四半期報告書-第83期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況に関する分析
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、2021年9月末に全国の緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が解除されたことに伴い、人流が増加し、個人消費が上向くなど、経済環境改善の兆しが見られました。一方で、新たな変異株の新規陽性者数が著しく増加しており、依然として本格的な成長回復過程には時間を要すものと見込まれます。世界経済においても新たな変異株がリスクとなり景気回復への脅威となる他、供給網の混乱や原材料価格の上昇によるインフレ圧力の上昇が続くなど、先行きの不透明な状態が続いております。
国内の住宅市場では、住宅取得支援策の実施や生活様式の変化を背景に住宅取得への関心が高まり、持家・貸家の新設住宅着工戸数において前年比プラスの状況が継続しております。一般建築市場では、主な使途別建築着工床面積において店舗の使途で前年比マイナスとなったものの、事務所、工場、倉庫の使途では前年比プラスとなりました。
そのような事業環境の中で当社グループは、2019年度より開始した3ヶ年の「大和ハウスグループ第6次中期経営計画」の最終年度を迎え、新たな成長ステージに向けて踏み出すため、2021年4月より事業本部制へ体制変更いたしました。事業本部制では、各事業本部長への権限委譲、及び関連するグループ会社を事業本部傘下に置くことで、事業特性に応じたリスクマネジメント体制の強化とバリューチェーン一体でお客様に価値あるサービスを提供できる組織体制を整え、「攻めと守りのバランス経営」の実現に向けた各施策を実行してまいりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は3,147,185百万円(前年同四半期連結累計期間比4.8%増)、営業利益は253,866百万円(前年同四半期連結累計期間比1.1%増)、経常利益は254,920百万円(前年同四半期連結累計期間比3.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は167,494百万円(前年同四半期連結累計期間比7.9%増)となりました。
なお、当社は、2019年12月18日に「施工管理技士の技術検定試験における実務経験の不備について」として、一部の社員が所定の実務経験を充足していない状況で技術検定試験を受験し、施工管理技士の資格を取得していたこと、及び実務経験の不備があった社員の一部が現場の技術者として配置されていたことを公表いたしましたが、本件に関し、2021年11月17日、国土交通省近畿地方整備局から建設業法第28条第1項に基づく指示処分、及び同条3項に基づく電気工事業・管工事業について営業停止処分(2021年12月2日より22日間)を受けました。当社では既に、2019年12月に公表した再発防止策の徹底に取組んでおりますが、今般の処分を厳粛に受け止め、引き続き全社をあげて信頼回復に努めてまいります。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
① 戸建住宅事業
戸建住宅事業では、事業本部制移行に際し、当社の創業者精神である「儲かるからではなく、世の中の役に立つからやる」を基本姿勢に、戸建住宅事業のミッションを「『続く幸せ』を、住まいから」と定義いたしました。また、お客様の人生に寄り添い、実現したいライフスタイルを「生き方」からデザインすることを表現したビジョンとして「LiveStyle Design(リブスタイルデザイン)~家を、帰る場所から『生きる』場所へ~」を掲げました。
この新しいミッション・ビジョンのもと、Webサイト上で楽しく簡単に家づくりを体験できる「Lifegenic(ライフジェニック)」をはじめ、当社オリジナルのテレワークスタイル「快適ワークプレイス」や「つながりワークピット」、家族で家事をシェアする「家事シェアハウス」など、社会や生活の変化をとらえた多彩な商品ラインアップと多様な住まい方の提案を行い、お客様の課題解決と新たな価値の提案に積極的に取組んでまいりました。さらに、グループ会社を傘下に加えた事業本部体制のもとでバリューチェーンの改革に取組み、「大和ハウスの住まい」という基盤を用いて、新築住宅だけではなく家具の提案・ご家族の住まい探し・リフォーム・自宅の住み替え・売却等、変化するお客様の人生にいち早く対応した価値の提案に取組んでまいります。なお、住宅需要は持ち直しの基調が続いておりますが、世界的に建設資材が上昇するなかで国内の資材価格にも影響が生じており、適切な対処を進めております。
