有価証券報告書-第31期(2022/04/01-2023/03/31)
(経営成績等の状況の概要)
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)の連結業績の概要
当連結会計年度における国内景気は緩やかに持ち直しました。先行きにつきましては、各種政策の効果もあり、引き続き景気の持ち直しが期待されるものの、物価上昇、エネルギー資源等の供給面での制約、世界的な金融引締めによる金利や為替の変動等の影響を注視する必要があります。
そのような景気動向の中、当社グループが主にかかわる法人ICT関連市場では、企業及び官公庁のITサービスの利用拡大を背景としたインターネットトラフィックの継続増加、インターネット上の脅威に対抗するセキュリティ関連サービスの重要性の高まり、クラウドコンピューティング関連サービスの順次普及、それらサービスを総合的に利用するIoTの実用化の進展等により、今後も信頼性の高いネットワークシステムへの需要増加が継続していくものと想定しております。
当連結会計年度の事業進展につきましては、コロナ禍の一服後もITサービス利用の需要は堅調に推移し、加えて、社内外ネットワーク更改等のネットワークサービスとシステムインテグレーションを複合した大型案件の提案機会が増加しました。それらの結果、売上高が想定以上に伸長し、システムインテグレーションの受注額及び受注残高も順調に増加しました。ネットワークサービス分野では、月額計上される法人向けネットワークサービス(除くモバイル関連サービス(*))の売上高は前年同期比10.5%増と堅調に推移しました。その内訳といたしまして、IPサービス(*)は、既存顧客のIT利用増加等に伴う契約帯域の大容量化及び新規案件獲得等により売上高及び契約総帯域が増加しました。アウトソーシングサービスは、サイバー攻撃等の脅威への対策としてセキュリティ関連サービスの需要が活況で、売上高は前年同期比15.5%増と増収を牽引しました。WANサービスは、多拠点の社内網を接続するネットワーク案件等が堅調に推移しました。モバイル関連サービスにおいては、法人向けは継続した案件需要と既存案件の回線数増加等により売上高及び回線数が伸長し、個人向けはIIJmioモバイルサービスの回線数の大幅増加が前期初開始のギガプランへの旧プラン顧客の順次移行による平均顧客単価の継続低下影響を吸収し増収となりました。システムインテグレーション分野では、ネットワーク構築を中心とした需要が活況でシステム構築売上高は前年同期比21.4%増となり、受注額及び受注残高は各々14.6%増及び10.8%増となりました。システム運用保守は、構築案件より生じる継続的なシステム運用の増収に加えて、マルチクラウド(*)需要の高まりによるクラウドコンピューティング関連サービスの増収等もあり売上高は前年同期比13.4%増となり、受注額及び受注残高は各々22.0%増及び14.3%増となりました。国際事業の売上高(上記ネットワークサービス及びシステムインテグレーション売上高の一部)はグローバルSASE(*)案件の複数獲得や前期初に子会社となったシステムインテグレーターであるシンガポールのPTC SYSTEM (S) PTE LTDの増収等により前年同期比43.2%増となりました。また、直近で30億円規模の海外データセンター構築案件も受注しました。サービス開発においては、既存サービスの継続的な機能拡充による付加価値向上に加え、オンプレミス(*)環境とクラウド間の接続サービス「IIJプライベートバックボーンサービス/Smart HUB」、自社開発SASEサービス「IIJセキュアアクセスサービス」、オンプレミス環境とクラウド間のデータ連携サービス「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」、法人向けモバイルサービス「IIJモバイルサービス/タイプD for IIJmio Biz」等の新サービスを開発しました。設備面では、インターネットバックボーンの継続増強や自社データセンターの追加建設等により旺盛なサービス需要への対応を進めております。人材の確保については、当期は新卒採用178名に加え中途採用による増員もあり、当連結会計年度末の連結従業員数は前年度末比304名増の4,451名となりました。また、更なる事業成長に向けて、2023年4月入社の新卒採用は246名へと拡大しました。サステナビリティの取り組みとしては、TCFD提言に基づく情報開示や温室効果ガス削減に向けた自社データセンターでのオンサイト太陽光発電等を推進しました。
当連結会計年度の業績につきまして、総売上高は前年同期比11.7%増の252,708百万円(前年同期 226,335百万円)となりました。売上原価は前年同期比11.5%増の194,800百万円(前年同期 174,707百万円)となり、売上総利益は前年同期比12.2%増の57,908百万円(前年同期 51,628百万円)となりました。その内訳といたしまして、ネットワークサービスの売上高は前年同期比8.4%増の138,922百万円(前年同期 128,213百万円)、売上総利益は前年同期比7.1%増の38,146百万円(前年同期 35,618百万円)となりました。ネットワークサービスの売上原価におきましては、第3四半期においてNTTドコモのモバイルデータ接続料の2021年度利用分単価確定による費用戻し効果5億円強(前年同期においては10.8億円の効果)がありました。システムインテグレーション(含む機器販売)の売上高は前年同期比16.4%増の110,944百万円(前年同期 95,338百万円)、売上総利益は前年同期比24.2%増の18,553百万円(前年同期 14,942百万円)となりました。ATM運営事業の売上高は前年同期比2.1%増の2,842百万円(前年同期 2,784百万円)、売上総利益は前年同期比13.2%増の1,209百万円(前年同期 1,068百万円)となりました。販売管理費等(販売費及び一般管理費、その他の収益及びその他の費用の合計)は前年同期比9.3%増の30,687百万円(前年同期 28,081百万円)となりました。営業利益は、前年同期比15.6%増の27,221百万円(前年同期 23,547百万円)となりました。税引前利益は、ファンドに係る金融資産評価益303百万円(前年同期 3,055百万円の評価益)、為替差益365百万円(前年同期 327百万円の利益)、支払利息等の金融費用552百万円(前年同期 556百万円)、持分法損失204百万円(前年同期 2,335百万円の損失)等があり、前年同期比13.0%増の27,309百万円(前年同期 24,162百万円)となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期比20.2%増の18,838百万円(前年同期 15,672百万円)となりました。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比14,388百万円増加し、246,193百万円(前連結会計年度末 231,805百万円)となりました。
当連結会計年度末における流動資産は営業債権、棚卸資産及び前払費用の増加等により、前連結会計年度末比2,193百万円増加し、106,678百万円(前連結会計年度末 104,485百万円)となりました。非流動資産は、有形固定資産、使用権資産及びその他の投資の取得等により、前連結会計年度末比12,195百万円増加し、139,515百万円(前連結会計年度末 127,320百万円)となりました。
当連結会計年度末における流動負債は、営業債務及びその他の債務、その他の金融負債の増加等により、前連結会計年度末比1,087百万円増加し、77,864百万円(前連結会計年度末 76,777百万円)となりました。非流動負債は、借入金の減少等により、前連結会計年度末比1,380百万円減少し、49,027百万円(前連結会計年度末 50,407百万円)となりました。
