有価証券報告書-第79期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
1.財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の持ち直しや雇用・所得環境の改善が持続するなど、緩やかな回復傾向が続いてきました。
当業界においては、住宅市場は、新設住宅着工戸数で持家・貸家・分譲マンションがそれぞれ減少し、住宅全体でも前年比マイナスとなるなど、低調な推移となりました。一般建設市場は、建築着工床面積で病院や学校等が減少したものの、倉庫や工場等でプラスとなり、非住宅全体では堅調に推移してきました。
このような経済状況の中で、当社グループは平成30年度を最終年度とする3ヶ年計画「大和ハウスグループ第5次中期経営計画」に基づき、国内需要の取り込みによるコア事業の拡大を図るとともに、不動産開発投資を積極的に行ってきました。また、海外への事業展開の一環として、米国において戸建住宅の販売等を行う「Stanley-Martin Communities, LLC」の持分を取得し、グループ会社としました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は3,795,992百万円(前連結会計年度比8.1%増)、営業利益は347,141百万円(前連結会計年度比11.9%増)、経常利益は344,593百万円(前連結会計年度比14.7%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は236,357百万円(前連結会計年度比17.2%増)となりました。
セグメント別の概況は次のとおりです。
① 戸建住宅事業
戸建住宅部門では、お客様の住まいづくりに真摯に向き合い地域に密着した事業展開を推進し、販売の拡大に努めてきました。
注文住宅では、持続型の耐震性能と外張り断熱による快適性、2m72cmの高い天井がもたらす大空間のゆとりを実現する戸建住宅商品「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」、3・4・5階建戸建住宅商品「skye(スカイエ)」の販売に注力し、戸建住宅に加えて賃貸併用住宅、店舗併用住宅等へと提案の幅を拡大し事業を推進してきました。さらに、デザインや仕様にこだわりを持つお客様向けに、上質で最高級の木造フルオーダーの家づくりプロジェクト「PREMIUM GranWood(プレミアムグランウッド)」をスタートさせました。
また、共働き世帯の増加を背景とした家事の時間的・心理的負担を軽減する戸建住宅提案「家事シェアハウス」や、再配達の軽減を図る新型宅配ボックス「D's box(ディーズボックス)」の販売を推進し、社会的な課題の解決に貢献する取り組みを強化してきました。さらに、戸建住宅のIoT化を進め、様々な住宅設備や家電をインターネットにつなげることで、より一層利便性が高く豊かな暮らしを提供することを目指すコネクテッドホーム(※)ブランド「Daiwa Connect(ダイワコネクト)」プロジェクトをスタートし、今後の提案の拡大・強化に向けた取り組みを開始しました。
以上の結果、当事業の売上高は385,369百万円(前連結会計年度比1.3%減)、営業利益は21,566百万円(前連結会計年度比11.8%増)となりました。
※暮らしから取得できるデータを活用し、省エネだけでなく家事の効率化や健康への配慮等幅広い価値を提供する住まい。
② 賃貸住宅事業
賃貸住宅部門では、土地診断からプランニング、設計、建築、経営サポートにいたる総合力を活かした土地の有効活用の提案に努めてきました。
特に、3階建や中高層賃貸住宅への取り組みを強化するなど、大型物件の受注拡大を図ってきました。
さらに、大和リビング株式会社が管理する当社賃貸住宅のご入居者様を対象に、ドッグハウス付賃貸併用分譲住宅商品「SEJOUR DD-1(セジュール ディーディー・ワン)」を発売するなど、新たな商品の開発にも取り組んできました。
管理事業では、大和リビング株式会社において、賃貸住宅のご入居者様に提供している「選べるサービスD-room+」に、電子書籍が読めるサービスや映画が楽しめるサービス等のコンテンツを新たに加えるなど、ご入居者様のライフスタイルに合わせた多様なサービスを充実させることで、高い入居率を引き続き維持してきました。
以上の結果、当事業の売上高は1,030,834百万円(前連結会計年度比5.5%増)、営業利益は106,683百万円(前連結会計年度比13.1%増)となりました。
③ マンション事業
マンション部門では、社会やお客様にとって付加価値の高いマンションの供給に努めてきました。
首都圏での販売においては、「プレミストひばりが丘(※1)」(東京都)や、「プレミスト代々木公園」(東京都)が、利便性の高さや立地周辺の自然環境に対して好評を博し、いずれも販売が順調に推移してきました。また「プレミスト湘南辻堂(※2)」(神奈川県)は、IoT技術とAIを活用したスマートウェルネスサービス(※3)や生活利便性の高い立地が好評を博し、第1期120戸を全戸即日申込登録いただきました。
また、大型商業施設と直結する分譲マンション「ザ・タワーズフロンティア札幌(※4)」の販売を開始するなど地方都市における販売にも注力してきました。
