有価証券報告書-第27期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/28 15:46
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(業績等の概要)
(1) 経営成績の状況
①当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)の連結業績の概要
当連結会計年度におけるわが国の景気は、輸出や生産で一部弱含みがありましたが、個人消費の持ち直し、設備投資の増加、雇用情勢の改善等があり、緩やかに回復いたしました。先行きにつきましては、雇用や所得環境の改善が続くなか、緩やかな回復が期待されますが、通商問題や中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響等に留意する必要があります。
当社グループが係わる法人ICT関連市場におきましては、クラウドコンピューティングの普及を始めとする企業情報システムの変化、企業活動におけるIoT等のICT利活用の進展、情報漏洩等に対応するセキュリティ需要の高まり等を背景に、信頼性の高いネットワーク及びシステムへの需要は継続して増加していくものと認識しております。
このような市場環境のなか、当社グループは、当連結会計年度において、インターネットに係わる技術力と優良法人顧客基盤を基に、信頼性及び付加価値の高いサービスを開発のうえ総合的に提供し、企業の情報ネットワークシステムに関連するアウトソーシング需要を取り込むとの従来からの戦略を継続して推進いたしました。特に、法人向け各種サービスの機能強化に注力することで差別化をより発揮し、法人向けストック売上高(*)を順調に積み上げました。
具体的には、ネットワークサービスにおいて、法人向けインターネット接続サービスでは、ネットワークインフラストラクチャーを継続拡張しながら、顧客の契約帯域増加等で安定増収を継続しつつ、セキュリティやクラウドコンピューティング関連サービス等の複合提供を進めました。モバイル関連サービスでは、フルMVNOサービスの継続開発及び販促に注力し、「IoT応援パック(*)」「IIJmio IoTサービス(*)」「チップ型SIM(*)」等の提供を開始しました。前期末より提供開始したフルMVNOサービスは、法人向けでは公共施設や工場等でのカメラ接続等の需要が多く、個人向けでは海外販売網拡張で訪日外国人向けトラベルSIMの販売が伸長し、売上高は目標を超過し6.6億円となりました。また、MVNE戦略他による個人向け回線の獲得も進め、モバイル提供回線総数は274.5万回線(前年同期末より40万回線増加)、モバイル関連総売上高は前年の353.3億円から419.6億円へと増加いたしました。機能追加が容易なクラウド型ネットワークサービスである「IIJ Omnibusサービス(*)」では、SD-LAN(*)等の機能拡張で企業のネットワーク更新需要等を捉え、年増収率83.2%と伸長しました。セキュリティ関連サービスでは、「IIJ C-SOCサービス(*)」「IIJセキュアエンドポイントサービス(*)」「仮想デスクトップ(*)サービス」等の追加や機能拡充を行い、セキュリティ関連月額サービスの売上高は141.1億円、システム構築を含めたセキュリティ関連総売上高は167.7億円となりました。IoT関連分野では、フルMVNO、クラウド、セキュリティ、ネットワーク構築等の総合力により、住宅、交通、工場及び農業分野等を中心に案件が増加し、事例を積み上げました。その他のアウトソーシングサービスやWANサービスにおいても、企業のネットワークシステム関連需要は根強く、堅調に売上推移いたしました。また、システムモジュール型データセンターである「白井データセンターキャンパス」が予定通りに本年5月初に開所し、クラウドコンピューティングやIoTの普及により増大するデータ需要を吸収しつつ、分散する東日本地区のデータセンター及びサービス設備を順次集約することで費用効果を実現し、今後のストック売上高増加に対応してまいります。
システムインテグレーションにおいては、企業のシステム構築需要は、ネットワーク基盤、情報系基盤、セキュリティ、BtoCシステム、仮想デスクトップやクラウドに付帯する個別構築等で引き続き全般的に活況で、システム構築売上高(機器販売を含む)は前年同期比6.4%増、それに伴うシステム運用保守とのストック売上高は前年同期比10.2%増となりました。システム運用保守に一部含まれるクラウドコンピューティング関連サービスでは、企業内システムの継続的なクラウド移行需要に対応し、「IIJ GIO移行ソリューション(*)」「IIJマネージドデータベースサービス(*)」「IIJ統合運用管理サービス(UOM)(*)」等の付加機能の追加や拡充を行い、クラウド関連売上高は、前年同期の179.4億円から計画通りの201.3億円へと継続増加いたしました。
国際事業においては、立ち上げ途上であったアジア子会社群が事業進展とともに計画通りに全体で黒字化し、国際事業全体の売上高は77.2億円、営業利益は0.9億円となりました。