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の額は、前連結会計年度末比14,589百万円増加の118,117百万円 (前連結会計年度末 103,528百万円)、親会社の所有者に帰属する持分比率は48.0%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、42,472百万円となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益27,309百万円、減価償却費及び償却費28,801百万円、法人所得税の支払い9,958百万円等に対して、売掛金の増加及び前払費用の増加等により、営業資産及び負債の増減は7,712百万円の支出となり、38,529百万円の収入となりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による11,787百万円の支出、ソフトウェア等の無形資産の取得による5,471百万円の支出、㈱ディーカレットDCPの社債の引受他によるその他投資の取得で2,511百万円の支出、有形固定資産の売却による収入1,546百万円等があり、18,386百万円の支出となりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、リース等によるその他の金融負債の支払19,344百万円、配当金の支払4,901百万円、長期借入金の返済1,515百万円等があり、25,731百万円の支出となりました。
(生産、受注及び販売の実績)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績は、以下のとおりであります。
(注)1.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
2.当社グループは、ネットワークサービス並びにATM運営事業において生産を行っておりませんので、これらに係る生産実績の記載事項はありません。なお、各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績及び受注残高は、以下のとおりであります。
(注)1.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
2.当社グループは、ネットワークサービス及びATM運営事業において受注生産を行っておりませんので、これらに係る受注実績及び受注残高の記載事項はありません。なお、各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(3) 販売実績
当連結会計年度における役務区分別の販売実績は、以下のとおりであります。
(注)1.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
2.各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第93条の規定により、国際会計基準(IFRS)に準拠して作成しております。
当社グループは、IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、会計上の見積り及び仮定を用いております。
これらの見積及び仮定は、過去の経験及び利用可能な情報を収集し、報告期間の末日現在において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。
しかし、その性質上、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
詳しくは、後記の連結財務諸表の注記をご参照ください。
(2) 当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)の経営成績の分析
①連結経営成績サマリー
<主要な連結経営指標>
(注)1.システムインテグレーションには機器販売を含んでおります。
2.販売費及び一般管理費(研究開発費を含む)、その他の収益、その他の費用の合計額を記載しております。
<セグメント情報>
②経営成績の分析
当社グループの売上の大部分がネットワークサービス及びSI事業からのものであるため、役務別の分析により記載しております。
ⅰ)売上収益
当連結会計年度における売上収益は、前年同期比11.7%増の252,708百万円(前年同期 226,335百万円)となりました。
<ネットワークサービス売上高>法人向けインターネット接続サービスの売上高は、IPサービス、法人IoT等用途向け法人モバイルサービス及びブロードバンド対応型サービス等の売上増加が、IIJモバイルMVNOプラットフォームサービスにおける調達コストの低減に応じた減収影響等を吸収し、前年同期比6.2%増の40,253百万円(前年同期 37,911百万円)となりました。
個人向けインターネット接続サービスの売上高は、個人向けモバイルサービスにおいて、回線数増加に伴う売上増加が前期初のギガプランへの旧プラン顧客の継続移行による平均顧客単価低下の年度影響等を吸収し、また、その他の個人向け光ファイバー接続サービス等も増加し、前年同期比3.7%増の24,235百万円(前年同期 23,376百万円)となりました。
アウトソーシングサービスの売上高は、セキュリティ関連サービス売上高等の増加があり、前年同期比15.5%増の46,808百万円(前年同期 40,523百万円)となりました。
WANサービスの売上高は、前年同期比4.6%増の27,626百万円(前年同期 26,403百万円)となりました。
これらの結果、ネットワークサービス売上高は、前年同期比8.4%増の138,922百万円(前年同期 128,213百万円)となりました。
ネットワークサービス売上高の内訳、法人向け及び個人向けインターネット接続サービス契約数及び回線数の内訳並びに法人向けインターネット接続サービスの契約総帯域は、それぞれ以下のとおりであります。
<ネットワークサービス売上高の内訳>
<インターネット接続サービス契約数及び回線数の内訳並びに法人向けインターネット接続サービスの契約総帯域(注)2>
(注)1.法人向けインターネット接続サービス及び個人向けインターネット接続サービスの内訳において、「IIJモバイルサービス」及び「IIJmioモバイルサービス」は回線数を表示しており、それ以外は契約数を表示しております。
2.IPサービスには、インターネットデータセンター接続サービスが含まれます。当第3四半期末におけるIPサービス(1Gbps以上)の契約数は、第3四半期における東京都立高校プロジェクト向け約500回線開通による増加を内包しております。
3.法人向けインターネット接続サービスのうち、IPサービス(含むインターネットデータセンター接続サービス)及びブロードバンド対応型サービス各々の契約数と契約帯域を乗じることにより算出しております。当連結会計年度末における契約総帯域は、第3四半期における東京都立高校プロジェクト向け約500Gbpsの増加を内包しております。
<システムインテグレーション売上高>システム構築及び機器販売による一時的な売上高は、前年同期比21.4%増の42,945百万円(前年同期 35,376百万円)となりました。システム運用保守による継続的な売上高は、システム運用保守案件の継続積み上げ及びクラウド関連サービスの売上高増加等があり、前年同期比13.4%増の67,999百万円(前年同期 59,962百万円)となりました。
これらの結果、システムインテグレーション(含む機器販売)の売上高は、前年同期比16.4%増の110,944百万円(前年同期 95,338百万円)となりました。
