四半期報告書-第82期第1四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)

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2020/08/11 10:00
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32項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況に関する分析
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止のために2020年4月に発出された緊急事態宣言による外出自粛の影響により、個人消費及び企業による設備投資が大きく落ち込み、雇用・所得環境が悪化しました。緊急事態宣言解除後は個人消費の持ち直しが見られていましたが、新規感染者数が再び増加傾向にあり厳しい状況が続いています。さらに、世界経済においても同様に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大懸念が収まらず、先行き不透明な状態です。
住宅市場は、新設住宅着工戸数でマンションのみ前年比プラスとなったものの、全体では前年比マイナスとなりました。一般建築市場においても、建築着工床面積で倉庫のみ前年比プラスとなったものの、他の使途は減少し、全体では前年比マイナスとなりました。
そのような事業環境の中で当社グループは、昨年度より開始した3ヶ年計画「大和ハウスグループ第6次中期経営計画」に基づきながらも各事業戦略を見直し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に対応してまいりました。また、昨年に引き続きガバナンスの強化策として社外取締役の増員や多様性の確保に加え、事業執行への権限委譲及び役割責任の所在の再定義や、グループ各事業・地域により異なるリスクへの組織対応力強化等、将来の成長に向けた体制の再構築を実行してきました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、当第1四半期連結累計期間における売上高は892,981百万円(前年同四半期連結累計期間比12.3%減)、営業利益は61,468百万円(前年同四半期連結累計期間比33.5%減)、経常利益は61,415百万円(前年同四半期連結累計期間比34.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は32,933百万円(前年同四半期連結累計期間比49.4%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
① 戸建住宅事業
戸建住宅部門では、お客様の住まいづくりに真摯に向き合い地域に密着した事業展開を推進し、販売拡大に努めてきました。
国内の注文住宅事業においては、持続型の耐震性能と外張り断熱による快適性、2m72cmの高い天井がもたらす大空間のゆとりを実現する「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」をはじめ、木造住宅「xevo GranWood(ジーヴォ グランウッド)」、3・4・5階建戸建住宅商品「skye(スカイエ)」に加え、2019年11月には、Webサイト上で楽しく簡単な家づくりを体験できる「Lifegenic(ライフジェニック)」を発売し、多彩な商品ラインアップで、お客様ニーズへの対応に注力してきました。また、6月には、ニューノーマル時代を見据えた住まい提案として、快適に在宅勤務ができる当社オリジナルのテレワークスタイル「快適ワークプレイス」と「つながりワークピット」の提案を開始し、事業拡大を推進してきました。
海外においては、米国のStanley-Martin Communities, LLCやTrumark Companies, LLCがITを活用した販売に注力し、コロナ禍にあっても契約数、引渡し数に大きな影響はなく、引き続き順調な事業状況となりました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、当事業の売上高は90,902百万円(前年同四半期連結累計期間比10.3%減)となり、営業損失は1,027百万円(前年同四半期連結累計期間は1,553百万円の営業利益)となりました。
② 賃貸住宅事業
賃貸住宅事業部門では、土地オーナー様の抱える課題やご所有地の特性、市場ニーズ等を総合的に判断し、土地オーナー様のみならず地域やご入居者様にとって最も価値の高い土地活用の提案を行っています。
国内においては、外出自粛によって在宅時間の増えた既オーナー様に、将来の資産承継に備えた「財産の健康診断」資料をお届けし、課題解決サポートを推進したほか、都市部や中心市街地での賃貸住宅や中高層物件の提案により受注拡大を図ってきました。
海外においては、2020年4月末にベトナムで2件目となるサービスアパートメントを開業しました。コロナ禍にありながらも入居者が順調に増加しております。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、当事業の売上高は216,491百万円(前年同四半期連結累計期間比10.8%減)となり、営業利益は16,463百万円(前年同四半期連結累計期間比33.7%減)となりました。
③ マンション事業
マンション部門では、社会やお客様にとって資産価値に加え、環境負荷低減にも配慮した付加価値の高いマンションづくりに務めてきました。また、一貫体制による安心・安全・快適な暮らしを支える管理サービスの提供に取り組んできました。