海外では、主な展開エリアとなる米国において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によるサプライチェーンの混乱や行政当局の許認可業務の遅延が一部発生いたしましたが、戸建住宅の需要は堅調であり、安定供給に向けた調達強化に注力し、影響を最小限に抑え込んでいることから、業績は堅調に推移しております。
以上の結果、当事業の売上高は406,551百万円(前年同四半期連結累計期間比10.6%増)、営業利益は16,613百万円(前年同四半期連結累計期間比14.3%増)となりました。
② 賃貸住宅事業
賃貸住宅事業では、ご入居者様に選ばれ、長く住み続けたいと思っていただける住まいを提供し、オーナー様の資産価値の最大化に繋がる賃貸住宅経営をご提案・サポートしてまいりました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染状況が落ち着きを見せて、緊急事態宣言の発令等で停滞していた対面営業による提案機会が増える中、分譲賃貸物件やZEH-M等の販売を推進いたしました。Webセミナーについても、引き続き定期的に開催し、最新の土地活用・賃貸住宅市場等の情報提供を通じて、お客様との継続的な関係構築を行ってまいりました。
大和リビング株式会社では、コロナ禍においてご入居者様の転居が抑制されたこともあり、テレワーク等の新しいライフスタイルの浸透に伴いニーズが高まっているインターネットを標準導入した物件を中心に、高い入居率を維持いたしました。また、2021年12月に、同社子会社の大和リビングケア株式会社にて、全国で17棟目となる、サービス付き高齢者向け住宅「D-Festa(ディーフェスタ)柏たなか」(千葉県)をオープンいたしました。
海外では、主な展開エリアとなる米国において、経済活動が徐々に活性化していることから、リーシングスピードも回復しており、テキサス州で開発した賃貸住宅物件の売却を実現するなど、米国での実績を順調に積み上げております。
以上の結果、当事業の売上高は755,988百万円(前年同四半期連結累計期間比7.5%増)、営業利益は68,335百万円(前年同四半期連結累計期間比15.3%増)となりました。
③ マンション事業
マンション事業では、社会やお客様にとっての資産価値に加え、SDGsにも配慮し、社会的価値や環境的価値の高いマンションづくりに努めてまいりました。また、グループ会社との連携で安心・安全・快適な暮らしを支える管理サービスの提供に取組んでまいりました。
北海道内で最高層(※)のタワー物件である「ONE札幌ステーションタワー」は、北海道内最大のターミナル駅「さっぽろ」駅直結の利便性の高さと、大規模複合再開発による都市機能のポテンシャルが高く評価され、販売が順調に進捗しております。また、「プレミスト王子神谷」(東京都)は都心部へのアクセスの良さに加え、公園に隣接しており、自然や生態系の保全活動を目指したABINC認証を取得するなど、駅近でありながら自然豊かな住環境がファミリー層を中心に評価され、販売が順調に進捗しております。
大和ライフネクスト株式会社では、マンション管理組合において、財政悪化の一因といわれている空き駐車場課題解決のため、新たにモビリティサービス(駐車場診断・駐車場サブリース)の提供を開始いたしました。機械式駐車場の平面化工事、カーシェアやサブリースの外部貸しなど、最適な収支改善策を提案することで、ハードとソフトの両面から最適なソリューションを提供しております。
海外では、中国で全戸完売済の「グレースレジデンス(和風雅頌)」(南通市)及び「グレースレジデンス(琅越龍洲)」(常州市)における好調な事業展開を鑑み、新たに蘇州市での開発事業にも着手しております。
以上の結果、当事業の売上高は211,053百万円(前年同四半期連結累計期間比5.1%増)、営業利益は594百万円 (前年同四半期連結累計期間は1,361百万円の営業損失)となりました。
※.当社及び住宅流通研究所調べ(2022年1月時点)。
④ 住宅ストック事業
住宅ストック事業では、当社施工の戸建・賃貸住宅を所有されているオーナー様に対し、インスペクション(点検・診断)を通じたリレーションの強化や保証期間延長のためのリフォーム提案を強化してまいりました。併せて法人のお客様の事業用資産に向けたメンテナンス提案に注力し、受注拡大を図ってまいりました。
様々な住まいのニーズにワンストップサービスでお応えする「Livness(リブネス)」では、コロナ禍における営業活動としてオンラインセミナーを実施してまいりました。住宅事業部門においては、全国60拠点のリブネス課を設置し、オーナー様を中心に、住み替えや売却、リノベーションなど様々なご相談に対して、当社グループをあげて対応しております。