株式会社コスモスイニシアにおいては、一棟投資用不動産を保有されている不動産オーナー様、または購入を検討されているお客様に向けて、AIによる不動産価値の将来予測と投資プランシミュレーションが行える不動産業界初のサービス「VALUE AI(バリューアイ)」の提供を開始するなど、新たな取り組みを推進してきました。
管理事業では、大和ライフネクスト株式会社において、PC・スマートフォン・タブレット等を利用してwebにて理事会を開催できるシステム「Web理事会サービス」の提供を開始するなど、ご入居者様へのサービス向上に努めてきました。
以上の結果、当事業の売上高は285,051百万円(前連結会計年度比8.4%増)、営業利益は13,328百万円(前連結会計年度比0.8%減)となりました。
※1.当社、株式会社コスモスイニシアの共同事業。
※2.当社、神奈川中央交通株式会社、株式会社長谷工コーポレーションの共同事業。
※3.IoT技術およびAIと、スポーツクラブNAS株式会社が監修する運動メニュー提案等のソフトサービスを融合した、ヘルスプロモーションサービス。
※4.当社、住友不動産株式会社、株式会社大京の共同事業。
④ 住宅ストック事業
住宅ストック部門では、当社施工の戸建・賃貸住宅を所有されているオーナー様に対し、インスペクション(点検・診断)を通じたリレーションの強化や保証期間延長のためのリフォーム提案を強化するなど、受注拡大を図ってきました。さらに、法人施設のリフォームやメンテナンスの提案への取り組みを開始し、業容の拡大を図ってきました。
そして新たに、当社グループ各社が個別に展開してきた住宅ストック事業の情報を集約し、お客様の状況に応じたリフォームや買取再販等の提案を行うため、グループ統一の新ブランド「Livness(リブネス)」を立ち上げました。
以上の結果、当事業の売上高は112,148百万円(前連結会計年度比6.2%増)、営業利益は13,228百万円(前連結会計年度比1.1%増)となりました。
⑤ 商業施設事業
商業施設部門では、テナント企業様の事業戦略に対応した適切な出店計画の提案や、エリアの特性を活かしたバリエーション豊富な企画提案を行ってきました。また、市街地開発や大型物件への取り組みに注力するとともに、投資用不動産の購入を検討されているお客様に向けて当社で土地取得・建物建築・テナントリーシングまで行った物件を販売するなど業容の拡大を図ってきました。
また、戸建住宅や分譲マンションとの住・商一体の複合開発を行った「高尾サクラシティ」(東京都)内に、大型商業施設「iias(イーアス)高尾」を開業しました。
以上の結果、当事業の売上高は620,869百万円(前連結会計年度比9.0%増)、営業利益は114,178百万円(前連結会計年度比13.3%増)となりました。
⑥ 事業施設事業
事業施設部門では、法人のお客様の様々なニーズに応じた施設建設のプロデュースや資産の有効活用をトータルサポートすることで業容の拡大を図ってきました。
物流施設関連では、当社施工のマルチテナント型物流施設として最大の延床面積となる「DPL坂戸」(埼玉県)をはじめ、全国19ヶ所の物流施設を新たに着工しました。また、物流ロボットシステム「Butler®(バトラー)(※1・2)」の独占販売権を保有するGROUND株式会社等との資本業務提携に加え、アパレル業界向けのフルフィルメントサポート業務(※3)のノウハウを有する株式会社アッカ・インターナショナルをグループ会社とするなど、あらゆる物流業務を先進技術で支える次世代物流プラットフォームの構築に向けた取り組みを進めてきました。これにより今後も物流業界の課題解決に寄与する付加価値の高い次世代型物流施設の開発を進めていきます。
医療介護施設関連では、病院の建替えや移転、高齢者住宅との複合施設の開発を行うなど、医療法人や施設事業者に向けたソリューション提案を引き続き強化してきました。
生産施設関連では、食品製造企業を対象としたセミナーを開催するとともに、HACCP(※4)義務化に向けた安全認証に適応した施設建設の提案を強化してきました。
株式会社フジタにおいては、国内では物流施設やインフラ等、海外では宿泊施設や自動車関連の工場等で大型案件を受注するなど、建築・土木事業ともに堅調に推移してきました。
以上の結果、当事業の売上高は850,214百万円(前連結会計年度比2.6%増)、営業利益は88,915百万円(前連結会計年度比12.6%増)となりました。
※1.物流施設の床面を移動するロボットが可搬式の棚の下に潜り込み、作業者の元に棚ごと商品を届けることで、物流施設内の省人化を実現する物流ロボットシステム。
※2.「Butler®(バトラー)」は、GROUND株式会社の登録商標。
※3.通信販売業務において、商品が注文されてから注文者に届くまでに必要な管理運営業務全体のこと。
※4.食品の製造・加工等のあらゆる段階で発生する恐れのある微生物汚染等の危害を事前分析・管理する衛生管理手法。
⑦ その他事業
ホームセンター事業では、ロイヤルホームセンター株式会社において、女性と子ども、プロが愉しめるカジュアルで本格的なホームセンター「ロイヤルホームセンター西宮中央」(兵庫県)等、新たに3店舗をオープンし、全国59店舗でお客様の暮らしに役立つ情報提供や住まいの提案を行ってきました。
