有価証券報告書-第81期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 13:45
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
1.財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、第3四半期連結累計期間(2019年4月~12月)までは、個人消費の持ち直しや雇用・所得環境の改善が継続するなど、緩やかな回復傾向が続いてきました。
一方で、米国・中国等の通商問題をはじめとする世界経済の不確実性の高まりなどに加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大懸念により先行きは増々不透明な状況となっています。
住宅市場においては、新設住宅着工戸数で分譲戸建のみ前年比プラスとなったものの、持家、貸家、マンションの着工戸数が前年比マイナスとなり、全体では前年比マイナスとなりました。一般建設市場においても、不動産業用、倉庫、医療・福祉用が建築着工床面積で前年比プラスとなった一方、他の用途は減少し、全体は前年比マイナスとなりました。
そのような事業環境の中で当社グループは、本年度より開始した3ヶ年計画「大和ハウスグループ第6次中期経営計画」に基づき、積極的な不動産開発を行い、Business分野(商業施設・事業施設事業)の拡大や、海外展開の加速に取り組んできました。また、ガバナンスの強化策として、事業執行への権限委譲及び役割責任の所在の再定義や、グループ各事業・地域により異なるリスクへの組織対応力強化等、将来の成長に向けた体制の再構築を検討してきました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は4,380,209百万円(前連結会計年度比5.7%増)、営業利益は381,114百万円(前連結会計年度比2.4%増)、経常利益は367,669百万円(前連結会計年度比2.3%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は233,603百万円(前連結会計年度比1.6%減)となりました。
なお、当社は、2019年12月に公表の「施工管理技士の技術検定試験における実務経験の不備について」に関し、2020年1月に外部調査委員会を設置し、事実関係の調査、原因分析を行ってきましたが、4月に外部調査委員会より「調査報告書」を受領し、国土交通省へ報告しました。今後、当社は、外部調査委員会の指摘を真摯に受け止め、同様の事態を発生させることないよう再発防止に努めていきます。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」をご参照ください。下記の前連結会計年度との比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
① 戸建住宅事業
戸建住宅部門では、お客様の住まいづくりに真摯に向き合い地域に密着した事業展開を推進し、販売拡大に努めてきました。
国内の注文住宅事業においては、持続型の耐震性能と外張り断熱による快適性、2m72cmの高い天井がもたらす大空間のゆとりを実現する「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」をはじめ、木造住宅「xevo GranWood(ジーヴォ グランウッド)」、3・4・5階建戸建住宅商品「skye(スカイエ)」に加え、2019年11月には、Webサイト上で楽しく簡単な家づくりを体験できる「Lifegenic(ライフジェニック)」を発売し、多彩な商品ラインアップで、お客様ニーズへの対応に注力してきました。また、戸建専用住宅からコンビネーションハウジング(併用住宅)、Livness(リブネス)ブランドによる戸建住宅の買取再販事業へと提案の幅を拡大し、事業を推進してきました。
海外においては、豪州シドニー近郊にて事業推進中のBox Hillプロジェクトの契約数が順調に増加しており、米国におけるStanley-Martin Communities, LLCの業績が好調に推移しました。
しかしながら、当事業の売上高は497,880百万円(前連結会計年度比1.1%減)となり、営業利益は18,080百万円(前連結会計年度比24.3%減)となりました。
② 賃貸住宅事業
賃貸住宅部門では、土地オーナー様の抱える課題やご所有地の特性、市場ニーズ等を総合的に判断し、土地オーナー様のみならず地域やご入居者様にとって最も価値の高い土地活用の提案を行っています。
国内においては、都市部や中心市街地での店舗付賃貸住宅や中高層物件への取組強化と、医療福祉施設等レジデンスに留まらない事業提案の推進により、受注拡大を図ってきました。
海外においては、米国の「オーレリアン」が賃貸開始時より90%を超える稼働率を維持する中、不動産持分47%を大和ハウスグローバルリート投資法人に売却しました。
しかしながら、当事業の売上高は1,005,902百万円(前連結会計年度比4.6%減)となり、営業利益は98,587百万円(前連結会計年度比5.8%減)となりました。
③ マンション事業
マンション部門では、社会やお客様にとって、資産価値に加えて付加価値の高いマンションづくりに努めるとともに、一貫体制による安心・安全・快適な暮らしを支える管理サービスの提供に取り組んできました。
国内においては、首都圏の「プレミスト有明ガーデンズ」(東京都)が周辺の商業施設をはじめとした開発による将来性が評価されるとともに、都心へのアクセスと生活利便性が好評を博し、ファミリー、DINKSを中心に販売が順調に進捗し完売しました。
株式会社コスモスイニシアにおいては、都心の優良不動産を低予算で取得可能にする共同出資型の投資用不動産「セレサージュ表参道」、「セレサージュ中目黒」(ともに東京都)の販売が好調に推移し、どちらも総募集口数を完売しました。
海外においては、豪州シドニー近郊で開発・販売した「フラワー・ミル・オブ・サマーヒル」が全住戸完売しました。
以上の結果、当事業の売上高は372,731百万円(前連結会計年度比8.5%増)となりましたが、営業利益は15,883百万円(前連結会計年度比23.4%減)となりました。
④ 住宅ストック事業
住宅ストック部門では、当社施工の戸建・賃貸住宅を所有されているオーナー様に対し、インスペクション(点検・診断)を通じたリレーションの強化や保証期間延長のためのリフォーム提案を強化してきました。加えて、再生可能エネルギーの固定価格買取制度において買取期間満了を迎える戸建住宅オーナー様に向けた家庭用蓄電池の販売や、法人のお客様の事業用資産に向けたメンテナンス提案に注力し、受注拡大を図ってきました。
また、より良質な既存住宅の流通の活性化に向けた「Livness(リブネス)」事業においては、全国の戸建住宅・マンションオーナー様向けに「想いをつなぐ売却キャンペーン」やセミナーを実施しました。
さらに、「Livness Town Project(リブネスタウンプロジェクト)」として、高齢化が進む、過去当社が開発した住宅団地「ネオポリス」の再生等、社会課題を解決する事業を推進してきました。
以上の結果、当事業の売上高は145,619百万円(前連結会計年度比10.5%増)となり、営業利益は16,723百万円(前連結会計年度比22.1%増)となりました。
⑤ 商業施設事業
商業施設部門では、テナント企業様の事業戦略に対応した適切な出店計画の提案や、エリアの特性を活かしたバリエーション豊富な企画提案を行ってきました。特に、ホテル・商業ビル等の大型物件への取組みの強化や、投資用不動産の購入を検討されているお客様に向けて、当社で土地取得・建物建築・テナントリーシングまで行った物件を販売するなど業容の拡大を図り、事業を推進してきました。
国内においては、JR広島駅前において、ホテル・商業施設・オフィスが一体となった大型複合施設「GRANODE(グラノード)広島」を開業し、沖縄県豊見城市豊崎において県初となる水族館併設の大型商業施設「iias(イーアス)沖縄豊崎」(2020年6月グランドオープン予定)など、当社グループが保有する経営資源を組み合わせ、お客様のニーズに合わせた複合施設開発に取り組んでいます。
海外においては、2019年10月に米国カリフォルニア州にて商業施設「Trade」を取得し、運営管理を開始しました。
以上の結果、当事業の売上高は806,784百万円(前連結会計年度比10.4%増)となりましたが、営業利益は140,632百万円(前連結会計年度比1.4%減)となりました。
⑥ 事業施設事業
事業施設部門では、法人のお客様の様々なニーズに応じた施設建設のプロデュースや資産の有効活用をトータルサポートすることで業容の拡大を図ってきました。
物流施設関連では、さいたま市最大の大型物流施設「DPL浦和美園」をはじめ、全国26ヶ所の物流施設を新たに着工し、豊富な経験とノウハウでお客様の物流戦略をバックアップしてきました。
医療介護施設関連では、老朽化した施設や、耐震基準を満たしていない病院をターゲットに建替えや移転の提案、また高齢者住宅・複合介護施設等医療法人の経営課題を解決するソリューション提案を強化してきました。
事務所・工場等の拠点サポート関連では、広島西飛行場跡地を産業団地として再開発する「広島イノベーション・テクノ・ポート」に着手し、当社開発の全国25ヶ所の工業団地への企業誘致を強化してきました。
食品施設関連では、食品製造・加工事業者を対象に、HACCP(※)義務化に向けたセミナーを開催するとともに、安全認証に適応した施設建設の提案を強化してきました。
以上の結果、当事業の売上高は1,152,347百万円(前連結会計年度比12.3%増)となり、営業利益は120,636百万円(前連結会計年度比20.2%増)となりました。
※.食品の製造・加工等のあらゆる段階で発生する恐れのある微生物汚染等の危害を事前分析・管理する衛生管理手法。
⑦ その他事業
ホームセンター事業では、ロイヤルホームセンター株式会社が、「ロイヤルホームセンターキセラ川西」(兵庫県)を新たにオープンするなど、様々なお客様の暮らしに役立つ店舗を展開してきました。
アコモデーション事業では、大和リゾート株式会社が、その地域の伝統や文化を活かしたインテリアデザインの採用が特徴であるD-PREMIUMシリーズを金沢市、奈良市にオープンさせるなど新規に3ヶ所開業し、地域特性や立地条件に配慮したホテル展開を進めてきました。
物流事業では、大和物流株式会社において、「柏インター物流センター」(千葉県)等5ヶ所を新たに竣工し、お客様に最適な物流網を提案してきました。
フィットネスクラブ事業では、スポーツクラブNAS株式会社において、「スポーツクラブNAS 蕨」等、新たに4ヶ所をオープンしました。
以上の結果、当事業の売上高は530,079百万円(前連結会計年度比9.7%増)となり、営業利益は19,285百万円(前連結会計年度比42.4%増)となりました。
(注) 1.各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものです。(「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。)
2.上記金額に消費税等は含んでいません。



