有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/08/15 15:00
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88項目
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況の概要
①財政状態の状況
第15期事業年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
a.資産
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて16,158千円増加し、995,430千円となりました。これは主に、事業拡大によるコスト増加の結果現金及び預金が91,886千円減少したことに加え米国子会社を清算したことにより関係会社株式が11,062千円減少した一方で、売上高増加に伴い売掛金が49,163千円増加したことに加え前事業年度末に評価性引当額を計上した結果資産計上していなかった繰延税金資産について収益拡大を背景として当事業年度より43,538千円計上したことによります。
b.負債
当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べて126,958千円増加し、466,378千円となりました。これは主に、事業拡大により前受金が74,827千円増加したことに加え、未払金が51,255千円増加したことによります。
c.純資産
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて110,800千円減少し、529,051千円となりました。これは当期純損失110,800千円を計上したことによります。
第16期第2四半期累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年6月30日)
a.資産
当第2四半期会計期間末における総資産は、前事業年度末に比べて84,401千円増加し、1,079,831千円となりました。これは主に、事業拡大による売上増加の結果、現金及び預金が18,808千円増加し、売掛金が11,699千円増加したことに加え有形固定資産が19,113千円増加し、投資その他の資産のその他が21,751千円増加したことによります。
b.負債
当第2四半期会計期間末における負債は、前事業年度末に比べて37,993千円増加し、504,371千円となりました。これは主に、事業拡大により前受金が40,173千円増加したことによります。
c.純資産
当第2四半期会計期間末における純資産は、前事業年度末に比べて46,407千円増加し、575,459千円となりました。これは四半期純利益46,407千円を計上したことによります。
②経営成績の状況
第15期事業年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
当事業年度における我が国の経済は、国際情勢の不安定により先行きが不透明な状況が続きましたが、底堅い企業業績の好調に伴う株価の上昇、雇用・所得の改善が継続していました。当社の経営環境としましては、日本の労働人口が減少局面を迎え、持続的な成長を続けるためにITを活用した労働生産性の向上や、企業の長時間労働の是正、従業員のライフプランやワークライフバランスを支援し、多様な働き方の実現を目指す「働き方改革」が、頻繁にメディア報道などで注目を集めております。
このような状況の中で当社は、「働くをもっと楽しく、創造的に。」というミッションのもと、企業の「働き方改革」を実現するために、新規顧客獲得に向けた営業活動の強化、Webマーケティング活動の強化、既存サービスの機能強化を進めてまいりました。その結果、主力サービスである「Chatwork」の取引先が順調に拡大しております。
以上の結果、当社の経営成績は、売上高1,301,836千円(前事業年度比34.4%増)、営業損失186,097千円(前事 業年度は249,532千円の営業損失)、経常損失163,146千円(前事業年度は230,222千円の経常損失)、当期純損失110,800千円(前事業年度は232,965千円の当期純損失)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(Chatwork事業)
Chatwork事業は、主力サービスである「Chatwork」の利点を訴求し、新たな機能追加と顧客の開拓に努めました。以上の結果、売上高は1,119,489千円(前事業年度比55.0%増)、セグメント損失は256,516千円(前事業年度380,720千円のセグメント損失)となりました。なお当事業が当社の主力事業であり、本社機能も含めて各間接費の全てが当事業の維持・拡大のために費やされていることから、間接費の全額を当事業における費用として計上しております。
(セキュリティ事業)
セキュリティ事業については、当社としては積極的な事業拡大は行わない方針としております。その結果、売上高は182,347千円(前事業年度比25.9%減)、セグメント利益は70,418千円(前事業年度比46.3%減)となりました。なお、当事業のセグメント利益については、前述のとおり間接費を全てChatwork事業にて計上していることから、当事業の売上高より当事業に要した広告宣伝費、販売促進費及び業務委託費等の直接経費のみを控除した金額を計上しております。
第16期第2四半期累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年6月30日)
当第2四半期累計期間において、継続的な事業成長の実現に向け、引き続き新規顧客獲得に向けた営業活動の強化、Webマーケティング活動の強化、既存サービスの機能強化に積極的に取り組んでまいりました。この結果、当第2四半期累計期間の経営成績は、売上高853,438千円、営業利益55,606千円、経常利益56,602千円、四半期純利益46,407千円となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(Chatwork事業)
Chatwork事業は、引き続き主力サービスである「Chatwork」の利点を訴求し、新たな機能追加と顧客の開拓に努めました。以上の結果、売上高は748,140千円、セグメント利益は2,285千円となりました。