物流事業では、大和物流株式会社において、「嵐山物流センター」(埼玉県)や「菰野物流センター」(三重県)等3施設を新たにオープンし、全国82ヶ所の豊富なネットワークでお客様に最適な物流網を提案してきました。
フィットネスクラブ事業では、スポーツクラブNAS株式会社において、ランニングの名所・大阪城公園内で、ランニング愛好家をサポートするランニングステーション施設「RUNNING BASE大阪城」をオープンするなど、新たな取り組みを開始しました。
都市型ホテル事業では、ダイワロイヤル株式会社において、天神・中州地区へ徒歩圏内の「ダイワロイネットホテル福岡西中州」をオープンするなど、地域特性や立地条件に配慮したホテル展開を進めてきました。
以上の結果、当事業の売上高は637,123百万円(前連結会計年度比24.1%増)、営業利益は23,010百万円(前連結会計年度比36.5%増)となりました。
(注)1.各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものです。(「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。)
2.上記金額に消費税等は含んでいません。
2.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加382,365百万円、投資活動による資金の減少313,664百万円、財務活動による資金の増加41,804百万円等により、あわせて112,820百万円増加しました。この結果、当連結会計年度末には326,130百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は382,365百万円(前連結会計年度比32.9%増)となりました。これは、主に346,315百万円の税金等調整前当期純利益を計上したことや仕入債務及び販売用不動産の増加などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は313,664百万円(前連結会計年度は343,643百万円の減少)となりました。これは、主に大規模物流施設や商業施設等の有形固定資産の取得を行ったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の増加は41,804百万円(前連結会計年度比47.8%減)となりました。これは、主に前連結会計年度末に係る株主配当金及び当連結会計年度の中間配当金の支払いを行った一方、社債の発行による資金調達を行ったことによるものです。
3.生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載していません。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1.各セグメントの金額は外部顧客への受注高・受注残高を表示しています。
2.上記金額に消費税等は含んでいません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1.各セグメントの金額は外部顧客への売上高を表示しています。(「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。)
2.総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。
3.上記金額に消費税等は含んでいません。
(参考)提出会社個別の事業の状況は次のとおりです。
受注高、売上高及び繰越高
(注)1.損益計算書においては、建築請負部門は「完成工事高」、不動産事業部門は「不動産事業売上高」、その他事業部門は「その他の売上高」として表示しています。
2.前期以前に受注したもので契約の更改により金額に変更あるものについては、当期受注高及び当期売上高にその増減を含めています。
3.次期繰越高は(前期繰越高+当期受注高-当期売上高)です。
4.上記金額に消費税等は含んでいません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 資産
当連結会計年度末における資産合計は、4兆352億円となり、前連結会計年度末の3兆5,558億円と比べ4,793億円の増加となりました。その主な要因は、現金預金が増加したことや、販売用不動産の仕入によりたな卸資産が増加したこと、投資用不動産の取得により有形固定資産が増加したことによるものです。
② 負債
当連結会計年度末における負債合計は、2兆5,216億円となり、前連結会計年度末の2兆2,259億円と比べ2,957億円の増加となりました。その主な要因は、社債や借入金による資金調達を行ったことや、仕入債務の増加によるものです。
③ 純資産
当連結会計年度末における純資産合計は、1兆5,135億円となり、前連結会計年度末の1兆3,299億円に比べ1,836億円増加しました。その主な要因は、前連結会計年度に係る株主配当金を支払ったものの、2,363億円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによるものです。
④ 自己資本比率
自己資本比率は、当連結会計年度末においては36.5%となり、前連結会計年度末の36.8%から大きな変動はありません。
