四半期報告書-第104期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)

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2019/02/13 12:34
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34項目
(1)経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、米中の通商問題による影響や自然災害の増加など懸念要因はあるものの、堅調な企業収益を背景に設備投資の増加や雇用情勢の改善が継続した。世界経済(連結対象期間1-9月)については、米国の保護主義的な政策の影響やEU諸国の政治動向などが懸念されるなか、米国では引き続き個人消費や設備投資が増加するなど良好に推移した。また、欧州では失業率の低下や個人消費の増加傾向が続くなど景気は緩やかに回復した。一方、中国では景気持ち直しの動きに足踏みが見られた。
当社および当社グループについては、北米や欧州は順調に推移したが、南米の鮭鱒養殖事業において前年の稚魚の斃死の影響があり、厳しい事業環境になった。
このような状況下で当第3四半期連結累計期間の営業成績は、売上高は5,432億61百万円(前年同期比311億71百万円増)、営業利益は198億99百万円(前年同期比5億2百万円減)、経常利益は228億12百万円(前年同期比16億70百万円増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は152億73百万円(前年同期比11億円減)となった。
なお、親会社株主に帰属する四半期純利益の減少は、前年に投資有価証券売却益があったことによる。
なお、第1四半期連結会計期間より、在外子会社等の収益及び費用については、各社の決算日の直物為替相場により円貨に換算する方法から、期中平均為替相場により円貨に換算する方法に変更したため、遡及適用後の数値で前四半期連結累計期間との比較を行っている。また、第1四半期連結会計期間より、セグメント別の経営成績をより適切に把握するため、セグメントに帰属する販売費及び一般管理費の配賦基準を見直している。
(単位:百万円)
売上高営業利益経常利益親会社株主に帰属
する四半期純利益
平成31年3月期
第3四半期
543,26119,89922,81215,273
平成30年3月期
第3四半期
512,08920,40121,14116,374
前年同期増減31,171△5021,670△1,100
前年同期比106.1%97.5%107.9%93.3%

セグメント別の概況は次の通りである。
(単位:百万円)
売上高前年同期増減前年同期比営業利益前年同期増減前年同期比
水産事業223,3436,300102.9%9,763△1,32788.0%
食品事業261,64215,410106.3%10,34146100.4%
ファイン事業19,598636103.4%1,964606144.7%
物流事業12,817259102.1%1,655△1199.3%
その他25,8588,564149.5%869△5594.0%
全社経費---△4,69423895.2%
合計543,26131,171106.1%19,899△50297.5%

