有価証券報告書-第106期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、4月からの緊急事態宣言に伴う自粛により、上半期の経済活動は大きく落ち込みました。下半期に入り政府による各種経済対策の効果もあり企業収益や個人消費に改善傾向が見られたものの、年末からの感染再拡大による緊急事態宣言が再び発出されるなど、未だ感染収束時期が見通せず先行き不透明な状況が続いています。
世界経済(連結対象期間1-12月)につきましても、2月下旬から新型コロナウイルスの影響が徐々に顕在化し、3月には米国や欧州各国で非常事態宣言やロックダウンが実施されたことなどにより、企業収益や個人消費が急激に落ち込みました。4月下旬より規制が一部緩和され、経済活動は段階的に再開し改善傾向が見られましたが、10月頃から欧米において感染再拡大が見られるなど依然として厳しい状況が続いています。
当社および当社グループにおきましては、外出自粛により家庭内消費が増加したことで、家庭用食品の販売は国内・海外とも堅調に推移しました。一方、外食・観光需要は急減し水産品・業務用食品の販売が減少、需要減により水産市況が悪化したことに加え、コンビニエンスストア向け商品の売上にも影響しました。また、国内外の養殖事業においても販売価格下落に加え減産もあり厳しい事業環境となりました。
このような状況下で当連結会計年度の営業成績は、売上高は6,564億91百万円(前期比335億24百万円減)、営業利益は180億79百万円(前期比47億55百万円減)、経常利益は227億50百万円(前期比30億56百万円減)となりました。特別利益は主として投資有価証券売却益が18億42百万円増加したことなどにより、22億59百万円(前期比19億77百万円増)となりました。特別損失は主として減損損失が2億94百万円増加し、投資有価証券評価損が16億91百万円減少、災害による損失が5億87百万円増加したことなどにより、24億48百万円(前期比9億78百万円減)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は144億52百万円(前期比3億16百万円減)となり、前期の1株当たり当期純利益47円47銭に対し、46円45銭になりました。
当社および当社グループは、持続可能な水産資源から世界の人々を健康にすることを目指し、海洋環境への負荷を低減する養殖事業の拡大・技術革新に取組んでいます。今後も養殖事業の高度化を進めるとともに、海外展開の加速、急速に拡大したリモートワークや健康意識の高まりなどライフスタイルの変化に対応した商品を提供してまいります。
新型コロナウイルスへの対応につきましては、「在宅勤務」「WEB会議」などを組合せ「3つの密」にならない働き方を継続するなど感染防止対策を徹底し、お取引先様や従業員の安全確保に努め、食品の生産・供給責任を果たしてまいります。
(単位:百万円)
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
① 水産事業
水産事業につきましては、漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を営んでおります。
<当連結会計年度の概況>水産事業では売上高は2,621億8百万円(前期比274億81百万円減)となり、営業利益は59億84百万円(前期比58億65百万円減)となりました。
漁撈事業:前期比で減収、減益
<日本>・さば・いわしの漁獲は堅調に推移しましたが、ぶりなどの漁獲が低調だったことに加え、魚価も軟調に推移したことにより減収・減益となりました。
<南米>・南だらの漁獲が低調だったことにより減収・減益となりました。
養殖事業:前期比で減収、減益
<日本>・外出自粛により家庭内消費が増加し量販店向けの養殖魚の販売は増加しましたが、販売価格が下落したうえ、まぐろ養殖において台風による大量斃死が発生したため原価高となり減益となりました。
<南米>・鮭鱒は販売価格の下落に加え、減産による販売数量減少があり減収・減益となりました。
加工・商事事業:前期比で減収、減益
<日本>・鮭鱒・助子の販売数量減少に加え、鮭鱒・すりみ・ぶりの販売価格下落があり減収となりました。
<北米>・すけそうだらのすりみやフィレの歩留まり低下、人件費などのコスト増があり減収・減益となりました。
<欧州>・外食やクルーズ船向けの販売減が継続し減収・減益となりました。

② 食品事業
食品事業につきましては、加工事業およびチルド事業を営んでおります。
<当連結会計年度の概況>食品事業では売上高は3,300億37百万円(前期比72億7百万円減)となり、営業利益は140億5百万円(前期比12億44百万円増)となりました。
加工事業:前期比で減収、増益
・国内・海外とも家庭用食品(冷凍食品・チルド商品)の販売が堅調に推移したため、苦戦する業務用食品をカバーし増益となりました。
チルド事業:前期比で減収、減益
・上半期は在宅勤務の増加や観光需要減少により人出が大きく減り、コンビニエンスストア向け商品の受注が減少しました。下半期はチルド弁当や調理麺の回復や経費削減効果などがありましたが減収・減益となりました。

