有価証券報告書-第7期(令和2年3月1日-令和3年2月28日)
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が続いております。特に、観光業、飲食業への影響は甚大なものとなりました。一方で在宅勤務や巣ごもり需要により、今までとは異なる生活様式から新たなコンタクトセンター需要が出てきております。また、雇用・所得環境においては、事業環境の厳しさから完全失業率は緩やかに悪化が続いており、上昇を続けてきた賃金水準も横ばい圏内での推移となっております。
当社グループが属する情報サービス業界は、アウトソーシング需要の高まりを受け、堅調に推移しております。また、コミュニケーション手段の急速な技術革新に伴い、消費者との対話においてもAI(人工知能)等の導入による自動化が始まる等、カスタマーサービス分野において、なお一層のサービスの高度化が求められております。一方で、当社グループの主力事業であるCRM事業においては、同一労働同一賃金への対応により賃金が上昇しております。
当連結会計年度においては、新中期経営計画として「社員3万人の戦力最大化」「音声データ活用によるDX推進」「信頼と共創のパートナー成長」の実現に取り組んでまいりました。
デジタルトランスフォーメーション(以下、「DX」)の推進においては、長年蓄積したコンタクトセンター現場での運用ノウハウと、AI・自然言語処理・アナリティクス・ビッグデータ等新たな技術領域を組み合わせた「機械知能(Machine Intelligence)」の独自開発による、「ヒト」と「新技術」を融合させた「次世代コンタクトセンター」の創出を目的に「イノベーション&コミュニケーションサイエンス研究所」を当社内に設立いたしました。
それに伴い、コンタクトセンター業務での利用に特化した高精度なAI検索エンジン「Mopas™(モーパス)」と、AIナレッジメンテナンス機能「Knowledge Creator™(ナレッジクリエーター)」で構成され、顧客からのメールでの問い合わせ対応業務の効率化につなげる、独自開発のAI技術サービスの提供を開始しております。
また、従来はコミュニケーターによる電話対応が必要であったコンタクトセンターの一次受付や、資料請求・予約受付等定型的な受付業務を、人の手を介さず自動音声で応答できるボイスボットプロダクトのエントリーモデル「ekubot™」を提供開始しております。
パートナーとの共創においては、2017年11月に業務資本提携契約を締結した凸版印刷㈱とのシナジー効果をさらに加速させ、最大化するために合弁契約を締結し、様々な企業のDXの推進を支援するBPO(Business ProcessOutsourcing)領域に特化した新会社「株式会社TBネクストコミュニケーションズ」(以下、「㈱TBネクストコミュニケーションズ」)を2020年5月に設立いたしました。
また、クライアント企業が展開するダイレクトマーケティング事業(通販事業)において、当社が2019年2月より業務提携しているスプリームシステム株式会社が提供するマーケティングオートメーション(MA)ツール「Aimstar(エイムスター)」を導入し、データ抽出やレポート作成等の運用支援事業を開始しております。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、社会の要請に応えるべく、当社では在宅勤務やオンライン会議を積極的に活用する等して、様々な取り組みを行っております。今回、DXの推進と、従業員のエンゲージメント向上を目的に、次世代コンタクトセンターサービスのデモ体験が可能なショールームや、オンライン会議に適した個人向けブース、社内コミュニティスペース等を配置した「ニューノーマル」時代に対応したオフィスとするため、本社を移転することにいたしました。このショールームでは、当社が提供するクラウド型コンタクトセンターシステムBellCloud+®や、Mixed Reality(MR:複合現実)を活用した次世代ワークスタイルソリューションである「コールセンター・バーチャライゼーション」等のデモ体験を可能としており、次世代コンタクトセンターの在り方について、クライアント企業をはじめとした様々なステークホルダーへ示してまいります。
当社グループは、「社員3万人の戦力最大化」のための施策を着実に行っております。多様な人材の活躍や新たな雇用の創出を目的に働き方改革について積極的に取り組んでおり、在宅勤務は本社等オフィス勤務者においては約8割の社員が活用、在宅コンタクトセンターは千数百席への拡大を行ってまいりました。また、従業員向けの教育・研修及び新卒新入社員・中途社員の採用面接は、全てオンラインに切り替え、働く場所を選ばない、ニューノーマル時代に対応した仕組みと環境の整備を推進しております。
さらにダイバーシティ推進においては、ダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する特定非営利活動法人『J-Win』が主催し、内閣府や厚生労働省等が後援する「2020 J-Winダイバーシティ・アワード」において、ベーシック部門の最高賞である「ベーシックアチーブメント大賞」を、コールセンター業界で初めて受賞いたしました。
また、LGBTQ等の性的少数者に関するダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する任意団体『work with Pride』による「PRIDE指標2020」では、昨年に続き最高位“ゴールド”を受賞し、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進企業として外部からも評価を得ております。