新規事業においては、デジタル通貨を扱う持分法適用関連会社㈱ディーカレットが、金融庁による仮想通貨交換業者登録の再開以来新規事業者として初めての登録を受け、本年4月より投資家向けの仮想通貨取引サービスを開始いたしました。今後、取引サービスの拡充と㈱ディーカレットの法人株主他と連携した決済基盤サービスの展開を進めてまいります。配信事業では、民放各局との合弁の持分法適用関連会社JOCDN㈱が、放送事業者や大規模動画配信事業者向けにCDN(*)サービスを提供し動画需要とともに提供帯域が順次拡大しつつあり、今後の映像配信や伝送のIP化に向け備えております。
当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、法人向けストック売上高の積み上げ、MVNE等によるモバイル関連サービス売上高の伸長、システムインテグレーションの継続増収等により、連結子会社㈱ハイホー売却による約13億円の減収影響を吸収し、前年同期比9.2%増の192,430百万円(前年同期 176,233百万円)となりました。そのうち、ネットワークサービス売上高は、前年同期比9.8%増の118,626百万円(前年同期 108,084百万円)、システムインテグレーション売上高(機器販売を含む)は、前年同期比8.6%増の69,652百万円(前年同期 64,119百万円)、ATM運営事業売上高は、前年同期比3.0%増の4,152百万円(前年同期 4,031百万円)となりました。
売上原価につきまして、ネットワークサービス売上原価は、前年同期比14.3%増の101,257百万円(前年同期 88,557百万円)、システムインテグレーション売上原価(機器販売を含む)は、前年同期比5.1%増の59,872百万円(前年同期 56,942百万円)、ATM運営事業売上原価は、前年同期比1.7%減の2,326百万円(前年同期 2,365百万円)となり、売上原価総額は前年同期比10.5%増の163,455百万円(前年同期 147,864百万円)となりました。
売上総利益につきまして、期中において、法人向けストック売上高の積み上げ及びシステムインテグレーションにおけるSE(*)の稼働率向上等により期初想定以上に利益増加が進んだものの、2019年3月に確定したモバイル関連サービスの調達原価の一部である㈱NTTドコモによる接続料(定額通信料)の単価の年次低減が前年比5.0%減と従来比小さく、期初想定の利益水準に対し20.5億円のマイナス影響を及ぼし、ネットワークサービス全体の売上総利益が縮小しました。ネットワークサービス売上総利益は、前年同期比11.0%減の17,369百万円(前年同期 19,526百万円)、機器販売を含むシステムインテグレーション売上総利益は、前年同期比36.3%増の9,780百万円(前年同期 7,177百万円)、ATM運営事業売上総利益は、前年同期比9.6%増の1,825百万円(前年同期 1,665百万円)となり、売上総利益総額は前年同期比2.1%増の28,974百万円(前年同期 28,368百万円)となりました。売上総利益率は、15.1%(前年同期 16.1%)となりました。
販売管理費等(販売費及び一般管理費(研究開発費を含む)、その他の収益及びその他の費用)は、広告宣伝費、人件関連費用、モバイル関連サービスに係わる販売手数料及び固定資産除却損の増加等があり、前年同期比6.3%増の22,952百万円(前年同期 21,599百万円)となりました。
これらより、当連結会計年度における営業利益は、前年同期比11.0%減の6,023百万円(前年同期 6,770百万円)となりました。税引前利益は、前年同期比15.0%減の5,843百万円(前年同期 6,872百万円)となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は前年同期比20.4%減の3,521百万円(前年同期4,423百万円)となりました。
セグメント別では、当連結会計年度のネットワークサービス及びシステムインテグレーション(SI)事業の売上高は、前年同期比9.3%増の188,634百万円(前年同期 172,553百万円)となり、営業利益は前年同期比15.4%減の4,599百万円(前年同期 5,438百万円)となりました。当連結会計年度のATM運営事業の売上高は、前年同期比3.0%増の4,152百万円(前年同期 4,031百万円)となり、営業利益は前年同期比7.4%増の1,623百万円(前年同期 1,510百万円)となりました。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比12,126百万円増加し、167,289百万円となりました。
当連結会計年度末における流動資産は、現金及び現金同等物、営業債権、棚卸資産及び前払費用の増加、その他の金融資産の減少等により、前連結会計年度末比13,128百万円増加の78,971百万円となりました。非流動資産は、その他の投資の減少及び無形資産の増加等により、前連結会計年度末比1,002百万円減少の88,318百万円となりました。
当連結会計年度末における流動負債は、営業債務及びその他の債務、借入金、繰延収益及びその他の金融負債の増加等により、前連結会計年度末比10,767百万円増加の52,904百万円となりました。非流動負債は、繰延収益の増加、1年以内返済予定の借入金の流動負債への振替、繰延税金負債の減少等により、前連結会計年度末比513百万円減少の37,265百万円となりました。
