四半期報告書-第30期第3四半期(平成30年5月1日-平成30年7月31日)

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2018/09/13 15:45
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、堅調な企業収益や雇用環境の改善が継続し、緩やかな回復基調で推移した一方、米国の通商政策による貿易摩擦、各国の地政学的リスクの影響が懸念され、先行きは不透明な状況となっております。
当社グループが事業を展開する情報サービス産業におきましては、政府が成長戦略に盛り込む第4次産業革命が進んでおり、ビッグデータ、IoT、AI、ブロックチェーンなどの新技術による新たなサービスや商品が次々に登場し、これら新技術の高度化、多様化による需要の拡大が見込まれております。一方、業界全体として技術者の不足は常態化しており、当社グループにおいても即戦力となる技術者の競合他社との獲得競争が激化しており、人材不足傾向となっております。
このような状況の下、当社グループは前連結会計年度において強固な財務体質を築いたことから、当連結会計年度は、以下のとおり積極的にM&A及び資本・業務提携を行っております。中期経営計画「新たな成長に向けたステージへ」において、当社グループは、平成33年10月期に売上高を300億円とする目標を掲げており、今後も引き続き積極的にM&A及び資本・業務提携を行う方針であります。なお、平成29年11月にはM&A及び資本・業務提携の資金として、第三者割当による新株式の発行により、2,330百万円を調達いたしました。
平成30年2月には、当社が現在取り組んでいる「仮想通貨プラットフォーム構想」における金融サービス分野での重要な位置づけになることを期待し、eワラント3社を子会社化いたしました。eワラント証券は、日本でのカバードワラント※1市場をリードしてきたゴールドマン・サックス証券株式会社からeワラント事業を譲受け、継承・発展させることを目的として設立されました。登録商標である「eワラント」の認知度は高く、18年以上の実績があります。日本における代表的な小口の投資家向け店頭カバードワラント※2として、オンライン証券を通じて取引されております。同社は、カバードワラントの商品設計、システム開発、安定運用等について、高度な専門知識と経験を持つスタッフを擁しており、投資家の皆様の様々なニーズを満たすことができる金融商品を開発し提供することで、事業の拡大を目指してまいります。
※1 カバードワラントとは、金融商品取引法上の有価証券であり、オプション取引に係る権利を表示する証券のことです。「オプション取引」と同様に、投資家はオプションの買い手として、株式等のコール型ワラント(買う権利)やプット型ワラント(売る権利)を購入することができます。
※2 店頭カバードワラントとは、金融商品取引所に上場していないカバードワラントを指します。
同じく平成30年3月には、既に51%を所有していた株式会社ネクス・ソリューションズ(以下、「ネクス・ソリューションズ」といいます。)の株式を株式交換により100%取得し完全子会社化いたしました。
また、アイスタディ株式会社、株式会社テリロジー、シーズメン、株式会社レジストアート(以下、「レジストアート」といいます。)と資本・業務提携を行いました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は、5,525百万円(前年同期比55.7%増)、営業利益は△315百万円(前年同四半期は、124百万円)、経常利益は677百万円(前年同期比265.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は569百万円(前年同期比204.2%増)となりました。
売上高は、前年同四半期に比べ大幅に増加いたしました。当社における既存の大手SIer向け開発案件が順調であったことに加え、前連結会計年度に子会社化した株式会社東京テック(以下、「東京テック」といいます。)及びネクス・ソリューションズも堅調に推移いたしました。また、第2四半期より子会社化したeワラント3社の、平成30年4月~7月の4ヵ月分が連結業績に反映されております。一方、当社の全額出資により新規設立したCCCTも第1四半期より連結しておりますが、仮想通貨の運用損益が赤字となったため、売上高に当該赤字額を計上しております。なお、当社における仮想通貨の運用損益は、第2四半期より、売上高区分に計上しております。
