有価証券報告書-第127期(2024/04/01-2025/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、インバウンド需要の拡大や雇用・賃金上昇に伴う所得環境の改善等により緩やかな回復の動きがみられた一方、継続する物価上昇や相次ぐ自然災害、地政学リスクへの不安等により国内消費は安定性に乏しい状況でした。
食品業界におきましてもコロナ禍を通じたこの5年間で、不採算店撤退、商品の見直し運営はじめ、物流面まで影響が拡がるなか、夏以降は「令和の米騒動」で米価が高騰し消費者の家計を直撃したなどの要因から、消費者の購買行動も変化したものと思われます。一方、食のトレンドとしては食品の安全性に対する消費者意識と健康志向がいっそう高まり、SDGs関連では食品ロス対策や環境配慮型パッケージの導入など、サステナビリティに関する取り組みも業界各社で進捗しました。
こうした状況下において当社グループでは、『中期経営計画2026』の業績目標達成に向け初年度となる2024年度をスタートしましたが、2024年10月に当社において製造・販売したプレミックス粉の一部に異物混入(樹脂微片)があり自主回収(リコール)を届け出し、関連費用を計上したことから大幅な減益での着地となりました。
このような状況下、当連結会計年度における当社グループの主な取組みは、下記のとおりであります。
[海外事業の拡大及び自立化]
中期経営計画2026における事業戦略「成長市場における量的拡大・質的向上に資する施策の推進」として海外拠点の基盤拡充を実施しました。タイのミックス粉製造・販売会社「Nitto Fuji International (Thailand) Co., Ltd.」(以下、NFIT)においては、2019年の製造開始から増資を2回行い、2022年度に隣接地の土地取得、2023年度に1ライン2シフトでの生産体制確立、2024年度においては第2ラインの増設と、成長施策を推し進めたことで業績の向上に繋がっております。
ベトナムの子会社「NITTO-FUJI INTERNATIONAL VIETNAM CO., LTD.」(以下、NFIV)においては、設立から約20年となりますが、開発体制の充実や高付加価値商品の提案強化などにより売上高・利益ともに順調に伸長しております。
当連結会計年度におきましても、NFIV、NFIT 両社の全体最適を追求しながら両事業を進め、リスク分散体制を構築・強化するとともに、徹底したコスト削減による収益力向上、品質安全管理強化を通じた製品信頼性向上、成長のための積極的な投資を図り、競争優位性確立を目指しました。
日本・タイ・ベトナムの三拠点による連携を深め、安定供給とリスクの分散を図ることでグループの総合力を強化して参りました。
[㈱増田製粉所とのシナジー創出・極大化]
㈱増田製粉所においては、技術に立脚したブランド価値の向上により顧客満足度を高めるなど、既存取引先との関係強化及び新規顧客の開拓に努めました。「宝笠」という菓子用粉に強みを持っており、全国の菓子業界から高く評価されております。各地の銘菓からコンビニスイーツまでの商品に使用され、和洋菓子店から大手製菓メーカーと幅広くご使用いただいております。
完全子会社とした際に施策として掲げた下記 ⅰ)~ ⅴ)について、経営資源、システム、ノウハウなどの相互提供・活用を推進し、両社の企業価値をより一層向上させるシナジー極大化の実現へ向けて、取組みを進めて参りました。
ⅰ)調達戦略
・ 外国産小麦の産地情報を両社で共有し、競争力のある原料調達を図りました。
・ 各々で強い関係のある産地の国内産小麦を相互活用するとともに、両社が共同で需給調整を行うことにより
国内産小麦の安定調達を図りました。
・ 資材の共同購入等により調達コストの低減を図りました。
ⅱ)製造戦略
・ 適地工場での製造により製造の効率化を図りました。
・ 製造技術の共有により、製造コストの低減を図りました。
・ 両社の製品毎の需給情報の共有化により製造体系の最適化を図りました。
ⅲ)販売戦略
・ 両社の持つ商流を活用し、両社商品の未開拓市場への拡販を図りました。
・ 三菱商事グループが持つ川上(原料調達)から川下(小売)までの一貫したバリューチェーンを最大限活
用して事業展開を進め、商品の拡販を図りました。
・ 両社の製造設備を活用し、西日本市場への拡販を図りました。
・ 大正初期からの秘伝として独特の粉作りを引き継ぎ、さらに改良を重ねた製品である「宝笠小麦粉シリ
ーズ」のブランド力強化と地域横断的な展開を推進しました。
ⅳ)研究開発
・ 両社の技術を融合し高品質な新商品を開発しました。
・ 研究開発部門が連携し開発ノウハウを共有することによって、商品開発力の向上と効率化を図りました。
ⅴ)物流戦略
・ 両社の持つ拠点を活用し、物流の効率化を図りました。
・ 子会社である日東富士運輸㈱を活用し、グループ全体の収益力を高めました。
[その他の生産性向上・コスト削減の施策]
ⅰ)製販の緊密な連携による生産ロス・廃棄物の削減
ⅱ)グループ会社共通のITインフラ構築(ネットワーク統合)による集中管理・コスト削減
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(a)財政状態
