有価証券報告書-第105期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用環境の改善が続いていたものの、輸出の減少や製造業を中心に企業収益に弱さが見られ、消費税増税の影響による景気下振れリスクなどが懸念される中、年明けからは新型コロナウイルスの感染拡大により、景気の先行きは極めて不透明な状況になっております。
世界経済(連結対象期間1-12月)につきましては、米中貿易摩擦の長期化やEU諸国の政治動向、中東情勢の不安定化などが懸念され、引き続き不透明な状況が続きました。米国では個人消費は緩やかに増加したものの、設備投資の減少や輸出の伸び悩みが見られました。また、欧州では個人消費は緩やかに増加しましたが、景気に弱い動きが見られ、中国では景気減速の傾向が続きました。
当社および当社グループにおきましては、南米の鮭鱒養殖事業は順調に推移しましたが、その他事業(注1)に加え、チルド事業、国内の漁撈・養殖事業が苦戦しました。
なお、新型コロナウイルスの当連結会計年度への影響につきましては、海外グループ会社の連結対象期間が1-12月であることから軽微です。
このような状況下で当連結会計年度の営業成績は、売上高は6,900億16百万円(前期比220億95百万円減)、営業利益は228億34百万円(前期比11億48百万円増)、経常利益は258億7百万円(前期比4億48百万円増)となりました。特別利益は主として投資有価証券売却益が5億20百万円減少したことなどにより、2億81百万円(前期比8億62百万円減)となりました。特別損失は主として減損損失が12億19百万円減少し、投資有価証券評価損が18億34百万円増加、災害による損失が4億21百万円増加したことなどにより、34億26百万円(前期比15億28百万円増)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は147億68百万円(前期比6億10百万円減)となり、前期の1株当たり当期純利益49円41銭に対し、47円47銭になりました。
(単位:百万円)
(注)2019年2月よりチルド事業の取引形態をセンターフィー(販売費)と売上高を相殺する価格決定方式に
変更しており、前期の売上高にはセンターフィー8,142百万円が含まれております。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
① 水産事業
水産事業については、漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を営んでおります。
<当連結会計年度の概況>水産事業では売上高は2,895億89百万円(前期比48億33百万円減)となり、営業利益は118億50百万円(前期比15億64百万円増)となりました。
漁撈事業:前期比で減収、減益
<日本>・さばやあじの大幅な漁獲減に加え、かつおの魚価下落などもあり減収・減益となりました。
養殖事業:前期比で増収、増益
<日本>・まぐろは販売数量は増加したものの、外出自粛による外食需要の減少に伴い販売価格が下落し在庫評価減も発生しました。また、鮭鱒は第1四半期に発生した稚魚の生育不良などがありましたので増収・減益となりました。
<南米>・鮭鱒は一昨年の稚魚斃死の影響もなくなり販売数量が回復し、販売価格も堅調に推移したことにより大幅な増収・増益となりました。
加工・商事事業:前期比で減収、増益
<日本>・鮭鱒は期末に向け販売価格が下落し苦戦しましたが、ぶりなどの販売が順調に推移し増益となりました。
<北米>・すりみやフィレの販売価格が堅調に推移し増収となりましたが、コスト増があり減益となりました。
<欧州>・為替の影響に加え、一部魚種の取扱数量の減少があり減収・減益となりました。

② 食品事業
食品事業については、加工事業およびチルド事業を営んでおります。
<当連結会計年度の概況>食品事業では売上高は3,372億45百万円(前期比6億51百万円減)となり、営業利益は127億61百万円(前期比8億49百万円増)となりました。
加工事業:前期比で減収、増益
<日本>・家庭用冷凍食品や業務用冷凍食品、魚肉ソーセージの販売が好調に推移し増益となりました。なお、3月からは外出自粛により家庭内消費が増える一方、外食需要は減少しております。<北米>・家庭用冷凍食品・業務用冷凍食品とも販売が好調に推移したことに加え、業務用冷凍食品の生産性が改善したことにより増収・増益となりました。<欧州>・チルド商品、ベジタル商品(注2)の販売が堅調に推移し増収・増益となりました。 チルド事業:前期比で減収、減益
<日本>・取引形態変更(注3)に加え、天候不順による販売数量減少や新工場の減価償却費などのコスト増があり減収・減益となりました。

③ ファイン事業
ファイン事業につきましては、医薬原料、機能性原料(注4)、機能性食品(注5)、および診断薬、医薬品などの生産・販売を行っております。
<当連結会計年度の概況>ファイン事業では売上高は270億23百万円(前期比5億9百万円増)となり、営業利益は25億99百万円(前期比12百万円減)となりました。
