有価証券報告書-第29期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(業績等の概要)
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)の連結業績の概要
当連結会計年度におけるわが国の景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にありましたが、下期には持ち直しの動きがみられました。先行きにつきましては、社会経済活動レベルの順次引き上げのもと、各種政策の効果や海外経済の改善もあり、持ち直しの継続が期待されますが、感染症拡大による社会経済活動への影響が内外経済を下振れさせるリスクに注意し、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。
そのような景気動向のなか、当社グループが主に係わる法人ICT関連市場では、企業及び官公庁のITサービスの利用拡大を背景としたインターネットトラフィックの継続増加、インターネット上の脅威に対抗するセキュリティ関連サービスの重要性の高まり、クラウドコンピューティング関連サービスの順次普及、それらのサービスを総合的に利用するIoT実用化の進展等により、今後も信頼性の高いネットワーク及びシステムへの需要増加が継続していくものと想定しております。
このような市場環境のなか、当連結会計年度におきまして、当社グループのネットワークサービス分野では、IP接続サービス(*)において、主として既存顧客の契約帯域増加により、期初から売上の高伸長が継続いたしました。モバイル関連サービスにおいては、法人向けモバイルサービスにて、フルMVNO機能の発揮により設備監視やマーケティング用途のカメラ接続案件等が活況で、工場生産ラインでの各種デバイス接続等の高度なIoT利用も案件化いたしました。個人向けモバイルサービスでは、競争環境が強まるなか、MVNO顧客層の需要に合致すべく新サービス「ギガプラン(*)」の提供開始を発表いたしました。データ接続料(定額通信料(*))及び音声仕入料金の低減が想定されるなか、個人顧客の獲得強化も推進し、法人・個人全体でのモバイルトラフィックのネットワーク収容効率を高めることで、利益の当面維持と将来増加を展望しております。アウトソーシングサービスにおいては、セキュリティ関連サービス売上高の高増収が継続しました。機能強化とラインナップ拡充で、ネットワーク増強に付帯するセキュリティ需要の更なる高まりに対応してまいります。テレワーク(*)インフラ需要に合致した「IIJフレックスモビリティサービス (*)」や「クラウドエクスチェンジサービス(*)」等のサービス群も売上が急増いたしました。システムインテグレーションでは、公共及び一般事業者の各々でネットワーク構築案件が活況に推移いたしました。システム運用保守に一部含まれるクラウドコンピューティング関連サービスでは、プライベートクラウド(*)及びマルチクラウド(*)関連ソリューションの複合提供で、多様化する企業のクラウド化需要に対応し、売上が継続伸長いたしました。設備面では、白井データセンターの設備拡張を進め、需要の増加に伴い必要となるサーバラックスペースの確保に順次備えております。国際事業では、ASEANビジネスの中核となるシンガポール事業の強化を狙い、現地有力システムインテグレーターであるPTC SYSTEM (S) PTE LTDを、2021年4月に買収し完全子会社といたしました。新規事業分野では、持分法適用関連会社㈱ディーカレットにて、将来のデジタル通貨流通のシステム基盤となることを目指し、有力企業群とのデジタル通貨フォーラム(*)、実証実験等を推進いたしました。民放各局との合弁による持分法適用関連会社JOCDN㈱は、配信サービス需要が高まるなか、CDNサービスの売上増加で黒字化し、事業基盤を確立いたしました。ヘルスケア事業では、クラウド型医療情報共有プラットフォーム「IIJ電子@連絡帳サービス(*)」の利用が7県70自治体へと普及いたしました。ワクチン接種記録等の新機能も付加し、専門職と行政の情報連携強化や業務効率化支援を推進しております。今後の事業成長に必要な人員強化につきましては、継続した新卒採用及び育成を軸としており、当期の新卒採用210名に中途採用を加え、連結従業員数は3,805名(前年同期末比 222名増)となりました。
当連結会計年度の業績につきまして、総売上高は、法人向けインターネット接続サービス、アウトソーシングサービス及びシステム運用保守等の月額計上される法人ストック売上高が増収を牽引し、213,002百万円となりました。法人ストック売上高は大幅増加したものの、前年度期中にあったWANサービスの大口特定顧客のモバイル移行による年度減収及びATM運営事業におけるコロナ禍等での減収影響があり、総売上高の増収率は低水準でありました。売上原価は前年同期比0.5%増の172,720百万円(前年同期 171,880百万円)となり、売上総利益は前年同期比23.6%増の40,282百万円(前年同期 32,594百万円)となりました。販売管理費等(販売費及び一般管理費、その他の収益及びその他の費用の合計)は前年同期比6.8%増の26,034百万円(前年同期 24,369百万円)となり、当連結会計年度における営業利益は前年同期比73.2%増の14,248百万円(前年同期 8,225百万円)となりました。税引前利益は前年同期比96.0%増の14,035百万円(前年同期 7,159百万円)となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年同期比142.4%増の9,712百万円(前年同期 4,007百万円)となりました。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比14,253百万円増加し、220,777百万円(前連結会計年度末 206,524百万円)となりました。
連結会計年度末における流動資産は、現金及び現金同等物、営業債権及び前払費用の増加等により、前連結会計年度末比6,814百万円増加の93,405百万円(前連結会計年度末 86,590百万円)となりました。非流動資産は、持分法で会計処理されている投資は㈱ディーカレットへの出資等による増加、長期前払費用は保守等の前払増加及びその他の投資の保有上場株式の時価変動等による増加等で、前連結会計年度末比7,439百万円増加の127,373百万円(前連結会計年度末 119,934百万円)となりました。
当連結会計年度末における流動負債は、借入金の非流動負債からの振替による増加の他、営業債務及びその他の債務、契約負債及びその他の流動負債の増加等により、前連結会計年度末比7,572百万円増加の73,259百万円(前連結会計年度末 65,687百万円)となりました。非流動負債は、借入金の流動負債への振替による減少等により、前連結会計年度末比4,234百万円減少の56,547百万円(前連結会計年度末 60,780百万円)となりました。
