有価証券報告書-第32期(2023/04/01-2024/03/31)
(経営成績等の状況の概要)
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)の連結業績の概要
当連結会計年度における国内景気は一部に足踏みもみられましたが、緩やかに回復しました。先行きにつきましては、各種政策の効果もあり、景気の緩やかな回復が続くことが期待されるものの、物価上昇、世界的な金融引締めによる金利や為替の変動等の影響を注視する必要があります。
そのような景気動向の中、当社グループが主にかかわる法人ICT関連市場では、クラウドサービスやAI(*)等の新技術の企業活動への利活用の浸透、それらも含む要因によるインターネットトラフィックの継続増加、サイバーセキュリティ対策の重要性の高まり等が想定されます。企業のネットワーク及びシステムの領域は、旧来の社内閉域ネットワークから、インターネット技術を融合した複雑で多様なものへと変化しつつあり、今後も信頼性の高いネットワーク及びシステムの安定運用との重要性が増していくと想定をしております。
当連結会計年度は、当社グループの3ヵ年中期計画の最終年度にあたります。この中期計画期間におきまして、概して進展が遅かった日本企業及び官公庁等のIT利活用が、コロナ禍を契機に急進し、コロナ沈静後も社内外ネットワークの更改も含めて強い需要が継続しております。これら需要に対して、当社グループの月額提供のネットワークサービスをシステムインテグレーションに組み込む「サービスインテグレーション」との事業モデルを展開し、契約期間総額が数十億円から100億円超の複数年にわたる大型案件を多数獲得いたしました。前中期計画末の2021年3月期と比較すると、当期の売上高は約1.3倍の2,761億円、営業利益は約2.0倍の290億円、営業利益率は3.8ポイント向上の10.5%と推移し、中期計画で掲げた法人ストック売上の大幅伸長とスケールメリットによる利益享受との態様を実現いたしました。また、事業拡大に伴い、年度末時の従業員数は約1.3倍の4,803名となりました。その他の中期計画の振り返りは、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中期的な会社の経営戦略 ①前中期計画の振り返り」をご参照ください。
当連結会計年度の事業進展につきましては、ネットワークサービスにおいては、月額売上を堅調に積み上げ、売上総利益率は28.7%と前年同期比1.3ポイント向上いたしました。内訳につきましては、ネットワークサービス(除くモバイル関連サービス(*))は、IPサービス、セキュリティ関連サービス及びWANサービス等の需要が引き続き良好で、売上高は前年同期比8.9%増の1,052億円となりました。モバイル関連サービスは、総契約回線数は481万回線と前年度末比16.3%増加し、売上高は前年同期比9.1%増の461億円となりました。個人向けモバイルサービスは成熟市場のなかでも競争力を発揮し契約回線数は前年度末比5.6%増の127万回線、売上高は前年同期比4.5%増の220億円となり、法人向けモバイルサービスはネットワークカメラ等のIoT利用の継続普及等により契約回線数は前年度末比29.8%増の235万回線、売上高は前年同期比21.9%増の136億円となりました。システムインテグレーションにおいては、受注及び受注残高は好調であったものの、売上計上が複数年にわたる大型案件へのリソース割当等により単年度では売上伸長が鈍化し、また、売上計上に先行して生じる原価の増加もあり、売上総利益率は前年同期比1.1ポイント減の15.6%となりました。当社グループは、新規学卒者の獲得と育成を中心に戦略的な人的資本の拡張を進めており、当事業年度の期初は246名、2024年4月には307名の新規学卒者を迎えました。ネットワーク設備の拡張については、インターネットトラフィックの増加や自社サービス需要の高まりに応じ、インターネットバックボーンや自社サービス設備等を収容する自社保有データセンターを継続拡張いたしました。国際事業においては、従前からの事業進展に加えて、約28億円の海外データセンター構築案件や2021年4月に完全子会社化したシンガポールのシステムインテグレーターであるPTC SYSTEM (S) PTE LTDの貢献もあり、国際事業売上高は前年同期比38.1%増の353億円となりました。新規事業においては、当社持分法対象の㈱ディーカレットDCPにて、国内初のデジタル通貨サービスとして、非化石証書取引におけるデジタル通貨(DCJPY)の発行及び決済サービスの提供を2024年7月開始予定としております。
当連結会計年度の業績につきまして、総売上高は、前年同期比9.2%増の276,080百万円(前年同期 252,708百万円)となりました。売上原価は前年同期比8.9%増の212,214百万円(前年同期 194,800百万円)となり、売上総利益は前年同期比10.3%増の63,866百万円(前年同期 57,908百万円)となりました。内訳といたしまして、ネットワークサービスの売上高は前年同期比8.9%増の151,347百万円(前年同期 138,922百万円)、売上総利益は前年同期比14.0%増の43,493百万円(前年同期 38,146百万円)となりました。ネットワークサービスの売上原価におきましては、当第3四半期において㈱NTTドコモのモバイルデータ接続料の2022年度利用分単価確定による費用戻し効果1億円強(前年同期は5億円強の効果)がありました。システムインテグレーション(含む機器販売)の売上高は前年同期比9.8%増の121,819百万円(前年同期 110,944百万円)、内システム構築売上は49,902百万円(前年同期 42,945百万円)、システム運用保守売上は71,917百万円(前年同期 67,999百万円)となり、売上総利益は前年同期比2.6%増の19,042百万円(前年同期 18,553百万円)となりました。ATM運営事業の売上高は前年同期比2.5%増の2,914百万円(前年同期 2,842百万円)、売上総利益は前年同期比10.1%増の1,331百万円(前年同期 1,209百万円)となりました。販売管理費等(販売費及び一般管理費、その他の収益及びその他の費用の合計)は前年同期比13.5%増の34,837百万円(前年同期 30,687百万円)となりました。営業利益は、前年同期比6.6%増の29,029百万円(前年同期 27,221百万円)となりました。税引前利益は、為替差益533百万円(前年同期 365百万円の利益)及び主としてファンドに係る金融資産評価益149百万円(前年同期 303百万円)等により、前年同期比6.0%増の28,934百万円(前年同期 27,309百万円)となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期比5.2%増の19,831百万円(前年同期 18,852百万円)となりました。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比27,395百万円増加し、273,713百万円(前連結会計年度末 246,318百万円)となりました。
当連結会計年度末における流動資産は、現金及び現金同等物、営業債権及び前払費用等の増加により、前連結会計年度末比13,211百万円増加し、119,889百万円(前連結会計年度末 106,678百万円)となりました。非流動資産は、有形固定資産、無形資産、前払費用及び投資有価証券(株式)の増加等により前連結会計年度末比14,184百万円増加し、153,824百万円(前連結会計年度末 139,640百万円)となりました。