<医薬原料、機能性原料、機能性食品>・機能性原料の販売が堅調に推移しましたので増収・増益となりました。<診断薬、医薬品>・診断薬の販売が堅調に推移し増収となりましたが、販売構成比の変化により原価率が上昇し減益となりました。

④ 物流事業
物流事業については、冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を営んでおります。
<当連結会計年度の概況>物流事業では売上高は165億96百万円(前期比66百万円減)となり、営業利益は19億86百万円(前期比4百万円減)となりました。
・事業は順調に推移したものの、第1四半期に一部のグループ会社において、退職給付債務の算定方法を簡便法から原則法に変更した影響などがありました。
(注1)エンジニアリング(工場・設備機器の企画・設計・施工等)事業、船舶運航事業等。
(注2)畜肉・魚を使用しない植物由来タンパク質食品。
(注3) 2019年2月よりセンターフィー(販売費)と売上高を相殺する価格決定方式に変更。
(注4) サプリメントの原料や乳児用粉ミルク等に添加する素材として使用されるEPA・DHAなど。
(注5) 主に通信販売している特定保健用食品「イマークS」やEPA・DHA などのサプリメント。
生産、受注及び販売の実績は、次の通りであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次の通りであります。
(注) 1.金額は、販売価格によります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
受注生産は行っておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次の通りであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(注)当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、食品事業におきまして、取
引先の組織再編があったことによるものであります。
(2)財政状態
(単位:百万円)
資産合計は前連結会計年度末に比べて136億20百万円増の4,915億33百万円(2.9%増)となりました。
流動資産は55億12百万円増の2,531億15百万円(2.2%増)となりました。前期末休日の影響などにより受取手形及び売掛金が87億91百万円減少しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に対して短期借入金を原資とし手許資金の確保を行ったため、現金及び預金が184億66百万円増加したことが主な要因です。なお、たな卸資産については、社長を議長とする在庫投資会議を毎月実施、グループ全体の調達や在庫について、あらゆる側面からモニタリングし、リスク軽減に取り組んでおります。当連結会計年度末のたな卸資産は、国内における水産品の搬入タイミングの影響により23億2百万円の増加となりました。
固定資産は81億8百万円増の2,384億17百万円(3.5%増)となりました。国内の物流施設の増設やアジアの食品工場への投資などにより有形固定資産が105億16百万円増加したことが主な要因です。
負債合計は前連結会計年度末に比べて74億78百万円増の3,192億33百万円(2.4%増)となりました。
流動負債は58億4百万円減の1,968億95百万円(2.9%減)となりました。上記の通り、手許資金の確保のため短期借入金が167億98百万円増加しましたが、その他事業における大型案件の受注減や前期末休日の影響などにより支払手形及び買掛金が139億47百万円、未払費用が41億79百万円それぞれ減少したことが主な要因です。
固定負債は132億82百万円増の1,223億37百万円(12.2%増)となりました。国内外の設備投資需要対応のため長期借入金が133億81百万円増加したことが主な要因です。
純資産合計は前連結会計年度末に比べて61億42百万円増の1,723億0百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益を147億68百万円計上したこと、剰余金の配当を24億92百万円行ったこと、株価下落によりその他有価証券評価差額金が22億37百万円減少したこと、円高が進み為替換算調整勘定が17億59百万円減少したことが主な要因です。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益および減価償却費の合計が421億13百万円となったものの、法人税等の支払80億54百万円に加え、仕入債務の減少を中心とした運転資本の増加120億80百万円等があり、187億86百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、国内の物流施設の増設、アジアの食品工場への投資等を行った結果、294億46百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済172億84百万円や配当金の支払24億90百万円を支出する一方、金融機関から長期および短期の借入475億29百万円を行ったことから、259億42百万円の収入となりました。
