四半期報告書-第85期第2四半期(2023/07/01-2023/09/30)

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2023/11/13 13:04
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38項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況に関する分析
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の法上の位置付けが「5類感染症」へ移行したことに伴う社会経済活動の正常化が進み、また円安を背景としたインバウンド需要も回復する中、個人消費及び企業の設備投資の持ち直しがみられ、緩やかな回復傾向が継続いたしました。しかしながら、世界的なインフレ圧力により金融引締め政策が継続され、物価情勢や資源価格、為替変動による影響等、依然として注視が必要な状況が続いております。
国内の住宅市場における新設住宅着工戸数は、持家、貸家及び分譲住宅の全てにおいて前年比マイナスとなりました。一般建設市場でも、建築着工床面積において、全使途が前年比マイナスとなりました。
このような事業環境の中で当社グループは、 2022年度よりスタートした5ヵ年計画「第7次中期経営計画」において、「収益モデルの進化」・「経営効率の向上」・「経営基盤の強化」の3つの経営方針を掲げ、持続的な成長モデルの実現に向け、海外事業とストック事業の拡大やDXによる顧客体験価値向上等、様々な高付加価値提案や施策を積極的に推進してまいりました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間における売上高は2,544,827百万円(前年同四半期連結累計期間比12.5%増)、営業利益は191,163百万円(前年同四半期連結累計期間比23.6%増)、経常利益は188,115百万円(前年同四半期連結累計期間比22.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は154,488百万円(前年同四半期連結累計期間比45.8%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「Ⅱ 2.報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。下記の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。
① 戸建住宅事業
戸建住宅事業では、住まいのあり方が多様化する中、省エネ性に優れ、レジリエンス性能を備えた良質な住宅の提供と、住まう方の人生や変化する価値観に寄り添い、生活を豊かにするライフスタイル提案を行ってまいりました。
国内の住宅事業では、鉄骨商品については、主力商品の「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」、3・4・5階建商品「skye(スカイエ)」を中心に販売促進し、ZEH販売率の向上に取組むとともに、木造住宅商品「xevo GranWood(ジーヴォグランウッド)」や富裕層をターゲットとした当社最高級戸建住宅商品「Wood Residence MARE-希-(マレ)」を販売するなどカーボンニュートラルの実現とお客様の多様なニーズに対応してまいりました。2023年9月には、同年4月より提案を開始いたしました快適防音室・快適静音室「音の自由区」における「やすらぐ家」の提案が評価され、「第17回キッズデザイン賞」の「子どもたちを産み育てやすいデザイン部門」において、優秀賞「こども政策担当大臣賞」を受賞いたしました。また、分譲住宅においても、お客様の課題解決と社会の変化を捉え、価値ある商品を多くの方に選んでいただけるよう注力いたしました。
さらに、ストック型社会の到来を見据え、既存建物の再生・循環にも注力しております。特に、かつて当社が開発した各地の住宅団地において、地域活性化や空き家問題等の社会課題に向き合い、住民の方と持続的に発展する「まちの再生・再耕」に取組んでおります。
海外では、米国において、東部・南部・西部を結ぶスマイルゾーンで東部のStanley Martin、南部のCastleRock、西部のTrumarkのグループ3社を軸とした事業拡大を進めております。住宅ローン金利と住宅価格の高止まりは見られますが、中古住宅の在庫が低水準にあることから、新築住宅への需要は底堅く、足元では持ち直しの動きも見られております。オフサイト化の取組みを継続し、展開エリアでのシェアの拡大を進めてまいります。
以上の結果、当事業の売上高は442,768百万円(前年同四半期連結累計期間比5.9%増)となり、営業利益は14,222百万円(前年同四半期連結累計期間比29.8%減)となりました。
② 賃貸住宅事業
