有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/04/18 15:00
【資料】
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【項目】
103項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
第14期連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ13,612千円減少し890,148千円となりました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ11,877千円増加し、688,276千円となりました。その主な要因は、現金及び預金が59,037千円減少致しましたが、未収還付法人税等20,208千円、電子記録債権が15,181千円、受取手形及び売掛金が10,376千円増加したことによるものであります。
固定資産は前連結会計年度末に比べ25,490千円減少し、201,871千円となりました。その主な要因は無形固定資産が80,065千円減少しましたが、有形固定資産が21,680千円、投資その他の資産が32,894千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ12,802千円減少し622,501千円となりました。その主な要因は未払法人税等が40,409千円、1年内返済予定の長期借入金が21,777千円、長期借入金が64,820千円減少しましたが、短期借入金が72,500千円、未払金が37,465千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ809千円減少し267,647千円となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が2,519千円減少したことによるものであります。
第15期第3四半期連結累計期間(自 平成30年4月1日 至 平成30年12月31日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は749,849千円となり、前連結会計年度末に比べ99,719千円増加いたしました。これは主に現金及び預金の増加54,751千円、受取手形及び売掛金の増加34,024千円によるものであります。固定資産は250,703千円となり、前連結会計年度末に比べ10,684千円増加いたしました。これは主に有形固定資産の増加42,250千円、無形固定資産の減少5,077千円、繰延税金資産の減少7,385千円、投資その他の資産のその他の減少19,102千円によるものであります。
この結果、総資産は、1,000,552千円となり、前連結会計年度末に比べ110,404千円増加いたしました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号平成30年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は580,447千円となり、前連結会計年度末に比べ52,045千円増加いたしました。これは主にその他の流動負債の増加44,123千円によるものであります。固定負債は59,281千円となり、前連結会計年度末に比べ34,817千円減少いたしました。これは主に長期借入金の減少37,351千円によるものであります。
この結果、負債合計は、639,728千円となり、前連結会計年度末に比べ17,227千円増加いたしました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は360,824千円となり、前連結会計年度末に比べ93,177千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益94,083千円を計上したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は36.1%(前連結会計年度末は30.1%)となりました。
②経営成績の状況
第14期連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用情勢の改善等を背景に国内の景気は緩やかな回復基調が続いておりますが、東アジアの地政学的リスクや米中の貿易問題等、依然として先行きが不透明な状況にあります。
当社が関連する情報サービス市場では、IoT(Internet of Things)やフィンテック、働き方改革におけるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)等、IT技術の積極的な活用が政府の成長戦略として打ち出されたことにより市場は堅調に成長しており、技術の高度化・複雑化に伴いセキュリティ対策や検証業務へのさらなるニーズの高まりとともにますます優秀な人材の確保が重要な課題となっております。
このような状況の下、当社におきましては人材を事業戦略の中心に位置付け、自社運営の採用媒体(ソフトウェアジョブズ)の強化などの既存の戦略に加え、業界未経験者にもターゲットを拡大し自社の強みである教育ノウハウを生かした採用・教育一体型のプロジェクトを開始するなど、幅広い人材戦略を実行しております。また、ソフトウェアテストの効率化を実現する管理ツール(Quality Tracker)への投資も継続して行ってまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は2,457,347千円(前年同期比7.1%増)、売上総利益率は29.8%と前連結会計年度(30.2%)から0.4ポイント低下致しました。これはWeb/モバイルアプリ開発サービス事業の売上が増加しましたが、ソフトウェアテストサービス事業で人員不足の影響により外注費が増加したことに伴い利益率が悪化したことによるものであります。
営業利益は41,391千円(前年同期比54.8%減)、営業利益率は1.7%と前連結会計年度(4.0%)から2.3ポイント低下致しました。これは売上総利益率の低下に加え採用費が24,143千円、研究開発費が19,027千円、人件費が18,456千円増加したことによるものであります。
経常利益33,974千円(前年同期比66.9%減)となり、ソフトウェアに関する固定資産除却損を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は2,519千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益は38,476千円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
[ソフトウェアテストサービス事業]
当事業においては、人材不足の影響が強く、外部顧客に対する売上高は2,132,689千円、セグメント利益は62,381千円となりました。各サービスの業績は次のとおりであります。
(ⅰ)ソフトウェアテストサービス
ロボット関連や量販店向けシステムなど堅調に伸びた分野もあり、顧客からの引き合いも依然として強い環境ではあるものの、人材不足等の影響により市場のニーズの取込みに苦戦した結果、売上高は2,066,270千円(前期比0.9%増)となりました。
(ⅱ)その他サービス
主にソフトウェアテストセミナーが堅調に推移し、売上高は66,418千円(前期比46.2%増)となりました。
[Web/モバイルアプリ開発サービス事業]
当事業はモバイルアプリ開発及びWebセキュリティ診断(脆弱性診断)で構成されます。当事業においては新規受注が堅調に推移したことに加え、開発管理体制の見直しにより原価率も改善し、外部顧客に対する売上高は277,916千円(前期比49.6%増)、セグメント利益は36,500千円(前期は1,777千円の損失)となりました。
[オフショアサービス事業]
