有価証券報告書-第20期(2023/03/01-2024/02/29)

【提出】
2024/05/30 15:12
【資料】
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【項目】
159項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ237,332千円増加して4,458,042千円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ554,865千円増加して3,528,142千円となりました。これは主に、現金及び預金が553,489千円増加、受取手形、売掛金及び契約資産が70,186千円減少、貸倒引当金が35,346千円減少したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ317,533千円減少して929,899千円となりました。これは、有形固定資産が56,939千円減少、無形固定資産が238,692千円減少、投資その他の資産が21,901千円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ310,819千円減少して2,776,571千円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ16,459千円増加して2,005,951千円となりました。これは主に、未払法人税等が60,041千円増加、前受金が45,376千円減少、1年内償還予定の社債が30,000千円増加したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ327,279千円減少して770,619千円となりました。これは主に、長期借入金が270,980千円減少、社債が29,000千円減少、リース債務が27,328千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ548,152千円増加して1,681,470千円となりました。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が534,135千円増加したことによるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度につきましては、AI事業は受注、売上、営業利益共に過去最高を更新し、HT事業のセグメントにおいては対前年同期比における利益の減少が発生したものの、メタバース事業においては損失発生額が縮小いたしました。
(1) 売上高及び営業利益
当連結会計年度の経営成績は、売上高は4,177,759千円(前連結会計年度比2.7%減)、営業利益は746,324千円(前連結会計年度比44.8%増:メタバース事業を除くと975,508千円で前連結会計年度比4.1%増)となりました。
(2) 営業外損益及び経常利益
当連結会計年度の営業外収益は92,788千円(前連結会計年度比82.2%増)、営業外費用は35,324千円(前連結会計年度比28.7%減)となりました。
この結果、経常利益は803,788千円(前連結会計年度比55.5%増)となりました。
(3) 特別損益及び税金等調整前当期純利益
特別利益は3,644千円となりました。これは主に、投資有価証券清算益2,812千円によるものであります。
特別損失は4,359千円となりました。これは主に、減損損失4,327千円によるものであります。
この結果、税金等調整前当期純利益は803,072千円(前連結会計年度比284.8%増)となりました。
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
当連結会計年度より、従来「MT事業」としていた報告セグメントの名称を「AI事業」に変更しております。この変更によるセグメント情報に与える影響はありません。
また、当連結会計年度より、報告セグメントごとの経営成績をより適正に評価するため、事業セグメントの利益又は損失の測定方法を変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の測定方法に基づいております。
AI事業
AI事業におきましては、受注高は堅調に推移し3,192,850千円(前連結会計年度比13.1%増)となりました。売上高は受託案件等の影響により3,057,288千円(前連結会計年度比5.0%増)となり、セグメント利益は新規事業である「Metareal AI」への先行投資影響を含めても935,971千円(前連結会計年度比28.7%増)となりました。短中期の成長施策として本年度より開発・提供を開始した「Metareal AI」プロジェクトに関しましては、早期での業績寄与を目指し、大手のお客様を中心に生成系AIを活用した様々な提案、営業を開始し大型受注にも繋がっております。
HT事業
HT事業におきましては、売上高は1,117,576千円(前連結会計年度比18.4%減)となり、セグメント利益は145,555千円(前連結会計年度比45.9%減)となりました。
メタバース事業
短中期の成長施策を「Metareal AI」プロジェクトにシフトし、メタバース事業は10±5年の長期視座として投資額を減らしたことにより、売上高は2,894千円(前連結会計年度比71.8%減)となり、セグメント損失は229,184千円(前連結会計年度は421,509千円のセグメント損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは930,880千円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは122,012千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは271,869千円の支出となったため、当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ536,436千円増加して、3,078,464千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の収入は930,880千円となりました。