当連結会計年度末における流動負債は、借入金、営業債務及びその他の債務、契約負債の増加等により、前連結会計年度末比20,494百万円増加し、98,358百万円(前連結会計年度末 77,864百万円)となりました。非流動負債は、前連結会計年度末比704百万円減少し、48,323百万円(前連結会計年度末 49,027百万円)となりました。
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の額は、自己株式の取得による11,405百万円減少もありましたが、前連結会計年度末比7,509百万円増加の125,751百万円 (前連結会計年度末 118,242百万円)、親会社の所有者に帰属する持分比率は45.9%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、45,474百万円となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益28,934百万円、減価償却費及び償却費29,296百万円、法人所得税の支払い8,130百万円に対して前払費用等による支出の増加等により、営業資産及び負債の増減は9,880百万円の支出となり、40,780百万円の収入となりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、白井データセンターキャンパス建設関連等の有形固定資産の取得による11,744百万円の支出、ソフトウェア等の無形資産の取得による7,199百万円の支出等があり、17,927百万円の支出となりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加11,800百万円、自己株式の取得の支払11,405百万円、その他の金融負債の支払20,008百万円、その他の金融負債による収入6,609百万円、配当金の支払5,682百万円、長期借入金の返済2,060百万円等があり、20,797百万円の支出となりました。
(生産、受注及び販売の実績)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績は、以下のとおりであります。
(注)1.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
2.当社グループは、ネットワークサービス並びにATM運営事業において生産を行っておりませんので、これらに係る生産実績の記載事項はありません。なお、各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績及び受注残高は、以下のとおりであります。
(注)1.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
2.当社グループは、ネットワークサービス及びATM運営事業において受注生産を行っておりませんので、これらに係る受注実績及び受注残高の記載事項はありません。なお、各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(3) 販売実績
当連結会計年度における役務区分別の販売実績は、以下のとおりであります。
(注)1.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
2.各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要性がある会計方針及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第93条の規定により、国際会計基準(IFRS)に準拠して作成しております。
当社グループは、IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、会計上の見積り及び仮定を用いております。
これらの見積及び仮定は、過去の経験及び利用可能な情報を収集し、報告期間の末日現在において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。
しかし、その性質上、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
詳しくは、後記の連結財務諸表の注記をご参照ください。
(2) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)の経営成績の分析
①連結経営成績サマリー
<主要な連結経営指標>
(注)1.システムインテグレーションには機器販売を含んでおります。
2.販売費及び一般管理費(研究開発費を含む)、その他の収益、その他の費用の合計額を記載しております。
<セグメント情報>
②経営成績の分析
当社グループの売上の大部分がネットワークサービス及びSI事業からのものであるため、役務別の分析により記載しております。
ⅰ)売上収益
当連結会計年度における売上収益は、前年同期比9.2%増の276,080百万円(前年同期 252,708百万円)となりました。
<ネットワークサービス売上高>法人向けインターネット接続サービスの売上高は、法人IoT等用途向け法人モバイルサービス及びIPサービス等の売上増加があり、前年同期比11.1%増の44,725百万円(前年同期 40,253百万円)となりました。
個人向けインターネット接続サービスの売上高は、個人向けモバイルサービス等の売上増加があり、前年同期比4.3%増の25,285百万円(前年同期 24,235百万円)となりました。
アウトソーシングサービスの売上高は、セキュリティ関連サービス等の売上増加があり、前年同期比13.2%増の52,972百万円(前年同期 46,808百万円)となりました。
WANサービスの売上高は、前年同期比2.7%増の28,365百万円(前年同期 27,626百万円)となりました。
これらの結果、ネットワークサービス売上高は、前年同期比8.9%増の151,347百万円(前年同期 138,922百万円)となりました。
ネットワークサービス売上高の内訳、法人向け及び個人向けインターネット接続サービス契約数及び回線数の内訳並びに法人向けインターネット接続サービスの契約総帯域は、それぞれ以下のとおりであります。
<ネットワークサービス売上高の内訳>
<インターネット接続サービス契約数及び回線数の内訳並びに法人向けインターネット接続サービスの契約総帯域(注)1>
(注)1.法人向けインターネット接続サービス及び個人向けインターネット接続サービスの内訳において、「IIJモバイルサービス」及び「IIJmioモバイルサービス」は回線数を表示しており、それ以外は契約数を表示しております。
2.IPサービスには、インターネットデータセンター接続サービスが含まれます。
3.法人向けインターネット接続サービスのうち、IPサービス(含むインターネットデータセンター接続サービス)及びブロードバンド対応型サービス各々の契約数と契約帯域を乗じることにより算出しております。
<システムインテグレーション売上高>システム構築及び機器販売による一時的な売上高は、前年同期比16.2%増の49,902百万円(前年同期 42,945百万円)となりました。システム運用保守による継続的な売上高は、システム運用保守案件の継続積み上げによる増加等があり、前年同期比5.8%増の71,917百万円(前年同期 67,999百万円)となりました。
これらの結果、システムインテグレーション(含む機器販売)の売上高は、前年同期比9.8%増の121,819百万円(前年同期 110,944百万円)となりました。