各セグメントの業績は以下の通りであります。
(CRM事業)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響があったものの、社会インフラとしてのスポット需要及び前連結会計年度から業務開始した既存継続案件の売上が拡大した他、伊藤忠商事㈱及び凸版印刷㈱との協業強化によるシナジー案件も堅調に推移したこと等により、売上収益は前年同期比で増収となりました。利益面では、同一労働同一賃金により人件費が上昇するなか、増収による利益の伸長に加え、収益改善活動による効果等もあり、税引前利益は前年同期比で増益となりました。
この結果、CRM事業の売上収益は1,345億59百万円(前年同期比7.5%増)、税引前利益は119億33百万円(同14.2%増)となりました。
(その他)
前連結会計年度にその他事業に含まれていたCSO事業を事業譲渡した影響、及びコンテンツ販売収入が減少となりました。また、連結子会社の株式会社ポッケに帰属するのれんについて、減損テストを実施した結果、8億54百万円の減損損失を計上しております。
この結果、その他のセグメントの売上収益は11億76百万円(前年同期比22.7%減)、税引前損失は5億68百万円(前連結会計年度は、1億27百万円の利益)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上収益は1,357億35百万円(前年同期比7.2%増)、税引前利益は113億5百万円(同7.3%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は72億52百万円(同3.5%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末現在における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ22億49百万円減少し、55億18百
万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、148億86百万円となりました(前年同期は167億17百万円の収入)。これは主に、税引前利益が113億5百万円、減価償却費及び償却費が77億86百万円、減損損失が8億54百万円、法人所得税の支
払額が50億56百万円及び営業債権の増加が16億77百万円それぞれ生じたこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、31億77百万円となりました(前年同期は32億13百万円の支出)。これは主に、有形固定資産の取得による支出が16億95百万円、敷金及び保証金の差入による支出が7億89百万円、無形資産の取
得による支出が4億40百万円及び持分法投資の取得による支出が2億94百万円それぞれ生じたこと等によるもので
あります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、139億55百万円となりました(前年同期は117億99百万円の支出)。これは主
に、リース負債の返済による支出が55億83百万円、配当金の支払額が30億88百万円、長期借入金の返済による支出
が29億36百万円及び短期借入金の返済による支出が22億円それぞれ生じたこと等によるものであります。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産の実績
当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
(2) 受注の実績
当社グループが顧客企業と締結している契約は、料金算定の基礎となる単価等であり、受注金額の算定に必要な座席数、時間等についてはコール予想等に応じて頻繁に変動いたします。従って、受注金額の特定が極めて困難な状況であるため、同数値の記載を省略しております。
(3) 販売の実績
当連結会計年度における販売の実績をセグメント毎に示すと以下の通りであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記金額には消費税等は含まれておりません。
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下の通りであります。
(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計方針、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.3 重要な会計方針の要約及び3 重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。
(2)経営成績の分析
① 売上収益
当連結会計年度の売上収益は、主力事業であるCRM事業において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響があったものの、社会インフラとしてのスポット需要及び前連結会計年度から業務開始した既存継続案件の売上が拡大した他、伊藤忠商事㈱及び凸版印刷㈱との協業強化によるシナジー案件も堅調に推移したこと等により、前連結会計年度に比べて90億72百万円増加(前年同期比7.2%増)し、1,357億35百万円となりました。
