有価証券報告書-第12期(平成26年11月1日-平成27年10月31日)

【提出】
2016/01/28 15:44
【資料】
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【項目】
90項目
(重要な後発事象)
(資本業務提携及び新株の発行)
当社は、平成27年12月11日開催の取締役会において、株式会社デンソー(以下、「デンソー」)と資本業務提携(以下、「本資本業務提携」)を行うこと、及びデンソーに対する第三者割当による新株式の発行(以下、「本第三者割当増資」)を行うことを決議いたしました。
Ⅰ.資本業務提携の概要
1.本資本業務提携の目的及び理由
当社は、『新たなイメージング・テクノロジーを創造する集団として、革新的な技術を最適な「かたち」で実用化させ、技術の発展と豊かな文化の実現に貢献する』という経営理念のもと、手ブレ補正技術をはじめとする画像処理関連技術の研究開発・ライセンシングを業としております。現在まで、当社はスマートフォン市場を戦略的事業ドメインとして、国内市場・グローバル市場に画像処理ソフトウェアを展開し、シェアを伸ばしてまいりました。
画像処理が大きくかかわる技術分野においては、昨今のカメラデバイスの小型化・高性能化に加え、今後はネットワークの高速化・クラウド化等の進展に応じた画像処理技術や認識サービスが出現してくることが想定されますが、このような事業環境において当社は、当社の技術が画像処理に関連する幅広い分野に応用可能である点に当社の強みがあると思料し、 “全てのカメラに知能を持たせる”ことを中期経営ビジョンに掲げ、例えばDeep Learning(※)を用いた画像認識技術の開発を推進するなど、スマートフォン市場以外でも、顧客ニーズに適応した新たな技術開発及び製品・サービス開発に積極的に取り組み、ネットワークサービス分野及び車載や監視カメラといったスマートフォン以外の組込分野を重要なターゲットと位置付けて、営業活動、マーケティングを推進してまいりました。
一方で、デンソーは、国内及び海外にて長年に亘り車載機器技術分野で事業を展開し、自動車メーカー等多くの取引先から高い信頼を得、自動車部品世界シェアのトップクラスの地位を確立しています(出典:マークラインズ株式会社“2014年度サプライヤー売上高ランキング” マークラインズ自動車産業ポータルプレスリリース2015年6月19日)。のみならず、近年の自動車業界における自動運転の実用化競争をうけた車載機器部品市場においてもリーディングカンパニーとなるべく、積極的に新たな技術の開発・革新に努めています。
上記のように、当社とデンソーは其々の事業分野において新たな技術・ノウハウを創出し、世の中に対し利便性や安全性を提供してまいりました。今般、両社が業務を提携することで両社グループの技術力を融合し、画像認識技術をはじめとする各種画像処理技術の車載機器への応用において高度かつ新たな技術・ノウハウを創出し、Deep Learningによる画像認識技術の電子ミラーへの応用など、車載機器分野において革新と新たな価値創造を提供できるとの判断のもと、共同研究開発を目的とした業務提携に合意いたしました。
併せて、両社は、かかる共同研究開発・業務提携を着実に推進していくにあたり、デンソーが当社株式を保有することで、両社グループの関係が一層深化した状況において協業でき業務提携のシナジーを増大させることで、両社グループの企業価値向上に大きく寄与するものと判断し、資本提携にも合意予定であります。
※Deep Learning:人間の脳の仕組みを模した機械学習の新たな手法であり、他の機械学習手法よりも非常に高い性能を示すことから、画像認識や自動運転などへの応用が期待されているもの。
2.本資本業務提携の内容
(1)業務提携の内容
当社とデンソーとの間で現時点において合意している業務提携の概要は、以下のとおりです。
① Deep Learningによる画像認識技術の車載機器への適用に関する基礎的研究
② 画像認識技術をはじめとする各種画像処理技術を応用した、電子ミラー等の車載機器に関する研究開発・製品化
③ 上記研究開発の成果に基づく製品・サービスのマーケティングにおける連携
(2)資本提携の内容 相手方に取得される株式数の数
当社は、本第三者割当増資により、デンソーに当社の普通株式261,800株(第三者割当後の所有議決権割合5.00%、発行済株式総数に対する割合5.00%)を割当てます。
資本提携の詳細は、後記「Ⅱ.第三者割当による新株式発行」をご参照ください。
3.本資本業務提携の相手先の概要(平成27年3月31日現在)
(1)名称株式会社デンソー
(2)所在地愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地
(3)代表者の役職・氏名取締役社長 有馬浩二
(4)事業内容自動車部品の研究・開発・製造・販売
(5)資本金187,457百万円

