有価証券報告書-第83期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/19 16:31
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
1) 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、米中貿易摩擦の拡大など、世界経済の不確実性に加え、自然災害の発生、新型コロナウイルスの世界的感染拡大による経済活動への影響により、先行き不透明感が高まる状況で推移しました。
菓子・食品業界におきましても、消費動向は予断を許さない状況の中、企業間競争の激化に加え、原材料価格やエネルギーコストが上昇し厳しい経営環境が続きました。
このような状況のもと、当社グループは、中期3カ年計画「新・維新 Next Stage 2020」の2年目を迎え、①自己成長と共育の融合への挑戦 ②全員がマーケター ③イノベーションの絶え間ない挑戦 ④「利益=売上-コスト」の基本算式を忘れない ⑤健康経営推進 の5つの目標に向けて着実な一歩を踏み出し、サステナブルな成長を目指して事業活動を展開しました。
当社グループの売上高は、国内及び中国における調味料事業は順調に推移しましたが、流通事業では、上期における夏場の低温や長梅雨、下期では記録的暖冬など天候不順の影響に加え、3月には若干ながら新型コロナウイルスによる消費マインドの低下もあり、伸び悩みました。その結果、連結売上高は、前期比27億98百万円(6.2%)減の423億9百万円となりました。
利益面では、継続した生産性向上活動やSCMの強化により、人件費や物流費が減少するとともに、2020年1月にコージェネレーションシステムとして、都市ガスを燃料とする停電対応型のガスエンジン発電機を導入し、動燃費の低減とCO₂削減が図られました。また、全グループで食品ロス削減に向けた取り組みを更に強化しました。一方で主要原料の小豆(前期比約25%増)を中心に原材料費が引き続き上昇し、製造原価全体としては増加しました。その結果、営業利益は前期比10億53百万円(74.6%)減の3億59百万円、経常利益は前期比11億34百万円(72.6%)減の4億27百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比11億18百万円(89.0%)減の1億37百万円となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。
① 流通事業
井村屋株式会社の流通事業では、夏場に売上が減少した冷菓カテゴリーにおいて、10月より秋冬向けの新商品を発売し、下期は前年同期を上回りました。しかし、冬場の主力商品の「肉まん・あんまん」は記録的な暖冬の影響もあり苦戦し、コスト面では主要原料である小豆の高騰が原価上昇に大きく影響しました。
以上の結果、流通事業の売上高は前期比30億16百万円(7.7%)減の361億62百万円となり、セグメント利益は前期比9億81百万円(45.8%)減の11億61百万円となりました。
流通事業におけるカテゴリー別の概況につきましては以下のとおりです。
(菓子カテゴリー)
「ようかん類」では健康性や機能性をテーマに商品展開を行いました。携帯性などの機能を高めた商品「片手で食べられる小さなようかん」や「味わうようかん 薫る黒糖・濃い抹茶」が堅調に推移しました。また、新商品として「ワンプッシュゼリー塩ぷるレモン・ウメ」、「もっちりぷるんわらびもち 黒糖・柚子」を発売し、順調なスタートとなりました。「どら焼」シリーズでは煮小豆を使用した「小ぶりでおいしいどら焼き」が堅調に推移しました。中国のカステラ事業では米中貿易摩擦の影響もあり、米国向けの輸出が前期を下回りました。
以上の結果、菓子カテゴリー全体の売上高は前期比1億88百万円(3.9%)減の46億87百万円となりました。
(食品カテゴリー)
食品カテゴリーでは利便性のある新商品「レンジで簡単おしるこ」「レンジで簡単ぜんざい」が好評を博し、売上を伸ばしました。ロングセラー商品「ゆであずき特4号缶」は11月より容器を缶からフタ付カップに変更し、お客様の使いやすさと商品の保存性を高めました。井村屋フーズ株式会社の食品加工事業では、夏場の低温の影響を受けスパウチ商品の受注が減少しました。
以上の結果、食品カテゴリー全体の売上高は前期比5億56百万円(7.6%)減の67億61百万円となりました。
(デイリーチルドカテゴリー)
「豆腐類」の「美し豆腐」やその他の業務用商品が堅調に推移しました。「チルドパックまん」では個包装で利便性が向上した「2個入ゴールドまん」シリーズが伸長し、コラボ商品の「2コ入ホットケーキまん」が好評をいただきました。しかし「3個入チルドまん」シリーズは伸び悩みました。
以上の結果、デイリーチルドカテゴリー全体の売上高は前期比2百万円(0.1%)減の28億35百万円となりました。
(冷菓カテゴリー)
