念賞(実践賞)を受賞
・DX社が、マルチベンダ環境下でのITシステムの開発・運用を最適化するフレームワークである、SIAM®(サービス統合管理)の上位コースを開講
・ID社が、官民さまざまな分野の識者が参加し、最新の情報セキュリティトレンドを紹介するMcAfee社主催のカンファレンス「2020 MPOWER Cybersecurity Summit」に協賛、バーチャルブースの展示を実施
・DXの推進に向けた経営ビジョンの策定や事業戦略・推進体制の整備、適切な情報開示などの取り組みが評価され、経済産業省指針に基づくDX認定を取得
・ID社が、米子工業高等専門学校における「オンラインによるショッピング・リハビリテーション」の実証実験に、遠隔作業支援システムIDEyeを提供
・ID社が、需要の拡大が続くテレワークやリモート会議等に適した、よりセキュアなリモートアクセスを実現する、クラウドフレアジャパンの新プラットフォーム「Cloudflare One」の取扱いを開始
③ ESGの推進
当社は情報サービスの提供を通じて社会課題の解決に積極的に取り組むとともに、持続的な成長および社会価値の創造を目指します。ESG推進部を立ち上げ、環境、社会、ガバナンスの各分野での取組みを強化することで、顧客、株主、従業員などすべてのステークホルダーとともに成長・発展していけるよう努めています。
取組み実績は以下のとおりです。
・艾迪系統開発(武漢)有限公司(以下、「ID武漢」)が、中国東湖磨山景区にて従業員による清掃活動を実施
・特例子会社の愛ファクトリー株式会社(以下、「愛ファクトリー」)で地域海岸清掃を実施
・当社グループにおける環境保全活動の拡大を図るため、法人会員として公益財団法人世界自然保護基金(WWF)ジャパンへ入会
・新型コロナウイルス感染拡大により、活動が制限されている芸術家への支援、ならびに医療従事者への感謝をこめて、演奏動画をホームページにて公開
・「IDグループ献血DAY」を開催し、日本赤十字社により献血サポーターに認定
・慶應義塾大学に対してCOVID-19の研究費を寄付
・未来の情報産業を支える人材の発掘・育成に寄与するため、情報オリンピック日本委員会の活動に協賛
・健康経営や健康づくりに対する積極的な取組みが評価され、「健康優良企業」認定制度においてID社が「金の認定」を昨年に引き続き取得
・昨年に引き続き、「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として、「健康経営優良法人 ~ホワイト500~」の認定を取得
・ID武漢が、中国の華中科技大学に対し新型コロナウイルス感染対策に向けた衛生用品を寄付
・愛ファクトリーが、農林水産省主催「令和2年度 中国四国地域未来につながる持続可能な農業推進コンクール」にて、中国四国農政局長賞を受賞
・次世代育成の臨床心理研究のため島根大学に研究費を助成
・従業員とその家族の健康に配慮し、新型コロナウイルスの早期収束の一助とするため、グループ全従業員を対象とした「ワクチン休暇」制度を導入
・子どもたちの国際理解や環境問題への関心を高めるため、SDGsをテーマとした絵本を日本国内の児童施設に寄贈
・人権方針に基づきグループ全社員を対象に「テレワークハラスメント」をテーマとした人権研修を実施
・コーポレートガバナンスの充実・強化を図るため、東京証券取引所が定める独立性基準等を参考に独自の「社外役員の独立性判断基準」を制定
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3億4百万円増加し、46億71百万円(前年同期比7.0%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は6億7百万円(前期は32億31百万円の資金増)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益14億1百万円、未払消費税等の減少額11億33百万円および法人税等の支払額10億12百万円などによるものです。未払消費税等の減少は、前連結会計年度期首における持株会社制への移行に伴い、新設分割会社である株式会社インフォメーション・ディベロプメントの前連結会計年度末において一時的に増加した未払消費税等の当期多額の支払が発生したためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は6億12百万円(前期は1億14百万円の資金減)となりました。
これは主に、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出10億49百万円および投資有価証券の売却による収入3億24百万円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は14億90百万円(前期は22億19百万円の資金減)となりました。
これは主に、短期借入金の純増加額20億83百万円、配当金の支払額5億72百万円(非支配株主への配当金の支払額を含む)などによるものです。
生産、受注および販売の実績
当社グループは情報サービス事業の単一セグメントですが、当連結会計年度における生産実績、受注実績、販売実績をサービス別に示すと、次のとおりです。
(1)生産実績
サービスの名称 | 生産高(千円) | 前年同期比(%) |
システム運営管理 | 12,061,043 | 100.7 |
ソフトウェア開発 | 8,349,601 | 93.4 |
システム基盤 | 2,471,404 | 98.9 |
サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育 | 2,333,956 | 111.5 |