事業の概況は次の通りである。
①水産事業
水産事業については、漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を営んでいる。
<当第3四半期連結累計期間の概況>水産事業では売上高は2,233億43百万円(前年同期比63億円増)となり、営業利益は97億63百万円(前年同期比13億27百万円減)となった。
漁撈事業:前年同期比で増収、増益
<日本>・かつおやさばなどの漁獲が好調だったことにより増収・増益となった。
<南米>・漁獲数量の増加に加え、販売価格の上昇もあり増収・増益となった。
養殖事業:前年同期比で減収、減益
<日本>・ぶりは、夏場でも品質の良い「若ぶり」(注1)の販売尾数の増加や販売価格の上昇により増益となったものの、まぐろの販売価格低迷に加え赤潮の被害などによる斃死の影響や、鮭鱒の生産コストの上昇などもあり減収・減益となった。
<南米>・鮭鱒は、前年の稚魚の斃死の影響により販売数量が大幅に減少したが、生産コストの低減に努め、減益幅を抑えることができた。
加工・商事事業:前年同期比で増収、増益
<日本>・すりみや飼料油飼の販売は好調に推移したものの、鮭鱒の販売数量の減少、えびの販売価格下落などにより増収・減益となった。
<北米>・かにの取扱い量の減少による減収もあったが、すりみや助子の販売価格上昇や労務コスト削減効果もあり増益となった。
<ヨーロッパ>・販売エリアの拡大など順調に推移したことにより増収・増益となった。
②食品事業
食品事業については、加工事業およびチルド事業を営んでいる。
<当第3四半期連結累計期間の概況>食品事業では売上高は2,616億42百万円(前年同期比154億10百万円増)となり、営業利益は103億41百万円(前年同期比46百万円増)となった。
加工事業:前年同期比で増収、減益
<日本>・冷凍食品の米飯や野菜、練り製品を中心に販売が伸長したが、すりみなど原料価格の上昇もあり増収・減益となった。
<北米>・家庭用冷凍食品のコスト削減効果もあり増益となった。
<ヨーロッパ>・生産体制の整備が進み、魚を中心とした惣菜商品の販売が好調に推移し増収となったが、原料価格の上昇などにより前年同期並みの利益となった。
チルド事業:前年同期比で増収、増益
<日本>・コンビニエンスストア業界の再編による供給店舗の増加に加え、おにぎり・麺・弁当類の販売が伸長したことにより、増収・増益となった。
③ファイン事業
ファイン事業については、医薬原料、機能性原料(注2)、機能性食品(注3)、および医薬品、診断薬などの生産・販売を行っている。
<当第3四半期連結累計期間の概況>ファイン事業では売上高は195億98百万円(前年同期比6億36百万円増)となり、営業利益は19億64百万円(前年同期比6億6百万円増)となった。
<医薬原料、機能性原料、機能性食品>・乳児用粉ミルクに添加するDHAなどの機能性原料の販売が国内外とも堅調に推移したことに加え、特定保健用食品「イマークS」など通信販売の広告宣伝費削減もあり増収・増益となった。
<臨床診断薬、産業検査薬、医薬品>・診断薬事業において海外市場での販売が好調に推移し増収となったが、事業の見直し(化粧品事業の売却)の影響などにより減益となった。
④物流事業
物流事業については、冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を営んでいる。
<当第3四半期連結累計期間の概況>物流事業では売上高は128億17百万円(前年同期比2億59百万円増)となり、営業利益は16億55百万円(前年同期比11百万円減)となった。
・営業再開した冷蔵庫の影響もあり売上は増加したものの、労務費や電力料などのコストが増加し、前年同期並みの利益となった。
(注1) 産卵時期を早めることで春から夏に旬を向かえる養殖ぶり。夏場でも品質の良いぶりの出荷が可能となっている。(「黒瀬の若ぶり」は当社が保有するブランド名。)
(注2) サプリメントの原料や乳児用粉ミルク等に添加する素材として使用されるEPA・DHAなど。
(注3) 主に通信販売している特定保健用食品「イマークS」やEPA・DHA などのサプリメント。
(2)財政状態の分析
「『税効果会計に係る会計基準」の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態に関する説明については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っている。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて7.2%増加し、2,712億89百万円となった。これは現金及び預金が86億68百万円減少したこと、受取手形及び売掛金が220億66百万円増加したこと、商品及び製品が31億65百万円増加したこと、仕掛品が37億38百万円増加したことなどによる。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて1.9%増加し、2,333億63百万円となった。これは有形固定資産が20億5百万円増加したこと、投資有価証券が29億93百万円増加したことなどによる。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて4.6%増加し、5,046億52百万円となり、ROAは4.4%となった。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて5.3%増加し、2,240億92百万円となった。これは支払手形及び買掛金が76億73百万円増加したこと、短期借入金が124億42百万円増加したことなどによる。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて1.1%減少し、1,110億44百万円となった。これは長期借入金が17億74百万円減少したこと、退職給付に係る負債が12億9百万円減少したことなどによる。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて3.1%増加し、3,351億37百万円となった。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて124億9百万円増加し、1,695億15百万円となった。これは親会社株主に帰属する四半期純利益を152億73百万円計上したこと、その他有価証券評価差額金が5億33百万円増加したこと、為替換算調整勘定が10億11百万円減少したことなどによる。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はない。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は34億80百万円である。
なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はない。