なお当事業が当社の主力事業であり、本社機能も含めて各間接費の全てが当事業の維持・拡大のために費やされていることから、間接費の全額を当事業における費用として計上しております。
(セキュリティ事業)
セキュリティ事業については、引き続き当社としては積極的な事業拡大は行わない方針としております。その結果、売上高は105,297千円、セグメント利益は53,320千円となりました。なお、当事業のセグメント利益については、前述のとおり間接費を全てChatwork事業にて計上していることから、当事業の売上高より当事業に要した広告宣伝費、販売促進費及び業務委託費等の直接経費のみを控除した金額を計上しております。
③キャッシュ・フローの状況
第15期事業年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
当事業年度において現金及び現金同等物は、前事業年度末比91,886千円減少し、当事業年度末の残高は611,287千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、66,349千円の支出(前事業年度は158,183千円の支出)となりました。主な内訳は、税引前当期純損失149,596千円の計上、前受金の増加額74,827千円等です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、25,447千円の支出(前事業年度は87,481千円の支出)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出30,656千円であり、その具体的な取得資産は谷上プロジェクトの実施に伴うオフィス什器・内装です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、90千円の支出(前事業年度は91千円の支出)となりました。内容は、新株予約権発行による支出です。
第16期第2四半期累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年6月30日)
当第2四半期会計期間末において現金及び現金同等物は、前事業年度末比18,808千円増加し、当第2四半期会計期間末の残高は630,096千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、58,117千円の収入となりました。主な内訳は税引前四半期純利益56,602千円の計上によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、39,308千円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出26,868千円であり、その具体的な取得資産は大阪本社移転に伴うオフィス什器・内装です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、当第2四半期累計期間での発生はありませんでした。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産活動を行っていないため、記載を省略します。
b.受注実績
当社事業は、提供するサービスの性質上受注実績の記載になじまないため、記載を省略します。
c.販売実績 販売実績は次のとおりです。
セグメントの名称第15期事業年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
第16期第2四半期累計期間
(自 2019年1月1日
至 2019年6月30日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
Chatwork事業1,119,489155.0748,140
セキュリティ事業182,34774.1105,297
合計1,301,836134.4853,438

(注) 1. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第14期事業年度
(自2017年1月1日
至2017年12月31日)
第15期事業年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
第16期第2四半期累計期間
(自 2019年1月1日
至 2019年6月30日)
販売高
(千円)
割合
(%)
販売高
(千円)
割合
(%)
販売高
(千円)
割合
(%)
KDDI株式会社186,39119.2230,72917.7122,11914.3

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状等を勘案し合理的に見積り、計上しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
②経営成績の分析
第15期事業年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
a.売上高
当事業年度における売上高は、1,301,836千円(前事業年度比333,542千円の増収)となりました。内訳としては、セキュリティ事業の売上高が182,347千円(前事業年度比63,790千円の減収)になった一方で、主力事業であるChatwork事業の売上高が1,119,489千円(前事業年度比397,332千円の増収)になりました。これは、Chatwork事業における新規顧客開拓の強化やサービスの機能強化を行った結果、当サービスの利用企業数(登録アカウント数)が前事業年度末16万社から当事業年度末に20万社超となり、課金ID数が前事業年度末253千名から当事業年度末339千名と大幅に増加したことによります。
なお、Chatwork事業におけるサービス別の売上高の状況は以下のとおりです。
第15期事業年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
Chatwork利用料1,041,225158.6
広告サービス54,450102.6
プラットフォームサービス23,813186.7
Chatwork事業 合計1,119,489155.0

b.売上原価、売上総利益
当事業年度における売上原価は、567,246千円(前事業年度比96,195千円の増加)となりました。これは、労務費及びサーバー費用の増加によるものです。これによって、当事業年度の売上総利益は734,590千円(前事業年度比237,347千円の増益)となりました。