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の額は、前連結会計年度末比10,881百万円増加の89,956百万円(前連結会計年度末 79,076百万円)、親会社の所有者に帰属する持分比率は40.7%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、42,467百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益14,035百万円、減価償却費及び償却費27,974百万円(うちIFRS第16号の適用によるオペレーティング・リースに係る使用権資産の減価償却費11,668百万円)に対して、営業債権の増加、前払費用の増加、契約負債の増加及びその他の負債の増加等で営業資産及び負債の増減にて1,513百万円の収入となり、法人所得税の支払い3,912百万円等もあり、40,544百万円の収入(前連結会計年度 33,394百万円の収入)となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による6,391百万円の支出、持分法適用関連会社への出資4,754百万円、ソフトウェア等の無形資産の取得による4,617百万円の支出、有形固定資産の売却による収入2,499百万円等があり、13,216百万円の支出(前連結会計年度 7,265百万円の支出)となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、本社オフィス等のオペレーティング・リース及びネットワーク機器等のファイナンス・リースの支払等によるその他の金融負債の支払20,168百万円、借入金の返済2,190百万円、配当金の支払1,533百万円等があり、23,618百万円の支出(前連結会計年度 19,354百万円の支出)となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績は、以下のとおりであります。
(注)1.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
3.当社グループは、ネットワークサービス並びにATM運営事業において生産を行っておりませんので、これらに係る生産実績の記載事項はありません。なお、各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績及び受注残高は、以下のとおりであります。
(注)1.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
3.当社グループは、ネットワークサービス及びATM運営事業において受注生産を行っておりませんので、これらに係る受注実績及び受注残高の記載事項はありません。なお、各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(3) 販売実績
当連結会計年度における役務区分別の販売実績は、以下のとおりであります。
(注)1.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
3.各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第93条の規定により、国際会計基準(IFRS)に準拠して作成しております。
当社グループは、IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、会計上の見積り及び仮定を用いております。
これらの見積及び仮定は、過去の経験及び利用可能な情報を収集し、報告期間の末日現在において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。
しかし、その性質上、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
詳しくは、後記の連結財務諸表の注記をご参照ください。
(2) 当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)の経営成績の分析
①連結経営成績サマリー
<主要な連結経営指標>
(注)1.システムインテグレーションには機器販売を含んでおります。
2.販売費及び一般管理費(研究開発費を含む)、その他の収益、その他の費用の合計額を記載しております。
<セグメント情報>
②概要
当連結会計年度の当社グループの売上収益(売上高)は、法人向けインターネット接続サービス、アウトソーシングサービス及びシステム運用保守等の月額計上される法人ストック売上高が増収を牽引しましたが、前年度期中にあったWANサービスの大口特定顧客のモバイル移行による年度減収及びATM運営事業におけるコロナ禍等での減収影響があり、前年同期比4.2%増の213,002百万円となりました。
営業利益は、法人ストック売上高の想定以上の積み上げやモバイル接続料の2019年度実績に基づく単価の年次確定による原価低減等により前年同期比73.2%増の14,248百万円となり、税引前利益は前年同期比96.0%増の14,035百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年同期比142.4%増の9,712百万円となりました。
セグメント別では、当連結会計年度のネットワークサービス及びシステムインテグレーション(SI)事業の売上収益は、前年同期比4.8%増の210,278百万円となり、営業利益は前年同期比101.2%増の13,541百万円となりました。当連結会計年度のATM運営事業の売上収益は、前年同期比29.2%減の2,891百万円となり、営業利益は前年同期比49.8%減の826百万円となりました。
③経営成績の分析
当社グループの売上の大部分がネットワークサービス及びSI事業からのものであるため、役務別の分析により記載しております。
ⅰ)売上収益
当連結会計年度における売上収益は、前年同期比4.2%増の213,002百万円(前年同期 204,474百万円)となりました。
<ネットワークサービス売上高>法人向けインターネット接続サービスの売上高は、通信需要の増加に伴うIPサービス及びモバイル関連サービス売上高の増加等があり、前年同期比10.1%増の40,347百万円(前年同期 36,635百万円)となりました。
個人向けインターネット接続サービスの売上高は、競合の進展及び新型コロナウイルス感染症拡大に伴う販売店の営業低調等による個人向けモバイルサービス売上高の減少等により、前年同期比1.3%減の25,722百万円(前年同期 26,055百万円)となりました。
WANサービスの売上高は、前年度第3四半期までの大口特定顧客のモバイル移行による減収の年度影響等で、前年同期比7.1%減の25,048百万円(前年同期 26,972百万円)となりました。
アウトソーシングサービスの売上高は、セキュリティ関連サービス売上高の増加等があり、前年同期比10.4%増の35,710百万円(前年同期 32,337百万円)となりました。
これらの結果、ネットワークサービス売上高は、前年同期比4.0%増の126,827百万円(前年同期 121,999百万円)となりました。
ネットワークサービス売上高の内訳、法人向け及び個人向けインターネット接続サービス契約数及び回線数の内訳並びに法人向けインターネット接続サービスの契約総帯域は、それぞれ以下のとおりであります。
<ネットワークサービス売上高の内訳>
<インターネット接続サービス契約数及び回線数の内訳並びに法人向けインターネット接続サービスの契約総帯域(注)2>
(注)1.IPサービスには、データセンター接続サービスを含めております。
2.法人向けインターネット接続サービス及び個人向けインターネット接続サービスの内訳において、「IIJモバイルサービス(法人向け)」及び「IIJ提供分」は回線数を表示しており、それ以外は契約件数を表示しております。
3.法人向けインターネット接続サービスのうち、IPサービス、インターネットデータセンター接続サービス及びブロードバンド対応型サービス各々の契約数と契約帯域を乗じることにより算出しております。
<システムインテグレーション売上高>システム構築及び機器販売による一時的な売上高は、前年同期比0.7%減の31,767百万円(前年同期 31,976百万円)となりました。システム運用保守による継続的な売上高は、プライベートクラウドサービスの売上高増加等があり、前年同期比11.0%増の51,517百万円(前年同期 46,418百万円)となりました。これらの結果、システムインテグレーション(含む機器販売)の売上高は、前年同期比6.2%増の83,284百万円(前年同期 78,394百万円)となりました。