4.日程
(1)本資本業務提携及び本第三者割当増資に関する取締役会決議日平成27年12月11日
(2)本資本業務提携及び本第三者割当増資に関する契約締結日平成27年12月11日
(3)本資本業務提携の開始日平成27年12月11日
(4)本第三者割当増資の払込期日平成28年1月7日

Ⅱ.第三者割当による新株式の発行
1.募集の概要
(1)払込期日平成28年1月7日
(2)発行新株式数普通株式 261,800株
(3)発行価額1株につき4,697円
(4)調達資金の額1,229,674,600円
(5)資本組入額1株につき2,348.50円
(6)資本組入額の総額614,837,300円
(7)募集又は割当方法
(割当予定先)
第三者割当の方法により、株式会社デンソーに261,800株を割り当てる。
(8)その他上記各項については、金融商品取引法に基づく有価証券届出書の効力発生を条件とします。

2.募集の目的及び理由
前記「Ⅰ.資本業務提携の概要 1.本資本業務提携の目的及び理由」に記載のとおり、本第三者割当増資は、当社とデンソーとの業務提携を併せて実施するものであり、両社間の協力体制を構築することにより、当社の中長期的な発展と成長につながり、既存株主への利益につながるものとの判断から本第三者割当増資の実施に至っております。
また、当社では、今後の成長戦略として、Deep Learning応用技術の研究開発、及び当該技術を使用する製品の創出・サービスの構築、ひいてはこれらの全世界への販売普及を検討しており、為に研究開発費等資金に加えマーケティング体制の強化も重要となってくるものと考えております。そのため、迅速かつ確実性のある方法により資金調達の必要があると判断し、かつ、上記協力体制の構築の観点を加味して、本第三者割当増資を実施することが最良の選択であると判断するに至りました。
3.調達する資金の額、使途及び支出予定時期
(1)調達する資金の額
払込金額の総額1,229,674,600円
発行諸費用の概算額6,600,000円
差引手取概算額1,223,074,600円

(2)調達する資金の具体的な使途
本第三者割当増資は、当社の収益基盤強化のための資本増強、及び割当予定先との協業による、業績の拡大を目的とするものです。上記差引手取概算額の使途は次のとおり予定しております。なお、実際の支出予定時期までは安全性の高い預金等にて運用していく予定であります。
具体的な使途金額(円)支出予定時期
① 車載機器向け応用技術の研究開発投資950,000,000平成28年1月から平成32年12月
② マーケティングその他の運転資金273,074,600平成28年1月から平成32年12月

① 車載機器向け応用技術の研究開発投資
割当予定先との車載機器向け応用技術の共同研究開発のための体制構築を予定しております。主として研究者の増員(年4人から6人)に各年50,000,000円程度の増加を見込み、5年間の累積で750,000,000円程度、増員に伴う事業施設の増床(現在の本社入居ビルの別フロアの賃借)及び必要な備品等の調達(ハードウェア、ソフトウェア及びメモリ増設等)に年間40,000,000円程度を見込んでおります。
上記共同研究開発は、人や障害物の認識が可能な画像認識技術及び写真ビデオ撮影における手ブレ補正等の画像処理技術を車載機器に応用するもので、主なものとして人間の脳の構造を模して機械に情報を学習させる技術である「Deep Learning」を利用した新しい画像認識技術を使い、自動車のドアミラーやバックミラーを車載カメラの映像で代替させる「電子ミラー」の開発などを想定しております。
② マーケティングその他の運転資金
主として以下の業務に必要な運転資金としての使用を考えております。新規開発製品と創出した知的財産の車載機器以外の分野への転用に係る市場調査、世の中のニーズを製品として如何に具体化するかなど効果的な販売手法の企画・検討及びブランドイメージ確立のための宣伝広告に係る人件費や外部委託費等に年間30,000,000円程度を見込んでおります。また、新技術の権利化のための他社特許調査や出願費用、諸外国での権利化・管理方法の構築等の特許戦略構築に年間24,000,000円程度を見込んでおります。