冷菓商品は主力商品「あずきバー」シリーズが最需要期である6月から7月の天候不順の影響により、上期の売上が大きく減少し、下期の売上は前年を上回りましたが、年間の売上本数は2億54百万本(前期比7.7%減)となりました。「やわもちアイス」シリーズは10月10日を「やわもちアイスの日」として日本記念日協会より制定され、積極的な販売促進活動を行いました。「BOXやわもちアイス(つぶあんミルクカップ)」の売上が増加し、新商品「BOXやわもちアイス(黒みつきなこカップ)」や「やわもちアイス 栗あんカップ」・「やわもちアイス さくらもち味」が順調に推移しました。「やわもちアイス」シリーズの売上は前期比5.3%増となりました。また、焼菓子とアイスを組み合わせた秋冬向けの新商品「KASANEL どらやきロールアイス バニラ」「KASANEL どらやきロールアイス いちご」も好調に推移しました。冷菓カテゴリーの下期売上は前年同期比14.9%増と伸長し、2020年度に期待がもてる状況となっております。しかし、夏場の売上減少の影響は大きく、国内での冷菓商品の通期売上は前期を下回りました。米国でアイス事業を展開しているIMURAYA USA, INC.では、新規販売ルートの開拓に取り組みましたが、大手量販店での販売が減少しました。
以上の結果、冷菓カテゴリー全体の売上高は前期比6億80百万円(5.6%)減の115億56百万円となりました。
(点心・デリカテゴリー)
点心・デリカテゴリーでは、今期発売55周年を迎えた「肉まん・あんまん」が日本食糧新聞社主催の「第38回食品ヒット大賞」において、「ロングセラー賞」を受賞いたしました。家庭内需要に対応し、グレードアップした個包装の冷凍「肉まん・あんまん」が好調に推移し、今後も需要の伸びが期待されます。コンビニエンスストア向けのスチーマー商品においても、引き続き付加価値の高い商品提案を行い、好評をいただいております。しかし、記録的な暖冬の影響に加え、3月には新型コロナウイルスによる消費マインドの低下もあり、売上は前期を大きく下回りました。
以上の結果、点心・デリカテゴリー全体の売上高は前期比15億86百万円(14.0%)減の97億29百万円となりました。
(スイーツカテゴリー)
スイーツカテゴリーでは、「Anna Miller's(アンナミラーズ)高輪店」が堅調に推移しました。
「JOUVAUD(ジュヴォー)」では、「La maison JOUVAUD(ラ・メゾン・ジュヴォー)広尾店」が7月にリニューアルオープンし、集客力の向上により売上が増加しました。前期、京都に出店した「La maison JOUVAUD (ラ・メゾン・ジュヴォー)京都祇園店」、「La maison JOUVAUD (ラ・メゾン・ジュヴォー)JR京都伊勢丹店」はクリスマス限定商品を発売し、好評をいただきました。「La maison JOUVAUD(ラ・メゾン・ジュヴォー)KITTE名古屋店」においても特長あるメレンゲ菓子の「生ロカイユ」や「焼きたてフィナンシェ」がテイクアウト商品として人気を集めております。また、特色ある“アイスクリーム和菓子”を販売している「和涼菓堂 京都店」も高質な商品が高い評価をいただいております。スイーツカテゴリーでは2月以降、新型コロナウイルスの影響を受け、出店している商業施設や百貨店の要請により、営業時間を短縮するなど、集客が減少しました。そのような状況の中、各店舗で品質管理と感染防止対策を徹底し、お客様満足の向上に努めました。「La maison JOUVAUD(ラ・メゾン・ジュヴォー)広尾店」では3月においてもテイクアウト商品が増加し、売上が前年を上回りました。
以上の結果、スイーツカテゴリー全体の売上高は前期と同様の5億91百万円となりました。
② 調味料事業
国内では井村屋フーズ株式会社のシーズニング事業において、新規市場の拡大と生産性向上に取り組みました。 売上面では、新規顧客の獲得に向け、生産機能と商品特性の提案を進めました。その結果、OEM(顧客が企画された商品の受託加工)と自社素材商品の受注は前年並みでしたが、ODM(Original Design Manufacturing:当社が設計提案した商品の受託加工)の注文が前期比で2.9%増加しました。コスト面では、前期に設備投資したブレンド工場の前室倉庫が機能を発揮し、生産対応力を高め、構内物流コストの削減に寄与しています。
中国での調味料事業では、北京京日井村屋食品有限公司(JIF)の積極的な商品提案により、中国国内の売上が伸長しました。また、生産拠点である井村屋(大連)食品有限公司(IDF)では製造コストの低減が図られました。
以上の結果、調味料事業の売上高は前期比2億28百万円(4.0%)増の59億19百万円となり、セグメント利益は前期比90百万円(18.0%)増の5億92百万円となりました。
③ その他事業
イムラ株式会社において、井村屋商品のアウトレット販売を行っている「MOTTAINAI屋」は、地域住民の皆様から引き続き好評をいただきました。本社所在地である三重県津市の近鉄津駅構内に出店している「imuraya Sweets Shop irodori」は特色のあるスイーツ商品を中心に販売し、人気を得ております。また、本社近隣のイオンスタイル津南に出店している「ソフトアイスクリーム&スイーツ店WaiWai(ワイワイ)」では11月にオープン1周年を迎え、新商品を発売してお客様満足の向上に取り組みました。しかし、各店舗とも2月以降は新型コロナウイルスの影響により客数が減少しました。「MOTTAINAI屋」は感染防止を考慮し、3月は休業としたため、年間の売上は前期を下回りました。
以上の結果、井村屋グループ株式会社の賃貸事業を加えた、その他事業の売上高は2億27百万円となり、固定費が増加し、セグメント損失は62百万円となりました。
2)生産、受注及び販売
当連結会計年度における生産等の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
① 生産等の状況
(1) 生産実績
セグメントの名称金額(千円)前期比(%)
流通事業20,506,11093.1
調味料事業4,682,430102.3
消去(セグメント間取引)△212,897
合計24,975,64394.7