以上の結果、当事業の売上高は93,651百万円(前年同四半期連結累計期間比7.7%増)、営業利益は6,035百万円(前年同四半期連結累計期間比4.3%減)となりました。
⑤ 商業施設事業
商業施設事業では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況を考慮しながら、テナント企業様の事業戦略やエリアの特性を活かし、ニーズに応じたバリエーション豊富な企画提案を行ってまいりました。特に、大型物件への取組みの強化や、投資用不動産の購入を検討されているお客様に向けて、当社で土地取得・建物建築・テナントリーシングまで行った物件を販売するなど業容の拡大を図ってまいりました。
また、グループ会社である大和情報サービス株式会社とダイワロイヤル株式会社は、事業本部制のもと更なる事業シナジーの最大化、経営効率化を図ることを目的に、2021年10月1日付で大和情報サービスを存続会社とする吸収合併により経営統合し、社名を大和ハウスリアルティマネジメント株式会社へ変更いたしました。当社が2019年に取得し、同社が運営管理している広島市のショッピングセンター「ALPARK(アルパーク)」(西棟:約20店舗、東棟:約120店舗)にて、2021年12月に東棟をリニューアル、2022年4月下旬に西棟リニューアルオープン予定であるなど、当社グループが保有する経営資源を組み合わせ、お客様のニーズに合わせた複合施設開発に取組んでおります。
大和リース株式会社では、2015年4月に開業した「ブランチ茅ヶ崎」の第3期となるコミュニティ型複合商業施設「ブランチ茅ヶ崎3」(神奈川県)を2021年10月に開業いたしました。本施設は1・2階にフィットネス、飲食店等が出店する他、地域の皆様にご利用いただけるコミュニティルームを設けており、さらに、3階屋上部分は防災倉庫を配置し、災害時には一時避難場所となります。第1・2・3期をあわせた「ブランチ茅ヶ崎」は買い物だけでなく地域コミュニティを生み出す施設となっております。
しかしながら、開発物件売却の減少等により、当事業の売上高は577,013百万円(前年同四半期連結累計期間比4.2%減)、営業利益は88,021百万円(前年同四半期連結累計期間比6.5%減)となりました。
⑥ 事業施設事業
事業施設事業では、法人のお客様の様々なニーズに応じた施設建設のプロデュースや資産の有効活用をトータルサポートすることで業容の拡大を図ってまいりました。
物流施設関連では、2021年11月にマルチテナント型物流施設「DPL岩手金ケ崎」を着工し、豊富な経験とノウハウでお客様の物流戦略をバックアップしてまいりました。
医療介護施設関連では、老朽化や耐震基準上の課題がある建物を持つ病院をターゲットに建替えや移転の提案、また高齢者住宅・複合介護施設等医療法人の経営課題を解決するソリューション提案を強化してまいりました。
事務所・工場等の拠点サポート関連では、当社開発の工業団地の事業化促進、企業誘致に加え、脱炭素社会に向けて省エネ建物を推進するためZEB提案を強化してまいりました。
大和ハウスプロパティマネジメント株式会社では、主に当社が開発した物流施設を管理・運営しており、「DPL流山Ⅳ」(千葉県)、「DPL広島観音」をはじめとする物流施設32棟の新規プロパティマネジメント(PM)、ビルマネジメント・ビルメンテナンス(BM)契約を締結し、累計管理棟数は202棟、管理面積は約716万㎡となりました。
株式会社フジタでは、大型物流施設やスタートアップ支援拠点整備事業に関する建設工事や自動車専用道路の4車線化工事を受注いたしました。
以上の結果、当事業の売上高は849,578百万円(前年同四半期連結累計期間比10.6%増)、営業利益は109,551百万円(前年同四半期連結累計期間比8.8%増)となりました。
⑦ その他事業
物流事業では、大和物流株式会社において、2022年1月に竣工した「久御山物流センターⅡ」(京都府)及び、2022年3月竣工予定の「金沢白山物流センター」(石川県)の開設準備を進め、海外ではベトナムでも倉庫事業を開始するなど、物流基盤の更なる拡大に取組んでまいりました。
ホームセンター事業では、ロイヤルホームセンター株式会社において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大関連需要の反動減から日用品消耗品の不振が続いている他、住宅設備商品の納品遅延が発生していることから、物販やリフォーム工事に影響が生じました。
フィットネスクラブ事業では、スポーツクラブNAS株式会社において、徹底した感染症対策を講じながら運営を続けておりますが、変異株の出現から会員数の回復に遅れが生じております。
アコモデーション事業では、大和リゾート株式会社において、国内宿泊需要の緩やかな回復がみられ稼働率は上昇傾向にありますが、依然として厳しい状況が続いております。