当連結会計年度のシステムインテグレーション(含む機器販売)の受注は、前年同期比22.4%増の147,955百万円(前年同期 120,910百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注は前年同期比35.2%増の59,864百万円(前年同期 44,293百万円)、システム運用保守に関する受注は前年同期比15.0%増の88,091百万円(前年同期 76,617百万円)でありました。
当連結会計年度末のシステムインテグレーション(含む機器販売)の受注残高は、前年同期末比31.6%増の108,893百万円(前年同期末 82,757百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注残高は前年同期末比72.2%増の23,761百万円(前年同期末 13,799百万円)、システム運用保守に関する受注残高は前年同期末比23.5%増の85,132百万円(前年同期末 68,958百万円)でありました。
ATM運営事業売上高は、前年同期比2.5%増の2,914百万円(前年同期 2,842百万円)となりました。
ⅱ)売上原価
当連結会計年度における売上原価は、前年同期比8.9%増の212,214百万円(前年同期 194,800百万円)となりました。
<ネットワークサービス売上原価>ネットワークサービスの売上原価は、前年同期比7.0%増の107,854百万円(前年同期 100,776百万円)となりました。セキュリティ関連サービスのライセンス費用等の増加及び㈱NTTドコモのモバイルデータ接続料の2022年度利用分単価確定による費用戻し効果1億円強(前年同期は5億円強の効果)等がありました。ネットワークサービスの売上総利益は、前年同期比14.0%増の43,493百万円(前年同期 38,146百万円)となり、ネットワークサービスの売上総利益率は28.7%(前年同期 27.5%)となりました。
<システムインテグレーション売上原価>システムインテグレーション(含む機器販売)の売上原価は、外注関連費用及び仕入の増加等があり、前年同期比11.2%増の102,777百万円(前年同期 92,391百万円)となりました。機器販売を含むシステムインテグレーションの売上総利益は、前年同期比2.6%増の19,042百万円(前年同期 18,553百万円)となり、売上総利益率は15.6%(前年同期 16.7%)となりました。
ATM運営事業売上原価は、前年同期比3.1%減の1,583百万円(前年同期 1,633百万円)となりました。売上総利益は、1,331百万円(前年同期 1,209百万円)となり、売上総利益率は45.7%(前年同期 42.5%)となりました。
ⅲ)販売管理費等
当連結会計年度における販売費及び一般管理費(含む研究開発費)は、人件関連費用等の増加があり、前年同期比12.5%増の34,754百万円(前年同期 30,897百万円)となりました。
その他の収益は169百万円(前年同期は一時的な資産売却益を含む281百万円)となりました。その他の費用は252百万円(前年同期 71百万円)となりました。
ⅳ)営業利益
当連結会計年度における営業利益は、前年同期比6.6%増の29,029百万円(前年同期 27,221百万円)となりました。
ⅴ)金融収益、金融費用及び持分法による投資損益
当連結会計年度における金融収益は、為替差益533百万円(前年同期 365百万円の利益)及び主としてファンドに係る金融資産評価益149百万円(前年同期 303百万円の評価益)等により、1,019百万円(前年同期 844百万円)となりました。
当連結会計年度における金融費用は、支払利息616百万円(前年同期 529百万円)等により、649百万円(前年同期 552百万円)となりました。
当連結会計年度における持分法による投資損益は、㈱ディーカレットホールディングスに関する損失535百万円(前年同期 382百万円の損失)等があり、465百万円の損失(前年同期 204百万円の損失)となりました。
ⅵ)税引前利益
当連結会計年度における税引前当期利益は、前年同期比6.0%増の28,934百万円(前年同期 27,309百万円)となりました。
ⅶ)当期利益
当連結会計年度における法人所得税費用は、8,958百万円の費用(前年同期 8,316百万円の費用)となりました。この結果、当連結会計年度における当期利益は、前年同期比5.2%増の19,976百万円(前年同期 18,993百万円)となりました。
非支配持分に帰属する当期利益は、㈱トラストネットワークスに係る利益等により145百万円(前年同期 141百万円)となりました。この結果、当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期比5.2%増の19,831百万円(前年同期 18,852百万円)となりました。
(3) 当連結会計年度末(2024年3月31日現在)の財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比27,395百万円増加し、273,713百万円(前連結会計年度末 246,318百万円)となりました。
当連結会計年度末における流動資産は前連結会計年度末比13,211百万円増加し、119,889百万円(前連結会計年度末 106,678百万円)となり、主な残高及び増減の内訳は、現金及び現金同等物の3,002百万円増加の45,474百万円、営業債権の4,343百万円増加の45,683百万円、設備保守及び顧客向け案件等による前払費用の4,743百万円増加の20,084百万円でありました。
当連結会計年度末における非流動資産は、前連結会計年度末比14,184百万円増加し、153,824百万円(前連結会計年度末 139,640百万円)となりました。主な残高及び増減の内訳は、有形固定資産の白井データセンターキャンパス建設関連資産の取得等による5,751百万円増加の29,072百万円、使用権資産(オフィス、データセンター等の賃借契約及び通信機器等のリース契約の利用権)の償却等による5,433百万円減少の41,242百万円、ソフトウェア購入等による無形資産の1,741百万円増加の18,357百万円、顧客向けライセンス案件等及び設備保守等による前払費用の6,833百万円増加の19,412百万円、保有上場株式の時価評価等による投資有価証券(株式)の4,532百万円増加の14,563百万円でありました。
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末比20,494百万円増加し、98,358百万円(前連結会計年度末 77,864百万円)となりました。主な残高及び増減の内訳は、営業債務及びその他の債務の3,122百万円増加の25,435百万円、借入金の13,305百万円増加(うち、自己株式取得に見合う短期借入金による調達12,000百万円、返済による減少2,260百万円及び非流動負債からの振替等3,555百万円)の30,133百万円、契約負債の2,516百万円増加の12,685百万円、その他の金融負債の70百万円減少の18,035百万円でありました。
当連結会計年度末における非流動負債は、前連結会計年度末比704百万円減少し、48,323百万円(前連結会計年度末 49,027百万円)となり、主な残高及び増減の内訳は、流動負債への振替等による借入金の3,555百万円減少の47百万円、契約負債の1,141百万円増加の8,552百万円、長期未払金等によるその他の金融負債の408百万円増加の31,103百万円でありました。