当連結会計年度のシステムインテグレーション(含む機器販売)の受注は、前年同期比8.6%増の90,314百万円(前年同期 83,143百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注は前年同期比3.0%増の32,590百万円(前年同期 31,643百万円)、システム運用保守に関する受注は前年同期比12.1%増の57,724百万円(前年同期 51,500百万円)でありました。
当連結会計年度末のシステムインテグレーション(含む機器販売)の受注残高は、前年同期末比12.6%増の62,894百万円(前年同期末 55,864百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注残高は前年同期末比11.0%増の8,330百万円(前年同期末 7,507百万円)、システム運用保守に関する受注残高は前年同期末比12.8%増の54,564百万円(前年同期末 48,357百万円)でありました。
ATM運営事業売上高は、新型コロナウイルス感染症によるATM設置店休店や外出自粛でのATM利用件数減少及びATM運用台数減少等により、前年同期比29.2%減の2,891百万円(前年同期 4,081百万円)となりました。
ⅱ)売上原価
当連結会計年度における売上原価は、前年同期比0.5%増の172,720百万円(前年同期 171,880百万円)となりました。
<ネットワークサービス売上原価>ネットワークサービスの売上原価は、モバイル接続料の2019年度実績に基づく単価低減の確定に伴う外注関連費用の減少(10.9億円)及びWANサービス売上高の減少等に伴う回線関連費用の減少等により、前年同期比2.4%減の99,656百万円(前年同期 102,092百万円)となりました。ネットワークサービスの売上総利益は、前年同期比36.5%増の27,171百万円(前年同期 19,907百万円)となり、ネットワークサービスの売上総利益率は21.4%(前年同期 16.3%)となりました。
<システムインテグレーション売上原価>システムインテグレーション(含む機器販売)の売上原価は、クラウド関連売上高等の増加に伴うライセンス費用の増加等があり、前年同期比5.3%増の71,197百万円(前年同期 67,584百万円)となりました。機器販売を含むシステムインテグレーションの売上総利益は、前年同期比11.8%増の12,087百万円(前年同期 10,810百万円)となり、売上総利益率は14.5%(前年同期 13.8%)となりました。
ATM運営事業売上原価は、前年同期比15.3%減の1,867百万円(前年同期 2,204百万円)となりました。売上総利益は、1,024百万円(前年同期 1,877百万円)となり、売上総利益率は35.4%(前年同期 46.0%)となりました。
ⅲ)販売管理費等
当連結会計年度における販売費及び一般管理費(含む研究開発費)は、人件関連費用の増加等がありましたが販売手数料及び旅費交通費の減少等があり、前年同期比5.9%増の25,491百万円(前年同期 24,076百万円)となりました。
その他の収益は149百万円(前年同期 223百万円)となりました。その他の費用は主として固定資産除却損により692百万円(前年同期 516百万円)となりました。
ⅳ)営業利益
当連結会計年度における営業利益は、前年同期比73.2%増の14,248百万円(前年同期 8,225百万円)となりました。
ⅴ)金融収益、金融費用及び持分法による投資損益
当連結会計年度における金融収益は、金融資産評価益479百万円(前年同期 128百万円)、為替差益138百万円、受取配当金98百万円(前年同期 95百万円)等により、776百万円(前年同期 350百万円)となりました。
当連結会計年度における金融費用は、支払利息580百万円(前年同期 583百万円)等により、581百万円(前年同期 610百万円)となりました。
当連結会計年度における持分法による投資損益は、㈱ディーカレットの持分法投資損失629百万円(増資による持分変動利益349百万円含む)等があり、408百万円の損失(前年同期 806百万円の損失)となりました。
ⅵ)税引前利益
当連結会計年度における税引前利益は、前年同期比96.0%増の14,035百万円(前年同期 7,159百万円)となりました。
ⅶ)当期利益
当連結会計年度における法人所得税費用は、雇用促進税制による減税306百万円(前年同期 237百万円)、法人税等調整額による384百万円の収益(前年同期 70百万円の収益)等もあり、4,234百万円の費用(前年同期 2,965百万円の費用)となりました。この結果、当連結会計年度における当期利益は、前年同期比133.7%増の9,801百万円(前年同期 4,194百万円)となりました。
非支配持分に帰属する当期利益は、㈱トラストネットワークスに係る利益等により89百万円(前年同期 187百万円)となりました。この結果、当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期比142.4%増の9,712百万円(前年同期 4,007百万円)となりました。
(3) 当連結会計年度末(2021年3月31日現在)の財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比14,253百万円増加し、220,777百万円(前連結会計年度末 206,524百万円)となりました。
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末比6,814百万円増加の93,405百万円(前連結会計年度末 86,590百万円)となり、主な残高及び増減の内訳は、現金及び現金同等物3,795百万円増加の42,467百万円、営業債権2,214百万円増加の34,799百万円及び 前払費用902百万円増加の10,598百万円でありました。
当連結会計年度末における非流動資産は、前連結会計年度末比7,439百万円増加の127,373百万円(前連結会計年度末 119,934百万円)となりました。主な残高及び増減の内訳は、有形固定資産の主として減価償却による315百万円の減少で17,084百万円、使用権資産(オフィス、データセンター等の賃借契約及び通信機器等のリース契約の利用権)の新規リース契約による147百万円の増加で50,708百万円、無形資産の主として減価償却による1,326百万円の減少で16,954百万円、持分法で会計処理されている投資は㈱ディーカレットへの出資等による4,200百万円増加の9,027百万円、長期前払費用は保守等の前払増加による1,759百万円の増加で9,537百万円、その他の投資は保有上場株式の時価変動等にて3,726百万円増加で12,912百万円でありました。
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末比7,572百万円増加の73,259百万円(前連結会計年度末 65,687百万円)となりました。主な残高及び増減の内訳は、営業債務及びその他の債務956百万円増加の19,244百万円、借入金2,980百万円の増加(うち返済による減少2,190百万円及び非流動負債からの振替5,170百万円)の18,560百万円、契約負債1,204百万円増加の7,102百万円、その他の金融負債34百万円増加の17,879百万円、その他の流動負債1,678百万円増加の7,382百万円でありました。
当連結会計年度末における非流動負債は、前連結会計年度末比4,234百万円減少の56,547百万円(前連結会計年度末 60,780百万円)となり、主な残高及び増減の内訳は、 借入金は5,170百万円の流動負債への振替にて7,000百万円、契約負債は1,253百万円増加の7,244百万円、その他の金融負債は流動負債への振替等にて658百万円減少の35,648百万円でありました。