② 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、同一労働同一賃金により人件費が上昇するなか、増収による利益の伸長に加え、収益改善活動による効果等もあり、前連結会計年度に比べて、24億45百万円増加(前連結会計年度比9.8%増)し、274億41百万円となりました。
③ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、人件費の増加に加え、拠点における賃料の増加等により、前連結会計年度に比べて、11億76百万円増加(前連結会計年度比8.6%増)し、149億30百万円となりました。
④ その他の収益及び費用
当連結会計年度のその他の収益及び費用は、株式会社ポッケに帰属するのれんの減損損失を計上した影響が大きく、前連結会計年度に比べてその他の費用が6億48百万円増加し、その他の収益及び費用の合計は7億12百万円(費用)となりました。
⑤ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は、株式会社ポッケに帰属するのれんの減損損失を計上しましたが、売上総利益が増加したことにより、前連結会計年度に比べて、6億94百万円増加(前連結会計年度比6.3%増)し、117億99百万円となりました。
⑥ 金融収益及び費用、持分法による投資損益
当連結会計年度の金融収益及び費用、持分法による投資損益は、持分法による投資損益の増加に加え、借入金返済に伴う支払利息の減少等により、前連結会計年度に比べて、77百万円費用減少(前連結会計年度比13.5%減)し、4億94百万円(費用)となりました。
⑦ 税引前利益
当連結会計年度の税引前利益は、営業利益の増加等により、前連結会計年度に比べて、7億71百万円増加(前連結会計年度比7.3%増)し、113億5百万円となりました。
⑧ 親会社の所有者に帰属する当期利益
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、法人所得税費用の増加があったものの、税引前利益が増加したことにより、前連結会計年度に比べて、2億46百万円増加(前連結会計年度比3.5%増)し、72億52百万円となりました。
(3)財政状態の分析
① 資産の分析
流動資産は、主に営業債権が16億77百万円及びその他の短期金融資産が1億94百万円それぞれ増加しましたが、現金及び現金同等物が22億49百万円及び未収還付法人所得税が2億74百万円それぞれ減少したため、前連結会計年度末より5億76百万円減少し、263億81百万円となりました。
非流動資産は、主にのれんが8億54百万円及び無形資産が6億13百万円それぞれ減少しましたが、有形固定資産が46億10百万円、その他の長期金融資産が8億42百万円、繰延税金資産が6億64百万円及び持分法で会計処理されている投資が2億55百万円それぞれ増加したため、前連結会計年度末より49億56百万円増加し、1,465億7百万円となりました。
これらにより、資産合計は前連結会計年度末より43億80百万円増加し、1,728億88百万円となりました。
② 負債の分析
流動負債は、主にその他の流動負債が11億28百万円減少しましたが、借入金が97億99百万円、未払法人所得税が12億41百万円、未払従業員給付が4億83百万円、その他の短期金融負債が4億37百万円及び引当金が1億65百万円それぞれ増加したため、前連結会計年度末より109億94百万円増加し、489億52百万円となりました。
非流動負債は、その他の長期金融負債が39億57百万円及び長期未払従業員給付が2億11百万円それぞれ増加しましたが、長期借入金が148億35百万円減少したため、前連結会計年度末より105億87百万円減少し、704億26百万円となりました。
これらにより、負債合計は前連結会計年度末より4億7百万円増加し、1,193億78百万円となりました。
③ 資本の分析
資本は、前連結会計年度末より39億73百万円増加し、535億10百万円となりました。これは主に利益剰余金が41億64百万円増加したことによるものであります。
(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
資金需要及び資金調達については、当社グループは事業運営に伴う新規拠点の構築及び設備の更新を継続的に実施しております。これらの資金需要は手許資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施いたします。
当連結会計年度については、新型コロナウイルス感染症の影響による不測の事態に備えることを目的として、2020年4月30日付で新たに国内金融機関3社各社と総額100億円のコミットメントライン契約を締結いたしました。
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの主力事業であるCRM事業においては、サービス提供価格の変動と、オペレーター人材の確保及び人件費の変動が、経営成績に重要な影響を与える主要因と認識しております。当社グループを取り巻く事業環境は非常に競争が激しく、昨今の経済状況により、企業の費用削減傾向が強まる場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当事業における原価の大部分は、主にオペレーターの人件費であるため、人材不足による採用難や賃金上昇によるオペレーションコストの増加は、当社グループの経営成績に影響を与えます。