⑤ 売上高
当連結会計年度の売上高は3兆7,959億円となり、前連結会計年度の3兆5,129億円に比べ2,830億円の増収となりました。
その主な要因は、当連結会計年度より米国において戸建住宅の販売等を行う「Stanley-Martin Communities, LLC」を連結子会社化したことにより625億円の増加となったことのほか、成長ドライバーである賃貸住宅・商業施設・事業施設の3事業が堅調に推移し、事業施設事業(※)において543億円、商業施設事業(※)において467億円、賃貸住宅事業(※)において402億円の増収となったことによるものです。
そのほかの増収の要因は、マンション事業で221億円、エネルギー事業で203億円、中国の常州・無錫ならびに豪州のサマーヒルプロジェクトの海外分譲マンションの売上で133億円、米国における不動産売却で93億円、住宅ストック事業で65億円、都市型ホテル事業で35億円がそれぞれ増収となったことによるものです。
一方で、戸建住宅事業は49億円の減収、国内の開発物件売却は148億円の減収となりました。
※.開発物件の売却を除きます。
⑥ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は3,471億円となり、前連結会計年度の3,100億円に比べ370億円の増益となりました。
その主な要因は、売上高の増加により596億円、開発物件売却利益の増加により233億円の増益となったことによるものです。
一方で、管理販売費が、主に人員の増加による人件費の増加により317億円増加したことに加えて、開発物件売却の影響を除いた原価率が全体で0.3ポイント悪化したことにより85億円の減益、退職給付数理差異の影響により56億円の減益となりました。
⑦ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は、営業利益の増益により3,445億円となり、前連結会計年度の3,005億円に比べ440億円の増益となりました。
⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増益により2,363億円となり、前連結会計年度の2,017億円に比べ346億円の増益となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、運転資金及び設備投資資金については内部資金または借入・社債等により資金調達することとしています。運転資金については短期借入金・コマーシャルペーパー等、設備投資資金については長期借入金・社債等で調達しています。長期資金調達については、金利・為替変動リスク等をヘッジするため、金利の固定化や調達通貨の選定など調達方法の最適化を図っています。また、純資産に対する有利子負債の比率(D/Eレシオ)を最適に保つことで財務規律の維持に努めています。
また、資金の流動性の確保のため、複数の金融機関とコミットメントライン契約・当座貸越契約を締結しています。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する為の客観的な指標等については、当連結会計年度の経営成績は、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも過去最高となりました。
また平成30年度を最終年度とする3ヶ年計画「大和ハウスグループ第5次中期経営計画」の平成29年5月に上方修正した目標値(売上高3兆9,500億円、営業利益3,400億円、親会社株主に帰属する当期純利益2,240億円)に対しても、2年目にして利益目標を達成するなど、順調な進捗となりました。このことを踏まえて、中期経営計画の最終年度にあたる平成30年度の計画は、売上高4兆円、営業利益3,540億円、親会社株主に帰属する当期純利益2,370億円にさらに上方修正し、新たな計画目標の達成を目指していきます。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
1.財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の持ち直しや雇用・所得環境の改善が持続するなど、緩やかな回復傾向が続いてきました。
当業界においては、住宅市場は、新設住宅着工戸数で持家・貸家・分譲マンションがそれぞれ減少し、住宅全体でも前年比マイナスとなるなど、低調な推移となりました。一般建設市場は、建築着工床面積で病院や学校等が減少したものの、倉庫や工場等でプラスとなり、非住宅全体では堅調に推移してきました。
このような経済状況の中で、当社グループは平成30年度を最終年度とする3ヶ年計画「大和ハウスグループ第5次中期経営計画」に基づき、国内需要の取り込みによるコア事業の拡大を図るとともに、不動産開発投資を積極的に行ってきました。また、海外への事業展開の一環として、米国において戸建住宅の販売等を行う「Stanley-Martin Communities, LLC」の持分を取得し、グループ会社としました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は3,795,992百万円(前連結会計年度比8.1%増)、営業利益は347,141百万円(前連結会計年度比11.9%増)、経常利益は344,593百万円(前連結会計年度比14.7%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は236,357百万円(前連結会計年度比17.2%増)となりました。
