四半期報告書-第106期第3四半期(令和2年9月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/02/12 9:40
【資料】
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【項目】
38項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を大きく受け、企業収益・雇用環境とも急激に悪化し、個人消費も大きく落ち込みました。5月下旬の緊急事態宣言解除後、経済活動に改善傾向が見られたものの、11月より再び感染拡大となり先行き不透明な状況が続いています。
世界経済(連結対象期間1-9月)につきましても、2月下旬から新型コロナウイルスの影響が徐々に顕在化し、3月には米国や欧州各国で非常事態宣言やロックダウンが実施されたことなどにより、企業収益や個人消費が急激に落ち込みました。4月下旬より規制が一部緩和され、経済活動は段階的に再開し改善傾向が見られましたが、欧米において感染再拡大が見られるなど依然として厳しい状況が続いています。
当社および当社グループにおきましては、外出自粛により家庭内消費が増加したことで、家庭用食品の販売は国内・海外とも堅調に推移しました。一方、外食・観光需要は急減し水産品・業務用食品の販売が減少、需要減により水産市況が悪化したことに加え、コンビニエンスストア向け商品の売上にも影響しました。また、国内外の養殖事業においても販売価格下落に加え減産もあり厳しい事業環境となりました。
このような状況下で当第3四半期連結累計期間の営業成績は、売上高は4,972億円(前年同期比296億28百万円減)、営業利益は150億59百万円(前年同期比40億8百万円減)、経常利益は187億96百万円(前年同期比28億17百万円減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は131億77百万円(前年同期比16億13百万円減)となりました。
当社および当社グループは、持続可能な水産資源から世界の人々を健康にすることを目指し、海洋環境への負荷を低減する養殖事業の拡大・技術革新に取り組んでおり、引き続き主要戦略である海外展開の加速、養殖事業の高度化を進め、また、急速に拡大したリモートワークなどライフスタイルの変化に対応した商品を提供してまいります。
新型コロナウイルスへの対応につきましては、「在宅勤務」「WEB会議」などを組合せ「3つの密」にならない働き方を継続するなど感染防止対策を徹底し、お取引先様や従業員の安全確保に努め、食品の生産・供給責任を果たしてまいります。
(単位:百万円)
売上高営業利益経常利益親会社株主に帰属
する四半期純利益
2021年3月期
第3四半期
497,20015,05918,79613,177
2020年3月期
第3四半期
526,82819,06821,61314,791
前年同期増減△29,628△4,008△2,817△1,613
前年同期比94.4%79.0%87.0%89.1%


セグメント別の概況は次の通りであります。
(単位:百万円)
売上高前年同期増減前年同期比営業利益前年同期増減前年同期比
水産事業202,059△22,52290.0%5,303△5,16150.7%
食品事業248,955△7,06797.2%10,9181,083111.0%
ファイン事業19,231△96395.2%1,917△4697.6%
物流事業12,884115100.9%1,809224114.2%
その他(注)14,068810106.1%544442531.7%
全社経費---△5,433△549111.3%
合計497,200△29,62894.4%15,059△4,00879.0%

(注)「その他」:エンジニアリング(工場・設備機器の企画・設計・施工等)事業、船舶運航事業等。
事業の概況は次の通りであります。
①水産事業
水産事業につきましては、漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を営んでおります。
<当第3四半期連結累計期間の概況>水産事業では売上高は2,020億59百万円(前年同期比225億22百万円減)となり、営業利益は53億3百万円(前年同期比51億61百万円減)となりました。
水産事業は国内外とも外食・観光需要が急減しホテル・レストラン向け水産品の販売が減少、需要減による水産市況悪化の影響を大きく受けました。
漁撈事業:前年同期比で減収、減益
<日本>・いわしの漁獲は堅調に推移しましたが、あじ・ぶりの漁獲が低調だったことに加え、魚価も軟調に推移しました。
<南米>・ほきの漁獲は堅調に推移しましたが、南だらの漁獲が低調だったことにより減収・減益となりました。
養殖事業:前年同期比で減収、減益
<日本>・外出自粛により家庭内消費が増加し量販店向けの養殖魚の販売は増加しましたが、販売価格が下落したうえ、まぐろ養殖において台風による大量斃死が発生したため原価高となり減益となりました。
<南米>・鮭鱒は販売価格の下落に加え、減産による販売数量減少があり減収・減益となりました。
加工・商事事業:前年同期比で減収、減益
<日本>・鮭鱒の販売数量減少に加え、ぶりなどの販売価格下落があり減収・減益となりました。
<北米>・すけそうだらのすりみやフィレの歩留まり低下、人件費などのコスト増があり減収・減益となりました。
<欧州>・外食やクルーズ船向けの販売減が継続し減収・減益となりました。