対応策といたしましては、当社グループが30余年にわたって築き上げてきた実績と経験を活かして他社との差別化を図り、品質向上及び新しいソリューション提供に努める事で業務の効率化及び売上規模の拡大を実現し、併せて、当社グループのブランド価値向上によりオペレーターの確保及び人件費増に対応する適切な価格設定に努めてまいります。また、今後も戦略型のCRM事業の開発や新しいソリューションを提供し続け、顧客企業とともに成長できるパートナーへ進化を目指してまいります。
なお、新型コロナウイルス感染拡大に関する当社グループへの影響は、依然として不確実性が高いものの、行政機関からの指示・要請や、感染拡大防止、従業員の安全確保を最優先とし、お客様企業のご理解を得ながら、各拠点の環境や業務に応じた感染防止・予防に向けた取り組みを行い、適切な事業継続を図っております。
これにより、コンタクトセンターにおける一部既存業務の縮小及び一時的な稼働率低下といった影響が発生しつつあります。
今後においては、社内外への感染拡大の防止と従業員ひとりひとりの安全確保を最優先とした上で、行政機関をはじめとした新型コロナウイルス対策関連業務の支援に繋がるサービスの実施など、当社が担っている社会的責任をできる限り果たしてまいります。
(6)経営戦略の現状と見通し
当社グループが属する派遣売上を加えたコンタクトセンターアウトソーシング市場の総市場規模は8,900億円を超え、2018年度以降2023年度までの間に年平均成長率5%程度で拡大すると予測されており、また、当社グループを含む売上高上位3~5社の大手による寡占化が続いております(出典:株式会社ミック経済研究所「BPO総市場の現状と展望2019年度コンタクトセンター&フルフィルメントサービス版(第14版)」)。そうした中にあり、上位の競合企業は、当該コンタクトセンターアウトソーシング市場に一定のシェアを確保しつつも、その周辺市場に軸足を移し成長の活路を見出しているものと考えられますが、当社グループにおいては、引き続き当該コンタクトセンターアウトソーシング市場に軸足を置き、成長路線を描いていく方針であります。
当該市場は上述の通り上位数社で過半のシェアを占める一方、数多くの中小規模以下の事業者が存在しております。また、アウトソーシングされていないインハウスの市場が、同等ないしそれ以上の規模で存在すると言われております。将来的には、大手へのさらなる収斂、専門領域特化、インハウスセンターのアウトソーシング化等を包含した市場再編成が起きる可能性があります。
当社グループの強みは、国内随一の広範な自社コンタクトセンター拠点をベースにした「規模」、様々な業界のコンタクトセンター運営受託の実績の「経験」と「ノウハウ」、最新のテクノロジーを積極的に活用する「融合」にあります。これまでに培ってきたこうした強みに加え、伊藤忠商事グループ及び凸版印刷㈱との営業、事業開発、及びテクノロジー分野におけるシナジーを創出していくことにより、顧客企業と同じ目線で経営課題に取り組み、改善提案を実践するパートナーとして、今後さらなる成長を果たしてまいりたいと考えております。
(7)経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するように努めております。当社グループは、主要ビジネスであるCRM事業を中心に、既存クライアントとの取引拡大及び伊藤忠商事グループや凸版印刷㈱の多様な企業ネットワークを活用した新規クライアント獲得強化による売上規模拡大、及び人件費増に対応する適切な価格設定の実施、業務の効率化及びコストコントロールの徹底による収益性向上との相乗効果により、収益基盤の拡充策を強力に展開してまいります。
株主に対しては、利益還元を最重要課題の一つとして認識しており、剰余金の配当を安定かつ継続的に実施し、業績の進捗状況に応じて配当性向及び必要な内部留保の充実等を総合的に勘案した上で、中期的には親会社所有者に帰属する当期利益をベースに、連結配当性向50%を目標として、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本的な方針としております。
また、従業員に対しては、新たな人事制度の導入を段階的に進める他、女性活躍推進を目的とした育成プログラムの実施、企業内保育所の設置、及び教育研修施設の開設等、より多様な働き方を実現する環境整備の取り組みを続けてまいります。これらに加え、新型コロナウイルスを始めとする感染症拡大防止への対応も踏まえ、リモートワークの推進等、働き方の一層の変革を行ってまいります。
さらに、AI等の新技術を活用し自動対応への取り組みを実現するソリューションの提供等、クライアントへの最適なコミュニケーションを提供すると同時に、クライアント企業の新しいビジネス価値を創造してまいります。これまでのコスト削減中心の単なる「アウトソーサー」にとどまらず、クライアント企業と同じ目線で経営課題に取り組み、改善提案を実践・実行する「パートナー」として、前連結会計年度以来、重点的に取り組んでいる施策の収益貢献化に向け、事業基盤を強化してまいります。
当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が続いております。特に、観光業、飲食業への影響は甚大なものとなりました。一方で在宅勤務や巣ごもり需要により、今までとは異なる生活様式から新たなコンタクトセンター需要が出てきております。また、雇用・所得環境においては、事業環境の厳しさから完全失業率は緩やかに悪化が続いており、上昇を続けてきた賃金水準も横ばい圏内での推移となっております。