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の額は、自己株式の取得による11,405百万円減少もありましたが、前連結会計年度末比7,509百万円増加の125,751百万円 (前連結会計年度末 118,242百万円)、親会社の所有者に帰属する持分比率は45.9%となりました。
(4) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)の流動性及び資金の源泉の分析
①概要
当社グループの資金需要のうち主なものは、ネットワークの構築と拡張、社内システムへの投資、クラウドコンピューティングサービス推進に伴う投資、データセンター等の施設設備に対する賃借料及び投資(土地取得含む)、ネットワークサービス原価及びシステムインテグレーション仕入等に伴う増加運転資金、当社グループ会社等に対する投融資、国際事業推進に伴う投資、販売活動及び運転資金等であります。こうした必要資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フロー、銀行からの借入金並びにファイナンス・リース契約等で調達されております。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、45,474百万円(前年同期末 42,472百万円)となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益28,934百万円(前年同期 27,309百万円)、減価償却費及び償却費29,296百万円(前年同期 28,801百万円)、うちIFRS第16号の適用によるオペレーティング・リースに係る使用権資産の減価償却費11,784百万円(前年同期 11,618百万円)、法人所得税の支払い8,130百万円(前年同期 9,958百万円) があり、営業資産及び負債の増減は、前払費用等による支出の増加が、営業債務等による支出の減少及び契約負債等による収入の増加等を上回り、9,880百万円の支出(前年同期 7,712百万円の支出)となり、40,780百万円の収入(前年同期 38,529百万円の収入)となりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、白井データセンターキャンパス建設関連等の有形固定資産の取得による11,744百万円の支出(前年同期 11,787百万円の支出)、ソフトウェア等の無形資産の取得による7,199百万円の支出(前年同期 5,471百万円の支出)等があり、17,927百万円の支出(前年同期 18,386百万円の支出)となりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加11,800百万円、自己株式の取得の支払11,405百万円、本社オフィス等のオペレーティング・リース及びネットワーク機器等のファイナンス・リースの支払等によるその他の金融負債の支払20,008百万円(前年同期 19,344百万円)、その他の金融負債による収入6,609百万円、配当金の支払5,682百万円(前年同期 4,901百万円)、長期借入金の返済2,060百万円(前年同期 1,515百万円)等があり、20,797百万円の支出(前年同期 25,731百万円の支出)となりました。
③借入金
当社グループの主要取引銀行は、㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行、㈱三井住友銀行及び三井住友信託銀行㈱であります。
当社グループの当連結会計年度末現在における短期借入金の残高は26,570百万円でありました。当社グループは、主要取引銀行を含む邦銀各行との間にて当座借越契約を締結しており、当連結会計年度末現在において、その未使用残高合計は20,080百万円でありました。また、当社グループの当連結会計年度末現在における長期借入金残高は3,610百万円でありました。
④ファイナンス・リース
当社グループは、ファイナンス・リース契約により調達したデータ通信及びその他の設備を利用してインターネット接続サービス及びその他のインターネット関連サービスを行っております。当連結会計年度末現在のファイナンス・リース負債の残高は15,750百万円であります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)の連結業績の概要
当連結会計年度における国内景気は一部に足踏みもみられましたが、緩やかに回復しました。先行きにつきましては、各種政策の効果もあり、景気の緩やかな回復が続くことが期待されるものの、物価上昇、世界的な金融引締めによる金利や為替の変動等の影響を注視する必要があります。
そのような景気動向の中、当社グループが主にかかわる法人ICT関連市場では、クラウドサービスやAI(*)等の新技術の企業活動への利活用の浸透、それらも含む要因によるインターネットトラフィックの継続増加、サイバーセキュリティ対策の重要性の高まり等が想定されます。企業のネットワーク及びシステムの領域は、旧来の社内閉域ネットワークから、インターネット技術を融合した複雑で多様なものへと変化しつつあり、今後も信頼性の高いネットワーク及びシステムの安定運用との重要性が増していくと想定をしております。
当連結会計年度は、当社グループの3ヵ年中期計画の最終年度にあたります。この中期計画期間におきまして、概して進展が遅かった日本企業及び官公庁等のIT利活用が、コロナ禍を契機に急進し、コロナ沈静後も社内外ネットワークの更改も含めて強い需要が継続しております。これら需要に対して、当社グループの月額提供のネットワークサービスをシステムインテグレーションに組み込む「サービスインテグレーション」との事業モデルを展開し、契約期間総額が数十億円から100億円超の複数年にわたる大型案件を多数獲得いたしました。前中期計画末の2021年3月期と比較すると、当期の売上高は約1.3倍の2,761億円、営業利益は約2.0倍の290億円、営業利益率は3.8ポイント向上の10.5%と推移し、中期計画で掲げた法人ストック売上の大幅伸長とスケールメリットによる利益享受との態様を実現いたしました。また、事業拡大に伴い、年度末時の従業員数は約1.3倍の4,803名となりました。その他の中期計画の振り返りは、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中期的な会社の経営戦略 ①前中期計画の振り返り」をご参照ください。
当連結会計年度の事業進展につきましては、ネットワークサービスにおいては、月額売上を堅調に積み上げ、売上総利益率は28.7%と前年同期比1.3ポイント向上いたしました。内訳につきましては、ネットワークサービス(除くモバイル関連サービス(*))は、IPサービス、セキュリティ関連サービス及びWANサービス等の需要が引き続き良好で、売上高は前年同期比8.9%増の1,052億円となりました。モバイル関連サービスは、総契約回線数は481万回線と前年度末比16.3%増加し、売上高は前年同期比9.1%増の461億円となりました。個人向けモバイルサービスは成熟市場のなかでも競争力を発揮し契約回線数は前年度末比5.6%増の127万回線、売上高は前年同期比4.5%増の220億円となり、法人向けモバイルサービスはネットワークカメラ等のIoT利用の継続普及等により契約回線数は前年度末比29.8%増の235万回線、売上高は前年同期比21.9%増の136億円となりました。システムインテグレーションにおいては、受注及び受注残高は好調であったものの、売上計上が複数年にわたる大型案件へのリソース割当等により単年度では売上伸長が鈍化し、また、売上計上に先行して生じる原価の増加もあり、売上総利益率は前年同期比1.1ポイント減の15.6%となりました。当社グループは、新規学卒者の獲得と育成を中心に戦略的な人的資本の拡張を進めており、当事業年度の期初は246名、2024年4月には307名の新規学卒者を迎えました。ネットワーク設備の拡張については、インターネットトラフィックの増加や自社サービス需要の高まりに応じ、インターネットバックボーンや自社サービス設備等を収容する自社保有データセンターを継続拡張いたしました。国際事業においては、従前からの事業進展に加えて、約28億円の海外データセンター構築案件や2021年4月に完全子会社化したシンガポールのシステムインテグレーターであるPTC SYSTEM (S) PTE LTDの貢献もあり、国際事業売上高は前年同期比38.1%増の353億円となりました。新規事業においては、当社持分法対象の㈱ディーカレットDCPにて、国内初のデジタル通貨サービスとして、非化石証書取引におけるデジタル通貨(DCJPY)の発行及び決済サービスの提供を2024年7月開始予定としております。