2.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加149,651百万円、投資活動による資金の減少317,273百万円、財務活動による資金の増加169,128百万円等により、あわせて230百万円減少しました。この結果、当連結会計年度末には276,068百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は149,651百万円(前連結会計年度比57.9%減)となりました。これは、主に349,683百万円の税金等調整前当期純利益を計上したものの、請負工事に係る仕入債務の支払日程の見直しと併せて手形支払いの大部分を廃止したことによる影響、及び前連結会計年度末が休日であった影響による仕入債務の減少や法人税等の支払いを行ったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は317,273百万円(前連結会計年度は313,989百万円の減少)となりました。これは、主に大規模物流施設や商業施設等の有形固定資産の取得を行ったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の増加は169,128百万円(前連結会計年度は86,979百万円の減少)となりました。これは、主に、前連結会計年度末に係る株主配当金及び当連結会計年度の中間配当金の支払いを行ったものの、たな卸資産や投資用不動産の取得等のために借入金やハイブリッド社債の発行による資金調達を行ったことによるものです。
3.生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載していません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称受注高
(百万円)
前連結会計
年度比 (%)
受注残高
(百万円)
前連結会計
年度比 (%)
戸建住宅480,263△5.6164,677△8.4
賃貸住宅991,312△6.9253,051△5.1
マンション364,17311.856,2550.3
住宅ストック136,2664.013,503△30.5
商業施設839,46512.7208,17824.0
事業施設1,123,9914.1770,430△2.4
その他419,2947.776,186△13.6
合計4,354,7682.61,542,284△1.6

