有価証券報告書-第9期(令和2年10月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/12/27 12:33
【資料】
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【項目】
131項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当社グループは、「未来のソフトウエアを形にする」をミッションに掲げ、主に自然言語処理、画像認識、音声解析、機械学習/深層学習技術に関わるアルゴリズムソリューションを展開しております。 Mobility & MaaS事業は、Smart City化に向けてリアル空間のオペレーションを知能化させていく取り組みを行っております。画像認識に関わるアルゴリズムを活用した新たなサービス・商品等の開発ニーズを受けて、アルゴリズムソリューション及びアルゴリズムソフトウエアを販売しております。また、IoT機器からリアル空間のデータを収集しクラウドに繋げた上で顧客への製品・サービス提供を行う取り組みの一環として駐車場機器の製造販売・駐車場運営事業を行っております。 Cloud Intelligence事業は、デジタル空間上で行われる処理を知能化させていく取り組みを行っております。アルゴリズムの活用による既存ソフトウエアの高度化・効率化や、オペレーションのソフトウエア化といったニーズに対応するアルゴリズムソリューション及びアルゴリズムソフトウエアを提供しております。 当連結会計年度においては、当社は引き続き特定領域におけるアルゴリズムソフトウエアの強化とバリューチェーンの垂直統合を目指す成長戦略のもと、優秀な人材の採用やアルゴリズムのラインアップ拡張、研究開発の加速などの先行投資に注力してきました。 この結果、当連結会計年度の売上高は8,727,071千円(前年度比18.0%増)となりました。これは主に、Cloud Intelligence事業におけるソリューションの新規案件受注の増加及び各種ソフトウエアライセンスの販売拡大と、当連結会計年度の期中に買収した株式会社アシリレラ及び株式会社PRAZNAが連結業績に寄与したことによるものです。
営業利益は713,515千円(前年度比12.4%増)、経常利益は635,542千円(前年度比5.4%増)となりました。
営業利益及び経常利益が前年度を上回ったのは、第3四半期連結会計期間において、株式会社アシリレラ及び株式会社PRAZNAの株式取得関連費用を販売費及び一般管理費として229,957千円、株式会社PRAZNAの株式取得に伴う金融機関からのノンリコース・ローン手数料を営業外費用として34,561千円計上したものの、前述のCloud Intelligence事業の成長が寄与したことによるものです。親会社株主に帰属する当期純利益は147,543千円(前年度比91.6%減)となりました。前年度を下回ったのは、前年度において投資有価証券売却に伴う特別利益として2,622,221千円を計上したこと等によるものです。また、当連結会計年度において法人税等の負担率が上昇しているのは、当社の一部の子会社で生じた欠損金及び株式取得関連費用並びにのれん償却額について繰延税金資産を計上していないことによるものです。
セグメント別の経営成績は次の通りであります。
(Mobility & MaaS事業)
Mobility & MaaS事業につきましては、主要顧客である駐車場運営会社からの当社の画像解析アルゴリズムやソフトウエアを用いたロックレスの駐車場機器ソリューションへのニーズは堅調だったものの、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い顧客の新規駐車場開設の投資意欲が低下したことで実導入のペースが鈍化し、当連結会計年度は売上高成長率が押し下げられセグメント利益は減益となっております。
この結果、売上高は5,119,137千円(前年度比2.5%減)、セグメント利益は79,424千円(前年度比75.7%減)となりました。
(Cloud Intelligence事業)
Cloud Intelligence事業につきましては、アルゴリズムの活用によるオペレーションのソフトウエア化を進めるニーズが堅調に拡大しております。このような環境の中、ソリューションの新規案件受注拡大と、自動応答エンジン「BEDORE」を中心としたソフトウエアプロダクトや、3D姿勢分析システム「シセイカルテ」の拡販を進めてまいりました。第3四半期連結会計期間において、株式会社アシリレラ及び株式会社PRAZNAの株式取得関連費用を229,957千円計上したものの、既存事業の成長と株式会社アシリレラ及び株式会社PRAZNAの連結業績への寄与もあり売上高、セグメント利益ともに増収・増益となりました。また、今後の成長に向けて人件費を中心に積極的な先行投資を実施しております。この結果、売上高は3,616,033千円(前年度比66.8%増)、セグメント利益は785,777千円(前年度比64.6%増)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は35,277,457千円となり、前連結会計年度末に比べ3,372,771千円増加いたしました。流動資産は15,634,595千円(前連結会計年度末比10,565,322千円減)となりました。主な減少要因は、現金及び預金が11,332,343千円減少したことによるものであります。また、固定資産は19,619,407千円(前連結会計年度末比13,964,176千円増)となりました。