有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/08/19 15:00
【資料】
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【項目】
125項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
第10期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当社の事業が関連するソフトウェア国内市場において、2019年度の市場規模見込は1兆3,961億円(パッケージ(※1)が8,315億円、SaaS(※2)が5,646億円)となっております。ユーザー独自の業務プロセスの実装が可能である個別開発システムのニーズは底堅いものの、個別開発システムからパッケージソフトへの移行が進み、市場は拡大してまいりました。近年、初期導入費用の抑制や、外部サービスとも柔軟に連携できるなどのメリットからSaaSの市場が拡大しております。SaaSの市場は今後も活性化が期待され、2023年度は8,174億円が予測されております。(富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2019年版」)
このような環境の中、当社は「安否確認サービス」「kintone連携サービス」をとおして、誰もが便利に簡単に使えるようなクラウドサービスを提供してまいりました。
また近年、日本各地で発生している地震、豪雨、台風等の災害により、各企業において、災害対策及び事業継続計画の策定、運用が重要な課題であるとの認識が進んでおります。
当社の提供する「安否確認サービス」は、災害発生時の被害状況を正確に把握し、従業員等への指示を迅速に行うための機能を備えているほか、企業の災害対策に有用な機能を多く備えているため、今後も当社サービスを利用していただける機会は拡大していくものと認識しております。
そのため、当社はリードエグジビションジャパン株式会社主催の「オフィス防災EXPO」、サイボウズ株式会社主催の「Cybozu Days」等、安否確認サービス及びkintone連携サービスに関連するイベントへの参加による顧客へのアプローチに加え、当事業年度においてはテレビCM、交通広告等のマス広告も利用し、安否確認サービスの知名度向上に努めてまいりました。
これらの結果、安否確認サービス及びkintone連携サービスにおける有償契約数は順調に増加し、当事業年度における売上高は761,226千円(前年同期比57.7%増)となりましたが、広告宣伝費の積極的な投下により、営業利益は97,628千円(同28.9%減)、経常利益は98,464千円(同28.2%減)、当期純利益は72,220千円(同21.1%減)となりました。
なお、当社は法人向けクラウドサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は行っておりません。
※1 パッケージ:パッケージソフト(利用者が自社のサーバーにソフトウエアをインストールして利用する形態)のこと
※2 SaaS:Software as a Service(利用者がインターネット等を利用し、事業者のサーバーに接続して利用する形態)のこと
第11期第2四半期累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年6月30日)
当第2四半期累計期間においては、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動への影響が懸念され、またそれに対応する働き方の変化が注目されております。
当社の提供する「安否確認サービス」は、災害発生時の被害状況を正確に把握し、従業員等への指示を迅速に行うなど、企業の災害対策に有用な機能を備えているほか、全社への一斉連絡や出社確認など、コミュニケーションを円滑にする機能を持つことから、新型コロナウイルス感染症による働き方の変化への対応にも有用であり、今後も当社サービスを利用していただける機会は拡大していくものと認識しております。そのため、テレビCM等のマス広告も利用し、安否確認サービスの知名度向上に努めてまいりました。
サイボウズ株式会社の提供する業務アプリケーション構築サービス「kintone」と連携し、より便利に利用するためのクラウドサービス「kintone連携サービス」においては、2020年3月16日にkintone内のデータを収集・計算する新サービス「データコレクト」の提供を開始しております。
なお、各サービスにおいては、便利に使えるだけでなく、誰でも簡単に操作できることを第一に、機能追加及びメンテナンスを継続しております。
これらの結果、安否確認サービス及びkintone連携サービスにおける契約数は順調に増加し、当第2四半期累計期間における売上高は499,090千円、営業利益は128,617千円、経常利益は126,530千円、四半期純利益は83,169千円となりました。
なお、当社は法人向けクラウドサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は行っておりません。
② 財政状態の状況
第10期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
(資産)
当事業年度末における総資産は前事業年度末に比べ184,762千円増加し、692,451千円となりました。これは主に、現金及び預金の増加184,396千円によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債は前事業年度末に比べ99,541千円増加し、316,563千円となりました。これは主に、当社サービスのご利用時に、当社に前払いでお支払いいただく金額が増加したことによる前受収益の増加81,307千円によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は前事業年度末に比べ85,220千円増加し、375,887千円となりました。これは、新株予約権の行使による資本金の増加6,500千円、資本剰余金の増加6,500千円、並びに繰越利益剰余金の増加72,220千円によるものであります。
第11期第2四半期累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年6月30日)
(資産)
当第2四半期会計期間末における総資産は前事業年度末に比べ230,080千円増加し、922,531千円となりました。これは主に、現金及び預金の増加223,219千円によるものでありますが、その要因は、当社サービス契約数が順調に増加したことによる税引前四半期純利益126,530千円、前受収益の増加73,343千円等によるものであります。
(負債)
当第2四半期会計期間末における負債は前事業年度末に比べ146,911千円増加し、463,474千円となりました。これは主に、広告宣伝費等に係る未払費用の増加36,796千円、未払法人税等の増加21,763千円、未払消費税等の増加11,244千円、前受収益の増加73,343千円によるものであります。
(純資産)
当第2四半期会計期間末における純資産は前事業年度末に比べ83,169千円増加し、459,056千円となりました。これは、利益剰余金の増加83,169千円によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
第10期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ184,396千円増加し、611,437千円となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は179,869千円(前事業年度は210,721千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益の計上98,464千円、当社サービスのご利用時に、当社に前払いでお支払いいただく金額が増加したことによる前受収益の増加額81,307千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は8,473千円(前事業年度は3,757千円の使用)となりました。これは、PCの購入等による有形固定資産の取得による支出2,960千円、無形固定資産の取得による支出826千円、本社オフィスの家賃改定に伴う敷金及び保証金の差入による支出4,685千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は13,000千円(前事業年度は計上がありません。)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入13,000千円によるものであります。