当連結会計年度の業績につきまして、総売上高は、前年同期比9.2%増の276,080百万円(前年同期 252,708百万円)となりました。売上原価は前年同期比8.9%増の212,214百万円(前年同期 194,800百万円)となり、売上総利益は前年同期比10.3%増の63,866百万円(前年同期 57,908百万円)となりました。内訳といたしまして、ネットワークサービスの売上高は前年同期比8.9%増の151,347百万円(前年同期 138,922百万円)、売上総利益は前年同期比14.0%増の43,493百万円(前年同期 38,146百万円)となりました。ネットワークサービスの売上原価におきましては、当第3四半期において㈱NTTドコモのモバイルデータ接続料の2022年度利用分単価確定による費用戻し効果1億円強(前年同期は5億円強の効果)がありました。システムインテグレーション(含む機器販売)の売上高は前年同期比9.8%増の121,819百万円(前年同期 110,944百万円)、内システム構築売上は49,902百万円(前年同期 42,945百万円)、システム運用保守売上は71,917百万円(前年同期 67,999百万円)となり、売上総利益は前年同期比2.6%増の19,042百万円(前年同期 18,553百万円)となりました。ATM運営事業の売上高は前年同期比2.5%増の2,914百万円(前年同期 2,842百万円)、売上総利益は前年同期比10.1%増の1,331百万円(前年同期 1,209百万円)となりました。販売管理費等(販売費及び一般管理費、その他の収益及びその他の費用の合計)は前年同期比13.5%増の34,837百万円(前年同期 30,687百万円)となりました。営業利益は、前年同期比6.6%増の29,029百万円(前年同期 27,221百万円)となりました。税引前利益は、為替差益533百万円(前年同期 365百万円の利益)及び主としてファンドに係る金融資産評価益149百万円(前年同期 303百万円)等により、前年同期比6.0%増の28,934百万円(前年同期 27,309百万円)となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期比5.2%増の19,831百万円(前年同期 18,852百万円)となりました。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比27,395百万円増加し、273,713百万円(前連結会計年度末 246,318百万円)となりました。
当連結会計年度末における流動資産は、現金及び現金同等物、営業債権及び前払費用等の増加により、前連結会計年度末比13,211百万円増加し、119,889百万円(前連結会計年度末 106,678百万円)となりました。非流動資産は、有形固定資産、無形資産、前払費用及び投資有価証券(株式)の増加等により前連結会計年度末比14,184百万円増加し、153,824百万円(前連結会計年度末 139,640百万円)となりました。
当連結会計年度末における流動負債は、借入金、営業債務及びその他の債務、契約負債の増加等により、前連結会計年度末比20,494百万円増加し、98,358百万円(前連結会計年度末 77,864百万円)となりました。非流動負債は、前連結会計年度末比704百万円減少し、48,323百万円(前連結会計年度末 49,027百万円)となりました。
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の額は、自己株式の取得による11,405百万円減少もありましたが、前連結会計年度末比7,509百万円増加の125,751百万円 (前連結会計年度末 118,242百万円)、親会社の所有者に帰属する持分比率は45.9%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、45,474百万円となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益28,934百万円、減価償却費及び償却費29,296百万円、法人所得税の支払い8,130百万円に対して前払費用等による支出の増加等により、営業資産及び負債の増減は9,880百万円の支出となり、40,780百万円の収入となりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、白井データセンターキャンパス建設関連等の有形固定資産の取得による11,744百万円の支出、ソフトウェア等の無形資産の取得による7,199百万円の支出等があり、17,927百万円の支出となりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加11,800百万円、自己株式の取得の支払11,405百万円、その他の金融負債の支払20,008百万円、その他の金融負債による収入6,609百万円、配当金の支払5,682百万円、長期借入金の返済2,060百万円等があり、20,797百万円の支出となりました。
(生産、受注及び販売の実績)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績は、以下のとおりであります。
役務区分 | 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | |
生産高(百万円) | 前年同期比(%) | |
システムインテグレーション(含む機器販売) | 103,129 | 12.1 |
合計 | 103,129 | 12.1 |
(注)1.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
2.当社グループは、ネットワークサービス並びにATM運営事業において生産を行っておりませんので、これらに係る生産実績の記載事項はありません。なお、各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績及び受注残高は、以下のとおりであります。
役務区分 | 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | |||
受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) | |
システムインテグレーション (構築及び機器販売) | 59,864 | 35.2 | 23,761 | 72.2 |
システムインテグレーション(運用保守) | 88,091 | 15.0 | 85,132 | 23.5 |