主な増加要因は、のれんが7,481,617千円、投資有価証券が4,234,273千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は6,671,795千円となり、前連結会計年度末に比べ2,206,149千円増加いたしました。主な増加要因は、1年内返済予定の長期借入金が480,000千円、長期借入金が1,618,310千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は28,605,662千円となり、前連結会計年度末に比べ1,166,622千円増加いたしました。主な増加要因は、その他有価証券評価差額金が979,956千円増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は12,804,730千円となり、前連結会計年度末に比べ11,332,343千円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は168,230千円となりました。主な増加要因は税金等調整前当期純利益584,311千円、減価償却費463,125千円、のれん償却額307,573千円、主な減少要因は法人税等の支払額1,446,160千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は13,476,394千円となりました。主な増加要因は保険積立金の解約による収入605,785千円、主な減少要因は投資有価証券の取得による支出2,805,756千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出10,882,919千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は1,975,819千円となりました。主な増加要因は長期借入れによる収入2,400,000千円、主な減少要因は長期借入金の返済による支出301,690千円、自己株式の取得による支出240,162千円であります。
(資本の財源及び資金の流動性について)
当社グループの資金需要のうち主なものは、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金であります。これらの資金需要に対して当社グループでは、主として手元の資金及び金融機関からの借入金によって資金を確保しております。
④ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
生産実績においては、当社グループの業務形態上、重要性が乏しいため記載を省略しております。
b. 受注実績
提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
Mobility & MaaS事業5,119,137△2.0
Cloud Intelligence事業3,607,93366.5
合計8,727,07118.0

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況」に記載のとおりであります。
また、連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 売上高
当連結会計年度の売上高は、8,727,071千円となりました。これは主に、株式会社アシリレラ及び会社PRAZNAの連結子会社化による業績寄与、並びにアルゴリズムライセンスの積み上げ、アルゴリズムソフトウエアの拡販が進んだことによるものであります。
b. 売上原価、売上総利益
当連結会計年度の売上原価は、5,141,010千円となりました。これは主に、株式会社アシリレラ及び株式会社PRAZNAを期中に連結子会社化したことにより、費用が増加したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の売上総利益は、3,586,060千円となりました。
c. 販売費及び一般管理費、営業損益
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、2,872,544千円となりました。これは主に、株式会社アシリレラ及び株式会社PRAZNAを期中に連結子会社化したことによる費用の増加、事業規模拡大に伴う人員増加により採用教育費が増加したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、713,515千円となりました。
d. 営業外損益、経常損益
当連結会計年度の営業外収益は、60,638千円となりました。これは主に、受取配当金、受取家賃によるものであります。一方で、営業外費用は、138,611千円となりました。これは主に支払利息、株式交付費償却、支払手数料によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、635,542千円となりました。
e. 特別損益、親会社株主に帰属する当期純損益
当連結会計年度の特別利益は、903千円となりました。これは、固定資産売却益によるものであります。一方で、特別損失は、52,133千円となりました。これは主に、投資有価証券評価損によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、584,311千円となり、法人税等を418,565千円計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、147,543千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照下さい。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。