賃貸住宅事業では、ご入居者様・地球環境・街への3つの視点から持続的な価値を提供することで、オーナー様の資産価値の最大化に繋がる賃貸住宅経営のご提案とサポートを行ってまいりました。加えて、環境負荷を低減し、省エネ・創エネ対応のZEH-M物件の普及に努めてまいりました。
大和リビング株式会社では、幅広いご入居者様に選ばれる、高品質で住み心地の良い賃貸住宅「D-ROOM」の供給に加え、リノベーション事業の強化もあり、管理戸数は増加しており、高い入居率を維持しております。また、不動産業界全体の業務を効率化させるため、2023年7月に大東建託パートナーズ株式会社とともに新会社「賃貸住宅情報管理機構株式会社」を設立(※)いたしました。賃貸住宅に付与した賃貸住宅IDを不動産IDと連携することで、情報精度と利便性の向上、不動産業界のDX化を目指してまいります。
海外では、米国に次ぐ堅調な人口増加が見込まれる豪州において、住宅不足という社会課題解決に向けて賃貸住宅の開発「Melbourne Quarter West Project(メルボルン クォーター ウェスト プロジェクト)」に着手いたしました。また、米国においては、金利動向等、不動産マーケットの状況を注視しながら、賃貸収入による収益の最大化を目指し、マーケットの回復時には遅滞なく売却できるよう稼働率や収益性の向上に注力してまいります。
以上の結果、当事業の売上高は609,277百万円(前年同四半期連結累計期間比5.1%増)となり、営業利益は60,172百万円(前年同四半期連結累計期間比13.1%増)となりました。
※ 設立後、株式会社ゼンリンも出資。
③ マンション事業
マンション事業では、お住まいになる方々の多彩なライフスタイルに応えるため、ハウスメーカーとして培ってきたノウハウを駆使しながら、長寿命の住まいに欠かせない基本性能や快適性、安全性、管理体制の提供を追求してまいりました。お客様にとっての資産価値に加えて、環境や社会への配慮、地域社会への貢献を目指した付加価値の高いマンションづくりに努めております。
2023年9月に販売開始した「プレミスト昭島モリパークレジデンス」(東京都)は、商業施設やスポーツ施設・ホテルなど多様な魅力が集まった東京・昭島モリパークエリア内初の住宅プロジェクトであり、大規模ならではの充実した共用施設が評価され、販売が順調に進捗しております。また、同年9月に販売開始した「プレミスト千葉公園」は、JR千葉駅徒歩圏内ながら約16haの広大な敷地を持つ千葉公園に隣接しており、生活利便性と緑豊かな住環境を享受できる点が評価され、販売が順調に進捗しております。
大和ライフネクスト株式会社では、管理するマンション居住者様限定・月額定額制でご利用いただける新サービス「ふらっとカーシェア」の提供を開始いたしました。今後は、空き駐車場を外部利用者に貸し出す「駐車場サブリース」と「ふらっとカーシェア」をパッケージ導入することで、管理組合の収支を改善しながら、マンションご入居者様のより便利・快適な暮らしをサポートしてまいります。
海外では、主な展開エリアとなる中国に加えて、新たに英国ロンドンでの分譲マンション開発事業に参画いたしました。日本や中国で培ったノウハウを活かし、英国の慢性的な住宅不足という社会課題解決に貢献してまいります。
以上の結果、当事業の売上高は217,820百万円(前年同四半期連結累計期間比25.1%増)となり、営業利益は16,697百万円(前年同四半期連結累計期間比84.1%増)となりました。
④ 商業施設事業
商業施設事業では、テナント企業様の事業戦略やエリアの特性を活かし、ニーズに応じたバリエーション豊富な企画提案を行ってまいりました。特に、大型物件への取組みの強化や、当社で土地を取得し、開発企画・設計施工・テナントリーシングまで行った物件を投資家様に販売する分譲事業にも注力してまいりました。
都市型ホテル事業では、大和ハウスリアルティマネジメント株式会社において、2023年9月末時点で国内75店舗16,176室となり、2023年7月からの3ヶ月間の平均稼働率は約88%に改善、順調に業績が推移いたしました。
フィットネスクラブ事業では、スポーツクラブNAS株式会社において、会費の見直し、業務の効率化に向けた店舗運営の見直しによるコスト削減と併せて、プロモーションを強化することで収益性の改善に努めてまいりました。
海外では、米国カリフォルニア州において、稼働中の商業施設「TRADE(トレード)」に加えて、「Village Center(ビレッジセンター)」を取得し、日系テナントの入居を推進することで、安定的に高い稼働率を維持しております。
以上の結果、当事業の売上高は581,916百万円(前年同四半期連結累計期間比10.6%増)となり、営業利益は71,822百万円(前年同四半期連結累計期間比14.8%増)となりました。
⑤ 事業施設事業
事業施設事業では、法人のお客様の様々なニーズに応じた施設建設のプロデュースや不動産の有効活用をトータルサポートすることで業容の拡大を図ってまいりました。