合計 | 147,955 | 22.4 | 108,893 | 31.6 |
(注)1.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
2.当社グループは、ネットワークサービス及びATM運営事業において受注生産を行っておりませんので、これらに係る受注実績及び受注残高の記載事項はありません。なお、各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(3) 販売実績
当連結会計年度における役務区分別の販売実績は、以下のとおりであります。
役務区分 | 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||
販売高(百万円) | 前年同期比(%) | ||
ネットワークサービス売上高合計 | 151,347 | 8.9 | |
うち、法人向けインターネット接続サービス | 44,725 | 11.1 | |
うち、個人向けインターネット接続サービス | 25,285 | 4.3 | |
うち、アウトソーシングサービス | 52,972 | 13.2 | |
うち、WANサービス | 28,365 | 2.7 | |
システムインテグレーション売上高合計 | 121,819 | 9.8 | |
うち、構築及び機器販売 | 49,902 | 16.2 | |
うち、運用保守 | 71,917 | 5.8 | |
ATM運営事業売上高 | 2,914 | 2.5 | |
合計 | 276,080 | 9.2 |
(注)1.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
2.各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要性がある会計方針及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第93条の規定により、国際会計基準(IFRS)に準拠して作成しております。
当社グループは、IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、会計上の見積り及び仮定を用いております。
これらの見積及び仮定は、過去の経験及び利用可能な情報を収集し、報告期間の末日現在において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。
しかし、その性質上、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
詳しくは、後記の連結財務諸表の注記をご参照ください。
(2) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)の経営成績の分析
①連結経営成績サマリー
<主要な連結経営指標>
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 増減率 | ||
金額(百万円) | 金額(百万円) | (%) | ||
売上収益合計 | 252,708 | 276,080 | 9.2 | |
ネットワークサービス売上高 | 138,922 | 151,347 | 8.9 | |
システムインテグレーション売上高(注1) | 110,944 | 121,819 | 9.8 | |
ATM運営事業売上高 | 2,842 | 2,914 | 2.5 | |
売上原価合計 | △194,800 | △212,214 | 8.9 | |
ネットワークサービス売上原価 | △100,776 | △107,854 | 7.0 | |
システムインテグレーション売上原価(注1) | △92,391 | △102,777 | 11.2 | |
ATM運営事業売上原価 | △1,633 | △1,583 | △3.1 | |
売上総利益合計 | 57,908 | 63,866 | 10.3 | |
ネットワークサービス売上総利益 | 38,146 | 43,493 | 14.0 | |
システムインテグレーション売上総利益(注1) | 18,553 | 19,042 | 2.6 | |
ATM運営事業売上総利益 | 1,209 | 1,331 | 10.1 | |
販売管理費等(注2) | △30,687 | △34,837 | 13.5 | |
営業利益 | 27,221 | 29,029 | 6.6 | |
税引前利益 | 27,309 | 28,934 | 6.0 | |
親会社の所有者に帰属する当期利益 | 18,852 | 19,831 | 5.2 |
(注)1.システムインテグレーションには機器販売を含んでおります。
2.販売費及び一般管理費(研究開発費を含む)、その他の収益、その他の費用の合計額を記載しております。
<セグメント情報>
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||
金額(百万円) | 金額(百万円) | ||
売上収益合計 | 252,708 | 276,080 | |
ネットワークサービス及びSI事業 | 249,970 | 273,247 | |
ATM運営事業 | 2,842 | 2,914 | |
セグメント間取引消去 | △104 | △ 81 | |
営業利益合計 | 27,221 | 29,029 | |
ネットワークサービス及びSI事業 | 26,322 | 28,014 | |
ATM運営事業 | 919 | 1,015 | |
セグメント間取引消去 | △20 | - |
②経営成績の分析
当社グループの売上の大部分がネットワークサービス及びSI事業からのものであるため、役務別の分析により記載しております。
ⅰ)売上収益
当連結会計年度における売上収益は、前年同期比9.2%増の276,080百万円(前年同期 252,708百万円)となりました。
<ネットワークサービス売上高>法人向けインターネット接続サービスの売上高は、法人IoT等用途向け法人モバイルサービス及びIPサービス等の売上増加があり、前年同期比11.1%増の44,725百万円(前年同期 40,253百万円)となりました。
個人向けインターネット接続サービスの売上高は、個人向けモバイルサービス等の売上増加があり、前年同期比4.3%増の25,285百万円(前年同期 24,235百万円)となりました。
アウトソーシングサービスの売上高は、セキュリティ関連サービス等の売上増加があり、前年同期比13.2%増の52,972百万円(前年同期 46,808百万円)となりました。
WANサービスの売上高は、前年同期比2.7%増の28,365百万円(前年同期 27,626百万円)となりました。
これらの結果、ネットワークサービス売上高は、前年同期比8.9%増の151,347百万円(前年同期 138,922百万円)となりました。
ネットワークサービス売上高の内訳、法人向け及び個人向けインターネット接続サービス契約数及び回線数の内訳並びに法人向けインターネット接続サービスの契約総帯域は、それぞれ以下のとおりであります。
<ネットワークサービス売上高の内訳>
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 増減率 | ||||
金額(百万円) | 金額(百万円) | (%) | ||||
ネットワークサービス売上高合計 | 138,922 | 151,347 | 8.9 | |||
法人向けインターネット接続サービス | 40,253 | 44,725 | 11.1 | |||
