有価証券報告書-第47期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/24 15:47
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【項目】
130項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、原材料や輸入物価上昇を価格転嫁した企業が業績回復したことや、円安を背景としたインバウンド需要が増加したことにより景気動向は緩やかに回復基調となっております。しかしながら、日銀による政策金利の引き上げや前述の価格転嫁に伴う消費者の生活コスト上昇など、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当社グループは、中低所得者層を主な顧客層として「新築」「中古」「賃貸」に代わる「第4の選択肢」を提供することを目指し、商品化が難しい築古の戸建物件を取扱い、そのままでは住むことができない状態の物件にリフォームで価値を足して販売しております。
販売面においては、賃貸住宅にお住まいのファミリー層を中心に「低価格で高品質の住宅に住みたい」というニーズは好調に推移いたしました。生活コスト上昇に対応するために低価格帯の住宅を提供するなどの販売方針を継続し、お客様のニーズに合った住宅を提供することで、販売件数は前連結会計年度比で増加いたしました。また、販売件数の増加に伴い売上高も前連結会計年度比で増加いたしました。
仕入面においては、中古住宅のリスクを見極め、再生可能かつ利益を確保できる物件を厳選して仕入れを行う方針としております。そのような中、安定的な成長に向けて買取りの行動量を増やした結果、仕入件数は前連結会計年度末と比較して大幅に増加いたしました。また、仕入れた物件の商品化にも注力した結果、販売用不動産及び仕掛販売用不動産は前連結会計年度末と比較して増加し、在庫不足を解消し、成長に向けた在庫を確保いたしました。
利益面においては、前述の低価格帯の住宅を提供する施策をはじめとした粗利向上施策が継続的に寄与したことから、売上総利益率は前連結会計年度比1.8ポイント上昇いたしました。また、販売費及び一般管理費は、今後の安定成長に向けた人材採用と育成の投資を継続することに加えて、社員のモチベーション向上を図るために決算特別賞与354百万円の支給を決定したことにより人件費が増加した結果、前連結会計年度比8.8%増加となりました。
(財政状態)
当連結会計年度の資産合計は、83,329百万円となり、前連結会計年度末の77,366百万円から5,962百万円増加、負債合計は、37,610百万円となり、前連結会計年度末の37,025百万円から584百万円増加、純資産合計は、45,719百万円となり、前連結会計年度末の40,341百万円から5,377百万円増加となりました。
(経営成績)
当連結会計年度の業績については、販売件数は7,372件(前連結会計年度比2.8%増)、売上高は129,537百万円(前連結会計年度比2.2%増)、営業利益は14,222百万円(前連結会計年度比12.2%増)、経常利益は13,876百万円(前連結会計年度比12.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,550百万円(前連結会計年度比12.4%増)となりました。
また、国税当局との消費税の会計処理に関わる裁判に関連して、当社グループ従来の会計処理と国税当局が主張する計算方法との乖離する金額である消費税等差額の影響を除いた調整後営業利益は16,160百万円(前連結会計年度比9.5%増)、調整後経常利益は15,814百万円(前連結会計年度比9.8%増)、調整後親会社株主に帰属する当期純利益は10,889百万円(前連結会計年度比10.3%増)となっております。
なお、当社グループは中古住宅再生事業を単一の報告セグメントとしており、その他の事業については量的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて3,260百万円減少して18,766百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は1,162百万円(前連結会計年度比87.8%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を13,870百万円計上した一方、棚卸資産の増加額が9,284百万円、未払消費税等の減少額499百万円及び法人税等の支払額3,524百万円がそれぞれあったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は152百万円(前連結会計年度比20.9%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出111百万円、無形固定資産の取得による支出48百万円がそれぞれあったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動により使用した資金は4,270百万円(前連結会計年度は3,989百万円の獲得)となりました。これは主に、自己株式の処分による収入31百万円があった一方、配当金の支払額が4,297百万円あったことによります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。
当社グループは中古住宅再生事業を単一の報告セグメントとしていることから、買取仕入と競売仕入の仕入方法別に記載を行っております。
セグメントの名称仕入方法当連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
前年同期比(%)
仕入件数(件)仕入高(百万円)
中古住宅再生事業買取仕入8,18468,662120.0
競売仕入1391,921136.9
合計8,32370,584120.4

(注)1.上記金額には、外注加工費は含まれておりません。
2.前年同期比は、仕入高の金額で比較を行っております。
c.受注実績
当社グループは受注活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
当社グループは中古住宅再生事業を単一の報告セグメントとしていることから、地域別の販売実績に分けて記載を行っております。
地域別当連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
前年同期比(%)
販売件数(件)販売高(百万円)
東京圏95721,14899.6
名古屋圏82615,232119.0
大阪圏48810,563112.9
北海道4396,86599.9
東北92214,18893.3
関東6449,551107.8
中部1,15317,96695.9
関西1051,989101.1
中国5628,95999.5
四国3645,688103.5
九州91215,93999.5
その他-1,444124.1
合計7,372129,537102.2