当社グループが属する情報サービス業界は、アウトソーシング需要の高まりを受け、堅調に推移しております。また、コミュニケーション手段の急速な技術革新に伴い、消費者との対話においてもAI(人工知能)等の導入による自動化が始まる等、カスタマーサービス分野において、なお一層のサービスの高度化が求められております。一方で、当社グループの主力事業であるCRM事業においては、同一労働同一賃金への対応により賃金が上昇しております。
当連結会計年度においては、新中期経営計画として「社員3万人の戦力最大化」「音声データ活用によるDX推進」「信頼と共創のパートナー成長」の実現に取り組んでまいりました。
デジタルトランスフォーメーション(以下、「DX」)の推進においては、長年蓄積したコンタクトセンター現場での運用ノウハウと、AI・自然言語処理・アナリティクス・ビッグデータ等新たな技術領域を組み合わせた「機械知能(Machine Intelligence)」の独自開発による、「ヒト」と「新技術」を融合させた「次世代コンタクトセンター」の創出を目的に「イノベーション&コミュニケーションサイエンス研究所」を当社内に設立いたしました。
それに伴い、コンタクトセンター業務での利用に特化した高精度なAI検索エンジン「Mopas™(モーパス)」と、AIナレッジメンテナンス機能「Knowledge Creator™(ナレッジクリエーター)」で構成され、顧客からのメールでの問い合わせ対応業務の効率化につなげる、独自開発のAI技術サービスの提供を開始しております。
また、従来はコミュニケーターによる電話対応が必要であったコンタクトセンターの一次受付や、資料請求・予約受付等定型的な受付業務を、人の手を介さず自動音声で応答できるボイスボットプロダクトのエントリーモデル「ekubot™」を提供開始しております。
パートナーとの共創においては、2017年11月に業務資本提携契約を締結した凸版印刷㈱とのシナジー効果をさらに加速させ、最大化するために合弁契約を締結し、様々な企業のDXの推進を支援するBPO(Business ProcessOutsourcing)領域に特化した新会社「株式会社TBネクストコミュニケーションズ」(以下、「㈱TBネクストコミュニケーションズ」)を2020年5月に設立いたしました。
また、クライアント企業が展開するダイレクトマーケティング事業(通販事業)において、当社が2019年2月より業務提携しているスプリームシステム株式会社が提供するマーケティングオートメーション(MA)ツール「Aimstar(エイムスター)」を導入し、データ抽出やレポート作成等の運用支援事業を開始しております。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、社会の要請に応えるべく、当社では在宅勤務やオンライン会議を積極的に活用する等して、様々な取り組みを行っております。今回、DXの推進と、従業員のエンゲージメント向上を目的に、次世代コンタクトセンターサービスのデモ体験が可能なショールームや、オンライン会議に適した個人向けブース、社内コミュニティスペース等を配置した「ニューノーマル」時代に対応したオフィスとするため、本社を移転することにいたしました。このショールームでは、当社が提供するクラウド型コンタクトセンターシステムBellCloud+®や、Mixed Reality(MR:複合現実)を活用した次世代ワークスタイルソリューションである「コールセンター・バーチャライゼーション」等のデモ体験を可能としており、次世代コンタクトセンターの在り方について、クライアント企業をはじめとした様々なステークホルダーへ示してまいります。
当社グループは、「社員3万人の戦力最大化」のための施策を着実に行っております。多様な人材の活躍や新たな雇用の創出を目的に働き方改革について積極的に取り組んでおり、在宅勤務は本社等オフィス勤務者においては約8割の社員が活用、在宅コンタクトセンターは千数百席への拡大を行ってまいりました。また、従業員向けの教育・研修及び新卒新入社員・中途社員の採用面接は、全てオンラインに切り替え、働く場所を選ばない、ニューノーマル時代に対応した仕組みと環境の整備を推進しております。
さらにダイバーシティ推進においては、ダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する特定非営利活動法人『J-Win』が主催し、内閣府や厚生労働省等が後援する「2020 J-Winダイバーシティ・アワード」において、ベーシック部門の最高賞である「ベーシックアチーブメント大賞」を、コールセンター業界で初めて受賞いたしました。
また、LGBTQ等の性的少数者に関するダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する任意団体『work with Pride』による「PRIDE指標2020」では、昨年に続き最高位“ゴールド”を受賞し、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進企業として外部からも評価を得ております。
各セグメントの業績は以下の通りであります。