②食品事業
食品事業につきましては、加工事業およびチルド事業を営んでおります。
<当第3四半期連結累計期間の概況>食品事業では売上高は2,489億55百万円(前年同期比70億67百万円減)となり、営業利益は109億18百万円(前年同期比10億83百万円増)となりました。
加工事業:前年同期比で減収、増益
・国内・海外とも家庭用食品(冷凍食品・チルド商品)の販売が堅調に推移したため、苦戦する業務用食品をカバーし増益となりました。
チルド事業:前年同期比で減収、減益
・5月の緊急事態宣言解除以降、回復傾向は見られるものの、在宅勤務の増加や観光需要減少により人出が大きく減り、コンビニエンスストア向け商品の受注が減少し減収・減益となりました。

③ファイン事業
ファイン事業につきましては、医薬原料、機能性原料(注1)、機能性食品(注2)、および診断薬、検査薬などの生産・販売を行っております。
<当第3四半期連結累計期間の概況>ファイン事業では売上高は192億31百万円(前年同期比9億63百万円減)となり、営業利益は19億17百万円(前年同期比46百万円減)となりました。
<医薬原料、機能性原料、機能性食品>・医薬原料の販売は減少しましたが、機能性原料および機能性食品の販売が堅調に推移したことにより増益となりました。
<診断薬、検査薬>・診断薬機器等の販売は増加しましたが、原価率の高い商品構成となったことに加え、医薬品販売事業の売却もあり減収・減益となりました。

④物流事業
物流事業につきましては、冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を営んでおります。
<当第3四半期連結累計期間の概況>物流事業では売上高は128億84百万円(前年同期比1億15百万円増)となり、営業利益は18億9百万円(前年同期比2億24百万円増)となりました。
・業務用顧客の荷動き低迷や入庫減少の傾向が続いているものの、大阪舞洲物流センター2号棟の新規稼働や経費削減効果もあり増益となりました。
(注1) サプリメントの原料や乳児用粉ミルク等に添加する素材として使用されるEPA・DHAなど。
(注2) 主に通信販売している特定保健用食品「イマークS」やEPA・DHA などのサプリメント。
(2)財政状態の分析
(単位:百万円)
2020年3月期2021年3月期
第3四半期
増減
流動資産253,115250,934△2,181
(うち たな卸資産)131,053126,332△4,721
固定資産238,417239,9361,518
資産合計491,533490,870△663
流動負債196,895165,047△31,847
固定負債122,337141,78719,449
負債合計319,233306,835△12,398
純資産合計172,300184,03511,734

資産
資産合計は前連結会計年度末に比べて6億63百万円減の4,908億70百万円(0.1%減)となりました。
流動資産は21億81百万円減の2,509億34百万円(0.9%減)となりました。コミットメントラインの設定に伴い確保していた預金を取り崩したことで現金及び預金が163億3百万円減少、たな卸資産もコントロールを強化し47億21百万円減少した一方、受取手形及び売掛金が177億70百万円増加したことが主な要因です。
固定資産は15億18百万円増の2,399億36百万円(0.6%増)となりました。投資有価証券が株価上昇により45億73百万円増加したことが主な要因です。
負債
負債合計は前連結会計年度末に比べて123億98百万円減の3,068億35百万円(3.9%減)となりました。
流動負債は318億47百万円減の1,650億47百万円(16.2%減)となりました。低利で安定した長期借入金を調達し短期借入金を返済したことにより、短期借入金が425億15百万円減少したこと、支払手形及び買掛金が91億26百万円増加したことが主な要因です。
固定負債は194億49百万円増の1,417億87百万円(15.9%増)となりました。流動負債の減少要因に記載の通り、長期借入金が193億53百万円増加したことが主な要因です。
純資産
純資産合計は前連結会計年度末に比べて117億34百万円増の1,840億35百万円(6.8%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益を131億77百万円計上したこと、剰余金の配当を26億48百万円行ったことに加え、固定資産の増加要因に記載の通りその他有価証券評価差額金が32億94百万円増加したこと、円高が進み為替換算調整勘定が18億16百万円減少したことが主な要因です。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は33億76百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。