国内においては、緊急事態宣言下において全国のモデルルームの営業を休止していましたが、解除後に再開し、徐々に来場者数が戻りつつあります。首都圏の「プレミスト志村三丁目」(東京都)が、都心部への快適なアクセスや周辺の生活利便施設の充実とともに、テレワークにも活用できる「ワーキングスペース」を含む敷地内共用施設である「シェアLDK」が高い評価を受け、販売が進捗しています。また、中部エリアでは「プレミスト稲川」(静岡県)が、お客様への快適な住空間の提供と環境配慮への取り組みを評価され、静岡県初の「高層ZEH-M実証事業」として経済産業省資源エネルギー庁に採択されました。
株式会社コスモスイニシアにおいては、2020年4月、5月は分譲事業で対面での新規営業活動を自粛していましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染予防対策としてのオンライン営業等の活用や、お客様のご選択による対面営業の再開によりほぼ計画通り販売が推移しました。リノベーションマンションでは、住宅内にワークスペースを設置するプランなどを企画し、販売しました。
海外においては、中国において昨年より販売を開始している2物件がコロナ禍の影響を受けることなく、販売開始住戸は即日申込が入る状況となっています。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、当事業の売上高は46,224百万円(前年同四半期連結累計期間比38.3%減)となり、営業損失は1,928百万円(前年同四半期連結累計期間は4,129百万円の営業利益)となりました。
④ 住宅ストック事業
住宅ストック部門では、当社施工の戸建・賃貸住宅を所有されているオーナー様に対し、インスペクション(点検・診断)からのリフォーム提案を事業の主軸としております。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大防止のため、2020年3月より5月中旬まで自粛を行ったことにより、4月、5月の受注が落ち込みましたが、再開後の6月は例年並みに戻っております。
また、より良質な既存住宅の流通の活性化に向けた「Livness(リブネス)」事業においては、オーナー様を中心としたあらゆるお客様のニーズにお応えするため、大和ハウス住宅事業部門内へ全国51拠点、また日本住宅流通株式会社は広島と千葉へ2拠点、新たに拠点を展開しました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、当事業の売上高は20,307百万円(前年同四半期連結累計期間比43.3%減)となり、営業損失は83百万円(前年同四半期連結累計期間は、6,336百万円の営業利益)となりました。
⑤ 商業施設事業
商業施設部門では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況・影響を考慮しながら、テナント企業様の事業戦略に対応した適切な出店計画の提案や、エリアの特性を活かし、様々なニーズに応じたバリエーション豊富な企画提案を行ってきました。特に、商業・オフィスビル等の大型物件への取り組みの強化や、投資用不動産の購入を検討されているお客様に向けて当社で土地取得・建物建築・テナントリーシングまで行った物件を販売するなど業容の拡大を図り、事業を推進してきました。国内においては、沖縄県豊見城市豊崎において、県初となる水族館併設の大型商業施設「iias(イーアス)沖縄豊崎」を2020年6月にグランドオープンするなど、当社グループが保有する経営資源を組み合わせ、お客様のニーズに合わせた複合施設開発に取り組んできました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、当事業の売上高は197,981百万円(前年同四半期連結累計期間比9.7%増)となり、営業利益は30,431百万円(前年同四半期連結累計期間比3.9%減)となりました。
⑥ 事業施設事業
事業施設部門では、法人のお客様の様々なニーズに応じた施設建設のプロデュースや資産の有効活用をトータルサポートすることで業容の拡大を図ってきました。
国内では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により営業活動が制限される中、緊急事態宣言解除後はアポイント訪問を中心に展開してきました。物流施設関連では、広島市西区の空港跡地において中四国エリアで最大の物流施設「DPL広島観音」をはじめ、全国10ヶ所の物流施設に新たに着工し、豊富な経験とノウハウでお客様の物流戦略をバックアップしてきました。医療介護施設関連では、老朽化・耐震基準を満たしていない建物を持つ病院をターゲットに建替えや移転の提案、また高齢者住宅・複合介護施設等医療法人の経営課題を解決するソリューション提案を強化してきました。事務所・工場等の拠点サポート関連では、開発造成工事中である山口県防府市の「防府第二テクノタウン」において初の進出企業が決定するなど当社開発の工業団地への企業誘致を強化してきました。加えて食品工場においては、食品製造・加工事業者を対象に、HACCP(※)義務化に向けたセミナーを開催するとともに、安全認証に適応した施設建設の提案を強化してきました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、当事業の売上高は234,606百万円(前年同四半期連結累計期間比19.3%減)となり、営業利益は24,585百万円(前年同四半期連結累計期間比20.9%減)となりました。
※.食品の製造・加工等のあらゆる段階で発生する恐れのある微生物汚染等の危害を事前分析・管理する衛生管理手法。
⑦ その他事業
ホームセンター事業では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止のため、全店において2020年5月の日曜日の営業を自粛しながらも、巣ごもり消費により増収増益となりました。
アコモデーション事業では、大和リゾート株式会社において、緊急事態宣言発令以降、ほぼすべてのホテルが休業を余儀なくされましたが、感染予防対策を実施しながら順次営業を再開しました。