(CRM事業)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響があったものの、社会インフラとしてのスポット需要及び前連結会計年度から業務開始した既存継続案件の売上が拡大した他、伊藤忠商事㈱及び凸版印刷㈱との協業強化によるシナジー案件も堅調に推移したこと等により、売上収益は前年同期比で増収となりました。利益面では、同一労働同一賃金により人件費が上昇するなか、増収による利益の伸長に加え、収益改善活動による効果等もあり、税引前利益は前年同期比で増益となりました。
この結果、CRM事業の売上収益は1,345億59百万円(前年同期比7.5%増)、税引前利益は119億33百万円(同14.2%増)となりました。
(その他)
前連結会計年度にその他事業に含まれていたCSO事業を事業譲渡した影響、及びコンテンツ販売収入が減少となりました。また、連結子会社の株式会社ポッケに帰属するのれんについて、減損テストを実施した結果、8億54百万円の減損損失を計上しております。
この結果、その他のセグメントの売上収益は11億76百万円(前年同期比22.7%減)、税引前損失は5億68百万円(前連結会計年度は、1億27百万円の利益)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上収益は1,357億35百万円(前年同期比7.2%増)、税引前利益は113億5百万円(同7.3%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は72億52百万円(同3.5%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末現在における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ22億49百万円減少し、55億18百
万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、148億86百万円となりました(前年同期は167億17百万円の収入)。これは主に、税引前利益が113億5百万円、減価償却費及び償却費が77億86百万円、減損損失が8億54百万円、法人所得税の支
払額が50億56百万円及び営業債権の増加が16億77百万円それぞれ生じたこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、31億77百万円となりました(前年同期は32億13百万円の支出)。これは主に、有形固定資産の取得による支出が16億95百万円、敷金及び保証金の差入による支出が7億89百万円、無形資産の取
得による支出が4億40百万円及び持分法投資の取得による支出が2億94百万円それぞれ生じたこと等によるもので
あります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、139億55百万円となりました(前年同期は117億99百万円の支出)。これは主
に、リース負債の返済による支出が55億83百万円、配当金の支払額が30億88百万円、長期借入金の返済による支出
が29億36百万円及び短期借入金の返済による支出が22億円それぞれ生じたこと等によるものであります。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産の実績
当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
(2) 受注の実績
当社グループが顧客企業と締結している契約は、料金算定の基礎となる単価等であり、受注金額の算定に必要な座席数、時間等についてはコール予想等に応じて頻繁に変動いたします。従って、受注金額の特定が極めて困難な状況であるため、同数値の記載を省略しております。
(3) 販売の実績
当連結会計年度における販売の実績をセグメント毎に示すと以下の通りであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| CRM事業 | 134,559 | 7.5 |
| その他 | 1,176 | △22.7 |
| 合計 | 135,735 | 7.2 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記金額には消費税等は含まれておりません。
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下の通りであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 販売高 (百万円) | 割合 (%) | 販売高 (百万円) | 割合 (%) | |
| ソフトバンク㈱ | 14,131 | 11.2 | 15,671 | 11.5 |
(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計方針、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.3 重要な会計方針の要約及び3 重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。
(2)経営成績の分析
① 売上収益