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の額は、前連結会計年度末比10,881百万円増加の89,956百万円(前連結会計年度末 79,076百万円)、親会社の所有者に帰属する持分比率は40.7%となりました。
(4) 当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)の流動性及び資金の源泉の分析
①概要
当社グループの資金需要のうち主なものは、ネットワークの構築と拡張、社内システムへの投資、クラウドコンピューティングサービス推進に伴う投資、データセンター等の施設設備に対する賃借料及び投資(土地取得含む)、ネットワークサービス原価及びシステムインテグレーション仕入等に伴う増加運転資金、当社グループ会社等に対する投融資、国際事業推進に伴う投資、販売活動及び運転資金等であります。こうした必要資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フロー、銀行からの借入金並びにファイナンス・リース契約等で調達されております。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、42,467百万円(前年同期末 38,672百万円)となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益14,035百万円、減価償却費及び償却費27,974百万円(うちIFRS第16号の適用によるオペレーティング・リースに係る使用権資産の減価償却費11,668百万円)に対して、営業債務及びその他債務の支払が前年同期比で支出減となったのに加え、営業債権、その他の金融資産(未収入金)及び契約負債(前受収益)の増減にて前年同期比で収入増となり、前払費用及び契約資産の増加による支出増を上回ったため、営業資産及び負債の増減にて1,513百万円の収入(前年同期 909百万円の支出)となり、また、法人所得税の支払い3,912百万円等もあり、40,544百万円の収入(前年同期 33,394百万円の収入)となりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による6,391百万円の支出(前年同期 7,197百万円の支出)、持分法適用関連会社への出資4,754百万円(前年同期 868百万円の支出)、ソフトウェア等の無形資産の取得による4,617百万円の支出(前年同期 4,642百万円の支出)、主としてセールアンドリースバック取引で有形固定資産の売却による収入2,499百万円(前年同期 2,771百万円の収入)等があり、13,216百万円の支出(前年同期 7,265百万円の支出)となりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、本社オフィス等のオペレーティング・リース及びネットワーク機器等のファイナンス・リースの支払等によるその他の金融負債の支払20,168百万円(前年同期 20,556百万円の支払)、長期借入金の返済1,830百万円、配当金の支払1,533百万円(前年同期 1,217百万円)、短期借入金の返済360百万円等があり、23,618百万円の支出(前年同期 19,354百万円の支出)となりました。
③借入金
当社グループの主要取引銀行は、㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行、㈱三井住友銀行及び三井住友信託銀行㈱であります。
当社グループの当連結会計年度末現在における短期借入金の残高は13,390百万円でありました。当社グループは、主要取引銀行を含む邦銀各行との間にて当座借越契約を締結しており、当連結会計年度末現在において、その未使用残高合計は12,460百万円でありました。また、当社グループの当連結会計年度末現在における長期借入金残高は12,170百万円でありました。
④ファイナンス・リース
当社グループは、ファイナンス・リース契約により調達したデータ通信及びその他の設備を利用してインターネット接続サービス及びその他のインターネット関連サービスを行っております。当連結会計年度末現在のファイナンス・リース負債の残高は18,229百万円であります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)の連結業績の概要
当連結会計年度におけるわが国の景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にありましたが、下期には持ち直しの動きがみられました。先行きにつきましては、社会経済活動レベルの順次引き上げのもと、各種政策の効果や海外経済の改善もあり、持ち直しの継続が期待されますが、感染症拡大による社会経済活動への影響が内外経済を下振れさせるリスクに注意し、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。
そのような景気動向のなか、当社グループが主に係わる法人ICT関連市場では、企業及び官公庁のITサービスの利用拡大を背景としたインターネットトラフィックの継続増加、インターネット上の脅威に対抗するセキュリティ関連サービスの重要性の高まり、クラウドコンピューティング関連サービスの順次普及、それらのサービスを総合的に利用するIoT実用化の進展等により、今後も信頼性の高いネットワーク及びシステムへの需要増加が継続していくものと想定しております。
このような市場環境のなか、当連結会計年度におきまして、当社グループのネットワークサービス分野では、IP接続サービス(*)において、主として既存顧客の契約帯域増加により、期初から売上の高伸長が継続いたしました。モバイル関連サービスにおいては、法人向けモバイルサービスにて、フルMVNO機能の発揮により設備監視やマーケティング用途のカメラ接続案件等が活況で、工場生産ラインでの各種デバイス接続等の高度なIoT利用も案件化いたしました。個人向けモバイルサービスでは、競争環境が強まるなか、MVNO顧客層の需要に合致すべく新サービス「ギガプラン(*)」の提供開始を発表いたしました。データ接続料(定額通信料(*))及び音声仕入料金の低減が想定されるなか、個人顧客の獲得強化も推進し、法人・個人全体でのモバイルトラフィックのネットワーク収容効率を高めることで、利益の当面維持と将来増加を展望しております。アウトソーシングサービスにおいては、セキュリティ関連サービス売上高の高増収が継続しました。機能強化とラインナップ拡充で、ネットワーク増強に付帯するセキュリティ需要の更なる高まりに対応してまいります。テレワーク(*)インフラ需要に合致した「IIJフレックスモビリティサービス (*)」や「クラウドエクスチェンジサービス(*)」等のサービス群も売上が急増いたしました。システムインテグレーションでは、公共及び一般事業者の各々でネットワーク構築案件が活況に推移いたしました。システム運用保守に一部含まれるクラウドコンピューティング関連サービスでは、プライベートクラウド(*)及びマルチクラウド(*)関連ソリューションの複合提供で、多様化する企業のクラウド化需要に対応し、売上が継続伸長いたしました。設備面では、白井データセンターの設備拡張を進め、需要の増加に伴い必要となるサーバラックスペースの確保に順次備えております。国際事業では、ASEANビジネスの中核となるシンガポール事業の強化を狙い、現地有力システムインテグレーターであるPTC SYSTEM (S) PTE LTDを、2021年4月に買収し完全子会社といたしました。新規事業分野では、持分法適用関連会社㈱ディーカレットにて、将来のデジタル通貨流通のシステム基盤となることを目指し、有力企業群とのデジタル通貨フォーラム(*)、実証実験等を推進いたしました。民放各局との合弁による持分法適用関連会社JOCDN㈱は、配信サービス需要が高まるなか、CDNサービスの売上増加で黒字化し、事業基盤を確立いたしました。ヘルスケア事業では、クラウド型医療情報共有プラットフォーム「IIJ電子@連絡帳サービス(*)」の利用が7県70自治体へと普及いたしました。ワクチン接種記録等の新機能も付加し、専門職と行政の情報連携強化や業務効率化支援を推進しております。今後の事業成長に必要な人員強化につきましては、継続した新卒採用及び育成を軸としており、当期の新卒採用210名に中途採用を加え、連結従業員数は3,805名(前年同期末比 222名増)となりました。