③ ファイン事業
ファイン事業につきましては、医薬原料、機能性原料(注1)、機能性食品(注2)、および診断薬、検査薬などの生産・販売を行っております。
<当連結会計年度の概況>ファイン事業では売上高は264億21百万円(前期比6億1百万円減)となり、営業利益は23億97百万円(前期比2億2百万円減)となりました。
<医薬原料、機能性原料、機能性食品>・医薬原料の販売は減少しましたが、機能性原料および機能性食品の販売が堅調に推移したことにより増益となりました。
<診断薬、医薬品>・診断薬機器等の販売は増加しましたが、原価率の高い商品構成となったことに加え、医薬品販売事業の売却もあり減収・減益となりました。

④ 物流事業
物流事業については、冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を営んでおります。
<当連結会計年度の概況>物流事業では売上高は166億71百万円(前期比75百万円増)となり、営業利益は22億2百万円(前期比2億15百万円増)となりました。
・業務用顧客の荷動き低迷や入庫減少の傾向が続いているものの、大阪舞洲物流センター2号棟の新規稼働や経費削減効果もあり増益となりました。
(注1) サプリメントの原料や乳児用粉ミルク等に添加する素材として使用されるEPA・DHAなど。
(注2) 主に通信販売している特定保健用食品「イマークS」やEPA・DHA などのサプリメント。
生産、受注及び販売の実績は、次の通りであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次の通りであります。
(注) 1.金額は、販売価格によります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
受注生産は行っておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次の通りであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2)財政状態
(単位:百万円)
資産合計は前連結会計年度末に比べて161億18百万円減の4,754億15百万円(3.3%減)となりました。
流動資産は213億64百万円減の2,317億51百万円(8.4%減)となりました。コミットメントラインの設定に伴い確保していた預金を取り崩したことで現金及び預金が163億84百万円減少、コントロールの強化によりたな卸資産が31億26百万円減少したことが主な要因です。
固定資産は52億45百万円増の2,436億63百万円(2.2%増)となりました。投資有価証券が株価上昇により55億91百万円増加したことが主な要因です。
負債合計は前連結会計年度末に比べて317億44百万円減の2,874億89百万円(9.9%減)となりました。
流動負債は434億28百万円減の1,534億67百万円(22.1%減)となりました。低利で安定した長期借入金を調達し短期借入金を返済したことにより、短期借入金が522億99百万円減少したこと、支払手形及び買掛金が61億88百万円増加したことが主な要因です。
固定負債は116億83百万円増の1,340億21百万円(9.6%増)となりました。流動負債の減少要因に記載の通り、長期借入金が118億68百万円増加したことが主な要因です。
純資産合計は前連結会計年度末に比べて156億25百万円増の1,879億26百万円(9.1%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益を144億52百万円計上したこと、剰余金の配当を26億48百万円行ったことに加え、固定資産の増加要因に記載の通り株価上昇によりその他有価証券評価差額金が50億41百万円増加したこと、円高が進み為替換算調整勘定が12億42百万円減少したことが主な要因です。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益および減価償却費の合計422億1百万円に対し、法人税等の支払38億24百万円を行ったものの、仕入債務の増加を中心とした運転資本の減少98億5百万円等があったため、459億10百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、オセアニア及び国内の漁撈事業の船舶投資等を行う一方、投資有価証券の売却による収入や連結の範囲の変更を伴う子会社株式売却による収入等があり、180億23百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の純増加額が91億26百万円あった一方、短期借入金の純減少額が492億82百万円、配当金の支払が26億47百万円あったため、447億86百万円の支出となりました。
現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて168億87百万円減の147億60百万円となりました。