以上の結果、当事業の売上高は369,437百万円(前年同四半期連結累計期間比1.9%減)、営業利益は8,950百万円(前年同四半期連結累計期間比32.5%減)となりました。
(注) 各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものです。(「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」を参照。)
(2) 財政状態の状況に関する分析
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は5,511,468百万円となり、前連結会計年度末の5,053,052百万円と比べ458,415百万円の増加となりました。その主な要因は、戸建住宅事業及びマンション事業における販売用不動産の仕入により、棚卸資産が増加したことによるものです。
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は3,471,944百万円となり、前連結会計年度末の3,159,548百万円と比べ312,396百万円の増加となりました。その主な要因は、棚卸資産の取得等のために借入金やコマーシャル・ペーパー、社債の発行による資金調達を行ったことによるものです。
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は2,039,523百万円となり、前連結会計年度末の1,893,504百万円と比べ146,019百万円の増加となりました。その主な要因は、株主配当金79,239百万円の支払いを行った一方、167,494百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したことによるものです。これらの結果、当第3四半期連結会計期間末におけるリース債務等を除く有利子負債は1,600,448百万円となり、D/Eレシオは0.82倍となりました。なお、ハイブリッドファイナンスの資本性考慮後のD/Eレシオは0.71倍(※)となりました。
※.2019年9月に発行した公募ハイブリッド社債(劣後特約付社債)1,500億円、及び2020年10月に調達したハイブリッドローン(劣後特約付ローン)1,000億円について、格付上の資本性50%を考慮して算出しております。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
今後の社会経済環境の見通しについては、新たな変異株の感染急拡大による行動制限や、供給面での制約、原材料価格動向による下振れリスクがあり、依然として先行きが不透明であるため、引き続き社会動向を注視していく必要があります。経済協力開発機構(OECD)も2021年12月、世界経済の回復は続いているものの新たな変異株の出現や各国でインフレ圧力が生じていることを指摘し、2021年の世界実質経済成長率を前回予測5.7%から0.1ポイント下方修正いたしました。わが国においても前回予想から0.7ポイント下方修正となっております。
当業界においては、先行指標となる新設住宅着工戸数総計は持ち直しの動きが継続し、やや明るい回復の兆しが見られました。一方で景気の動向を左右する、今後の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や資材価格の行方が見通しにくいことから、楽観視できない状況が当面続くことが想定されます。中長期でみても国内では世帯数の減少による新設住宅着工戸数の減少、高齢化等による働き手不足には継続して対処していく必要があります。
このような事業環境の中、当社グループでは、足元でのリスク管理やグループ全体のガバナンス整備を中心に進めてきました第6次中期経営計画期間(3ヶ年)が2022年3月に終了し、2022年5月に新たな5ヶ年計画となる「大和ハウスグループ第7次中期経営計画」を発表いたします。ウィズ・コロナの時代においても力強く未来を切り拓いていくため、当社グループの存在意義・社会への提供価値を改めて見直し、各事業本部におけるサプライチェーン・バリューチェーンの最適化、持続的な成長を見据えた様々な経営基盤の整備について検討を進めております。中長期的視野で方向性を見定め、今後も「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、すべての人が心豊かに生きる暮らしの実現に注力してまいります。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は7,036百万円となりました。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(1) 経営成績の状況に関する分析