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の額は、前連結会計年度末比1,743百万円増加の76,271百万円(前連結会計年度末74,529百万円)、親会社の所有者に帰属する持分比率は45.6%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、31,958百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益5,843百万円、減価償却費及び償却費15,629百万円に対して、営業債権の増加、前払費用の増加等で営業資産及び負債の増減にて6,568百万円の収入となり、法人所得税の支払い3,421百万円等もあり、25,152百万円の収入(前連結会計年度 14,664百万円の収入)となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による7,080百万円の支出、ソフトウェア等の無形資産の取得による5,400百万円の支出、セール・アンド・リースバック取引等による有形固定資産の売却での3,071百万円の収入、その他の投資の売却による収入565百万円等があり、8,688百万円の支出(前連結会計年度 14,297百万円の支出)となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金による調達2,000百万円、その他の金融負債の支払い7,322百万円、2018年3月期の期末配当金及び2019年3月期の中間配当金の合計1,217百万円の支払い等により、5,890百万円の支出(前連結会計年度718百万円の支出)となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績は、以下のとおりであります。
役務区分当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
生産高(千円)前年同期比(%)
システムインテグレーション(含む機器販売)60,959,1558.9
合計60,959,1558.9

(注)1.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
3.当社グループは、ネットワークサービス並びにATM運営事業において生産を行っておりませんので、これらに係る生産実績の記載事項はありません。なお、各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績及び受注残高は、以下のとおりであります。
役務区分当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
システムインテグレーション
(構築及び機器販売)
28,954,77712.27,839,84312.1
システムインテグレーション(運用保守)45,347,2995.043,274,7099.3
合計74,302,0757.751,114,5529.7

(注)1.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
3.当社グループは、ネットワークサービス及びATM運営事業において受注生産を行っておりませんので、これらに係る受注実績及び受注残高の記載事項はありません。なお、各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(3) 販売実績
当連結会計年度における役務区分別の販売実績は、以下のとおりであります。
役務区分当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)
ネットワークサービス売上高合計118,626,2719.8
うち、法人向けインターネット接続サービス33,185,82518.6
うち、個人向けインターネット接続サービス25,234,2951.9
うち、WANサービス30,990,6375.8
うち、アウトソーシングサービス29,215,51412.1
システムインテグレーション売上高合計69,652,3898.6
うち、構築及び機器販売27,882,0176.4
うち、運用保守41,770,37210.2
ATM運営事業売上高4,151,5253.0
合計192,430,1859.2

(注)1.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
3.各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社は当年度より、従前の米国基準に替えてIFRSを適用しております。また、前年度の財務数値についても、IFRSに組替えて比較分析を行っております。文中の将来に関する事項は、当年度末現在において当社が判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第93条の規定により、国際会計基準(IFRS)に準拠して作成しております。
当社グループは、IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、会計上の見積り及び仮定を用いております。
これらの見積及び仮定は、過去の経験及び利用可能な情報を収集し、報告期間の末日現在において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。
しかし、その性質上、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
