有価証券報告書-第22期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/03/22 15:30
【資料】
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【項目】
99項目
(1) 経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
日本におけるゲーム市場は、モバイルゲーム市場の緩やかな拡大と好調な家庭用ゲーム市場の成長に支えられ、平成29年は前年度比13.7%増加の1兆5,686億円※1となり、今後も緩やかな拡大が見込まれております。
一方、世界におけるゲームコンテンツ市場もスマートフォンの普及拡大に伴うモバイルゲーム市場の成長と好調な家庭用ゲーム市場に支えられ、平成29年は前年度比21.1%増加の10兆8,964億円※1となり、さらなる拡大が予想されております。
このような環境の中、当社では「新規価値の創造」に向けたグローバル配信前提のゲーム開発に注力すると共に、「既存価値の最大化」を図るため各ゲームのMAU(Monthly Active User:月に1回以上ゲームにログインしている利用者)の維持・拡大やゲームブランドの強化、さらに新規事業にも取り組んでまいりました。
既存ゲームにつきましては、「パズドラ」は引き続き長期的にお楽しみいただくことを主眼に、新ダンジョン等の追加やゲーム内容の改善、他社有名キャラクターとのコラボレーションなど、継続的にアップデート及びイベントを実施してまいりました。また、平成30年10月末より開始した「パズドラ大感謝祭」をはじめ、既存・新規ユーザーのみならず休眠ユーザーもお楽しみいただける様々な施策を実施し、MAU※2の活性化を図ってまいりました。それらの結果、平成31年1月に国内累計5,100万ダウンロードを突破しております。
新規ゲームにつきましては、「妖怪ウォッチ ワールド」や「クロノマギア」等の新作スマートフォン向けゲームの配信を開始し、新規価値の創造及びパートナー・パブリッシング事業も積極的に取り組んでまいりました。
新規事業につきましては、当社、吉本興業株式会社及び株式会社サイバーエージェントの3社が出資する合弁会社mspo株式会社(エムスポ)が、平成30年9月よりモバイルゲーム向け新サービス「mspo」の提供を開始いたしました。
子会社の事業につきましては、連結子会社のGRAVITY Co.,Ltd.(以下「GRAVITY」)が平成30年3月よりスマートフォン向けゲーム「Ragnarok M: Eternal Love」を韓国で新たに配信開始し、堅調に推移しております。さらに平成30年10月から東南アジア地域でも配信開始となった本作は好調な立ち上がりとなり、平成31年1月からは新たに北米・南米・オセアニアでも配信開始となりました。
この結果、当連結会計年度における売上高は92,101百万円(前連結会計年度比0.2%減)、営業利益26,577百万円(前連結会計年度比22.7%減)、経常利益26,659百万円(前連結会計年度比22.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益16,585百万円(前連結会計年度比25.9%減)となりました。
また、当連結会計年度における資産合計は96,032百万円(前連結会計年度末比23.0%増)、負債合計17,922百万円(前連結会計年度末比14.5%増)、純資産合計78,110百万円(前連結会計年度末比25.2%増)となりました。
なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けて記載しておりません。
※1 ファミ通ゲーム白書2018
※2 「パズドラ」のMAU推移につきましては「2018年12月期 連結業績補足資料」の3ページに掲載の「パズドラ」日本 MAU・課金率推移をご参照下さい。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3765/ir_material_for_fiscal_ym/60502/00.pdf
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」)は前連結会計年度に比べ17,870百万円増加し、当連結会計年度には73,656百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は21,889百万円(前連結会計年度は26,739百万円の収入)となりました。
これは主に税金等調整前当期純利益25,430百万円及び法人税等の支払額8,518百万円が含まれるためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって使用された資金は1,423百万円(前連結会計年度は1,443百万円の支出)となりました。
これは主に定期預金の預入及び払戻による収入(純額)774百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出2,267
百万円が含まれるためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって使用された資金は2,203百万円(前連結会計年度は2,809百万円の支出)となりました。
これは主に配当金の支払額2,128百万円が含まれるためです。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当社グループ全体における生産及び受注実績の金額的重要性が乏しく、提供する主要なサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから記載を省略しております。
b.受注状況
当社グループでは一部個別の受託開発を行っておりますが、「a.生産実績」に記載の理由から、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けて記載しておりません。
金額(百万円)前年同期比(%)