当連結会計年度末の資産合計につきましては、前連結会計年度末に比べ12億9千4百万円減少し、629億4千6百万円となりました。負債合計につきましては、前連結会計年度末に比べ10億4千4百万円減少し、135億1千9百万円となりました。純資産合計につきましては、前連結会計年度末に比べ2億4千9百万円減少し、494億2千6百万円となりました。
(b)経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は723億4千1百万円と前連結会計年度に比べ2億5千7百万円(0.4%)の減収となり、営業利益は50億9千6百万円と前連結会計年度に比べ1億4千万円(2.7%)の減益、経常利益は55億5千9百万円と前連結会計年度に比べ2億5千6百万円(4.4%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は35億5千万円と前連結会計年度に比べ6億8千8百万円(16.2%)の減益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。なお、各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。
製粉及び食品事業
当事業部門につきましては、外国産小麦の政府売渡価格が昨年4月改定で0.6%の値下げ、10月改定で1.8%の値下げとなり、それぞれ昨年7月納品分と1月納品分から業務用小麦粉の価格改定を実施しました。一部取引先への販売が伸び悩んだことから、売上高は前連結会計年度比減収となりました。営業利益につきましては、海外子会社は堅調に推移しましたが、製品の自主回収に伴う費用の負担や、当社及び国内子会社にて運賃等の販管費の上昇を価格転嫁できず、前連結会計年度比減益となりました。
この結果、売上高は607億7千2百万円と前連結会計年度に比べ6億1百万円(1.0%)の減収となり、営業利益は45億8千2百万円と前連結会計年度に比べ1億8百万円(2.3%)の減益となりました。
外食事業
当事業部門につきましては、主力のケンタッキーフライドチキン店のキャンペーン商品による販売好調や、客単価の上昇・デリバリー需要伸長等により、前連結会計年度比増収となりました。営業利益につきましても、不採算店舗閉鎖に伴う経費改善や動力費の減少等も加わり前連結会計年度比増益となりました。
この結果、売上高は114億3千8百万円と前連結会計年度に比べ3億4千8百万円(3.1%)の増収となり、営業利益は4億1千5百万円と前連結会計年度に比べ4千9百万円(13.5%)の増益となりました。
運送事業
当事業部門につきましては、コスト上昇分についての価格交渉による運賃改定の実施等もあり、売上高は前連結会計年度比増収となりました。しかしながら、営業利益につきましては、燃料費の高騰やベースアップ実施による人件費の増加等から前連結会計年度比減益となりました。
この結果、売上高は20億4千6百万円と前連結会計年度に比べ4千4百万円(2.2%)の増収となり、営業利益は4千万円と前連結会計年度に比べ9千1百万円(69.0%)の減益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高(以下「資金」という)は104億3千2百万円と前連結会計年度に比べ6億3千4百万円(6.5%)増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益52億4千9百万円、減価償却費16億9千万円等で資金が増加した一方、法人税等の支払額19億1千9百万円等により資金が減少した結果、営業活動によるキャッシュ・フローは50億5千5百万円の資金増加となり、当連結会計年度に獲得した資金は前連結会計年度に比べ14億4千2百万円(22.2%)減少しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出26億6千2百万円等の結果、投資活動によるキャッシュ・フローは21億8千5百万円の資金減少となり、当連結会計年度に使用した資金は前連結会計年度に比べ7億9千5百万円(26.7%)減少しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払額22億9千6百万円等の結果、財務活動によるキャッシュ・フローは22億7千7百万円の資金減少となり、当連結会計年度に使用した資金は前連結会計年度に比べ5億8千4百万円(34.6%)増加しました。
(資金需要の主な内容)
ⅰ)株主還元・配当政策
株主の皆様への利益還元である配当政策を経営の重要課題の一つとして認識し、安定的かつ継続的な配当の実施を基本としつつも、中期経営計画2026の事業戦略である「資本効率向上と財務安定性を踏まえた資本政策」として配当方針を見直し、より安定的な配当(維持・増配)である累進配当を導入しております。2027年3月期を最終年度とする『中期経営計画2026』においては、累進配当を継続的に実施することにより利益還元を一層強化し、株主の皆様のご期待にこたえて参ります。
当連結会計年度においては、1株あたり年間252円(2024年3月期期末配当112円、2025年3月期中間配当140円)、総額22億9千6百万円の配当金支払いを実施しました。