② 資金調達方針
当社は、事業活動を円滑に行うため、コストを抑えた安定資金の調達を目指し、直接金融を含めた多様な手段の中から最適な資金調達方法を選択しています。
間接金融については、スワップ等を利用した長期固定資金と変動の短期資金のバランスを概ね1:1を基本に、経済情勢等に応じ長期固定資金の比率を上げるなど、機動的に対応することで金利変動リスクを低減し安定資金を確保しています。調達通貨は円・米ドル・ユーロを基本に各国の事業規模に応じた調達とすることで為替リスクを軽減しています。また、当連結会計年度において新たに複数の金融機関とコミットメントラインを設定し、経済環境の急激な変化による資金調達難等の流動性リスクに備えております。
資金の効率性の側面では、国内はキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を活用、海外は各国の税制等を考慮のうえ、海外グループ間の資金融通等を本社で一元管理しています。なお、北米は日本同様、統括会社でCMSを導入し北米における資金を管理しています。
③ 調達方法
四半期ごとにグループの資金需要を予想し市場環境を考慮したうえで、最適な資金調達方法を策定、取締役会で審議しています。
長期資金については、毎期の償還額にも配慮しつつ、長期間に亘り構築してきた幅広くかつ良好な関係にある複数の金融機関から借入を行っています。また、相対借入に加え、市場性の高いシンジケート・ローンや健康経営・環境対応などESG関連の格付けを活用した調達も行っています。短期資金については、借入枠を締結し資金需要に応じて機動的に調達しています。
今後もコストを抑えた安定資金を調達するため調達方法の多様化を図ってまいります。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表を作成するにあたって、たな卸資産の評価、固定資産等の減損、繰延税金資産の回収可能性などの資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。過去の実績等を踏まえ合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。なお、特にIFRSを適用している在外子会社で保有する生物資産の評価(在池魚評価)については、生物資産を販売費用等の追加コスト控除後の公正価値で測定し、取得原価との差額の変動額を純損益として認識しており、その測定には生物資産の正味売却価額や生残率等を見積もる必要があることから、市場動向や養殖成績などによって公正価値評価額が大きく変動する可能性があります。海外及び国内養殖会社の仕掛魚の評価、国内養殖会社の固定資産の減損に関する見積りや前提条件については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(5) 今後の方針について
今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、4月からの緊急事態宣言に伴う自粛により、上半期の経済活動は大きく落ち込みました。下半期に入り政府による各種経済対策の効果もあり企業収益や個人消費に改善傾向が見られたものの、年末からの感染再拡大による緊急事態宣言が再び発出されるなど、未だ感染収束時期が見通せず先行き不透明な状況が続いています。
世界経済(連結対象期間1-12月)につきましても、2月下旬から新型コロナウイルスの影響が徐々に顕在化し、3月には米国や欧州各国で非常事態宣言やロックダウンが実施されたことなどにより、企業収益や個人消費が急激に落ち込みました。4月下旬より規制が一部緩和され、経済活動は段階的に再開し改善傾向が見られましたが、10月頃から欧米において感染再拡大が見られるなど依然として厳しい状況が続いています。
当社および当社グループにおきましては、外出自粛により家庭内消費が増加したことで、家庭用食品の販売は国内・海外とも堅調に推移しました。一方、外食・観光需要は急減し水産品・業務用食品の販売が減少、需要減により水産市況が悪化したことに加え、コンビニエンスストア向け商品の売上にも影響しました。また、国内外の養殖事業においても販売価格下落に加え減産もあり厳しい事業環境となりました。
このような状況下で当連結会計年度の営業成績は、売上高は6,564億91百万円(前期比335億24百万円減)、営業利益は180億79百万円(前期比47億55百万円減)、経常利益は227億50百万円(前期比30億56百万円減)となりました。特別利益は主として投資有価証券売却益が18億42百万円増加したことなどにより、22億59百万円(前期比19億77百万円増)となりました。特別損失は主として減損損失が2億94百万円増加し、投資有価証券評価損が16億91百万円減少、災害による損失が5億87百万円増加したことなどにより、24億48百万円(前期比9億78百万円減)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は144億52百万円(前期比3億16百万円減)となり、前期の1株当たり当期純利益47円47銭に対し、46円45銭になりました。