(注) 1.各セグメントの金額は外部顧客への受注高・受注残高を表示しています。
2.上記金額に消費税等は含んでいません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額 (百万円)前連結会計年度比 (%)
戸建住宅495,415△1.1
賃貸住宅1,004,781△4.6
マンション364,0179.4
住宅ストック142,19311.9
商業施設799,23210.2
事業施設1,143,30111.7
その他431,26713.1
合計4,380,2095.7

(注) 1.各セグメントの金額は外部顧客への売上高を表示しています。(「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。)
2.総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。
3.上記金額に消費税等は含んでいません。
(参考)提出会社個別の事業の状況は次のとおりです。
受注高、売上高及び繰越高
期別部門別前期
繰越高
(百万円)
当期
受注高
(百万円)

(百万円)
当期
売上高
(百万円)
次期
繰越高
(百万円)
第80期
自 2018年
4月1日
至 2019年
3月31日
建築請負部門693,0701,445,4452,138,5151,363,765774,750
不動産事業部門87,638530,687618,325527,55590,770
その他事業部門1234,18534,19734,197-
780,7202,010,3182,791,0391,925,518865,520
第81期
自 2019年
4月1日
至 2020年
3月31日
建築請負部門774,7501,350,8402,125,5901,376,990748,600
不動産事業部門90,770572,429663,199564,42698,772
その他事業部門-33,73333,73333,733-
865,5201,957,0032,822,5231,975,150847,372

