有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/11/07 15:00
【資料】
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【項目】
146項目
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 業績等の概要
第7期連結会計年度(自 2018年7月1日 至 2019年6月30日)
当社グループは、スモールビジネス向けのクラウドERP市場のTAMについて、約1.1兆円と推計(注)しております。中小企業における会計ソフトウェア利用率は54.1%、そのうちクラウド会計普及率は14.5%に留まるなど(注)、スモールビジネス向けのクラウドERP市場は今後も高い成長が見込まれます。
2018年7月には、ミッションを従来の「スモールビジネスに携わるすべての人が、創造的な活動にフォーカスできるよう」から「スモールビジネスを、世界の主役に。」へと刷新しました。また、ミッションの実現に向けて、「アイデアやパッションやスキルがあればだれでも、ビジネスを強くスマートに育てられるプラットフォーム」というビジョンを新たに掲げました。これは、当社グループの提供価値を、バックオフィスの生産性向上にとどまらず、経営の可視化による収益力の向上や、フロント業務の効率化・自動化、金融サービスなど直接的に経営を支援するサービスの提供にまで踏み込んだものへと拡大・深化させることを企図したものです。
当社グループは「経営者の意思決定をサポートする『経営ナビゲーター』をすべてのスモールビジネスにとって当たり前の存在にする」というビジョンを掲げ、意思決定のために必要なデータを簡単・リアルタイムに可視化するサービスの実現に取り組みました。具体的には「会計クラウドソフトfreee」においてAI月次監査機能(2018年12月)やプロジェクト会計機能(2018年12月)をリリースしました。
また、ユーザーやサービス提供者と繋がるプラットフォームとしての価値の実現にも取り組みました。具体的には、業務改善を求めるユーザーと最適なサービスを提供する事業者や開発者がつながるプラットフォームとして「freeeアプリストア」をリリースしました。さらに、2019年6月にスモールビジネスの資金繰り改善を企図した金融サービスとして、ユーザーに適した金融機関と繋がることができるプラットフォームサービス「オファー型融資」及び「請求書ファイナンス」をリリースしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は4,516百万円、営業損失は2,830百万円、経常損失は2,850百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は2,778百万円となりました。
なお、当社はプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。また、当連結会計年度より、連結財務諸表を作成しているため、前事業年度との比較分析は行っておりません。
(注)前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)当社グループの強み ① 成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場におけるユニークで強固なポジション」を参照
第8期第1四半期連結累計期間(自 2019年7月1日 至 2019年9月30日)
上記の事業環境において、当社グループは、ミッションの実現に向けて、主要サービスである「クラウド会計ソフトfreee」及び「人事労務freee」の機能改善に向けた開発投資を実施すると共に、ユーザー基盤の更なる拡大のために金融機関との連携を強化しました。具体的には、2019年8月には中国銀行と、同年9月にはきらぼし銀行と、中小企業の生産性向上に向けた業務提携を実施しました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は1,491百万円、営業損失は486百万円、経常損失は488百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失は490百万円となりました。
② 財政状態の状況
第7期連結会計年度(自 2018年7月1日 至 2019年6月30日)
当連結会計年度より、連結財務諸表を作成しているため、前事業年度との比較分析は行っておりません。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は7,380百万円となりました。主な内訳は、現金及び預金5,852百万円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は2,870百万円となりました。主な内訳は、前受収益1,726百万円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は4,510百万円となりました。主な内訳は、株主資本4,189百万円であります。
第8期第1四半期連結累計期間(自 2019年7月1日 至 2019年9月30日)
(資産)
当第1四半期連結累計期間末における資産合計は、前連結会計年度末比569百万円減少の6,811百万円となりました。これは主に現金及び預金が767百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当第1四半期連結累計期間末における負債合計は、前連結会計年度末比171百万円減少の2,699百万円となりました。これは主に未払金が91百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当第1四半期連結累計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末比398百万円減少の4,111百万円となりました。これは親会社株主に帰属する四半期純損失の計上により利益剰余金が490百万円減少したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
第7期連結会計年度(自 2018年7月1日 至 2019年6月30日)
当連結会計年度より、連結財務諸表を作成しているため、前事業年度との比較分析は行っておりません。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、5,852百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は、1,726百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失2,769百万円、前受収益の増加額648百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、539百万円となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出407百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は6,484百万円になりました。これは主に株式の発行による収入6,477百万円によるものです。
④ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当社グループが営む事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
b. 受注実績
当社グループが営む事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
c. 販売実績
第7期連結会計年度及び第8期第1四半期連結累計期間における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
セグメントの名称第7期連結会計年度
(自 2018年7月1日
至 2019年6月30日)
第8期第1四半期
連結累計期間
(自 2019年7月1日
至 2019年9月30日)
販売高(百万円)販売高(百万円)
プラットフォーム事業4,5161,491

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 経営成績の分析
第7期連結会計年度(自 2018年7月1日 至 2019年6月30日)
(売上高)
売上高は4,516百万円となりました。これは「クラウド会計ソフトfreee」及び「人事労務freee」の有料課金ユーザー企業数の増加、ARPUの上昇によるARRの拡大を主因とした売上高の増加によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は986百万円となりました。これは主に、サービスの利用ユーザー数の増加に伴い、サーバーに係る費用、カスタマーサポートに係る費用が増加したことによるものであります。この結果、売上総利益は3,530百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
販売費及び一般管理費は6,361百万円となりました。これは主に、人件費、マーケティング費用の増加によるものであります。この結果、営業損益は2,830百万円の損失となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
営業外収益は3百万円となり、主な内容は受取手数料であります。営業外費用は24百万円となり、主な内容は、株式交付費であります。この結果、経常損益は2,850百万円の損失となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純損失)
特別損益については、特別利益として新株予約権戻入益81百万円を計上しております。また、法人税等合計は8百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損益は2,778百万円の損失となりました。
第8期第1四半期連結累計期間(自 2019年7月1日 至 2019年9月30日)
(売上高)
売上高は1,491百万円となりました。これは「クラウド会計ソフトfreee」及び「人事労務freee」の有料課金ユーザー企業数の増加、ARPUの上昇によるARRの拡大を主因とした売上高の増加によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は300百万円となりました。これは主に、サービスの利用ユーザー数の増加に伴い、サーバーに係る費用、カスタマーサポートに係る費用が増加したことによるものであります。この結果、売上総利益は1,191百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
販売費及び一般管理費は1,678百万円となりました。これは主に、人件費、マーケティング費用の増加によるものであります。この結果、営業損益は486百万円の損失となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
営業外費用は2百万円となり、主な内容は、株式公開費用であります。この結果、経常損益は488百万円の損失となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する四半期純損失)
当第1四半期連結累計期間の法人税等合計は2百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する四半期純損益は490百万円の損失となりました。
③ 財政状態の分析
第7期連結会計年度及び第8期第1四半期連結累計期間の財政状態の分析については、前記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
第7期連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、前記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループにおける主な資金需要は、当社グループの業容拡大のための研究開発活動や営業活動にかかる人件費や広告宣伝費です。これらの資金需要に対しては、自己資金を基本としております。
⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。