詳しくは、後記の連結財務諸表の注記をご参照ください。
(2) 当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)の経営成績の分析
①連結経営成績サマリー
<主要な連結経営指標>
前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
増減率
金額(百万円)金額(百万円)(%)
営業収益合計176,233192,4309.2
ネットワークサービス売上高108,083118,6269.8
システムインテグレーション売上高(注1)64,11969,6528.6
ATM運営事業売上高4,0314,1523.0
売上原価合計△147,864△163,45510.5
ネットワークサービス売上原価△88,557△101,25714.3
システムインテグレーション売上原価(注1)△56,942△59,8725.1
ATM運営事業売上原価△2,365△2,326△1.7
売上総利益合計28,36828,9742.1
ネットワークサービス売上総利益19,52617,369△11.0
システムインテグレーション売上総利益(注1)7,1779,78036.3
ATM運営事業売上総利益1,6651,8259.6
販売管理費等(注2)△21,599△22,9526.3
営業利益6,7706,023△11.0
税引前利益6,8725,843△15.0
親会社の所有者に帰属する当期利益4,4233,521△20.4

(注)1.システムインテグレーションには機器販売を含んでおります。
2.販売費及び一般管理費(研究開発費を含む)、その他の収益、その他の費用の合計額を記載しております。
<セグメント情報>
前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(百万円)金額(百万円)
連結営業収益176,233192,430
ネットワークサービス及びSI事業172,553188,634
ATM運営事業4,0314,152
セグメント間取引消去△351△356
連結営業利益6,7706,023
ネットワークサービス及びSI事業5,4384,599
ATM運営事業1,5101,623
セグメント間取引消去△178△199


②概要
当連結会計年度における当社グループの売上収益(売上高)は、法人向けストック売上高の積み上げ、MVNE等によるモバイル関連サービス売上高の伸長、システムインテグレーションの継続増収等により、連結子会社㈱ハイホー売却による約13億円の減収影響を吸収し、前年同期比9.2%増の192,430百万円(前年同期 176,233百万円)となりました。
売上総利益につきまして、期中において、法人向けストック売上高の積み上げ及びシステムインテグレーションにおけるSEの稼働率向上等により期初想定以上に利益増加が進んだものの、2019年3月に確定したモバイル関連サービスの調達原価の一部である㈱NTTドコモによる接続料(定額通信料)の単価の年次低減が前年比5.0%減と従来比小さく、期初想定の利益水準に対し20.5億円のマイナス影響を及ぼし、ネットワークサービス全体の売上総利益が縮小し、売上総利益は、前年同期比2.1%増の28,974百万円(前年同期 28,368百万円)となりました。
営業利益につきましては、ネットワークサービスの粗利減少及び販売管理費等の増加等により、前年同期比11.0%減の6,023百万円(前年同期 6,770百万円)となり、税引前利益は前年同期比15.0%減の5,843百万円(前年同期 6,872百万円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年同期比20.4%減の3,521百万円(前年同期4,423百万円)となりました。
セグメント別では、当連結会計年度のネットワークサービス及びシステムインテグレーション(SI)事業の売上高は、前年同期比9.3%増の188,634百万円(前年同期 172,553百万円)となり、営業利益は前年同期比15.4%減の4,599百万円(前年同期 5,438百万円)となりました。当連結会計年度のATM運営事業の売上高は、前年同期比3.0%増の4,152百万円(前年同期 4,031百万円)となり、営業利益は前年同期比7.4%増の1,623百万円(前年同期 1,510百万円)となりました。
③経営成績の分析
当社グループの売上の大部分がネットワークサービス及びSI事業からのものであることより、役務別の分析により記載しております。
ⅰ)売上収益
当連結会計年度における売上高は、前年同期比9,2%増の192,430百万円(前年同期 176,233百万円)となりました。
<ネットワークサービス売上高>法人向けインターネット接続サービスの売上高は、MVNE等による モバイル関連サービス売上高の増加等があり、前年同期比18.6%増の33,186百万円(前年同期27,982百万円)となりました。
個人向けインターネット接続サービスの売上高は、個人向けモバイルサービス売上高等の増加が2017年12月末までの連結子会社(株)ハイホー売却による売上高の減少を相殺し、前年同期比1.9%増の25,234百万円(前年同期 24,753百万円)となりました。