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、2021年9月末に全国の緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が解除されたことに伴い、人流が増加し、個人消費が上向くなど、経済環境改善の兆しが見られました。一方で、新たな変異株の新規陽性者数が著しく増加しており、依然として本格的な成長回復過程には時間を要すものと見込まれます。世界経済においても新たな変異株がリスクとなり景気回復への脅威となる他、供給網の混乱や原材料価格の上昇によるインフレ圧力の上昇が続くなど、先行きの不透明な状態が続いております。
国内の住宅市場では、住宅取得支援策の実施や生活様式の変化を背景に住宅取得への関心が高まり、持家・貸家の新設住宅着工戸数において前年比プラスの状況が継続しております。一般建築市場では、主な使途別建築着工床面積において店舗の使途で前年比マイナスとなったものの、事務所、工場、倉庫の使途では前年比プラスとなりました。
そのような事業環境の中で当社グループは、2019年度より開始した3ヶ年の「大和ハウスグループ第6次中期経営計画」の最終年度を迎え、新たな成長ステージに向けて踏み出すため、2021年4月より事業本部制へ体制変更いたしました。事業本部制では、各事業本部長への権限委譲、及び関連するグループ会社を事業本部傘下に置くことで、事業特性に応じたリスクマネジメント体制の強化とバリューチェーン一体でお客様に価値あるサービスを提供できる組織体制を整え、「攻めと守りのバランス経営」の実現に向けた各施策を実行してまいりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は3,147,185百万円(前年同四半期連結累計期間比4.8%増)、営業利益は253,866百万円(前年同四半期連結累計期間比1.1%増)、経常利益は254,920百万円(前年同四半期連結累計期間比3.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は167,494百万円(前年同四半期連結累計期間比7.9%増)となりました。
なお、当社は、2019年12月18日に「施工管理技士の技術検定試験における実務経験の不備について」として、一部の社員が所定の実務経験を充足していない状況で技術検定試験を受験し、施工管理技士の資格を取得していたこと、及び実務経験の不備があった社員の一部が現場の技術者として配置されていたことを公表いたしましたが、本件に関し、2021年11月17日、国土交通省近畿地方整備局から建設業法第28条第1項に基づく指示処分、及び同条3項に基づく電気工事業・管工事業について営業停止処分(2021年12月2日より22日間)を受けました。当社では既に、2019年12月に公表した再発防止策の徹底に取組んでおりますが、今般の処分を厳粛に受け止め、引き続き全社をあげて信頼回復に努めてまいります。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
① 戸建住宅事業
戸建住宅事業では、事業本部制移行に際し、当社の創業者精神である「儲かるからではなく、世の中の役に立つからやる」を基本姿勢に、戸建住宅事業のミッションを「『続く幸せ』を、住まいから」と定義いたしました。また、お客様の人生に寄り添い、実現したいライフスタイルを「生き方」からデザインすることを表現したビジョンとして「LiveStyle Design(リブスタイルデザイン)~家を、帰る場所から『生きる』場所へ~」を掲げました。
この新しいミッション・ビジョンのもと、Webサイト上で楽しく簡単に家づくりを体験できる「Lifegenic(ライフジェニック)」をはじめ、当社オリジナルのテレワークスタイル「快適ワークプレイス」や「つながりワークピット」、家族で家事をシェアする「家事シェアハウス」など、社会や生活の変化をとらえた多彩な商品ラインアップと多様な住まい方の提案を行い、お客様の課題解決と新たな価値の提案に積極的に取組んでまいりました。さらに、グループ会社を傘下に加えた事業本部体制のもとでバリューチェーンの改革に取組み、「大和ハウスの住まい」という基盤を用いて、新築住宅だけではなく家具の提案・ご家族の住まい探し・リフォーム・自宅の住み替え・売却等、変化するお客様の人生にいち早く対応した価値の提案に取組んでまいります。なお、住宅需要は持ち直しの基調が続いておりますが、世界的に建設資材が上昇するなかで国内の資材価格にも影響が生じており、適切な対処を進めております。