また、2025年5月7日に開催された取締役会決議により、2025年3月31日現在の株主に対し、1株当たり期末配当140円、総額12億7千7百万円の支払いを2025年6月10日に実施しております。
ⅱ)設備投資
当社グループは、生産能力増強や合理化によるコスト競争力の向上、並びに将来の利益確保を目的に、継続的な設備投資が必要と考えております。
当連結会計年度においては、有形固定資産の取得による支出は26億6千2百万円であり、使用した資金は、前連結会計年度に比べ5億8千6百万円(18.0%)減少しました。無形固定資産の取得による支出は2千6百万円であり、使用した資金は、前連結会計年度に比べ1千2百万円(32.0%)減少しました。
なお、これらの設備投資額は自己資金により賄われております。
(連結キャッシュ・フロー指標推移)
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×当社の期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
3 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用
しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債
を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用し
ております。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は104億3千2百万円、連結有利子負債の残高は5億1千5百万円となっております。現金及び現金同等物の保有額について厳密な目標水準は定めておりませんが、金融情勢などを勘案しつつ、機動的な対応に備え十分な現金及び現金同等物を保有する事としております。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
(b)受注実績
重要な受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
(c)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計上の見積もり及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
(a)財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ12億9千4百万円減少し、629億4千6百万円となりました。この主な要因は、短期貸付金(キャッシュ・マネジメント・システムによる実質的な現金及び現金同等物)が10億1百万円、生産設備等の更新・改修による有形固定資産が8億8千7百万円増加した一方、投資有価証券が時価評価等により19億5千9百万円、原材料及び貯蔵品が7億7千2百万円減少したこと等となります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債の残高は、前連結会計年度末に比べ10億4千4百万円減少し、135億1千9百万円となりました。この主な要因は、繰延税金負債が7億2百万円、流動負債その他(未払消費税等)が6億2千5百万円減少した一方、損害賠償損失引当金が5億2千4百万円発生したこと等となります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ2億4千9百万円減少し、494億2千6百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が12億5千2百万円増加した一方、その他有価証券評価差額金が14億1千4百万円減少したこと等となります。
(b)経営成績の分析
(売上高及び営業利益)
当連結会計年度の当社グループ業績は、海外事業の販売は好調でしたが、当社の国内製粉事業では物価上昇の影響から需要が伸び悩んだ取引先への販売が苦戦したことにより、売上高は723億4千1百万円と前連結会計年度に比べ2億5千7百万円(0.4%)の減収となりました。利益面につきましては、当社において製造・販売したプレミックス粉の一部に異物混入(樹脂微片)があり2024年10月17日に厚生労働省へ届け出しました自主回収(リコール)の影響を受けたこともあり、営業利益は50億9千6百万円と前連結会計年度に比べ1億4千万円(2.7%)の減益となりました。
(営業外損益及び経常利益)
当連結会計年度の営業外損益は、前期に発生した受取保険金の反動減等により、前連結会計年度に比べ1億1千6百万円悪化した結果、4億6千2百万円の利益となりました。
これにより、経常利益は55億5千9百万円と前連結会計年度に比べ2億5千6百万円(4.4%)の減益となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別損益は、投資有価証券売却益の発生等はあったものの、自主回収処置(リコール)による受取保険金及び損害賠償損失の発生等の結果、前連結会計年度に比べ2億7千1百万円悪化し、3億9百万円の損失となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は52億4千9百万円となり、税金費用16億8千5百万円、非支配株主に帰属する当期純利益1千3百万円を差し引き、親会社株主に帰属する当期純利益は35億5千万円と前連結会計年度に比べ6億8千8百万円(16.2%)の減益となりました。