セグメント別の概況は次のとおりです。
① 戸建住宅事業
戸建住宅部門では、お客様の住まいづくりに真摯に向き合い地域に密着した事業展開を推進し、販売の拡大に努めてきました。
注文住宅では、持続型の耐震性能と外張り断熱による快適性、2m72cmの高い天井がもたらす大空間のゆとりを実現する戸建住宅商品「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」、3・4・5階建戸建住宅商品「skye(スカイエ)」の販売に注力し、戸建住宅に加えて賃貸併用住宅、店舗併用住宅等へと提案の幅を拡大し事業を推進してきました。さらに、デザインや仕様にこだわりを持つお客様向けに、上質で最高級の木造フルオーダーの家づくりプロジェクト「PREMIUM GranWood(プレミアムグランウッド)」をスタートさせました。
また、共働き世帯の増加を背景とした家事の時間的・心理的負担を軽減する戸建住宅提案「家事シェアハウス」や、再配達の軽減を図る新型宅配ボックス「D's box(ディーズボックス)」の販売を推進し、社会的な課題の解決に貢献する取り組みを強化してきました。さらに、戸建住宅のIoT化を進め、様々な住宅設備や家電をインターネットにつなげることで、より一層利便性が高く豊かな暮らしを提供することを目指すコネクテッドホーム(※)ブランド「Daiwa Connect(ダイワコネクト)」プロジェクトをスタートし、今後の提案の拡大・強化に向けた取り組みを開始しました。
以上の結果、当事業の売上高は385,369百万円(前連結会計年度比1.3%減)、営業利益は21,566百万円(前連結会計年度比11.8%増)となりました。
※暮らしから取得できるデータを活用し、省エネだけでなく家事の効率化や健康への配慮等幅広い価値を提供する住まい。
② 賃貸住宅事業
賃貸住宅部門では、土地診断からプランニング、設計、建築、経営サポートにいたる総合力を活かした土地の有効活用の提案に努めてきました。
特に、3階建や中高層賃貸住宅への取り組みを強化するなど、大型物件の受注拡大を図ってきました。
さらに、大和リビング株式会社が管理する当社賃貸住宅のご入居者様を対象に、ドッグハウス付賃貸併用分譲住宅商品「SEJOUR DD-1(セジュール ディーディー・ワン)」を発売するなど、新たな商品の開発にも取り組んできました。
管理事業では、大和リビング株式会社において、賃貸住宅のご入居者様に提供している「選べるサービスD-room+」に、電子書籍が読めるサービスや映画が楽しめるサービス等のコンテンツを新たに加えるなど、ご入居者様のライフスタイルに合わせた多様なサービスを充実させることで、高い入居率を引き続き維持してきました。
以上の結果、当事業の売上高は1,030,834百万円(前連結会計年度比5.5%増)、営業利益は106,683百万円(前連結会計年度比13.1%増)となりました。
③ マンション事業
マンション部門では、社会やお客様にとって付加価値の高いマンションの供給に努めてきました。
首都圏での販売においては、「プレミストひばりが丘(※1)」(東京都)や、「プレミスト代々木公園」(東京都)が、利便性の高さや立地周辺の自然環境に対して好評を博し、いずれも販売が順調に推移してきました。また「プレミスト湘南辻堂(※2)」(神奈川県)は、IoT技術とAIを活用したスマートウェルネスサービス(※3)や生活利便性の高い立地が好評を博し、第1期120戸を全戸即日申込登録いただきました。
また、大型商業施設と直結する分譲マンション「ザ・タワーズフロンティア札幌(※4)」の販売を開始するなど地方都市における販売にも注力してきました。
株式会社コスモスイニシアにおいては、一棟投資用不動産を保有されている不動産オーナー様、または購入を検討されているお客様に向けて、AIによる不動産価値の将来予測と投資プランシミュレーションが行える不動産業界初のサービス「VALUE AI(バリューアイ)」の提供を開始するなど、新たな取り組みを推進してきました。
管理事業では、大和ライフネクスト株式会社において、PC・スマートフォン・タブレット等を利用してwebにて理事会を開催できるシステム「Web理事会サービス」の提供を開始するなど、ご入居者様へのサービス向上に努めてきました。
以上の結果、当事業の売上高は285,051百万円(前連結会計年度比8.4%増)、営業利益は13,328百万円(前連結会計年度比0.8%減)となりました。
※1.当社、株式会社コスモスイニシアの共同事業。
※2.当社、神奈川中央交通株式会社、株式会社長谷工コーポレーションの共同事業。
※3.IoT技術およびAIと、スポーツクラブNAS株式会社が監修する運動メニュー提案等のソフトサービスを融合した、ヘルスプロモーションサービス。
※4.当社、住友不動産株式会社、株式会社大京の共同事業。
④ 住宅ストック事業