当連結会計年度の業績につきまして、総売上高は、法人向けインターネット接続サービス、アウトソーシングサービス及びシステム運用保守等の月額計上される法人ストック売上高が増収を牽引し、213,002百万円となりました。法人ストック売上高は大幅増加したものの、前年度期中にあったWANサービスの大口特定顧客のモバイル移行による年度減収及びATM運営事業におけるコロナ禍等での減収影響があり、総売上高の増収率は低水準でありました。売上原価は前年同期比0.5%増の172,720百万円(前年同期 171,880百万円)となり、売上総利益は前年同期比23.6%増の40,282百万円(前年同期 32,594百万円)となりました。販売管理費等(販売費及び一般管理費、その他の収益及びその他の費用の合計)は前年同期比6.8%増の26,034百万円(前年同期 24,369百万円)となり、当連結会計年度における営業利益は前年同期比73.2%増の14,248百万円(前年同期 8,225百万円)となりました。税引前利益は前年同期比96.0%増の14,035百万円(前年同期 7,159百万円)となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年同期比142.4%増の9,712百万円(前年同期 4,007百万円)となりました。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比14,253百万円増加し、220,777百万円(前連結会計年度末 206,524百万円)となりました。
連結会計年度末における流動資産は、現金及び現金同等物、営業債権及び前払費用の増加等により、前連結会計年度末比6,814百万円増加の93,405百万円(前連結会計年度末 86,590百万円)となりました。非流動資産は、持分法で会計処理されている投資は㈱ディーカレットへの出資等による増加、長期前払費用は保守等の前払増加及びその他の投資の保有上場株式の時価変動等による増加等で、前連結会計年度末比7,439百万円増加の127,373百万円(前連結会計年度末 119,934百万円)となりました。
当連結会計年度末における流動負債は、借入金の非流動負債からの振替による増加の他、営業債務及びその他の債務、契約負債及びその他の流動負債の増加等により、前連結会計年度末比7,572百万円増加の73,259百万円(前連結会計年度末 65,687百万円)となりました。非流動負債は、借入金の流動負債への振替による減少等により、前連結会計年度末比4,234百万円減少の56,547百万円(前連結会計年度末 60,780百万円)となりました。
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の額は、前連結会計年度末比10,881百万円増加の89,956百万円(前連結会計年度末 79,076百万円)、親会社の所有者に帰属する持分比率は40.7%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、42,467百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益14,035百万円、減価償却費及び償却費27,974百万円(うちIFRS第16号の適用によるオペレーティング・リースに係る使用権資産の減価償却費11,668百万円)に対して、営業債権の増加、前払費用の増加、契約負債の増加及びその他の負債の増加等で営業資産及び負債の増減にて1,513百万円の収入となり、法人所得税の支払い3,912百万円等もあり、40,544百万円の収入(前連結会計年度 33,394百万円の収入)となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による6,391百万円の支出、持分法適用関連会社への出資4,754百万円、ソフトウェア等の無形資産の取得による4,617百万円の支出、有形固定資産の売却による収入2,499百万円等があり、13,216百万円の支出(前連結会計年度 7,265百万円の支出)となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、本社オフィス等のオペレーティング・リース及びネットワーク機器等のファイナンス・リースの支払等によるその他の金融負債の支払20,168百万円、借入金の返済2,190百万円、配当金の支払1,533百万円等があり、23,618百万円の支出(前連結会計年度 19,354百万円の支出)となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績は、以下のとおりであります。
役務区分 | 当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |
生産高(千円) | 前年同期比(%) | |
システムインテグレーション(含む機器販売) | 71,130,750 | 6.7 |
合計 | 71,130,750 | 6.7 |
(注)1.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
3.当社グループは、ネットワークサービス並びにATM運営事業において生産を行っておりませんので、これらに係る生産実績の記載事項はありません。なお、各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績及び受注残高は、以下のとおりであります。
役務区分 | 当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |||
受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) | |
システムインテグレーション (構築及び機器販売) | 32,590,360 | 3.0 | 8,329,873 | 11.0 |
システムインテグレーション(運用保守) | 57,723,713 | 12.1 | 54,563,955 | 12.8 |
合計 | 90,314,073 | 8.6 | 62,893,828 | 12.6 |
(注)1.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
3.当社グループは、ネットワークサービス及びATM運営事業において受注生産を行っておりませんので、これらに係る受注実績及び受注残高の記載事項はありません。なお、各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(3) 販売実績
当連結会計年度における役務区分別の販売実績は、以下のとおりであります。
役務区分 | 当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
販売高(千円) | 前年同期比(%) | ||
ネットワークサービス売上高合計 | 126,826,927 | 4.0 | |
うち、法人向けインターネット接続サービス | 40,346,808 | 10.1 | |