物流施設関連では、全国展開を象徴するように、2023年8月に「DPL札幌南Ⅲ」、2023年9月に「DPL新横浜Ⅲ」と「DPL高槻」(大阪府)が竣工いたしました。また、新規着工案件として10万坪クラスの超大型物件となる「DPL千葉四街道Ⅱ」や都心の好立地において都市型施設となる「DPL東雲」(東京都)の開発に着手するなど、市場環境の変化の中でも当社の強みであるリーシング力を活かし、堅実なテナントニーズを取り込むべく案件開発を継続しております。
事務所・工場等の拠点サポートでは自社開発の工業団地からの請負受注が堅調に推移しており、2023年9月末時点の分譲中の区画は50団地、106区画、面積は約80万坪となっております。
主に当社が開発した物流施設を管理・運営する大和ハウスプロパティマネジメント株式会社では、2023年9月完成の「DPL新横浜Ⅲ」をはじめとする物流施設3棟について新規プロパティマネジメント(PM)契約を締結し、累計管理棟数は244棟、累計管理面積は約980万㎡となりました。
ロジスティクスサービス業を展開するダイワロジテックグループでは、IT事業において顧客企業のDX化に伴うIT関連投資拡大が続いており、物流自動化設備に関わるシステム導入や物流拠点ネットワークに関わるコンサルティング等、物流DX関連のご相談件数が増加しております。また物流事業においては、物販系EC市場の拡大ペースがやや鈍化傾向の中、主要クライアントの出荷数が堅調に推移しております。引き続き新規顧客獲得に向けて営業活動を実施してまいります。
海外では、主な展開エリアとなるASEANにおいて、展開している物流倉庫事業の物件売却や株式売却に向け、収益の最大化を目指し、稼働率や収益性の向上に注力しております。
以上の結果、当事業の売上高は643,445百万円(前年同四半期連結累計期間比29.6%増)となり、営業利益は57,299百万円(前年同四半期連結累計期間比48.7%増)となりました。
⑥ 環境エネルギー事業
環境エネルギー事業では、脱炭素への流れが加速し、再生可能エネルギーへのニーズが高まる中、EPC事業(再生可能エネルギー発電所の設計・施工)、PPS事業(電力小売事業)、IPP事業(発電事業)の3つの事業を推進してまいりました。
EPC事業では、脱FIT(再生可能エネルギーの固定買取制度)の取組みとして、太陽光発電所から離れた需要家に供給する「オフサイトPPA(※)」、屋根上や隣接地に設置した太陽光発電所から直接電力を供給する「オンサイトPPA」の2つのPPA事業の拡大に注力いたしました。2023年9月には、当社初のオフサイトPPA向けの地上設置型太陽光発電所「DREAM Solar石川羽咋堀替新町」が稼働を開始いたしました。再生可能エネルギーを求める需要は着実に増加しております。当社が創業以来積み重ねてきた全国の土地情報を基に、大規模太陽光発電所の開発を行い、今後の主力事業として注力してまいります。
PPS事業では、長期化するロシア・ウクライナ情勢や円安の影響による資源価格の上昇により電力仕入価格が高騰するなど、厳しい事業環境が続いておりましたが、新料金体系の提案、仕入れに合わせた供給量のコントロール等の取組みと共に、電力卸売市場のスポット価格が安定したことにより、収益性が改善いたしました。電力業界における事業環境動向の予見は困難ではありますが、今後も事業リスク軽減の対策を継続し、PPS事業の安定化に取組んでまいります。
IPP事業では、太陽光発電を中心に、風力発電、水力発電を全国498ヶ所で運営しております。
今後も第7次中期経営計画における重点テーマの一つ「すべての建物の脱炭素化によるカーボンニュートラルの実現」の取組みの中核を担い、当社グループ全体で推進し、更なる再生可能エネルギーの普及拡大を目指してまいります。
以上の結果、当事業の売上高は73,587百万円(前年同四半期連結累計期間比15.8%減)となり、営業利益は6,344百万円(前年同四半期連結累計期間比169.3%増)となりました。
※ Power Purchase Agreement(パワー・パーチェース・アグリーメント)の略。電力購入契約。
(2) 財政状態の状況に関する分析
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は6,336,366百万円となり、前連結会計年度末の6,142,067百万円と比べ194,298百万円の増加となりました。その主な要因は、戸建住宅事業及び賃貸住宅事業における販売用不動産の仕入により棚卸資産が増加したことによるものです。
当第2四半期連結会計期間末における負債合計は3,819,849百万円となり、前連結会計年度末の3,753,153百万円と比べ66,696百万円の増加となりました。その主な要因は、販売用不動産や投資用不動産の取得等のために、借入金や社債の発行による資金調達を行ったことによるものです。
