四半期報告書-第81期第1四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)

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2019/08/09 16:08
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35項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況に関する分析
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、個人消費の持ち直しや雇用・所得環境の改善が継続するなど、緩やかな回復傾向が続いてきました。
当業界においては、住宅市場では、新設住宅着工戸数で持家・分譲戸建が増加したものの、貸家・マンションが大きく減少し、全体でも前年比マイナスとなりました。一般建設市場においては、建築着工床面積で病院・倉庫・店舗が増加する一方、工場・事務所・学校等がそれぞれ減少し、全体でも前年比マイナスとなりました。
このような経済状況の中で当社グループは、積極的な不動産開発投資を行い、Business分野(商業施設・事業施設事業)の拡大や、海外展開の加速に取り組んできました。また、本年度より開始した3ヶ年計画「大和ハウスグループ第6次中期経営計画」に基づき、事業領域の広さを活かした持続的な成長を図ってきました。
併せて、中国の関連会社における不正行為や、戸建住宅・賃貸共同住宅における建築基準に関する不適合等の問題に対しては、それぞれ第三者委員会並びに外部調査委員会より報告書を受領し、現在、再発防止策の策定及びその着実な実行に努めるとともに、グループ全体のガバナンス体制の再整備に取り組んでいます。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は1,017,936百万円(前年同四半期連結累計期間比12.8%増)、営業利益は92,399百万円(前年同四半期連結累計期間比22.7%増)、経常利益は93,429百万円(前年同四半期連結累計期間比21.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は65,068百万円(前年同四半期連結累計期間比24.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
なお、当第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「2.報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。下記の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
① 戸建住宅事業
戸建住宅部門では、お客様の住まいづくりに真摯に向き合い地域に密着した事業展開を推進し、販売拡大に努めてきました。
国内においては、注文住宅では、持続型の耐震性能と外張り断熱による快適性、2m72cmの高い天井がもたらす大空間のゆとりを実現する戸建住宅商品「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」をはじめ、木造住宅商品「xevo GranWood(ジーヴォ グランウッド)」、3・4・5階建戸建住宅商品「skye(スカイエ)」等の多彩な商品ラインアップでお客様ニーズへの対応に注力してきました。また、専用住宅からコンビネーションハウジング(併用住宅)まで提案の幅を拡大し、事業を推進してきました。
海外においては、Stanley-Martin Communities, LLCによる米国ワシントンD.C.周辺での住宅開発プロジェクトが、ミレニアル世代の都心回帰ニーズにマッチし販売が好調に推移しました。
以上の結果、当事業の売上高は101,326百万円(前年同四半期連結累計期間比16.1%増)、営業利益は1,553百万円(前年同四半期連結累計期間比14.5%減)となりました。
② 賃貸住宅事業
賃貸住宅部門では、土地診断からプランニング、設計、建築、経営サポートにいたる総合力を活かした土地の有効活用の提案に努めてきました。
国内においては、3階建や中高層賃貸住宅への取り組みを強化するなど、大型物件の受注拡大を図ってきました。
海外においては、米国シカゴで稼働中の「オーレリアン」等を中心とした賃貸住宅事業や、ベトナムでのサービスアパートメント事業が順調に推移しました。特に、ベトナム「ロイジェント パークス ハノイ」においては、ビジネスユースの需要が大きく、目標を上回る稼働率で推移しました。
以上の結果、当事業の売上高は242,770百万円(前年同四半期連結累計期間比2.3%増)、営業利益は24,827百万円(前年同四半期連結累計期間比28.2%増)となりました。
