有価証券報告書-第36期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/30 10:51
【資料】
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【項目】
136項目
本項における将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
経営成績等の状況の概要
(1)経営成績
当社グループの当連結会計年度の売上高は、7,381,520千円(前期比4.8%増)、営業利益は、464,714千円(同6.7%増)、経常利益は、476,169千円(同1.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、315,015千円(同24.4%増)となりました。
当連結会計年度の経済環境は、不安定な世界情勢、インフレーション及び急速な円安進行など、依然として先行き不透明な状況となっております。このような状況ではあるものの、企業の競争力強化に向けたビジネス変革(DX:デジタルトランスフォーメーション)への取り組みは旺盛であり、この為のIT投資も堅調に増加しております。また企業のセキュリティインシデントの増加に伴い、セキュリティリスク対策の予算も増加傾向にあります。こうした市場環境のもと、当社グループでは、第1次中期経営計画の最終年度にあたる本年、次の2点を推進することで計画の達成を図りました。
1.「既存の国内外企業からのアウトソーシング事業の拡大強化」
2.「将来の成長に向けた自社ソリューション開発への投資」
具体的には、以下のニュースリリースを実施致しました。
1 「既存の国内外企業からのアウトソーシング事業の拡大強化」の事例として、
・2022年5月12日にクラウド関連事業の強化を目的にマイクロソフト「Goldコンピテンシー」を取得
・2022年5月13日に日商エレクトロニクス社と金融機関向けモダナイゼーションサービスの提供開始
・2022年5月19日に中小企業基盤整備機構の経営相談チャットサービス「E-SODAN」の運用・保守業務を2年連続で受託
・2022年5月30日に中小企業基盤整備機構の起業相談チャットボット「起業ライダーマモル」の運用・保守を2年連続で受託
・2022年6月1日にネットワールド社とOEM契約によりMicrosoft Azureの運用負荷を軽減するクラウド運用監視サービス「みまもりプラス for Azure」の提供開始
・2022年7月21日にプルーフポイント社「PSAT Specialization Program」認定を取得、「PSAT」サービスページを公開
・2022年12月20日に中小企業基盤整備機構の経営相談チャットサービス「E-SODAN」のLINEでのサービス提供をThird AIで支援
・2023年1月16日に日本初のAWS連携プログラム「ProServe Ready」への参加認定を取得
2 「将来の成長に向けた自社ソリューション開発への投資」の事例として、
・2022年4月20日にアプリケーションのコンテナ化をワンストップでサポートするモダナイゼーションサービスの提供開始
・2022年5月11日にDX時代のIT技術動向に対応した学習コンテンツ「テクノロジー活用コアスキルe-Learning」の提供開始
・2022年7月26日に一般社団法人 Metaverse Japan に加入致しました。
・2022年8月23日にデジタルビジネスの加速を支援する「アプリケーション監視・運用サービス」を提供開始
・2022年9月28日にクラウドサービス対応の「脆弱性診断サービス」提供開始
・2022年12月1日にOMO(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインとの併合)を支援するThird AI Retail Solutionを提供開始
・2022年12月8日にITエンジニア不足の日本企業と海外のエンジニアをつなぐグローバルIT人財マッチングサービス「Reinforce HR」の提供開始
・2022年12月22日にクラウドサービス対応の「Webアプリケーション脆弱性診断サービス」を提供開始
・2023年3月15日に最先端AIモデルを活用した Azure OpenAI Service の導入を発表
・2023年3月29日にクラウドセキュリティ対策を最適化する「マルチクラウド対応セキュリティ運用サービス」を提供開始
・2023年4月3日にIT技術に特化した体系的な学習プラットフォーム「Learning Booster」を提供開始
各セグメントの状況は、以下の通りです。
なお、当連結会計年度より、当社の組織体制の変更に伴い、従来「デジタルイノベーション事業」に含めておりましたRPA部門を「ICTソリューション事業」に含めることといたしました。以下の前期比較については、前期の数値を変更後の区分により組替えた数値で比較しております。
①教育ソリューション事業