WANサービスの売上高は、WAN回線獲得等による売上高の増加等があり、前年同期比5.8%増の30,991百万円(前年同期29,295百万円)となりました。
アウトソーシングサービスの売上高は、セキュリティ関連サービス売上高の増加等があり、前年同期比12.1%増の29,215百万円(前年同期26,054百万円)となりました。
これらの結果、ネットワークサービス売上高は、前年同期比9.8%増の118,626百万円(前年同期108,083百万円)となりました。
ネットワークサービス売上高の内訳、法人向け及び個人向けインターネット接続サービス契約数及び回線数の内訳並びに法人向けインターネット接続サービスの契約総帯域は、各々以下のとおりであります。
<ネットワークサービス売上高の内訳>
前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
増減率
金額(百万円)金額(百万円)(%)
ネットワークサービス売上高合計108,083118,6269.8
法人向けインターネット接続サービス27,98233,18618.6
IPサービス(注)110,14410,5724.2
IIJモバイルサービス(法人向け)14,61919,42032.8
MVNOプラットフォームサービス10,86614,55533.9
その他3,2193,194△0.8
個人向けインターネット接続サービス24,75325,2341.9
IIJ提供分23,43925,2347.7
IIJmioモバイルサービス20,71022,5388.8
ハイホー提供分1,313--
WANサービス29,29530,9915.8
アウトソーシングサービス26,05429,21512.1

<インターネット接続サービス契約数及び回線数の内訳並びに法人向けインターネット接続サービスの契約総帯域(注)2>
前連結会計年度末
(2018年3月31日現在)
当連結会計年度末
(2019年3月31日現在)
増減数
契約数(件)契約数(件)(件)
法人向けインターネット接続サービス契約数合計1,414,8091,757,761342,952
IPサービス(1Gbps以上)(注)170974334
IPサービス(1Gbps未満)(注)11,2991,265△34
IIJモバイルサービス(法人向け)1,339,5861,675,123335,537
MVNOプラットフォームサービス824,7311,047,856223,125
その他73,21580,6307,415
個人向けインターネット接続サービス回線数合計1,363,5311,400,92837,397
IIJ提供分1,363,5311,400,92837,397
IIJmioモバイルサービス1,005,0921,062,92157,829
帯域(Gbps)帯域(Gbps)増減
法人向けインターネット接続サービス契約総帯域(注)33,120.23,897.2777.0

(注)1.IPサービスには、データセンター接続サービスを含めております。
2.法人向けインターネット接続サービス及び個人向けインターネット接続サービスの内訳において、「IIJモバイルサービス(法人向け)」及び「IIJ提供分」は回線数を表示しており、それ以外は契約件数を表示しております。
3.法人向けインターネット接続サービスのうち、IPサービス、インターネットデータセンター接続サービス及びブロードバンド対応型サービス各々の契約数と契約帯域を乗じることにより算出しております。
4.当社グループは、本書提出時からIFRSを適用しており、連結財務諸表における海外子会社の財務数値の報告期間が、従来採用していた米国基準における期間と異なっております。これに伴い、上記に含まれる、海外子会社における契約数及び契約帯域数につきましても、従前の開示数値と異なる数値となっております。
<システムインテグレーション売上高>システム構築及び機器販売による一時的な売上高は、モバイル端末販売の増加等により、前年同期比6.4%増の27,882百万円(前年同期 26,212百万円)となりました。システム運用保守による継続的な売上高は、案件の継続積み上げ及びプライベートクラウドサービスの売上高増加等があり、前年同期比10.2%増の41,770百万円(前年同期 37,907百万円)となりました。これらの結果、システムインテグレーション(機器販売を含む)の売上高は、前年同期比8.6%増の69,652百万円(前年同期 64,119百万円)となりました。
当連結会計年度のシステムインテグレーション(機器販売を含む)の受注は、前年同期比7.7%増の74,302百万円(前年同期 68,996百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注は前年同期比12.2%増の28,955百万円(前年同期 25,814百万円)、システム運用保守に関する受注は前年同期比5.0%増の45,347百万円(前年同期 43,182百万円)でありました。
当連結会計年度末のシステムインテグレーション(機器販売を含む)の受注残高は、前年同期末比9.7%増の51,115百万円(前年同期末 46,596百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注残高は前年同期末比12.1%増の7,840百万円(前年同期末 6,995百万円)、システム運用保守に関する受注残高は前年同期末比9.3%増の43,275百万円(前年同期末 39,601百万円)でありました。