住宅ストック部門では、当社施工の戸建・賃貸住宅を所有されているオーナー様に対し、インスペクション(点検・診断)を通じたリレーションの強化や保証期間延長のためのリフォーム提案を強化するなど、受注拡大を図ってきました。さらに、法人施設のリフォームやメンテナンスの提案への取り組みを開始し、業容の拡大を図ってきました。
そして新たに、当社グループ各社が個別に展開してきた住宅ストック事業の情報を集約し、お客様の状況に応じたリフォームや買取再販等の提案を行うため、グループ統一の新ブランド「Livness(リブネス)」を立ち上げました。
以上の結果、当事業の売上高は112,148百万円(前連結会計年度比6.2%増)、営業利益は13,228百万円(前連結会計年度比1.1%増)となりました。
⑤ 商業施設事業
商業施設部門では、テナント企業様の事業戦略に対応した適切な出店計画の提案や、エリアの特性を活かしたバリエーション豊富な企画提案を行ってきました。また、市街地開発や大型物件への取り組みに注力するとともに、投資用不動産の購入を検討されているお客様に向けて当社で土地取得・建物建築・テナントリーシングまで行った物件を販売するなど業容の拡大を図ってきました。
また、戸建住宅や分譲マンションとの住・商一体の複合開発を行った「高尾サクラシティ」(東京都)内に、大型商業施設「iias(イーアス)高尾」を開業しました。
以上の結果、当事業の売上高は620,869百万円(前連結会計年度比9.0%増)、営業利益は114,178百万円(前連結会計年度比13.3%増)となりました。
⑥ 事業施設事業
事業施設部門では、法人のお客様の様々なニーズに応じた施設建設のプロデュースや資産の有効活用をトータルサポートすることで業容の拡大を図ってきました。
物流施設関連では、当社施工のマルチテナント型物流施設として最大の延床面積となる「DPL坂戸」(埼玉県)をはじめ、全国19ヶ所の物流施設を新たに着工しました。また、物流ロボットシステム「Butler®(バトラー)(※1・2)」の独占販売権を保有するGROUND株式会社等との資本業務提携に加え、アパレル業界向けのフルフィルメントサポート業務(※3)のノウハウを有する株式会社アッカ・インターナショナルをグループ会社とするなど、あらゆる物流業務を先進技術で支える次世代物流プラットフォームの構築に向けた取り組みを進めてきました。これにより今後も物流業界の課題解決に寄与する付加価値の高い次世代型物流施設の開発を進めていきます。
医療介護施設関連では、病院の建替えや移転、高齢者住宅との複合施設の開発を行うなど、医療法人や施設事業者に向けたソリューション提案を引き続き強化してきました。
生産施設関連では、食品製造企業を対象としたセミナーを開催するとともに、HACCP(※4)義務化に向けた安全認証に適応した施設建設の提案を強化してきました。
株式会社フジタにおいては、国内では物流施設やインフラ等、海外では宿泊施設や自動車関連の工場等で大型案件を受注するなど、建築・土木事業ともに堅調に推移してきました。
以上の結果、当事業の売上高は850,214百万円(前連結会計年度比2.6%増)、営業利益は88,915百万円(前連結会計年度比12.6%増)となりました。
※1.物流施設の床面を移動するロボットが可搬式の棚の下に潜り込み、作業者の元に棚ごと商品を届けることで、物流施設内の省人化を実現する物流ロボットシステム。
※2.「Butler®(バトラー)」は、GROUND株式会社の登録商標。
※3.通信販売業務において、商品が注文されてから注文者に届くまでに必要な管理運営業務全体のこと。
※4.食品の製造・加工等のあらゆる段階で発生する恐れのある微生物汚染等の危害を事前分析・管理する衛生管理手法。
⑦ その他事業
ホームセンター事業では、ロイヤルホームセンター株式会社において、女性と子ども、プロが愉しめるカジュアルで本格的なホームセンター「ロイヤルホームセンター西宮中央」(兵庫県)等、新たに3店舗をオープンし、全国59店舗でお客様の暮らしに役立つ情報提供や住まいの提案を行ってきました。
物流事業では、大和物流株式会社において、「嵐山物流センター」(埼玉県)や「菰野物流センター」(三重県)等3施設を新たにオープンし、全国82ヶ所の豊富なネットワークでお客様に最適な物流網を提案してきました。
フィットネスクラブ事業では、スポーツクラブNAS株式会社において、ランニングの名所・大阪城公園内で、ランニング愛好家をサポートするランニングステーション施設「RUNNING BASE大阪城」をオープンするなど、新たな取り組みを開始しました。
都市型ホテル事業では、ダイワロイヤル株式会社において、天神・中州地区へ徒歩圏内の「ダイワロイネットホテル福岡西中州」をオープンするなど、地域特性や立地条件に配慮したホテル展開を進めてきました。
以上の結果、当事業の売上高は637,123百万円(前連結会計年度比24.1%増)、営業利益は23,010百万円(前連結会計年度比36.5%増)となりました。
(注)1.各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものです。(「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。)
2.上記金額に消費税等は含んでいません。