(注) 1.損益計算書においては、建築請負部門は「完成工事高」、不動産事業部門は「不動産事業売上高」、その他事業部門は「その他の売上高」として表示しています。
2.前期以前に受注したもので契約の更改により金額に変更あるものについては、当期受注高及び当期売上高にその増減を含めています。
3.次期繰越高は(前期繰越高+当期受注高-当期売上高)です。
4.上記金額に消費税等は含んでいません。
4.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成して います。この連結財務諸表作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮 定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
なお、新型コロナウイルスの感染症拡大の影響を踏まえた会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりです。
退職給付債務及び関連する費用の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しています。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率、退職率等の様々な計算基礎があります。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
退職給付債務の算定において、主要な仮定の変化が当連結会計年度末の退職給付債務に与える感応度は以下のとおりです。マイナス(△)は退職給付債務の減少を、プラスは退職給付債務の増加を表しています。感応度分析は分析の対象となる数理計算上の仮定以外のすべての数理計算上の仮定が一定であることを前提としています。
当連結会計年度末(2020年3月31日)
数理計算上の仮定の変化退職給付債務に与える影響
(百万円)
割引率0.5%の上昇△54,990
0.5%の低下63,451

なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係) (6)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりです。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、その達成を保証
するものではありません。
CFOメッセージ
ガバナンスを再構築し、ステークホルダーからの信頼回復に努めると共に
サステナブル経営、攻守のバランスが取れた財務戦略を実施してまいります