現金及び現金同等物は、新型コロナウイルスの感染拡大への対応資金を確保し、不測の事態に備えたため、前連結会計年度末に比べて154億82百万円増の316億47百万円となりました。
② 資金調達方針
当社は、事業活動を円滑に行うため、コストを抑えた安定資金の調達を目指し、直接金融を含めた多様な手段の中から最適な資金調達方法を選択しています。
間接金融については、スワップ等を利用した長期固定資金と変動の短期資金のバランスを概ね1:1を基本に、経済情勢等に応じ長期固定資金の比率を上げるなど、機動的に対応することで金利変動リスクを低減し安定資金を確保しています。また、調達通貨は円・米ドル・ユーロを基本に各国の事業規模に応じた調達とすることで為替リスクを軽減しています。
資金の効率性の側面では、国内はキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を活用、海外は各国の税制等を考慮のうえ、海外グループ間の資金融通等を本社で一元管理しています。なお、北米は日本同様、統括会社でCMSを導入し北米における資金を管理しています。
③ 調達方法
四半期ごとにグループの資金需要を予想し市場環境を考慮したうえで、最適な資金調達方法を策定、取締役会で審議しています。
長期資金については、毎期の償還額にも配慮しつつ、長期間に亘り構築してきた幅広くかつ良好な関係にある複数の金融機関から借入を行っています。また、相対借入に加え、市場性の高いシンジケート・ローンや健康経営・環境対応などESG関連の格付けを活用した調達も行っています。短期資金については、借入枠を締結し資金需要に応じて機動的に調達しています。
今後もコストを抑えた安定資金を調達するため調達方法の多様化を図ってまいります。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表を作成するにあたって、たな卸資産の評価、固定資産等の減損、繰延税金資産の回収可能性などの資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。過去の実績等を踏まえ合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。なお、特にIFRSを適用している在外子会社で保有する生物資産の評価(在池魚評価)については、生物資産を販売費用等の追加コスト控除後の公正価値で測定し、取得原価との差額の変動額を純損益として認識しており、その測定には生物資産の正味売却価額や生残率等を見積もる必要があることから、市場動向や養殖成績などによって公正価値評価額が大きく変動する可能性があります。
(5) 今後の方針について
当社は、2018年度より中期経営計画「MVIP+(プラス)2020」を推進しております。取組みの詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用環境の改善が続いていたものの、輸出の減少や製造業を中心に企業収益に弱さが見られ、消費税増税の影響による景気下振れリスクなどが懸念される中、年明けからは新型コロナウイルスの感染拡大により、景気の先行きは極めて不透明な状況になっております。
世界経済(連結対象期間1-12月)につきましては、米中貿易摩擦の長期化やEU諸国の政治動向、中東情勢の不安定化などが懸念され、引き続き不透明な状況が続きました。米国では個人消費は緩やかに増加したものの、設備投資の減少や輸出の伸び悩みが見られました。また、欧州では個人消費は緩やかに増加しましたが、景気に弱い動きが見られ、中国では景気減速の傾向が続きました。
当社および当社グループにおきましては、南米の鮭鱒養殖事業は順調に推移しましたが、その他事業(注1)に加え、チルド事業、国内の漁撈・養殖事業が苦戦しました。
なお、新型コロナウイルスの当連結会計年度への影響につきましては、海外グループ会社の連結対象期間が1-12月であることから軽微です。
このような状況下で当連結会計年度の営業成績は、売上高は6,900億16百万円(前期比220億95百万円減)、営業利益は228億34百万円(前期比11億48百万円増)、経常利益は258億7百万円(前期比4億48百万円増)となりました。特別利益は主として投資有価証券売却益が5億20百万円減少したことなどにより、2億81百万円(前期比8億62百万円減)となりました。特別損失は主として減損損失が12億19百万円減少し、投資有価証券評価損が18億34百万円増加、災害による損失が4億21百万円増加したことなどにより、34億26百万円(前期比15億28百万円増)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は147億68百万円(前期比6億10百万円減)となり、前期の1株当たり当期純利益49円41銭に対し、47円47銭になりました。
(単位:百万円)
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する 当期純利益 | |||||