2.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加382,365百万円、投資活動による資金の減少313,664百万円、財務活動による資金の増加41,804百万円等により、あわせて112,820百万円増加しました。この結果、当連結会計年度末には326,130百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は382,365百万円(前連結会計年度比32.9%増)となりました。これは、主に346,315百万円の税金等調整前当期純利益を計上したことや仕入債務及び販売用不動産の増加などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は313,664百万円(前連結会計年度は343,643百万円の減少)となりました。これは、主に大規模物流施設や商業施設等の有形固定資産の取得を行ったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の増加は41,804百万円(前連結会計年度比47.8%減)となりました。これは、主に前連結会計年度末に係る株主配当金及び当連結会計年度の中間配当金の支払いを行った一方、社債の発行による資金調達を行ったことによるものです。
3.生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載していません。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前連結会計 年度比(%) | 受注残高 (百万円) | 前連結会計 年度比(%) |
戸建住宅 | 378,256 | △2.8 | 95,502 | △4.6 |
賃貸住宅 | 1,018,004 | 3.6 | 254,920 | △4.1 |
マンション | 287,750 | 6.8 | 35,069 | 10.4 |
住宅ストック | 108,897 | 4.8 | 15,358 | △3.4 |
商業施設 | 616,623 | 5.7 | 142,729 | 4.5 |
事業施設 | 934,660 | 5.6 | 733,569 | 13.6 |
その他 | 551,498 | 23.3 | 135,913 | 39.5 |
合計 | 3,895,691 | 6.4 | 1,413,063 | 9.2 |
(注)1.各セグメントの金額は外部顧客への受注高・受注残高を表示しています。
2.上記金額に消費税等は含んでいません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前連結会計年度比(%) |
戸建住宅 | 382,884 | △1.2 |
賃貸住宅 | 1,028,811 | 5.4 |
マンション | 284,452 | 8.5 |
住宅ストック | 109,436 | 6.7 |
商業施設 | 610,469 | 8.7 |
事業施設 | 847,028 | 3.5 |
その他 | 532,909 | 31.7 |
合計 | 3,795,992 | 8.1 |
(注)1.各セグメントの金額は外部顧客への売上高を表示しています。(「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。)
2.総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。
3.上記金額に消費税等は含んでいません。
(参考)提出会社個別の事業の状況は次のとおりです。
受注高、売上高及び繰越高
期別 | 部門別 | 前期 繰越高 (百万円) | 当期 受注高 (百万円) | 計 (百万円) | 当期 売上高 (百万円) | 次期 繰越高 (百万円) |
第78期 自 平成28年 4月1日 至 平成29年 3月31日 | 建築請負部門 | 595,443 | 1,371,691 | 1,967,135 | 1,312,747 | 654,387 |
不動産事業部門 | 53,840 | 406,068 | 459,908 | 386,959 | 72,949 | |
その他事業部門 | 134 | 20,558 | 20,693 | 20,687 | 5 | |
計 | 649,418 | 1,798,319 | 2,447,737 | 1,720,394 | 727,342 | |
第79期 自 平成29年 4月1日 至 平成30年 3月31日 | 建築請負部門 | 654,387 | 1,354,921 | 2,009,309 | 1,316,238 | 693,070 |
不動産事業部門 | 72,949 | 482,785 | 555,735 | 468,096 | 87,638 | |
その他事業部門 | 5 | 29,948 | 29,953 | 29,941 | 12 | |
計 | 727,342 | 1,867,655 | 2,594,998 | 1,814,277 | 780,720 |
(注)1.損益計算書においては、建築請負部門は「完成工事高」、不動産事業部門は「不動産事業売上高」、その他事業部門は「その他の売上高」として表示しています。
2.前期以前に受注したもので契約の更改により金額に変更あるものについては、当期受注高及び当期売上高にその増減を含めています。
3.次期繰越高は(前期繰越高+当期受注高-当期売上高)です。