海外では、主な展開エリアとなる米国において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によるサプライチェーンの混乱や行政当局の許認可業務の遅延が一部発生いたしましたが、戸建住宅の需要は堅調であり、安定供給に向けた調達強化に注力し、影響を最小限に抑え込んでいることから、業績は堅調に推移しております。
以上の結果、当事業の売上高は406,551百万円(前年同四半期連結累計期間比10.6%増)、営業利益は16,613百万円(前年同四半期連結累計期間比14.3%増)となりました。
② 賃貸住宅事業
賃貸住宅事業では、ご入居者様に選ばれ、長く住み続けたいと思っていただける住まいを提供し、オーナー様の資産価値の最大化に繋がる賃貸住宅経営をご提案・サポートしてまいりました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染状況が落ち着きを見せて、緊急事態宣言の発令等で停滞していた対面営業による提案機会が増える中、分譲賃貸物件やZEH-M等の販売を推進いたしました。Webセミナーについても、引き続き定期的に開催し、最新の土地活用・賃貸住宅市場等の情報提供を通じて、お客様との継続的な関係構築を行ってまいりました。
大和リビング株式会社では、コロナ禍においてご入居者様の転居が抑制されたこともあり、テレワーク等の新しいライフスタイルの浸透に伴いニーズが高まっているインターネットを標準導入した物件を中心に、高い入居率を維持いたしました。また、2021年12月に、同社子会社の大和リビングケア株式会社にて、全国で17棟目となる、サービス付き高齢者向け住宅「D-Festa(ディーフェスタ)柏たなか」(千葉県)をオープンいたしました。
海外では、主な展開エリアとなる米国において、経済活動が徐々に活性化していることから、リーシングスピードも回復しており、テキサス州で開発した賃貸住宅物件の売却を実現するなど、米国での実績を順調に積み上げております。
以上の結果、当事業の売上高は755,988百万円(前年同四半期連結累計期間比7.5%増)、営業利益は68,335百万円(前年同四半期連結累計期間比15.3%増)となりました。
③ マンション事業
マンション事業では、社会やお客様にとっての資産価値に加え、SDGsにも配慮し、社会的価値や環境的価値の高いマンションづくりに努めてまいりました。また、グループ会社との連携で安心・安全・快適な暮らしを支える管理サービスの提供に取組んでまいりました。
北海道内で最高層(※)のタワー物件である「ONE札幌ステーションタワー」は、北海道内最大のターミナル駅「さっぽろ」駅直結の利便性の高さと、大規模複合再開発による都市機能のポテンシャルが高く評価され、販売が順調に進捗しております。また、「プレミスト王子神谷」(東京都)は都心部へのアクセスの良さに加え、公園に隣接しており、自然や生態系の保全活動を目指したABINC認証を取得するなど、駅近でありながら自然豊かな住環境がファミリー層を中心に評価され、販売が順調に進捗しております。
大和ライフネクスト株式会社では、マンション管理組合において、財政悪化の一因といわれている空き駐車場課題解決のため、新たにモビリティサービス(駐車場診断・駐車場サブリース)の提供を開始いたしました。機械式駐車場の平面化工事、カーシェアやサブリースの外部貸しなど、最適な収支改善策を提案することで、ハードとソフトの両面から最適なソリューションを提供しております。
海外では、中国で全戸完売済の「グレースレジデンス(和風雅頌)」(南通市)及び「グレースレジデンス(琅越龍洲)」(常州市)における好調な事業展開を鑑み、新たに蘇州市での開発事業にも着手しております。
以上の結果、当事業の売上高は211,053百万円(前年同四半期連結累計期間比5.1%増)、営業利益は594百万円 (前年同四半期連結累計期間は1,361百万円の営業損失)となりました。
※.当社及び住宅流通研究所調べ(2022年1月時点)。
④ 住宅ストック事業
住宅ストック事業では、当社施工の戸建・賃貸住宅を所有されているオーナー様に対し、インスペクション(点検・診断)を通じたリレーションの強化や保証期間延長のためのリフォーム提案を強化してまいりました。併せて法人のお客様の事業用資産に向けたメンテナンス提案に注力し、受注拡大を図ってまいりました。
様々な住まいのニーズにワンストップサービスでお応えする「Livness(リブネス)」では、コロナ禍における営業活動としてオンラインセミナーを実施してまいりました。住宅事業部門においては、全国60拠点のリブネス課を設置し、オーナー様を中心に、住み替えや売却、リノベーションなど様々なご相談に対して、当社グループをあげて対応しております。