当事業は、海外メーカーやサービスベンダーが日本市場へ参入した際に、必要となるエンドユーザー向けの技術トレーニング事業を請負うほか、当社独自のICTの最先端技術トレーニングの提供と、スキルの棚卸しから不足するスキルを補う教育までのサイクルを総合的にコンサルティングする人財コンサルティングサービスを提供しております。新型コロナウィルスの影響により集合研修に対する需要は依然として低いままであり、その変化に対応するための固定費削減施策は、前期末までに完了しております。また当期においては、効果的かつ効率的に人財育成を行うため、教育コンテンツをオンラインで提供するラーニングプラットフォーム(Learning Booster)の開発に着手し、2023年4月3日より派遣事業者向けに提供を開始致しました。
以上の結果、教育ソリューション事業の当連結会計年度の売上高は578,691千円(前期比3.4%減)、セグメント利益は182,619千円(同46.5%増)となりました。
②ICTソリューション事業
当事業は、ICTシステムの設計・構築・運用・保守サービスを提供しております。前期第2四半期~前期末にかけてエンジニアのリソースを利益率の高いダイレクトユーザー向け事業に再配置する為に、二次請負事業の一部撤退を行いました。更にダイレクトユーザー向け事業への転換を加速させるため、エンジニアへの教育投資や案件創出のための営業・マーケティング活動を引き続き強化したことにより、ダイレクトユーザー向け事業は順調に拡大致しました。
以上の結果、ICTソリューション事業の当連結会計年度の売上高は3,275,510千円(前期比0.3%減)、セグメント利益は584,996千円(同11.6%減)となりました。
③西日本ソリューション事業
当事業は、西日本地域におけるICTシステムの運用・保守サービスとライフサイエンスサービスを提供しております。当連結会計年度は、九州地区金融業向け及び大阪地区のICT運用案件が順調に拡大致しました。
以上の結果、西日本ソリューション事業の当連結会計年度の売上高は1,186,500千円(前期比15.7%増)、セグメント利益は228,450千円(同1.8%増)となりました。
④ライフサイエンスサービス事業
当事業は、ICTが応用的に使われている医療機器、化学分析装置などの据付・点検・校正・修理等の保守サービスと海外医療機器メーカー向けの日本市場参入をサポートするコンサルティングサービスを提供しております。また当事業は当社の中で唯一業界に特化した事業セグメントであり、加えて元々の得意分野であるICT技術サービスを融合して、当社独自の得意分野でのサービス提供も行っております。当連結会計年度は、医療機器のスポット案件の継続受注により、前期比で増収増益となりました。
以上の結果、ライフサイエンスサービス事業の当連結会計年度の売上高は1,548,781千円(前期比11.5%増)となり、セグメント利益は253,862千円(同62.6%増)となりました。
⑤デジタルイノベーション事業
当事業は、デジタルトランスフォーメーション時代において中核事業となるAI関連サービスとセキュリティサービスを提供しております。当連結会計年度は、セキュリティ案件の継続獲得とThirdAI(サードアイ)案件の拡大により増収となりました。一方、当期においても引き続き、新たなサービス創出のための開発投資を継続致しました。
以上の結果、デジタルイノベーション事業の当連結会計年度の売上高は792,036千円(前期比7.1%増)、セグメント損失は57,062千円(前期は77,437千円のセグメント損失)となりました。
⑥その他
当事業は①~⑤に属さない、その他の事業となり、インド支店、海外プロジェクト案件が含まれます。インド支店は引き続きインドのIT系の優れた学生を、見い出し日本企業に派遣及び紹介するエンジニア紹介事業と、インドの優れたIT技術を持つ企業を、見い出し日本市場参入をサポートするITI(India Technical Import)事業を展開すべくマーケティング活動を中心に行いました。2022年12月8日には、ITエンジニア不足の日本企業と海外のエンジニアをつなぐグローバルIT人財マッチングサービス「Reinforce HR」の提供を開始致しました。
以上の結果、その他の当連結会計年度の売上高は-千円(前期は-千円)、セグメント損失は17,200千円(前期は17,291千円のセグメント損失)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比し321,389千円増加し2,550,188千円となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果、得られた資金は527,010千円(前連結会計年度は503,577千円)でありました。これは、主として税金等調整前当期純利益476,169千円の計上、売上債権の減少182,902千円、前受金の増加68,678千円に対し、前払費用の増加81,692千円、法人税等の支払181,983千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果、使用した資金は35,135千円(前連結会計年度は57,203千円)でありました。これは、主として有形固定資産の取得による支出37,895千円、無形固定資産の取得による支出30,895千円、差入保証金の差入による支出16,874千円に対し、差入保証金の回収による収入60,894千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果、使用した資金は172,366千円(前連結会計年度は118,729千円)でありました。これは、配当金の支払172,366千円によるものであります。