(c)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度の当社グループのキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下のとおりであります。
(資金需要・資金調達)
当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに製造設備の新設、改修等に係る投資によるものであります。必要な資金は、主に営業活動によって得られるキャッシュ・フローと、金融機関などからの借入れにより調達しております。なお、調達コストの観点から、長期と短期のバランスを勘案し、低コストかつ安定的な資金確保に努めております。
また、運転資金等の安定的な調達を行うため、取引金融機関と当座貸越契約を締結しており、2025年3月末現在の契約総額は、約80億円(うち、借入実施額4億2千万円)であります。
(資金の流動性)
当社グループは、当社及び国内連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、グループ内資金を当社が一元管理しております。各社における余剰資金を当社へ集中することで資金の流動性を確保し、また、機動的にグループ内に配分することにより、資金効率の向上と金融負債の極小化を図っております。
なお、当社が一元管理するグループ余剰資金は、CMSにより親会社(三菱商事㈱)が同一であるグループ会社(三菱商事フィナンシャルサービス㈱)へ貸付しており、安全性並びに流動性の高い運用であると考えております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、インバウンド需要の拡大や雇用・賃金上昇に伴う所得環境の改善等により緩やかな回復の動きがみられた一方、継続する物価上昇や相次ぐ自然災害、地政学リスクへの不安等により国内消費は安定性に乏しい状況でした。
食品業界におきましてもコロナ禍を通じたこの5年間で、不採算店撤退、商品の見直し運営はじめ、物流面まで影響が拡がるなか、夏以降は「令和の米騒動」で米価が高騰し消費者の家計を直撃したなどの要因から、消費者の購買行動も変化したものと思われます。一方、食のトレンドとしては食品の安全性に対する消費者意識と健康志向がいっそう高まり、SDGs関連では食品ロス対策や環境配慮型パッケージの導入など、サステナビリティに関する取り組みも業界各社で進捗しました。
こうした状況下において当社グループでは、『中期経営計画2026』の業績目標達成に向け初年度となる2024年度をスタートしましたが、2024年10月に当社において製造・販売したプレミックス粉の一部に異物混入(樹脂微片)があり自主回収(リコール)を届け出し、関連費用を計上したことから大幅な減益での着地となりました。
このような状況下、当連結会計年度における当社グループの主な取組みは、下記のとおりであります。
[海外事業の拡大及び自立化]
中期経営計画2026における事業戦略「成長市場における量的拡大・質的向上に資する施策の推進」として海外拠点の基盤拡充を実施しました。タイのミックス粉製造・販売会社「Nitto Fuji International (Thailand) Co., Ltd.」(以下、NFIT)においては、2019年の製造開始から増資を2回行い、2022年度に隣接地の土地取得、2023年度に1ライン2シフトでの生産体制確立、2024年度においては第2ラインの増設と、成長施策を推し進めたことで業績の向上に繋がっております。
ベトナムの子会社「NITTO-FUJI INTERNATIONAL VIETNAM CO., LTD.」(以下、NFIV)においては、設立から約20年となりますが、開発体制の充実や高付加価値商品の提案強化などにより売上高・利益ともに順調に伸長しております。
当連結会計年度におきましても、NFIV、NFIT 両社の全体最適を追求しながら両事業を進め、リスク分散体制を構築・強化するとともに、徹底したコスト削減による収益力向上、品質安全管理強化を通じた製品信頼性向上、成長のための積極的な投資を図り、競争優位性確立を目指しました。
日本・タイ・ベトナムの三拠点による連携を深め、安定供給とリスクの分散を図ることでグループの総合力を強化して参りました。
[㈱増田製粉所とのシナジー創出・極大化]
㈱増田製粉所においては、技術に立脚したブランド価値の向上により顧客満足度を高めるなど、既存取引先との関係強化及び新規顧客の開拓に努めました。「宝笠」という菓子用粉に強みを持っており、全国の菓子業界から高く評価されております。各地の銘菓からコンビニスイーツまでの商品に使用され、和洋菓子店から大手製菓メーカーと幅広くご使用いただいております。
完全子会社とした際に施策として掲げた下記 ⅰ)~ ⅴ)について、経営資源、システム、ノウハウなどの相互提供・活用を推進し、両社の企業価値をより一層向上させるシナジー極大化の実現へ向けて、取組みを進めて参りました。