以上の結果、当事業の売上高は93,651百万円(前年同四半期連結累計期間比7.7%増)、営業利益は6,035百万円(前年同四半期連結累計期間比4.3%減)となりました。
⑤ 商業施設事業
商業施設事業では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況を考慮しながら、テナント企業様の事業戦略やエリアの特性を活かし、ニーズに応じたバリエーション豊富な企画提案を行ってまいりました。特に、大型物件への取組みの強化や、投資用不動産の購入を検討されているお客様に向けて、当社で土地取得・建物建築・テナントリーシングまで行った物件を販売するなど業容の拡大を図ってまいりました。
また、グループ会社である大和情報サービス株式会社とダイワロイヤル株式会社は、事業本部制のもと更なる事業シナジーの最大化、経営効率化を図ることを目的に、2021年10月1日付で大和情報サービスを存続会社とする吸収合併により経営統合し、社名を大和ハウスリアルティマネジメント株式会社へ変更いたしました。当社が2019年に取得し、同社が運営管理している広島市のショッピングセンター「ALPARK(アルパーク)」(西棟:約20店舗、東棟:約120店舗)にて、2021年12月に東棟をリニューアル、2022年4月下旬に西棟リニューアルオープン予定であるなど、当社グループが保有する経営資源を組み合わせ、お客様のニーズに合わせた複合施設開発に取組んでおります。
大和リース株式会社では、2015年4月に開業した「ブランチ茅ヶ崎」の第3期となるコミュニティ型複合商業施設「ブランチ茅ヶ崎3」(神奈川県)を2021年10月に開業いたしました。本施設は1・2階にフィットネス、飲食店等が出店する他、地域の皆様にご利用いただけるコミュニティルームを設けており、さらに、3階屋上部分は防災倉庫を配置し、災害時には一時避難場所となります。第1・2・3期をあわせた「ブランチ茅ヶ崎」は買い物だけでなく地域コミュニティを生み出す施設となっております。
しかしながら、開発物件売却の減少等により、当事業の売上高は577,013百万円(前年同四半期連結累計期間比4.2%減)、営業利益は88,021百万円(前年同四半期連結累計期間比6.5%減)となりました。
⑥ 事業施設事業
事業施設事業では、法人のお客様の様々なニーズに応じた施設建設のプロデュースや資産の有効活用をトータルサポートすることで業容の拡大を図ってまいりました。
物流施設関連では、2021年11月にマルチテナント型物流施設「DPL岩手金ケ崎」を着工し、豊富な経験とノウハウでお客様の物流戦略をバックアップしてまいりました。
医療介護施設関連では、老朽化や耐震基準上の課題がある建物を持つ病院をターゲットに建替えや移転の提案、また高齢者住宅・複合介護施設等医療法人の経営課題を解決するソリューション提案を強化してまいりました。
事務所・工場等の拠点サポート関連では、当社開発の工業団地の事業化促進、企業誘致に加え、脱炭素社会に向けて省エネ建物を推進するためZEB提案を強化してまいりました。
大和ハウスプロパティマネジメント株式会社では、主に当社が開発した物流施設を管理・運営しており、「DPL流山Ⅳ」(千葉県)、「DPL広島観音」をはじめとする物流施設32棟の新規プロパティマネジメント(PM)、ビルマネジメント・ビルメンテナンス(BM)契約を締結し、累計管理棟数は202棟、管理面積は約716万㎡となりました。
株式会社フジタでは、大型物流施設やスタートアップ支援拠点整備事業に関する建設工事や自動車専用道路の4車線化工事を受注いたしました。
以上の結果、当事業の売上高は849,578百万円(前年同四半期連結累計期間比10.6%増)、営業利益は109,551百万円(前年同四半期連結累計期間比8.8%増)となりました。
⑦ その他事業
物流事業では、大和物流株式会社において、2022年1月に竣工した「久御山物流センターⅡ」(京都府)及び、2022年3月竣工予定の「金沢白山物流センター」(石川県)の開設準備を進め、海外ではベトナムでも倉庫事業を開始するなど、物流基盤の更なる拡大に取組んでまいりました。
ホームセンター事業では、ロイヤルホームセンター株式会社において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大関連需要の反動減から日用品消耗品の不振が続いている他、住宅設備商品の納品遅延が発生していることから、物販やリフォーム工事に影響が生じました。
フィットネスクラブ事業では、スポーツクラブNAS株式会社において、徹底した感染症対策を講じながら運営を続けておりますが、変異株の出現から会員数の回復に遅れが生じております。
アコモデーション事業では、大和リゾート株式会社において、国内宿泊需要の緩やかな回復がみられ稼働率は上昇傾向にありますが、依然として厳しい状況が続いております。