物流事業では緊急事態宣言下において取引先小売店の休業、営業時間短縮等による輸送業務等の減少の影響を受けましたが、解除後は物流量も徐々に増加しています。
フィットネスクラブ事業では、スポーツクラブNAS株式会社において、緊急事態宣言下において2020年5月31日まで全施設を臨時休業していましたが、6月より、一般社団法人日本フィットネス産業協会が策定した「フィットネス関連施設における新型コロナウイルス感染拡大対応ガイドライン」に従い、順次営業を再開しました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、当事業の売上高は116,383百万円(前年同四半期連結累計期間比4.2%減)となり、営業利益は3,631百万円(前年同四半期連結累計期間比24.3%減)となりました。
(注) 1.各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものです。(「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」を参照。)
2.上記金額に消費税等は含んでいません。
(2) 財政状態の状況に関する分析
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は4,824,760百万円となり、前連結会計年度末の4,627,388百万円と比べ197,372百万円の増加となりました。その主な要因は、投資用不動産等の取得により有形固定資産が増加したことや販売用不動産の仕入によりたな卸資産が増加したことによるものです。
当第1四半期連結会計期間末における負債合計は3,076,077百万円となり、前連結会計年度末の2,853,999百万円と比べ222,077百万円の増加となりました。その主な要因は、仕入債務を支払ったものの、投資用不動産やたな卸資産の取得等のために借入金やコマーシャル・ペーパーの発行による資金調達を行ったことによるものです。
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は1,748,683百万円となり、前連結会計年度末の1,773,388百万円と比べ24,705百万円の減少となりました。その主な要因は、32,933百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したものの、自己株式の取得や、前連結会計年度に係る株主配当金の支払いを行ったことによるものです。これらの結果、当第1四半期連結会計期間末におけるリース債務等を除く有利子負債は、1,374,803百万円となり、D/Eレシオは0.81倍となりました。なお、ハイブリッド社債を考慮後のD/Eレシオは0.73倍(※)となりました。
※.2019年9月に発行した公募ハイブリッド社債(劣後特約付社債)1,500億円について、格付上の資本性50%を考慮して算出しています。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
今後のわが国経済については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による消費の冷え込みからの回復や、先送りされた企業の設備投資の顕在化による活性化が期待される一方、緊急事態宣言期間中の外出自粛による消費抑制の影響が中・短期的には不可避です。また、世界全体を見ると国際通貨基金が2020年6月に2020年の世界経済成長率を引き下げるなど、楽観視できない状況が続くものと思われます。
当業界においては、2020年4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」にある「住宅市場安定化対策事業(すまい給付金)」に期待しつつも、先行きが不透明な状態であり、さらに中長期で見ると世帯数の減少による新設住宅着工戸数の減少が見込まれています。一般建設市場では、2021年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた建設投資が一巡し、調整局面に入ることが懸念される中、2025年の大阪・関西万博の開催が、建設需要の喚起に寄与することが期待されます。一方で、高齢化等による建設業の人手不足や、需要の変化に伴う建設資材価格の変動には継続的に対処していく必要があります。
このような経済状況の中で当社グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応しながらも、2021年度を最終年度とする3ヶ年計画「大和ハウスグループ第6次中期経営計画」を一部見直し、戸建・賃貸住宅領域では再成長に向けた基盤整備を進め、商業・事業施設領域では継続的に事業の拡大に注力していきます。また、国内はもちろん、海外においてもお客様の多様なニーズに対応し事業拡大を図っていきます。さらに、不動産開発の分野でも、幅広い事業領域の総合力を活かした複合開発をさらに推進することで、持続的な成長を実現していきます。ガバナンス体制については、すでに実行した社外取締役の増員や多様性の確保に加え、グループ会社の一体経営を強化するなどの対策を実行し、今後も成長過程に適したガバナンス体制の最適化を継続して行っていきます。
また、2021年度を最終年度とする3ヶ年計画「大和ハウスグループ第6次中期経営計画」においては、上記の経営体制の見直しに加えて、戸建・賃貸住宅領域では再成長に向けた基盤整備を進め、商業・事業施設領域は継続的に事業拡大に注力することで、国内はもちろん、海外においてもお客様の多様なニーズに対応し事業拡大を図っていきます。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は2,477百万円となりました。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。