当社および当社グループは、持続可能な水産資源から世界の人々を健康にすることを目指し、海洋環境への負荷を低減する養殖事業の拡大・技術革新に取組んでいます。今後も養殖事業の高度化を進めるとともに、海外展開の加速、急速に拡大したリモートワークや健康意識の高まりなどライフスタイルの変化に対応した商品を提供してまいります。
新型コロナウイルスへの対応につきましては、「在宅勤務」「WEB会議」などを組合せ「3つの密」にならない働き方を継続するなど感染防止対策を徹底し、お取引先様や従業員の安全確保に努め、食品の生産・供給責任を果たしてまいります。
(単位:百万円)
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する 当期純利益 | |||||
2021年 3月期 | 656,491 | 18,079 | 22,750 | 14,452 | ||||
2020年 3月期 | 690,016 | 22,834 | 25,807 | 14,768 | ||||
前期増減 | △33,524 | △4,755 | △3,056 | △316 | ||||
前期比 | 95.1 | % | 79.2 | % | 88.2 | % | 97.9 | % |
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
売上高 | 前期増減 | 前期比 | 営業利益 | 前期増減 | 前期比 | |||
水産事業 | 262,108 | △27,481 | 90.5 | % | 5,984 | △5,865 | 50.5 | % |
食品事業 | 330,037 | △7,207 | 97.9 | % | 14,005 | 1,244 | 109.7 | % |
ファイン事業 | 26,421 | △601 | 97.8 | % | 2,397 | △202 | 92.2 | % |
物流事業 | 16,671 | 75 | 100.5 | % | 2,202 | 215 | 110.9 | % |
その他 | 21,251 | 1,690 | 108.6 | % | 734 | 321 | 177.7 | % |
全社経費 | - | - | - | % | △7,245 | △468 | 106.9 | % |
合計 | 656,491 | △33,524 | 95.1 | % | 18,079 | △4,755 | 79.2 | % |
① 水産事業
水産事業につきましては、漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を営んでおります。
<当連結会計年度の概況>水産事業では売上高は2,621億8百万円(前期比274億81百万円減)となり、営業利益は59億84百万円(前期比58億65百万円減)となりました。
漁撈事業:前期比で減収、減益
<日本>・さば・いわしの漁獲は堅調に推移しましたが、ぶりなどの漁獲が低調だったことに加え、魚価も軟調に推移したことにより減収・減益となりました。
<南米>・南だらの漁獲が低調だったことにより減収・減益となりました。
養殖事業:前期比で減収、減益
<日本>・外出自粛により家庭内消費が増加し量販店向けの養殖魚の販売は増加しましたが、販売価格が下落したうえ、まぐろ養殖において台風による大量斃死が発生したため原価高となり減益となりました。
<南米>・鮭鱒は販売価格の下落に加え、減産による販売数量減少があり減収・減益となりました。
加工・商事事業:前期比で減収、減益
<日本>・鮭鱒・助子の販売数量減少に加え、鮭鱒・すりみ・ぶりの販売価格下落があり減収となりました。
<北米>・すけそうだらのすりみやフィレの歩留まり低下、人件費などのコスト増があり減収・減益となりました。
<欧州>・外食やクルーズ船向けの販売減が継続し減収・減益となりました。

② 食品事業
食品事業につきましては、加工事業およびチルド事業を営んでおります。
<当連結会計年度の概況>食品事業では売上高は3,300億37百万円(前期比72億7百万円減)となり、営業利益は140億5百万円(前期比12億44百万円増)となりました。
加工事業:前期比で減収、増益
・国内・海外とも家庭用食品(冷凍食品・チルド商品)の販売が堅調に推移したため、苦戦する業務用食品をカバーし増益となりました。
チルド事業:前期比で減収、減益
・上半期は在宅勤務の増加や観光需要減少により人出が大きく減り、コンビニエンスストア向け商品の受注が減少しました。下半期はチルド弁当や調理麺の回復や経費削減効果などがありましたが減収・減益となりました。

③ ファイン事業
ファイン事業につきましては、医薬原料、機能性原料(注1)、機能性食品(注2)、および診断薬、検査薬などの生産・販売を行っております。
<当連結会計年度の概況>ファイン事業では売上高は264億21百万円(前期比6億1百万円減)となり、営業利益は23億97百万円(前期比2億2百万円減)となりました。