うち、個人向けインターネット接続サービス | 25,722,376 | △1.3 | |
うち、WANサービス | 25,048,098 | △7.1 | |
うち、アウトソーシングサービス | 35,709,645 | 10.4 | |
システムインテグレーション売上高合計 | 83,283,912 | 6.2 | |
うち、構築及び機器販売 | 31,767,278 | △0.7 | |
うち、運用保守 | 51,516,634 | 11.0 | |
ATM運営事業売上高 | 2,891,041 | △29.2 | |
合計 | 213,001,880 | 4.2 |
(注)1.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。
3.各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第93条の規定により、国際会計基準(IFRS)に準拠して作成しております。
当社グループは、IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、会計上の見積り及び仮定を用いております。
これらの見積及び仮定は、過去の経験及び利用可能な情報を収集し、報告期間の末日現在において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。
しかし、その性質上、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
詳しくは、後記の連結財務諸表の注記をご参照ください。
(2) 当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)の経営成績の分析
①連結経営成績サマリー
<主要な連結経営指標>
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 増減率 | ||
金額(百万円) | 金額(百万円) | (%) | ||
売上収益合計 | 204,474 | 213,002 | 4.2 | |
ネットワークサービス売上高 | 121,999 | 126,827 | 4.0 | |
システムインテグレーション売上高(注1) | 78,394 | 83,284 | 6.2 | |
ATM運営事業売上高 | 4,081 | 2,891 | △29.2 | |
売上原価合計 | △171,880 | △ 172,720 | 0.5 | |
ネットワークサービス売上原価 | △102,092 | △ 99,656 | △2.4 | |
システムインテグレーション売上原価(注1) | △67,584 | △ 71,197 | 5.3 | |
ATM運営事業売上原価 | △2,204 | △ 1,867 | △15.3 | |
売上総利益合計 | 32,594 | 40,282 | 23.6 | |
ネットワークサービス売上総利益 | 19,907 | 27,171 | 36.5 | |
システムインテグレーション売上総利益(注1) | 10,810 | 12,087 | 11.8 | |
ATM運営事業売上総利益 | 1,877 | 1,024 | △45.4 | |
販売管理費等(注2) | △24,369 | △ 26,034 | 6.8 | |
営業利益 | 8,225 | 14,248 | 73.2 | |
税引前利益 | 7,159 | 14,035 | 96.0 | |
親会社の所有者に帰属する当期利益 | 4,007 | 9,712 | 142.4 |
(注)1.システムインテグレーションには機器販売を含んでおります。
2.販売費及び一般管理費(研究開発費を含む)、その他の収益、その他の費用の合計額を記載しております。
<セグメント情報>
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
金額(百万円) | 金額(百万円) | ||
売上収益合計 | 204,474 | 213,002 | |
ネットワークサービス及びSI事業 | 200,679 | 210,278 | |
ATM運営事業 | 4,081 | 2,891 | |
セグメント間取引消去 | △286 | △ 167 | |
営業利益合計 | 8,225 | 14,248 | |
ネットワークサービス及びSI事業 | 6,729 | 13,541 | |
ATM運営事業 | 1,645 | 826 | |
セグメント間取引消去 | △149 | △ 119 |
②概要
当連結会計年度の当社グループの売上収益(売上高)は、法人向けインターネット接続サービス、アウトソーシングサービス及びシステム運用保守等の月額計上される法人ストック売上高が増収を牽引しましたが、前年度期中にあったWANサービスの大口特定顧客のモバイル移行による年度減収及びATM運営事業におけるコロナ禍等での減収影響があり、前年同期比4.2%増の213,002百万円となりました。
営業利益は、法人ストック売上高の想定以上の積み上げやモバイル接続料の2019年度実績に基づく単価の年次確定による原価低減等により前年同期比73.2%増の14,248百万円となり、税引前利益は前年同期比96.0%増の14,035百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年同期比142.4%増の9,712百万円となりました。
セグメント別では、当連結会計年度のネットワークサービス及びシステムインテグレーション(SI)事業の売上収益は、前年同期比4.8%増の210,278百万円となり、営業利益は前年同期比101.2%増の13,541百万円となりました。当連結会計年度のATM運営事業の売上収益は、前年同期比29.2%減の2,891百万円となり、営業利益は前年同期比49.8%減の826百万円となりました。
③経営成績の分析
当社グループの売上の大部分がネットワークサービス及びSI事業からのものであるため、役務別の分析により記載しております。
ⅰ)売上収益
当連結会計年度における売上収益は、前年同期比4.2%増の213,002百万円(前年同期 204,474百万円)となりました。
<ネットワークサービス売上高>法人向けインターネット接続サービスの売上高は、通信需要の増加に伴うIPサービス及びモバイル関連サービス売上高の増加等があり、前年同期比10.1%増の40,347百万円(前年同期 36,635百万円)となりました。
個人向けインターネット接続サービスの売上高は、競合の進展及び新型コロナウイルス感染症拡大に伴う販売店の営業低調等による個人向けモバイルサービス売上高の減少等により、前年同期比1.3%減の25,722百万円(前年同期 26,055百万円)となりました。
WANサービスの売上高は、前年度第3四半期までの大口特定顧客のモバイル移行による減収の年度影響等で、前年同期比7.1%減の25,048百万円(前年同期 26,972百万円)となりました。
アウトソーシングサービスの売上高は、セキュリティ関連サービス売上高の増加等があり、前年同期比10.4%増の35,710百万円(前年同期 32,337百万円)となりました。
これらの結果、ネットワークサービス売上高は、前年同期比4.0%増の126,827百万円(前年同期 121,999百万円)となりました。
ネットワークサービス売上高の内訳、法人向け及び個人向けインターネット接続サービス契約数及び回線数の内訳並びに法人向けインターネット接続サービスの契約総帯域は、それぞれ以下のとおりであります。
<ネットワークサービス売上高の内訳>
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 増減率 | ||||