利益面では、仮想通貨の運用損益の赤字による売上高の減少に伴う売上総利益の減少により、営業利益は減益となったものの、経常利益は主に第1四半期に当社において仮想通貨売却益を計上したことや、当第3四半期に投資有価証券売却益を計上したことにより大幅な増益となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、第2四半期において、eワラント3社にかかるのれんの減損損失計上があったものの、主に第1四半期に当社において仮想通貨評価益を計上したこと、eワラント証券の株式を一部、CAICAコインで取得したこと、また、当第3四半期に投資有価証券売却益を計上したことに伴う特別利益の計上等により大幅な増益となりました。
セグメントごとの業績は、以下のとおりであります。
当第3四半期連結累計期間において、「仮想通貨関連事業」、「金融商品取引事業」を追加しております。なお、比較対象となるセグメントの内容が異なることから、対前年四半期増減率については記載しておりません。
1)情報サービス事業
(金融機関向けシステム開発分野)
当社におきましては、引続き大手SIerを中心に事業活動を強化した結果、ストック型収益の見込める銀行向け案件において新規受注を獲得いたしました。また、継続案件である保険会社向け案件も引き続き受注が好調であります。
東京テック及びネクス・ソリューションズにおきましては、既存顧客からの受注の維持・拡大に努め、安定した受注を確保しております。
(非金融向けシステム開発分野)
当社におきましては、卸売・小売り向けの案件がピークアウトを迎え、今後受注が減少傾向となることをふまえ、規模の拡大が見込める官公庁向け案件に注力した結果、売上高が大幅に増加しております。
東京テックにおきましては、引続き卸売・小売業の分野が堅調であり、受注は安定的に推移しております。
ネクス・ソリューションズにおきましても、引続き製造業向けのシステム開発や大手ガス会社のシステム開発等、受注は安定的に推移しております。
(フィンテック関連分野)
当社におきましては、テックビューロホールディングス株式会社のICOソリューション「COMSA」の開発パートナーとして、CMSトークンの発行・管理における Ethereum(イーサリアム)上のコントラクト開発や、「COMSA」の中核である「COMSA CORE」及び「COMSA HUB」の開発を手掛けております。また、ブロックチェーンの実サービスへの適用案件のニーズ発掘に注力した結果、新たなブロックチェーン実証実験サポートの案件の受注や、コンサルティングを受注しております。ブロックチェーン以外の分野においても、大手ECサイト運営企業におけるスマートフォンでのクレジットカードの決済の開発など、引続き実績を積み上げております。
ネクス・ソリューションズにおきましては、ICT・IoT・デバイス事業を手掛ける株式会社ネクスと共同で、介護送迎車用のOBDⅡソリューションの開発・販売を行っております。また、テレマティクスサービス※3として、自動車学校や幼稚園の送迎バスの現在位置、遅延状況が分かるスマートフォン版サービスを提供しております。また、超高速開発ツールの資格取得推進やAI技術者の育成にも注力いたしました。
これらの結果、情報サービス事業の売上高は5,720百万円、営業利益は206百万円となりました。
※3 テレマティクスサービスとは、自動車などの移動体に通信システムを組み込んで、さまざまなサービスを受けられるようにすることです。
2)仮想通貨関連事業
当社及びCCCTは、仮想通貨に関するシステムの研究・開発・販売及びコンサルティング、仮想通貨の投融資・運用事業を行っております。
CCCTにおきましては、引き続きフィスコ仮想通貨取引所のシステムの機能強化やインフラ設計を手掛け、セキュリティを強化した新仮想通貨交換所システムとして、フィスコ仮想通貨取引所へ提供いたしました。この度の提供を皮切りに、今後は当該仮想通貨交換所システムの外販を開始いたします。また、ブロックチェーンを用いたアートの登録・管理システムの開発を手掛け、公証プラットフォーム「regist ART」として、レジストアートに提供いたしました。
仮想通貨に関するシステム構築のノウハウ獲得のために、当社及びCCCTにて実施している仮想通貨の運用は、当第3四半期連結累計期間においては、747百万円と大幅な運用黒字となっておりますが、第1四半期においては、当社における仮想通貨の運用損益は売上高計上ではなく、営業外収益及び特別利益での計上となったこと※4また、平成30年1月に起こった、みなし仮想通貨交換業者における仮想通貨不正流出事件を機にビットコイン等の価格が急落した影響により仮想通貨運用が赤字となったことから当該赤字額を売上高に計上いたしました。(当第3四半期連結会計期間における仮想通貨運用損益は、78百万円の黒字を計上しております。)