当連結会計年度のシステムインテグレーション(含む機器販売)の受注は、前年同期比19.2%増の120,910百万円(前年同期 101,476百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注は前年同期比14.6%増の44,293百万円(前年同期 38,660百万円)、システム運用保守に関する受注は前年同期比22.0%増の76,617百万円(前年同期 62,816百万円)でありました。
当連結会計年度末のシステムインテグレーション(含む機器販売)の受注残高は、前年同期末比13.7%増の82,757百万円(前年同期末 72,791百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注残高は前年同期末比10.8%増の13,799百万円(前年同期末 12,451百万円)、システム運用保守に関する受注残高は前年同期末比14.3%増の68,958百万円(前年同期末 60,340百万円)でありました。
ATM運営事業売上高は、前年同期比2.1%増の2,842百万円(前年同期 2,784百万円)となりました。
ⅱ)売上原価
当連結会計年度における売上原価は、前年同期比11.5%増の194,800百万円(前年同期 174,707百万円)となりました。
<ネットワークサービス売上原価>ネットワークサービスの売上原価は、前年同期比8.8%増の100,776百万円(前年同期 92,595百万円)となりました。モバイル端末仕入の増加及びNTTドコモのモバイルデータ接続料の2021年度利用分単価確定による費用戻し効果5億円強(前年同期においては10.8億円の効果)等がありました。ネットワークサービスの売上総利益は、前年同期比7.1%増の38,146百万円(前年同期 35,618百万円)となり、ネットワークサービスの売上総利益率は27.5%(前年同期 27.8%)となりました。
<システムインテグレーション売上原価>システムインテグレーション(含む機器販売)の売上原価は、売上増加に伴う仕入及びマルチクラウド関連サービスのライセンス費用の増加等があり、前年同期比14.9%増の92,391百万円(前年同期 80,396百万円)となりました。機器販売を含むシステムインテグレーションの売上総利益は、前年同期比24.2%増の18,553百万円(前年同期 14,942百万円)となり、売上総利益率は16.7%(前年同期 15.7%)となりました。
ATM運営事業売上原価は、前年同期比4.8%減の1,633百万円(前年同期 1,716百万円)となりました。売上総利益は、1,209百万円(前年同期 1,068百万円)となり、売上総利益率は42.5%(前年同期 38.3%)となりました。
ⅲ)販売管理費等
当連結会計年度における販売費及び一般管理費(含む研究開発費)は、主として人件関連費用、広告宣伝費及び外注関連費用等の増加等により、前年同期比10.5%増の30,897百万円(前年同期 27,969百万円)となりました。
その他の収益は281百万円(前年同期 171百万円)となりました。その他の費用は71百万円(前年同期 283百万円)となりました。
ⅳ)営業利益
当連結会計年度における営業利益は、前年同期比15.6%増の27,221百万円(前年同期 23,547百万円)となりました。
ⅴ)金融収益、金融費用及び持分法による投資損益
当連結会計年度における金融収益は、主としてファンドに係る金融資産評価益303百万円(前年同期 3,055百万円の評価益)、為替差益365百万円(前年同期 327百万円の利益)等により、844百万円(前年同期 3,506百万円)となりました。
当連結会計年度における金融費用は、支払利息529百万円(前年同期 538百万円)等により、552百万円(前年同期 556百万円)となりました。
当連結会計年度における持分法による投資損益は、204百万円の損失(前年同期 2,335百万円の損失)となりました。そのうち、㈱ディーカレットホールディングスに関する持分法による投資損失は、382百万円(前年同期は持分損失1,607百万円に加えのれん相当額の減損1,181百万円)となりました。尚、これらの持分損失及びのれん相当額の減損は、税効果を認識しておりません。
ⅵ)税引前利益
当連結会計年度における税引前当期利益は、前年同期比13.0%増の27,309百万円(前年同期 24,162百万円)となりました。
ⅶ)当期利益
当連結会計年度における法人所得税費用は、8,330百万円の費用(前年同期 8,362百万円の費用)となりました。賃上げ促進税制の税額控除によるプラス効果406百万円がありました。この結果、当連結会計年度における当期利益は、前年同期比20.1%増の18,979百万円(前年同期 15,800百万円)となりました。
非支配持分に帰属する当期利益は、㈱トラストネットワークスに係る利益等により141百万円(前年同期 128百万円)となりました。この結果、当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期比20.2%増の18,838百万円(前年同期 15,672百万円)となりました。
(3) 当連結会計年度末(2023年3月31日現在)の財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比14,388百万円増加し、246,193百万円(前連結会計年度末 231,805百万円)となりました。
当連結会計年度末における流動資産は前連結会計年度末比2,193百万円増加し、106,678百万円(前連結会計年度末 104,485百万円)となり、主な残高及び増減の内訳は、現金及び現金同等物4,919百万円減少の42,472百万円、営業債権3,691百万円増加の41,340百万円、棚卸資産580百万円増加の3,188百万円及び前払費用1,788百万円増加の15,341百万円でありました。
当連結会計年度末における非流動資産は、前連結会計年度末比12,195百万円増加し、139,515百万円(前連結会計年度末 127,320百万円)となりました。主な残高及び増減の内訳は、白井データセンターキャンパス建設関連の取得等による有形固定資産5,475百万円増加で23,321百万円、使用権資産(オフィス、データセンター等の賃借契約及び通信機器等のリース契約の利用権)はデータセンター契約等のリース資産認識で1,801百万円増加の46,675百万円、無形資産はソフトウェア購入等で192百万円増加の16,616百万円、長期前払費用は運用保守原価等で2,127百万円増加の12,579百万円、その他の投資は㈱ディーカレットDCPの社債の引受他による1,740百万円増加の19,150百万円でありました。
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末比1,087百万円増加し、77,864百万円(前連結会計年度末 76,777百万円)となりました。主な残高及び増減の内訳は、営業債務及びその他の債務1,571百万円増加の22,313百万円、借入金458百万円増加(うち長期借入金の返済による減少1,515百万円、短期借入の減少100百万円及び非流動負債からの振替2,000百万円)の16,828百万円、未払法人所得税1,761百万円減少の4,034百万円、契約負債598百万円増加の10,169百万円及びその他の金融負債はオペレーティング・リース負債の認識等で1,070百万円増加の18,105百万円でありました。
当連結会計年度末における非流動負債は、前連結会計年度末比1,380百万円減少し、49,027百万円(前連結会計年度末 50,407百万円)となり、主な残高及び増減の内訳は、 借入金は流動負債への振替等で1,898百万円減少の3,602百万円、契約負債は18百万円減少の7,411百万円、その他の金融負債はオペレーティング・リース負債の認識等で549百万円増加の30,695百万円でありました。