これは主に、資金の増加要因として税金等調整前当期純利益の計上803,072千円、減価償却費の計上356,497千円、売上債権及び契約資産の減少134,898千円、資金の減少要因として、法人税等の支払額308,726千円、貸倒引当金の減少110,058千円などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の支出は122,012千円となりました。これは主に、資金の増加要因として投資有価証券の清算による収入2,812千円、貸付金の回収による収入2,144千円、資金の減少要因として無形固定資産の取得による支出65,556千円、投資有価証券の取得による支出55,128千円、有形固定資産の取得による支出6,718千円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の支出は271,869千円となりました。これは主に、資金の増加要因として長期借入れによる収入150,000千円、社債の発行による収入146,911千円、資金の減少要因として長期借入金の返済による支出405,980千円、社債の償還による支出149,000千円などによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
AI事業3,192,850113.11,300,296100.0
HT事業(研修事業部分)107,65199.939,66698.2
合計3,300,501112.61,339,96299.9

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.HT事業における翻訳・通訳及びクラウドソーシング事業について、受注時に翻訳内容(言語、納品日、納品形態)は決定されますが、受注金額の算定基礎となるページ数、ワード数、文字数等が確定しないため、受注金額を集計から除外しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年3月1日
至 2024年2月29日)
前年同期比(%)
AI事業 (千円)3,057,288105.0
HT事業 (千円)1,117,57681.6
メタバース事業 (千円)2,89428.2
合計 (千円)4,177,75997.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度における主な相手先に対する販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、いずれの相手先も当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等
1)財政状態
2022年2月期において、投資有価証券及び固定資産の減損、特別調査委員会関連費用並びに課徴金引当金繰入計上等の発生を主要因とし、「自己資本比率」は2021年2月期末の「40.6%」から「21.5%」へと変動いたしました。2022年2月期における悪化要因としては投資有価証券や固定資産の減損等のキャッシュアウトを伴わない損失計上並びに特別調査委員会費用等一時的なものが占めておりました。
その後、2023年2月期及び2024年2月期においては上記のようなイレギュラー事象影響は限定的であり、自己資本比率はそれぞれ「25.9%」、「36.8%」へと改善いたしました。最終損益についても2023年2月期より黒字化したこと並びに現金及び現金同等物期末残高の増加も相まって、今後の機動的な投資意思決定に悪影響を与えるような状況ではないと判断しております。
資産負債の増減実績詳細については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」をご参照ください。
2)経営成績
当連結会計年度につきましては、HT事業において、売上・利益ともに減少したものの、旧MT(機械翻訳)並びに「Metareal AI」を含むAI事業は引き続き堅調でした。
AI事業のうち旧MT(機械翻訳)においては、ドキュメントAI翻訳の『T-4OO』『T-3MT』、音声AI翻訳の『オンヤク』等の機械翻訳サービスについては、今後もキャッシュカウとして堅調な利益構造に基づいた収益構造が引き続き担保されることを見込んでおります。
また、新たな成長戦略として開始した「Metareal AI」プロジェクトにより、短中期の売上増を見込んでおり、2024年2月期においても受注・売上への貢献が開始しております。
セグメントごとの損益数値詳細については「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」をご参照ください。
AI事業としては受注額を経営分析において重視しており、同指標の推移等詳細については2024年4月15日開示の「2024年2月期(第20期)決算説明資料」に記載のとおりであり、従前どおり今後も四半期ごとの決算説明資料における開示を想定しております。
メタバース事業については、短期的な業績指標を設定することを止め、5年後~10年後に市場環境が整った際の準備として、メタバースとAIとの統合を主たるテーマとして開発を進めるものとします。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、販売活動を中心とした営業キャッシュ・フロー及び借入によるキャッシュ・フローをもって、新規開発や新規投資などのキャッシュ・フローを賄っている構造です。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、設備投資、成長分野への投資並びに株主還元等について、原則として自己資本での対応を行う方針ですが、中長期的な成長に向けた投資継続のため、必要に応じて借入等資金調達を行う予定です。
また、当社グループは正確な資金繰りの把握及び資金繰りの安定に努めるとともに、適切なリスク管理体制の構築を図っております。各種投資のために必要な資金は営業活動による取得資金及び借入による調達であり、資金需要としては中長期的な成長のための人的、設備的投資によるものです。
中長期的な継続成長に伴う投資を行うため、従前は他人資本による調達が増加傾向にありましたが、既存事業のキャッシュカウ化により足元では自己資本が増加しております。今後も資金需要と流動性について注視したうえで、適切に意思決定を実施いたします。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、連結会計年度末における資産・負債及び連結会計年度の収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。