金額(百万円) | 金額(百万円) | (%) | ||||
ネットワークサービス売上高合計 | 121,999 | 126,827 | 4.0 | |||
法人向けインターネット接続サービス | 36,635 | 40,347 | 10.1 | |||
IPサービス(注)1 | 10,701 | 12,171 | 13.7 | |||
IIJモバイルサービス(法人向け) | 22,598 | 24,525 | 8.5 | |||
法人IoT等用途向け直接提供 | 6,024 | 7,807 | 29.6 | |||
MVNOプラットフォームサービス | 16,574 | 16,718 | 0.9 | |||
その他 | 3,336 | 3,651 | 9.4 | |||
個人向けインターネット接続サービス | 26,055 | 25,722 | △ 1.3 | |||
IIJmioモバイルサービス | 23,487 | 22,997 | △ 2.1 | |||
その他 | 2,568 | 2,725 | 6.1 | |||
WANサービス | 26,972 | 25,048 | △ 7.1 | |||
アウトソーシングサービス | 32,337 | 35,710 | 10.4 |
<インターネット接続サービス契約数及び回線数の内訳並びに法人向けインターネット接続サービスの契約総帯域(注)2>
前連結会計年度末 (2020年3月31日現在) | 当連結会計年度末 (2021年3月31日現在) | 増減数 | |||
契約数(件) | 契約数(件) | (件) | |||
法人向けインターネット接続サービス契約数合計 | 2,038,687 | 2,303,717 | 265,030 | ||
IPサービス(1Gbps以上)(注)1 | 769 | 791 | 22 | ||
IPサービス(1Gbps未満)(注)1 | 1,245 | 1,200 | △ 45 | ||
IIJモバイルサービス(法人向け) | 1,949,927 | 2,209,836 | 259,909 | ||
法人IoT等用途向け直接提供 | 842,811 | 1,110,415 | 267,604 | ||
MVNOプラットフォームサービス | 1,107,116 | 1,099,421 | △ 7,695 | ||
その他 | 86,746 | 91,890 | 5,144 | ||
個人向けインターネット接続サービス回線数合計 | 1,410,006 | 1,379,277 | △ 30,729 | ||
IIJmioモバイルサービス | 1,075,083 | 1,034,148 | △ 40,935 | ||
その他 | 334,923 | 345,129 | 10,206 | ||
帯域(Gbps) | 帯域(Gbps) | 増減 | |||
法人向けインターネット接続サービス契約総帯域(注)3 | 5,115.9 | 6,624.1 | 1,508.2 |
(注)1.IPサービスには、データセンター接続サービスを含めております。
2.法人向けインターネット接続サービス及び個人向けインターネット接続サービスの内訳において、「IIJモバイルサービス(法人向け)」及び「IIJ提供分」は回線数を表示しており、それ以外は契約件数を表示しております。
3.法人向けインターネット接続サービスのうち、IPサービス、インターネットデータセンター接続サービス及びブロードバンド対応型サービス各々の契約数と契約帯域を乗じることにより算出しております。
<システムインテグレーション売上高>システム構築及び機器販売による一時的な売上高は、前年同期比0.7%減の31,767百万円(前年同期 31,976百万円)となりました。システム運用保守による継続的な売上高は、プライベートクラウドサービスの売上高増加等があり、前年同期比11.0%増の51,517百万円(前年同期 46,418百万円)となりました。これらの結果、システムインテグレーション(含む機器販売)の売上高は、前年同期比6.2%増の83,284百万円(前年同期 78,394百万円)となりました。
当連結会計年度のシステムインテグレーション(含む機器販売)の受注は、前年同期比8.6%増の90,314百万円(前年同期 83,143百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注は前年同期比3.0%増の32,590百万円(前年同期 31,643百万円)、システム運用保守に関する受注は前年同期比12.1%増の57,724百万円(前年同期 51,500百万円)でありました。
当連結会計年度末のシステムインテグレーション(含む機器販売)の受注残高は、前年同期末比12.6%増の62,894百万円(前年同期末 55,864百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注残高は前年同期末比11.0%増の8,330百万円(前年同期末 7,507百万円)、システム運用保守に関する受注残高は前年同期末比12.8%増の54,564百万円(前年同期末 48,357百万円)でありました。
ⅱ)売上原価
当連結会計年度における売上原価は、前年同期比0.5%増の172,720百万円(前年同期 171,880百万円)となりました。
<ネットワークサービス売上原価>ネットワークサービスの売上原価は、モバイル接続料の2019年度実績に基づく単価低減の確定に伴う外注関連費用の減少(10.9億円)及びWANサービス売上高の減少等に伴う回線関連費用の減少等により、前年同期比2.4%減の99,656百万円(前年同期 102,092百万円)となりました。ネットワークサービスの売上総利益は、前年同期比36.5%増の27,171百万円(前年同期 19,907百万円)となり、ネットワークサービスの売上総利益率は21.4%(前年同期 16.3%)となりました。
<システムインテグレーション売上原価>システムインテグレーション(含む機器販売)の売上原価は、クラウド関連売上高等の増加に伴うライセンス費用の増加等があり、前年同期比5.3%増の71,197百万円(前年同期 67,584百万円)となりました。機器販売を含むシステムインテグレーションの売上総利益は、前年同期比11.8%増の12,087百万円(前年同期 10,810百万円)となり、売上総利益率は14.5%(前年同期 13.8%)となりました。
ⅲ)販売管理費等
当連結会計年度における販売費及び一般管理費(含む研究開発費)は、人件関連費用の増加等がありましたが販売手数料及び旅費交通費の減少等があり、前年同期比5.9%増の25,491百万円(前年同期 24,076百万円)となりました。
その他の収益は149百万円(前年同期 223百万円)となりました。その他の費用は主として固定資産除却損により692百万円(前年同期 516百万円)となりました。
ⅳ)営業利益
当連結会計年度における営業利益は、前年同期比73.2%増の14,248百万円(前年同期 8,225百万円)となりました。
ⅴ)金融収益、金融費用及び持分法による投資損益
当連結会計年度における金融収益は、金融資産評価益479百万円(前年同期 128百万円)、為替差益138百万円、受取配当金98百万円(前年同期 95百万円)等により、776百万円(前年同期 350百万円)となりました。
当連結会計年度における金融費用は、支払利息580百万円(前年同期 583百万円)等により、581百万円(前年同期 610百万円)となりました。
当連結会計年度における持分法による投資損益は、㈱ディーカレットの持分法投資損失629百万円(増資による持分変動利益349百万円含む)等があり、408百万円の損失(前年同期 806百万円の損失)となりました。
ⅵ)税引前利益
当連結会計年度における税引前利益は、前年同期比96.0%増の14,035百万円(前年同期 7,159百万円)となりました。