4.上記金額に消費税等は含んでいません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 資産
当連結会計年度末における資産合計は、4兆352億円となり、前連結会計年度末の3兆5,558億円と比べ4,793億円の増加となりました。その主な要因は、現金預金が増加したことや、販売用不動産の仕入によりたな卸資産が増加したこと、投資用不動産の取得により有形固定資産が増加したことによるものです。
② 負債
当連結会計年度末における負債合計は、2兆5,216億円となり、前連結会計年度末の2兆2,259億円と比べ2,957億円の増加となりました。その主な要因は、社債や借入金による資金調達を行ったことや、仕入債務の増加によるものです。
③ 純資産
当連結会計年度末における純資産合計は、1兆5,135億円となり、前連結会計年度末の1兆3,299億円に比べ1,836億円増加しました。その主な要因は、前連結会計年度に係る株主配当金を支払ったものの、2,363億円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによるものです。
④ 自己資本比率
自己資本比率は、当連結会計年度末においては36.5%となり、前連結会計年度末の36.8%から大きな変動はありません。
⑤ 売上高
当連結会計年度の売上高は3兆7,959億円となり、前連結会計年度の3兆5,129億円に比べ2,830億円の増収となりました。
その主な要因は、当連結会計年度より米国において戸建住宅の販売等を行う「Stanley-Martin Communities, LLC」を連結子会社化したことにより625億円の増加となったことのほか、成長ドライバーである賃貸住宅・商業施設・事業施設の3事業が堅調に推移し、事業施設事業(※)において543億円、商業施設事業(※)において467億円、賃貸住宅事業(※)において402億円の増収となったことによるものです。
そのほかの増収の要因は、マンション事業で221億円、エネルギー事業で203億円、中国の常州・無錫ならびに豪州のサマーヒルプロジェクトの海外分譲マンションの売上で133億円、米国における不動産売却で93億円、住宅ストック事業で65億円、都市型ホテル事業で35億円がそれぞれ増収となったことによるものです。
一方で、戸建住宅事業は49億円の減収、国内の開発物件売却は148億円の減収となりました。
※.開発物件の売却を除きます。
⑥ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は3,471億円となり、前連結会計年度の3,100億円に比べ370億円の増益となりました。
その主な要因は、売上高の増加により596億円、開発物件売却利益の増加により233億円の増益となったことによるものです。
一方で、管理販売費が、主に人員の増加による人件費の増加により317億円増加したことに加えて、開発物件売却の影響を除いた原価率が全体で0.3ポイント悪化したことにより85億円の減益、退職給付数理差異の影響により56億円の減益となりました。
⑦ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は、営業利益の増益により3,445億円となり、前連結会計年度の3,005億円に比べ440億円の増益となりました。
⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増益により2,363億円となり、前連結会計年度の2,017億円に比べ346億円の増益となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、運転資金及び設備投資資金については内部資金または借入・社債等により資金調達することとしています。運転資金については短期借入金・コマーシャルペーパー等、設備投資資金については長期借入金・社債等で調達しています。長期資金調達については、金利・為替変動リスク等をヘッジするため、金利の固定化や調達通貨の選定など調達方法の最適化を図っています。また、純資産に対する有利子負債の比率(D/Eレシオ)を最適に保つことで財務規律の維持に努めています。
また、資金の流動性の確保のため、複数の金融機関とコミットメントライン契約・当座貸越契約を締結しています。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する為の客観的な指標等については、当連結会計年度の経営成績は、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも過去最高となりました。
また平成30年度を最終年度とする3ヶ年計画「大和ハウスグループ第5次中期経営計画」の平成29年5月に上方修正した目標値(売上高3兆9,500億円、営業利益3,400億円、親会社株主に帰属する当期純利益2,240億円)に対しても、2年目にして利益目標を達成するなど、順調な進捗となりました。このことを踏まえて、中期経営計画の最終年度にあたる平成30年度の計画は、売上高4兆円、営業利益3,540億円、親会社株主に帰属する当期純利益2,370億円にさらに上方修正し、新たな計画目標の達成を目指していきます。