その他 | 346,405 | 64.3 |
合計 | 25,562,411 | 98.1 |
(注)1 金額は、販売価格によっています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)受注実績
サービスの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
システム運営管理 | 10,579,117 | 85.3 | 2,242,766 | 61.4 |
ソフトウェア開発 | 8,061,014 | 98.7 | 1,325,888 | 121.1 |
システム基盤 | 2,385,928 | 91.0 | 601,644 | 88.4 |
サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育 | 2,342,074 | 106.2 | 347,270 | 124.2 |
その他 | 466,913 | 55.6 | 96,975 | 92.0 |
合計 | 23,835,048 | 90.8 | 4,614,544 | 79.4 |
(注) 上記の金額には、消費税は含まれていません。
(3)販売実績
サービスの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
システム運営管理 | 12,071,142 | 0.8 |
ソフトウェア開発 | 8,404,141 | △6.0 |
システム基盤 | 2,534,575 | 1.4 |
サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育 | 2,275,818 | 8.8 |
その他 | 481,058 | △44.7 |
合計 | 25,766,736 | △2.3 |
(注)1 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
相手先 | 販売高(千円) | 割合(%) |
日本アイ・ビー・エム株式会社 | 3,652,887 | 13.8 |
株式会社みずほトラストシステムズ | 3,072,040 | 11.6 |
※株式会社みずほトラストシステムズは、2021年1月1日付でみずほ情報総研株式会社と合併し、みずほ情報総研株式会社に商号変更しました。また、みずほ情報総研株式会社は、2021年4月1日付で、みずほ総合研究所株式会社と合併し、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社に商号変更しました。
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
相手先 | 販売高(千円) | 割合(%) |
日本アイ・ビー・エム株式会社 | 2,679,823 | 10.4 |
みずほ情報総研株式会社 | 2,587,200 | 10.0 |
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
(1)重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としています。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り・予測を実施しています。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えています。
① 繰延税金資産
繰延税金資産は、今後の課税所得の予測等を踏まえその回収可能性を判断したうえで計上しています。
② 退職給付費用
従業員退職給付費用および債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。従業員退職給付費用および債務は、その前提として使用している割引率、報酬水準の増加率や従業員の平均残存勤務期間に影響されます。一部の連結子会社の確定給付企業年金制度においては、割引率を安全性の高い長期の債券の利回りにより決定している他、報酬水準の増加率および従業員の平均残存勤務期間については、これまでの実績値に基づき決定しています。
③ 貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しています。
④ その他有価証券の減損処理
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客および金融機関に対するその他有価証券を所有しています。これらの株式および投資信託には価格変動性が高い上場会社の株式および時価のある投資信託と、株価の決定が困難である非上場会社の株式が含まれます。当社グループは投資価値の下落が一時的でないと判断した場合、これら有価証券の減損処理を実施しています。上場会社の株式および時価のある投資信託は、期末日の時価が取得原価に比べ50%以上下落した有価証券については、期末後1年以内に時価が取得原価にほぼ近い水準に回復することを合理的な根拠で予測できる場合を除きすべて減損処理を行い、30~50%程度下落した有価証券については、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っています。また非上場会社の株式は原則として、評価損の計上を検討すべき一定の事項が発生し、且つ、当該会社の純資産額に対する当社グループ持分額が取得価額より50%以上下落し、回復可能性が明確でない場合には、減損処理を行うこととしています。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度の263億77百万円に対し2.3%減収の257億66百万円となりました。