2020年 3月期 | 690,016 | 22,834 | 25,807 | 14,768 | ||||
2019年 3月期 | 712,111 | 21,685 | 25,358 | 15,379 | ||||
前期増減 | △22,095 | 1,148 | 448 | △610 | ||||
前期比 | 96.9 | % | 105.3 | % | 101.8 | % | 96.0 | % |
(注)2019年2月よりチルド事業の取引形態をセンターフィー(販売費)と売上高を相殺する価格決定方式に
変更しており、前期の売上高にはセンターフィー8,142百万円が含まれております。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
売上高 | 前期増減 | 前期比 | 営業利益 | 前期増減 | 前期比 | |||
水産事業 | 289,589 | △4,833 | 98.4 | % | 11,850 | 1,564 | 115.2 | % |
食品事業 | 337,245 | △651 | 99.8 | % | 12,761 | 849 | 107.1 | % |
ファイン事業 | 27,023 | 509 | 101.9 | % | 2,599 | △12 | 99.5 | % |
物流事業 | 16,596 | △66 | 99.6 | % | 1,986 | △4 | 99.8 | % |
その他 | 19,561 | △17,053 | 53.4 | % | 413 | △743 | 35.8 | % |
全社経費 | - | - | - | % | △6,777 | △504 | 108.0 | % |
合計 | 690,016 | △22,095 | 96.9 | % | 22,834 | 1,148 | 105.3 | % |
① 水産事業
水産事業については、漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を営んでおります。
<当連結会計年度の概況>水産事業では売上高は2,895億89百万円(前期比48億33百万円減)となり、営業利益は118億50百万円(前期比15億64百万円増)となりました。
漁撈事業:前期比で減収、減益
<日本>・さばやあじの大幅な漁獲減に加え、かつおの魚価下落などもあり減収・減益となりました。
養殖事業:前期比で増収、増益
<日本>・まぐろは販売数量は増加したものの、外出自粛による外食需要の減少に伴い販売価格が下落し在庫評価減も発生しました。また、鮭鱒は第1四半期に発生した稚魚の生育不良などがありましたので増収・減益となりました。
<南米>・鮭鱒は一昨年の稚魚斃死の影響もなくなり販売数量が回復し、販売価格も堅調に推移したことにより大幅な増収・増益となりました。
加工・商事事業:前期比で減収、増益
<日本>・鮭鱒は期末に向け販売価格が下落し苦戦しましたが、ぶりなどの販売が順調に推移し増益となりました。
<北米>・すりみやフィレの販売価格が堅調に推移し増収となりましたが、コスト増があり減益となりました。
<欧州>・為替の影響に加え、一部魚種の取扱数量の減少があり減収・減益となりました。

② 食品事業
食品事業については、加工事業およびチルド事業を営んでおります。
<当連結会計年度の概況>食品事業では売上高は3,372億45百万円(前期比6億51百万円減)となり、営業利益は127億61百万円(前期比8億49百万円増)となりました。
加工事業:前期比で減収、増益
<日本>・家庭用冷凍食品や業務用冷凍食品、魚肉ソーセージの販売が好調に推移し増益となりました。なお、3月からは外出自粛により家庭内消費が増える一方、外食需要は減少しております。<北米>・家庭用冷凍食品・業務用冷凍食品とも販売が好調に推移したことに加え、業務用冷凍食品の生産性が改善したことにより増収・増益となりました。<欧州>・チルド商品、ベジタル商品(注2)の販売が堅調に推移し増収・増益となりました。 チルド事業:前期比で減収、減益
<日本>・取引形態変更(注3)に加え、天候不順による販売数量減少や新工場の減価償却費などのコスト増があり減収・減益となりました。

③ ファイン事業
ファイン事業につきましては、医薬原料、機能性原料(注4)、機能性食品(注5)、および診断薬、医薬品などの生産・販売を行っております。
<当連結会計年度の概況>ファイン事業では売上高は270億23百万円(前期比5億9百万円増)となり、営業利益は25億99百万円(前期比12百万円減)となりました。
<医薬原料、機能性原料、機能性食品>・機能性原料の販売が堅調に推移しましたので増収・増益となりました。<診断薬、医薬品>・診断薬の販売が堅調に推移し増収となりましたが、販売構成比の変化により原価率が上昇し減益となりました。

④ 物流事業
物流事業については、冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を営んでおります。