<医薬原料、機能性原料、機能性食品>・医薬原料の販売は減少しましたが、機能性原料および機能性食品の販売が堅調に推移したことにより増益となりました。
<診断薬、医薬品>・診断薬機器等の販売は増加しましたが、原価率の高い商品構成となったことに加え、医薬品販売事業の売却もあり減収・減益となりました。

④ 物流事業
物流事業については、冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を営んでおります。
<当連結会計年度の概況>物流事業では売上高は166億71百万円(前期比75百万円増)となり、営業利益は22億2百万円(前期比2億15百万円増)となりました。
・業務用顧客の荷動き低迷や入庫減少の傾向が続いているものの、大阪舞洲物流センター2号棟の新規稼働や経費削減効果もあり増益となりました。
(注1) サプリメントの原料や乳児用粉ミルク等に添加する素材として使用されるEPA・DHAなど。
(注2) 主に通信販売している特定保健用食品「イマークS」やEPA・DHA などのサプリメント。
生産、受注及び販売の実績は、次の通りであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次の通りであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
水産事業 | 115,450 | △0.3 |
食品事業 | 284,765 | △2.4 |
ファイン事業 | 23,694 | 11.7 |
合計 | 423,910 | △1.1 |
(注) 1.金額は、販売価格によります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
受注生産は行っておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次の通りであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
水産事業 | 262,108 | △9.5 |
食品事業 | 330,037 | △2.1 |
ファイン事業 | 26,421 | △2.2 |
物流事業 | 16,671 | 0.5 |
その他 | 21,251 | 8.6 |
合計 | 656,491 | △4.9 |
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
株式会社SCI | 76,180 | 11.0 | 61,177 | 9.3 |
(2)財政状態
(単位:百万円)
2020年3月期 | 2021年3月期 | 増減 | |
流動資産 | 253,115 | 231,751 | △21,364 |
(うち たな卸資産) | 131,053 | 127,926 | △3,126 |
固定資産 | 238,417 | 243,663 | 5,245 |
資産合計 | 491,533 | 475,415 | △16,118 |
流動負債 | 196,895 | 153,467 | △43,428 |
固定負債 | 122,337 | 134,021 | 11,683 |
負債合計 | 319,233 | 287,489 | △31,744 |
純資産合計 | 172,300 | 187,926 | 15,625 |
資産合計は前連結会計年度末に比べて161億18百万円減の4,754億15百万円(3.3%減)となりました。
流動資産は213億64百万円減の2,317億51百万円(8.4%減)となりました。コミットメントラインの設定に伴い確保していた預金を取り崩したことで現金及び預金が163億84百万円減少、コントロールの強化によりたな卸資産が31億26百万円減少したことが主な要因です。
固定資産は52億45百万円増の2,436億63百万円(2.2%増)となりました。投資有価証券が株価上昇により55億91百万円増加したことが主な要因です。
負債合計は前連結会計年度末に比べて317億44百万円減の2,874億89百万円(9.9%減)となりました。
流動負債は434億28百万円減の1,534億67百万円(22.1%減)となりました。低利で安定した長期借入金を調達し短期借入金を返済したことにより、短期借入金が522億99百万円減少したこと、支払手形及び買掛金が61億88百万円増加したことが主な要因です。
固定負債は116億83百万円増の1,340億21百万円(9.6%増)となりました。流動負債の減少要因に記載の通り、長期借入金が118億68百万円増加したことが主な要因です。
純資産合計は前連結会計年度末に比べて156億25百万円増の1,879億26百万円(9.1%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益を144億52百万円計上したこと、剰余金の配当を26億48百万円行ったことに加え、固定資産の増加要因に記載の通り株価上昇によりその他有価証券評価差額金が50億41百万円増加したこと、円高が進み為替換算調整勘定が12億42百万円減少したことが主な要因です。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