当事業はソフトウェアテストサービス及びソフトウェア開発で構成されます。当事業においては、在比日系企業との取引が堅調に拡大し、外部顧客に対する売上高は46,741千円(前期比236.2%増)となり、セグメント利益は2,360千円(前期は10,145千円の損失)となりました。
第15期第3四半期連結累計期間(自 平成30年4月1日 至 平成30年12月31日)
当第3四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、雇用情勢の改善等を背景に国内の景気は緩やかな回復基調が続いておりますが、新興国を中心とした景気の減速懸念、米国・欧州の政治動向等、依然として先行きが不透明な状況にあります。
当社グループが関連する情報サービス市場では、IoT・ビッグデータ等、IT技術の積極的な活用が政府の成長戦略として打ち出され、企業業績の回復基調を背景にこれまで延期・縮小していたシステム開発が堅調に推移する等、業界全体は成長基調にあります。その反面、これらの市場状況を背景にIT技術者の不足が顕在化しており、特に高度なスキルを有するIT技術者の確保が重要な課題となっております。
このような状況の中、当社グループにおきましては、「お客様の品質に対する自信を揺るぎないものにしたい」をグループスローガンとして掲げ、上流工程の品質管理からテスト業務支援、セミナーによる品質教育に至るまで、幅広いサービスラインナップによりお客様の品質管理を支援しております。また、課題でありますIT技術者確保のための取り組みにつきましては、当社運営の採用媒体である「ソフトウェアジョブズ」の強化、IT技術者への徹底した社内研修制度等、人材に対する積極的な投資を行うとともに、ソフトウェアテストの効率化や品質向上のための管理システムの開発も継続して行っております。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は2,298,364千円、売上総利益率は29.7%となりました。これはソフトウェアテストサービス事業において売上高が大きく増加した一方で、人員不足を外注エンジニアにより補完した影響により外注費が増加したことによるものであります。
営業利益は124,887千円、営業利益率は5.4%となりました。これは人件費、採用費、研究開発費などが増加しておりますが、増収がこれらの影響を吸収したことによるものであります。
経常利益は124,070千円、親会社株主に帰属する四半期純利益は94,083千円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
[ソフトウェアテストサービス事業]
当事業においては、テストエンジニア確保のための採用・教育戦略の結果、既存顧客との取引増加・新規取引先の拡大の両面において市場の需要の取り込みに成功し、外部顧客に対する売上高は2,079,532千円となり、セグメント利益は157,089千円となりました。
[Web/モバイルアプリ開発サービス事業]
当事業においては、開発エンジニアの確保に苦戦した結果、外部顧客に対する売上高は189,240千円となり、セグメント利益は22,420千円となりました。
[オフショアサービス事業]
当事業においては、在比日系企業を中心に取引企業数は増加傾向ではありますが、前連結会計年度における大口取引先との契約終了の影響を埋めるには至らず、外部顧客に対する売上高は29,592千円となり、セグメント損失は6,876千円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
第14期連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ56,037千円減少し169,862千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは2,055千円の減少となりました。これは主に法人税等の支払額△63,190千円、税金等調整前当期純損失△31,358千円があった一方、固定資産除却損65,333千円、未払金の増加額31,206千円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは41,649千円の減少となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出△21,883千円、敷金及び保証金の差入による支出△41,471千円、敷金及び保証金の回収による収入30,187千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは11,533千円の減少となりました。これは主に長期借入金の返済による支出△86,597千円、短期借入金の純増加額72,500千円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループが行う全ての事業は、受注から売上計上までの期間が短いため、記載を省略しております。
c.販売実績
第14期連結会計年度及び第15期第3四半期連結累計期間のセグメント別の販売実績は、以下のとおりであります。
セグメントの名称第14期連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
第15期第3四半期
連結累計期間
(自 平成30年4月1日
至 平成30年12月31日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
ソフトウェアテストサービス事業2,132,689101.82,079,532
ソフトウェアテストサービス2,066,270100.92,013,245
その他サービス66,418146.266,286
Web/モバイルアプリ開発サービス事業277,916149.6189,240
オフショアサービス事業46,741336.229,592
合計2,457,347107.12,298,364

(注)1.最近2連結会計年度及び第15期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第13期連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
第14期連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
第15期第3四半期連結累計期間
(自 平成30年4月1日
至 平成30年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
楽天株式会社406,02517.7468,57219.1431,02818.8

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成に際しては、連結決算日における資産、負債及び純資産の計上、当連結会計年度における収益、費用の計上については、過去の実績や現況に基づいた合理的な基準による見積もり及び判断を行っておりますが、実際の結果は特有の不確実性があるため、見積もりと異なる場合があります。
なお、重要な会計方針等につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析については、前述の「(1)経営成績等の状況の概要」、経営成績に重要な影響を与える要因については、前述の「2.事業等のリスク」に含めて記載しております。
資本の財源及び資金の流動性について、当社グループは、運転資金については自己資金及び金融機関からの借入金を基本としております。
③経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループが高品質なサービスを継続的に提供していくために、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の経営課題に対処することが必要であると認識しております。また、当社グループを取り巻く外部環境及び内部環境を適宜適切に把握し、市場におけるニーズを識別して経営資源の最適化に努めてまいります。