代表取締役副社長/CFO 香曽我部 武

株主・投資家のみなさまにおかれましては、大和ハウスグループの経営に対してご支援を賜り、厚く御礼を申し上げます。代表取締役副社長CFOとしてガバナンスと社会への取組みを進める中で、ESGが、企業が長期的に成長を遂げるための重要な要素となっていることを日々実感しております。
2019年度に発覚したコンプライアンス違反事案については、ステークホルダーのみなさまにご迷惑・ご心配をおかけしましたこと、深くおわびを申し上げます。信頼を揺るがす事態を招いた厳しい状況を直視し、グループ全体でガバナンスの強化に向けた施策を確実に実行し、信頼回復に邁進する所存です。まずは、私より改善策とこれまでの進捗についてお伝えし、その後、財務戦略についてお話いたします。
社外取締役比率を3分の1以上に変更し
多様性の充実を図り、取締役会の実効性をさらに高めます
コーポレート・ガバナンスの強化に向けては、代表取締役副社長である私が中心となり、プロジェクトを立ち上げ、昨年11月にガバナンス強化策に向けた基本方針を公表しました。第6次中期経営計画の最終年度となる2021年度までをグループガバナンス再構築における一定期間と定め、国内外のグループ会社を含めたガバナンスに関する4つの基本方針に則り、各強化策を着実に実行しております。
まず、基本方針1である「経営体制及び管理・監督のあり方の再検討」については、2020年6月の株主総会の決議をもって、取締役会のメンバー構成は、社内取締役9名、社外取締役5名となり、社外取締役比率は3分の1以上となりました。そして、社内取締役の上限年齢を代表取締役は69歳、取締役は67歳に設定するとともに、社内監査役、執行役員にも67歳の上限年齢を設定しました。これにより、取締役会における議論の活性化、多様性、そして円滑な世代交代が実現できるものと考えております。今後は企業価値向上のための中長期的な経営戦略及び監督機能の強化に向け、経営における意思決定機能や管理・監督機能を再整備し、経営体制の最適化を図ってまいります。
リスク管理体制、ガバナンス体制を見直し
コーポレート・ガバナンスを強化する
基本方針2「業務執行の機動性及びリスク対応体制の強化」については、国内事業の業務執行体制は7つの事業本部に再編し、関連するグループ会社を傘下に配置します。それぞれの事業本部が業績とリスク管理、コンプライアンスに関する権限と責任を持ち、一貫して管理する体制としており、本社各部門は各事業本部を横断的に補佐し、ガバナンス機能の強化に努めます。2020年4月から導入しておりますが、2021年4月からの本格運用開始に向け、組織体制や運用方法の検討を進める1年と位置付けております。また法令遵守の徹底という点では、昨年11月に立ち上げたコンプライアンス推進部が、本社部門と現場をつなぎ、リスク事案やコンプライアンス違反事案の発生を未然に防ぐとともに、業務環境の整備を進めております。
一方、海外事業については、海外事業本部を設置し、各地域ごとの管理体制の構築を進めており、アメリカ及びオーストラリア、東アジア、ASEANなどのエリアに分け、エリアごとに一貫した管理とする考えです。
今後の取組みとしては、グループ内の重複事業についての組織・機能等の最適化を進めるとともに、グループ本社機能の再整備を行い、確実かつ効率的なグループ運営とグループガバナンス強化を図っていきます。
また、基本方針3「リスク情報の収集と共有の強化」については、リスク報告基準を明確化し、内部通報の外部窓口を新設しました。今後は、リスク情報の再整備事項の運用定着と新業務執行体制に沿った継続的な改善に取り組んでまいります。
サステナブル経営のための基盤の強化に向けて投資する
基本方針4「持続性・実行性を支える環境の強化」については、役職員へのリスク・コンプライアンス教育の継続実施、グループ内部監査体制及びリスクアプローチの強化を進めております。今後も、コンプライアンス活動を持続し、実効性を高める効率的な業務基盤の強化に向けて取り組んでまいります。
中長期の持続的な成長に向けては、経営基盤の強化に対する投資が重要です。第6次中期経営計画では、設備投資2,500億円のうち1,000億円を働き方改革及び技術基盤整備に関する投資に充てています。
10年後の日本を見すえると、人口減少にともなって住宅需要は約4割減少すると予測されています。加えて、建築に携わる建設技能労働者は約6割減るという予測もあります。これから先、住宅の提案営業をどのように行うかということに加えて、「いかにして建てるか」ということが業界における競争優位を左右する時代が到来します。
そのため、BIM(ビルディング インフォメーション モデリング)の導入による法令等適合のチェックの効率化など、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務システムの強化に向けた取組みが必須といえます。また、作業ロボットによる現場での無人施工なども進めていく必要があります。
現状、第6次中期経営計画の中で1,000億円をすべて投資する段階には至っておりませんが、第6次以降を見すえて中長期の取組みとして、経営基盤の強化に取り組んでまいります。
なお、ガバナンス強化策の実施状況については、今後も定期的にみなさまにご報告させていただきます。
キャッシュ・フロー経営をこれまで以上に推進する
財務状況につきましては、事業規模が着実に拡大し、2020年3月期決算においては売上高・営業利益は過去最高を更新する中で、投資が予想を超えて進捗いたしました。特に不動産開発への投資は、第6次中期経営計画においては7,000億円を計画しておりますが、1年目で3,626億円の投資となりました。
現状、不動産の投資及び回収ともに順調に進んでおりますが、有利子負債はこの1年で2,649億円増加し、総額で1兆434億円となっています。D/Eレシオ(負債資本倍率)は0.60倍となり、第6次中期経営計画において適正な財務レバレッジとして定めた「0.5倍程度」を上回る水準となっています。ただし不動産投資が増加するのを見越し、財務健全性の維持として2019年9月に、総額1,500億円に及ぶ公募ハイブリッド社債(劣後特約付社債)を発行しております。これは資本増強という観点からD/Eレシオの改善につながるもので、ハイブリット債考慮後ではD/Eレシオは0.54倍となっています。