(注) 1.金額は、製造原価によって示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.その他事業における生産実績はありません。
(2) 製品仕入実績
セグメントの名称金額(千円)前期比(%)
流通事業3,757,15179.8
合計3,757,15179.8

(注) 1.金額は、仕入原価によって示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.調味料事業、その他事業における製品仕入はありません。
4.当連結会計年度において、製品仕入実績に著しい変動がありました。これは、食品、冷菓関連商品の販売減に伴い、前期に比べ減少しております。
(3) 商品仕入実績
セグメントの名称金額(千円)前期比(%)
流通事業66,313102.1
その他事業56,200103.5
消去(セグメント間取引)△50,166
合計72,347107.1

(注) 1.金額は、仕入原価によって示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.調味料事業における商品仕入はありません。
② 受注状況
当社グループでは、流通事業及び調味料事業において一部受注生産を行っております。なお、金額は僅少のため記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前期比(%)
流通事業36,269,86092.3
調味料事業6,091,673103.4
その他事業231,91197.1
消去(セグメント間取引)△283,546
合計42,309,89893.8

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
㈱日本アクセス14,693,50632.613,577,65532.1
三菱商事㈱5,086,10611.34,559,92510.8

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
経営者の検討における重要な項目について当社及び連結子会社の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローは、「第2[事業の状況]2[事業等のリスク]」に述べる各項目の影響を受けますが 、当連結会計年度末において当社グループの経営者は、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの動向を検討する上で、以下の項目、指標が有用であると考えます 。
1)経営成績
① 売上高
当社グループの売上高は、国内及び中国における調味料事業は順調に推移しましたが、流通事業では、上期における夏場の低温や長梅雨、下期では記録的暖冬など天候不順の影響に加え、3月には若干ながら新型コロナウイルスによる消費マインドの低下もあり、伸び悩みました。その結果、連結売上高は、423億9百万円(前期比6.2%減)となりました。売上高等の詳細については「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりですが、さらに前連結会計年度と比較した連結会計年度の事業別売上高実績を示すと下記のとおりであります。
企業集団の事業別売上高
(単位:百万円)
事業区分前連結会計年度当連結会計年度前期比増減
金額構成比金額構成比金額増減率



菓子4,87510.9%4,68711.1%△188△3.9%
食品7,31816.2%6,76116.0%△556△7.6%
デイリーチルド2,8376.3%2,8356.7%△2△0.1%
冷菓12,23727.1%11,55627.3%△680△5.6%
点心・デリ11,31625.1%9,72923.0%△1,586△14.0%
スイーツ5911.3%5911.4%△0△0.1%
流通事業計39,17886.9%36,16285.5%△3,016△7.7%
調味料事業5,69112.6%5,91914.0%2284.0%
その他事業2370.5%2270.5%△10△4.3%
合計45,108100.0%42,309100.0%△2,798△6.2%