連結売上高92,101△0.2

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
なお、Apple Inc.、Google Inc.は共にプラットフォーム提供会社であり、同社に対する販売実績は、当社
グループが提供するゲームサービスの利用者(一般ユーザー)に対する利用料等であります。
相手先前連結会計年度
(自 平成29年1月1日
至 平成29年12月31日)
当連結会計年度
(自 平成30年1月1日
至 平成30年12月31日)
販売高
(百万円)
割合(%)販売高
(百万円)
割合(%)
Apple Inc.49,05653.148,46352.6
Google Inc.29,35031.830,34733.0

なお、上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。なお、この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度と比べほぼ横ばいの92,101百万円(前連結会計年度比0.2%減)となりました。当社の売上高は前連結会計年度に比べ減少しましたが(前連結会計年度比18.6%減)、主に連結子会社であるGRAVITY等の売上高が大幅に増加したことによるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度の売上原価は、売上原価率の高いGRAVITYの売上高が増加したことから42,640百万円(前連結会計年度比19.2%増)となりました。また、販売費及び一般管理費は、主に新規ゲームタイトルの研究開発費の増加により22,883百万円(前連結会計年度比3.3%増)となりました。その結果、営業利益は26,577百万円(前連結会計年度比22.7%減)となりました。
(経常利益)
営業外収益は、受取利息の増加により120百万円(前連結会計年度比36.3%増)となりました。また、営業外費用は、為替差損の減少により38百万円(前連結会計年度比68.7%減)となりました。その結果、経常利益は26,659百万円(前連結会計年度比22.4%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度は、特別利益の計上はありませんでした。なお、前連結会計年度においては、投資有価証券清算益を計上したことから180百万円となりました。特別損失は減損損失及び投資有価証券評価損の減少により1,229百万円(前連結会計年度末比13.6%減)となりました。以上の損益に加え、法人税等合計と非支配株主に帰属する当期純利益を差し引きした結果、親会社株主に帰属する当期純利益は16,585百万円(前連結会計年度比25.9%減)となりました。
b.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度における資産合計は、96,032百万円(前連結会計年度末比17,961百万円増加)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い現金及び預金が増加したことによります。
(負債)
負債合計は、17,922百万円(前連結会計年度末比2,263百万円増加)となりました。これは主に、買掛金が増加したことによります。
(純資産)
純資産合計は、78,110百万円(前連結会計年度末比15,698百万円増加)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い利益剰余金が増加したことによります。
c.経営成績に重要な影響を与える原因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
d.事業環境と戦略的見通し
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、国内におけるスマートフォンの契約台数が人口の半数を超え、モバイルゲーム市場が拡大してまいりました。海外市場におきましても、欧米諸国のみならず、中国をはじめとしたアジア諸国でスマートフォンの普及が拡大し、モバイルゲーム市場はさらなる成長が見込まれます。また、世界的にはコンシューマゲームやPCオンラインゲーム市場におきましても、今後の拡大が予測されております。
このような事業環境の中、当社グループの次期の見通しにつきましては、「新規価値の創造」と「既存価値の最大化」を経営方針とし、その実現のための具体的な課題と戦略につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。また、事業展開上のリスクにつきましては「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
e.資本の財源及び資金の流動性についての分析
(a)キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループのキャッシュ・フローの状況につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ② キャッシュ・フローの状況」
に記載のとおりであります。
(b)資金需要
当社グループの運転資金需要の主なものは、販売費及び一般管理費であります。
また、当社グループの具体的な設備投資計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等
の計画」に記載のとおりであります。
(c)資金の流動性等
当連結会計年度末現在において当社グループの流動比率は527%であり、現金及び現金同等物は73,656百万円
であります。当社グループの資金は今後の営業活動及び財務活動によって確保される将来キャッシュ・フロー
と併せ、成長を維持・発展させていく為にも十分なものであると考えております。
運転資金及び設備投資資金については主に自己資金により賄う事を基本としておりますが、一部の連結子会社
においては自己資金のほか必要に応じて金融機関からの借入により調達しております。