ⅶ)当期利益
当連結会計年度における法人所得税費用は、雇用促進税制による減税306百万円(前年同期 237百万円)、法人税等調整額による384百万円の収益(前年同期 70百万円の収益)等もあり、4,234百万円の費用(前年同期 2,965百万円の費用)となりました。この結果、当連結会計年度における当期利益は、前年同期比133.7%増の9,801百万円(前年同期 4,194百万円)となりました。
非支配持分に帰属する当期利益は、㈱トラストネットワークスに係る利益等により89百万円(前年同期 187百万円)となりました。この結果、当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期比142.4%増の9,712百万円(前年同期 4,007百万円)となりました。
(3) 当連結会計年度末(2021年3月31日現在)の財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比14,253百万円増加し、220,777百万円(前連結会計年度末 206,524百万円)となりました。
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末比6,814百万円増加の93,405百万円(前連結会計年度末 86,590百万円)となり、主な残高及び増減の内訳は、現金及び現金同等物3,795百万円増加の42,467百万円、営業債権2,214百万円増加の34,799百万円及び 前払費用902百万円増加の10,598百万円でありました。
当連結会計年度末における非流動資産は、前連結会計年度末比7,439百万円増加の127,373百万円(前連結会計年度末 119,934百万円)となりました。主な残高及び増減の内訳は、有形固定資産の主として減価償却による315百万円の減少で17,084百万円、使用権資産(オフィス、データセンター等の賃借契約及び通信機器等のリース契約の利用権)の新規リース契約による147百万円の増加で50,708百万円、無形資産の主として減価償却による1,326百万円の減少で16,954百万円、持分法で会計処理されている投資は㈱ディーカレットへの出資等による4,200百万円増加の9,027百万円、長期前払費用は保守等の前払増加による1,759百万円の増加で9,537百万円、その他の投資は保有上場株式の時価変動等にて3,726百万円増加で12,912百万円でありました。
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末比7,572百万円増加の73,259百万円(前連結会計年度末 65,687百万円)となりました。主な残高及び増減の内訳は、営業債務及びその他の債務956百万円増加の19,244百万円、借入金2,980百万円の増加(うち返済による減少2,190百万円及び非流動負債からの振替5,170百万円)の18,560百万円、契約負債1,204百万円増加の7,102百万円、その他の金融負債34百万円増加の17,879百万円、その他の流動負債1,678百万円増加の7,382百万円でありました。
当連結会計年度末における非流動負債は、前連結会計年度末比4,234百万円減少の56,547百万円(前連結会計年度末 60,780百万円)となり、主な残高及び増減の内訳は、 借入金は5,170百万円の流動負債への振替にて7,000百万円、契約負債は1,253百万円増加の7,244百万円、その他の金融負債は流動負債への振替等にて658百万円減少の35,648百万円でありました。
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の額は、前連結会計年度末比10,881百万円増加の89,956百万円(前連結会計年度末 79,076百万円)、親会社の所有者に帰属する持分比率は40.7%となりました。
(4) 当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)の流動性及び資金の源泉の分析
①概要
当社グループの資金需要のうち主なものは、ネットワークの構築と拡張、社内システムへの投資、クラウドコンピューティングサービス推進に伴う投資、データセンター等の施設設備に対する賃借料及び投資(土地取得含む)、ネットワークサービス原価及びシステムインテグレーション仕入等に伴う増加運転資金、当社グループ会社等に対する投融資、国際事業推進に伴う投資、販売活動及び運転資金等であります。こうした必要資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フロー、銀行からの借入金並びにファイナンス・リース契約等で調達されております。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、42,467百万円(前年同期末 38,672百万円)となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益14,035百万円、減価償却費及び償却費27,974百万円(うちIFRS第16号の適用によるオペレーティング・リースに係る使用権資産の減価償却費11,668百万円)に対して、営業債務及びその他債務の支払が前年同期比で支出減となったのに加え、営業債権、その他の金融資産(未収入金)及び契約負債(前受収益)の増減にて前年同期比で収入増となり、前払費用及び契約資産の増加による支出増を上回ったため、営業資産及び負債の増減にて1,513百万円の収入(前年同期 909百万円の支出)となり、また、法人所得税の支払い3,912百万円等もあり、40,544百万円の収入(前年同期 33,394百万円の収入)となりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による6,391百万円の支出(前年同期 7,197百万円の支出)、持分法適用関連会社への出資4,754百万円(前年同期 868百万円の支出)、ソフトウェア等の無形資産の取得による4,617百万円の支出(前年同期 4,642百万円の支出)、主としてセールアンドリースバック取引で有形固定資産の売却による収入2,499百万円(前年同期 2,771百万円の収入)等があり、13,216百万円の支出(前年同期 7,265百万円の支出)となりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、本社オフィス等のオペレーティング・リース及びネットワーク機器等のファイナンス・リースの支払等によるその他の金融負債の支払20,168百万円(前年同期 20,556百万円の支払)、長期借入金の返済1,830百万円、配当金の支払1,533百万円(前年同期 1,217百万円)、短期借入金の返済360百万円等があり、23,618百万円の支出(前年同期 19,354百万円の支出)となりました。
③借入金
当社グループの主要取引銀行は、㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行、㈱三井住友銀行及び三井住友信託銀行㈱であります。
当社グループの当連結会計年度末現在における短期借入金の残高は13,390百万円でありました。当社グループは、主要取引銀行を含む邦銀各行との間にて当座借越契約を締結しており、当連結会計年度末現在において、その未使用残高合計は12,460百万円でありました。また、当社グループの当連結会計年度末現在における長期借入金残高は12,170百万円でありました。
④ファイナンス・リース
当社グループは、ファイナンス・リース契約により調達したデータ通信及びその他の設備を利用してインターネット接続サービス及びその他のインターネット関連サービスを行っております。当連結会計年度末現在のファイナンス・リース負債の残高は18,229百万円であります。