ⅰ)調達戦略
・ 外国産小麦の産地情報を両社で共有し、競争力のある原料調達を図りました。
・ 各々で強い関係のある産地の国内産小麦を相互活用するとともに、両社が共同で需給調整を行うことにより
国内産小麦の安定調達を図りました。
・ 資材の共同購入等により調達コストの低減を図りました。
ⅱ)製造戦略
・ 適地工場での製造により製造の効率化を図りました。
・ 製造技術の共有により、製造コストの低減を図りました。
・ 両社の製品毎の需給情報の共有化により製造体系の最適化を図りました。
ⅲ)販売戦略
・ 両社の持つ商流を活用し、両社商品の未開拓市場への拡販を図りました。
・ 三菱商事グループが持つ川上(原料調達)から川下(小売)までの一貫したバリューチェーンを最大限活
用して事業展開を進め、商品の拡販を図りました。
・ 両社の製造設備を活用し、西日本市場への拡販を図りました。
・ 大正初期からの秘伝として独特の粉作りを引き継ぎ、さらに改良を重ねた製品である「宝笠小麦粉シリ
ーズ」のブランド力強化と地域横断的な展開を推進しました。
ⅳ)研究開発
・ 両社の技術を融合し高品質な新商品を開発しました。
・ 研究開発部門が連携し開発ノウハウを共有することによって、商品開発力の向上と効率化を図りました。
ⅴ)物流戦略
・ 両社の持つ拠点を活用し、物流の効率化を図りました。
・ 子会社である日東富士運輸㈱を活用し、グループ全体の収益力を高めました。
[その他の生産性向上・コスト削減の施策]
ⅰ)製販の緊密な連携による生産ロス・廃棄物の削減
ⅱ)グループ会社共通のITインフラ構築(ネットワーク統合)による集中管理・コスト削減
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(a)財政状態
当連結会計年度末の資産合計につきましては、前連結会計年度末に比べ12億9千4百万円減少し、629億4千6百万円となりました。負債合計につきましては、前連結会計年度末に比べ10億4千4百万円減少し、135億1千9百万円となりました。純資産合計につきましては、前連結会計年度末に比べ2億4千9百万円減少し、494億2千6百万円となりました。
(b)経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は723億4千1百万円と前連結会計年度に比べ2億5千7百万円(0.4%)の減収となり、営業利益は50億9千6百万円と前連結会計年度に比べ1億4千万円(2.7%)の減益、経常利益は55億5千9百万円と前連結会計年度に比べ2億5千6百万円(4.4%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は35億5千万円と前連結会計年度に比べ6億8千8百万円(16.2%)の減益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。なお、各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。
製粉及び食品事業
当事業部門につきましては、外国産小麦の政府売渡価格が昨年4月改定で0.6%の値下げ、10月改定で1.8%の値下げとなり、それぞれ昨年7月納品分と1月納品分から業務用小麦粉の価格改定を実施しました。一部取引先への販売が伸び悩んだことから、売上高は前連結会計年度比減収となりました。営業利益につきましては、海外子会社は堅調に推移しましたが、製品の自主回収に伴う費用の負担や、当社及び国内子会社にて運賃等の販管費の上昇を価格転嫁できず、前連結会計年度比減益となりました。
この結果、売上高は607億7千2百万円と前連結会計年度に比べ6億1百万円(1.0%)の減収となり、営業利益は45億8千2百万円と前連結会計年度に比べ1億8百万円(2.3%)の減益となりました。
外食事業
当事業部門につきましては、主力のケンタッキーフライドチキン店のキャンペーン商品による販売好調や、客単価の上昇・デリバリー需要伸長等により、前連結会計年度比増収となりました。営業利益につきましても、不採算店舗閉鎖に伴う経費改善や動力費の減少等も加わり前連結会計年度比増益となりました。
この結果、売上高は114億3千8百万円と前連結会計年度に比べ3億4千8百万円(3.1%)の増収となり、営業利益は4億1千5百万円と前連結会計年度に比べ4千9百万円(13.5%)の増益となりました。
運送事業
当事業部門につきましては、コスト上昇分についての価格交渉による運賃改定の実施等もあり、売上高は前連結会計年度比増収となりました。しかしながら、営業利益につきましては、燃料費の高騰やベースアップ実施による人件費の増加等から前連結会計年度比減益となりました。