③ マンション事業
マンション部門では、社会やお客様にとって付加価値の高いマンションづくりに努めるとともに、安心・快適な暮らしを支える管理サービスの提供に取り組んできました。
首都圏では、「プレミスト代々木公園 パークフロント」(東京都)や「プレミスト山吹神楽坂」(東京都)が、都心の駅近立地と静かな住環境が好評を博し、完売となりました。
また、株式会社コスモスイニシアにおいては、「イニシア青舐」(東京都)が、都心への好アクセスと駅直結の商業施設による生活利便性等が好評を博し、完売となりました。
海外においては、豪州で開発・販売した「フラワー・ミル・オブ・サマーヒル・プロジェクト」、「テンポ(ドゥルモイン・プロジェクト)」の引渡しが順調に進みました。また、インドネシア「サクラ ガーデン シティプロジェクト」が、LRT(※)の開通予定等、今後の交通利便性や生活環境の向上が見込まれる立地が好評を博し、販売が好調に推移しました。
以上の結果、当事業の売上高は74,879百万円(前年同四半期連結累計期間比34.6%増)、営業利益は4,129百万円(前年同四半期連結累計期間比542.4%増)となりました。
※.Light Rail Transit 軽量高架鉄道の略。
④ 住宅ストック事業
住宅ストック部門では、当社施工の戸建・賃貸住宅を所有されているオーナー様に対し、インスペクション(点検・診断)を通じたリレーションの強化や保証期間延長のためのリフォーム提案を強化してきました。さらに、当社オーナー様や法人のお客様の事業用資産に向けたメンテナンス提案を強化し、受注拡大を図ってきました。
また、より良質な既存住宅の流通の活性化に向けた「Livness(リブネス)」事業においては、全国の戸建住宅・マンションのオーナー様向けに「想いをつなぐ売却キャンペーン」を実施し、既存住宅の購入や売却、リノベーションなどのお客様のニーズに幅広く対応してきました。
以上の結果、当事業の売上高は35,816百万円(前年同四半期連結累計期間比30.9%増)、営業利益は6,336百万円(前年同四半期連結累計期間比202.0%増)となりました。
⑤ 商業施設事業
商業施設部門では、テナント企業様の事業戦略に対応した適切な出店計画の提案や、エリアの特性を活かしたバリエーション豊富な企画提案を行ってきました。特に、ホテル・商業ビル等の大型物件への取り組み強化や、投資用不動産の購入を検討されているお客様に向けて、当社で土地取得・建物建築・テナントリーシングまで行った物件を販売するなど業容の拡大を図り、受注が堅調に推移しました。
また、広島県でホテル・商業施設・オフィスが一体となった大型複合施設「GRANODE(グラノード)広島」を開業するなど、当社グループが保有する経営資源を組み合わせ、お客さまのニーズに合わせた複合施設開発に取り組んできました。
以上の結果、当事業の売上高は180,473百万円(前年同四半期連結累計期間比9.7%増)、営業利益は31,661百万円(前年同四半期連結累計期間比7.9%増)となりました。
⑥ 事業施設事業
事業施設部門では、法人のお客様の様々なニーズに応じた施設建設のプロデュースや資産の有効活用をトータルサポートすることで業容の拡大を図ってきました。
物流施設関連では、沖縄県で当社初の物流施設開発となる「Dプロジェクト沖縄浦添」をはじめ、全国7ヶ所の物流施設を新たに着工し、豊富な経験とノウハウでお客様の物流戦略をバックアップしてきました。
医療介護施設関連では、老朽化した施設や、耐震基準を満たしていない病院をターゲットに建替えや移転の提案、また高齢者住宅・複合介護施設等医療法人の経営課題を解決するソリューション提案を強化してきました。
事務所・工場などの拠点サポート関連では、広島西飛行場跡地を産業団地として再開発する「広島イノベーション・テクノ・ポート」や、長野県千曲市との公民連携による産業団地開発「Dプロジェクト長野千曲」に着手し、当社開発の工業団地への企業誘致を強化してきました。加えて食品工場においては、食品製造・加工事業者を対象に、HACCP(※)義務化に向けたセミナーを開催するとともに、安全認証に適応した施設建設の提案を強化してきました。
以上の結果、当事業の売上高は290,761百万円(前年同四半期連結累計期間比16.7%増)、営業利益は31,099百万円(前年同四半期連結累計期間比2.3%増)となりました。
※.食品の製造・加工等のあらゆる段階で発生する恐れのある微生物汚染等の危害を事前分析・管理する衛生管理手法。
⑦ その他事業
アコモデーション事業では、大和リゾート株式会社が、女性やツーリストにも利用しやすく、楽しく過ごせる新スタイルのホテル「ダイワロイヤルホテルD-CITY(ディーシティ)」の、全国4店舗目となる「D-CITY 名古屋伏見」をオープンしました。