当連結会計年度の売上収益は、主力事業であるCRM事業において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響があったものの、社会インフラとしてのスポット需要及び前連結会計年度から業務開始した既存継続案件の売上が拡大した他、伊藤忠商事㈱及び凸版印刷㈱との協業強化によるシナジー案件も堅調に推移したこと等により、前連結会計年度に比べて90億72百万円増加(前年同期比7.2%増)し、1,357億35百万円となりました。
② 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、同一労働同一賃金により人件費が上昇するなか、増収による利益の伸長に加え、収益改善活動による効果等もあり、前連結会計年度に比べて、24億45百万円増加(前連結会計年度比9.8%増)し、274億41百万円となりました。
③ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、人件費の増加に加え、拠点における賃料の増加等により、前連結会計年度に比べて、11億76百万円増加(前連結会計年度比8.6%増)し、149億30百万円となりました。
④ その他の収益及び費用
当連結会計年度のその他の収益及び費用は、株式会社ポッケに帰属するのれんの減損損失を計上した影響が大きく、前連結会計年度に比べてその他の費用が6億48百万円増加し、その他の収益及び費用の合計は7億12百万円(費用)となりました。
⑤ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は、株式会社ポッケに帰属するのれんの減損損失を計上しましたが、売上総利益が増加したことにより、前連結会計年度に比べて、6億94百万円増加(前連結会計年度比6.3%増)し、117億99百万円となりました。
⑥ 金融収益及び費用、持分法による投資損益
当連結会計年度の金融収益及び費用、持分法による投資損益は、持分法による投資損益の増加に加え、借入金返済に伴う支払利息の減少等により、前連結会計年度に比べて、77百万円費用減少(前連結会計年度比13.5%減)し、4億94百万円(費用)となりました。
⑦ 税引前利益
当連結会計年度の税引前利益は、営業利益の増加等により、前連結会計年度に比べて、7億71百万円増加(前連結会計年度比7.3%増)し、113億5百万円となりました。
⑧ 親会社の所有者に帰属する当期利益
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、法人所得税費用の増加があったものの、税引前利益が増加したことにより、前連結会計年度に比べて、2億46百万円増加(前連結会計年度比3.5%増)し、72億52百万円となりました。
(3)財政状態の分析
① 資産の分析
流動資産は、主に営業債権が16億77百万円及びその他の短期金融資産が1億94百万円それぞれ増加しましたが、現金及び現金同等物が22億49百万円及び未収還付法人所得税が2億74百万円それぞれ減少したため、前連結会計年度末より5億76百万円減少し、263億81百万円となりました。
非流動資産は、主にのれんが8億54百万円及び無形資産が6億13百万円それぞれ減少しましたが、有形固定資産が46億10百万円、その他の長期金融資産が8億42百万円、繰延税金資産が6億64百万円及び持分法で会計処理されている投資が2億55百万円それぞれ増加したため、前連結会計年度末より49億56百万円増加し、1,465億7百万円となりました。
これらにより、資産合計は前連結会計年度末より43億80百万円増加し、1,728億88百万円となりました。
② 負債の分析
流動負債は、主にその他の流動負債が11億28百万円減少しましたが、借入金が97億99百万円、未払法人所得税が12億41百万円、未払従業員給付が4億83百万円、その他の短期金融負債が4億37百万円及び引当金が1億65百万円それぞれ増加したため、前連結会計年度末より109億94百万円増加し、489億52百万円となりました。
非流動負債は、その他の長期金融負債が39億57百万円及び長期未払従業員給付が2億11百万円それぞれ増加しましたが、長期借入金が148億35百万円減少したため、前連結会計年度末より105億87百万円減少し、704億26百万円となりました。
これらにより、負債合計は前連結会計年度末より4億7百万円増加し、1,193億78百万円となりました。
③ 資本の分析
資本は、前連結会計年度末より39億73百万円増加し、535億10百万円となりました。これは主に利益剰余金が41億64百万円増加したことによるものであります。
(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
資金需要及び資金調達については、当社グループは事業運営に伴う新規拠点の構築及び設備の更新を継続的に実施しております。これらの資金需要は手許資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施いたします。
当連結会計年度については、新型コロナウイルス感染症の影響による不測の事態に備えることを目的として、2020年4月30日付で新たに国内金融機関3社各社と総額100億円のコミットメントライン契約を締結いたしました。