c.販売管理費及び一般管理費、営業損益
当事業年度における販売管理費及び一般管理費は、920,688千円(前事業年度比173,913千円の増加)となりました。主な増加要因は、給与手当が53,423千円、広告宣伝費が31,303千円、地代家賃が16,043千円、支払手数料が13,510千円増加したことによるものであります。これにより、当事業年度の営業損益は186,097千円の営業損失(前事業年度は249,532千円の営業損失であり、前事業年度比63,434千円の増益)となりました。
d.経常損益
当事業年度における経常損益は、163,146千円の経常損失(前事業年度は230,222千円の経常損失であり、前事業年度比67,076千円の増益)となりました。これは営業外収益に前事業年度において計上された保険解約返戻益19,232千円が当事業年度には無くなった一方で、谷上プロジェクト実施に伴い神戸市からの補助金収入22,344千円を計上したことによります。
e.当期純損益
当事業年度において、当社の米国子会社を清算しております。これに伴い、関係会社株式11,062千円の減損部分と子会社との取引のうち当社に計上されていた未払債務の債務免除部分を相殺した金額である13,549千円を関係会社清算益として特別利益に計上しております。また法人税、住民税及び事業税を4,741千円計上した一方で、当該事業年度より繰延税金資産を計上することとなった結果、法人税等調整額を△43,538千円計上したため、当期純損益は110,800千円の損失(前事業年度は232,965千円の当期純損失であり、前事業年度比122,165千円の増益)となりました。
第16期第2四半期累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年6月30日)
a.売上高
当第2四半期累計期間における売上高は、853,438千円となりました。内訳としては、主力事業であるChatwork事業の売上高が748,140千円、セキュリティ事業の売上高が105,297千円になりました。
なお、Chatwork事業におけるサービス別の売上高の状況は以下のとおりです。
第16期第2四半期累計期間
(自 2019年1月1日
至 2019年6月30日)
金額(千円)
Chatwork利用料702,959
広告サービス25,148
プラットフォームサービス20,032
Chatwork事業 合計748,140

b.売上原価、売上総利益
当第2四半期累計期間における売上原価は、323,076千円となりました。これは、主にChatwork事業の拡大に伴う労務費及びサーバー費用によるものであります。この結果、売上総利益は530,361千円となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
当第2四半期累計期間における販売管理費及び一般管理費は、474,755千円となりました。これは、主に事業の拡大に伴う人員の増加による給料手当等、Chatwork事業におけるWebマーケティングを中心として広告宣伝等によるものであります。この結果、営業利益は55,606千円となりました。
d.経常利益
当第2四半期累計期間において、営業外収益は1,664千円、営業外費用が668千円発生しております。この結果、経常利益は56,602千円となりました。
e.四半期純利益
当第2四半期累計期間において、法人税、住民税及び事業税を21,512千円計上した一方で、法人税等調整額を△11,317千円計上したため、四半期純利益は46,407千円となりました。
③財政状態の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況の概要 ①財政状態の状況」をご確認下さい。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。
⑤資本の財源及び資金の流動性について
当社はこれまで継続的に営業損失を計上してきたため、運転資金を含めた必要資金を新株発行による資金調達により賄ってまいりましたが、足許においては、課金ID数の拡大とともに、事業運営を十分賄えるだけの資金を収入によって得ることができている状態にあると言えます。当社のビジネスモデルは、サブスクリプション型のユーザー課金モデルとなっており、課金対象となっている既存顧客が利用を継続する限りにおいては、安定的な収入が計上されます。従って、今後の資金戦略としては、収益計上された資金を事業戦略も踏まえてどのように費用充当していくかが重要であると考えております。
今後の基本方針としては、収益として回収された資金から既存のビジネスの維持に必要な固定的費用を控除した金額の一部を営業部門の人件費や広告宣伝費といった更なる販売促進に係る費用として充当していき、残額については利益として内部留保に計上する一方で、将来の設備投資や新ビジネス開発といった成長投資資金の源泉としていきたいと考えております。
なお、資金の流動性については、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は611,287千円となっており、当事業年度におけるフリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額)が91,796千円の支出となっておりましたが、足許では顧客数の拡大から利益を計上しており、当第2四半期累計期間におけるフリーキャッシュ・フローは18,808千円の収入となっております。
⑥経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社は、経営上の目標の達成状況をChatwork事業における「課金ID数」及び「売上高成長率」の指標で判断しております。当第2四半期累計期間における課金ID数は364千名と2018年12月期末の339千名対比で7.4%増加しております。加えて、Chatwork事業における当第2四半期累計期間における売上高は748,140千円と2018年12月期の1,119,489千円に対して66.8%で推移しております。現時点においては予定通りの事業進捗となっており、また当社のビジネスモデルがサブスクリプション型であり足許の収入の安定化や新規の案件獲得により今後の業績以上の売上が期待できることから、順調に推移しているものと認識しております。