② 売上原価並びに営業利益
営業利益については、3億59百万円で前期比25.4%、10億53百万円減少しました。その要因として、売上の減少による収益の減少と、主要原料の小豆を中心に原材料費が上昇し、売上原価率が69.9%となり、前年より1.1%増加したことによります。
販売費及び一般管理費については、2億89百万円の削減が図られました。主な要因としては、物流費が減少しており、当社グループで取り組んでいるSCM効果があったと捉えております。
③ 経常利益
営業外損益におきましては、為替差損が47百万円発生しており、海外事業への貸付金に対する為替影響であります。経常利益は前期比11億34百万円減少し、経常利益率は1.0%、前期比2.5%減少しております。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は1億37百万円で前期比11.0%、11億18百万円減少しました。
なお、今後の見通しにつきましては、「第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](3)会社の対処すべき課題及び中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては「第2[事業の状況]2[事業等のリスク]」に記載のとおりであります。
2)財政状態
当連結会計年度の財政状態は以下のとおりであります。
総資産は294億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ52億69百万円の減少となりました。流動資産は、設備投資に伴う現預金の減少及び売掛金の回収による減少などにより、47億32百万円減の100億32百万円となりました。固定資産は、有形固定資産の減価償却や投資有価証券の時価評価額の減少などにより、5億30百万円減の193億75百万円となりました。
負債は139億83百万円となり、前連結会計年度末に比べ48億95百万円の減少となりました。流動負債は、AZUKI・FACTORYの建設費用の支払いに伴う未払金の減少や、短期借入金の返済などにより、48億円減の118億3百万円となりました。固定負債は長期リース債務の減少などにより、94百万円減の21億79百万円となりました。
純資産は親会社株主に帰属する当期純利益の減少、その他有価証券評価差額金の減少などにより、3億73百万円減の154億24百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末45.5%から52.2%へ増加しました。
3)キャッシュ・フロー
① 概要
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、11億83百万円となり、前連結会計年度末比で15億33百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の収入は33億52百万円となり、前連結会計年度に比べ、収入は21億38百万円増加いたしました。この増加の主な要因は、売上債権の減少及び棚卸資産の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の支出は24億97百万円となり、前連結会計年度に比べ、支出は35百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、子会社株式の取得による支出などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の支出は23億65百万円となり、前連結会計年度に比べ、収入は29億43百万円の減少となりました。この減少の主な要因は、短期借入金の返済による支出によるものであります。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料、製商品仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。株主還元策につきましては、「第4[提出会社の状況]3[配当政策]」に記載のとおりであります。
また、当社グループは、資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的としてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、グループ内の資金調達・管理の一元化を行い、グループ全体の資金効率化を進めております。
当社グループは、健全な財務体質、継続的な営業活動によるキャッシュ・フロー創出能力により、今後も事業成長を確保する目的で手元流動性を高める資金調達や、個別投資案件への資金調達は可能であると考えております。
なお、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は11億83百万円、有利子負債の残高は59億11百万円となっております。
4)現況に関する認識及び分析・検討内容
現況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 [事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](2)経営目標と進捗について、(3)会社の対処すべき課題及び中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおりであります。
5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
重要な判断を要する会計上の見積り及び当該見積もりとは、会社の財政状態や経営成績に重要な影響を及ぼす会計上の見積りであり、かつ本質的に不確実な事柄に関する経営者の重要な、或いは主観的な判断を反映させることを要するものです。
以下の各項目は、その認識及び測定にあたり、経営者の重要な判断及び会計上の見積りを必要とするものです。
① 固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価格を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損損失が必要となる可能性があります。
② 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産に計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
③ 確定給付費用及び確定給付制度債務
従業員の確定給付費用及び確定給付制度債務は、割引率、退職率及び死亡率等年金数理計算上の基礎率に基づき見積られております。実績と見積りとの差はその他の包括利益として、認識されております。経営者は、この数理計算上の仮定を適切であると考えておりますが、実績との差異や仮定の変動は将来の確定給付費用及び確定給付制度債務に影響します。
当社及び連結子会社の割引率は、各年度の測定日における日本の長期国債の利回りに基づき決定しております。各測定日に決定日に決定した割引率は、測定日現在の確定給付制度債務及び翌年度の純期間費用を計算するために使用されます。
確定給付費用及び確定給付制度債務に関する見積りや前提条件については「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等][注記事項](退職給付関係)」に記載のとおりであります。