ATM運営事業売上高は、前年同期比3.0%増の4,152百万円(前年同期 4,031百万円)となりました。当連結会計年度末のATM設置済台数は、1,138台となりました。
ⅱ)売上原価
当連結会計年度における売上原価は、前年同期比10.5%増の163,455百万円(前年同期 147,864百万円)となりました。
<ネットワークサービス売上原価>ネットワークサービスの売上原価は、モバイル関連サービス売上高の増加及びフルMVNOサービスの提供開始等に伴う外注関連費用の増加、設備関連費用の増加、WANサービス売上高の増加等に伴う回線関連費用の増加等があり、前年同期比14.3%増の101,257百万円(前年同期 88,557百万円)となりました。MVNOに係る㈱NTTドコモの接続料(定額通信料)の単価の年次低減が前年比5.0%減と従来比小さく、ネットワークサービス全体の売上総利益が縮小しました。ネットワークサービスの売上総利益は、前年同期比11.0%減の17,369百万円(前年同期19,526百万円)となり、売上総利益率は14.6%となりました。
<システムインテグレーション売上原価>システムインテグレーション(機器販売を含む)の売上原価は、クラウド関連売上高等の増加に伴うライセンス費用及び設備関連費用の増加、モバイル端末の仕入れの増加、組織改組・稼働管理強化に伴う外注関連費用の減少等があり、前年同期比5.1%増の59,872百万円(前年同期56,942百万円)となりました。機器販売を含むシステムインテグレーションの売上総利益は、前年同期比36.3%増の9,780百万円(前年同期7,177百万円)となり、売上総利益率は14.0%となりました。
ATM運営事業売上原価は、前年同期比1.7%減の2,326百万円(前年同期 2,365百万円)となりました。ATM運営事業の売上総利益は、前年同期比9.6%増の1,825百万円(前年同期 1,665百万円)となり、売上総利益率は44.0%となりました。
ⅲ)販売管理費等
販売費及び一般管理費(研究開発費を含む)は、人件関連費用及び販売手数料の増加等があり、前年同期比5.5%増の22,652百万円(前年同期 21,474百万円)となりました。
その他の収益は47百万円(前年同期 62百万円)となりました。その他の費用は主として固定資産除却損により347百万円(前年同期 187百万円)となりました。
ⅳ)営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前年同期比11.0%減の6,023百万円(前年同期 6,770百万円)となりました。
ⅴ)金融収益、金融費用及び持分法による投資損益
当連結会計年度における金融収益は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産(ファンド等)に関する収益399百万円(前年同期 24百万円)及び受取配当金等87百万円(前年同期 243百万円)により、570百万円(前年同期 407百万円)となりました。
当連結会計年度における金融費用は支払利息430百万円(前年同期 405百万円)等により、432百万円(前年同期 439百万円)となりました。
当連結会計年度における持分法による投資損益は、㈱ディーカレットに係る持分法投資損失503百万円があり、318百万円の損失(前年同期135百万円の利益)となりました。
ⅵ)税引前利益
当連結会計年度における税引前利益は、前年同期比15.0%減の5,843百万円(前年同期 6,872百万円)となりました。
ⅶ)当期利益
当連結会計年度における法人所得税費用は、2,144百万円の費用(前年同期 2,279百万円の費用)となりました。
これらの結果、当連結会計年度における当期利益は、前年同期比19.5%減の3,699百万円(前年同期 4,593百万円)となりました。
非支配持分に帰属する当期利益は、㈱トラストネットワークスに係る利益等により178百万円(前年同期 170百万円)となりました。この結果、当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期比20.4%減の3,521百万円(前年同期 4,423百万円)となりました。
(3) 当連結会計年度末(2019年3月31日現在)の財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比12,126百万円増加し、167,289百万円(前連結会計年度末155,163百万円)となりました。
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末比13,128百万円増加の78,971百万円(前連結会計年度末65,843百万円)となり、主な増減及び残高の内訳は、現金及び現金同等物10,638百万円増加の31,958百万円、営業債権1,806百万円増加の33,376百万円、棚卸資産1,858百万円増加の3,403百万円、前払費用927百万円増加の8,523百万円、その他の金融資産(未収入金等)2,177百万円減少の1,581百万円等でありました。
当連結会計年度末における非流動資産は、前連結会計年度末比1,002百万円減少の88,318百万円(前連結会計年度末89,320百万円)となりました。主な増減及び残高の内訳は、上場株式の時価変動及びファンドの分配等によるその他投資1,482百万円減少の11,402百万円、ソフトウェア等の取得による無形資産1,056百万円増加の18,819百万円、有形固定資産388百万円減少の33,136百万円等でありました。