IPサービス(含むインターネットデータセンター接続サービス) | 14,835 | 15,990 | 7.8 | |||
IIJモバイルサービス(法人向け) | 21,249 | 24,177 | 13.8 | |||
法人IoT等用途向け直接提供 | 11,179 | 13,632 | 21.9 | |||
MVNOプラットフォームサービス | 10,070 | 10,545 | 4.7 | |||
その他 | 4,169 | 4,558 | 9.3 | |||
個人向けインターネット接続サービス | 24,235 | 25,285 | 4.3 | |||
IIJmioモバイルサービス | 21,025 | 21,961 | 4.5 | |||
その他 | 3,210 | 3,324 | 3.6 | |||
アウトソーシングサービス | 46,808 | 52,972 | 13.2 | |||
WANサービス | 27,626 | 28,365 | 2.7 |
<インターネット接続サービス契約数及び回線数の内訳並びに法人向けインターネット接続サービスの契約総帯域(注)1>
前連結会計年度末 (2023年3月31日現在) | 当連結会計年度末 (2024年3月31日現在) | 増減数 | |||
契約数(件) | 契約数(件) | (件) | |||
法人向けインターネット接続サービス契約数合計 | 3,026,149 | 3,638,223 | 612,074 | ||
IPサービス(1Gbps以上)(注)2 | 1,356 | 1,395 | 39 | ||
IPサービス(1Gbps未満)(注)2 | 1,409 | 1,401 | △8 | ||
IIJモバイルサービス(法人向け) | 2,929,646 | 3,535,558 | 605,912 | ||
法人IoT等用途向け直接提供 | 1,809,816 | 2,349,885 | 540,069 | ||
MVNOプラットフォームサービス | 1,119,830 | 1,185,673 | 65,843 | ||
その他 | 93,738 | 99,869 | 6,131 | ||
個人向けインターネット接続サービス回線数合計 | 1,547,206 | 1,609,944 | 62,738 | ||
IIJmioモバイルサービス | 1,206,321 | 1,274,410 | 68,089 | ||
その他 | 340,885 | 335,534 | △5,351 | ||
帯域(Gbps) | 帯域(Gbps) | 増減 | |||
法人向けインターネット接続サービス契約総帯域(注)3 | 8,814.3 | 10,441.7 | 1,627.4 |
(注)1.法人向けインターネット接続サービス及び個人向けインターネット接続サービスの内訳において、「IIJモバイルサービス」及び「IIJmioモバイルサービス」は回線数を表示しており、それ以外は契約数を表示しております。
2.IPサービスには、インターネットデータセンター接続サービスが含まれます。
3.法人向けインターネット接続サービスのうち、IPサービス(含むインターネットデータセンター接続サービス)及びブロードバンド対応型サービス各々の契約数と契約帯域を乗じることにより算出しております。
<システムインテグレーション売上高>システム構築及び機器販売による一時的な売上高は、前年同期比16.2%増の49,902百万円(前年同期 42,945百万円)となりました。システム運用保守による継続的な売上高は、システム運用保守案件の継続積み上げによる増加等があり、前年同期比5.8%増の71,917百万円(前年同期 67,999百万円)となりました。
これらの結果、システムインテグレーション(含む機器販売)の売上高は、前年同期比9.8%増の121,819百万円(前年同期 110,944百万円)となりました。
当連結会計年度のシステムインテグレーション(含む機器販売)の受注は、前年同期比22.4%増の147,955百万円(前年同期 120,910百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注は前年同期比35.2%増の59,864百万円(前年同期 44,293百万円)、システム運用保守に関する受注は前年同期比15.0%増の88,091百万円(前年同期 76,617百万円)でありました。
当連結会計年度末のシステムインテグレーション(含む機器販売)の受注残高は、前年同期末比31.6%増の108,893百万円(前年同期末 82,757百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注残高は前年同期末比72.2%増の23,761百万円(前年同期末 13,799百万円)、システム運用保守に関する受注残高は前年同期末比23.5%増の85,132百万円(前年同期末 68,958百万円)でありました。
ⅱ)売上原価
当連結会計年度における売上原価は、前年同期比8.9%増の212,214百万円(前年同期 194,800百万円)となりました。
<ネットワークサービス売上原価>ネットワークサービスの売上原価は、前年同期比7.0%増の107,854百万円(前年同期 100,776百万円)となりました。セキュリティ関連サービスのライセンス費用等の増加及び㈱NTTドコモのモバイルデータ接続料の2022年度利用分単価確定による費用戻し効果1億円強(前年同期は5億円強の効果)等がありました。ネットワークサービスの売上総利益は、前年同期比14.0%増の43,493百万円(前年同期 38,146百万円)となり、ネットワークサービスの売上総利益率は28.7%(前年同期 27.5%)となりました。
<システムインテグレーション売上原価>システムインテグレーション(含む機器販売)の売上原価は、外注関連費用及び仕入の増加等があり、前年同期比11.2%増の102,777百万円(前年同期 92,391百万円)となりました。機器販売を含むシステムインテグレーションの売上総利益は、前年同期比2.6%増の19,042百万円(前年同期 18,553百万円)となり、売上総利益率は15.6%(前年同期 16.7%)となりました。
ⅲ)販売管理費等
当連結会計年度における販売費及び一般管理費(含む研究開発費)は、人件関連費用等の増加があり、前年同期比12.5%増の34,754百万円(前年同期 30,897百万円)となりました。
その他の収益は169百万円(前年同期は一時的な資産売却益を含む281百万円)となりました。その他の費用は252百万円(前年同期 71百万円)となりました。
ⅳ)営業利益
当連結会計年度における営業利益は、前年同期比6.6%増の29,029百万円(前年同期 27,221百万円)となりました。
ⅴ)金融収益、金融費用及び持分法による投資損益
当連結会計年度における金融収益は、為替差益533百万円(前年同期 365百万円の利益)及び主としてファンドに係る金融資産評価益149百万円(前年同期 303百万円の評価益)等により、1,019百万円(前年同期 844百万円)となりました。
当連結会計年度における金融費用は、支払利息616百万円(前年同期 529百万円)等により、649百万円(前年同期 552百万円)となりました。
当連結会計年度における持分法による投資損益は、㈱ディーカレットホールディングスに関する損失535百万円(前年同期 382百万円の損失)等があり、465百万円の損失(前年同期 204百万円の損失)となりました。
ⅵ)税引前利益
当連結会計年度における税引前当期利益は、前年同期比6.0%増の28,934百万円(前年同期 27,309百万円)となりました。
ⅶ)当期利益