目下、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が続く中で、資金需要が高まっていること、及び今後の不動産市況が不透明なことから、2020年度においては新規の不動産投資についてはこれまで以上に慎重に臨みます。一方、簿価で約5,500億円ある未稼働物件に対しては、現在、建物への建設投資を進めおり、これを早く稼働させ、リーシングをし、収益物件へと仕上げていきます。また、このような状況だからこそ、新規投資のチャンスという考え方もありますので、良い新規投資案件があれば検討していきます。
財務健全性の維持とともに、キャッシュ・フロー経営の推進はこれまで以上に重要であると考えています。従来、資産の回転率向上は当社の財務戦略における重要な取組みの一つであり、特に販売用不動産の回転率の改善は課題の一つととらえています。現状、住宅については年0.6回転程度(当社単体)にとどまっておりますが、これを年1回転までは改善していく考えです。一方、分譲マンションの販売用土地・建物の在庫は約3,900億円となっていますが、年間売上げに対してやや過大と認識しており、こちらも滞留が生じないように施策を進めてまいります。
このほか、商業や事業向け不動産の回転率は比較的良いものの、推移を注意深く観察しつつ、状況に機敏に対処してまいります。
冒頭、有利子負債は1兆円を超えていると申しましたが、投資不動産は同程度の1兆円保有しております。その半分は、マルチテナント型物流施設です。
当社では、これまでお客さまのニーズに合わせた物流倉庫やレンタル倉庫を多数手掛けてきました。その実績を踏まえて、昨今、取組みを強化しているマルチテナント型物流施設は、幅広いお客さまの物流ニーズに対応し、早く入居したいお客さまの要請に応えられるものであり、物流業界のトレンドに合致していると認識しています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響下においても、お客さまのニーズは依然として高く、インターネットを通じた通信販売の需要増を背景にニーズはむしろ高まっています。加えて、当社の強みが発揮できる複合開発・市街地の再開発等の分野への投資も引き続き取り組んでまいります。
そのためにも、施設の早期稼働を通じてキャッシュ・フローへの寄与を図っていく考えです。資金計画では3年間で4,000億円の開発物件売却を予定しております。1年目は1,895億円を売却し、2年目においては約1,900億円の売却を予定しており、2年間で約3,800億円となる予定です。新型コロナウイルス感染症拡大が不動産市況に与える影響は、いささか見えづらいところもありますが、まだ追加で売却できる物件を保有しており、キャッシュ・フローや、利益達成、また傘下のリートの成長等、様々な観点で状況を見ながら検討してまいります。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響に向けて万全の備えで対応する
当社では常に時代の一歩先を見すえた財務戦略に取組み、経営の守りを固めることに注力してきました。現時点では金利上昇のリスクは見込んでいないものの、先程述べました公募ハイブリッド社債(劣後特約付社債)は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受ける前というタイミングで、低金利で財務健全性に寄与する資金を調達することができたと考えております。
また、投資が増加し不動産開発の残高が増える中、従来は傘下の上場リートが主な売却先でしたが、私募リートや私募ファンドなど売却先の多様化も進めております。
不動産開発における当社の強みとしては、多種多様な建物を手がけられる点と、テナント企業さまが多岐にわたっている点などを挙げることができます。これらの点を活かしながら、物件売却のタイミングも見極めていきます。
一方で、厳しい市況の中でキャッシュ・フロー経営を推進していくためには、より少ない資金を効率よく回して稼ぐという発想が欠かせません。そのために、不動産開発に加えて新たなビジネスを育てています。
当社グループでは、2018年からストック事業の強化に向けてグループ統一の新ブランド「Livness(リブネス)」を立ち上げました。これは既存住宅の売買仲介をはじめ、買取再販やリノベーション・リフォームなどを全事業に亘って手がけるものです。事業展開において資本効率が良い上に、「世の中のために役立つ」という創業者精神にもかなっています。このリブネスを新たな事業の柱として成長させていくことが、逆境を乗り切っていく鍵になると考えています。
株主還元について
当社では「ROE13%以上」、「D/Eレシオ0.5倍程度」、「配当性向30%以上及び機動的な自社株買いの実施」の3つを資本政策の指標として掲げております。その重要な指標の1つであるROE(自己資本利益率)につきましては、目標である13%以上を2016年度以降、達成することができました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、市況が悪化していくことを想定すれば、今後はより一層3つの指標のバランスを取り、攻めと守りの両面に配慮した財務戦略を実施していくことが重要であると考えております。
また、配当金につきましては、一株当たり利益(EPS)を上げてきた結果、2020年3月期は年間配当115円、配当性向32.7%、10期連続の増配を達成することができました。2021年3月期については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を勘案し、業績は減収減益の計画となっており、増配は難しいものの、安定配当継続の観点から、年間配当金90円、配当性向56.9%とさせていただきました。そして、自社株買いについては、取得株数1,000万株、取得金額300億円を上限に現在実施しております。当面は、想定していた以上に営業キャッシュ・フローが下がっているため、手元資金を厚くし、新型コロナウイルス感染症拡大が収まったあとの状況を見極めたいと考えており、追加の自社株買いについては、今後の状況を見ながら検討してまいります。
2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大を背景に、たいへん厳しい事業環境での取組みとなります。しかし、こうした事態に直面したときこそ、当社グループが継承してきた創業者精神が真価を発揮するはずです。
今後も株主・投資家はじめステークホルダーのみなさまと対話を重ね、ご意見をいただくとともに、社名が表す「大いなる和」のもとで、すべての役職員が一致団結して、「世の中の役に立つ」事業の推進により持続的成長を成し遂げてまいります。引き続きご支援をたまわりますよう心よりお願い申しあげます。