2020年3月期 | 2021年3月期 | 増減 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 18,786 | 45,910 | 27,124 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △29,446 | △18,023 | 11,423 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 25,942 | △44,786 | △70,728 |
現金及び現金同等物期末残高 | 31,647 | 14,760 | △16,887 |
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益および減価償却費の合計422億1百万円に対し、法人税等の支払38億24百万円を行ったものの、仕入債務の増加を中心とした運転資本の減少98億5百万円等があったため、459億10百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、オセアニア及び国内の漁撈事業の船舶投資等を行う一方、投資有価証券の売却による収入や連結の範囲の変更を伴う子会社株式売却による収入等があり、180億23百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の純増加額が91億26百万円あった一方、短期借入金の純減少額が492億82百万円、配当金の支払が26億47百万円あったため、447億86百万円の支出となりました。
現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて168億87百万円減の147億60百万円となりました。
② 資金調達方針
当社は、事業活動を円滑に行うため、コストを抑えた安定資金の調達を目指し、直接金融を含めた多様な手段の中から最適な資金調達方法を選択しています。
間接金融については、スワップ等を利用した長期固定資金と変動の短期資金のバランスを概ね1:1を基本に、経済情勢等に応じ長期固定資金の比率を上げるなど、機動的に対応することで金利変動リスクを低減し安定資金を確保しています。調達通貨は円・米ドル・ユーロを基本に各国の事業規模に応じた調達とすることで為替リスクを軽減しています。また、当連結会計年度において新たに複数の金融機関とコミットメントラインを設定し、経済環境の急激な変化による資金調達難等の流動性リスクに備えております。
資金の効率性の側面では、国内はキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を活用、海外は各国の税制等を考慮のうえ、海外グループ間の資金融通等を本社で一元管理しています。なお、北米は日本同様、統括会社でCMSを導入し北米における資金を管理しています。
③ 調達方法
四半期ごとにグループの資金需要を予想し市場環境を考慮したうえで、最適な資金調達方法を策定、取締役会で審議しています。
長期資金については、毎期の償還額にも配慮しつつ、長期間に亘り構築してきた幅広くかつ良好な関係にある複数の金融機関から借入を行っています。また、相対借入に加え、市場性の高いシンジケート・ローンや健康経営・環境対応などESG関連の格付けを活用した調達も行っています。短期資金については、借入枠を締結し資金需要に応じて機動的に調達しています。
今後もコストを抑えた安定資金を調達するため調達方法の多様化を図ってまいります。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表を作成するにあたって、たな卸資産の評価、固定資産等の減損、繰延税金資産の回収可能性などの資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。過去の実績等を踏まえ合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。なお、特にIFRSを適用している在外子会社で保有する生物資産の評価(在池魚評価)については、生物資産を販売費用等の追加コスト控除後の公正価値で測定し、取得原価との差額の変動額を純損益として認識しており、その測定には生物資産の正味売却価額や生残率等を見積もる必要があることから、市場動向や養殖成績などによって公正価値評価額が大きく変動する可能性があります。海外及び国内養殖会社の仕掛魚の評価、国内養殖会社の固定資産の減損に関する見積りや前提条件については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(5) 今後の方針について
今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。