有価証券報告書-第31期(2024/02/01-2025/01/31)

【提出】
2025/04/25 15:30
【資料】
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【項目】
117項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、雇用、所得環境の改善により緩やかに回復しているものの、原油や資材価格高騰、為替変動による物価の上昇、ウクライナ危機や中東情勢の悪化などの地政学的リスク等により、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当事業年度においては、過去からのBtoB市場に向けた単なるモノの販売から脱却し、成長方針に掲げるBtoB市場に向けたモノづくりを基盤としたSaaS月額課金型サービスを当社の主力事業とすべく、前事業年度より継続して経営資源をその事業へ集中し事業転換を図ってまいりました。
当事業年度においては、TRaaS事業では、AI電力削減ソリューション「AIrux8」、流通小売店舗を対象としたDX店舗活性プロダクト「店舗の星」及びデジタルサイネージプラットフォーム「CELDIS」を中心としたSaaS月額課金型サービスへの事業転換を継続して推進し、戦略販売パートナーと共に更なる販売拡大を目指し事業を推進してまいりました。受注型Product事業では、ホスピタリティ市場の回復と共に、STB及びサーバー等の受注が想定を上回り順調に推移すると共に、テクニカルサービス事業においても、大型のシステム開発案件の継続受注が大きく売上に貢献いたしました。
以上の結果、当事業年度の売上高は411,492千円(前年同期比32.3%増)、営業利益は5,269千円(前年同期は69,638千円の損失)、経常利益は6,919千円(前年同期は76,376千円の損失)、当期純利益は2,346千円(前年同期は85,810千円の損失)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(TRaaS事業)
TRaaS事業の当事業年度におきましては、AI電力削減ソリューション「AIrux8」、流通小売店舗を対象としたDX店舗活性プロダクト「店舗の星」及びデジタルサイネージプラットフォーム「CELDIS」を中心として、BtoB市場に向けたモノづくりを基盤としたSaaS月額課金型サービスへ集中し、事業転換を推進してまいりました。
「AIrux8」については、戦略販売パートナーとして、2024年4月に丸紅情報システムズ株式会社様及び加賀FEI株式会社様へ「AIrux8」の提供を開始いたしました。加えて、「AIrux8」の技術が日本で特許として登録されたことから、お客様に対する一層の信頼感が得られることに繋がり、現在、戦略販売パートナーとの連携がより強固なものになってきております。実際に、導入を検討されているお客様からのお問い合わせも着実に増えており、その消費電力削減効果及び機能性を十分に確認いただきながら商談が進行し、空調消費電力量削減実績及び導入効果に高い評価をいただいた結果、大手老舗百貨店の本社ビルや大手電子機器メーカーの事業所等への導入が着実に進んでおります。
また、「店舗の星」については、海外では大手小売企業の店舗へ追加導入を実施し、日本での実証実験においても、「店舗の星」が OMO(Online Merges With Offline)ソリューションとして、海外同様、非常に高い導入効果が見られたことから、本格的な国内展開が開始いたしました。今後、更なる販売拡大を目指し、様々な流通小売店舗様との実証実験を通じて、改善点等のアップデートやシステム開発を計画、実行しながら、「店舗の星」の経済効果及び社会効果の検証を継続的に進めていく予定です。デジタルサイネージプラットフォーム「CELDIS」については、国内最大規模のオープンイノベーション施設へ2024年9月に納品が完了し、さらに2026年1月期においてドコモショップ2,000店舗へ採用されることが決定いたしました。
以上の結果、TRaaS事業の売上高は93,215千円(前年同期比15.2%増)、セグメント利益は59,388千円(同49.7%減)となりました。
(受注型Product事業)
受注型Product事業の当事業年度におきましては、訪日外国人の増加に伴うインバウンド需要の拡大により、ホテル、飲食店等のホスピタリティ市場の回復が顕著となっております。その需要増加に伴い、お客様からのSTB等の引き合いが増加しており、当社が長年培ったSTBの開発技術力と調達ネットワークを活かしたお客様のニーズを捉えた的確な提案が実を結んできており、STB及びサーバー案件等の受注が大幅に増加いたしました。また、DX(Digital Transformation)を推進し、業務効率の改善を目指すお客様からのCygnus2の引き合いも堅調に推移いたしました。
以上の結果、受注型Product事業の売上高は127,874千円(前年同期比28.4%増)、セグメント利益は79,713千円(同21.2%増)となりました。
(テクニカルサービス事業)
テクニカルサービス事業の当事業年度におきましては、大型のシステム開発案件の継続受注が大きく売上に貢献すると共に、エンジニア派遣ビジネスも堅調に推移いたしました。
以上の結果、テクニカルサービス事業の売上高は190,402千円(前年同期比45.9%増)、セグメント利益は101,729千円(同58.0%増)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における総資産は542,471千円となり、前事業年度末に比べ29,129千円増加いたしました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が11,078千円、無形固定資産が25,473千円増加した一方で、現金及び預金が15,245千円減少したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は130,398千円となり、前事業年度末に比べ25,168千円増加いたしました。これは主に、買掛金が8,284千円、流動負債その他が11,999千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は412,073千円となり、前事業年度末に比べ3,961千円増加いたしました。これは主に、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ807千円、利益剰余金が2,346増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前事業年度末に比べ15,245千円減少し、314,851千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は28,017千円(前年同期は72,561千円の支出)となりました。これは主に、増加要因として、減価償却費23,788千円、仕入債務の増加額8,284千円、税引前当期純利益6,781千円があったものの、減少要因として、売上債権の増加額11,078千円、法人税等の支払額3,190千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果支出した資金は45,200千円(前年同期は53,957千円の支出)となりました。これは主に、減少要因として、無形固定資産の取得による支出41,578千円、有形固定資産の取得による支出3,622千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果獲得した資金は1,387千円(前年同期は67,834千円の獲得)となりました。これは主に、株式の発行による収入1,615千円、リース債務の返済による支出227千円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.仕入実績
当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(千円)前年同期比(%)
TRaaS事業12,234147.4
受注型Product事業40,05815.4
テクニカルサービス事業△100.0

(注) 金額は、仕入価格によっております。
b.受注実績
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高
(千円)
前年同期比
(%)
受注残高
(千円)
前年同期比
(%)
TRaaS事業31,131△11.33,395△83.4
受注型Product事業186,670142.161,900837.9
テクニカルサービス事業195,232343.7

(注) 当事業年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは主にアフターコロナでのインバウンド
需要拡大に伴い、ホスピタリティ市場(ホテル、飲食店等)の顕著な回復を受け、STB案件等の安定受注に
より受注型Product事業の受注残高が増加しております。
c.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
TRaaS事業93,21515.2
受注型Product事業127,87428.4
テクニカルサービス事業190,40245.9
合計411,49232.3

(注) 最近2事業年度の主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前事業年度当事業年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
株式会社DINOS CORPORATION66,17821.353,52313.0
三波工業株式会社45,01114.553,65013.0
株式会社ジーエーピー44,00014.1124,22030.2


(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績を勘案し合理的に判断しておりますが、実績の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。この財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、仕入活動、製造活動に必要となる運転資金、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資によるものであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金及び設備投資は自己資金及び金融機関からの借入、社債発行、新株予約権発行及び増資による方針であります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社は「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、法的規制等、様々なリスク要因が当社の経営成績に影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は常に業界動向に留意しつつ、優秀な人材を確保し顧客のニーズに合った製品・サービスを提供していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。