一方、開発を進めております「仮想通貨プラットフォームシステム」の先行投資により、費用は引き続き増加いたしました。当社及びCCCTは、「仮想通貨プラットフォームシステム」による、システムの貸与やライセンス販売等による収益化を計画しております。今後は、仮想通貨交換所システムの他に、フィスコ仮想通貨取引所のビッグデータを活用した取引、デリバティブを活用してリスクを抑えた取引、SNSのビッグデータを活用した取引システムの構築等を推進してまいります。
これらの結果、仮想通貨関連事業の売上高は△231百万円、営業利益は△587百万円となりました。
※4 当社定款の目的変更に伴い、第2四半期からは、当社における仮想通貨運用は売上高区分に計上しております。
3)金融商品取引事業
当社は平成30年2月(みなし取得日 平成30年3月31日)に金融商品取引事業を営むeワラント3社を連結子会社化いたしました。当第3四半期連結累計期間においては、eワラント3社は平成30年4月~7月の4ヵ月分が連結業績に反映されております。
eワラント証券におきましては、東京、札幌、名古屋、奈良、京都等、全国各地での会場セミナーや、株式会社SBI証券とのオンラインセミナーの開催に加え、eワラント証券公式YouTubeチャンネルにおける新たな月次セミナーを開始し、商品理解の促進に努めました。また、EVOLUTION JAPAN証券株式会社にて実施した「春のeワラントデビューキャンペーン」や、株式会社フィスコを経由した「eワラント取引動向ニュース」の配信、eワラント証券のオウンドメディアである「eワラントジャーナル」における投資情報コンテンツの拡充等、積極的なPR活動を行っております。加えて、随時魅力的な商品を提供すべく、平成30年4月には368銘柄のeワラントおよびニアピン※5を追加、5月には523銘柄のeワラントおよびニアピンの追加、7月には613銘柄のeワラント、ニアピンおよびトラッカー※6を新たに追加いたしました。
この結果、金融商品取引事業の売上高は295百万円、営業利益は53百万円となりました。
※5 ニアピンとは、満期時の相場水準を予想して利益を狙う商品のことです。
※6 トラッカーとは、中長期的に対象資産と似たような値動きをするように設計されたeワラントのことです。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末における総資産は10,886百万円(前連結会計年度比100.2%増)となりました。これは主に現金及び預金が1,405百万円増加したこと、預け金が2,978百万円増加したこと、投資有価証券が933百万円増加したことなどによるものであります。
当第3四半期連結会計期間末における負債は3,765百万円(前連結会計年度比207.7%増)となりました。これは主に短期借入金が2,000百万円増加したこと、流動負債その他が474百万円増加したことなどによるものであります。短期借入金残高2,000百万円は、取引銀行からの信認を得られたことにより、今後の事業拡大のための運転資金として資金調達が実現したものであります。
当第3四半期連結会計期間末における純資産は7,121百万円(前連結会計年度比69.0%増)となりました。これは第三者割当増資により資本金及び資本剰余金が、それぞれ1,165百万円ずつ合わせて2,330百万円増加したことなどによるものであります。
なお、会社法第452条の規定に基づき実施いたしました欠損填補により、資本剰余金が10,440百万円減少し、利益剰余金が14,357百万円増加しております。この結果、自己資本比率は65.4%となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費はありません。
(5) 従業員数
① 連結会社の状況
当第3四半期連結累計期間において、当社グループはeワラント証券を連結子会社としたこと等に加え、事業拡大のため積極的に新卒採用を行った結果、当社グループの従業員数は、前連結会計年度末の679名から722名に増加いたしました。
② 提出会社の状況
当第3四半期累計期間において、従業員数に著しい増減はありません。
(6) 生産、受注及び販売の実績
当第3四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売の実績に著しい変動はありません。
(7) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。