この結果、売上高は20億4千6百万円と前連結会計年度に比べ4千4百万円(2.2%)の増収となり、営業利益は4千万円と前連結会計年度に比べ9千1百万円(69.0%)の減益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高(以下「資金」という)は104億3千2百万円と前連結会計年度に比べ6億3千4百万円(6.5%)増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益52億4千9百万円、減価償却費16億9千万円等で資金が増加した一方、法人税等の支払額19億1千9百万円等により資金が減少した結果、営業活動によるキャッシュ・フローは50億5千5百万円の資金増加となり、当連結会計年度に獲得した資金は前連結会計年度に比べ14億4千2百万円(22.2%)減少しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出26億6千2百万円等の結果、投資活動によるキャッシュ・フローは21億8千5百万円の資金減少となり、当連結会計年度に使用した資金は前連結会計年度に比べ7億9千5百万円(26.7%)減少しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払額22億9千6百万円等の結果、財務活動によるキャッシュ・フローは22億7千7百万円の資金減少となり、当連結会計年度に使用した資金は前連結会計年度に比べ5億8千4百万円(34.6%)増加しました。
(資金需要の主な内容)
ⅰ)株主還元・配当政策
株主の皆様への利益還元である配当政策を経営の重要課題の一つとして認識し、安定的かつ継続的な配当の実施を基本としつつも、中期経営計画2026の事業戦略である「資本効率向上と財務安定性を踏まえた資本政策」として配当方針を見直し、より安定的な配当(維持・増配)である累進配当を導入しております。2027年3月期を最終年度とする『中期経営計画2026』においては、累進配当を継続的に実施することにより利益還元を一層強化し、株主の皆様のご期待にこたえて参ります。
当連結会計年度においては、1株あたり年間252円(2024年3月期期末配当112円、2025年3月期中間配当140円)、総額22億9千6百万円の配当金支払いを実施しました。
また、2025年5月7日に開催された取締役会決議により、2025年3月31日現在の株主に対し、1株当たり期末配当140円、総額12億7千7百万円の支払いを2025年6月10日に実施しております。
ⅱ)設備投資
当社グループは、生産能力増強や合理化によるコスト競争力の向上、並びに将来の利益確保を目的に、継続的な設備投資が必要と考えております。
当連結会計年度においては、有形固定資産の取得による支出は26億6千2百万円であり、使用した資金は、前連結会計年度に比べ5億8千6百万円(18.0%)減少しました。無形固定資産の取得による支出は2千6百万円であり、使用した資金は、前連結会計年度に比べ1千2百万円(32.0%)減少しました。
なお、これらの設備投資額は自己資金により賄われております。
(連結キャッシュ・フロー指標推移)
| 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 74.7 | 77.2 | 78.4 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 67.1 | 75.4 | 96.8 |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 0.3 | 0.1 | 0.1 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 794.9 | 2,412.8 | 1,460.4 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×当社の期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
3 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用
しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債
を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用し
ております。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は104億3千2百万円、連結有利子負債の残高は5億1千5百万円となっております。現金及び現金同等物の保有額について厳密な目標水準は定めておりませんが、金融情勢などを勘案しつつ、機動的な対応に備え十分な現金及び現金同等物を保有する事としております。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 製粉及び食品事業 | 54,803 | △1.9 |
| 合計 | 54,803 | △1.9 |
(注) 金額は、販売価格によっております。
(b)受注実績
重要な受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
(c)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 製粉及び食品事業 | 60,760 | △1.0 |
| 外食事業 | 11,436 | 3.1 |
| 運送事業 | 144 | △3.2 |
