有価証券報告書-第7期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 15:00
【資料】
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【項目】
62項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当社が本報告書提出日現在において判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、事業活動の基礎となる「JXTGグループ理念」を次のとおり定めています。
JXTGグループ理念
[使 命]
地球の力を、社会の力に、そして人々の暮らしの力に。
エネルギー・資源・素材における創造と革新を通じて、社会の発展と活力ある未来づくりに貢献します。
[大切にしたい価値観]
①社会の一員として
高い倫理観 誠実・公正であり続けることを価値観の中核とし、高い倫理観を持って企業活動を行います。
安全・環境・健康 安全・環境・健康に対する取り組みは、生命あるものにとって最も大切であり、常に最優先で考えます。
②人々の暮らしを支える存在として
お客様本位 お客様や社会からの期待・変化する時代の要請に真摯に向き合い、商品・サービスの安定的な供給に努めるとともに、私たちだからできる新たな価値を創出します。
③活力ある未来の実現に向けて
挑 戦 変化を恐れず、新たな価値を生み出すことに挑戦し続け、今日の、そして未来の課題解決に取り組みます。
向上心 現状に満足せず、一人ひとりの研鑽・自己実現を通じて、会社と個人がともに成長し続けます。
当社グループは、この「JXTGグループ理念」の実現のために、基幹事業の強化・イノベーションの推進・グローバルな事業展開を図ります。あわせて、これらを推進していくうえで欠かせない高い倫理観とチャレンジ精神を持った人材を育成し、国際的な競争力を有するアジア有数の総合エネルギー・資源・素材企業グループを目指します。
(2)目標とする経営指標
当社は、平成29年5月に平成29年度から3ヵ年の中期経営計画(平成29-31年度中期経営計画)を次のとおり策定しています。
①基本方針
本中計を、「抜本的な変革の実行プラン」と位置付け、基幹事業の収益力強化(エネルギー事業を中心とした徹底した事業変革、統合シナジーの最大化と早期実現)、事業ポートフォリオの最適化、次世代の柱となる事業の育成・強化、経営基盤の強化(経営管理体制の整備、人材の育成等)等の諸施策を通じ、「キャッシュ・フローと資本効率を重視した経営」を推進し、事業環境の変化に適応可能な収益・財務基盤を確立する。
②経営目標(平成31年度)
ア.営業利益(IFRS) :5,000億円
イ.フリーキャッシュフロー:5,000億円(平成29-31年度累計)
ウ.ネットD/Eレシオ :0.7倍以下(資本合計ベース)
エ.ROE :10%以上
(3)対処すべき課題
今後の事業環境を展望すると、米国の政策運営の動向、欧州の政治情勢の不確実性、その他世界各地の地政学的リスクの高まりにより不透明感はあるものの、世界経済は、中国において引き続き一定の成長が見込まれ、米国においても景気回復が継続し、全体として拡大基調と見込まれます。また、日本経済は、輸出・生産の回復と雇用・所得環境の改善により、引き続き成長が期待されます。
原油価格については、中国をはじめとする新興国の需要の伸びにより、需給バランスが改善することから、緩やかに上昇するものと予想されます。また、銅価格についても、銅鉱山の新規開発投資が減少し、加えて新興国を中心に需要の拡大が期待できることから、上昇基調と予想されます。
国内の石油製品需要は、低燃費車の普及、燃料転換の進展等の構造的な要因により引き続き減少する一方、アジアの新興国では、経済成長に伴い、燃料油、潤滑油および石油化学製品の需要の増加が見込まれています。
銅製品については、中国や米国においてインフラ投資が増加し、また、パソコン、スマートフォン等に限らず、家電や自動車等、様々なものがインターネットとつながる社会(IoT社会)の進展に伴い、今後も需要が増加すると予想されます。
このような認識の下、JXTGグループにおいては、将来の飛躍に向け、強靭な収益基盤・財務基盤を構築するとともに、次世代の柱となる事業の育成を図るべく、「JXTGグループ中期経営計画」を策定しました。その各事業における主な取組みについては、次のとおりです。
(エネルギー事業)
経営統合による収益改善の最大化を図り、早期に年額1,000億円の統合効果の実現を目指します。
石油精製販売・石油化学製品事業については、原油・製品・半製品の調達・融通の最適化、製油所・製造所等の生産体制の見直し、物流の効率化およびブランド価値の向上を基本とした販売施策を展開することにより、サプライチェーン全体の効率化を推進し、国際競争力の強化を図ります。
また、次世代の柱となる事業を育成・拡大するべく、石油精製販売事業については、アジア太平洋圏の需要を取り込む施策を検討・推進します。電力事業については、家庭用電力小売事業の着実な積上げを図るとともに、必要となる電源の開発について、積極的に検討を進めます。
潤滑油・機能材等の技術立脚型事業については、将来の成長に向けた重点分野として育成を行います。
加えて、事業インフラの整備による経営管理を強化するべく、製油所等の操業に関する管理システムや内部統制の整備・運用の強化に努めます。また、事業運営や経営管理の徹底的な効率化を図るため、新たなIT基盤としての統合基幹業務システム(ERPシステム)を構築します。
(石油・天然ガス開発事業)
低油価環境下においても、着実に収益を確保できる強靭な体質を構築するべく、選択と集中の徹底および更なるコスト削減を推進します。
また、将来の持続的な成長に向けた事業基盤強化のため、オペレーター事業を通じて既に進出している国においては、政府や国営石油会社等との信頼関係をさらに深めることにより事業価値の向上を図るとともに、有望な案件が期待できる産油国との信頼関係の構築を通じ、新たな事業機会の獲得を目指します。
加えて、地球環境と調和した事業展開に寄与するCO2-EOR技術を重点技術の一つと位置付け、新たな案件の獲得に努めます。
(金属事業)
資源開発事業については、チリのカセロネス銅鉱山において、安定操業を維持するとともに、コスト削減と生産性向上による競争力強化に努めます。製錬事業については、安全・安定操業を維持した上で、生産効率・収益性を向上し、世界トップクラスの競争力を有する体制の構築に努めます。
電材加工事業については、グローバル市場においてトップシェアを有する製品群の拡充に向けて生産設備を増強するとともに、M&A等を通じて海外拠点網を強化します。また、IoT社会の進展による製品市場の変化に対応し、グループ内外の金属事業各社とのコラボレーションを含めた技術開発を推進します。
環境リサイクル事業については、海外からの高品位原料の集荷拡大、コスト低減等による事業基盤の強化を図ります。チタン事業については、徹底的なコストダウンに努めるとともに、サウジアラビアにおけるスポンジチタン製造工場を早期に稼働させます。加えて、技術立脚型事業群の成長を推進するべく、保有技術の部門横断的な活用を通じて既存の生産技術等を一層強化し、新規事業開発やM&A等において活用します。
JXTGグループは、中期経営計画を着実に実行することにより、アジア有数の総合エネルギー・資源・素材企業グループとして発展し、企業価値の持続的な向上を図ります。