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の額は、前連結会計年度末比14,589百万円増加の118,117百万円 (前連結会計年度末 103,528百万円)、親会社の所有者に帰属する持分比率は48.0%となりました。
(4) 当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)の流動性及び資金の源泉の分析
①概要
当社グループの資金需要のうち主なものは、ネットワークの構築と拡張、社内システムへの投資、クラウドコンピューティングサービス推進に伴う投資、データセンター等の施設設備に対する賃借料及び投資(土地取得含む)、ネットワークサービス原価及びシステムインテグレーション仕入等に伴う増加運転資金、当社グループ会社等に対する投融資、国際事業推進に伴う投資、販売活動及び運転資金等であります。こうした必要資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フロー、銀行からの借入金並びにファイナンス・リース契約等で調達されております。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、42,472百万円(前年同期末 47,391百万円)となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益27,309百万円(前年同期 24,162百万円)、減価償却費及び償却費28,801百万円(前年同期 28,444百万円)、うちIFRS第16号の適用によるオペレーティング・リースに係る使用権資産の減価償却費11,618百万円(前年同期 11,534百万円)、法人所得税の支払い9,958百万円(前年同期 5,700百万円)等に対して、売掛金の増加及び前払費用の増加等により、営業資産及び負債の増減は7,712百万円の支出(前年同期 2,892百万円の支出)となり、38,529百万円の収入(前年同期 43,573百万円の収入)となりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による11,787百万円の支出(前年同期 6,783百万円の支出)、ソフトウェア等の無形資産の取得による5,471百万円の支出(前年同期 4,734百万円の支出)、㈱ディーカレットDCPの社債の引受他によるその他投資の取得で2,511百万円の支出(前年同期 717百万円の支出)、主としてセールアンドリースバック取引で有形固定資産の売却による収入1,546百万円(前年同期 2,150百万円の収入)等があり、18,386百万円の支出(前年同期 11,838百万円の支出)となりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、本社オフィス等のオペレーティング・リース及びネットワーク機器等のファイナンス・リースの支払等によるその他の金融負債の支払19,344百万円(前年同期 19,983百万円の支払) 、配当金の支払4,901百万円(前年同期 3,836百万円)、長期借入金の返済1,515百万円(前年同期 5,170百万円)等があり、25,731百万円の支出(前年同期 27,296百万円の支出)となりました。
③借入金
当社グループの主要取引銀行は、㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行、㈱三井住友銀行及び三井住友信託銀行㈱であります。
当社グループの当連結会計年度末現在における短期借入金の残高は14,770百万円でありました。当社グループは、主要取引銀行を含む邦銀各行との間にて当座借越契約を締結しており、当連結会計年度末現在において、その未使用残高合計は11,380百万円でありました。また、当社グループの当連結会計年度末現在における長期借入金残高は5,660百万円でありました。
④ファイナンス・リース
当社グループは、ファイナンス・リース契約により調達したデータ通信及びその他の設備を利用してインターネット接続サービス及びその他のインターネット関連サービスを行っております。当連結会計年度末現在のファイナンス・リース負債の残高は16,447百万円であります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)の連結業績の概要
当連結会計年度における国内景気は緩やかに持ち直しました。先行きにつきましては、各種政策の効果もあり、引き続き景気の持ち直しが期待されるものの、物価上昇、エネルギー資源等の供給面での制約、世界的な金融引締めによる金利や為替の変動等の影響を注視する必要があります。
そのような景気動向の中、当社グループが主にかかわる法人ICT関連市場では、企業及び官公庁のITサービスの利用拡大を背景としたインターネットトラフィックの継続増加、インターネット上の脅威に対抗するセキュリティ関連サービスの重要性の高まり、クラウドコンピューティング関連サービスの順次普及、それらサービスを総合的に利用するIoTの実用化の進展等により、今後も信頼性の高いネットワークシステムへの需要増加が継続していくものと想定しております。
当連結会計年度の事業進展につきましては、コロナ禍の一服後もITサービス利用の需要は堅調に推移し、加えて、社内外ネットワーク更改等のネットワークサービスとシステムインテグレーションを複合した大型案件の提案機会が増加しました。それらの結果、売上高が想定以上に伸長し、システムインテグレーションの受注額及び受注残高も順調に増加しました。ネットワークサービス分野では、月額計上される法人向けネットワークサービス(除くモバイル関連サービス(*))の売上高は前年同期比10.5%増と堅調に推移しました。その内訳といたしまして、IPサービス(*)は、既存顧客のIT利用増加等に伴う契約帯域の大容量化及び新規案件獲得等により売上高及び契約総帯域が増加しました。アウトソーシングサービスは、サイバー攻撃等の脅威への対策としてセキュリティ関連サービスの需要が活況で、売上高は前年同期比15.5%増と増収を牽引しました。WANサービスは、多拠点の社内網を接続するネットワーク案件等が堅調に推移しました。モバイル関連サービスにおいては、法人向けは継続した案件需要と既存案件の回線数増加等により売上高及び回線数が伸長し、個人向けはIIJmioモバイルサービスの回線数の大幅増加が前期初開始のギガプランへの旧プラン顧客の順次移行による平均顧客単価の継続低下影響を吸収し増収となりました。システムインテグレーション分野では、ネットワーク構築を中心とした需要が活況でシステム構築売上高は前年同期比21.4%増となり、受注額及び受注残高は各々14.6%増及び10.8%増となりました。システム運用保守は、構築案件より生じる継続的なシステム運用の増収に加えて、マルチクラウド(*)需要の高まりによるクラウドコンピューティング関連サービスの増収等もあり売上高は前年同期比13.4%増となり、受注額及び受注残高は各々22.0%増及び14.3%増となりました。国際事業の売上高(上記ネットワークサービス及びシステムインテグレーション売上高の一部)はグローバルSASE(*)案件の複数獲得や前期初に子会社となったシステムインテグレーターであるシンガポールのPTC SYSTEM (S) PTE LTDの増収等により前年同期比43.2%増となりました。また、直近で30億円規模の海外データセンター構築案件も受注しました。サービス開発においては、既存サービスの継続的な機能拡充による付加価値向上に加え、オンプレミス(*)環境とクラウド間の接続サービス「IIJプライベートバックボーンサービス/Smart HUB」、自社開発SASEサービス「IIJセキュアアクセスサービス」、オンプレミス環境とクラウド間のデータ連携サービス「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」、法人向けモバイルサービス「IIJモバイルサービス/タイプD for IIJmio Biz」等の新サービスを開発しました。設備面では、インターネットバックボーンの継続増強や自社データセンターの追加建設等により旺盛なサービス需要への対応を進めております。人材の確保については、当期は新卒採用178名に加え中途採用による増員もあり、当連結会計年度末の連結従業員数は前年度末比304名増の4,451名となりました。また、更なる事業成長に向けて、2023年4月入社の新卒採用は246名へと拡大しました。サステナビリティの取り組みとしては、TCFD提言に基づく情報開示や温室効果ガス削減に向けた自社データセンターでのオンサイト太陽光発電等を推進しました。
