有価証券報告書-第23期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/30 15:59
【資料】
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【項目】
136項目
(1) 経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
日本におけるゲーム市場は、モバイルゲーム市場が緩やかに拡大を続けているほか、家庭用ゲームソフト市場も堅調に推移しており、2018年の国内ゲーム市場は前年比6.1%増加の1兆6,704億円※1となりました。
一方、世界におけるゲーム市場も引き続き成長を続け、スマートフォンの普及拡大に伴い2018年の世界ゲームコンテンツ市場は前年比20.9%増加の13兆1,774億円※1となり、家庭用ゲーム市場やPCオンラインゲーム市場においてもさらなる拡大が見込まれております。
このような状況の中、当社では引き続き「新規価値の創造」に向けグローバル配信を見据えたゲーム開発に注力すると共に、「既存価値の最大化」を図るため各ゲームのMAUの維持・拡大やゲームブランドの強化に取り組んでまいりました。
既存ゲームにつきましては、「パズドラ」は引き続き長期的にお楽しみいただくことを主眼に、新ダンジョン等の追加やゲーム内容の改善、他社有名キャラクターとのコラボレーション、eスポーツイベントの開催など、継続的にアップデート及びイベントを実施してまいりました。「パズドラ」はMAUの活性化に向けた取り組みを実施すると共に、テレビアニメを含めた新規ユーザー獲得のための施策を継続的に実施したことから、売上高は好調に推移いたしました。また、当連結会計年度に開発を進めていた「パズドラ」シリーズ最新作であるNintendo Switch™向け「パズドラGOLD」は2020年1月15日から販売開始いたしました。
新規ゲームにつきましては、2019年6月5日から日本にてサービスを開始した「ラグナロク マスターズ」は、ゲーム内イベントの開催やテレビCMを実施したことにより、MAUは堅調に推移いたしました。また、株式会社カプコンと共同開発したスマートフォン向けカードゲーム「TEPPEN」を2019年7月4日※2から北米・欧州にて、8月8日からはアジア・日本でサービスを開始いたしました。「TEPPEN」は国内外においてeスポーツイベントを積極的に開催し、テレビCMを含めた広告宣伝も実施したことから、2019年11月19日には累計400万ダウンロードを突破しております。
子会社の事業につきましては、GRAVITYグループが配信している「Ragnarok M: Eternal Love」の既存配信地域の売上高は配信当初と比較して落ち着いてまいりましたが、継続的なアップデート及びイベントの開催により安定推移しており、引き続き当社グループの連結業績に貢献しております。
この結果、当連結会計年度における売上高は101,392百万円(前連結会計年度比10.1%増)、営業利益28,349百万円(前連結会計年度比6.7%増)、経常利益28,617百万円(前連結会計年度比7.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益18,146百万円(前連結会計年度比9.4%増)となりました。
なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けて記載しておりません。
※1 ファミ通ゲーム白書2019
※2 太平洋標準時
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」)は前連結会計年度に比べ9,125百万円増加し、当連結会計年度には82,782百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は23,646百万円(前連結会計年度は21,889百万円の収入)となりました。
これは主に税金等調整前当期純利益27,677百万円及び法人税等の支払額8,636百万円が含まれるためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって使用された資金は7,121百万円(前連結会計年度は1,423百万円の支出)となりました。
これは主に定期預金の預入及び払戻による支出(純額)2,806百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出
3,838百万円が含まれるためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって使用された資金は7,061百万円(前連結会計年度は2,203百万円の支出)となりました。
これは主に自己株式の取得による支出4,843百万円及び配当金の支払額2,130百万円が含まれるためです。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当社グループ全体における生産及び受注実績の金額的重要性が乏しく、提供する主要なサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから記載を省略しております。
b.受注状況
当社グループでは一部個別の受託開発を行っておりますが、「a.生産実績」に記載の理由から、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けて記載しておりません。
金額(百万円)前年同期比(%)
連結売上高101,39210.1

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
なお、Apple Inc.、Google Inc.は共にプラットフォーム提供会社であり、同社に対する販売実績は、当社
グループが提供するゲームサービスの利用者(一般ユーザー)に対する利用料等であります。
相手先前連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
販売高
(百万円)
割合(%)販売高
(百万円)
割合(%)
Apple Inc.48,46352.654,77354.0
Google Inc.30,34733.031,89631.5

なお、上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。なお、この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度と比べ9,291百万円増加し101,392百万円(前連結会計年度比10.1%増)となりました。主に当社とGRAVITYグループの売上高が増加したことによるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度の売上原価は、売上原価率の高いGRAVITYグループの売上高が増加したことから48,168百万円(前連結会計年度比13.0%増)となりました。また、販売費及び一般管理費は、主に新規リリースタイトルの広告宣伝費の増加により24,874百万円(前連結会計年度比8.7%増)となりました。その結果、営業利益は28,349百万円(前連結会計年度比6.7%増)となりました。
(経常利益)
営業外収益は、受取利息と為替差益の増加により316百万円(前連結会計年度比161.9%増)となりました。また、営業外費用は、支払利息及び自己株式取得費用の増加により48百万円(前連結会計年度比25.7%増)となりました。その結果、経常利益は28,617百万円(前連結会計年度比7.3%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は、関係会社株式売却益の計上により89百万円となりました。なお、前連結会計年度においては特別利益の計上はありませんでした。特別損失は、主に減損損失の減少により1,029百万円(前連結会計年度比16.3%減)となりました。以上の損益に加え、法人税等合計と非支配株主に帰属する当期純利益を差し引きした結果、親会社株主に帰属する当期純利益は18,146百万円(前連結会計年度比9.4%)となりました。
b.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度における資産合計は、105,008百万円(前連結会計年度末比8,976百万円増加)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い現金及び預金が増加したことによります。
(負債)
負債合計は、14,242百万円(前連結会計年度末比3,679百万円減少)となりました。これは主に、買掛金が減少したことによります。
(純資産)
純資産合計は、90,765百万円(前連結会計年度末比12,655百万円増加)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い利益剰余金が増加したことによります。
c.経営成績に重要な影響を与える原因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
d.事業環境と戦略的見通し
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、国内におけるスマートフォンの契約台数が人口の半数を超え、モバイルゲーム市場が拡大してまいりました。海外市場におきましても、欧米諸国のみならず、中国をはじめとしたアジア諸国でスマートフォンの普及が拡大し、モバイルゲーム市場はさらなる成長が見込まれます。また、世界的にはコンシューマゲームやPCオンラインゲーム市場におきましても、今後の拡大が予測されております。
このような事業環境の中、当社グループの次期の見通しにつきましては、「新規価値の創造」と「既存価値の最大化」を経営方針とし、その実現のための具体的な課題と戦略につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。また、事業展開上のリスクにつきましては「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
e.資本の財源及び資金の流動性についての分析
(a)キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループのキャッシュ・フローの状況につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ② キャッシュ・フローの状況」
に記載のとおりであります。
(b)資金需要
当社グループの運転資金需要の主なものは、販売費及び一般管理費であります。
また、当社グループの具体的な設備投資計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等
の計画」に記載のとおりであります。
(c)資金の流動性等
当連結会計年度末現在において当社グループの流動比率は711.6%であり、現金及び現金同等物は82,782百万円であります。当社グループの資金は今後の営業活動及び財務活動によって確保される将来キャッシュ・フローと併せ、成長を維持・発展させていく為にも十分なものであると考えております。
運転資金及び設備投資資金については主に自己資金により賄う事を基本としておりますが、一部の連結子会社
においては自己資金のほか必要に応じて金融機関からの借入により調達しております。