Ⅰ.財政状態

財務の状況[ 図1 ]

2019年度末の総資産は、前連結会計年度末比で2,933億円増加し、4兆6,273億円となりました。その主な要因は、海外事業の強化等によりたな卸資産が増加したことや、投資用不動産等の取得により有形固定資産が増加したことによるものです。
負債合計については、前連結会計年度末比で1,636億円の増加となり、2兆8,539億円となりました。その主な要因は、仕入債務を支払ったものの、たな卸資産や投資用不動産の取得等のために借入金やハイブリッド社債の発行による資金調達を行ったことによるものです。
純資産合計については、前連結会計年度末比で1,296億円増加し、1兆7,733億円となりました。その主な要因は前連結会計年度に係る株主配当金を支払ったものの、2,336億円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによるものです。
リース債務等を除く有利子負債残高は、前連結会計年度末比で2,649億円増加し、1兆434億円となりました。D/Eレシオについては、2010年度が始まる時点の2009年度末の0.74倍と比較すると、内部留保と2013年度に実施した増資によって、0.60倍へ改善されています。資産の内訳については、賃貸等不動産の残高が1兆1,261億円となり、近年大きな割合を占める状況となっています。今後も、開発用不動産の取得等により、資産が膨らむことが予測されますが、最適資本構成の検証により財務の健全性維持に努めていきます。
①流動比率は197%から162%へと低下。
②固定比率は200%から146%へと低下。
③固定長期適合率は78%から76%へと低
下。
④自己資本は6,168億円から1兆7,269億円へと成長。

①運転資本(売上債権+たな卸資産-仕入債務)は、2,620億円から1兆1,675億円へと増加。
②リース債務等を除く有利子負債は4,583億円から1兆434億円へと増加しているものの、自己資本に対する比率(D/Eレシオ)は、0.74倍から0.60倍へ低下。
③賃貸等不動産を増加させつつ、自己資本に対する賃貸等不動産及び固定資産の比率は1.29倍から1.06倍へと低下。


Ⅱ.キャッシュ・フロー(CF)

基本的な考え方

キャッシュ・マネジメントの基本的な考え方としては、事業活動によるキャッシュ創出額を基準として投資を行うことです。優良な投資機会に対しては、積極的な投資を行う必要があり、外部から調達する資金を含めて投資枠の設定を行っています。そのため、D/Eレシオが一時的に0.5倍を超えることがありますが、中長期的には、0.5倍程度として有利子負債の水準をコントロールし、成長投資と財務健全性の維持の均衡を図っています。
キャッシュ・フローの状況[ 図2・3 ]

2019年度における営業活動CFは、2,347億円となり、前連結会計年度に比べ1,179億円減少しました。自己資本に対する営業活動CFは、前連結会計年度の22%から8ポイント下降し14%で推移しています。主な要因としては、3,496億円の税金等調整前当期純利益を計上したものの、請負工事に係る仕入債務の支払日程の見直しと併せて手形支払いの大部分を廃止したことによる影響、及び前連結会計年度末が休日であった影響による仕入債務の減少や法人税等の支払いを行ったことなどによるものです。
投資活動CFについては、第6次中期経営計画における投資計画に基づき、賃貸等不動産等の取得や、不動産開発事業への投資を2,895億円実行したことなどにより、△3,172億円となりました。その結果フリー・キャッシュ・フロー(営業活動CF+投資活動CF)は△824億円となり、たな卸資産や投資用不動産の取得等のために借入金やハイブリッド社債の発行による資金調達を行ったことなどにより、財務活動CFは1,691億円となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の2019年度末残高(休日調整後)は前連結会計年度末から849億円増加し、2,760億円となりました。

企業価値・キャッシュ創出力[ 図4・5 ]

キャッシュ創出力を示す減価償却前の営業利益(EBITDA)(※1)は4,563億円となっており、キャッシュを生み出す力は着実に成長しています。今後についても、有利子負債の水準を一定程度に維持しつつ、優良な投資案件への積極的な投資を行うという方針を継続するとともに、新たな収益の柱を育てることによって、キャッシュ創出力をさらに高め、企業価値を向上させていきます。
2019年度末の企業価値(EV)(※2)は、時価総額1兆7,838億円にリース債務等を除くネット有利子負債7,620億円を合算し2兆5,458億円となっています。企業価値とキャッシュ創出力の倍率を示すEV/EBITDA倍率は2019年度末で5.6倍となっています。


Ⅲ.損益の状況

売上高/総資産回転率[ 図6 ]