当連結会計年度の業績につきまして、総売上高は前年同期比11.7%増の252,708百万円(前年同期 226,335百万円)となりました。売上原価は前年同期比11.5%増の194,800百万円(前年同期 174,707百万円)となり、売上総利益は前年同期比12.2%増の57,908百万円(前年同期 51,628百万円)となりました。その内訳といたしまして、ネットワークサービスの売上高は前年同期比8.4%増の138,922百万円(前年同期 128,213百万円)、売上総利益は前年同期比7.1%増の38,146百万円(前年同期 35,618百万円)となりました。ネットワークサービスの売上原価におきましては、第3四半期においてNTTドコモのモバイルデータ接続料の2021年度利用分単価確定による費用戻し効果5億円強(前年同期においては10.8億円の効果)がありました。システムインテグレーション(含む機器販売)の売上高は前年同期比16.4%増の110,944百万円(前年同期 95,338百万円)、売上総利益は前年同期比24.2%増の18,553百万円(前年同期 14,942百万円)となりました。ATM運営事業の売上高は前年同期比2.1%増の2,842百万円(前年同期 2,784百万円)、売上総利益は前年同期比13.2%増の1,209百万円(前年同期 1,068百万円)となりました。販売管理費等(販売費及び一般管理費、その他の収益及びその他の費用の合計)は前年同期比9.3%増の30,687百万円(前年同期 28,081百万円)となりました。営業利益は、前年同期比15.6%増の27,221百万円(前年同期 23,547百万円)となりました。税引前利益は、ファンドに係る金融資産評価益303百万円(前年同期 3,055百万円の評価益)、為替差益365百万円(前年同期 327百万円の利益)、支払利息等の金融費用552百万円(前年同期 556百万円)、持分法損失204百万円(前年同期 2,335百万円の損失)等があり、前年同期比13.0%増の27,309百万円(前年同期 24,162百万円)となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期比20.2%増の18,838百万円(前年同期 15,672百万円)となりました。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比14,388百万円増加し、246,193百万円(前連結会計年度末 231,805百万円)となりました。
当連結会計年度末における流動資産は営業債権、棚卸資産及び前払費用の増加等により、前連結会計年度末比2,193百万円増加し、106,678百万円(前連結会計年度末 104,485百万円)となりました。非流動資産は、有形固定資産、使用権資産及びその他の投資の取得等により、前連結会計年度末比12,195百万円増加し、139,515百万円(前連結会計年度末 127,320百万円)となりました。
当連結会計年度末における流動負債は、営業債務及びその他の債務、その他の金融負債の増加等により、前連結会計年度末比1,087百万円増加し、77,864百万円(前連結会計年度末 76,777百万円)となりました。非流動負債は、借入金の減少等により、前連結会計年度末比1,380百万円減少し、49,027百万円(前連結会計年度末 50,407百万円)となりました。
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の額は、前連結会計年度末比14,589百万円増加の118,117百万円 (前連結会計年度末 103,528百万円)、親会社の所有者に帰属する持分比率は48.0%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、42,472百万円となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益27,309百万円、減価償却費及び償却費28,801百万円、法人所得税の支払い9,958百万円等に対して、売掛金の増加及び前払費用の増加等により、営業資産及び負債の増減は7,712百万円の支出となり、38,529百万円の収入となりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による11,787百万円の支出、ソフトウェア等の無形資産の取得による5,471百万円の支出、㈱ディーカレットDCPの社債の引受他によるその他投資の取得で2,511百万円の支出、有形固定資産の売却による収入1,546百万円等があり、18,386百万円の支出となりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、リース等によるその他の金融負債の支払19,344百万円、配当金の支払4,901百万円、長期借入金の返済1,515百万円等があり、25,731百万円の支出となりました。
(生産、受注及び販売の実績)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績は、以下のとおりであります。
役務区分 | 当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | |
生産高(百万円) | 前年同期比(%) | |
システムインテグレーション(含む機器販売) | 92,029 | 14.4 |
合計 | 92,029 | 14.4 |
(注)1.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
2.当社グループは、ネットワークサービス並びにATM運営事業において生産を行っておりませんので、これらに係る生産実績の記載事項はありません。なお、各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績及び受注残高は、以下のとおりであります。
役務区分 | 当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | |||
受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) | |
システムインテグレーション (構築及び機器販売) | 44,293 | 14.6 | 13,799 | 10.8 |
システムインテグレーション(運用保守) | 76,617 | 22.0 | 68,958 | 14.3 |
合計 | 120,910 | 19.2 | 82,757 | 13.7 |
(注)1.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
2.当社グループは、ネットワークサービス及びATM運営事業において受注生産を行っておりませんので、これらに係る受注実績及び受注残高の記載事項はありません。なお、各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(3) 販売実績
当連結会計年度における役務区分別の販売実績は、以下のとおりであります。
役務区分 | 当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | ||
販売高(百万円) | 前年同期比(%) | ||
ネットワークサービス売上高合計 | 138,922 | 8.4 | |
うち、法人向けインターネット接続サービス | 40,253 | 6.2 | |
うち、個人向けインターネット接続サービス | 24,235 | 3.7 | |
うち、アウトソーシングサービス | 46,808 | 15.5 | |
うち、WANサービス | 27,626 | 4.6 | |
システムインテグレーション売上高合計 | 110,944 | 16.4 | |
うち、構築及び機器販売 | 42,945 | 21.4 | |
うち、運用保守 | 67,999 | 13.4 | |
ATM運営事業売上高 | 2,842 | 2.1 | |
合計 | 252,708 | 11.7 |
(注)1.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
2.各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第93条の規定により、国際会計基準(IFRS)に準拠して作成しております。
当社グループは、IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、会計上の見積り及び仮定を用いております。
これらの見積及び仮定は、過去の経験及び利用可能な情報を収集し、報告期間の末日現在において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。
しかし、その性質上、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
詳しくは、後記の連結財務諸表の注記をご参照ください。
(2) 当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)の経営成績の分析
①連結経営成績サマリー
<主要な連結経営指標>
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 増減率 | ||
金額(百万円) | 金額(百万円) | (%) | ||
売上収益合計 | 226,335 | 252,708 | 11.7 | |
ネットワークサービス売上高 | 128,213 | 138,922 | 8.4 | |
システムインテグレーション売上高(注1) | 95,338 | 110,944 | 16.4 | |
ATM運営事業売上高 | 2,784 | 2,842 | 2.1 | |
売上原価合計 | △174,707 | △194,800 | 11.5 | |
ネットワークサービス売上原価 | △92,595 | △100,776 | 8.8 | |
システムインテグレーション売上原価(注1) | △80,396 | △92,391 | 14.9 | |
ATM運営事業売上原価 | △1,716 | △1,633 | △4.8 | |
売上総利益合計 | 51,628 | 57,908 | 12.2 | |
ネットワークサービス売上総利益 | 35,618 | 38,146 | 7.1 | |
システムインテグレーション売上総利益(注1) | 14,942 | 18,553 | 24.2 | |
ATM運営事業売上総利益 | 1,068 | 1,209 | 13.2 | |
販売管理費等(注2) | △28,081 | △30,687 | 9.3 | |
営業利益 | 23,547 | 27,221 | 15.6 | |
税引前利益 | 24,162 | 27,309 | 13.0 | |
親会社の所有者に帰属する当期利益 | 15,672 | 18,838 | 20.2 |
(注)1.システムインテグレーションには機器販売を含んでおります。
2.販売費及び一般管理費(研究開発費を含む)、その他の収益、その他の費用の合計額を記載しております。
<セグメント情報>
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | ||
金額(百万円) | 金額(百万円) | ||
売上収益合計 | 226,335 | 252,708 | |
ネットワークサービス及びSI事業 | 223,678 | 249,970 | |
ATM運営事業 | 2,784 | 2,842 | |
セグメント間取引消去 | △127 | △104 | |
営業利益合計 | 23,547 | 27,221 | |
ネットワークサービス及びSI事業 | 22,799 | 26,322 | |
ATM運営事業 | 834 | 919 | |
セグメント間取引消去 | △86 | △20 |
②経営成績の分析
当社グループの売上の大部分がネットワークサービス及びSI事業からのものであるため、役務別の分析により記載しております。
ⅰ)売上収益
当連結会計年度における売上収益は、前年同期比11.7%増の252,708百万円(前年同期 226,335百万円)となりました。
<ネットワークサービス売上高>法人向けインターネット接続サービスの売上高は、IPサービス、法人IoT等用途向け法人モバイルサービス及びブロードバンド対応型サービス等の売上増加が、IIJモバイルMVNOプラットフォームサービスにおける調達コストの低減に応じた減収影響等を吸収し、前年同期比6.2%増の40,253百万円(前年同期 37,911百万円)となりました。
個人向けインターネット接続サービスの売上高は、個人向けモバイルサービスにおいて、回線数増加に伴う売上増加が前期初のギガプランへの旧プラン顧客の継続移行による平均顧客単価低下の年度影響等を吸収し、また、その他の個人向け光ファイバー接続サービス等も増加し、前年同期比3.7%増の24,235百万円(前年同期 23,376百万円)となりました。
アウトソーシングサービスの売上高は、セキュリティ関連サービス売上高等の増加があり、前年同期比15.5%増の46,808百万円(前年同期 40,523百万円)となりました。
WANサービスの売上高は、前年同期比4.6%増の27,626百万円(前年同期 26,403百万円)となりました。
これらの結果、ネットワークサービス売上高は、前年同期比8.4%増の138,922百万円(前年同期 128,213百万円)となりました。
ネットワークサービス売上高の内訳、法人向け及び個人向けインターネット接続サービス契約数及び回線数の内訳並びに法人向けインターネット接続サービスの契約総帯域は、それぞれ以下のとおりであります。
<ネットワークサービス売上高の内訳>
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 増減率 | ||||
金額(百万円) | 金額(百万円) | (%) | ||||
ネットワークサービス売上高合計 | 128,213 | 138,922 | 8.4 | |||
法人向けインターネット接続サービス | 37,911 | 40,253 | 6.2 | |||
IPサービス(注)1 | 13,683 | 14,835 | 8.4 | |||
IIJモバイルサービス(法人向け) | 20,351 | 21,249 | 4.4 | |||
法人IoT等用途向け直接提供 | 10,257 | 11,179 | 9.0 | |||