以上の結果、当事業の売上高は369,437百万円(前年同四半期連結累計期間比1.9%減)、営業利益は8,950百万円(前年同四半期連結累計期間比32.5%減)となりました。
(注) 各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものです。(「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」を参照。)
(2) 財政状態の状況に関する分析
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は5,511,468百万円となり、前連結会計年度末の5,053,052百万円と比べ458,415百万円の増加となりました。その主な要因は、戸建住宅事業及びマンション事業における販売用不動産の仕入により、棚卸資産が増加したことによるものです。
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は3,471,944百万円となり、前連結会計年度末の3,159,548百万円と比べ312,396百万円の増加となりました。その主な要因は、棚卸資産の取得等のために借入金やコマーシャル・ペーパー、社債の発行による資金調達を行ったことによるものです。
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は2,039,523百万円となり、前連結会計年度末の1,893,504百万円と比べ146,019百万円の増加となりました。その主な要因は、株主配当金79,239百万円の支払いを行った一方、167,494百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したことによるものです。これらの結果、当第3四半期連結会計期間末におけるリース債務等を除く有利子負債は1,600,448百万円となり、D/Eレシオは0.82倍となりました。なお、ハイブリッドファイナンスの資本性考慮後のD/Eレシオは0.71倍(※)となりました。
※.2019年9月に発行した公募ハイブリッド社債(劣後特約付社債)1,500億円、及び2020年10月に調達したハイブリッドローン(劣後特約付ローン)1,000億円について、格付上の資本性50%を考慮して算出しております。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
今後の社会経済環境の見通しについては、新たな変異株の感染急拡大による行動制限や、供給面での制約、原材料価格動向による下振れリスクがあり、依然として先行きが不透明であるため、引き続き社会動向を注視していく必要があります。経済協力開発機構(OECD)も2021年12月、世界経済の回復は続いているものの新たな変異株の出現や各国でインフレ圧力が生じていることを指摘し、2021年の世界実質経済成長率を前回予測5.7%から0.1ポイント下方修正いたしました。わが国においても前回予想から0.7ポイント下方修正となっております。
当業界においては、先行指標となる新設住宅着工戸数総計は持ち直しの動きが継続し、やや明るい回復の兆しが見られました。一方で景気の動向を左右する、今後の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や資材価格の行方が見通しにくいことから、楽観視できない状況が当面続くことが想定されます。中長期でみても国内では世帯数の減少による新設住宅着工戸数の減少、高齢化等による働き手不足には継続して対処していく必要があります。
このような事業環境の中、当社グループでは、足元でのリスク管理やグループ全体のガバナンス整備を中心に進めてきました第6次中期経営計画期間(3ヶ年)が2022年3月に終了し、2022年5月に新たな5ヶ年計画となる「大和ハウスグループ第7次中期経営計画」を発表いたします。ウィズ・コロナの時代においても力強く未来を切り拓いていくため、当社グループの存在意義・社会への提供価値を改めて見直し、各事業本部におけるサプライチェーン・バリューチェーンの最適化、持続的な成長を見据えた様々な経営基盤の整備について検討を進めております。中長期的視野で方向性を見定め、今後も「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、すべての人が心豊かに生きる暮らしの実現に注力してまいります。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は7,036百万円となりました。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。