四半期報告書-第84期第1四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)

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2022/08/10 10:30
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39項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況に関する分析
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化が進む中で個人消費及び雇用情勢は持ち直し、緩やかながらも改善の兆しが見られました。しかしながら、原材料やエネルギー資源の価格上昇、急激な円安による為替相場の変動に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響も注視する必要があり、依然として先行き不透明な状態が続いております。世界経済においても多くの主要国でウィズ・コロナを前提とした経済正常化に向けた動きが進む一方、長期化が見込まれるウクライナ情勢等による原材料価格の上昇やサプライチェーンに与える影響等、注視が必要な状況が継続しております。
国内の住宅市場における新設住宅着工戸数は、貸家は前年比プラスとなったものの持家は減少し、全体としては前年比マイナスとなりました。一方で、一般建設市場においては、建築着工床面積において、工場及び倉庫の使途が前年比プラスとなり、全体でも前年比プラスとなりました。
そのような事業環境の中で当社グループは、2022年度を初年度とする5ヵ年計画「第7次中期経営計画」をスタートいたしました。「第7次中期経営計画」では、“生きる歓びを分かち合える世界の実現に向けて、再生と循環の社会インフラと生活文化を創造する”を当社グループの“将来の夢”(パーパス)とし、持続的な成長モデルの実現に向け、3つの経営方針「収益モデルの進化」・「経営効率の向上」・「経営基盤の強化」を掲げております。当第1四半期連結累計期間においてはこの新たな方針のもと、海外事業のさらなる進展や、大型複合開発の推進、ポートフォリオを最適化する投資戦略の実施等、各施策に着手をしてまいりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は1,007,795百万円(前年同四半期連結累計期間比9.5%増)、営業利益は59,694百万円(前年同四半期連結累計期間比2.1%増)、経常利益は59,833百万円(前年同四半期連結累計期間比0.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は36,533百万円(前年同四半期連結累計期間比5.3%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
なお、当第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「2.報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。下記の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
① 戸建住宅事業
戸建住宅事業では、事業ミッション「『続く幸せ』を、住まいから」及び、事業ビジョン「LiveStyle Design(リブスタイルデザイン)~家を、帰る場所から『生きる』場所へ~」のもとで、お客様の人生に寄り添い、地域に密着した事業展開を推進してまいりました。
国内の注文住宅事業においては、主力商品「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」、「xevo Granwood(ジーヴォグランウッド)」、「skye(スカイエ)」を中心に、オンラインの家づくり「Lifegenic(ライフジェニック)」や当社オリジナルのテレワークスタイル提案、家族で家事をシェアする「家事シェアハウス」など、お客様の課題解決と社会の変化をとらえた新たな価値の提案に注力してまいりました。
また、今年度よりスタートした第7次中期経営計画の3つの経営方針の一環である、住宅展示場に代わる新たなリアル集客戦略として、「LiveStyle Shop(リブスタイル・ショップ)つくば」(茨城県)を2022年5月28日にオープンいたしました。大型複合商業施設内で気軽に立ち寄ることができ、住まいや暮らしのお困りごとを何でもご相談いただける店舗として、大和ハウスリフォーム株式会社、日本住宅流通株式会社、株式会社デザインアーク、大和リビング株式会社のグループ4社との共同運営で、お客様のライフタイムバリュー拡大の実現に取組んでおります。今後もグループ連携の強化を図り、戸建住宅の販売促進とリフォームや買取再販等、不動産ストック事業「Livness(リブネス)」のさらなる成長に向け、東京・大阪・名古屋等の大都市圏を中心に店舗の拡大を目指してまいります。
海外では、米国において雇用拡大による住宅需要が見込める米国東部・南部・西部11州を結ぶスマイルゾーンでの戸建住宅事業を継続して展開しております。米国では急激な物価上昇に対して政策金利の引き上げが実施されており、その経済影響が注視される状況ではありますが、中古住宅の在庫不足や、戸建住宅の購入を控えているミレニアル世代の需要が引き続き旺盛であることに加え、賃貸用戸建住宅の需要の高まりもあり業績は堅調に推移しております。
以上の結果、当事業の売上高は173,458百万円(前年同四半期連結累計期間比19.0%増)となり、営業利益は4,183百万円(前年同四半期連結累計期間比27.9%増)となりました。
② 賃貸住宅事業
賃貸住宅事業では、ご入居者様に選ばれ、長く住み続けたいと思っていただける住まいを提供し、オーナー様の資産価値の最大化・長期安定経営に繋がる賃貸住宅経営のご提案とサポートに取組んでおります。感染再拡大防止対策の徹底と社会経済活動の両立が進み、緊急事態宣言の発令等により停滞していた対面営業での提案機会が増える中で、分譲賃貸物件や室内環境の快適性と省エネの両立により付加価値を高めたZEH-M等の販売を推進してまいりました。Webセミナーについても引き続き定期的に開催し、最新の土地活用・賃貸住宅市場等の情報提供を通じて、お客様との継続的な関係構築を図ってまいります。
大和リビング株式会社では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響でご入居者様の転居が抑制されたことや、テレワーク等のライフスタイルの変化に伴い、インターネットを標準導入した物件のニーズの高まりにより、高い入居率を維持いたしました。
また、大和ハウス賃貸リフォーム株式会社では、当社施工の賃貸住宅を所有するオーナー様に対し、定期点検・診断を通じたリレーション強化や、保証延長のためのリフォーム・リノベーション提案を強化してまいりました。
海外では、主な展開エリアとなる米国において、メリーランド州で開発した賃貸住宅「ロックビルタウンセンター」が、隣接物件の稼働状況より収益性が高い物件と評価されたことで建設中ながら早期に売却に至りました。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響からの回復が進み、稼働中物件においても、 物件売却に向けて順調に稼働率を高めております。
以上の結果、当事業の売上高は270,423百万円(前年同四半期連結累計期間比13.8%増)となり、営業利益は25,791百万円(前年同四半期連結累計期間比27.8%増)となりました。
③ マンション事業
マンション事業では、お住まいになる方々の多彩なライフスタイルに応えるため、ハウスメーカーとして培ってきたノウハウを駆使しながら、長寿命の住まいに欠かせない基本性能や快適性、安全性、管理体制の提供を追求してまいりました。そして、お客様にとっての資産価値に加えて、環境や社会への配慮、地域社会への貢献を目指した付加価値の高いマンションづくりに努めております。
駅前における大規模複合再開発物件「プレミストタワー新さっぽろ」は北海道初となるJR・地下鉄の両駅直結の高い利便性や充実した都市機能と環境に配慮した街づくり、経済産業省の「超高層ZEH-M」に採択されたことが高い評価を受け、早期に完売いたしました。
また、同じく駅前複合再開発物件「プレミスト徳山ザ・レジデンス」(山口県)はJR徳山駅からデッキ直結徒歩2分という立地に加えて、山口県出身の建築家・光井純氏によるデザイン監修と周南市内最高層のランドマークとなる点が評価され、販売が順調に進捗しております。
株式会社コスモスイニシアにおいても、「イニシア練馬北町レジデンス」(東京都)の販売を開始し、東武東上線「東武練馬」駅から徒歩4分の交通利便性、駅周辺に商店街や飲食店が揃う生活利便性、さまざまなライフスタイルに対応するプランバリエーションが好評を博し、販売が順調に進捗しております。
大和ライフネクスト株式会社では、株式会社リクルートが主催した「SUUMO AWARD 2022」の分譲マンション管理会社の部において、業界最多となる7部門で受賞、スタッフホスピタリティ部門(100戸以上の部)では最優秀賞を受賞いたしました。また、週刊ダイヤモンドのマンション管理会社ランキング「総合力編」では、中堅から大手までの全113社の中で第1位を獲得するなど、基本業務の改善活動や新たなサービスの開発等のマンション管理の品質向上に努めた結果、高い外部評価を取得いたしました。
海外では、米国において、ウィズ・コロナを前提とした経済活発化の動きが強く、当社がニューヨークマンハッタンで取組んでいる2物件においても、販売が好調に推移しております。
しかしながら、収益不動産等販売の減少等により、当事業の売上高は61,788百万円(前年同四半期連結累計期間比10.1%減)となり、営業損失は1,149百万円(前年同四半期連結累計期間は138百万円の営業損失)となりました。
④ 商業施設事業
商業施設事業では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響を考慮しながら、テナント企業様の事業戦略やエリアの特性を活かし、ニーズに応じたバリエーション豊富な企画提案を行ってまいりました。特に、大型物件への取組みの強化や、当社で土地取得・開発企画・設計施工・テナントリーシングまで行った物件を投資家様に販売するなど、事業を推進してまいりました。
また、当社が2019年に取得し、大和ハウスリアルティマネジメント株式会社が運営管理するショッピングセンター「ALPARK(アルパーク)」(広島県)では、大規模改装工事を経て2021年12月に東棟、2022年4月に西棟がリニューアルオープンするなど、開発企画・設計施工・運営管理事業におけるグループの経営資源を組み合わせた複合施設開発に取組んでおります。
都市型ホテル運営事業では、大和ハウスリアルティマネジメント株式会社が、2022年4月に「ダイワロイネットホテル鹿児島天文館」と「ダイワロイネットホテル神戸三宮中央通り」、2022年5月に「ダイワロイネットホテル仙台西口」、2022年6月に「ダイワロイネットホテル札幌中島公園」をそれぞれオープンいたしました。
ホームセンター事業では、ロイヤルホームセンター株式会社において、物価上昇による消費マインドの冷え込みに加え、プロ向け商材の品薄状態から関連する工具等の売上減少等、厳しい事業環境が続いておりますが、地域に密着した暮らしと住まいのベストパートナーを目指して業容拡大を図っております。
フィットネスクラブ事業では、スポーツクラブNAS株式会社において、徹底した感染症対策を講じながら運営を続けております。変異株の感染拡大の影響からクラブ会員数(自由に施設利用が可能なコース)の回復に遅れが生じておりますが、オペレーションの抜本的見直しによる業務の効率化に取組んでおります。
以上の結果、当事業の売上高は242,734百万円(前年同四半期連結累計期間比6.7%増)となり、営業利益は25,377百万円(前年同四半期連結累計期間比5.8%減)となりました。
⑤ 事業施設事業
事業施設事業では、法人のお客様の様々なニーズに応じた施設建設のプロデュースや不動産の有効活用をトータルサポートすることで業容の拡大を図ってまいりました。
2022年4月15日には、社会貢献活動の一環として、神奈川県と「災害発生時における物資の保管等に関する協定」を締結、また2022年6月には富山市において富山県最大の基準床面積(※1)を誇る複合テナントビル「(仮称)Dタワー富山」を着工するなど、多岐にわたる開発案件を進めてまいりました。
物流施設関連では、日本貨物鉄道株式会社との共同事業として北海道最大の施設となるマルチテナント型物流施設「DPL札幌レールゲート」が2022年5月に完成し、両社と大和物流株式会社、株式会社フレームワークス、株式会社Hacobuを含めた5社にて日本全国の持続可能な物流網の構築を目指す協働プロジェクトを開始するなど、全国11ヶ所で新規物流施設の開発を着工し、豊富な経験とノウハウでお客様の物流戦略をバックアップしてまいりました。
医療介護施設関連では、老朽化し耐震基準を満たしていない建物を持つ病院をターゲットに建替えや移転の提案、さらに、CCRC(※2)やヘルスケアを核とした街づくりを起点とした提案を強化してまいりました。
事務所・工場等の拠点サポート関連では、2022 年5月に岡山県津山市と「企業誘致に関する事業連携協定」を締結し、当社開発の工業団地の事業化促進、企業誘致を強化していることに加え、脱炭素社会に向け省エネ建物を推進するため ZEB 提案を強化してまいりました。
食品工場関連では、生活インフラ整備の一環を担う「富山市公設地方卸売市場再整備事業」においては、2022年2月に関連店舗・事務所棟、2022年4月に青果棟を着工いたしました。
主に当社が開発した物流施設を管理・運営する大和ハウスプロパティマネジメント株式会社では、2022年5月完成の「DPL三郷Ⅲ」(埼玉県)をはじめとする物流施設10棟について新規プロパティマネジメント(PM)契約を締結し、累計管理棟数は218棟、管理面積は約829万㎡となりました。
大和物流株式会社では、兵庫小野物流センター、浦安物流センターⅢ(千葉県)、一宮物流センター(愛知県)を稼働させ、事業基盤の強化に努めるとともに、既存顧客との取引拡大や需要が旺盛なネット通販企業等の新規の取り込みにも積極的に取組んでまいりました。
株式会社フジタでは、大型建築工事として物流倉庫、生産施設や大学施設等、土木事業としてエネルギー事業関連の受注により、建設受注高は順調に推移し前期から大幅に増加いたしました。また、期首繰越工事の進捗により、売上高も堅調に推移いたしました。
海外では、主な展開エリアとなるASEANにおいて、タイ・マレーシアでの物流倉庫事業が順調に進んでおり、いずれも所有物件は満床となりました。
以上の結果、当事業の売上高は229,597百万円(前年同四半期連結累計期間比5.2%増)となり、営業利益は17,264百万円(前年同四半期連結累計期間比17.5%減)となりました。
※1.当社調べ。
※2.Continuing Care Retirement Community(コンティニューイング・ケア・リタイアメント・コミュニティ)の略。地域住民や多世代と交流しながら健康でアクティブな生活を送り、必要に応じて医療・介護を受けることができる地域づくりを目指すもの。
⑥ 環境エネルギー事業
環境エネルギー事業では、脱炭素への流れが加速し、再生可能エネルギーへのニーズが高まるなか、EPC事業(再生可能エネルギー発電所の設計・施工)、PPS事業(電気小売事業)、IPP事業(発電事業)の三つの事業を推進してまいりました。
EPC事業では、太陽光発電のFIT(再生可能エネルギーの固定買取制度)単価の低下に伴い案件が減少しているものの、脱FITの取組みとして、屋根上や隣接地に太陽光発電所を設置し直接電力を供給する「PPA(※)モデル自家消費型太陽光発電設備(オンサイトPPA)」、太陽光発電所から離れた需要家に供給する「オフサイトPPA」の案件が増加しております。
PPS事業では、長期化するウクライナ情勢や急激な円安の影響で海外から調達する資源価格が大幅に上昇しており、それに伴って電力仕入価格が高騰し、厳しい事業環境が続いておりますが、販売価格改定の実施、電力卸売市場からの調達比率の低減等により、影響を最小限に抑えるべく取組みを行っております。
IPP事業では、太陽光発電を中心に、風力発電、水力発電を全国443ヶ所で運営しております。今後は第7次中期経営計画の3つの経営方針の一環として「原則すべての新築建築物の屋根に太陽光発電の設置」の取組みを当社グループ全体でスタートし、更なる再生可能エネルギー発電事業の拡大を目指してまいります。
以上の結果、当事業の売上高は39,645百万円(前年同四半期連結累計期間比6.8%増)となり、営業利益は2,435百万円(前年同四半期連結累計期間比13.7%減)となりました。
※.Power Purchase Agreement(パワー・パーチェース・アグリーメント)の略。電力購入契約。
⑦ その他事業
アコモデーション事業では、大和リゾート株式会社において、インバウンドの回復は当面先と見込まれるものの、国内宿泊需要は県民割の実施等、個人旅行を中心に回復がみられており、稼働率が前年を上回る結果となりました。
以上の結果、当事業の売上高は18,725百万円(前年同四半期連結累計期間比42.2%増)となり、営業利益は830百万円(前年同四半期連結累計期間は2,643百万円の営業損失)となりました。
(注) 各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものです。(「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」を参照。)
(2) 財政状態の状況に関する分析
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は5,803,472百万円となり、前連結会計年度末の5,521,662百万円と比べ281,810百万円の増加となりました。その主な要因は、マンション事業及び戸建住宅事業における販売用不動産の仕入により棚卸資産が増加したことによるものです。
当第1四半期連結会計期間末における負債合計は3,679,990百万円となり、前連結会計年度末の3,410,277百万円と比べ269,713百万円の増加となりました。その主な要因は、棚卸資産や投資用不動産の取得等のために、借入金やコマーシャル・ペーパー、社債の発行による資金調達を行ったことによるものです。
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は2,123,482百万円となり、前連結会計年度末の2,111,385百万円と比べ12,096百万円の増加となりました。その主な要因は、前連結会計年度に係る株主配当金46,556百万円の支払いを行ったものの、36,533百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したことや、円安の影響等を受けたことにより為替換算調整勘定が増加したことによるものです。これらの結果、当第1四半期連結会計期間末におけるリース債務等を除く有利子負債は1,791,879百万円となり、D/Eレシオは0.88倍となりました。なお、ハイブリッドファイナンスの資本性考慮後のD/Eレシオは0.77倍(※)となりました。
※ 2019年9月に発行した公募ハイブリッド社債(劣後特約付社債)1,500億円、及び2020年10月に調達したハイブリッドローン(劣後特約付ローン)1,000億円について、格付上の資本性50%を考慮して算出しております。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
今後のわが国経済環境の見通しについては、新たな新型コロナウイルス感染症(COVID-19)変異株の発生等、依然として楽観視できない状況が続くものと思われますが、ワクチン接種の促進等による社会経済活動の正常化が期待され、需要にも一定の回復が見込まれます。しかしながら、ウクライナ情勢等に伴うエネルギー価格の高騰、食料不足、物流網の混乱等による制約は当面続くとみられ、その結果更なる物価上昇や円安を招き、消費者マインドや企業の設備投資意欲が冷え込む可能性があります。また、北米住宅市場の今後の経済見通しについては、引き続き高い潜在成長率を維持し、雇用数も高い水準で推移していることから長期的には成長が続くと見込んでおりますが、物価動向や金利政策については引き続き注視していく必要があります。
当業界においては、景気動向の先行系列である「新設住宅着工床面積」は前年比マイナスとなりました。今後も円安等の影響による物価上昇による消費者マインドの低下、コストの増加による企業業績の悪化等、景気の下振れリスクに注視していく必要があります。さらに中長期的には人口減少による新設住宅着工戸数の減少、高齢化等による人手不足には継続して対処していく必要があります。
このような事業環境の中で、当社グループは、今年度を初年度とする5ヵ年計画「大和ハウスグループ第7次中期経営計画」をスタートいたしました。当社グループとしては初めて5ヵ年の計画とし、持続的な成長モデルの構築に向けて、「収益モデルの進化」・「経営効率の向上」・「経営基盤の強化」という3つの経営方針と、具現化していくための重点テーマを着実に実行してまいります。
重点テーマの1つである2050年すべての建物の脱炭素化によるカーボンニュートラル実現では、2023年度に自社発電由来の再生可能エネルギーで「RE100」(※)を業界で初めて達成することを掲げております。2030年度には、バリューチェーン全体で2015年度比40%以上のCO₂の削減に加え、国内ではZEB・ZEH率100%を目指すとともに、原則全ての新築する建物の屋根上に太陽光発電システムを設置するなど、再生可能エネルギーの普及拡大に貢献してまいります。
さらに、環境エネルギー事業を新たに主要事業の一つとして位置づけ、事業成長と社会貢献を両立することで事業価値を高めてまいります。
また、将来成長への投資を積極的に行い、利益成長と資本効率向上を両立させることで、企業価値の最大化を図ります。特に、「持続的成長モデル」の構築に関わる投資を最優先とし、成長を牽引する海外投資や、大型再開発や優良アセットなどストック事業構築に向けた開発投資等により、「収益モデルの進化」を加速させてまいります。今後もガバナンスの強化にも引き続き取組み、持続的な成長を実現することで、配当性向35%以上および機動的な自己株式の取得、D/E レシオは0.6 倍(ハイブリッドファイナンス資本性考慮後)程度を目標として株主還元も充実させてまいります。
※.事業運営に要する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目標とする国際的イニシアチブ。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は2,425百万円となりました。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。