当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は2,516,516百万円となり、前連結会計年度末の2,388,914百万円と比べ127,602百万円の増加となりました。その主な要因は、前連結会計年度に係る株主配当金46,120百万円の支払いを行ったものの、154,488百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したことや、円安の影響等を受けたことにより為替換算調整勘定が増加したことによるものです。これらの結果、当第2四半期連結会計期間末におけるリース債務等を除く有利子負債は2,037,536百万円となり、D/Eレシオは0.84倍となりました。なお、ハイブリッドファイナンスの資本性考慮後のD/Eレシオは0.75倍(※)となりました。
※ 2019年9月に発行した公募ハイブリッド社債(劣後特約付社債)1,500億円、及び2020年10月に調達したハイブリッドローン(劣後特約付ローン)1,000億円について、格付上の資本性50%を考慮して算出しております。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加91,327百万円、投資活動による資金の減少116,417百万円、財務活動による資金の増加68,980百万円等により、あわせて48,724百万円増加いたしました。この結果、当第2四半期連結会計期間末には394,878百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において営業活動による資金の増加は91,327百万円(前年同四半期連結累計期間は53,076百万円の減少)となりました。これは、主に法人税等や仕入債務の支払いを行ったものの、税金等調整前四半期純利益を231,276百万円計上したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において投資活動による資金の減少は116,417百万円(前年同四半期連結累計期間は273,011百万円の減少)となりました。これは、関係会社株式や投資有価証券の売却を行ったものの、主に大規模物流施設や商業施設等の有形固定資産の取得を行ったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において財務活動による資金の増加は68,980百万円(前年同四半期連結累計期間比75.7%減)となりました。これは、主に前連結会計年度に係る株主配当金の支払いを行ったものの、棚卸資産や投資用不動産の取得等のために、借入金や社債の発行による資金調達を行ったことによるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
今後の社会経済環境の見通しについては、長期化するロシア・ウクライナ情勢や、中東情勢緊迫化等の地政学的リスクの高まりを背景とした、インフレ・コスト高の進行等、世界経済は依然先行き不透明な状況にあります。国内においては、雇用者の平均賃金の上昇による消費拡大やインバウンドの増加等、景気の緩やかな回復基調の維持が期待される一方で、エネルギー価格・原材料価格の高騰、金利上昇に加え、世界経済の下振れなど経済を下押しするリスクに備える必要があります。
加えて、2024年4月より、建設業においても適用を受ける改正労働基準法への対応として、時間外労働の上限規制が施行され、コスト上昇等が事業経営等に影響を与える可能性があります。パートナー企業との関係強化とともに、業務効率化・省エネ化、DXの推進等による生産性の向上に引き続き取組んでまいります。
このような事業環境の中で、当社グループは、2022年度よりスタートした5ヵ年計画「大和ハウスグループ第7次中期経営計画」の2年目を迎え、第8次中期経営計画以降の成長も見据えた企業価値の最大化に向けて、3つの経営方針「収益モデルの進化」・「経営効率の向上」・「経営基盤の強化」のもと、継続して各重点施策に取組んでおります。特に、ポートフォリオ経営の推進と新規事業への挑戦、海外事業1兆円に向けての事業進展、グループ集中購買による原価抑制の実現は第7次中期経営計画達成のための最重要テーマとして取組みを強化してまいります。
そして、2022年度に策定した“将来の夢”(パーパス)で掲げている「再生と循環の社会インフラと生活文化の創造」に向けて、社会的価値の創出と事業価値の最大化を両立させ、持続的な成長を実現してまいります。特に、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、2030年のマイルストーンとして、温室効果ガス(GHG)排出量を「減らす」、再生可能エネルギーを「増やす」という2つのKPIを明確にしており、企業収益と環境負荷低減の両立を目指し、第7次中期経営計画重点戦略の1つであるカーボンニュートラル戦略(エンドレスグリーンプログラム2026)を実践してまいります。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は5,473百万円となりました。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。