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの主力事業であるCRM事業においては、サービス提供価格の変動と、オペレーター人材の確保及び人件費の変動が、経営成績に重要な影響を与える主要因と認識しております。当社グループを取り巻く事業環境は非常に競争が激しく、昨今の経済状況により、企業の費用削減傾向が強まる場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当事業における原価の大部分は、主にオペレーターの人件費であるため、人材不足による採用難や賃金上昇によるオペレーションコストの増加は、当社グループの経営成績に影響を与えます。
対応策といたしましては、当社グループが30余年にわたって築き上げてきた実績と経験を活かして他社との差別化を図り、品質向上及び新しいソリューション提供に努める事で業務の効率化及び売上規模の拡大を実現し、併せて、当社グループのブランド価値向上によりオペレーターの確保及び人件費増に対応する適切な価格設定に努めてまいります。また、今後も戦略型のCRM事業の開発や新しいソリューションを提供し続け、顧客企業とともに成長できるパートナーへ進化を目指してまいります。
なお、新型コロナウイルス感染拡大に関する当社グループへの影響は、依然として不確実性が高いものの、行政機関からの指示・要請や、感染拡大防止、従業員の安全確保を最優先とし、お客様企業のご理解を得ながら、各拠点の環境や業務に応じた感染防止・予防に向けた取り組みを行い、適切な事業継続を図っております。
これにより、コンタクトセンターにおける一部既存業務の縮小及び一時的な稼働率低下といった影響が発生しつつあります。
今後においては、社内外への感染拡大の防止と従業員ひとりひとりの安全確保を最優先とした上で、行政機関をはじめとした新型コロナウイルス対策関連業務の支援に繋がるサービスの実施など、当社が担っている社会的責任をできる限り果たしてまいります。
(6)経営戦略の現状と見通し
当社グループが属する派遣売上を加えたコンタクトセンターアウトソーシング市場の総市場規模は8,900億円を超え、2018年度以降2023年度までの間に年平均成長率5%程度で拡大すると予測されており、また、当社グループを含む売上高上位3~5社の大手による寡占化が続いております(出典:株式会社ミック経済研究所「BPO総市場の現状と展望2019年度コンタクトセンター&フルフィルメントサービス版(第14版)」)。そうした中にあり、上位の競合企業は、当該コンタクトセンターアウトソーシング市場に一定のシェアを確保しつつも、その周辺市場に軸足を移し成長の活路を見出しているものと考えられますが、当社グループにおいては、引き続き当該コンタクトセンターアウトソーシング市場に軸足を置き、成長路線を描いていく方針であります。
当該市場は上述の通り上位数社で過半のシェアを占める一方、数多くの中小規模以下の事業者が存在しております。また、アウトソーシングされていないインハウスの市場が、同等ないしそれ以上の規模で存在すると言われております。将来的には、大手へのさらなる収斂、専門領域特化、インハウスセンターのアウトソーシング化等を包含した市場再編成が起きる可能性があります。
当社グループの強みは、国内随一の広範な自社コンタクトセンター拠点をベースにした「規模」、様々な業界のコンタクトセンター運営受託の実績の「経験」と「ノウハウ」、最新のテクノロジーを積極的に活用する「融合」にあります。これまでに培ってきたこうした強みに加え、伊藤忠商事グループ及び凸版印刷㈱との営業、事業開発、及びテクノロジー分野におけるシナジーを創出していくことにより、顧客企業と同じ目線で経営課題に取り組み、改善提案を実践するパートナーとして、今後さらなる成長を果たしてまいりたいと考えております。
(7)経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するように努めております。当社グループは、主要ビジネスであるCRM事業を中心に、既存クライアントとの取引拡大及び伊藤忠商事グループや凸版印刷㈱の多様な企業ネットワークを活用した新規クライアント獲得強化による売上規模拡大、及び人件費増に対応する適切な価格設定の実施、業務の効率化及びコストコントロールの徹底による収益性向上との相乗効果により、収益基盤の拡充策を強力に展開してまいります。
株主に対しては、利益還元を最重要課題の一つとして認識しており、剰余金の配当を安定かつ継続的に実施し、業績の進捗状況に応じて配当性向及び必要な内部留保の充実等を総合的に勘案した上で、中期的には親会社所有者に帰属する当期利益をベースに、連結配当性向50%を目標として、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本的な方針としております。
また、従業員に対しては、新たな人事制度の導入を段階的に進める他、女性活躍推進を目的とした育成プログラムの実施、企業内保育所の設置、及び教育研修施設の開設等、より多様な働き方を実現する環境整備の取り組みを続けてまいります。これらに加え、新型コロナウイルスを始めとする感染症拡大防止への対応も踏まえ、リモートワークの推進等、働き方の一層の変革を行ってまいります。
さらに、AI等の新技術を活用し自動対応への取り組みを実現するソリューションの提供等、クライアントへの最適なコミュニケーションを提供すると同時に、クライアント企業の新しいビジネス価値を創造してまいります。これまでのコスト削減中心の単なる「アウトソーサー」にとどまらず、クライアント企業と同じ目線で経営課題に取り組み、改善提案を実践・実行する「パートナー」として、前連結会計年度以来、重点的に取り組んでいる施策の収益貢献化に向け、事業基盤を強化してまいります。