有価証券報告書-第8期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/27 15:29
【資料】
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【項目】
58項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当社が本報告書提出日現在において判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、事業活動の基礎となる「JXTGグループ理念」を次のとおり定めています。
JXTGグループ理念
[使 命]
地球の力を、社会の力に、そして人々の暮らしの力に。
エネルギー・資源・素材における創造と革新を通じて、社会の発展と活力ある未来づくりに貢献します。
[大切にしたい価値観]
①社会の一員として
高い倫理観 誠実・公正であり続けることを価値観の中核とし、高い倫理観を持って企業活動を行います。
安全・環境・健康 安全・環境・健康に対する取り組みは、生命あるものにとって最も大切であり、常に最優先で考えます。
②人々の暮らしを支える存在として
お客様本位 お客様や社会からの期待・変化する時代の要請に真摯に向き合い、商品・サービスの安定的な供給に努めるとともに、私たちだからできる新たな価値を創出します。
③活力ある未来の実現に向けて
挑 戦 変化を恐れず、新たな価値を生み出すことに挑戦し続け、今日の、そして未来の課題解決に取り組みます。
向上心 現状に満足せず、一人ひとりの研鑽・自己実現を通じて、会社と個人がともに成長し続けます。
当社グループは、この「JXTGグループ理念」の実現のために、基幹事業の強化・イノベーションの推進・グローバルな事業展開を図ります。あわせて、これらを推進していくうえで欠かせない高い倫理観とチャレンジ精神を持った人材を育成し、国際的な競争力を有するアジア有数の総合エネルギー・資源・素材企業グループを目指します。
(2)目標とする経営指標
当社は、2017年5月に2017年度から3ヵ年の中期経営計画(2017-2019年度中期経営計画)を次のとおり策定しています。
①基本方針
本中計を、「抜本的な変革の実行プラン」と位置付け、基幹事業の収益力強化(エネルギー事業を中心とした徹底した事業変革、統合シナジーの最大化と早期実現)、事業ポートフォリオの最適化、次世代の柱となる事業の育成・強化、経営基盤の強化(経営管理体制の整備、人材の育成等)等の諸施策を通じ、「キャッシュ・フローと資本効率を重視した経営」を推進し、事業環境の変化に適応可能な収益・財務基盤を確立する。
②経営目標(2019年度)
ア.営業利益(IFRS) :5,000億円
イ.フリーキャッシュフロー:5,000億円(2017-2019年度累計)
ウ.ネットD/Eレシオ :0.7倍以下(資本合計ベース)
エ.ROE :10%以上
(3)対処すべき課題
今後の事業環境を展望すると、世界経済は、米国、中国を中心に景気の回復が続くものと見込まれます。また、日本経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善等が続き、設備投資や個人消費を中心に緩やかな成長が継続すると予想されます。
原油価格については、引き続き米国のシェールオイルの増産といった価格押下げ要因はあるものの、好調な世界経済を背景に、中国をはじめとする新興国の需要の伸びにより、底堅く推移すると想定されます。また、新興国を中心に銅の需要が伸びる一方で、新規鉱山開発の低迷に伴い供給が伸び悩むことにより、銅価格は、堅調に推移すると予想されます。
国内の石油製品需要は、低燃費車の普及、燃料転換の進展等の構造的な要因により引き続き減少する一方、アジアの新興国では、経済成長に伴い、燃料油、潤滑油及び石油化学製品の需要の増加が見込まれます。
銅製品については、アジアの新興国を中心としてインフラ投資が拡大することに加えて、IoT社会の進展やAIの普及・拡大に伴い、今後も需要が増加すると予想されます。
このような認識の下、当社は、各事業に経営資源を適切に配分するとともに「キャッシュ・フローと資本効率を重視した経営」を推進し、中期経営計画の達成を目指します。また、環境、社会及びガバナンスの各分野において、低炭素社会の形成、安全確保、コンプライアンスの徹底等の当社グループとして最優先に取り組むべき課題を設定し、具体的な目標を定めてその進捗を管理することにより、ESGに関する取組みを推進します。
各事業における主な取組みについては、次のとおりです。
(エネルギー事業)
石油精製販売・化学品事業については、調達から販売に至るまでのサプライチェーン全体について、引き続き効率化を推進し、統合シナジーの早期実現・最大化を図ります。
また、次世代の柱となる事業を育成・拡大するべく、電気事業については、産業用・業務用及び家庭向け電気の拡販を図るとともに、環境負荷が小さい再生可能エネルギー電源の開発や活用を進めます。ガス事業については、家庭向けガスの販売先拡大に注力するとともに、電気との併売といった他の商品と相乗効果のある施策を検討します。水素事業については、水素ステーションの建設・運営コストの低減に努め、運営基盤を強化します。海外事業については、アジアにおける安定的な石油製品の供給先を確保するため、麻里布製油所におけるVietnam National Petroleum Group社との共同事業の実現に向けた取組みを推進します。さらに、技術立脚型事業として位置付けている潤滑油・機能材事業については、国内外での拡販、高付加価値商品の開発・市場投入を推進し、安定的かつ高い収益を創出する事業へ育成します。
(石油・天然ガス開発事業)
生産段階にある事業については、安全・安定操業を前提に、一層の操業コスト削減に努めます。また、マレーシアのSK10鉱区やパプアニューギニアのLNGプロジェクト等の事業については、更なる開発により事業価値の最大化に取り組みます。
インドネシアのタングーLNG拡張プロジェクト、英国北海のマリナー油田・カリーンガス田プロジェクト等の事業については、生産開始に向けた準備を進めます。
さらに、選択と集中による資産ポートフォリオの見直しを引き続き推進し、知見を有する東南アジアや中東等に経営資源を優先配分することで、将来の事業の柱となり得る新規プロジェクトの獲得を図ります。加えて、CO2-EOR技術を活用して新たな事業の獲得を目指します。
(金属事業)
資源開発事業については、チリのカセロネス銅鉱山において、キャッシュ・フローの改善を最優先の課題として捉え、断層の影響等を織り込んだ生産計画の着実な実行に努めるとともに、一層の生産性向上とコスト削減による競争力強化に取り組みます。
製錬事業については、大規模な改修を実施した佐賀関製錬所に経営資源を集中し、安全・安定操業を維持しつつ、生産効率・収益性の向上を図ります。
電材加工事業については、更なる需要の増加を見据え、生産設備増強、製品開発及び市場開拓を継続し、グローバル市場においてトップシェアを有する製品群の拡充に努めます。また、製品市場の変化に対応するため、引き続きM&Aを含めた事業拡大の検討を進めるほか、H. C. Starck Tantalum and Niobium社をはじめとした金属事業各社とのコラボレーション等を通じ、新規技術の開発に努めるとともに、次世代の収益源となる事業を探索・育成します。
環境リサイクル事業については、海外からの高品位原料の集荷拡大・安定化に努め、生産効率の改善に取り組みます。また、今後のEVの普及を見据え、廃リチウムイオン電池のリサイクル技術の向上に努め、事業化に向けた取組みを推進します。
チタン事業については、徹底的なコスト削減及び販売拡大を目指すとともに、サウジアラビアにおけるスポンジチタン製造合弁事業の早期立ち上げを図ります。
JXTGグループは、中期経営計画を着実に実行することにより、アジア有数の総合エネルギー・資源・素材企業グループとして発展し、企業価値の持続的な向上を図ります。