物流事業では、大和物流株式会社において、「小牧物流センターⅠ」(愛知県)を新たに開設し、お客様に最適な物流網を提案してきました。
フィットネスクラブ事業では、スポーツクラブNAS株式会社において、コラーゲンの生成を促す光トリートメントを浴びながら、ホットヨガなどのエクササイズを行える「ホットコラーゲンスタジオ」を設置した「スポーツクラブNAS 蕨」(埼玉県)等、新たに2ヶ所をオープンしました。
以上の結果、当事業の売上高は121,455百万円(前年同四半期連結累計期間比9.4%増)、営業利益は4,796百万円(前年同四半期連結累計期間比60.6%増)となりました。
(注) 1.各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものです。(「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」を参照。)
2.上記金額に消費税等は含んでいません。
(2) 財政状態の状況に関する分析
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は4,321,463百万円となり、前連結会計年度末の4,334,037百万円と比べ12,573百万円の減少となりました。その主な要因は、工事代金や法人税等の支払いにより、現金預金が減少したことによるものです。
当第1四半期連結会計期間末における負債合計は2,658,795百万円となり、前連結会計年度末の2,690,320百万円と比べ31,524百万円の減少となりました。その主な要因は、仕入債務の減少や法人税等の支払いにより未払法人税等が減少したことによるものです。
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は1,662,668百万円となり、前連結会計年度末の1,643,717百万円と比べ18,951百万円の増加となりました。その主な要因は、前連結会計年度に係る株主配当金を支払ったものの、65,068百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したことによるものです。これらの結果、当第1四半期連結会計期間末におけるリース債務等を除く有利子負債は、955,816百万円となり、D/Eレシオは0.59倍となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
今後のわが国経済については、雇用情勢・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されます。一方で、米国・中国等の通商問題をはじめとする世界経済の不確実性の高まりや、中国経済の減速が輸出や生産をはじめとした国内景気に悪影響を与えることも懸念され、楽観視できない状況が続くものと見られます。
当業界においては、住宅市場では、2019年10月の消費増税に向けて、政府による様々な住宅取得支援策等が準備されているものの、先行きが不透明な状況が続いており、また中長期的には、世帯数の減少による新設住宅着工戸数の減少が見込まれています。一般建設市場では、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた建設投資が一巡し、開催後は調整局面に入ることが懸念される中、2025年の大阪・関西万博の開催が、建設需要の喚起に寄与することが期待されます。一方で、高齢化等による建設業の人手不足や、需要の変化に伴う建設資材価格の変動には継続的に対処していく必要があります。
さらに当社は、中国の関連会社における不正行為や、戸建住宅・賃貸共同住宅における建築基準に関する不適合等の問題に関する第三者委員会及び外部調査委員会からの報告を受け、中国の不正行為問題に関しては、現地法人の管理体制や親会社による内部統制の支援、不適合問題に関しては、法令遵守体制や本社部門と事業所間の情報伝達等に課題があると認識しており、引き続き抜本的な再発防止策の策定とその着実な実行に努めるとともに、ガバナンス体制の強化についても検討を進めていきます。
また、2021年度を最終年度とする3ヶ年計画「大和ハウスグループ第6次中期経営計画」においては、上記の経営体制の見直しに加えて、戸建・賃貸住宅領域では再成長に向けた基盤整備を進め、商業・事業施設領域は継続的に事業拡大に注力することで、国内はもちろん、海外においてもお客様の多様なニーズに対応し事業拡大を図っていきます。さらに、不動産開発の分野でも、幅広い事業領域の総合力を活かした複合開発を推進することで、持続的な成長を実現していきます。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は2,467百万円となりました。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。