売上高は4兆3,802億円となり、2010年度からの10年間における年平均成長率は11.2%となりました。
総資産回転率(※1)については、2010年度から2012年度までの3年間の推移に対し、2013年度から2019年度までの7年間は僅かながら改善傾向が見られます。
しかしながら、さらなる回転率の改善のため、たな卸資産の販売促進や投資不動産の売却、政策保有株式の売却等、資産の効率的な活用の徹底に引き続き取り組んでいきます。
※1 総資産は期中平均

売上総利益/営業利益率[ 図7 ]

売上総利益は8,702億円となり、2010年度からの10年間における年平均成長率は11.1%となりました。売上高総利益率は、前期と比べ0.5ポイント低下し19.9%となりました。また、営業利益は、3,811億円となり、2010年度からの年平均成長率は17.7%となりました。
営業利益率は前期と比べ0.3ポイント低下し、8.7%となりました。建設資材や労務費の高騰により売上高総利益率は0.5ポイント低下しましたが、生産性の向上等により従業員1人当たり売上高を増加させ、売上高販管費率を低下させることで、営業利益率が大きく低下しないように努めています。


投下資本利益率(ROIC)/株主資本利益率(ROE)[ 図8・9 ]

税引後営業利益(NOPAT)(※2)は、2,645億円となり、投下資本(自己資本+有利子負債)2兆5,725億円(※3)に対する利益率(ROIC)は10.3%となりました。
当社は、第6次中期経営計画においてはROE13%以上を経営目標のひとつに掲げていましたが、D/Eレシオ0.5倍を目安として借入等を行い事業を展開しているため、事業投資においては投下資本全体に対するリターンがWACC(株主資本コストと負債コストの加重平均)を上回るように意識をして取り組んでいます。ROICの維持・向上によって、株主資本に対する利益率(ROE)の維持・向上に努めていきます。
※2 税引後営業利益(NOPAT)=営業利益×(1-実効法人税率)
※3 期中平均



Ⅳ.事業別経営成績

成長性分析[ 図10 ]

2010年度に対する2019年度の利益成長率は、事業施設において10倍、その他事業において7倍、商業施設において4倍、住宅ストックにおいて3倍を超える水準となっています。
賃貸住宅事業においては、10年前において既に高い利益水準にあったため、2010年度比の成長率は相対的に低く示されていますが、引き続き高い利益率で推移しています。
また、当社の強みは、事業領域間の隔たりがない事業提案ができることです。社会の変化するスピードが加速度的に高まる中で、多様化する建築ニーズに対して、各事業が有する商品・サービスを複合的に組み合わせることや、周辺領域での事業展開によって得られる新たな事業機会が今後さらに増加することを見込んでいます。
これらの新たな市場が全社の成長率を牽引するよう、全体の収益性とのバランスを考慮しながら成長に向けた取組みを進めていきます。

収益性分析[ 図11 ]

営業利益においては、賃貸住宅、商業施設、事業施設事業の3つのセグメントで全体の80%を占めています。
また、住宅ストック事業においては、売上高構成比としては3.2%にとどまるものの、高い利益率・資本効率( 図12 )を示しています。市場の成長が見込まれる事業分野であるため、住宅ストック市場を中心としたグループ統一のブランド「Livness(リブネス)」を立ち上げ、積極的に取り組んでいます。
また、戸建住宅、マンション事業については、人口減少に伴い、新設住宅着工戸数の減少も見込まれる中、エリアの選択やターゲットの明確化により利益率の改善を図っていきます。


セグメント資産に対する営業利益率[ 図12 ]

セグメント資産に対する営業利益率については、住宅ストック、賃貸住宅、商業施設事業が高い数値を示しています。
事業施設事業については、物流施設等の市場の急成長に対応し、積極的な投資を行っていることから、現時点における資産利益率は低い水準となっていますが、今後の投資回収期にはキャッシュ・フローに大きく寄与してくることを見込んでいます。

事業投資の状況[ 図13 ]

事業投資の状況としては、収益性が高く、高い成長率を示している事業施設事業への投資を積極的に実施しています。次いで、収益性の高い商業施設、賃貸住宅事業への投資を行っています。また、これらのコア事業によって創出された資金を活用し、新たな収益の柱として育成すべく新規事業や海外事業等への投資も併せて実施しています。

なお、新型コロナウイルスの感染症拡大に伴う事業活動への影響等については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりです。