有価証券報告書-第92期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/29 14:19
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対処すべき課題

当社グループを取り巻く足下の経営環境は、震災復興、平成32年(2020年)の東京オリンピック・パラリンピックに伴う施設設備に加え、企業収益の改善を背景に堅調に推移しております。民間製造業では一部に国内回帰の動きも見られ、設備投資意欲が高い一方、円高・株安により今後、設備投資を控える懸念もございます。また、公共投資は政府・自治体の財政難により削減が進んでおります。科学・技術面では、ロボットやIoT(インターネット・オブ・シングス)、人工知能といった次世代技術が社会に普及しようとしております。
このような環境のなか、主力の建築設備事業では、短期的には旺盛な需要を背景に施工能力とのバランスを考慮した受注戦略と、受注した工事の確実な施工による利益確保が求められております。利益確保のための一例として平成27年4月1日付で調達機能の強化と施工現場の事務作業支援を目的として、調達本部及びサイト業務支援センターを新設いたしました。中長期的には東京オリンピック・パラリンピック後に建設市場が縮小する可能性も懸念されることから、その場合への備えも必要とされております。機械システム事業では、景気回復に伴う人手不足に加え少子化に伴う将来の労働力不足懸念による省力化ニーズが底堅く、ロボット等の新技術を取り込んだ新製品開発が求められております。環境システム事業では、公共投資削減による主力市場の縮小を踏まえ、新たな事業領域への進出を含め、将来に向けた構造改革を行う時期に来ております。
こうした環境変化を踏まえ、平成28年度を初年度とする3ヵ年の新たな中期経営計画”Century 2025”Phase1をスタートさせました。
本計画は、平成27年度を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画「SANKI VITAL PLAN 90th」に続くものであり、創立100周年となる平成37年(2025年)までの10年間について今回新たに策定した長期ビジョン”Century 2025”の最初の3年間となるものです。新中期経営計画の主な取り組み内容は以下のとおりです。
1. 長期ビジョン・・・「選ばれる会社」
2. Phase1のテーマ・・・「技術」と「人財」を磨き「質」を高める
3. 重要課題と戦略
① 技術力の継承・・・(仮称)三機テクノセンターの設立
② ストック時代への備え・・・ライフサイクルエンジニアリング事業の推進
③ 次世代技術開発・・・研究開発拠点の整備
4. 重点施策
① コア事業の強化・・・要素技術を高め安定成長
② 成長戦略の推進・・・未来に向けた技術と領域の成長
③ 三機ブランドの向上・・・「三機らしい」人財の育成
当社グループは10年後の創立100周年を見据え、平成28年度を初年度とする10年間の長期ビジョン“Century 2025“及び3ヵ年の新中期経営計画”Century 2025“Phase1を着実に実行し、環境変化に柔軟に対応できる企業体制を構築しながら、新技術の開発・コーポレートガバナンスの一層の充実及びコンプライアンスの徹底を土台として、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向け鋭意努力を重ねてまいります。
第90期及び第91期の有価証券報告書で記載しております北陸新幹線の設備工事の入札に関する独占禁止法違反行為の件につきましては、平成27年10月9日に公正取引委員会から排除措置命令を受けました。なお、課徴金減免制度の適用を申請し、これが認められたことから課徴金納付命令は受けておりません。
また、平成28年6月23日付で、国土交通省から建設業法第28条第3項の規定に基づき、全国における管工事業に関する営業のうち、公共工事に係るもの又は民間工事であって補助金等の交付を受けているものについて、平成28年7月8日から平成28年8月6日までの30日間の営業停止処分を受けました。
本件に関しまして、株主の皆様、お客様、お取引先様をはじめとする関係者の皆様に多大なるご心配とご迷惑をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。
当社は、本件を厳粛に受け止め、二度とこのような事態を招かぬよう、なお一層のコンプライアンス体制の強化と再発防止策の徹底を図り、引き続き信頼回復に努めてまいります。