<当連結会計年度の概況>物流事業では売上高は165億96百万円(前期比66百万円減)となり、営業利益は19億86百万円(前期比4百万円減)となりました。
・事業は順調に推移したものの、第1四半期に一部のグループ会社において、退職給付債務の算定方法を簡便法から原則法に変更した影響などがありました。
(注1)エンジニアリング(工場・設備機器の企画・設計・施工等)事業、船舶運航事業等。
(注2)畜肉・魚を使用しない植物由来タンパク質食品。
(注3) 2019年2月よりセンターフィー(販売費)と売上高を相殺する価格決定方式に変更。
(注4) サプリメントの原料や乳児用粉ミルク等に添加する素材として使用されるEPA・DHAなど。
(注5) 主に通信販売している特定保健用食品「イマークS」やEPA・DHA などのサプリメント。
生産、受注及び販売の実績は、次の通りであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次の通りであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
水産事業 | 115,810 | 7.3 |
食品事業 | 291,711 | △1.7 |
ファイン事業 | 21,205 | △4.8 |
合計 | 428,726 | 0.5 |
(注) 1.金額は、販売価格によります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
受注生産は行っておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次の通りであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
水産事業 | 289,589 | △1.6 |
食品事業 | 337,245 | △0.2 |
ファイン事業 | 27,023 | 1.9 |
物流事業 | 16,596 | △0.4 |
その他 | 19,561 | △46.6 |
合計 | 690,016 | △3.1 |
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
三菱食品株式会社 | 81,182 | 11.4 | 23,592 | 3.4 |
株式会社SCI | 17,931 | 2.5 | 76,180 | 11.0 |
(注)当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、食品事業におきまして、取
引先の組織再編があったことによるものであります。
(2)財政状態
(単位:百万円)
2019年3月期 | 2020年3月期 | 増減 | |
流動資産 | 247,603 | 253,115 | 5,512 |
(うち たな卸資産) | 128,750 | 131,053 | 2,302 |
固定資産 | 230,309 | 238,417 | 8,108 |
資産合計 | 477,913 | 491,533 | 13,620 |
流動負債 | 202,699 | 196,895 | △5,804 |
固定負債 | 109,054 | 122,337 | 13,282 |
負債合計 | 311,754 | 319,233 | 7,478 |
純資産合計 | 166,158 | 172,300 | 6,142 |
資産合計は前連結会計年度末に比べて136億20百万円増の4,915億33百万円(2.9%増)となりました。
流動資産は55億12百万円増の2,531億15百万円(2.2%増)となりました。前期末休日の影響などにより受取手形及び売掛金が87億91百万円減少しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に対して短期借入金を原資とし手許資金の確保を行ったため、現金及び預金が184億66百万円増加したことが主な要因です。なお、たな卸資産については、社長を議長とする在庫投資会議を毎月実施、グループ全体の調達や在庫について、あらゆる側面からモニタリングし、リスク軽減に取り組んでおります。当連結会計年度末のたな卸資産は、国内における水産品の搬入タイミングの影響により23億2百万円の増加となりました。
固定資産は81億8百万円増の2,384億17百万円(3.5%増)となりました。国内の物流施設の増設やアジアの食品工場への投資などにより有形固定資産が105億16百万円増加したことが主な要因です。
負債合計は前連結会計年度末に比べて74億78百万円増の3,192億33百万円(2.4%増)となりました。
流動負債は58億4百万円減の1,968億95百万円(2.9%減)となりました。上記の通り、手許資金の確保のため短期借入金が167億98百万円増加しましたが、その他事業における大型案件の受注減や前期末休日の影響などにより支払手形及び買掛金が139億47百万円、未払費用が41億79百万円それぞれ減少したことが主な要因です。
固定負債は132億82百万円増の1,223億37百万円(12.2%増)となりました。国内外の設備投資需要対応のため長期借入金が133億81百万円増加したことが主な要因です。