MVNOプラットフォームサービス | 10,094 | 10,070 | △0.2 | |||
その他 | 3,877 | 4,169 | 7.5 | |||
個人向けインターネット接続サービス | 23,376 | 24,235 | 3.7 | |||
IIJmioモバイルサービス | 20,365 | 21,025 | 3.2 | |||
その他 | 3,011 | 3,210 | 6.6 | |||
アウトソーシングサービス | 40,523 | 46,808 | 15.5 | |||
WANサービス | 26,403 | 27,626 | 4.6 |
<インターネット接続サービス契約数及び回線数の内訳並びに法人向けインターネット接続サービスの契約総帯域(注)2>
前連結会計年度末 (2022年3月31日現在) | 当連結会計年度末 (2023年3月31日現在) | 増減数 | |||
契約数(件) | 契約数(件) | (件) | |||
法人向けインターネット接続サービス契約数合計 | 2,500,116 | 3,026,149 | 526,033 | ||
IPサービス(1Gbps以上)(注)1 | 786 | 1,356 | 570 | ||
IPサービス(1Gbps未満)(注)1 | 1,250 | 1,409 | 159 | ||
IIJモバイルサービス(法人向け) | 2,407,083 | 2,929,646 | 522,563 | ||
法人IoT等用途向け直接提供 | 1,374,055 | 1,809,816 | 435,761 | ||
MVNOプラットフォームサービス | 1,033,028 | 1,119,830 | 86,802 | ||
その他 | 90,997 | 93,738 | 2,741 | ||
個人向けインターネット接続サービス回線数合計 | 1,437,107 | 1,547,206 | 110,099 | ||
IIJmioモバイルサービス | 1,090,208 | 1,206,321 | 116,113 | ||
その他 | 346,899 | 340,885 | △6,014 | ||
帯域(Gbps) | 帯域(Gbps) | 増減 | |||
法人向けインターネット接続サービス契約総帯域(注)3 | 7,641.6 | 8,814.3 | 1,172.7 |
(注)1.法人向けインターネット接続サービス及び個人向けインターネット接続サービスの内訳において、「IIJモバイルサービス」及び「IIJmioモバイルサービス」は回線数を表示しており、それ以外は契約数を表示しております。
2.IPサービスには、インターネットデータセンター接続サービスが含まれます。当第3四半期末におけるIPサービス(1Gbps以上)の契約数は、第3四半期における東京都立高校プロジェクト向け約500回線開通による増加を内包しております。
3.法人向けインターネット接続サービスのうち、IPサービス(含むインターネットデータセンター接続サービス)及びブロードバンド対応型サービス各々の契約数と契約帯域を乗じることにより算出しております。当連結会計年度末における契約総帯域は、第3四半期における東京都立高校プロジェクト向け約500Gbpsの増加を内包しております。
<システムインテグレーション売上高>システム構築及び機器販売による一時的な売上高は、前年同期比21.4%増の42,945百万円(前年同期 35,376百万円)となりました。システム運用保守による継続的な売上高は、システム運用保守案件の継続積み上げ及びクラウド関連サービスの売上高増加等があり、前年同期比13.4%増の67,999百万円(前年同期 59,962百万円)となりました。
これらの結果、システムインテグレーション(含む機器販売)の売上高は、前年同期比16.4%増の110,944百万円(前年同期 95,338百万円)となりました。
当連結会計年度のシステムインテグレーション(含む機器販売)の受注は、前年同期比19.2%増の120,910百万円(前年同期 101,476百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注は前年同期比14.6%増の44,293百万円(前年同期 38,660百万円)、システム運用保守に関する受注は前年同期比22.0%増の76,617百万円(前年同期 62,816百万円)でありました。
当連結会計年度末のシステムインテグレーション(含む機器販売)の受注残高は、前年同期末比13.7%増の82,757百万円(前年同期末 72,791百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注残高は前年同期末比10.8%増の13,799百万円(前年同期末 12,451百万円)、システム運用保守に関する受注残高は前年同期末比14.3%増の68,958百万円(前年同期末 60,340百万円)でありました。
ⅱ)売上原価
当連結会計年度における売上原価は、前年同期比11.5%増の194,800百万円(前年同期 174,707百万円)となりました。
<ネットワークサービス売上原価>ネットワークサービスの売上原価は、前年同期比8.8%増の100,776百万円(前年同期 92,595百万円)となりました。モバイル端末仕入の増加及びNTTドコモのモバイルデータ接続料の2021年度利用分単価確定による費用戻し効果5億円強(前年同期においては10.8億円の効果)等がありました。ネットワークサービスの売上総利益は、前年同期比7.1%増の38,146百万円(前年同期 35,618百万円)となり、ネットワークサービスの売上総利益率は27.5%(前年同期 27.8%)となりました。
<システムインテグレーション売上原価>システムインテグレーション(含む機器販売)の売上原価は、売上増加に伴う仕入及びマルチクラウド関連サービスのライセンス費用の増加等があり、前年同期比14.9%増の92,391百万円(前年同期 80,396百万円)となりました。機器販売を含むシステムインテグレーションの売上総利益は、前年同期比24.2%増の18,553百万円(前年同期 14,942百万円)となり、売上総利益率は16.7%(前年同期 15.7%)となりました。
ⅲ)販売管理費等
当連結会計年度における販売費及び一般管理費(含む研究開発費)は、主として人件関連費用、広告宣伝費及び外注関連費用等の増加等により、前年同期比10.5%増の30,897百万円(前年同期 27,969百万円)となりました。
その他の収益は281百万円(前年同期 171百万円)となりました。その他の費用は71百万円(前年同期 283百万円)となりました。
ⅳ)営業利益
当連結会計年度における営業利益は、前年同期比15.6%増の27,221百万円(前年同期 23,547百万円)となりました。
ⅴ)金融収益、金融費用及び持分法による投資損益
当連結会計年度における金融収益は、主としてファンドに係る金融資産評価益303百万円(前年同期 3,055百万円の評価益)、為替差益365百万円(前年同期 327百万円の利益)等により、844百万円(前年同期 3,506百万円)となりました。
当連結会計年度における金融費用は、支払利息529百万円(前年同期 538百万円)等により、552百万円(前年同期 556百万円)となりました。
当連結会計年度における持分法による投資損益は、204百万円の損失(前年同期 2,335百万円の損失)となりました。そのうち、㈱ディーカレットホールディングスに関する持分法による投資損失は、382百万円(前年同期は持分損失1,607百万円に加えのれん相当額の減損1,181百万円)となりました。尚、これらの持分損失及びのれん相当額の減損は、税効果を認識しておりません。
ⅵ)税引前利益
当連結会計年度における税引前当期利益は、前年同期比13.0%増の27,309百万円(前年同期 24,162百万円)となりました。