サービス別の状況は第2「事業の状況」3.「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」「業績等の概要」(1) 業績をご参照ください。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度の199億67百万円に対し2.9%減少の193億86百万円となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の43億36百万円に対し15.4%増加の50億7百万円となりました。
③ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度の20億73百万円に対し33.8%減少の13億72百万円となりました。
④ 営業外損益(純額)
当連結会計年度の営業外損益(純額)は、助成金収入の増加などにより、前連結会計年度の38百万円の利益(純額)に対し367.8%増加の1億80百万円の利益(純額)となりました。
⑤ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度の21億11百万円に対し26.4%減少の15億53百万円となりました。
⑥ 特別損益(純額)
当連結会計年度の特別損益(純額)は、固定資産売却損の増加などにより、前連結会計年度の39百万円の利益(純額)から1億52百万円の損失(純額)となりました。
⑦ 税金等調整前当期純利益
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の21億51百万円に対し34.8%減少の14億1百万円の利益となりました。
⑧ 法人税等
当連結会計年度の法人税等は、前連結会計年度の8億44百万円に対し23.9%減少の6億42百万円となりました。
⑨ 非支配株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の9百万円に対し10.9%増加の11百万円の利益となりました。
⑩ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の12億97百万円に対し42.3%減少の7億47百万円の利益となりました。
(3)当連結会計年度末の財政状態の分析
① 資産の部
当連結会計年度末の資産の部は、現金及び預金の増加3億26百万円および3件のM&Aによるのれんの増加10億28百万円などにより、前連結会計年度末に比べ15億46百万円増加し167億96百万円となりました。
② 負債の部
当連結会計年度末の負債の部は、未払法人税等は5億94百万円減少しましたが、短期借入金の増加21億60百万円などにより、前連結会計年度末に比べ8億69百万円増加し73億88百万円となりました。
③ 純資産の部
当連結会計年度末の純資産の部は、期末および中間配当金支払による減少5億71百万円がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の増加7億47百万円および株式交換による増加2億71百万円などにより、前連結会計年度末に比べ6億77百万円増加し94億8百万円となりました。
(4)資本の財源および資金の流動性についての分析
① 当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度は32億31百万円の資金を獲得しましたが、当連結会計年度では6億7百万円の資金を使用しました。これは主に、未払消費税等の増減額が21億73百万円減少、売上債権の増減額が8億98百万円増加および法人税等の支払額が6億1百万円増加したことによるものです。未払消費税等の減少は、前連結会計年度期首における持株会社制への移行に伴い、新設分割会社である株式会社インフォメーション・ディベロプメントの前連結会計年度末において一時的に増加した未払消費税等の当期多額の支払が発生したためです。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度の1億14百万円より4億97百万円多い、6億12百万円の資金を使用しました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が2億53百万円増加および有形固定資産の売却による収入が1億90百万円増加しましたが、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が10億49百万円増加したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度は22億19百万円の資金を使用しましたが、当連結会計年度では、14億90百万円の資金を獲得しました。これは主に、短期借入金の純増減額が30億83百万円増加および長期借入による収入が7億円増加したことによるものです。
② 当社グループは現在、運転資金および設備投資資金につきましては、自己資金または借入等により資金調達することとしています。当連結会計年度末現在、短期借入金の残高は25億20百万円、1年内返済予定の長期借入金の残高は4億93百万円、長期借入金の残高は4億8百万円です。
なお、当社グループは、資金調達の機動性と効率性を高めるため、取引銀行5行と総額30億30百万円の当座貸越契約および取引銀行5行と融資枠設定金額11億円の貸出コミットメントライン契約を締結しています。