(注)1.総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。
2.上記は、総務省で定める地域区分の三大都市圏、都道府県毎に集計を行っており、当社グループの店舗別販売実績とは異なります。
3.前年同期比は、販売高の金額で比較を行っております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、次のとおりであります。
(経営成績)
a.売上高、売上原価及び売上総利益
当連結会計年度の売上高は、129,537百万円となり、前連結会計年度の126,718百万円から2,819百万円の増加(前連結会計年度比2.2%増)となりました。その主な要因は、生活コスト上昇に対応するために低価格帯の住宅を提供するなどの販売方針を継続し、お客様のニーズに合った住宅を提供することで販売件数が増加したことによります。
当連結会計年度の売上原価は、98,835百万円となり、前連結会計年度の98,904百万円から69百万円の減少(前連結会計年度比0.1%減)となりました。その主な要因は、上記の通り低価格帯の住宅を提供するために、お客様が多く居住するリビングを中心にリフォームをするなどのリフォーム企画を行い、リフォーム費用を抑制したことによります。
以上の結果により、当連結会計年度の売上総利益は、30,702百万円(前連結会計年度比10.4%増)となりました。
b.販売費及び一般管理費、営業利益
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、16,479百万円となり、前連結会計年度の15,141百万円から1,338百万円の増加(前連結会計年度比8.8%増)となりました。その主な要因は、給料手当及び賞与並びに賞与引当金繰入及び採用募集費等の将来の成長に向けた人的資源への投資が636百万円、認知度の向上による将来の広告投資としての広告宣伝費が161百万円増加したことによります。
以上の結果により、当連結会計年度の営業利益は、14,222百万円(前連結会計年度比12.2%増)となりました。
c.営業外損益、経常利益
当連結会計年度の営業外収益は、受取手数料5百万円、受取賠償金9百万円及び受取割引料4百万円等の計上により、34百万円となりました。また、当連結会計年度の営業外費用は、支払利息306百万円及びシンジケートローン手数料28百万円等の計上により、380百万円となりました。
以上の結果により、当連結会計年度の経常利益は、13,876百万円(前連結会計年度比12.6%増)となりました。
d.特別損益、税金等調整前当期純利益
当連結会計年度の特別損失は、固定資産売却損6百万円により、6百万円となりました。
以上の結果により、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、13,870百万円(前連結会計年度比12.7%増)となりました。
e.親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、9,550百万円(前連結会計年度比12.4%増)となりました。
(財政状態)
a.流動資産
当連結会計年度末における流動資産は、81,050百万円となり、前連結会計年度末の75,334百万円から5,715百万円の増加となりました。これは主に、販売用不動産及び仕掛販売用不動産が9,282百万円増加した一方、現金及び預金が3,260百万円減少したことによります。
b.固定資産
当連結会計年度末における固定資産は、2,278百万円となり、前連結会計年度末の2,031百万円から246百万円の増加となりました。これは主に、有形固定資産が42百万円、繰延税金資産が177百万円それぞれ増加したことによります。
c.流動負債
当連結会計年度末における流動負債は、11,028百万円となり、前連結会計年度末の10,441百万円から586百万円の増加となりました。これは主に、未払法人税等が543百万円増加した一方、未払消費税等が499百万円減少したことによります。
d.固定負債
当連結会計年度末における固定負債は、26,581百万円となり、前連結会計年度末の26,583百万円から1百万円の減少となりました。これは主に、その他の固定負債が1百万円減少したことによります。
e.純資産
当連結会計年度末における純資産は、45,719百万円となり、前連結会計年度末の40,341百万円から5,377百万円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を9,550百万円計上した一方、剰余金の配当を4,294百万円行ったことによります。この結果、自己資本比率は54.9%となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況)
当連結会計年度の事業計画に対する達成状況は以下のとおりであります。
当連結会計年度の開始時点では、当社グループは在庫不足の状況であったことから、値引き値下げを行って販売件数を追い求めるのではなく、1物件当たりの粗利金額を向上させる方針として運営してまいりました。その結果、販売件数が期初計画7,660件に対して7,372件と288件減(計画比96.2%)であったため、売上高は計画比4,963百万円減(達成率96.3%)となりました。
一方、上述の通り、1物件当たりの粗利金額を向上がされたことで売上総利益が増加し、販売費一般管理費については高いコスト意識を持ち運営を行った結果、営業利益は、計画比222百万円増(達成率101.6%)となりました。
指標2025年3月期
計画実績計画比(達成率(%))
売上高134,500百万円129,537百万円△4,963百万円(96.3%)
営業利益14,000百万円14,222百万円222百万円(101.6%)

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)
キャッシュ・フローについては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの運転資金につきましては、内部資金または借入により資金調達しております。このうち、借入による資金調達は、限度額8,000百万円のコミットメントラインを含む総額34,500百万円のシンジケートローンを組成して調達しております。
当連結会計年度末における長期借入金の残高は26,500百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は18,766百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。