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末比10,767百万円増加の52,904百万円(前連結会計年度末42,137百万円)となりました。主な増減及び残高の内訳は、営業債務及びその他の債務5,432百万円増加の21,962百万円、借入金3,500百万円の増加(短期借入金2,000百万円の増加及び1年内返済予定長期借入金1,500百万円の非流動負債からの振替え)の12,750百万円、繰延収益(流動)1,306百万円増加の5,462百万円、その他の金融負債1,066百万円増加の7,032百万円等でありました。
当連結会計年度末における非流動負債は、前連結会計年度末比513百万円減少の37,265百万円(前連結会計年度末37,778百万円)となり、主な増減及び残高の内訳は、1年内返済予定長期借入金1,500百万円の流動負債への振替にて14,000百万円、繰延税金負債930百万円減少による421百万円、繰延収益(非流動)1,770百万円増の5,518百万円等でありました。
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の額は、前連結会計年度末比1,743百万円増加の76,271百万円(前連結会計年度末74,529百万円)、親会社の所有者に帰属する持分比率は45.6%となりました。
(4) 当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)の流動性及び資金の源泉の分析
①概要
当社グループの資金需要のうち主なものは、ネットワークの構築と拡張、社内システムへの投資、クラウドコンピューティングサービス推進に伴う投資、データセンター等の施設設備に対する賃借料及び投資(土地取得含む)、ネットワークサービス原価及びシステムインテグレーション仕入等に伴う増加運転資金、当社グループ会社等に対する投融資、国際事業推進に伴う投資、販売活動及び運転資金等であります。こうした必要資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フロー、銀行からの借入金並びにファイナンス・リース契約等で調達されております。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、31,958百万円(前連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高 21,320百万円)となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益5,843百万円、減価償却費及び償却費15,629百万円に対して、売上増加に伴う営業債権の増加、ソフトウェアライセンスや機器等保守費の一括前払い等による前払費用及び長期前払費用等の増加等で営業資産及び負債の増減にて6,568百万円の収入となり、また、法人所得税の支払い3,421百万円等もあり、25,152百万円の収入(前連結会計年度 14,664百万円の収入)となりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による7,080百万円の支出(前年同期 11,092百万円の支出)、ソフトウェア等の無形資産の取得による5,400百万円の支出(前年同期 6,121百万円の支出)、セール・アンド・リースバック取引等による有形固定資産の売却での3,071百万円の収入(前連結会計年度 3,271百万円の収入)、ファンド及び株式等のその他の投資の売却による収入565百万円(前年同期1,364百万円の収入)等があり、8,688百万円の支出(前連結会計年度 14,297百万円の支出)となりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金による調達2,000百万円、その他の金融負債の支払い7,322百万円(前連結会計年度6,264百万円の支払い)、2018年3月期の期末配当金及び2019年3月期の中間配当金の合計1,217百万円の支払い(前連結会計年度1,217百万円の支払い)等があり、5,890百万円の支出(前連結会計年度718百万円の支出)となりました。
③借入金
当社グループの主要取引銀行は、㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行、㈱三井住友銀行及び三井住友信託銀行㈱であります。
当社グループの当連結会計年度末現在における短期借入金の残高は12,750百万円でありました。当社グループは、主要取引銀行を含む邦銀各行との間にて当座借越契約を締結しており、当連結会計年度末現在において、その未使用残高合計は10,450百万円でありました。また、当社グループの当連結会計年度末現在における長期借入金残高は14,000百万円でありました。
④ファイナンス・リース
当社グループは、ファイナンス・リース契約により調達したデータ通信及びその他の設備を利用してインターネット接続サービス及びその他のインターネット関連サービスを行っております。当連結会計年度末現在のファイナンス・リース負債の現在価値は18,034百万円であります。