当連結会計年度における法人所得税費用は、8,958百万円の費用(前年同期 8,316百万円の費用)となりました。この結果、当連結会計年度における当期利益は、前年同期比5.2%増の19,976百万円(前年同期 18,993百万円)となりました。
非支配持分に帰属する当期利益は、㈱トラストネットワークスに係る利益等により145百万円(前年同期 141百万円)となりました。この結果、当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期比5.2%増の19,831百万円(前年同期 18,852百万円)となりました。
(3) 当連結会計年度末(2024年3月31日現在)の財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比27,395百万円増加し、273,713百万円(前連結会計年度末 246,318百万円)となりました。
当連結会計年度末における流動資産は前連結会計年度末比13,211百万円増加し、119,889百万円(前連結会計年度末 106,678百万円)となり、主な残高及び増減の内訳は、現金及び現金同等物の3,002百万円増加の45,474百万円、営業債権の4,343百万円増加の45,683百万円、設備保守及び顧客向け案件等による前払費用の4,743百万円増加の20,084百万円でありました。
当連結会計年度末における非流動資産は、前連結会計年度末比14,184百万円増加し、153,824百万円(前連結会計年度末 139,640百万円)となりました。主な残高及び増減の内訳は、有形固定資産の白井データセンターキャンパス建設関連資産の取得等による5,751百万円増加の29,072百万円、使用権資産(オフィス、データセンター等の賃借契約及び通信機器等のリース契約の利用権)の償却等による5,433百万円減少の41,242百万円、ソフトウェア購入等による無形資産の1,741百万円増加の18,357百万円、顧客向けライセンス案件等及び設備保守等による前払費用の6,833百万円増加の19,412百万円、保有上場株式の時価評価等による投資有価証券(株式)の4,532百万円増加の14,563百万円でありました。
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末比20,494百万円増加し、98,358百万円(前連結会計年度末 77,864百万円)となりました。主な残高及び増減の内訳は、営業債務及びその他の債務の3,122百万円増加の25,435百万円、借入金の13,305百万円増加(うち、自己株式取得に見合う短期借入金による調達12,000百万円、返済による減少2,260百万円及び非流動負債からの振替等3,555百万円)の30,133百万円、契約負債の2,516百万円増加の12,685百万円、その他の金融負債の70百万円減少の18,035百万円でありました。
当連結会計年度末における非流動負債は、前連結会計年度末比704百万円減少し、48,323百万円(前連結会計年度末 49,027百万円)となり、主な残高及び増減の内訳は、流動負債への振替等による借入金の3,555百万円減少の47百万円、契約負債の1,141百万円増加の8,552百万円、長期未払金等によるその他の金融負債の408百万円増加の31,103百万円でありました。
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の額は、自己株式の取得による11,405百万円減少もありましたが、前連結会計年度末比7,509百万円増加の125,751百万円 (前連結会計年度末 118,242百万円)、親会社の所有者に帰属する持分比率は45.9%となりました。
(4) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)の流動性及び資金の源泉の分析
①概要
当社グループの資金需要のうち主なものは、ネットワークの構築と拡張、社内システムへの投資、クラウドコンピューティングサービス推進に伴う投資、データセンター等の施設設備に対する賃借料及び投資(土地取得含む)、ネットワークサービス原価及びシステムインテグレーション仕入等に伴う増加運転資金、当社グループ会社等に対する投融資、国際事業推進に伴う投資、販売活動及び運転資金等であります。こうした必要資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フロー、銀行からの借入金並びにファイナンス・リース契約等で調達されております。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、45,474百万円(前年同期末 42,472百万円)となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益28,934百万円(前年同期 27,309百万円)、減価償却費及び償却費29,296百万円(前年同期 28,801百万円)、うちIFRS第16号の適用によるオペレーティング・リースに係る使用権資産の減価償却費11,784百万円(前年同期 11,618百万円)、法人所得税の支払い8,130百万円(前年同期 9,958百万円) があり、営業資産及び負債の増減は、前払費用等による支出の増加が、営業債務等による支出の減少及び契約負債等による収入の増加等を上回り、9,880百万円の支出(前年同期 7,712百万円の支出)となり、40,780百万円の収入(前年同期 38,529百万円の収入)となりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、白井データセンターキャンパス建設関連等の有形固定資産の取得による11,744百万円の支出(前年同期 11,787百万円の支出)、ソフトウェア等の無形資産の取得による7,199百万円の支出(前年同期 5,471百万円の支出)等があり、17,927百万円の支出(前年同期 18,386百万円の支出)となりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加11,800百万円、自己株式の取得の支払11,405百万円、本社オフィス等のオペレーティング・リース及びネットワーク機器等のファイナンス・リースの支払等によるその他の金融負債の支払20,008百万円(前年同期 19,344百万円)、その他の金融負債による収入6,609百万円、配当金の支払5,682百万円(前年同期 4,901百万円)、長期借入金の返済2,060百万円(前年同期 1,515百万円)等があり、20,797百万円の支出(前年同期 25,731百万円の支出)となりました。
③借入金
当社グループの主要取引銀行は、㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行、㈱三井住友銀行及び三井住友信託銀行㈱であります。
当社グループの当連結会計年度末現在における短期借入金の残高は26,570百万円でありました。当社グループは、主要取引銀行を含む邦銀各行との間にて当座借越契約を締結しており、当連結会計年度末現在において、その未使用残高合計は20,080百万円でありました。また、当社グループの当連結会計年度末現在における長期借入金残高は3,610百万円でありました。
④ファイナンス・リース
当社グループは、ファイナンス・リース契約により調達したデータ通信及びその他の設備を利用してインターネット接続サービス及びその他のインターネット関連サービスを行っております。当連結会計年度末現在のファイナンス・リース負債の残高は15,750百万円であります。