ⅶ)当期利益
当連結会計年度における法人所得税費用は、8,330百万円の費用(前年同期 8,362百万円の費用)となりました。賃上げ促進税制の税額控除によるプラス効果406百万円がありました。この結果、当連結会計年度における当期利益は、前年同期比20.1%増の18,979百万円(前年同期 15,800百万円)となりました。
非支配持分に帰属する当期利益は、㈱トラストネットワークスに係る利益等により141百万円(前年同期 128百万円)となりました。この結果、当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期比20.2%増の18,838百万円(前年同期 15,672百万円)となりました。
(3) 当連結会計年度末(2023年3月31日現在)の財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比14,388百万円増加し、246,193百万円(前連結会計年度末 231,805百万円)となりました。
当連結会計年度末における流動資産は前連結会計年度末比2,193百万円増加し、106,678百万円(前連結会計年度末 104,485百万円)となり、主な残高及び増減の内訳は、現金及び現金同等物4,919百万円減少の42,472百万円、営業債権3,691百万円増加の41,340百万円、棚卸資産580百万円増加の3,188百万円及び前払費用1,788百万円増加の15,341百万円でありました。
当連結会計年度末における非流動資産は、前連結会計年度末比12,195百万円増加し、139,515百万円(前連結会計年度末 127,320百万円)となりました。主な残高及び増減の内訳は、白井データセンターキャンパス建設関連の取得等による有形固定資産5,475百万円増加で23,321百万円、使用権資産(オフィス、データセンター等の賃借契約及び通信機器等のリース契約の利用権)はデータセンター契約等のリース資産認識で1,801百万円増加の46,675百万円、無形資産はソフトウェア購入等で192百万円増加の16,616百万円、長期前払費用は運用保守原価等で2,127百万円増加の12,579百万円、その他の投資は㈱ディーカレットDCPの社債の引受他による1,740百万円増加の19,150百万円でありました。
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末比1,087百万円増加し、77,864百万円(前連結会計年度末 76,777百万円)となりました。主な残高及び増減の内訳は、営業債務及びその他の債務1,571百万円増加の22,313百万円、借入金458百万円増加(うち長期借入金の返済による減少1,515百万円、短期借入の減少100百万円及び非流動負債からの振替2,000百万円)の16,828百万円、未払法人所得税1,761百万円減少の4,034百万円、契約負債598百万円増加の10,169百万円及びその他の金融負債はオペレーティング・リース負債の認識等で1,070百万円増加の18,105百万円でありました。
当連結会計年度末における非流動負債は、前連結会計年度末比1,380百万円減少し、49,027百万円(前連結会計年度末 50,407百万円)となり、主な残高及び増減の内訳は、 借入金は流動負債への振替等で1,898百万円減少の3,602百万円、契約負債は18百万円減少の7,411百万円、その他の金融負債はオペレーティング・リース負債の認識等で549百万円増加の30,695百万円でありました。
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の額は、前連結会計年度末比14,589百万円増加の118,117百万円 (前連結会計年度末 103,528百万円)、親会社の所有者に帰属する持分比率は48.0%となりました。
(4) 当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)の流動性及び資金の源泉の分析
①概要
当社グループの資金需要のうち主なものは、ネットワークの構築と拡張、社内システムへの投資、クラウドコンピューティングサービス推進に伴う投資、データセンター等の施設設備に対する賃借料及び投資(土地取得含む)、ネットワークサービス原価及びシステムインテグレーション仕入等に伴う増加運転資金、当社グループ会社等に対する投融資、国際事業推進に伴う投資、販売活動及び運転資金等であります。こうした必要資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フロー、銀行からの借入金並びにファイナンス・リース契約等で調達されております。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、42,472百万円(前年同期末 47,391百万円)となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益27,309百万円(前年同期 24,162百万円)、減価償却費及び償却費28,801百万円(前年同期 28,444百万円)、うちIFRS第16号の適用によるオペレーティング・リースに係る使用権資産の減価償却費11,618百万円(前年同期 11,534百万円)、法人所得税の支払い9,958百万円(前年同期 5,700百万円)等に対して、売掛金の増加及び前払費用の増加等により、営業資産及び負債の増減は7,712百万円の支出(前年同期 2,892百万円の支出)となり、38,529百万円の収入(前年同期 43,573百万円の収入)となりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による11,787百万円の支出(前年同期 6,783百万円の支出)、ソフトウェア等の無形資産の取得による5,471百万円の支出(前年同期 4,734百万円の支出)、㈱ディーカレットDCPの社債の引受他によるその他投資の取得で2,511百万円の支出(前年同期 717百万円の支出)、主としてセールアンドリースバック取引で有形固定資産の売却による収入1,546百万円(前年同期 2,150百万円の収入)等があり、18,386百万円の支出(前年同期 11,838百万円の支出)となりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、本社オフィス等のオペレーティング・リース及びネットワーク機器等のファイナンス・リースの支払等によるその他の金融負債の支払19,344百万円(前年同期 19,983百万円の支払) 、配当金の支払4,901百万円(前年同期 3,836百万円)、長期借入金の返済1,515百万円(前年同期 5,170百万円)等があり、25,731百万円の支出(前年同期 27,296百万円の支出)となりました。
③借入金
当社グループの主要取引銀行は、㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行、㈱三井住友銀行及び三井住友信託銀行㈱であります。
当社グループの当連結会計年度末現在における短期借入金の残高は14,770百万円でありました。当社グループは、主要取引銀行を含む邦銀各行との間にて当座借越契約を締結しており、当連結会計年度末現在において、その未使用残高合計は11,380百万円でありました。また、当社グループの当連結会計年度末現在における長期借入金残高は5,660百万円でありました。
④ファイナンス・リース
当社グループは、ファイナンス・リース契約により調達したデータ通信及びその他の設備を利用してインターネット接続サービス及びその他のインターネット関連サービスを行っております。当連結会計年度末現在のファイナンス・リース負債の残高は16,447百万円であります。