純資産合計は前連結会計年度末に比べて61億42百万円増の1,723億0百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益を147億68百万円計上したこと、剰余金の配当を24億92百万円行ったこと、株価下落によりその他有価証券評価差額金が22億37百万円減少したこと、円高が進み為替換算調整勘定が17億59百万円減少したことが主な要因です。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
2019年3月期 | 2020年3月期 | 増減 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 24,693 | 18,786 | △5,907 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △16,803 | △29,446 | △12,642 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △15,956 | 25,942 | 41,899 |
現金及び現金同等物期末残高 | 16,165 | 31,647 | 15,482 |
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益および減価償却費の合計が421億13百万円となったものの、法人税等の支払80億54百万円に加え、仕入債務の減少を中心とした運転資本の増加120億80百万円等があり、187億86百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、国内の物流施設の増設、アジアの食品工場への投資等を行った結果、294億46百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済172億84百万円や配当金の支払24億90百万円を支出する一方、金融機関から長期および短期の借入475億29百万円を行ったことから、259億42百万円の収入となりました。
現金及び現金同等物は、新型コロナウイルスの感染拡大への対応資金を確保し、不測の事態に備えたため、前連結会計年度末に比べて154億82百万円増の316億47百万円となりました。
② 資金調達方針
当社は、事業活動を円滑に行うため、コストを抑えた安定資金の調達を目指し、直接金融を含めた多様な手段の中から最適な資金調達方法を選択しています。
間接金融については、スワップ等を利用した長期固定資金と変動の短期資金のバランスを概ね1:1を基本に、経済情勢等に応じ長期固定資金の比率を上げるなど、機動的に対応することで金利変動リスクを低減し安定資金を確保しています。また、調達通貨は円・米ドル・ユーロを基本に各国の事業規模に応じた調達とすることで為替リスクを軽減しています。
資金の効率性の側面では、国内はキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を活用、海外は各国の税制等を考慮のうえ、海外グループ間の資金融通等を本社で一元管理しています。なお、北米は日本同様、統括会社でCMSを導入し北米における資金を管理しています。
③ 調達方法
四半期ごとにグループの資金需要を予想し市場環境を考慮したうえで、最適な資金調達方法を策定、取締役会で審議しています。
長期資金については、毎期の償還額にも配慮しつつ、長期間に亘り構築してきた幅広くかつ良好な関係にある複数の金融機関から借入を行っています。また、相対借入に加え、市場性の高いシンジケート・ローンや健康経営・環境対応などESG関連の格付けを活用した調達も行っています。短期資金については、借入枠を締結し資金需要に応じて機動的に調達しています。
今後もコストを抑えた安定資金を調達するため調達方法の多様化を図ってまいります。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表を作成するにあたって、たな卸資産の評価、固定資産等の減損、繰延税金資産の回収可能性などの資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。過去の実績等を踏まえ合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。なお、特にIFRSを適用している在外子会社で保有する生物資産の評価(在池魚評価)については、生物資産を販売費用等の追加コスト控除後の公正価値で測定し、取得原価との差額の変動額を純損益として認識しており、その測定には生物資産の正味売却価額や生残率等を見積もる必要があることから、市場動向や養殖成績などによって公正価値評価額が大きく変動する可能性があります。
(5) 今後の方針について
当社は、2018年度より中期経営計画「MVIP+(プラス)2020」を推進しております。取組みの詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。