| 合計 | 72,341 | △0.4 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| 三菱商事㈱ | 11,748 | 16.2 | 10,991 | 15.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計上の見積もり及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
(a)財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ12億9千4百万円減少し、629億4千6百万円となりました。この主な要因は、短期貸付金(キャッシュ・マネジメント・システムによる実質的な現金及び現金同等物)が10億1百万円、生産設備等の更新・改修による有形固定資産が8億8千7百万円増加した一方、投資有価証券が時価評価等により19億5千9百万円、原材料及び貯蔵品が7億7千2百万円減少したこと等となります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債の残高は、前連結会計年度末に比べ10億4千4百万円減少し、135億1千9百万円となりました。この主な要因は、繰延税金負債が7億2百万円、流動負債その他(未払消費税等)が6億2千5百万円減少した一方、損害賠償損失引当金が5億2千4百万円発生したこと等となります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ2億4千9百万円減少し、494億2千6百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が12億5千2百万円増加した一方、その他有価証券評価差額金が14億1千4百万円減少したこと等となります。
(b)経営成績の分析
(売上高及び営業利益)
当連結会計年度の当社グループ業績は、海外事業の販売は好調でしたが、当社の国内製粉事業では物価上昇の影響から需要が伸び悩んだ取引先への販売が苦戦したことにより、売上高は723億4千1百万円と前連結会計年度に比べ2億5千7百万円(0.4%)の減収となりました。利益面につきましては、当社において製造・販売したプレミックス粉の一部に異物混入(樹脂微片)があり2024年10月17日に厚生労働省へ届け出しました自主回収(リコール)の影響を受けたこともあり、営業利益は50億9千6百万円と前連結会計年度に比べ1億4千万円(2.7%)の減益となりました。
(営業外損益及び経常利益)
当連結会計年度の営業外損益は、前期に発生した受取保険金の反動減等により、前連結会計年度に比べ1億1千6百万円悪化した結果、4億6千2百万円の利益となりました。
これにより、経常利益は55億5千9百万円と前連結会計年度に比べ2億5千6百万円(4.4%)の減益となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別損益は、投資有価証券売却益の発生等はあったものの、自主回収処置(リコール)による受取保険金及び損害賠償損失の発生等の結果、前連結会計年度に比べ2億7千1百万円悪化し、3億9百万円の損失となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は52億4千9百万円となり、税金費用16億8千5百万円、非支配株主に帰属する当期純利益1千3百万円を差し引き、親会社株主に帰属する当期純利益は35億5千万円と前連結会計年度に比べ6億8千8百万円(16.2%)の減益となりました。
(c)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度の当社グループのキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下のとおりであります。
(資金需要・資金調達)
当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに製造設備の新設、改修等に係る投資によるものであります。必要な資金は、主に営業活動によって得られるキャッシュ・フローと、金融機関などからの借入れにより調達しております。なお、調達コストの観点から、長期と短期のバランスを勘案し、低コストかつ安定的な資金確保に努めております。
また、運転資金等の安定的な調達を行うため、取引金融機関と当座貸越契約を締結しており、2025年3月末現在の契約総額は、約80億円(うち、借入実施額4億2千万円)であります。
(資金の流動性)
当社グループは、当社及び国内連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、グループ内資金を当社が一元管理しております。各社における余剰資金を当社へ集中することで資金の流動性を確保し、また、機動的にグループ内に配分することにより、資金効率の向上と金融負債の極小化を図っております。
なお、当社が一元管理するグループ余剰資金は、CMSにより親会社(三菱商事㈱)が同一であるグループ会社(三菱商事フィナンシャルサービス㈱)へ貸付しており、安全性並びに流動性の高い運用であると考えております。