第11期第2四半期累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年6月30日)
当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ223,219千円増加し、834,656千円となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は224,893千円となりました。これは主に、税引前四半期純利益の計上126,530千円、前受収益の増加額73,343千円、未払費用の増加額36,796千円、未払消費税等の増加額11,244千円、法人税等の支払額23,725千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,673千円となりました。これは、複合機の購入等の有形固定資産の取得による支出1,673千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動によるキャッシュ・フローはありませんでした。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社の事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
第10期事業年度及び第11期第2四半期累計期間の販売実績は、次のとおりです。なお、当社は法人向けクラウドサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載は省略しております。
セグメントの名称第10期事業年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
第11期第2四半期累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年6月30日)
販売高(千円)前年同期比
(%)
販売高(千円)
法人向けクラウドサービス事業761,226157.7499,090

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2事業年度及び第11期第2四半期累計期間にかかる主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成に当たり、決算日における財政状態及び会計期間における経営成績に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、この見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第10期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
(売上高)
当社はリードエグジビションジャパン株式会社主催の「オフィス防災EXPO」、サイボウズ株式会社主催の「Cybozu Days」等、安否確認サービス及びkintone連携サービスに関連するイベントへの参加による顧客へのアプローチに加え、当事業年度においてはテレビCM、交通広告等のマス広告も利用し、安否確認サービスの知名度向上に努めてまいりました。
以上の結果、安否確認サービスの有償契約数は1,491件(前事業年度末比40.5%増)、kintone連携サービスの有償契約数は2,998件(同51.0%増)となり、各サービスにおける有償契約数の増加により、当事業年度における売上高は761,226千円(前年同期比57.7%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
売上高の増加に応じて、各クラウドサービスに係るサーバー費用及びサイボウズ株式会社からのライセンス仕入高等が増加いたしました。
以上の結果、当事業年度における売上総利益は635,940千円(同65.5%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当社の販売費及び一般管理費は、主に人件費、広告宣伝費及びその他の経費で構成されております。事業拡大に応じて正社員を10名増員し昇給も行ったことから、人件費が増加しました。また、広告活動の強化により、広告宣伝費は190,758千円増加しました。
以上の結果、当事業年度における営業利益は97,628千円(同28.9%減)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
主な営業外収益として助成金収入832千円が発生いたしました。その他は特に大きな変動はありません。
以上の結果、当事業年度における経常利益は98,464千円(同28.2%減)となりました。
(特別利益、特別損失及び当期純利益)
特別損益は発生しておりません。法人税等に関しては26,244千円となりました。
以上の結果、当期純利益は72,220千円(同21.1%減)となりました。
第11期第2四半期累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年6月30日)
(売上高)
当第2四半期累計期間においては、新型コロナウイルス感染症拡大による働き方の変化が注目される中、当社の提供する「安否確認サービス」は、災害発生時の被害状況を正確に把握し、従業員等への指示を迅速に行うなど、企業の災害対策に有用な機能を備えているほか、全社への一斉連絡や出社確認など、コミュニケーションを円滑にする機能を持つことから、新型コロナウイルス感染症による働き方の変化への対応にも有用であると考えております。そのため、テレビCM等のマス広告も利用し、安否確認サービスの知名度向上に努めてまいりました。
以上の結果、安否確認サービスの有償契約数は1,789件(前事業年度末比20.0%増)、kintone連携サービスの有償契約数は3,448件(同15.0%増)となり、各サービスにおける有償契約数の増加により、当事業年度における売上高は499,090千円となりました。
(売上原価、売上総利益)
当第2四半期累計期間の売上原価は71,699千円となりました。これは主に、各クラウドサービスに係るサーバー費用及びサイボウズ株式会社からのライセンス仕入高等によるものです。
以上の結果、当事業年度における売上総利益は427,390千円となりました。
(販賣費及び一般管理費、営業利益)
当第2四半期累計期間の販売費及び一般管理費は298,773千円となりました。主に人件費、広告宣伝費及びその他の経費で構成されております。
以上の結果、当事業年度における営業利益は128,617千円となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当第2四半期累計期間の営業外収益は2千円、営業外費用は2,089千円となりました。営業外収益は受取利息であり、営業外費用は株式公開費用によるものです。
以上の結果、当事業年度における経常利益は126,530千円となりました。
(特別利益、特別損失及び四半期純利益)
特別損益は発生しておりません。法人税等に関しては43,361千円となりました。
以上の結果、当期純利益は83,169千円となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。当社の資金需要のうち主なものは、事業拡大に伴う新たな人材獲得のための採用費及び人件費、サービス知名度向上のための広告宣伝費であります。通常の運転資金については自己資金により賄い、事業拡大のための資金につきましては、上場による調達資金の活用を予定しております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。当社は経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減するため、常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、人材の確保及び育成等に努めてまいります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。