生産、受注及び販売の状況
(1) 生産実績
当社グループは、保守管理業務を中心とした技術サービスを提供する事業を主としていることから、生産実績はございませんので、記載を省略しております。
(2) 受注実績
当社グループが顧客企業と締結している契約で規定されているのは、料金算定の基礎となる単価等であり、受注金額に必要なサービス対応作業時間等については、都度契約等による依頼業務に応じて頻繁に変動します。従いまして、受注金額を確定することが困難な状況であるため、同数値の記載を省略しております。
(3) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前期比(%)
教育ソリューション事業(千円)578,69196.6
ICTソリューション事業(千円)3,275,51099.7
西日本ソリューション事業(千円)1,186,500115.7
ライフサイエンスサービス事業(千円)1,548,781111.5
デジタルイノベーション事業(千円)792,036107.1
報告セグメント計(千円)7,381,520104.8
その他(千円)--
合計(千円)7,381,520104.8

(注)連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。
相手先前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
ソフトバンク株式会社--794,90310.8

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析、検討内容
(1)財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計につきましては前連結会計年度末と比し224,040千円(4.9%)増加し4,793,199千円となりました。うち、流動資産は153,206千円(3.8%)増加し4,176,570千円となりました。これは主に、契約資産、売掛金の減少に対し、現金及び預金、前払費用、仕掛品の増加によるものであります。固定資産は70,833千円(13.0%)増加し616,629千円となりました。これは主に、ソフトウエア、差入保証金の増加によるものであります。
負債合計につきましては、前連結会計年度末と比し51,787千円(2.9%)増加し1,855,392千円となりました。これは主に、賞与引当金、買掛金、未払法人税等、受注損失引当金の減少に対し、前受金、未払金、退職給付に係る負債、未払消費税等の増加によるものであります。
純資産合計は、前連結会計年度末と比し172,252千円(6.2%)増加し2,937,806千円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。
(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」にて記載した通りであります。
② 資金需要
当社グループの資金需要のうち主なものは、教育施設拡充及びソフト開発資金であり、これらに伴う家賃、開発人件費、外注加工費及びサーバ等の維持管理に必要なシステム費用等であります。
(3)経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は7,381,520千円でありました。
その主な要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (1)業績」にて記載した通りであります。
② 売上原価、売上総利益
当連結会計年度の売上原価は6,046,335千円でありました。
これにより、売上総利益は1,335,185千円となりました。
③ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は870,470千円となりました。
④ 営業利益
当連結会計年度における営業利益は464,714千円となりました。
⑤ 営業外損益
当連結会計年度の営業外損益は、営業外収益11,454千円、営業外費用-千円となりました。営業外収益の主な内訳は、為替差益7,711千円、保険配当金2,018千円であります。
⑥ 経常利益
当連結会計年度における経常利益は476,169千円となりました。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は315,015千円となりました。
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。